【無料イベント】ハロウィンパーティー2015
【無料イベント】ハロウィンパーティー2015


●ハッピーハロウィン!
「みんなー! トリックオアトリート!」
 久方 万里(nCL2000005)はぱくぱく丸型にくりぬいたカボチャを頭上にズバッと掲げてみせた。
 そうでございます今日はハロウィンでございます。
「絶対戦争するマンも追い払ったことだし、五麟市もきっちりハロウィンパーティーを開くよ! 今日のために仮装を用意した人もたっくさんいるもんね!」

 このパーティーはハロウィンコンテストの一巻として開かれたものだ。
 コンテストにエントリーした君も、あえてエントリーしていない君も、一緒にパーティーを楽しもう。
 五輪大学の『談話室こもれび』を利用した会場はハロウィン仕様に装飾され、ファッションショーとお菓子パーティーの準備が進められている。
 ファッションショーにエントリーして君が今日のために用意した自慢の仮装をアピールするもよし。
 持ち寄ったお菓子をみんなに振る舞うもよし。
 お菓子を食べてお喋りするもよし。
 勿論、お手伝いも随時募集中だ。
「さあごいっしょに、ハッピーハロウィン!」


■シナリオ詳細
種別:イベント
難易度:楽
担当ST:八重紅友禅
■成功条件
1.パーティーを楽しもう!
2.なし
3.なし
 こちらは無料イベントシナリオとなっております。
 お気軽にご参加くださいませ。

●こんな参加のしかた
 会場はFIVEに所属する覚者たちへ自由に開かれています。
『持ってきたお菓子を振る舞う』
『お菓子を食べてお喋り』
『ファッションショーで仮装をアピール』
 といった形で楽しみましょう。

 ちなみに、今回はファッションショーも兼ねているので
『ショーの参加者アピールポイントを尋ねるレポーター』
『参加者を撮影するカメラマン』
『場を盛り上げるための演奏チーム』
 といったお手伝いスタッフも募集しています。ふるってご応募ください。

●リプレイの描写について
 描写予定人数は50~100名程度。文字数一万五千程度を予定しています。

●イベントシナリオのルール
・参加料金は無料です。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。但しモルコインは配布されません。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『御崎 衣緒(nCL2000001)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】というタグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:0枚
(0モルげっと♪)
相談日数
4日
参加費
0LP
参加人数
111/∞
公開日
2015年11月06日

■メイン参加者 111人■

『風に舞う花』
風織 紡(CL2000764)
『五麟マラソン優勝者』
奥州 一悟(CL2000076)
『ゆるゆるふああ』
鼎 飛鳥(CL2000093)
『イッパンジン』
風織 歩人(CL2001003)
『聖夜のパティシエール』
菊坂 結鹿(CL2000432)
『ハルモニアの幻想旗衛』
守衛野 鈴鳴(CL2000222)
『デアデビル』
天城 聖(CL2001170)
『追跡の羽音』
風祭・誘輔(CL2001092)
『ママは小学六年生(仮)』
迷家・唯音(CL2001093)
『月下の黒』
黒桐 夕樹(CL2000163)
『探偵見習い』
賀茂・奏空(CL2000955)
『一縷乃』
冷泉 椿姫(CL2000364)
『落涙朱華』
志賀 行成(CL2000352)
『天を翔ぶ雷霆の龍』
成瀬 翔(CL2000063)
『歪を見る眼』
葦原 赤貴(CL2001019)
『未知なる食材への探究者』
佐々山・深雪(CL2000667)
『BCM店長』
阿久津 亮平(CL2000328)
『桜火舞』
鐡之蔵 禊(CL2000029)
『名も無きエキストラ』
エヌ・ノウ・ネイム(CL2000446)
『ヒカリの導き手』
神祈 天光(CL2001118)
『相棒捜索中』
瑛月・秋葉(CL2000181)
『使命を持った少年』
御白 小唄(CL2001173)
『可愛いものが好き』
真庭 冬月(CL2000134)
『身体には自信があります』
明智 珠輝(CL2000634)
『突撃巫女』
神室・祇澄(CL2000017)
『想い重ねて』
蘇我島 燐花(CL2000695)
『月々紅花』
環 大和(CL2000477)
『マジシャンガール』
茨田・凜(CL2000438)
『キャンディータイガー』
善哉 鼓虎(CL2000771)
『ぬばたまの約束』
檜山 樹香(CL2000141)
『想い重ねて』
蘇我島 恭司(CL2001015)
『桔梗を背負わず』
明智 之光(CL2000542)
『希望を照らす灯』
七海 灯(CL2000579)
『海の底』
円 善司(CL2000727)
『ホワイトガーベラ』
明石 ミュエル(CL2000172)
『かわいいは無敵』
小石・ころん(CL2000993)
『星夜霞』
赤鈴 炫矢(CL2000267)
『偽弱者(はすらー)』
橡・槐(CL2000732)
『正義のヒーロー』
天楼院・聖華(CL2000348)
『ティピカル・ウィッチ』
リゼット・デスプレーンズ(CL2000161)
『嘘吐きビター』
雛見 玻璃(CL2000865)
『瑞光の使徒”エル・モ・ラーラ”』
新田・茂良(CL2000146)
『Tyraan』
ジア・朱汰院(CL2000340)
『雨後雨後ガール』
筍 治子(CL2000135)
『見守り続ける者』
魂行 輪廻(CL2000534)
『『恋路の守護者』』
リーネ・ブルツェンスカ(CL2000862)
『雷麒麟』
天明 両慈(CL2000603)
『卑金の魂』
藤城・巌(CL2000073)
『行く先知らず』
酒々井・千歳(CL2000407)
『氷燐』
皇 凛(CL2000078)
『凡庸な男』
成瀬 基(CL2001216)
『天を舞う雷電の鳳』
麻弓 紡(CL2000623)
『サイクロプス』
多々良 宗助(CL2000711)
『デブリフロウズ』
那須川・夏実(CL2000197)
『天衣無縫』
神楽坂 椿花(CL2000059)
『陽を求め歩む者』
天原・晃(CL2000389)
『在る様は水の如し』
香月 凜音(CL2000495)
『ハイパーメディアホームレス』
人生谷・春(CL2000611)

●ハロウィンは沢山遊んでいい日
「トリックオアトリート。いたずら、おかし、あなたの望みはなに?」
 ファルはシーツを頭から被ってふわふわと笑った。
「望むならなんでも叶えるよ」
「そんなの決まっているのですよ……」
 槐は両手に大量のキャンディケインを持って振り返った。
「お菓子を貰うだけ貰って貪るのです。それだけが満足感なのですよー!」
 うおーとりとりーとか言いながらお菓子をくれる人の群れへ突撃していく槐。彼女たちに続いて、樹香や天十里たちもとりとりーと言いながら走って行く。
 そんな様子を横目に夜司はお茶をすすっていた。
「一時はどうなることかと思ったが、こうしてお祭りをできてまことに重畳。孫娘の小さい頃を思い出すのう」
「えへへ、今日はお母さんの許可が出たから夜更かしできるのよ」
 夜司からお菓子を貰って、飛鳥はぴょんぴょんと跳ねた。手にはお化けカボチャのバケツがさがっている。
「だから今日は、お腹いっぱいになるまでお菓子を食べるのよっ」
「えー、でも。お菓子だけじゃ満足できないなあ。その辺に転がってるカボチャ調理しちゃだめ?」
 口に指を当ててきょろきょろする深雪。
 深雪に応える形で佳槻が顔を上げた。
「カボチャはイミテーションだから調理はできないよ。ごめんね」
 そう言いながらも段ボールでできた箱を等間隔に設置していく。
 箱にはトリックオアゴミと書かれていた。ゴミを捨てなきゃいたずらするぞ。
「へー、ゴミ箱おいて回ってるんだ」
「パーティにゴミはつきものだからね。借りてる場所なんだから、キレイにしなくちゃ」
「なるほど……」
 巌は彼らの様子に感心したように頷いた。
 そんな彼の首にかかる刀。
「エモノハ……ドコダ……」
「ぬうぅ……な、何が望みだ!?」
 脂汗を吹き出して硬直する巌。その様子を察した恐喝は……じゃなくて静護はホッケーマスクを外した。
「すまん。お菓子を」
「う、うむ……」
 お互いに空気を読み合っていく大人たちである。
「ところで、今日は誰かと一緒なのでは」
「そうだったか? どうだったかな……」
 首を傾げる静護。の、ずっと遠くで。
「セーゴー! おいてかないでー! セーゴー!」
 お化けカボチャを雪だるま積みした物体がガタガタ揺れていた。
 それを黙ってじーっと見つめる円とリゼット。
「そ、そこに誰か居るの? ちょっと静護呼んできて、私のこと忘れてるみたいだから!」
 聖である。
 出番は以上である。
「誰か台車押してー!」

●ハロウィンは好きな人と遊んでいい日
「ハーッハッハッハー! ハッピーハァロウィィィィィンッ!」
 スピーカーからペプっぼいどの声が響いた。
 眉間に皺を寄せる天光。
「なぜか、深く触れてはならぬ声が……」
「ドッラァァァイブッ」
「それ以上はいけない!」
 スピーカーを物理切断する天光。その背後で、エヌがいつもの顔をしていた。
 どんな顔かって。
 いつもの顔だよ!
「さあ子供たち、狂気に満ちたトリックオアトリートと行きましょうかねぇ」
 黒い渦巻き状のグミを取り出したエヌを、天光はガッと羽交い締めにした。
「ま、まずいでござる! その菓子を子供に配るのは二重の意味でまずいでござる! あとネタのつもりでオフ会で配るのもリアルな迷惑になるでござる!」
「それがいいんじゃないですか!」
「あっちは気合い入ってるねえ……」
 未着火の煙草を手に恭司は微笑んだ。
 横でじっとしている燐花。
「いや、毎度毎度ありがとね燐ちゃん。友達もいるだろうから、一緒に写真とってあげるね」
「お願いします。……あと、その衣装、似合っていらっしゃいますね」
 横目に見る燐花に、恭司は照れ笑いした。
「んー、でも僕としては燐花ちゃんが一番可愛かったかな」
「…………」
 燐花は目をそらして、自分の服の裾をつまんだ。
 いつもこういう服のほうが、この人は喜んでくれるのだろうか。
 一方。
「あの格好なんだと思う?」
「アリスかな。原作……じゃないねあれは。W・D産のやつ」
 早紀と悠乃が並んで会場を見渡していた。
 映画鑑賞中のポップコーンのごとくクッキーを食べながら。
「それにしてもユノ、その格好可愛いね。重そうだけど」
「キャスター必須だよ。上のところは外せたりもするよ」
「ふうん……」
 動けない悠乃にクッキーをあげつつ、早紀は準備中のステージを見た。
「ユノは出ないの? ファッションショー」
「ちっちゃい子の邪魔しちゃだめでしょ」
 悠乃の言うところのちっちゃい子。
 ころんと冬月はお互いの衣装を見せ合いっこしていた。
「ころんはかわいい妖精さんの衣装なの。チュールのスカートで、ふわふわなの。ころんのかわいさを引き立てるでしょ」
「オレは悪魔っ娘! ワンピとニーハイにおきまりの羽根と角だよ。かわいい服をかわいいオレが着るのは当然だよね」
 顎を上げる冬月。顎を引くころん。
「それで、勝敗は?」
「……『かわいいは無敵』、なの」
 じゃんけんで一番強い手があるとして、それをお互いが出したなら、永遠のドローゲームである。冬月は肩をすくめた。
「リベンジ戦にはならなそうだね。ま、次に期待しよっか!」
 可愛い合戦ならぬ可愛いデスマッチを繰り広げるころんたちとは別に、ハロウィンという空気で純粋にはしゃぐ人々もいた。
「いいか准尉、ハロウィンというのは古代ケルト人の――」
「ショーイ話長い! ショーサショーサお菓子ちょーだい!」
「准尉!」
 千陽と鏡香が軽く追いかけっこをしていた。
 凛の周囲をぐるぐる回る形で。
「うむ、いいぞ。チョコレートだ」
「わーいチョコレート!」
 チョコを口いっぱいに頬張りながら凛をよじ登る鏡香。
「……ところで少尉」
「はっ」
「お菓子を渡して悪戯をされているのだが」
「お言葉ですが少佐殿……」
 千陽は帽子を深く被った。
「拒否すべき案件です」
「えっ、だめなの? じゃあもっともらってこよーっと! いってきまーす!」
 腕をひろげて風のように飛び去っていく鏡香。
 鏡香のおこした風にあおられた裾をなおしつつ、炫矢と玻璃は壁際で並んでいた。
「雛見君、これはほんとうに必要な仮装かな」
 頭に犬耳をつけた炫矢に、玻璃は頷いた。
「仮装パーティーなんだから」
「このしっぽもかい」
 ばつの悪い顔をする彼に、玻璃はくすくすと笑っている。
「あっ、そうだ……トリックオアトリート」
「鳥……?」
「お菓子頂戴って意味だよ」
「そうか、持ち合わせはチョコレートしか……」
「それでいいよ。はい、あーん」
 口を開ける玻璃に、炫矢は一秒固まった。
「い、いくよ……」
 震える手で女性の口元へチョコレートを運ぶ男性。
 そんな画を、リーネは人混みの影からガン見していた。
「ハッ、これデース!」
 目を光らせ、リーネは両慈の元へと走った。
「両慈! お菓子を食べてくれないと悪戯シマスヨー!」
「逆だ」
「アレ!?」
 ダイブしたリーネをサッと交わす両慈。
「まあいい。とりあえず受け取ろう……クッキーか」
「愛情込めたのデス」
 リーネ、ブレーキ&ターン&ピースサイン。
「そして私のミニスカ魔女服。ドキドキしまセンカー?」
「……別に心拍数に変化はないが」
「あーらぁ、楽しそうねぇ」
 両慈の背後から輪廻が現われ、がっしりと抱きついた。
「なんですかあなた! 私の両慈になれなれしくしないでクダサーイ!」
「あらあら独り占めの邪魔をしちゃってごめんなさいねぇ」
 といいつつ離れない輪廻。
 リーネはきーきー言いながら輪廻を引っ張り、なすがままの両慈は深くため息をついた。「なんだか大変そうだなあ……」
 二人分のドリンクを手に彼女たちの横を通り過ぎる千歳。
 人混みの間から冬佳が手を振った。
「お待たせ。疲れてる?」
「いいえ……でもこんな大きいパーティは初めてで」
「そっか、だから仮装はナシなんだね。俺もするなら次からかな。吸血鬼とか、いいかもしれない」
「ふふ、その酒々井君はちょっと見てみたいかも」
 ドリンクを手にくすくすと笑う二人。
「そうかな。冬佳さんなら何にする?」
「そうですね……魔女、とか」
「いいね、似合いそうだ」
 覚醒状態が巫女服と紋付羽織の二人である。お互いギャップがおもしろそうだ。
「そうだ、これ数多と二人で作ったクッキーなんだ。ただのクッキーなんだけど……」
「お二人が作ったのでしたら、美味しいですよ」
 微笑みあう二人……を、ミュエルは横目に見ていた。
「クッキー……」
「どうしたのミュエルちゃん。やっぱりファッションショー出たかった?」
 善司に声をかけられて、ミュエルは下を向く。
「ううん」
「そっか。可愛い格好してるんだから、出たらよかったのに」
「ショーに出るより……」
「ん?」
「なんでも、ないよ」
 顔を覗き込む善司。逆方向に目をそらすミュエル。
 ミュエルは自分の猫耳カチューシャをくいくいと動かして、彼の顔を見た。
「えっと、ね……クッキー、つくってきたよ。カボチャの……」
 そう言って出してきたバスケットを見て、善司はくしゃりと笑った。
「ミュエルちゃんのお菓子は安心して食べられるな。じゃあ俺からはこれ」
 善司はガラス瓶に入れたトリュフを出した。
 そして二人は、お菓子と思い出を交換した。

●ハロウィンはお菓子を沢山貰える日
 ピンク色の全身タイツ姿の珠輝が葉っぱの腕を振り回してクネクネしていた。
「ふふふ、皆様の仮装にはハァハァいたします。お菓子も悪戯も両方くださ――アァン!?」
「みんなー! お菓子レースで競争だよ! 一番お菓子を貰った人が一等賞なんだー!」
 籠を掲げて走り出すきせき。
 そこには既にミュエルから貰ったクッキーが入っている。
「お菓子くれなきゃキョンシー仲間にしちゃうぞー!」
「負けないぞ!」
 かぼちゃキングの格好をした心琴はきょろきょろして、禊の姿を見つけた。
「お姉さん、競争してるんだ! おかしください!」
「素直だねえ」
 パーカーと手足モコモコで狼の格好をした禊は、心琴の籠にクッキーを入れてあげた。
 そうしていると左右から聖華と奏空が飛びついてくる。
「俺にも! たーっくさんくれないといたずらしちゃうぜ!」
「奏空にぃずるい、俺にもー!」
 アリスとウサギの格好をした二人に囲まれて困ったように笑う禊。
「相手を困らせるな。一人一つずつだ」
 跳ねる二人の頭を上から押さえる亮平。
「初めまして。工藤君の妹分だな。うちからも、ココアクッキーだ」
 コウモリ型のクッキーを籠に入れてやる亮平。
 そうこうしていると、後ろの方から秋葉と夕樹の話し声が聞こえてきた。
「黒桐君ええわぁ、照れんでもええやん」
 振り向いてみると、秋葉が夕樹にひたすら絡んでいる。
 秋葉の袖を引く夕樹。
「とにかく、トリックオアトリート……どっちがいいですか」
「じゃあ悪戯のほうで☆」
「えっ……」
「どんな悪戯してくれるんやろか」
 にこにこする秋葉を手招きして、夕樹は顔の前でパチンと手を叩いた。
「びっくりした?」
「可愛いすぎやろいちいち!」
 薄く笑う夕樹の頭を、秋葉はくしゃくしゃと撫でまわす。
「すっかり仲良しですね」
 亮平に声をかけられて振り返る二人。
「おお亜久津君」
「俺たちもいるよ」
 飴玉を指の間に沢山挟んで手を振る鷲哉。
「お、工藤もいるね。やっぱり女子なの?」
「女子じゃねー!」
 などとじゃれ合いながら飴玉を籠にぽいぽい放り投げる鷲哉。
「おっ、沢山配ってんな! こっちにも、トリックオアトリート!」
 にかっと笑って籠をかかげる翔。
 その後ろから行成と基が現われ、串団子とキャンディ缶を入れてやった。
「ハッピーハロウィーン」
「おっ!? なんだこれ顔が描いてある! サンキュー!」
「こういうイベントはのったもの勝ちだからな」
 もちまる撫でつつ頷く行成。
「基もありがとな! 飴か?」
「お気に入りのね。お菓子集め、頑張っておいで」
「おう!」
 たたーっと走って行く翔を見送ってから、行成と鷲哉は顔を見合わせて苦笑した、

「トリックオアトリート。お菓子を分けて頂けるかしら?」
「喜んで」
 大和の籠に、秋人がころんと駄菓子のガムを入れた。ロシアンガムである。
「あら、珍しいものを入れてくれたのね」
「甘い物ばかりでは飽きるかなと思ってね。ところで……俺も集めているんだけど」
「お互い様」
 大和は自分で用意してきたお菓子を秋人の籠に転がした。
 そんな二人の横を跳ねるように駆け抜けていく百と小唄。
「トリックオアトリートぉ!」
「おかしちょーだい! くれなきゃ一刀両断だぜ!」
 大和たちに気づいてターンしてくる二人に、大和たちは笑ってお菓子を投げてやった。空中で上手にキャッチする小唄と百。
 そんな二人に混じって冥夜がすっと入ってきた。
「私にも分けていただけないかね。おいしいものをいただけたら代わりに私のデザインしたゴシックロリータドレスを……」
「そう簡単には渡さないぞう、っと!」
 胸を張った冥夜の横を猛スピードで駆け抜ける逝。くるくる回転して目を回す冥夜。
 一方で逝を追いかけ始めた小唄たちは、所狭しと駆け回って逝を捕まえた。
「こりゃあ参った。はい、それじゃあ一人二つまでだぞう」
 バケツを差し出す逝。
 その横ではまきりと太郎丸もお菓子を配って回っていた。
「ハッピーハロウィーン! クッキーをどうぞ!」
「たいしたものはありませんが、こんなものでよかったら貰っていってくださいね」
「「ありがとー!」」
 既に籠から触れるほどお菓子を貰った二人だが、今は競争中。もっともっとの気分である。それは勿論彼らだけではなく。
「お菓子くれないと悪戯しませう!」
 赤ずきんの格好をした千晶が籠を頭上に掲げて叫んだ。
 そこへお菓子を入れてあげる灯と歩人。
「ではお煎餅とおやつ昆布を」
「俺はカボチャプリンとスイートポテト……手作りです、よければ」
「おっ、なんだか珍しい!」
「そしてわたくしは、かぬれ!」
 どーんとお菓子を籠にダンクするキリエ。
「ご説明いたしましょう。かぬれとは修道院で作られていた甘くて黒いお菓子なのでございます。そうあれかしと神が申されましたので、わたくしも作れるのですね!」
「ふむ、では余と交換だ」
 モナカやミカンといったこたつに添えられていそうなラインナップを突き出して、久永が胸を張った。
「悪戯を所望するなら顔に落書きをしてもよい」
「そんな子はいませんよ。はい皆さん!」
 ラーラが籠に焼き菓子を沢山詰めてやってくると、子供たちへと上手に投げ渡していった。
「よい子には甘い焼き菓子を! ホントは二ヶ月早いですけど、お菓子をどうぞ!」
 などと言いながら、ラーラにはネコの耳やしっぽがついていた。ちょっぴり恥ずかしそうである。いつもハロウィンみたいな格好しているとはいえ、こういうのは照れるらしい。
「みんな、気合い入ってますね……」
 結鹿がちょっと気後れした顔で籠をだきしめていると、すぐ近くに向日葵御菓子がやってきた。
「…………」
 ヴェネチアカーニバルの格好である。仮面もつけて、どうやら役に入りきっているらしく黙って貫禄を出しているが。
「えっと……」
 黙って籠にキアッケレを入れてくれる御菓子だが、それっきりだ。
 すこししょんぼりしていると、御菓子はそっと彼女を抱き寄せて頬に口づけをした。
「驚いた?」
「その声、お姉ちゃん!?」
 びっくりしつつも、結鹿は貰ったお菓子を胸に抱いてにっこりと笑った。

 ハロウィーンの習慣が日本に浸透してから年が浅い。人によってはまだ混ざりづらい空気感のものでもあるだろう。
「外国の祭りか。本来の意図は忘れられていそうだが……」
 晃もそんな一人として、仮装してお菓子を交換する人々を眺めていた。
 ふと目がとまる。
「あれは慈雨か」
 慈雨が雪女の格好をしてバイオリンを弾いていた。和装でバイオリンというのも乙なものである。
 演奏をひとつ終えた所で拍手を送ると、慈雨は微笑んで晃に手を振った。
 そして次の演奏が始まる。
 華やかな音楽とは打って変わって、穏やかで甘い雰囲気の曲調だ。
「私の格好、変じゃない?」
「よく似合ってる」
 椿と柾の兄妹は並べられていたマフィンを食べていた。
 椿は九尾狐。柾はフランケンシュタイン怪物の格好である。
「美味しいわ。兄さん、作り方わかる?」
「多分な。今度時間があったら作ろう」
 その言葉に椿は無邪気に微笑んだ。
「賑やかね。色々な人たちがこの場を楽しんでる。素敵なことよね」
「ああ……楽しい場所だよな、ここは」
 そんな彼らよ横で、満月がいばらにキャッキャしていた。語弊はない。
「ケーキを焼いてきた。ただのシフォンケーキだがな、喜んでくれるといい」
「わあっ、美味しそうです! 私のマフィンと交換しましょ!」
「シェアだな、よし。いばらのマフィンは美味しいな」
 更にキャッキャする満月。
「そういえばお料理されるんでしたね、満月さん」
「姉と二人暮らしだからな。いばらが嫁に来てくれたら助かるんだが」
「あら、別にお嫁さんにならずともいつでも作ってあげますよー」
「はっはっは!これは一本とられたな!」
 顔を覆って笑う満月……を横目に、アーレスはケーキを取り分けていた。
「楽しそうにキャッキャしていますねえ彼は」
「いいじゃない、初々しくて」
 椿姫はシーツを頭から被ってお化けのふりをして見せた。
「私、子供の頃こうして遊んだことがあるの。楽しかったわ」
「それじゃあ今からも楽しみましょう。幽霊さん、捕まえちゃいますよー」
「あら、あなたにだったら退治されてもいいのよ?」
 そう言いながらもわざと逃げてみせる椿姫。アーレスは彼女を追いかけて歩き出した。
 ……というような光景を眺めて、維摩は頭を抱えた。
「おい、周りがカップルだらけだぞ。なんだこのピンク色の空間は。そして俺の隣にいるお前はどういうことだ」
「えー、いいじゃん。これから二人でファッションショーに乱入しよー!」
 赤ら顔で維摩を引っ張る四月二日。
 二人とも執事やボーイの格好なのでパーティー会場にはなじんでいるが、顔つきが明後日のベクトルにあった。
 維摩の頬をつねる。
「なに硬い顔してんの。笑えば?」
 四月二日のつま先を踏む。
「ほう、この状況で笑顔になれと? もういい、とにかくショーに出るなら出るぞ!」
 既にどちらが引きずっているんだかわからん二人を横目に、リサと研吾はお茶をすすっていた。
「えらい賑やかになったなあ。なんやかバタバタしとったから人が集まらんかとおもったんやけど……」
「そうねえ。故郷のハロウィンとは趣が異なるけど、楽しくてワタシは好きヨ」
 研吾はスケッチブックを開いた。
「さて、仮装した人らを描かせてもらおか」
「ってじいちゃんスケッチに夢中なってちゃあぶねえって」
 通行を遮りかけていた研吾を引っ張る一悟。
「じいちゃんもば……リサさんももうすこし端に寄ってくれよ」
「あら、悪いわネ」
 一悟は満足げに頷くと、更に盛りつけた料理をがつがつと食べ始めた。
 そんな彼の横を駆け抜け、遥が治子に飛びついた。物理的にではない。
「いくぜハルコ! バトルアンドトリートだ! おいそこの人、オレと勝負しろ!」
「え、あ……あの……ごめんなさい」
「じゃんけん勝負だ。一手に全力を込めるぞ! じゃーんけーん、正拳!」
「体術つかったら、だ、だめですよ……」
 遥がその辺の人らを軽く困らせている様子を、夏実と春は料理片手に眺めていた。
「ナッツミン」
「ななななによ人生谷」
 ミエミエのじゃんけんをしてウガーとか言いながらのけぞる遥をさかなにポテトをつまむ。
「仮装間に合わなかったの?」
「間に合わなくなってないし! ワタシオトナだし浮かれることもないかなっておもっただけだし!? そんなことよりほらこれ美味しいわよ!」
 春の口にポテトを突っ込んだ。
「あっほんと……で、なんで間に合わなかったの?」
「間に合わなくなったんじゃなくて! しなかっただけなの! 大体アナタだって仮装してないじゃない」
「アタシは浮浪者のコスプレ。で、ナッツミンは間に合わなかったけどきたの?」
「まにゃー!」
 夏美は手に持っていたトレーを床にたたき付けて地団駄を踏みまくった。

「やあ諸民、余だよ」
 急にプリンスがカメラを占拠した。
 よく見たら芋虫状のプリンスからはみ出る魂的な何かだった。
「さあ民のみんな、美しく舞う余をごらんよ! あと下の方の余が危篤だから救助しなよ!」
「殿!」
 頬をめっちゃ叩いて復活させる紡。
「さっきから撮る写真撮る写真必ず殿が見切れてると思ったら心霊写真だったの!? 馬鹿なの! 死ぬの!?」
「それ以上やったら本当に死んじゃうのです! イベシナで命数が減る前代未聞の事態なのです!」
 やめてーと言って紡を引っ張るたまき。
「あっ、ごめんなさいね。はい飴ちゃん」
 頬に返り血つけながら飴ちゃんを籠に入れてあげる紡。
 たまきも慣れてるのかんなのか、王子様もいかがですかと言ってクッキーを差し出していた。霊魂のほうに。
「ふふん、飴ちゃんといえばうちやで!」
「鼓虎ちゃん!」
 横スライドで現われた鼓虎にたまきがぱっと振り返った。はずみでタヌキしっぽがあたってプリンス魂が消滅した。ポコンつって。
「お菓子もらうのも楽しいけど配るのも楽しいなぁ」
 そう言いながら、鼓虎は飴の袋を手にお菓子配りの旅に出るのだった。

●ハロウィンは仮装を披露していい日
 会場の演奏がまた一つ終わり、赤貴は再び華やかな曲へ移行すべくドラムを叩き始めた。
 狼人間の格好をした海斗が照明を操作し、音楽とマイクのボリュームネジをひねった。
 やがてステージが照らされ、本格的にファッションショーの様相へと変わっていく。
「いよいよか」
 凜音と椿花がステージを見て華やいだ顔をした。
「今日の格好は赤ずきんだったな」
「んっ。お母さんが作ってくれたんだぞ! ほら、血糊もついてて、とっても派手なんだぞ!」
「……うん、赤ずきんに血糊が必要な意味がわからないけど、いいんじゃないか? 似合ってる。コンテスト、入賞できるといいな」
「ここでもめいっぱいアピールしてくるんだぞ!」
 犬なら今頃しっぽを振り回しているだろうテンションで、椿花がステージへと駆けていく。
 ステージには既に人魚の格好をした風織紡やすねこすり魔女という独特な格好をした棄々。それにロンドンでおなじみの探偵フォルムでまとめた守夜が上がっている。
 そこへカメラを持った結唯と凛がやってきた。
「折角だから皆の姿をばっちり撮影するよー。はいチーズ!」
 凛も泉の女神のような格好をしているのでどちらがショーの出演者か分からないが、紡は浮き輪の魚を掲げてポーズしてみせた。
 引きずってきた長机に座る花夜と之光。
「さあ始まりました第一回五麟市ハロウィンファッションショー。皆さんのアピールポイントを聞いていきましょうねぇ」
 眼鏡を中指で上げる之光。
「解説はこの私明智之光が――」
「ではステージの誘輔さぁーん!」
 二度見する之光を無視して誘輔はステージへ上がっていった。
「たまには記者の腕を見せねえとな。じゃあ最初は……」
 会場モニターにつながったカメラが急に誰かの乳をアップで写した。
 引いていく。シルフィアである。
「悪魔の衣装、よ」
 カメラ目線で言っているが露出度からしてどうみても淫魔か何かだった。服はほぼシースルーだしレオタードを更に細くしたようなものを着ているしで、会場の少年たちが軽く目を隠されている有様である。いつものシルフィっさんである。
「えーっと、今日の気分は?」
「……ひたすら寒いわ」
「だろうな。エー続きまして、こっちの尻を丸出しにした人にすっか」
「やめて! その呼び方はやめて!」
 実際丸出しになったお尻を両手で隠して零がステージの上をくるくる回っていた。
「ち、ちがうんです! こんなつもりじゃあ!」
「どう思いますか解説の之光さん」
「今ふらないで頂きたい」
「うわーん!」
 私は淫乱じゃなーいと言って外へ逃げていく零(後に不審者として補導される)。
「おいおい大丈夫なのか今回は。じゃあ次、ちくびーむキラー」
「せいっ!」
 誘輔をカボチャで殴りたおす数多。
「何言ってるかわからないですね! 美少女軍人数多ちゃんですよ! ここでまともな称号を与えるべきです、ハロウィンエンジェルとかそういうの!」
「触れれば触れるほど悪化するものですよ」
「そんなニキビみたいな理論は知りません!」
「ほら見てごらんあなたの兄様が美女といい雰囲気」
「見えなーい! なにも知らなーい!」
 うわーんといって外へ逃げ出す数多(後に零とセットで補導される)。
「ここで気分を変えて、俺の出番といこうか」
 宗助が胸と腕の筋肉をぐっと盛り上げつつ現われた。
「フランケンシュタインの怪物をモチーフにしてみた。ガッハッハ! どうだ恐いかー!?」
「恐いというか力強い」
 ゲイルが甲冑姿でステージに上がってきた。
「俺の今年のテーマは聖騎士だ。ライトアーマーだが色合いを工夫してある。仕上げにこのロングソード。青白く光っていて言い演出になるだろ!」
「なるほどぉ、コンセプトにあわせた工夫なんですねぇ。之光さんどう思いますか」
「前世が信長の人いませんかね」
「はい次の方!」
「わたくしたちよ」
 祇澄の腕を引っ張ってエレメンツィアがオンステージ。
「わたくしはハートの女王。それにしても今日は可愛い子が多くてとても眼福だわ。ススムの雪女もとってもセクシー。肩や胸まではだけちゃって」
「ひえひえ、ですよ」
 氷の息を吐く振りをしてみる祇澄。
「エメさんは、女王様、ですけど。アリスやウサギも、いそう、ですね」
「うさぎさんはいなくても、ねこさんはいる……なのっ!」
 ステージとは反対側へスポットライトが下り、両手を翳したククルが現われた。
「ねこまたさんになったミラノのせくしーうぉーくを、みるがよい!」
 と言いながらきゅっきゅっきゅっきゅした歩きを見せるククル。
 本人的にはキャットウォークのつもりらしいが、完璧に更家ウォークだった。健康によさそうだった。
「とりっく、おあ、とりーとっ!」
「……なの」
 その後ろからすっと顔を出す七雅。
「う、うらめしやぁ……なの」
「幽霊か。美味く出来てるじゃねーか」
 復活した誘輔がカメラを手にやってくる。
「びっくりしてもらえたら、うれしいの。なつねにとって、大成功なのー。でもこの手だと、お菓子をうけとれないの。うっかりしたのー」
 シーツをかぶった手をぱたぱたする七雅。
 会場が軽くほっこりしたところで、会場中央に光がほとばしった。
 スポットライトの光ではない。鈴鳴が自主的に放った光である。
「今日はフラッグを杵に持ち替えて、月の玉兎になってみました。お餅を食べてくれないと、いたずらしちゃいますよ?」
 鈴鳴の格好は割烹着にウサギの耳。お餅をつくような動きも拘りのポイントだ。
 そんな光に照らされる形で現われる唯音とたまき。
「童話つながり、かな? じゃーん、こっちは親指姫だよ!」
「そしてこちらはラプンツェル」
 かえるさんを頭に乗っけてくるんと回る唯音。
 ピンクのドレスの裾がふわりと浮き上がる。
「ふふっ、みんな見とれてる! ゆいねが一番お姫様だもんね!」
「一番……今日は負けないわよ。ここで逃げたら女が廃る」
 たまきは眼鏡を外してアピールポーズをとった。
「自慢の黒髪を三つ編みに結ったの。へんじゃないかな? 髪を切らずに伸ばしてるのは、父親が母さんゆずりで綺麗だって子供の頃に褒めてくれたからで……と、とにかく。よろしく!」
 キリっとしてみせるたまき。
「ありがとうございましたぁ! 続いて会場の皆さんも見てみましょう!」
 一度落としていた全体照明を上げ直していく海斗。赤貴や慈雨は明るい音楽に切り替えていく。
 立食パーティー会場は音楽と照明、そして仕掛けられていた小道具たちによってたちまち大きなショーステージへと変身した。
 仮装できなかった悔しさをこらえて拍手を送る夏実。それに付き合ってパチパチする春。
 突然下りてきたスポットライトは神主姿の遥を映し出す。急速に影に隠れる治子。
「うおっ、いいのか!?」
「なにか一言!」
「オレと勝負だ!」
 と言った途端スポットライトが素早く移動した。
 のんびり眺める光邑一家を通過して四月二日と維摩を同時に照らした。
 照らしたはいいが既に軽くお互いボコしあっていた後のようで、服がかるくボロけていた。
 全身をはたいて整える二人。
「えー、お嬢様のお世話をさせていただくことが私の仕事でございます」
「トリックでもトリートでも、お気の召すまま」
 イケメンモードを瞬間的に発揮した所でスポットライトは生徒たちにお菓子を配って歩くアーレス先生や椿姫を通過し、ひたすらキャッキャするいばらと満月といったカップルたちを通過して三島兄妹の妹のほう、椿の上で止まった。
「ほら、椿。今度はお前の番らしいぞ」
「あらいいの? 九尾の狐さんにしてみたわ。どうかしら?」
 くるんと回る椿。スポットライトはすかさず演奏中の慈雨とかたわらの晃を通過してたぬきさんのパーカーを着込んだ賀茂たまきへドン。うちはいいよと下がろうとした鼓虎を引っ張り込むと、たまきはしっぽを上げるポーズをとった。
「トリックオアトリート、です!」
 と言ったが早いか後ろの麻弓紡と位置をチェンジ。
 紡は腕に抱えていたプリンス(抜殻)と一緒に困ったように笑った。
「チェシャネコをイメージしてみたんだけど、仮装というよりコーディネートになっちゃったわね。はい、次!」
 指でっぽうを打つようなポーズをとると、そちらの方向にスポットライトが移動した。
 仮面を外して演奏に参加していた御菓子や彼女のそばで手拍子する結鹿を通過。ラーラとキリエの上で止まったが、違う違うと言って久永を前に出した。
「む、余か。いいだろう。映すといい」
 死神をイメージしたらしい衣装で胸を張る久永。
 横からどーんと体当たりして入れ替わる千晶。
「私もいれてっ! 赤ずきんをイメージしたんだよっ!」
「私だって赤ずきんだぞっ!」
 赤ずきんにしては少々サイケな格好でスポットライトに入ってくる椿花。
 そんな二人はボクはいいですよと言って引っ込もうとした太郎丸をライトの下に引っ張り出した。座敷童を意識した和風の仮装である。
「え、えっと……ハッピーハロウィン! クッキーをどうぞ!」
 思い切って叫んだ太郎丸に拍手しつつ、スポットライトは別の場所へ。
 どこかと思えば、頭のとれてる逝や殺人鬼一歩手前の静護。その二人に台車で押されている聖という三人を映し出した。
「む……今度こそ。お菓子をよこせ!」
「とれるもんならとってみなさい」
「ねえ今どうなってるの? 見えないんだけど!」
「次は僕らの番! とりっくおあとりーとだぜー!」
 ばばーんと現われる『長靴を履いたネコ』風の小唄。横では彼と同じように剣を掲げた百が並んでポーズをとった。
「オイラたちから紹介するのは、この二人だ!」
 剣を向けた先にスポットライトが移動すると、大和と禊が並んで立っていた。
 カチューシャでセクシーにきめた大和と、パーカーでキュートにきめた禊という組み合わせだ。
「偶然だけど、狼女で一緒だったのね」
「ふふっ、可愛いでしょ!」
「ふふふ! かわいさなら負けていませんよ!」
 その声に応じてスポットライトを写すと、珠輝がピンクの薔薇オバケと化していた。仲間と思われたらしき行成が引っ張り込まれている。
「アテンドの薔薇太郎をイメージしてみました」
「こっちも……アテンドのもちまるだ。まさかこんなことになるとは」
「いいじゃないか。もちもちして可愛いよな」
 後ろからすっと入ってくる亮平。一見して満身創痍の彼そのものだが、本人曰くミイラ男らしい。
「ぼくもいれて! お札も張り直したんだよー!」
 ぴょんぴょんジャンプして入ってくるキョンシー姿のきせき。
「ちなみに、お菓子レースは大きさも数もばらばらな上に途中で食べちゃった子たちも居たので『みんな一等賞』というゆとり判定となりました」
「だよー!」
 両手を左右に振って笑うきせき。
 『泉の女神』の格好で入ってきた茨田凜が斧を掲げた。
「もう気づいてると思うけど、コンテストに参加した皆をサプライズで紹介しとるよ。というわけでもっといってみよう!」
 表情には出ないが上機嫌そうにドラムのテンポを速める赤貴。
 スポットライトはミュエルを照らし出した。
「えっと、さっきまで黒猫だったんだけど……」
 ミュエルは星形ステッキをもった魔女っ子衣装にチェンジしていた。珍しくも二つの衣装を着こなしたミュエルである。
「さっきまでは、黒猫さんだったの……代わりに、紹介する、ね」
 そう言ってさししめした先では、玻璃が和風の黒猫仮装でキャンディを咥えていた。
「ん……よろしく」
 玻璃はそうとだけ言って『次はそっち』とキャンディで行き先を示した。
 ネコはミラノなのーといってぴょんぴょんジャンプするククルを通過し、スポットライトは百鬼斬から来た三人衆もとい凛、鏡香、千陽を照らし出した。
 自分ですかと言って前に出る千陽。
 いつもの軍服とはうってかわって白ウサギ(アリスワールド)の格好である。
 さっきまでステージ上にいたエレメンツィアが優雅な足取りでやってきて手を差し出した。
「よかったら一緒にいかが? そちらも」
 目配せすると、隠れていた奏空が引っ張り出された。
 アリス衣装の奏空である。
「お、俺はいいって!」
「あら、あちらはもう一緒にくるつもりよ?」
 そう言って振り返ると、帽子屋コスチュームの恭司がアリスコスチュームの燐花の手を引いてにっかりと笑っていた。
 燐花は燐花でステージはごめんだが恭司さんが言うなら、くらいの顔つきである。
「仮装パーティーといえば、同じコンセプトの人同士で記念撮影だよね」
 合図すると、結唯がサッとやってきてカメラをぱしゃりとやった。
「おっと、私を忘れて貰っちゃこまるよー」
 悠乃が梵鐘引きずってやってきた。
「テーマは清姫! 今回は自信あるよー。動きづらいのは大変だけどね」
 梵鐘もさることながら着物が床を引きずるので歩くだけでも一苦労である。
 そんな悠乃がパチンと指を鳴らすと、スピーカーからペプッぼいどの声が響いた。
「さあラストスパートだ! どんどん行こう!」
「次はボクだー。からのー……」
 スポットライトがやってくるタイミングを待ってちゃぶ台に手をかける円。
 なんと言っていいのかよくちゃぶ台ひっくり返しそうな古風かつラジオタイプなオヤジコスチュームに身を包んでいた。要するにハラマキとシャツと一本毛カツラである。
「こんなお菓子が食べられるかー!」
 満を持してちゃぶ台どーん。
 からのせっせと拾い集めてもっしゃもっしゃ。
「はろうぃんっておいしい」
「うむ、食べ物を粗末にしないその意気やよし、じゃ」
 うんうんと頷きつつも一緒に拾い集めて食べ始める樹香。
 なにげに吸血鬼のコスチュームである。
「おっと、もう一人紹介するんじゃった。のう?」
「そうそう! じぃじ、ほらほら!」
「いや、わしはいいんじゃが……」
 覚醒状態になった夜司が天狗コスチュームでスポットライトの下に引っ張られてきた。
「しょうがないのう」
「そうそう!」
 急に混ざってきた深雪が後ろからぴょーんと飛び上がった。
 今まであえて触れなかったが、乳アップさ……いやシルフィっさんにタメはるくらいの激しい露出度である。水着のほうがまだ肌隠してるんじゃないかってくらいだ。
「トリックオアトリート! お菓子をくれないと呪っちゃうぞ、なんてねっ!」
 ぱちんとウィンクする深雪。
 ウィンクに併せて、レポート約の誘輔にスポットライトが戻った。悪魔らしき格好だが……。
「インキュバスの神父をイメージしてる。知ってるか? サキュバスとインキュバスの語源」
 ちなみにこれは諸説あったりして定かではないが、一説には『上にも下にもなれますよ』と言うフレキシブルなさまを表現しているとかいないとか。
 勿論アピールタイムが一回だけじゃナンなので、会場中央に集まった風織紡たちにもう一度スポットが当たった。
 魚の上に腰掛ける紡。
 その魚に一緒に腰掛けるすねこすり魔女の棄々。
 カメラを構える誘輔たちの前でキリッとポーズをとってみせるたまきや守夜たち。
「それじゃあ最後のアピールタイム、いってみましょう!」
 ぴっと指をさすと、玉うさぎの鈴鳴がポーズをとってスポットライトの下で跳ねて見せた。
「えへへ、がんばってついたんですよ」
 空中でタッチして唯音にチェンジ。
「ゆいね、かえるさんだーいすき!」
 蛙さんを頭上に掲げてもう一回跳ねてみせる唯音。
 すると手品のよに真後ろの七雅とチェンジした。
「うらめしやぁ」
 幽霊コスチュームでふにゃっと笑う七雅。
 彼女が着地したのは地面ではなく、ゲイルの光る剣だった。
 剣を水平に構えてポージングをとるゲイル。
「時間は稼いだぞ。捕まえてきたか」
「おう、この通り!」
 補導されかけた数多と零を宗助が首根っこ掴んで持ってくる。
「こんなハロウィンみとめないよこんちくしょー!」
「兄様は私のものだよこんちくしょー!」
 口調が移っている。さておき。
 二人はスポットライトがあたったことを察して空中でぱっとポーズをとって見せた。
 その間に入ってもう一度ポーズをとる雪女装束の祇澄。
「それでは、みなさん。集合写真、とりましょう、ね」
 この場合はハイチーズ、ではなかろう。
 カメラマンたちはふと考えた後、ペプッぼいどに合図を出した。
 スピーカーから声が響く。
「「ハッピーハロウィーン!!」」


■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし




 
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