ナビ子が飯奢りつつ参加したキャラを紹介するそうです
ナビ子が飯奢りつつ参加したキャラを紹介するそうです


●あなたのキャラをご紹介したりしなかったり
 これまでのあらすじ!
 これ返しといてと預けたDVDをうっかり三ヶ月滞納した罪によりナビ子は人数無制限の接待任務が与えられたのであった!


■シナリオ詳細
種別:イベント
難易度:楽
担当ST:八重紅友禅
■成功条件
1.適当にだらける
2.なし
3.なし
 このフォーマットが一番安心するって神様が仰せになりました。
 前に見たなあという人。なんだこれと思った人。皆様どうぞよしなによろしくお願いします。

●おいしい召し上がり方
 このシナリオの参加者をナビ子がいいかげんに紹介したりしなかったりします。ツイッターアカウントをリツイートするくらいのいい加減な気持ちでご参加ください。

 プレイングに注文したいメニュー、あと最近印象に残ってる依頼について適当に書いてあとはだらけていてください。
 会場はナビ子の働くハンバーガーショップです。店員は一切働かないナビ子といつの間にか働いてる壇ノ浦先輩(知らない人)だけで構成されていますが無駄に店は広く無駄に客がいません。そしてこの情報自体が壮大な無駄でできています。
 なお、どーせこのくらいの依頼なんだから20人も集まらんやろと思ってセッティングしているので、沢山集まったらこれ書いてる人が頭を抱えてアイデアをひねり出すことになります。
 どっからでもかかってこいよ。まとめてあいてをしてやるぜ。

●おまけ要素
 このシナリオにはナビ子やつららちゃんをはじめとして八重紅友禅の担当シナリオに登場したNPC全般を招待できます。できるだけなので来なくても泣かないでください。
 来た場合は一人分の描写枠を分割することになるのでご理解の上招待ハガキをポストにポンしましょう。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
(0モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
50LP
参加人数
32/∞
公開日
2016年04月23日

■メイン参加者 32人■

『探偵見習い』
賀茂・奏空(CL2000955)
『桜火舞』
鐡之蔵 禊(CL2000029)
『五行の橋渡し』
四条・理央(CL2000070)
『突撃爆走ガール』
葛城 舞子(CL2001275)
『未知なる食材への探究者』
佐々山・深雪(CL2000667)
『追跡の羽音』
風祭・誘輔(CL2001092)
『ママは小学六年生(仮)』
迷家・唯音(CL2001093)
『花屋の装甲擲弾兵』
田場 義高(CL2001151)
『ホワイトガーベラ』
明石 ミュエル(CL2000172)
『花守人』
三島 柾(CL2001148)
『冷徹の論理』
緒形 逝(CL2000156)
『マジシャンガール』
茨田・凜(CL2000438)
『淡雪の歌姫』
鈴駆・ありす(CL2001269)
『田中と書いてシャイニングと読む』
ゆかり・シャイニング(CL2001288)
『正義のヒーロー』
天楼院・聖華(CL2000348)
『ファイブブルー』
浅葱 枢紋(CL2000138)
『偽弱者(はすらー)』
橡・槐(CL2000732)
『ぬばたまの約束』
檜山 樹香(CL2000141)
『天を翔ぶ雷霆の龍』
成瀬 翔(CL2000063)
『F.i.V.E.の抹殺者』
春野 桜(CL2000257)
『聖夜のパティシエール』
菊坂 結鹿(CL2000432)

●『存在感のある無駄』ユアワ・ナビ子
「俺チーズバーガー、ピクルス抜きで」
「じゃあ俺テリヤキバーガーセットスマイルつきで」
 工藤・奏空(CL2000955)と柄司は注文を終えると、カウンターの脇へよけて待機しはじめた。
「それにしても久しぶりだよな、元気だったか?」
「元気どころじゃねーよ、村中の地蔵作り直すって毎日かり出されてんだぜ」
 暫くすると出てきたトレーをそれぞれ持って二階席へ上がっていく。
「そういえばさ」
 トレー持ったままポテトを食おうとする柄司に、奏空は小声で言った。
「俺たち初めて見たとき、俺のことどう見てた?」
「友達になれそうって思ったけど?」
 なにとはなしに言う彼に、奏空は照れて笑った。
「な、紹介したい人がいるんだけどさ……」

 二階へ上がる少年たちを眺めつつ、ユアワ・ナビ子(nCL2000122)はコーラをズズーってしていた。
「少年は青春してんなー」
「ナビ子は仕事をしようよ」
 カウンター席からを乗り出す鐡之蔵 禊(CL2000029)。
 ナビ子は奏空の紹介欄に『巨乳が好きだけどカノジョは……』って顔を上げた。
「だってハンバーガー作ったことないし」
「なんでここで働いてるの。というか働けてるの?」
 出てきたポテトをつまむと、禊はほおづえをついた。
「ところで聞いた? ファイヴ村。もう古妖が集まってきてるんだよ。皆が笑っていられる村にできるといいなあ」
「笑顔は金で買えないもんね」
「わかってる、自分から動かなきゃ! がんばるぞー!」
 ぎゅーっと背伸びする禊を見つつ、ナビ子は紹介欄に『ミコミコキック』と書きながら頬杖をついた。
 眼鏡をちゃきっと直す四条・理央(CL2000070)。
「頑張ると言えば、七星剣がF.i.V.Eを注目し始めましたね」
「へへ、来るならこいってんだ。動いてるもんを壊すのは得意だぜ」
 フライドチキンを食いちぎってニヤリと笑う渡慶次・駆(CL2000350)。
「戦闘もいいのですが、私としては神秘調査を進めたいですね。遺跡調査の依頼が入らないでしょうか」
「チョーサにタンサクか……あー、そういうのはチョットな」
 顔をしかめる駆。
 その横で、葛城 舞子(CL2001275)ががつがつと照り焼きチキンにがっついていた。
「うんまー! これどこの肉ッスか! タレの作り方教えて欲しいッス!」
「両方スーパーで売ってるよ」
「まじスか!」
 ぴゃーとか言いながらチキンイートを継続する舞子。
 その様子を水蓮寺 静護(CL2000471)はなんともいえない顔で眺めていた。
「チキン……う、頭が」
「どうしたんスか、前世の記憶がよみがえったんすか?」
「俺にそんな設定はない」
 ため息をつくと、コーラを中の氷ごと口に放り込む。
「かつて大量の照り焼きチキンが空を飛んでいた依頼があってだな」
「えーっ!? なんで私呼んでくれなかったんスか!!」
「俺に言うな……」
 舞子にがったがった揺すられながら、静護は瞑目した。
「この前の嘘夢依頼みたくちっちゃくなったり空飛んだりできれば空飛ぶチキンの群れもいつか……!」
 うあーとか変な声をあげる舞子。
 駆と理央は対応を静護に丸投げして依頼話に花を咲かせた。

「あ、紹介しとくの忘れてた。『眼鏡委員長』『結果にコミット』『やきとりがすき』『いつも誰かの保護者』。よーしおーわり、続きやろ続きー」
 ナビ子はゲーム機を手に取った。
 テーブルの向かいで同じくゲーム機をいじる鯨塚 百(CL2000332)。
「シェイクおかわりいい?」
「いーよー、とっておいでー」
「ドリンクバーじゃねえんだからよ」
 煙草に手をつけようとしてはたと止まる風祭・誘輔(CL2001092)。
 テーブルには突っ伏して眠る佐々山・深雪(CL2000667)と、携帯ゲーム機の操作がよくわかってない迷家・唯音(CL2001093)がいた。
 子供だらけの場所で煙草を吸うわけには行かぬ。いかにこの店が『全席自由喫煙』とかいうおかしな場だとしてもだ。
 そんな考えに気づいて微笑む向日葵 御菓子(CL2000429)。
「私が注文してきますよ。皆さんは?」
「ゆいね、メロンシェイク!」
「ポテトとコーラいいか?」
 御菓子は笑顔で頷くと、注文カウンターへ立った。
 その様子を横目に、ナビ子は御菓子の紹介欄に『くらりねっとが武器』と書いていた。
「おいおい、そこはトランペットじゃねえのか?」
「え? ゆーふぉにあむじゃない?」
「ラッパだよラッパ」
「コルネットな」
 首をこきこきと慣らして、誘輔は背もたれによりかかった。
「そういや、最近働いてばっかだったな。妖だけでも面倒だってのに、この状況に沸き立つ連中がわんさかいやがる」
 誘輔の脳裏に浮かんでいたのは人間狩りをする金持ちたちだ。時代が鎌倉幕府設立前まで戻ったようで、胸がムカムカとしてくる。煙草の代わりにポテトをくわえた。
 ゲームしながら呟く百。
「だよな。武術集団のお師匠さんと戦った時は興奮したな。やっぱ強くなるって楽しーのかな」
「そういうことばっかりじゃないのよ? 夢見の蛍ちゃんと出会えたし、お友達にもなれて嬉しかったし……こういう出会い、もっと沢山あると思うなー」
「……」
 誘輔は二人の会話に苦笑した。
「ま、そういうのもあるわな」
「何のお話ですか?」
 トレーに色々のっけて戻ってくる御菓子。
「思い出の依頼について」
「っ!」
 御菓子は急に顔を赤くしてそっぽをむいた。
「し、しりませんっ」
「ん?」
 首を傾げる唯音たち。
 恥ずかしい記憶なのかなと気持ちを察した誘輔が話題をシフトしはじめた。
「そういやナビ子、金欠なんだって? 水商売のバイトならいつでも紹介してやるぜ」
「F.i.V.Eの夢見は給料いいんだよ?」
「その給料が今盛大に削られてるとこだろうが」
「べつにいーじゃん。生きてくのにお金ってあんまいらないもんだよ」
 紹介欄に『ショタガン○ム』『やせいじ』『ちっちゃいおかーさん』と書きながらこたえるナビ子。ふと誘輔の顔を見てから、『ヤバい現場に行ってみた』と書いた。ちなみにこれは書籍の名前である。
「夢見って……楽しい? 中さんにいじめられてない?」
「楽しいか知らんけど、嫌なことがあったらアタリマンのアイコラ画像を学内掲示板に貼る嫌がらせをしてるから平気かな」
「そんなことしてるからいじめられるんだよ?」
 ぴくりと、深雪の耳がうごいた。
「……むー」

 深雪たちのテーブルからやや遠く。
 レースカーテンで仕切られた、薄暗いバーのような空間に四人の男たちが座っていた。
 ナビ子が紹介欄に『戦う花屋』『戦うIT社長』『戦う教授』『プロペラおばけ』と書いた大人たちである。
「一昔前に比べて、このようなファーストフードは敷居が下がりましたね。タンパク質と脂質で構成されたメニューしか無かった頃に比べれば、老若男女を意識して随分と幅が広がりました。敷居が下がった分値段が上がったというご意見も耳にしますが、そもそも」
 プレイングをまるまるコピペしたようなことを喋り続ける新田・成(CL2000538)をそっと背景と同化させつつ、田場 義高(CL2001151)は高すぎるハンバーガーを分解しながら食べていた。
「印象に残った依頼と言えば、ギュスターブを手に入れたあの依頼だな。下水道のワニといやあ古い都市伝説だが、倒した怪獣から武器が出てくるといやあ日本神話の世界さ。燃えるシチュエーションじゃねえかよ」
「燃えるシチュエーションといえば『タツヒサ』だな。プロボクサーとの戦いで生涯をかけた技を託されるってのは、やっぱりいいよな」
 なるほどと言いながら、義高は分解したハンバーガーを半分くらい柾の皿に移した。途中で飽きてきたらしい。
「この先も、こんな風に運命的な強敵ってやつに出会えるかね」
「何度もあったんだ。またあるさ」
「八尺みたいなやつがまた来てくれるってことかね」
 緒形 逝(CL2000156)がメットを脇に置いて、ソーダフロートをくるくるやる。
「あんなもんがそう何度も尋ねてきてたまるかよ」
「週二くらいで来てくれてかまわんぞう?」
 和やかに談笑する男たち。
「ハンバーガーはそれなりに高価な食事だったのですよ。私も若い頃上京の際に銀座の店舗を訪れたものですが……ん?」
 それまで完コピだった成がくるりと明後日の方向を見た。
「教師には、誰が聞いていなくても話さねばならない時があるのですよ」
「男には戦わなければならないときが、みてえなことを」
 義高は黒ビールをがぶ飲みして、グラスをドンとテーブルに置いた。

 二階には何でか知らんが座敷の席がある。居酒屋かってくらいに整った畳の上に、明石 ミュエル(CL2000172)はごろんとしていた。
「あのね、その人たちは偉人さんの生まれ変わりだって言ってたんだけど、アタシ誰だか知らなくって……もっと偉い人を名乗ったらいいのに」
 手元のアップルパイをかじってむくーっとふくれるミュエル。
「ああ、あれはほんと何だったんでしょうね。奇をてらって失敗したパターンとか」
 ソーセージと目玉焼きをマフィンで挟んで焼いた奴をあぐあぐしながら、橡・槐(CL2000732)は遠くを見る目をした。
「しかし……」
「うん……」
「豊胸の水、一週間で戻りましたね」
「うん……」
 そこへ、トレーにアップルパイとコーヒーを乗せたナビ子がやってきた。
「チーッス、うぃっすうぃーっす」
 座敷に座ると、アップルパイをかじり始める。
「あ、自分で食べるんや……」
 一緒にトレーを持ってきた茨田・凜(CL2000438)が軽く引いた顔で言った。
「凜のは?」
「あい、生姜焼き定食」
「プレミアムバーガーセットって言ったのに……」
 国産和牛をごく僅かに焼いた奴とサラダとお茶、という内容的には間違ってないメニューである。
 向かいにすちゃっと座る鈴駆・ありす(CL2001269)。
「アタシのは」
「あい『いつもの』」
 国産和牛をごく僅かに焼いた奴とサラダとお茶をトレーごとありすの前に置いた。
「いつも出るんや……」
 ナビ子は座敷に寝転ぶと、紹介文を鉛筆でがりがり書き始めた。
「みゅえる、あほ下がスプリンクラーみたいに回っていい香りを放つ……えんじゅ、車いすに冷蔵庫ついてる……っと」
「明らかな嘘情報やん……」
「りん、繁華街で逆ナンした人と関係をもつ……っと」
「そこだけホントのことかかんでも」
「ありす、アニメの六話目くらいでデレる子……っと」
「えっ」
「しゅもん、ほも」
「ちげえ!」
 飛び込んできた浅葱 枢紋(CL2000138)が紹介シートを引き裂いた。
「あれは任務だから演技してたんだよ、ホモじゃねえよ!」
「婦女子の皆さんはそうは思ってないんだよ!」
「俺って婦女子需要に配慮するが必要あったの!?」
 枢紋はポテトを小刻みにさくさくしながら目をそらした。
「そりゃ……年上の兄弟に憧れてたしさ、なんか夢が叶った感じするし、今でも仲いいし、それはよかったけどさ」
「しゅもん、ほも……っと」
「書き直すんじゃねえ!」
 紹介シートを引き裂く枢紋ふたたび。
「いいじゃないっすか婦女子需要、儲かるらしーですよ」
 他人事百パーセント配合ためらいゼロカロリーで山盛りのポテトをぱくつくゆかり・シャイニング(CL2001288)。
「ゆかり、攻撃するとき内ももを見せる……っと」
「うりゃー!」
 紹介シートを引き裂くゆかり。
 天楼院・聖華(CL2000348)がけらけら笑いながら同じポテトをつまんだ。
 聖華が余裕でいられるのは『みんなの妹』って書かれていたからである。兄的存在は一人くらいしかいないが、困らないので別に訂正しないでいる。
 同じテーブルにつく御白 小唄(CL2001173)と賀茂 たまき(CL2000994)。
 彼らのことは『スーパー美少年タイムけもみみ係』『ポスターで殴る係』と書かれていたが、見ていない。
「で、何の話? 最近の依頼? 強い人と戦う依頼とかおもしろかったかなー」
 指に突いたケチャップをなめる小唄。
 ゆかりははたと手を止めて振り返った。
「私はまだそういうこと言うには実力不足ですよ。この前なんて全然お役に立てなくて……ウッウッ」
「なかないでください。誰でも通る道ですよ」
「ありがとう、ウッウッ……コーラあげます」
「ご、どうも……」
 たまきはコーラを受け取って、しばらくしゅわしゅわの数を数えていた。
 首を傾げる聖華。
「どした? タンサン嫌い?」
「いえ、いただいがことが無くて……でも、何事も挑戦ですよね」
 たまきは小さく気合いを入れると、ストローをぱくんと加えた。でもって一気に吸い上げる。
「けっほ!」
「たまきちゃーん!」
「ひりひりします……」
「だいじょぶ? ポテト食べる? 結婚する!?」
「い、いただきます……」
 ナビ子のジョークをスルーしてポテトを口に入れ、『ぴゃー』と『にゃー』の中間みたいな声を出した。
「ナビ子さん、それデスヨネー添えですよ。デスソースとマヨネーズを混ぜたやつで」
「なにそのネーミング天才なの?」
「そんなことよりたまきちゃんが! たまきちゃーん!」
 目をくるくるして倒れたたまきを抱えて、小唄と聖華は助けを呼んだ。

「バニラシェイクって吸うの大変ですよね~。ほっぺ痛くなっちゃいました」
 阿久津 ほのか(CL2001276)がサラダをつつきながら紹介シートを手に取った。
「あはは、『メルトさんちの子』ですって。私の知名度ってまだそんなくらいなんですかねー」
「お店に知名度があるって、それだけでもすごくないですか?」
 ミルクティーをちびちびやりつつシートを覗き込む菊坂 結鹿(CL2000432)。
 『ハイライト消える係』と書かれていたので、ぺらりと裏返した。
「わたしそんなキャラじゃないです……」
「なんか言いました?」
「いえ、べつに……」
 一流企業に勤めて両親からあつい期待をうけたが毎日上司からセクハラをうけていて誰にも相談できずにいるOLみたいな目で結鹿はいった。
 女子中学生がしていい目じゃなかった。
「最近色々ありましたよねー。ケーキ食べたりワニ倒したり花粉吸ったりコスプレしたりお胸の話したり。なんだか遊んでばっかりみたいに見えますよね~」
「は、はい……」
 会社の先輩に飲みに誘われたので仕方なく会話をあわせるOLみたいな目をする結鹿。
 将来が心配になる女子中学生である。
 その一方。
「覚者も楽しいばかりではない、か」
 石和 佳槻(CL2001098)は野菜ジュースをストローで吸い込んでから、ため息のように言った。
 向かいの席でお行儀良くハンバーガーをかじる檜山 樹香(CL2000141)。
「なんじゃ、覚者と非覚者の溝の話かの」
「まあ、強いて言えばそうかな」
 佳槻は少し前に経験した依頼の顛末を思い浮かべていた。
 樹香が思い浮かべているのはまた別で、覚者紛争の被災者たちのことだった。
「持つ者と持たざる者じゃ。あって然るべき溝だったのかもしれぬの。じゃが、ワシはこの紋様に誇りをもっておるよ」
「……そういう言い方もできるのか」
 佳槻は『覚者であることへの罪悪感は無い』と言いかけて、言葉を飲み込んだ。
「ま、生きていれば美味しいごはんが食べられるしね」
「ふむ?」
 微妙に話が食い違ってはいたが、樹香はとりあえず頷いて置いた。

「えーっとねー、薙刀術の本を読んで研究するけどリプレイでいかせる機会がなかなか来ない子とー、設定を読み込めば読み込むほどいかせるリプレイが狭まってくる子かなー……」
 鉛筆で紹介シートをぐりぐり書き潰していくナビ子。
 小学生の読書感想文みたく文字数を埋める方向にシフトし始めたようだ。
「あ、ナビ子さんだ。今日もカワイイね!」
 四月一日 四月二日(CL2000588)がナビ子の胸に向かって挨拶した。
「どこに喋りかけてんだタワヌキ」
「ワタヌキね」
 四月二日は酒気を帯びた様子ですとんと椅子にすわった。
「貧乳って、いいと思わない?」
「スルーパス」
 隣にいた成瀬 翔(CL2000063)の肩をぽんと叩くナビ子。
 それまでコーラ飲んでた翔が吹き出した。
「オレにふるなよそんな話題!」
「ロリの乳はいずれ膨らむじゃん? けど貧乳の大人は永遠じゃん?」
「続けんなよ!」
 テーブルを叩く翔に、ナビ子はポテチ食いながら言った。
「じゃあそのまた隣にパスする?」
「えっ……」
 振り返ると春野 桜(CL2000257)がいた。
「殺しましょう、ええ殺しましょう。斉藤さん、早く帰ってこれるように、もっと努力するわね……」
 パスする相手がいなくなっても壁に向かって話し続けている桜に、翔は小さく震えた。
「ほら、高校生ってお金あんまりないじゃない。だからこういう所でデートすることが多かったの」
「うわあオレにふってきた!」
 翔的にはカクセイジャーと一緒に戦ったり紫雨と戦ったりした思い出を誰かと共有するつもりだったが、気づいたら乗りづらい話にサンドされていた。
 大人になるとよくあることである。翔へ強引にパスしたナビ子はといえば、別のテーブルで由比 久永(CL2000540)とポテトを分け合っている。
「し、しまった……」
「この前の合コンじゃ巨乳さんばっかりでさ、もっとこう……あっ」
「ふふ、久しぶりに食べるとおいしいわ。斉藤さんが変えてきたらまたデートに来ましょう……」
 返事を必要としないが逃げるとつかまるタイプの話を両サイドからされつつ、翔は肩を小さくした。

「『CV櫻井孝宏』『CV中村悠一』『CV後藤邑子』……これでいっか」
「何を書いているのだ?」
「うんー、宿題ー」
「問題集か」
「うんー、たぶん間違ってると思うけど」
「そうか……」
 久永はコーラのしゅわしゅわを数えながら窓の外を眺めた。
「それで、一つ目小僧を村に送り届ける話だったな。山道を車で疾走するのはそれはもう大変なことだ。できるなら二度経験したくはない」
「うんー」
 生返事である。久永は気にせず話を続けた。
「あの状況でみな元気だった。やはり、若者にはかなわぬな」
「うんー……あ」
 顔をあげ、久永の顔をまじまじと見るナビ子。
「どうした?」
「いや、CVの浮かびにくいひとだなーと思って」
「よくわからぬが……何か困るのか?」
「いや、べつに。ただ実写化したら菅田将暉だなって」
「よくわからぬが……」
 メニュー表らしきものを眺めて、久永は言った。
「日本茶はあるか?」

 こうして、普段一人として客が入らない店には三十人近い客が詰まり、次の給料でVRディスプレイを買って遊ぶんだーとか言っていたナビ子は一週間ほどう○い棒を食ってすごすハメになったという。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし




 
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