過去ログ
[2019/04/21]
輸送用の蒸気自動車で揺られながら自由騎士達は一息ついていた。
ヘルメリアの工作部隊を退け歯車騎士団の介入を阻止した彼らは、そのまま聖王都ウァティカヌスを攻める部隊に合流するために移動していた。魔術で傷を癒し、呼吸を整えて魔力を回復する。
「しかしガジェットか。水鏡でも完全にわからない戦法を相手にするのは面倒だったな」
拳大ほどの金属球を手にしてウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)は呟いた。煙幕や冷凍薬品が込められた小型爆弾だ。どういう理屈で動くのか、まるで見当がつかない。使っていた相手は捕らえたが、その技術そのものを有する技術者はヘルメリアに居るようだ。
(城、とか言っていたな。もしかして王族か何かか?)
それに関してはそれ以上追及しても応えてくれなかった。時間もない事だし、後でじっくり聞くことにしよう。
「うん。レティーナさんのガジェットは中々きついパンチだったよ。
でも彼女と『先生』が一緒にこちらに協力してもらうことになったのは僥倖だ。これもアリスタルフ君のおかげだよ」
腹部を押さえながらアダム・クランプトン(CL3000185)は笑う。戦闘中はともかく、無事勝利できたから笑える話だ。背中のカバンから伸びたアームから繰り出される攻撃。未だに痛む身体がその威力を物語っていた。
(僕の望む『優しい世界』。そこまでの道はまだ見えないけど、今回のことで一歩進んだ気がする)
瞑目し、静かに想うアダム。世界に差別は多く、いまだに闇は晴れない。それでも一歩、確実に進んだ実感があった。
「まさか戦闘中に相手を救うために動くとはな。予想外だったぜ」
「効率よく勝利し、相手と和平する。これも軍人の務めだ」
ウェルスの言葉にアリスタルフ・ヴィノクロフ(CL3000392)は事も無げに答えた。淡々とした物言いは、アリスタルフの普段の口調だ。とはいえそれを為す尽力は並々ならぬものであった。
「それにアクアディーネ様の御心が権能に反映していると言うのなら、それに従うのもイ・ラプセルの騎士の在り方だ」
「立派な心構えだ。同じ自由騎士として誇りに思うよ」
アリスタルフの言葉に頷くアダム。殺さずに全てを収めたからこその今がある。
「ニルヴァンからの連絡は少しだが帰ってきた。天井に穴が開いたが空挺部隊は退けたようだ。相手はヴィスマルクだ。一筋縄ではいかないようだな」
マキナ=ギアを手に、ため息を吐くウェルス。橋頭堡とはいえ、戻る場所が無事かどうかわからないと言うのは不安が残る。
「ああ。だがここは仲間を信じるしかない。こっちはミトラース大聖堂に向かおう」
かくして蒸気自動車はイ・ラプセル軍と合流する。
遠くに見える白い聖堂。シャンバラ最大の闘いが今、始まる――
■関連依頼
【楽土陥落】 Agent! 機国から来た潜入工作員! (担当ST:どくどく)
【楽土陥落】 この城砦は落とさせない! (担当ST:田奈アガサ)
【楽土陥落】ニルヴァンにて (担当ST:麺二郎)
アリスタルフ・ヴィノクロフ
(VC:フテ寝)
ウェルス ライヒトゥーム
(VC:nigosaki)
アダム・クランプトン
(VC:えまる・じょん)








