MagiaSteam
【ゴールドティアーズ】HappinessDay!



●ゴールドティアーズ――昼
 イ・ラプセルの首都サンクディゼールの南方にあるスペリール湖。
 屈指の透明度を誇るこの湖は、夜になると夜空を映す鏡となる。その光景を見に来ようと通商連を通して開戦国以外の旅客も訪れるほどである。名前の由来は流星がスペリール湖に映り、黄金の涙のようだと称されたことから始まったとか。
 本番たる夜の湖を前に、スペリール湖周辺には祭の準備が展開されていた。島国特有の海産物系を取り扱った露店や、甘いお菓子を売る店。ジャグリングをするピエロや、歌う吟遊詩人。キジンが持ってきた樽を開け、ケモノビトとノウブルが乾杯をする光景など様々だ。
 そしてこういった祭にありがちなトラブルもあった。迷子や迷惑なナンパと言った一般的なモノから、酔って喧嘩するなど暴力的な事件。イ・ラプセルに開く感情を持つ者が祭の邪魔をしようとするなど。そう言った人達のために警備員も必要となる。
 ともあれゴールドティアーズは国を挙げての祭なのだ。観光がメインというわけではないが、国の運営的にここで経済を回さずしてどうする、と言ったイベントだ。
 なので、特に自由騎士として指令が下ることはない。
 祭を楽しむもよし。場を盛り上げることは大事なのだ。
 露店を開くもよし。お金を稼ぐことは大事なのだ。
 警鐘に回るもよし。トラブル回避の人手は多いに越したことはない。
 さあ、貴方はこの祭をどう過ごす?


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
イベントシナリオ
シナリオカテゴリー
日常σ
担当ST
どくどく
■成功条件
1.祭を楽しく過ごす
 どくどくです。
 ゴールドティアーズ開催。こちらは昼の部です。

●説明っ!
 イ・ラプセルの祭ともいえるゴールドティアーズ。本番の夜の湖を前に、スペリール湖周辺は賑わっています。露店が開かれ、芸人は芸を披露し、酒盛りが始まり、そしてトラブルも生まれます。
 貴方はこの祭りをどう過ごしますか?

 行動は大きく三種類。番号のタグをプレイング冒頭、もしくはEXプレイングに書いてください。書かずともペナルティは発生しませんが、どくどくが苦労します。三種類の中に含まれない行動(テロだヒャッハー等)をする場合は【4】をつけてください。

【1】祭を楽しむ:露店や芸などを楽しみます。尚お酒は二十歳(実年齢)になってから。
【2】露店を開く:露店を開き、商売します。芸の披露などもこちらになります。
【3】祭の警備 :トラブル回避のために動きます。発生しそうなトラブルは『迷子』『過度なナンパ』『喧嘩』などです。どういうふうに警戒するかを書けば、どくどくが適当なトラブルをあてはめます。

 ●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『エドワード・イ・ラプセル(nCL2000002)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】という タグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。

 皆様のプレイングをお待ちしています。

状態
完了
報酬マテリア
0個  0個  0個  1個
20モル 
参加費
50LP
相談日数
7日
参加人数
25/∞
公開日
2018年07月16日

†メイン参加者 25人†

『幽世を望むもの』
猪市 きゐこ(CL3000048)
『ReReボマー?』
エミリオ・ミハイエル(CL3000054)
『ゆるふわ鉄拳ガール』
パッフェル・ガブリエラ(CL3000299)
『イ・ラプセル自由騎士団』
シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)
『おもてなしの和菓子職人』
シェリル・八千代・ミツハシ(CL3000311)
『砂糖菓子のソンリッサ』
アンジェ・ヘルベチカ(CL3000328)
『教会の勇者!』
サシャ・プニコフ(CL3000122)
『やっぱりぷりけつまみー』
タマキ・アケチ(CL3000011)



「お祭り、楽しー!」
 緑色のフードをかぶり、『翠の魔焔師』猪市 きゐこ(CL3000048)が祭の中を歩く。祭とは経済を回す場所だ。故にここでお金を使わずしてどうするか。そんな理論(いいわけ)の元にきゐこは屋台を周る。本音はお祭りが心の底から好きだからだ。
 アマノカホリと違い、イ・ラプセルの屋台は肉と甘い物が中心だ。蒸気機関による熱を使った料理が香ばしさを増減させる。甘いジャムが食欲を加速させる。ローブに隠された表情がどうなっているかは想像に難くない。何よりも屋台をめぐるその足取りが、喜びを表していた。
「折角の祭だからね」
 言いながらグラスを傾ける『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)。普段は研究所に籠ってばかりの生活だが、こういう時ぐらいは外を歩こうとスペリール湖に赴いたのだ。見た目は幼いが、れっきとした成人である。
「また還リヒトが……」
「幽霊列車の汽笛が聞こえて……」
(最近は還リヒトの発生が多いみたいだね)
 酒を嗜みながら、祭の人から聞こえる噂に耳を傾けるマグノリア。祭の最中でも知識や情報を求めるのは職業病か。
「お祭りだ! わーい!」
 言いながら祭りの通りをかける『神秘(ゆめ)への探求心』ジーニアス・レガーロ(CL3000319)。自由騎士で働いた報酬を手に屋台の間を駆け巡る。店にある食べ物を全ていただこうと格闘中だ。
 定番のいちごタルト、ハチミツたっぷりのクロワッサン、色とりどりのソーセージ、よく冷えた南国フルーツ、肉の串焼き(牛、豚、鶏、羊)、焼き立てピザ……様々な店の様々な料理をほおばりながらジーニアスは全力で祭りを楽しんでいた。
「どこのお店が一番美味しいか食べ比べだぞー!」
 そしてサシャ・プニコフ(CL3000122)もまた、露店を駆け回っていた。お肉大好きなサシャからすれば、この露店の並びは宝庫のよう。じゅうじゅうと肉を焼く音。鼻をくすぐる肉の香ばしさ。通りを歩いているだけで尻尾をパタパタ振ってしまう。
「定番の串焼き! 生ハム! ピーマン肉詰め! あっちはトマト煮込み? 何それ美味しそー!」
 見たことのある肉料理。見たことのない肉料理。様々な露店を周り、様々な肉料理を味わう。同じ品物でも、焼き具合や使っている油や香辛料の違いで様々な味わいが存在するのだ。食べ飽きるということはない。
「お兄さま、祭の警備の方は良かったのです?」
「ええ。時間を頂いたので。さあ、行きましょう」
 言って『砂糖菓子のソンリッサ』アンジェ・ヘルベチカ(CL3000328)に手を差し出す『鷹狗』ジークベルト・ヘルベチカ(CL3000267)。こういう時にでも軍服を着ているのはジークベルトの性格だろうか。そんなことを思いながら、義兄の手を取るアンジェ。
「改めて、お誘いありがとう。兄妹二人でお出掛けするのはお久しぶりだもの」
「そうですね。自由騎士に入ってからこういう時間はなかなか取れなくなりました」
 軍人家系のジークベルトはその教えに従い軍役に服する。ヘルベチカ家に預けられたアンジェは義兄のそういう性格はよく知っているのだが、二人で出かける時間が減ったことはやはり思う所があったようだ。
 ともあれ久しぶりの時間を楽しむ義兄妹。
「ふふ。良い匂いですわ。甘い物もいいですね」
「食べ過ぎですよ。一週間前より頬が膨らんでませんか?」
「もう! お兄様のそういう所は変わりませんわね!」
 怒りながらも安堵するアンジェ。ジークベルトが戦いに赴いて遠く離れていった気がしたが、やはり兄は兄だ。その事に思わず微笑んでしまう。
「そうだ。アンジェ。空の星を手に入れることは適いませんが、これなら」
 言って色とりどりの金平糖が入った小瓶をアンジェに渡すジークベルト。祭りの警邏中に金平糖を売っている店を探していたのだ。
「兄から淑女(レディ)に星を捧げたく」
「まぁ! とっても素敵なお星さまね! ありがとう、お兄さま!」
 小瓶を胸に抱くようにしながら、感謝の言葉を告げるアンジェ。
 夜を前に甘い星々が煌めいていた。


「いやいや。色々な店が並んでますねぇ」
『改竄の願』エミリオ・ミハイエル(CL3000054)は立ち並ぶ店の間を歩きながらうんうんと頷く。ゴールドティアーズに興味はあるが、強い関心はない。例えばこれが兵器博覧会とかだったらテンションは異なったのだが、それはそれ。
 自由騎士には多芸な人もいる。そう言えば彼らも店を出していたという話を思い出しエミリオは足を向ける。
「さぁさ、歌姫テュガテールが参りましたわよ。お代は見ての聞いてのお帰り、祭りに浮かれて奮発なさってくださいましな!」
『星灯りの担い手』テュガテール・メルポメネ(CL3000346)の歌が通りに響く。青い薔薇を紺色の髪に挿したミズビトの歌い手。相当の訓練を受けているのか、声は通りに広がって聞く人全てを魅了していく。
 テュガテールが歌うは恋の詩。身分違いの貴族と村娘が惹かれ合い、恋に落ちていく話。二人の仲を裂こうと世間が動く。だけどその全てを愛の力で乗り越えて……。誰もが夢見る恋物語。朗々と語られる物語に祭の熱気は高まっていく。
「寄ってきな、ボウズ。一発タダにしてやるぜ」
 射的屋をやっている『1000億GP欲しい』ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)は子供連れの親を誘うように声をかける。用意したのは蒸気式の拳銃を改造し、コルク弾を打ち出す程度に殺傷力を落とした銃だ。あとその出力でギリギリ倒れるか否かの商品。
 子供にせがまれて親も足を止める。子供が撃ったコルク弾は商品をかすめることなく飛んで行った。泣きそうになる子供にウェルスは笑いながら銃にコルクを詰めて、子供に教えるように銃を構えさせる。いち、にの、さんで一緒に銃を撃ち商品を落とした。
「いらっしゃい、いらっしゃい! トラットリア・マールの出張屋台だよっ」
 祭の活気に乗ってトミコ・マール(CL3000192)の声が響く。屋台に並ぶのはトミコが作った数々の料理だ。蒸気機関を利用したウォーマーで暖かさを保った揚げ物はその味付けもあって大売れしていた。
 料理の基本は素材の新鮮さと良質の調味料。そして清潔と手早い作業。トミコはその基本を逸脱することなくこなしていた。出張屋台だからと言って、それは変わらない。朝早く起きて準備と仕込みをこなしているからこその、トミコの味なのだ。
「は〜い、いらっしゃいま〜せ〜! 八千代堂出張屋台で〜す!」
 同じく出張屋台での商売を行う『八千代堂』シェリル・八千代・ミツハシ(CL3000311)。シェリルが用意するのは水ようかん。アマノカホリ生まれの祖母から受け継いだレピシに沿って作った夏の逸品だ。
 屋台の上に並ぶのは青や紫と言った色とりどりの固めたゼリーだ。プリンに近いがそれよりも固く、容器から出しても四角の形を保っていた。様々な色で彩られた水ようかんが見る人の目を引いている。
「……ふむ。なつかしい味ですね」
 水ようかんを食しながら『天辰』カスカ・セイリュウジ(CL3000019)は自分の店を見る。ベンチを改造した台の上に並ぶ鉢植え。盆栽を売る、というイ・ラプセルでも異色の店だ。もっとも、カスカ自身に商売をするつもりはないのか値札も貼ってない。
 物珍し気に目を向ける貴族のノウブルもいれば、首をかしげる子供もいる。そういった人達を踏まえて、カスカは祭りの流れを見る。騒々しくもあるが、平和で楽し気な雰囲気だ。だが、
「む。何やらあったみたいですね……。まあ、何とかするでしょう」
 祭でおきたトラブルを察したカスカ。だが動くまでもないと目を伏せた。


「ヒルダちゃん。肉ばかりじゃ太るよ?」
「アリアも甘い物ばっかりじゃない。カスタードジャムいちごタルトに……」
「甘い物は別腹だからいいんです」
 などと話しながら露店をめぐる『安らぎへの導き手』アリア・セレスティ(CL3000222)と『深窓のガンスリンガー』ヒルダ・アークライト(CL3000279)。それぞれの好みを食べながら、仲良く祭りを楽しんでいる。
「聞いたことあるんだけど、肉を食べた分だけ脂肪が胸に回るみたいよ。逆に食べないと胸が小さくなるみたい」
「へえ。そうなんですか……ってヒルダちゃん何処見てるの?」
「この立派なものはそうやって育ってきたのか。良き哉良き哉」
「何処見ながら話をしているの!?」
 などと同性同士の軽いいちゃつきを伴いながら歩いていた。
「ねえ。射的で勝負しない? 勝ったほうが一日相手の言うことを何でも聞くとかそういうルールで」
「ヒルダちゃんガンナーでしょ? ずるくない!?」
「へっへっへ。そういう勝負なら俺達も混ぜてほしいなぁ」
 声をかけてきたのは酔っぱらった青年だ。二人の話を聞いてナンパよろしく近づき、その手が触れ――
「待ちなさい! そこの人!」
 触れる前に颯爽と現れたのは『ノンストップ・アケチ』タマキ・アケチ(CL3000011)だ。服の上からわかるプリ尻である。優雅な動作で酔っ払いに近づき、相手の身体に触れる。相手から見えない位置で『ここから去るように』と女性二人にハンドサインをしていた。
「ふ、ふふ。熱い思いを吐露する貴方の姿に惹かれました、私とオトモダチになっていただけませんか……!」
「いやいや、アンタ男だろう!?」
「私で良ければ、貴方の好みに応えますよ、ふふ……! さぁ祭りの思い出を作りましょう!」
「変態だー!」
 アケチから逃げだす酔っ払い。結果として、ナンパによる被害を塞いでいた。
「……ああ、お触りは禁止ですよ……」
 また裏路地に近い所では『ゆるふわ鉄拳ガール』パッフェル・ガブリエラ(CL3000299)が水夫に迫られていた。無表情でパッフェルは応対しているが、それを怯えと受け取ったのか水夫たちは調子に乗り始める。逃げ道を塞ぎ、威圧するように顔を近づける。
(……殴って、いいですよね……これ)
 無表情に拳を握るパッフェル。それが水夫たちの顎を砕くより早く、
「お兄さん、そんな子よりもローラとお相手してくれません?」
 甘い声をあげてもてかわハーレム♡マスター』ローラ・オルグレン(CL3000210)が水夫達に割って入る。軽くしなを作って相手に迫り、チャームポイントをアピールするかのようにスカートのすそを少し持ち上げる。
 大事なのは第一印象。最初の会話で相手を自分のペースにもっていき、流れを引き寄せる。これまで何度もローラはそうやって男達を誘い、手玉に取ってきた。今回も例に漏れず、水夫達はだらしない顔をしてローラの誘いに乗っていく。この後彼らがどうなるかは、ローラの心次第だ。


 勿論、過度なナンパ以外にも祭のトラブルはある。
「おー。よしよし。迷子か? お母さんの名前はわかるか?」
 子供の目線に合わせるようにしゃがんで、『ビッグ・ヴィーナス』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)は泣いている迷子と会話をしていた。マキナ=ギアで他の自由騎士と連携をとりつつ、子供の話を聞く。
 軍務一直線に思われるシノピリカだが、以外と子供の世話に離れていた。年の離れた妹や姪の世話をすることが多いからだ。こういう子達に何を言えばいいのか、よくわかっている。胸に手を当て、怖くないと恐怖を振り払うように笑って言葉を告げる。
「安心せい、自由騎士団がニーナちゃんのお母さんを探している。だから案内所でゆっくりしていくがよい」
 大人が動いている。それを言葉にする事。それが子供にとってどれだけ安心できることか。
「『こうしてツバメは、姫様に会うために西の空に飛び立っていきました』」
 迷子用避難所では『見習い騎士』シア・ウィルナーグ(CL3000028)が迷子に絵本を読んでいた。子供に絵本を読むのは孤児院でも慣れている。持ち前の演技力を活かし、臨場感ある読み方で子供達の注意を引いていた。
「『しかしそれを妨げようと、北風が吹き荒れます。びゅうびゅうと吹き荒れる冷たい風が襲い掛かる。ぶるぶる震えるツバメの羽根。しかしツバメは――』」
 子供にもわかりやすいように擬音を使う時は体全体で表現し。セリフを喋る時は声色を変える。まるで演劇を見ているかのような臨場感が、迷子という状況を忘れさせていた。

 他にも、
「唐揚げー! ソーセージ! 冷えた果実!」
 両手いっぱいに露店で買った物を持つ『豪拳猛蹴』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)。よくある食べ物や祭ならではの賞品などを買って、おいしく食べながら祭を歩いていた。大道芸人などに惜しみなく銭を投げ、大きく拍手をしていた。そんな彼女に、
「おう。ねーちゃんこの前アデレードでアマゾネスと戦ってた娘やないか?」
「はい? ああ、この前の」
 果実を求めての闘いのことだろう。言葉を発したのは二メートルほどの大男だ。拳を突き出し、鼻息荒く言葉を続ける。
「ねーちゃん倒せば一気に拳の名声上がる、ちゅう寸法や。悪いけどワイのためにボコられてくれや」
「え? 勝負するのはいいけど、ここだと迷惑が――」
「問答無用じゃ!」
 喧嘩などもまた祭のトラブルの一つだった。
「待ちや! 喧嘩するんやったらもう少し広い所でやりや!」
 そんなケンカにストップをかけるのはアリシア・フォン・フルシャンテ(CL3000227)だ。カツン、と地面をたたく音はキジン化した足が石畳みを蹴る音。声をあげてケンカを止めるのも自由騎士の役目。
「あっちの高台、丁度いい広さやし。あっちいこか?」
「お、おい。見世物じゃねえんだぞ――」
「皆さん、今から試合が始まりますよー。ってあれ? もうやめてまうんです?
 お祭りの余興の一つにでもなるかとおもてんけど残念やなぁ」
 心の底から残念がるアリシアであった。
「あっちでも暴れてる人おる? はいはい、今から伺いますんでちょっとお待ちくださいねー」
「元傭兵の酔っ払いか」
『女傑』グローリア・アンヘル(CL3000214)は言葉静かに自分を取り囲む男達の素性を察した。戦いに赴いた者だけが分かる個人からあふれるオーラ。彼らはグローリアの禍々しく圧倒的な何かを感じ取ったのだろう。酔いが重なり、グローリアを囲んで襲おうとしていた。
「待ちたまえ!」
「それ以上の狼藉は自由騎士団が許さない」
 そんな彼らを止めたのは『罪。』アダム・クランプトン(CL3000185)と『未来への階』オスカー・バンベリー(CL3000332)だ。威風堂々としたアダムの歩みと、鍛錬を怠らないオスカーの乱入は元傭兵たちの気を削ぐには十分な物だった。
「アダム、どうする?」
 嫡男ではないが貴族であるオスカーは、その性格もあって身を国防に捧げている。だが経験不足であることを自覚しているのか、先達であるアダムに指示を仰ぐ形となっていた。
「そうだね。先ずは話し合おうか」
 アダムは仲裁するように互いの意見を聞く。成程、酒に酔っているのと相手のオーラに飲まれたことが原因のようだ。言葉で納得できるようなことではないらしい。時間をかけて酒が抜けるのを待つのは非効率だ。ならば――
「ならしょうがない、僕監視の下思うがまま喧嘩してくれ」
「おい、お前は何を――」
「そして喧嘩の勝利者は僕とも喧嘩しよう! どうやら僕もこの祭りの熱にあてられたようだ!」
 こうして、アダムの監視下の元……というかアダム含めての喧嘩祭が始まった。そしてこれも祭りの華とばかりに喧嘩好きな者たちが次々と参戦し――
「どうしてこうなった」
 全てが終わった後、オスカーは胸を押さえて言葉を絞り出す。
「オスカーがいるからどうにかなると思ったのさ。あー楽しかった」
「そうか。信頼は嬉しいが俺の胃のことも心配してくれ……」
 さわやかに笑うアダムと、沈痛な表情で胸を押さえるオスカーであった。
「阿呆か! 喧嘩して怪我するとか典型的な祭の怪我人だ。サンプルケースなどと掃いて捨てるほどあるぞ!」
 そうして送られた怪我人を『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)が診ていた。医療テントをわざわざ立てて、医療器具類なども並べてある。煮沸用の釜や包帯に使う清潔な布まで並べてあり、気合の入りようは充分だ。
「貧血脱水症状熱中症持病の脚気にノリと勢いで湖に飛び込んで溺れた馬鹿に火を使う露店の事故火傷、何かナマス切りにされた迷惑なナンパに初めて化粧をした色気に惑わされたクズに襲われた少女の心の傷にその少女に都合よくあった石で頭カチ割られたクズの検死にその現場を見ていた男の脅迫に端を発して数年後に起こる連続殺人事って何の話だ!?」
 ……まあ、あまりの忙しさに流石のツボミも錯乱しているのだが。


 日が暮れればスペリール湖の雰囲気も変わってくる。喧騒めいた祭は静まり、夜を移す水鏡を見ようと移動を始める。
 天を写すスペリール湖。黄金の涙に願いを告げる儀式。その美しさを見るだけでも、ここに来た価値があると思わせるほどの幻想めいた光景。それが今、展開されていく――


†シナリオ結果†

成功

†詳細†

特殊成果
『盆栽』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:カスカ・セイリュウジ(CL3000019)
『黄金の涙勲章』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:アリシア・フォン・フルシャンテ(CL3000227)
『いちごタルト』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:猪市 きゐこ(CL3000048)
『牛肉串焼き』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:ヒルダ・アークライト(CL3000279)
『ソーセージ』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)
『黄金の涙勲章』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:ローラ・オルグレン(CL3000210)
『黄金の涙勲章』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:シア・ウィルナーグ(CL3000028)
『黄金の涙勲章』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:非時香・ツボミ(CL3000086)
『黄金の涙勲章』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)
『青色水ようかん』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:シェリル・八千代・ミツハシ(CL3000311)
『黄金の涙勲章』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:オスカー・バンベリー(CL3000332)
『焼きトウモロコシ』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:ジーニアス・レガーロ(CL3000319)
『祭りの歌』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:テュガテール・メルポメネ(CL3000346)
『フルーツシャーベット』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:アリア・セレスティ(CL3000222)
『黄金の涙勲章』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:アダム・クランプトン(CL3000185)
『星々の小瓶』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:アンジェ・ヘルベチカ(CL3000328)
『クジラノウタ』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:マグノリア・ホワイト(CL3000242)
『義妹からの感謝』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:ジークベルト・ヘルベチカ(CL3000267)
『鶏の揚げ物』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:トミコ・マール(CL3000192)
『カチャトーラ』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:サシャ・プニコフ(CL3000122)
『黄金の涙勲章』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:タマキ・アケチ(CL3000011)
『コルク銃』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)

†あとがき†

 あなたに幸せが訪れますように――
FL送付済