MagiaSteam
<<豊穣祭WBR>>Transform幻想種!



●変身
 目が覚めると、自分がとある幻想種になっていることに気付いた。

●麦のお祭りと仮装行列
 豊穣祭ウィート・バーリィ・ライ。
 麦の豊穣を願うこの祭りには、イ・ラプセルでも仮装する人達で街をにぎわす。
 子供と農作物が健やかに育つようにという御題目ではあるが、メインとなっているのはエールと麦の勇者や幻想種と言った仮装であろう。
 つまり、この時期に幻想種の姿で街を歩いても『よくできた仮装だなぁ』で片づけられるのである! それでいいのか、それでいいのだ。
 
 貴方はその事に気付き、街に出るのであった。



†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
イベントシナリオ
シナリオカテゴリー
日常σ
担当ST
どくどく
■成功条件
1.ウィート・バーリィ・ライを楽しむ!
 どくどくです。
 冒頭で前世に目覚めたり、姿が変わっているのは古来からの伝統!

●説明!
 1820年、豊穣祭ウィート・バーリィ・ライ。目が覚めると貴方は幻想種になっていました(任意選択。なってなくてもいいです)。
 理由は分かりません。どこかの魔術師がなんかしたのかもしれませんし、自爆好きなエンジニアのわけわからない発明かもしれませんし、どくどくしいなにかのきまぐれかもしれません。理由は不明ですが、この呪い?がWBR限定であるのは確かです。
 まあ、祭り期間内なら『よくできた仮装』扱いになります。気にせず祭りを楽しんでください。

●仮装
 ドラゴンや天使といった世界観的に存在しない(ドラゴンはほぼし、天使はそれを使役する神様がいないので)もの以外ならなんにでもなれます。サイズは4mぐらいまで。それら幻想種が有する固有能力までもてますが、祭りを壊そうと能力を使った場合は何故か無力化されます。不思議不思議。
 また、この変身が一時的であること。祭りが終われば元に戻ることも本能的に理解しています。
 繰り返しますが、幻想種になるかならないかは任意です。

●行動
 プレイング冒頭、もしくはEXプレイングにに【1】~【3】を書いてください。書かれていなかった場合、どくどくが任意に判断します(適切に、ではない所に注意)。祖霊顔の行動の場合は【4】でお願いします。

【1】祭りを楽しむ:WBRを楽しみます。酒や食事、浮かれる人々との交流など。
【2】麦の勇者と戯れる:仮装行列に参加します。麦を持った子供がじゃれついてくるでしょう。
【3】祭りの喧騒を見ながら:喧騒から離れた場所で、静かに戯れます。イチャイチャしたい人は此方へ。

●NPC
 どくどく管轄のNPCも参加しています。呼ばれれば行きますが、基本空気です。

サイラス:ペストマスクとマントと言ういつもの格好です。怪我人対応です。
アミナ:ブレザー服にチェックのスカートをはいています。現代ギャル風?
ジョン:……おや? 謎の女性が……?(WBR1820 SDイラスト参照)
レティーナ:麦をもって【2】に居ます。普通の格好です。
ニコラ:【2】で『蒸気王』の格好をしています。幻想種とは?
メアリー:【2】で『ヘルメス』の格好をしています。色々吹っ切りました。




●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『クラウス・フォン・プラテス(nCL3000003)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】というタグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。
・公序良俗にはご配慮ください。
・未成年の飲酒、タバコは禁止です。

 皆様のプレイングをお待ちしています。

状態
完了
報酬マテリア
0個  0個  0個  1個
2モル 
参加費
50LP
相談日数
7日
参加人数
21/∞
公開日
2020年11月14日

†メイン参加者 21人†

『キセキの果て』
ニコラス・モラル(CL3000453)
『明日への導き手』
フリオ・フルフラット(CL3000454)
『ひまわりの約束』
ナナン・皐月(CL3000240)
『天を癒す者』
たまき 聖流(CL3000283)
『おもてなすもふもふ』
雪・鈴(CL3000447)
『stale tomorrow』
ジャム・レッティング(CL3000612)
『異邦のサムライ』
サブロウ・カイトー(CL3000363)
『イ・ラプセル自由騎士団』
シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)



 ウォート・バーリィ・ライに、一陣の風が吹く。『未来を切り拓く祈り』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)はその風の心地良さに笑みを浮かべた。
「ふふ、一度風になって大空を飛んでみたかったんです」
『円卓を継ぐ騎士』たまき 聖流(CL3000283)はシルフになって、祭りの風となっていた。誰にもとられることのない優しい風。風は祭りの熱気を受けて大きく舞い、くるくると回転していた。足で大地を走るのとは違う浮遊感と、自由な動き。
「あれは……サイラスさんですね」
 たまきは仮設テントで治療をするペストマスクの医者を見つける。たまきはテントに向かって飛び、魔術治療を施した。優しい風が通り過ぎ、傷の痛みで苦しんでいた人達の表情が明るくなる。
「サイラスさん、頑張ってくださいね。……おや、これは?」
「――♪」
 たまきが見上げた空には、一匹のウタクジラが空を飛んでいた。大きさ4mの空飛ぶ鯨。それは歌を歌いながら、優雅に空を泳いでいた。それは『ひまわりの約束』ナナン・皐月(CL3000240)が変身した姿である。
「プシュー! 空からスラムの子達や孤児院達に衣装をばらまくのだ!」
 ナナンは仮装が出来ない子供達の為に服を配っていた。空を泳いでスラムの真上に移動し、潮を吹くような感じで服を噴出して空から降らせたのだ。楽しいことは皆で楽しみたい。そんなナナンの気持ちが現れたかのような行動だった。


「美味しいですね。さすがはウィート・バーリィ・ライの屋台です」
 屋台で買った串焼きを食べながらセアラ・ラングフォード(CL3000634)は舌包みを打った。セアラは仮装行列には参加せず、街の警護を行っている。一応非番なのだが、警護の子心構えを忘れることはなかった。
「今年も大盛況ですね。楽しいお祭りになりそうです」
 街の活気を感じながら、セアラはうんうんと頷いた。戦争という状態ではあるが、それでも祭りは欠かさない。そんなイ・ラプセルの性質は非常に微笑ましくなった。願わくば、この平和が続きますように。それはそれとして、気になることもあった。
「それにしても、今回の仮装は皆さん気合が入ってますね。まるで本物みたいです」
「ぴゅんぴょんぴょーん! キュート&デンジャラスなヴォーパルバニーであります!」
 街の通りを跳ねる『積み上げていく価値』フリオ・フルフラット(CL3000454)。頭にウサミミ、赤いハイレグワンピース、黒いタイツという赤バニーガールスタイルであった。カタクラフトの四肢が陽光を受けて映える。
「バニースーツと蒸気鎧装を換装して『高機動蒸気鎧装VB改』の完成であります!」
 バニー。それはウサギの形をしただけではそうとは言えない概念。ある時は優しく包み込み、ある時は優しく押し返す。母性と同時に柔らかい弾力、そして元気のいい跳躍力を持つフリオの身体だからこそなしえる姿だった。もっと語りたいけど文字数――
「そう言えば、アミナさん達の身体も癒えた様子。良かったであります」
「……もう少し節度のある態度は取れないのか、アミナ」
『現実的論点』ライモンド・ウィンリーフ(CL3000534)はアミナの格好に苦言を呈した。格好自体は奇抜であるが、スカートが短く健康的な褐色の足を隠そうとしないのはいただけない。まあ、他の自由騎士もそれなりに露出はあるのだが。
「およ? ライっちはこういうの嫌い? エモくない?」
「好き嫌いではない。他の人の目に毒と言うだけだ。ウィート・バーリィ・ライは麦の豊穣を願う祭りでだな。……こら、あまり引っ付くな」
「もー、そんなこと言うからライっちは陰キャ扱いされるんだよ。もっと頭やわわにしないと」
「相変わらず何を言っているのかわからん」
 ため息をつき、軽く頭に手を当てるライモンド。アミナの太ももから目を逸らすようにしながら、諦めたようにため息をついた。
「もういい。好きにしろ。見るべきところは見た」
「やーん、ライっちのえっちー。あーしの見るとこ見て満足?」
「違う。視察が終わったと言う意味だ。全く、自由奔放すぎるのも考え物だな」
 ライモンドは再度ため息をつき、からかうように付きまとうアミナとの会話を続けていた。


「うわっはっはっはー! 今年のワシは麦の勇者よ!」
 麦を手に勇者の参列に加わる『イ・ラプセル自由騎士団』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)。まあ、大人が勇者をやってはいけないというルールはない。ないんだが、ぼんきゅっぼんのシノピリカがビキニアーマーで参列すると、子供の目のやり場があばばば。
「我が旗のもとに集え、明日の勇者たちよー!」
 そんなことになっているとは露知らず、シノピリカは先陣を切る。ビキニアーマー。それは極小の金属鎧と言う技巧の中で最低限の急所をガードした一品。素材の美しさを隠さぬ美の極致にして戦士の鋭さを損なわぬ二極を重ねた防具だ。もっと語りたいけど文字数――
「ん? どうしたそんな縮こまって!? 男の子ならもっと堂々と立って歩くんじゃ!」
「そうだ! 勇者ならバーンと胸を張って!」
『麦盾の勇者』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)は何故かもじもじする男の子の背中を叩いて、そう叫ぶ。剣に盾という勇者風の格好をしたカーミラ。スカートをひるがえし、颯爽とメインストリートを歩いていく。
「幻想種をやっつけて財宝をゲットだ! うおー! みんな私に続けー!」
 麦の刻印がされた盾を掲げ、真っ直ぐ進むカーミラ。幻想種の格好をした人から財宝(お菓子)を手に入れ、それを皆に分配する。御菓子を貰うと言うよりも、みんなでワイワイ楽しむのがいい。そんな祭りの醍醐味を精一杯楽しんでいた。
「よーし、悪い幻想種をやっつけろー。おー!」
「おー!」
「よー、レティーナ。何やってるんだ?」
 カーミラと一緒に麦を振り上げるレティーナ。そんな彼女に『何やってんだよお父さん』ニコラス・モラル(CL3000453)が声をかける。
「ウィート・バーリィ・ライの勇者です。えいえい」
「ほほー、その程度の攻撃でこのニコラス様からお菓子を奪うことはできんぞ。
 さあ、ここに集いし勇者どもよ。我等が永遠の夜を以って惑わせ迷わせてくれようぞ!」
 ノリノリになって悪の王を演じるニコラス。子供勇者たちはわー、と楽し気にニコラスに攻撃を始めた。わっはっは、と笑いながら攻撃を受けるニコラス。なんだかんだで子供が好きなのだ。
(よしよし。他の子供達と溶け込めているのなら良し、だ)
 ヘルメリアの暗部で生きてきたニコラスは、同じヘルメリアの暗部に苦しめられたレティーナに何を見たのだろうか。それは当人にしかわからない事。
「我を倒せるものはおるか!」
「ここに居るぞー!」「おー!」
「ちょ、シノピリカにカーミラまで参加するとか!? さすがにそれは腰がァ!」
 ――ニコラスの腰は、犠牲になったのであった。


「…………ふむ。これは」
 目が覚めると『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)は自分がミミズクのケモノビトのような姿になっていることに気付いた。
「アッハッハなるほどなー! 我ながら分かり易ーい。…………えぐぅ」
 ひとしきり笑った後、ツボミは顔を覆ってさめざめと泣きだした。理由は(本人の強い希望により、削除)。ともあれ、スチームパンクな衣装に身を包み、街中に歩き出す。
(バレるハズがない! 今年の仮装は全身ガッチリ着込む奴で額の目も隠れとる! 蒸気怪人機械伯爵だぞーとか言ってガキ共と戯れて置けば良いのだ!
 子供のやんちゃで仮装が剥がされても、二重の仮装だと言い張れば問題はない!)
 そう言い張れれば、何の問題もなかったのだ。しかしやんぬるかな。ツボミのメンタルはプリンのように脆かったのである。ミミズクの仮装をした自分を見られ、言い訳をしようと口を開き、
「違う、違うのだ。うわーん!」
 生暖かい視線に耐えきれず。そのまま逃げだしてしまったと言う。この噂が当の本人に伝わったかどうかは、どくどくの関与するところではないのである。たぢまCWにまるなげー。
「ど、どういうことにゃの……?」
 目が覚めると『SALVATORIUS』ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)は自分の耳にネコミミが生えていることに気付いた。後、お尻に尻尾が二本生えていた。
「にゃー。でも仮装で済むのでにゃんとかにゃるかにゃー」
 あと言語もネコっぽくなっていた。ミルトス自身は普通に喋っているつもりなのだが、なぜかにゃーにゃー言ってしまうのである。麦の勇者たちに御菓子をあげようと舌のだが、
「あ、にゃ! 麦を目の前でふらつかされると、気ににゃって! 猫じゃらしみたいにされたら、にゃにゃー!
 にゃにゃー! 尻尾はやめ、にゃめるのです!」
 悪戯好きな子供達に耳と尻尾を撫でられたり、麦で猫じゃらしみたいにされて思わず体が反応したり。にゃんでにゃのよー!?
「ミルトスさん、気合入ってるなー」
 そんなミルトスを見ながら『カタクラフトダンサー』アリシア・フォン・フルシャンテ(CL3000227)は感心していた。年に一度の祭りにあそこまで気合を入れるなんて。うちも負けてられへんで、と気合を入れた。
「ほーら、墓場から蘇った死者やでー。麦の勇者たち、止めてみぃ」
 アリシアの仮装は『蘇った死者』だ。血糊に腐った肌を思わせるペイント。心臓を貫いた(ように見せかけた)杭。ゆっくりと歩き、それが逆に死者らしさを生み出している。恐怖を与えると言うよりは、話に出る死者を彷彿させて『倒しやすい』様に見せて居た。
「お、やるやんか。うわぁ、勇者は強いわー」
「にゃああああああ「
 そんな勇者たちの参列の頭上を通り抜ける『にゃあ隊長』メーメー・ケルツェンハイム(CL3000663)。その姿は翼が生えた猫になっていた。朝起きた時は疑問に思ったメーメーだが、特に気にすることなく外に出て空を飛んでいた。
「この悪魔的ふぉるむでぇ~、みんなをメロメロにしてぇ~、眷属を増やすんだにゃあああ」
 にゃあにゃあ言いながらメーメーは飛び回る。メーメーは自分の眷属を増やそうと演説をしているつもりだが、可愛いツバサネコが鳴きながらウィート・バーリィ・ライの街中を飛び回っている風にしか見えない。だが、メーメーは演説を聞いてくれると思って、喜んでいた。
「悪魔は素晴らしいんだにゃああああ~」
「Devil! これがヘルメリアの『蒸気王』だああああ!」
 そんな演説を聞いたわけではないが、とにかくニコラがそう叫ぶ。かつてヘルメリアを統治していた『蒸気王』の格好だ。
「見つけたぞ、蒸気王!」
 そこに颯爽と現れたのは『海蛇を討ちし者』ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)だ。ウェルスもまた蒸気王の姿をしていた。ニコラが金色の1Pカラーなら、ウェルスは銀色の2Pカラーであった。
「ウィート・バーリィ・ライを破壊しようとする悪辣非道な蒸気王! そのたくらみを止めるのは俺だ!」
「Wow! どうやらこの蒸気王のたくらみに気付くとは。さすが蒸気王!」
「ふ、貴様は自爆すると何故かわかるのだ。蒸気王!」
「Good! ならば止めてみよ蒸気王!」
 と、蒸気王と蒸気王がストリートの真ん中でがっつりぶつかり合う。噴出された蒸気が渦巻き、鋼と鋼がぶつかり合う音が響いた。
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」」
「……向こうの通りがうるさいわね」
 ヘルメリアの神、ヘルメスの格好をしたメアリーが本を片手にそんなことを言う。
「って――」
 そして死線を戻せば、そこには大きさ4mの巨人がいた。正確には巨大化した『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)が大熊猫の着ぐるみ(体のみ。頭は丸出し)を着て立っていた。
「がおー! ……って、驚かないのかい?」
 大声で脅かすように叫ぶマグノリア。その声を聴いて、メアリーは身動き一つせず立っていた。
「驚いてるわよ。……腰が抜けそうなだけで」
 過剰なショックで棒立ち状態のメアリーであった。
「メアリー。驚いて走り回ってくれないと面白くないじゃないか」
「私は頭脳労働担当なのよ」
「単に出不精なだけだと思うけど。たまには外に出たのだから、はしゃいだらどうだい?」
「ヘルメリアではこれが普通なのよ」
 4mの巨人と神の姿をした者は、言いながら祭りを謳歌していた。
「おっきい人はいるんだ……ちょっと安心しました」
「ふわぁ……! キリさんすごい、すごい、目線が高いです……!」
 マグノリアと同じように大きさ4mの人型決戦兵器プロメテウス/ウサウサーになった『復讐の意味は』キリ・カーレント(CL3000547)と、30cmほど縮んだ『おもてなすもふもふ』雪・鈴(CL3000447)。最初はあまりの大きさと小ささにお互い驚いていたが、それほど珍しくない事に気付いて、楽しく祭りを楽しんでいた。
「子供達や雪さん、驚いてないかな……」
 4mの鉄の身体(ウサミミ)をおっかなびっくりさせながら通りを歩くキリ。自分の事よりも子供や鈴のことを心配するのがキリらしい。子供の方は危険がないと分かればむしろ楽しむように近寄って、麦をぺちぺちとキリの足にぶつけていた。
「うぃーと・ばーりー・らい!」
 鈴は自分の身長ほどあるフキの葉を手にして、キリの肩に乗っていた。キリが動くたびにものすごい振動が襲うので、必死にしがみついたりフキの葉をパラシュート代わりにして宙を舞ったりしていた。
「雪さんは、なんでそんな姿になったんです?」
「わ、分かりません……多分、これは『コロポックル』っていう、みたいなんですけど。キリさんも、なんでそんな大きくなったんです?」
「キリにもわかりません。でも、小さな雪さんを運べるのは、嬉しいです……!」
「ぼくも、楽しいです……ありがとうございます」
 大きなキリと小さな鈴は言って楽しそうにほほ笑んだ。


「これは耳と尻尾……ふむ、使用人に見られると厄介だな」
『智の実践者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)は変身した自分の姿を見て、こっそりと館を抜け出した。東方の夢を食うと言われた幻想種、獏だろうか。使用人たちに見とがめられることなく、ウィート・バーリィ・ライのストリートを歩く。
「今宵はいい夜ですわね」
 そんなテオドールに近づいてくる女性。モノクルをかけてロングスカートをはいた妙齢の女性だ。はて誰だろう? 記憶にはないが妙に親しく話しかけてくる。失礼ではない程度の距離と、そして礼節。思わずテオドールも一礼する。
「……失礼、どこかの夜会でお会いしましたか?」
「さてどうでしょう? 夢を食う獣なら、いずれの夢でお会いしたかもしれませんね」
「成程。では今宵の出会いもまた一抹の夢と言う事ですか」
「ええ、それでは夢で逢いましょう」
 そんな会話を交わし、女性はテオドールに一礼しする。そのまま街を歩――
「ジョン様ですね!」
 そんな女性を後ろから抱きしめる『ただ真っ直ぐに』デボラ・ディートヘルム(CL3000511)。
「な、何故分かったのですか? 気合を入れた変装だったのですが」
「愛の力です!」
 女性――女装したジョンはデボラに抱きしめられながら問う。その質問に迷うことなく断言するデボラ。愛か、なら仕方ない。それ以上の追及を諦めたジョンの心境や如何に。
「くんくん。柔らかくていい香りですね。ではいただきます。
 いや、そうでなくて!」
 何やらゆりんゆりんしそうな流れを自ら断ち切るデボラ。ところで女装した男性と女性の百合は百合なのだろうか。これはきのこたけのこレベルで相対する問題であり閑話休題。そうではなくて。
「ジョン様! 本当は他に想い人がいるのではないですか? レティーナ様の浴衣の花の意味、知らない訳では無いのです」
 デボラはレティーナの着ていたヒガンバナの浴衣を思い出す。赤のヒガンバナの花言葉は『情熱』『独立』『再会』『あきらめ』『転生』『悲しい思い出』――『思うはあなた一人』。
「私の事は遊びだと言うのならそう言ってくれればいっそ楽になるのです。お二人の間柄は嫌いではありませんし、私もレティーナ様の事は好きですから」
「複数の花言葉のどれを取るかは貴女次第ですよ」
 言ってジョンはマキナ=ギアからアマノホカリ風の包みを取り出す。その中には六枚の花弁を持つ赤い花の着物が入っていた。サイズ的にのデボラに合いそうな仕立てだ。
「ジョン様、これは……」
 複数ある花言葉のどれを取るかはデボラ次第である。ひどいおとこがいたものである。
「びっくりするほど説明難しかったな小豆洗い!」
『おちゃがこわい』サブロウ・カイトー(CL3000363)は自室で酒を飲みながら今日の事を思い出していた。小豆洗い。アマノホカリに存在する幻想種だ。ただ小豆を洗うだけの幻想種。その説明をすれば、皆が首をひねったと言う。アズキ? 洗うだけ? そんな顔だ。
「今日はもう寝よう……っと、誰だ?」
 もうふて寝しようとしたサブロウは、扉が叩かれる音を聞いた。誰かと思って扉を開ければ、
「カイトーパイセンちーっす」
 そこには蝙蝠のような尻尾と羽根を生やした『stale tomorrow』ジャム・レッティング(CL3000612)がいた。スクブス――英名ではサキュバスという幻想種だ。夢の中で性的に人を堕す悪魔である。
(姿形だけじゃなく、『そういう』フェロモンまで出てるとかヤバすぎでしょう。子供に悪影響在りまくりっすよ。
 クソ真面目なカイトーパイセンならどーせ間違いも起こらんっすよ。赤面させれば大勝利っすね)
 スクブスに変身したジャムはそんなことを思いながらカイトーの部屋の扉を叩いたのである。結構際どい恰好で、異性の部屋の扉を。
「あ、ああ、WBRの仮装か。それで香水か何かをね。その……ちょっと付け過ぎでは……」
 サブロウはジャムから発せられるフェロモンにいい感じで頭がくらくらになっていた。否、フェロモンはきっかけでしかない。誘うような格好をした女後輩がわざわざ自分の部屋にやってきたのだ。いかんいかん理性発動。サブロウは自らの理性を呼び起こし――
「あ、カイトーパイセン何処見てるっすか? やーらしー」
 軽くからかうジャム。その仕草がサブロウの理性にハンマーショック。小豆洗いの手がわきわきとスクブスを洗うように迫っていく。
「やらしいっていうのはこういうことを言うんだー!」
「ちょ、カイトーパイセン!?」

 ――――――――――――そして、WBRの夜は更けていくのでした。


 気が付けば、変身は解けていましたとさ。

†シナリオ結果†

成功

†詳細†

称号付与
『夢を食う獣』
取得者: テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)
『愛の力です!』
取得者: デボラ・ディートヘルム(CL3000511)
『ミミズクのケモノビト』
取得者: 非時香・ツボミ(CL3000086)
『ねこにゃーん』
取得者: ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)
『さまよえる死者』
取得者: アリシア・フォン・フルシャンテ(CL3000227)
『悪の王』
取得者: ニコラス・モラル(CL3000453)
『スチームヴォーパルバニー』
取得者: フリオ・フルフラット(CL3000454)
『大熊猫巨人種』
取得者: マグノリア・ホワイト(CL3000242)
『悪魔的ツバサネコ』
取得者: メーメー・ケルツェンハイム(CL3000663)
『服配るウタクラゲ』
取得者: ナナン・皐月(CL3000240)
『シルフの癒し』
取得者: たまき 聖流(CL3000283)
『蒸気王(2P)』
取得者: ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)
『プロメテウス/ウサウサー』
取得者: キリ・カーレント(CL3000547)
『コロポックル』
取得者: 雪・鈴(CL3000447)
『スクブスの誘い』
取得者: ジャム・レッティング(CL3000612)
『小豆洗い』
取得者: サブロウ・カイトー(CL3000363)
『ビキニアーマー勇者』
取得者: シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)
『麦の勇者再来』
取得者: カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)
『真面目な自由騎士』
取得者: セアラ・ラングフォード(CL3000634)
『生真面目な自由騎士』
取得者: ライモンド・ウィンリーフ(CL3000534)
特殊成果
『彼岸花の浴衣』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:デボラ・ディートヘルム(CL3000511)
FL送付済