MagiaSteam
Warning! 赤髭の熊が海より来る!



●赤い髭を携えた海の熊
「よーし、火事場泥棒だ! お前ら、好き勝手暴れてこい!」
 赤髭のケモノビトの言葉と共に、海賊たちが歓声を上げた。
「光が、見えました。この羽根を広げて、皆を導きましょう」
「シャンバラは呪うわ。ふふ。ふふふふふ。ふふふふふふ」
「ダメージ一発この金額でどうでっしゃろ? って、桁間違えてる!? 大損やー」
「クケケ、今日はこの銃を使うヨ! こんどは爆発しないカラ!」
 白い羽をもつソラビトの女性はよく分からない事を言い、ノウブルの女性は人形に針を刺す。盾を持ったオニビトがソロバンと呼ばれる物を弾き、小さなマザリビトはゴテゴテに改造された銃らしい何かを手にしていた。
「姐さんたち気合十分すねー」
「頼もしい限りっす」
 そしてそんな女性達をいつものこと、となごんでいる赤いバンダナの海賊団達。
 一見ふざけているように見えるが、彼らはこの海で恐れられた海賊の一角なのだ――

●グレイタス小管区
 イ・ラプセルとシャンバラがぶつかり合った傷痕がまだ残るグレイタス小管区。
 そこに数隻の船が近づき、十数名の海賊が揚陸する。船からの砲撃が街に襲い掛かり、海賊達が略奪を始めた。金品財宝や食料、そして人を攫っていく。グレイタスに住むシャンバラの人達は逃げ惑うが、海賊達は燎原の火の如く彼らが住む場所を破壊していく。
「金だ! 酒だ! 女だ!」
「奴隷商人に売り払えば、大儲けだ!」
「壊せ壊せ! ここを護る者は誰もいない! シャンバラの騎士はお前達を見捨てたんだ!」
 ここにシャンバラの騎士達はいない。先の戦いでイ・ラプセルに敗北し、撤退したからだ。
 本来ならいなくなった騎士達の代わりにここに駐屯しているイ・ラプセルの騎士に庇護を求めるのが筋だ。それ以外に身を護る術はないのだから。
 だが、彼らはそうしない。
 イ・ラプセルは神の敵だ。ミトラース様以外に祈るなどありえない。彼らの心は、その奥までミトラースに心酔していた。
 故に助けを求めない。
 そして海賊達はそれが分かっているかのように、無抵抗なシャンバラの民から略奪していく――

●階差演算室
「という未来である」
『長』クラウス・フォン・プラテス(nCL3000003) は集まった自由騎士に向けて、説明を開始する。
「二大海賊の一つ『赤髭海賊団』が先日占拠したグレイタス小管区を襲撃する。シャンバラの街を堂々と襲撃し、破壊と略奪を行う」
 予知ではイ・ラプセル騎士団は襲撃に一歩遅れ、海賊達はそれを機に撤退していく。……アホっぽい会話もあったが、実力は相応にあるようだ。
 だが、その未来は知れた。ならば手は打てる。
「諸君らは襲撃される前に海賊団の船に接舷。船に乗り込んで海賊団長であるヘンリー・モーガンの一団に挑んでもらいたい」
 ヘンリー・モーガン。海を渡るもので、その名前を知らない者はいない。
 巨躯の肉体と、それに恥じぬ怪力。そして彼のみが使える巨大な砲身。その破壊力は城壁すら打ち崩すとも言われている。
「海賊達も襲撃が上手くいかないと知れば退却する。おおよそ五分といった所か」
 その間戦線を維持しなければならない。負ければ逆に彼らを血気づけることになるだろう。
「難解な任務であることには違いない。だが諸君らならやれると信じている」
 クラウスの言葉に背中を押されるように、自由騎士達は演算室を出た。



†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
EXシナリオ
シナリオカテゴリー
対人戦闘
担当ST
どくどく
■成功条件
1.5分(30ターン)の間、全滅しない
 どくどくです。
 そんなイラストにつられるおれではくまー(訳:熊木VC、イラストありがとうございます)。

 あ、一部アホっぽいですがEXハードです。

●敵情報
・ヘンリー・モーガン
 赤ひげが特徴的なクマのケモノビト。二大海賊団の一つ『赤髭海賊団』のトップです。
 巨大な体と相応の力をもち、巨大な筒を振るいます。
『動物交流』『ライジングスマッシュ Lv3』『バレッジファイヤ Lv3』『ウェッジショット Lv2』『サテライトエイム Lv3』『ドラグノフ』『ハップライト』『アイアムロウ! 急』『縄張り 急』等を活性化しています。

・『ブライト・ウィング』マスミ・ヘンミ
 光っているかのように白い肌をもち、同色の羽根を生やした女性のソラビト。
 レイピアで切り刻んできます。フレーバー程度に厨二です。
『飛行』『ピアッシングスラッシュ Lv3』『ブレイクゲイト Lv3』『柳凪 Lv3』『影狼 Lv3』『スピードスタア』『無表情』『発光』等を活性化しています。

・『呪いの人形』ヘンリエッタ・ディングリー
 人形をもった女性のノウブルです。バッドステータスで翻弄してきます。フレーバー程度に呪ってきます。
『コキュートス Lv3』『ユピテルゲイヂ Lv2』『ティンクトラの雫 Lv3』『ルーンマイスター』『殺気』『腹黒メガネ』等を活性化しています。

・『ダメージ代行屋』宇多川・サチコ
 アマノホカリから渡来してきたオニビトの女性です。ダメージを肩代わりする商売をしているとか。フレーバー程度にドジっ子です。
『吸血』『パリィング Lv3』『アンチトキシス Lv3』『スティールハイ Lv3』『叫びのオハン』『てへぺろ きゅー』『バナナの皮』等を活性化しています。

・『チクタクボンバー』ベラ・オドーアティ
 ノームとのマザリビト。女性。小さいけど成人。フレーバー程度に魔改造した銃で攻撃していきます。
『ゼロレンジバースト Lv3』『サテライトエイム Lv3』『コンフュージョンセル Lv3』『ドラグノフ』『蒸気機関取扱技術 急』『スチームノウエッジ』等を活性化しています。

・赤髭海賊団(×5~)
 赤いバンダナを巻いた海賊団です。種族はケモノビトを中心にいろいろ。
 最初は五名ですが、5ターン毎に敵後衛に3名追加されます。
 ランク1の軽戦士スキルを使います。

 繰り返しますが、アホっぽいけど強さは難易度相応です。

●場所情報
 グレイタス小管区湾岸。海賊達が揚陸する前に船に乗って襲撃を仕掛けます。船が接舷し、乗り込んだところからスタート。明かりや足場は戦闘に支障なし。
 戦闘開始時、敵前衛に『マスミ』『サチコ』『ベラ』『海賊団(×3)』が。敵後衛に『ヘンリー・モーガン』『ヘンリエッタ』『海賊団(×2)』がいます。
 事前付与は一度だけ可能。ホムンクルス召喚も可能です。

 皆様のプレイングをお待ちしています。
 
状態
完了
報酬マテリア
3個  7個  3個  3個
8モル 
参加費
150LP [予約時+50LP]
相談日数
6日
参加人数
8/8
公開日
2019年03月31日

†メイン参加者 8人†




 風にたなびく海賊機。その中でもひときわ大きな旗を持つ船に迫るイ・ラプセルの突撃艇。衝角でその船に横穴を開けるように迫り、激突と同時に自由騎士は船に乗り込んだ。
 船を揺らす振動と轟音。衝撃に備えていた赤髭海賊団はすぐさま武器を取り、戦闘態勢に移行する。
「おいおい。この船を『赤髭海賊団』と知っての攻撃か?」
「当然だ。民に仇為す海賊を止めるのは騎士の務め」
 モーガンの問いかけにうむりと頷く『達観者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)。戦時下に彼らのような海賊が利を求めてやってくることは道理である。だがそれをさせない為にも自分達がいるのだ。
 魔導書を開き、意識を集中するテオドール。周囲のマナがその動作に反応するように動き始める。テオドールを中心にして螺旋状に吹きあがり、頂点に達したところでテオドールが持つ魔導書に集まっていく。
「その悪名と実力。理解したうえでの行動だ」
「成程、イ・ラプセルか。聞きしに勝る足の速さだな」
「勝負は機を逃さず拙速にってな。アンタと同じさ、ヘンリー・モーガン」
 口元に笑みを浮かべる『1000億GP欲しい』ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)。全体を読み、先立って行動する。戦争だろうが商売だろうが、これが出来なければ後手後手に回る。水鏡の予知あっての先手だが、この一手は大きい。
 幼いころから使っている愛銃を手にして、意識を戦闘に切り替えるウェルス。何度も改造を重ねているが、使い慣れたグリップの感覚は冷静さを取り戻させてくれる。冷静に、そして大胆に。同属同職の海賊を前に、ちりちりと戦意を高めていく。
「噂に名高い海賊ってだけのことはあるな。ここから見てもとんでもない威圧感だ」
「そりゃどうも。泣いて謝るなら弁償代3割増しで勘弁してやるぜ」
「えんりょする。おまえたちをここでしりぞけてやる」
 無表情無感情に『黒炎獣』リムリィ・アルカナム(CL3000500)は答える。抑揚のない声だが、やる気がないと言うわけではない。むしろケモノビトの血がびりびりと震えていた。闘争心がリムリィの中で燃え上がっていた。
『ハンマーヘッド・ヒポポ』と『 ポールバット・タマス』を重ね、巨大なハンマーにする。自分の身長より大きい打撃武器を両手で持ち、どんと船の床をついた。リムリィが武器に振り回される様子はない。いつでも来いと言わんがばかりの立ち様だ。
「このたたかいはあたらしいなわばりをまもるため。おまえたちはてきだ」
「何という事でしょう……。このような子を血に染めねばならぬとは。これも呪われた羽根の運命……なのですね」
「えーと……。話し合えばわかり合え……ませんよね、はあ……」
 悲し気に目を背けるマスミに『もしかしたら彼女は説得できるかも』と希望を抱いた『慈葬のトリックスター』アリア・セレスティ(CL3000222)。だが相手が武器を下ろしてくれない事から、それが自己陶酔だと気付く。
 青と翠に輝く剣を手にアリアは海賊達を睨む。彼らがグレイタス小管区に上陸すれば、そこに住む人達は蹂躙されてしまう。たとえこちらに悪感情しかもっていない相手とはいえ、それを見過ごせるアリアではなかった。
「アルヴィダさんとは違って乱暴な人達ですね」
「死より酷い侮蔑……!」「呪うわ」「ひどいわー。訴えるでー」「アレと一緒にするナ!」
「四人同時にツッコんだ!?」
 アリアの言葉に海賊女性陣がすぐさま抗議したのを見て、『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)が驚いた。それだけアルヴィダよりも乱暴扱いされるのがイヤだったのだろう。……まあ、海賊同士なら対応が異なるのかもしれないが。
 身体の調子を確かめるように手首を回転させるエルシー。軽く跳躍して筋肉をほぐし、そのままリズムを刻むように体を動かしていく。ここから五分は激戦となる。準備に準備を重ねてもまだ足りないかもしれないのだ。
「全く大変な任務になりそうね」
「そんなに嫌なら海賊に誘ってやるぜ。ねーちゃんならすぐに上にのし上がれるだろうよ」
「敵をナンパとは剛毅な。そう言えば幹部全員女性か。ははぁ、そういう」
 相手を茶化すように『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)は頷いた。勿論本気でナンパだとは思っていない。襲撃を受けたのに動じぬ胆力。被害を最小限で抑えようとする手法。仲間の確保。全て理にかなっている。……まあ、ナンパ目的もあるのかもしれないが。
 戦闘時に来ている外套に指を這わせる。幾多の戦闘を潜り抜けてきた外套は所々傷だらけだが、それでも戦闘に支障が出るものではない。自分を護る最後の防衛線。それに触れながら呼吸を整える。ふざけている余裕はないと心で呟き、ツボミは口を開く。
「やーいバーカバーカ! 貴様んっち海賊せーん! 火事場泥の前にちょっと私達と遊んでけ!」
「残念だがホームはあるぜ。秘密だがな」
「スカッターフェルズの洞窟ってか。ヘルメリア海域で船を隠すならあのあたりだろうな」
 モーガンの言葉に『RED77』ザルク・ミステル(CL3000067)が答える。脳内の記憶から地図を引っ張り出し、口にした場所と照合する。風と潮の流れから魔所とも言われた海域。一流の船乗りしか立ち入れない難攻不落の海の要塞。
 二丁の拳銃を両手に構えるザルク。右と左。互いに性能の異なる銃を状況に合わせて使い分けていく。一辺倒を極めるのも悪くないが、カードが増えれば戦略も増える。状況に応じて柔軟に。目的の為に、出来る事を増やしていく。
「あんたとは一度会ってみたかったんだ。色々な意味でな」
「熱いラブコールだな。肌がひりひりするぜ」
「愛を語るつもりはない」
『実直剛拳』アリスタルフ・ヴィノクロフ(CL3000392)はばっさりと言い放つ。為さなければならない事は騎士の務めで、海賊退治だ。連中のペースや冗談に付き合うつもりはない。クールに流れを断ち切り、やるべきことをこなすのみ。
 潮風にたなびく軍服。警棒を手に軽く腰を下ろし、静かに構えを取った。アリスタルフのスタイルは徒手空拳。警棒はあくまで手足の延長線。機械の足を相手の方に向け、銀髪の奥から相手を睨んだ。
「お前達を退ける。ただそれだけだ」
「退く気はねぇってか。まあ、わかっちゃいたけどな!」
 言って大筒を構えるモーガン。それに合わせるように他の海賊達も武器を構える。
「船の状況は?」
「今確認と修理中です!」
「よし、手が空いたモンから上に来させろ」
 へい、と言って指令を受けた海賊は船の奥に走っていく。
 その海賊が船内に消えるよりも早く、騎士と海賊はぶつかり合っていた。


「ここで懲らしめてあげましょう!」
 一番最初に動いたのはアリアだ。手にした二刀を構え、心静かに瞑想するように気を静める。戦いの放棄ではない。激情を制し、刃を研ぎ澄ますため。気を沈めながら、しかし闘志は絶やさない。相反する二つは、しかし同時にアリアの中で存在していた。
 鈴の音が響いた気がする。そんな感覚と共にアリアは踏み出した。無音の場をかけるように自然に、そして優雅に。それはまるで白鳥が飛び立つが如く。自然のままに振るわれた刃が海賊達を切り裂いた。
「火事場泥棒など、恥を知って下さい!」
「この程度で恥とか言われてもなぁ。何ならもっと恥ずかしい事してやろうか、お嬢ちゃん?」
「うわ、下劣」
 海賊達の物言いと手の動きに端的に返すエルシー。それ以外の感想を持ちようがなかったのだ。毒舌と言い過ぎで時々自己嫌悪に陥るエルシーだが、今回に至ってはその心配はないだろう。
 怒りのままに拳を構え、体内の気を収縮させるエルシー。身体をひねり、力を溜めていく。その状態を維持しながら足を動かして、相手との間合いと詰めた。引き絞った弓を放つが如く、全身の筋肉を解放して一打を放つ。
「海賊の好き勝手にはさせないわ!」
「お前らだってシャンバラで好き勝手やってるんだろうが。お互い様だ」
「否定はしない。俺達は国の為に行動してシャンバラを攻めた」
 悪びれることなくアリスタルフが告げる。力による他国の蹂躙。この一言だけで見れば海賊もイ・ラプセルも変わらない。そこに正義や正しさを求めるつもりは毛頭ない。一介の騎士として、国の命を受けて戦ったのだ。
 言いながら海賊達との間合いを詰めるアリスタルフ。身体を半分逸らし、肘を曲げるようにして突き出す。力で衝撃を受け止めるのではなく、技術で攻撃を逸らす構え。その構えを維持したまま拳を振るい、海賊達を打ち据えていく。
「だからこそ、お前達のような漁夫の利を得ようとするお前達を許しはしない。それが攻めた者の責任だ」
「流石騎士様だ。住民に嫌われてるっていうのに健気だねぇ!」
「全くだ。助かるチャンスを放棄して、神にすがり付いて祈るだけの連中を助けるハメになるとはな」
 水鏡で見た映像を思い出しながらウェルスが愚痴るように言う。シャンバラの民はイ・ラプセルを信用していない。もっと言えば『神敵』と嫌悪していた。助けたところで感謝する事はないだろう。それでも――
 戦場を冷静に見て、思考を埋没させる。少し前の状態、現状、数秒後の予測。過去のデータから導かれる味方と相手の動き。それを常に思考しながら魔力を解き放つウェルス。治癒力を向上させる光が仲間達を包んでいく。
「まぁ、せっかくぶんどった土地を荒らされるのは癪なんでね。助けてやるさ!」
「見事なツンデレね、呪うわ」
「のろうわ」
 ヘンリエッタの言葉に乗っかるようにリムリィが呟く。特に意味はないのだろう。武器を振るい出してから虚ろだった瞳に狂気が宿り、無表情だった顔にもうっすらと笑みが浮かんでいる。理性などないかのようにただハンマーを振るっていた。
 ハンマーをもつ両手に力を込め、甲板を踏みしめる足元に力を籠める。全身の力を使っても足らないのなら、限界を超えて力を振り絞る。戦うのは楽しい。戦うのは楽しい。その感情だけがリムリィを支配していく。感情のままハンマーは海賊達に振り下ろされた。
「まとめてけちらす」
「ちょ、あれ受け止めるん? ややわぁー。鍋もってきてええでっしゃろか?」
「鍋で受け止めるのか。……以外とありかもしれんな」
 サチコの言葉に央華大陸の鍋を思い出すツボミ。高温にも耐える黒鉄と人ひとりなら隠れそうな大きさ。凸面で攻撃を受け流し、凹面で魔術を受け止める。物理魔術の両対応の万能器具。――そこまで妄想して放棄した。いやねーよ。
 複数あるツボミの瞳が目まぐるしく動く。状況把握と現状における最善手。それを常に思考し、そして選択する。間違いではないかと思いながらもその不安を押し切って癒しの術式を放った。一手の誤りが命取り。そう思いながら血を吐くように癒しを繰り出す。
「とりあえずそのムサいのをやれ! 全員ムサい? じゃあ茶色ベルトの奴だ!」
「あの方を見ると、私の浄眼が闇色に染まっていきます。この世の危機です」
「よく分からんが、トキジク先生に注目している、ってことか?」
 マスミの物言いに怪訝な顔をするザルク。どちらにせよ、やるべきことは変わらない。イ・ラプセルに着て自由騎士になったが、ザルクが求める事は常にヘルメリアとの戦い。胸に秘めた熱をぶつける事だ。
 二挺拳銃を手に地面を蹴るザルク。常に動き、標的を定めさせない。敵味方全てを利用し、斜線をコントロールして引き金を引く。右手の銃を撃ち尽くしたら左手の銃を。合間を見て弾倉を好感し、さらに右手の銃。目まぐるしく動き、そして撃っていく。
「ヘルメリアの犬の戦力をすりつぶさせてもらうぜ!」
「ケケ! そうはいかないヨ。こっちもオ仕事なんでネ!」
「そうはさせない。海賊の仕事を妨害するのが騎士の仕事だ」
 改造銃を手に動き回るベラを見据え、テオドールが告げる。海賊が奪うなら騎士は守る。罪なき民の為に身を這って動くのが騎士だ。それは物理的な防壁だけではない。精神的に政治的に、ありとあらゆる方面で民を護るのだ。
 魔導書に集まった魔力を確かめるようにテオドールは手を乗せる。僅かな圧力が手の平に伝わってくる。テオドールの意志に従い集まった魔力は冷気となり、凍てつく風となって海賊達に吹き荒れる。冷気と呪いがその動きを止めた。
「勤めは果たさせてもらおう。我が国の為に」
「島で大人しくしてりゃよかったのにな。そうすりゃあいつらも平和に過ごせてたのに」
 テオドールの言葉にモーガンが返す。狙ったのはシャンバラで、イ・ラプセルではない。そもそもシャンバラが狙えるほどに疲弊したのはイ・ラプセルのせいなのだ。
 それは否定できない。理由はどうあれ、現状を招いたのはイ・ラプセルの軍事行動の結果だ。
 だがその善し悪しは後年の歴史家が決めればいい。平和主義を掲げて座していれば他国に食いつぶされるか、あるいは虚ろの未来か。ともあれ滅びることには変わりない。今の生活が、平和が、笑顔が。それを良しと思う者はいない。
 自由騎士は各々の武器を構え、戦意を燃やす。その様子に煽りは無駄かと察して笑みを浮かべるモーガン。
「肝も座ってると来たか。じゃあしょうがねぇ。力づくで押し通させてもらうぜ!」
 自由騎士と海賊の闘いは、加速していく。


 自由騎士達は先ず敵の数を減らすことを重視した。一概には言えないが、戦いに数の要素が不要という事はそうそうない。数の多さはそれだけで脅威である。赤髭海賊団員を減らしながら、モーガンに仕える女性海賊を傷つけていく。
「やべーヨ。アタシから狙ってくるとカ。サーチーコー」
「あ。ベラさんは先月のツケ払ってませんからあかんよー」
「おまっ、さては昨日の朝食の事根に持ってるダロ!?」
「さー?」
 防御役のサチコはベラを庇うことなく、ダメージが蓄積していく。
「珍しくないが、ケモノビトでクマで海の男同士でガンナーか」
「ガンナーを主張するならその銃を撃ってみな?」
 ウェルスの言葉に挑発するようにモーガンが返す。支援行動を行っているウェルスはその銃口を敵に向けていない。
「こいつはとっておきでね。出し惜しみする気はないが、まだ時じゃないのさ」
「そいつは楽しみだ。とりあえず追い詰めれば見せてくれるかね!」
「はっ! 何があろうが追い詰める、って顔してるぜ赤髭!」
 挑発に乗ることなくウェルスは支援を続ける。ヘンリエッタの与える魔術が地味に面倒だ。
「ふふふ。こきゅーとすこきゅーとす」
「応コラ根暗なねーちゃん、呪えるものなら呪って見よ。仕事柄逆恨みの類は慣れっこだしな!」
 ツボミはヘンリエッタを挑発するように叫ぶ。こちらに意識が向いてくれれば僥倖だが、
「恨まれているのが慣れている……もしかして、同士? そう言えばマザリモノ。いっしょに世界を呪いましょう!」
「違うわ! つーか呪いって魔導と違ってインチキでは? 効果あんの?」
「信じないなら階段から突き落とすわ」
「物理的すぎるだろうが!? あー、そうかそういうキャラか」
 思いっきり叫んでから、ツボミは気付いた。ヘンリエッタが仮にヘルメリアの人間だと言うのなら、魔術文化が軽視されている場所での呪術魔女など軽視されているのだろう。
「ではこちらからもお返しと行こう」
 言ってテオドールは魔術で凍える風を解き放つ。
「さむーい。呪うわ」
「流石にモーガンは簡単に止まらないか。しかし半々で氷漬けになってくれるなら僥倖だ」
 術のきき具合を確認しながらテオドールは息を吐く。今回テオドールは足止めに徹していた。氷の魔術で足を止め、ヘンリエッタとモーガンの動きを集中して押さえに行く。その間に味方が血路を開いてくれると信じて。
「もー。同じ技ばっかりじゃ飽きるわよ」
「なんとでも言うがいい。私の役目は力を見せびらかす事では無いのでな」
「はい! 動かないでください!」
 テオドールの魔術に合わせて、アリアが躍る。回転するようなダンスが相手の遠近感を狂わせる。戦闘という目まぐるしい状況に置いて、その狂いは致命的だ。
「あの女を押さえろ!」
「無駄です」
 海賊達の攻撃を、アリアは円を描くようなステップで回避する。一定周期の回転は精神的な安定を生む。たとえ心惑わされるような一撃を受けても、回転に身を任せればすぐさま元に戻る。
「シャンバラの人達には手を出させません! たとえ、感謝されなくても!」
「傲慢な戯曲が聞こえる。英雄譚のエピソード。だけどそれは悲劇……」
「んー……。それは偽善者で裏切られて泣け、って言ってるのかな?」
 マスミの言葉を意訳するエルシー。よくは解らないが、こちらに対して好意的な事を言っているわけではなさそうだ。
「一気に行くわよ!」
 呼気と共にエルシーが動く。激しいリズムに身を任せ、思うままに拳を振るう。武は舞、舞は武。リズミカルな体の動きと共に繰り出される鉄拳が海賊達を襲う。
「ったく。どーしてこんな海賊にここまで強い奴らがいるのよ」
「死線を潜ってるのはお前らだけじゃない、ってことだな。お前らもこっちにくればいい目を見れるぜ」
「好きにほざけ。どの道ヘルメリアはぶっ潰す!」
 モーガンの言葉を一蹴するザルク。どんな待遇があろうとも、ヘルメリアの首輪をつけるのだけは御免だ。
「その筒『城壁崩し(ルークブレイカー)』だな?」
「ほう。それを知ってるってことはお前はヘルメリア出身か」
 ザルクの指摘に感心するような声をあげるモーガン。
「けっ! プロメテウス/ベインの使い古しを偶々拾った、なんて言い訳は聞かねぇぞ。その武器がある時点でテメェとヘルメリアの繫がりは確定だな」
「じゃあその威力も知ってるってことだよな。味わっていきな!」
「そのほうげきはうけない」
 リムリィはハンマーを振り回しながらモーガンの砲撃を避ける。相手の砲身をみて、その軸から離れる。
「避けた先にアタシがいるのサ!」
「しってる。だから――」
 リムリィが避けた先に銃を構えるベラ。だがそれを予測していたかのようにリムリィは体ごと回転させるようにハンマーを振るう。体中の筋肉が悲鳴を上げるが、それを機にすることなく振りぬいた。
「こうする。あたらしいばしょをまもるために」
 呼吸を乱すことなく、しかし赤い汗腺を流しながらリムリィは口を開く。戦いが激化するたびに『ひっぽぱーらます』と書かれた白いシャツが赤く染まっていく。   
「だから――しね」
 そしてリムリィの感情も少しずつ戦いに引っ張られていく。それは今まで虐げられて押さえ込まれた感情の発露か、或いはケモノビトの闘争心か。それはリムリィ自信にしかわからない――
「そうだな。死にたくなければ引き返せ」
 拳を振るいながらアリスタルフが海賊達に告げる。
「そうはいいますけどなー。今引き換えしても石炭とか食事とかで大損やねん」
「知ったことか。お前達の台所事情など興味がない」
 サチコの言葉をにべもなく返すアリスタルフ。サチコが庇っているマスミにダメージを与える為に、衝撃を伝える打撃を与えていた。
「兵站大事でっせー。手ぶらで帰るのもなあ……おや、兄さんええ顔してますなぁ。兄さん捕えれば多少は損少なくなりますやろか?」
「それこそしったことか」
 サチコの言葉に憮然とした顔で応えるアリスタルフ。この手の誘いはもう飽きるほど受けてきた。
 戦局は一進一退だった。
『赤髭海賊団』は回復を行える者がいないが、断続的にやってくる海賊が戦力の補充として機能していた。
 自由騎士はツボミとウェルスの支援と回復に支えられており、五分の闘いを意識した動きで海賊達に立ち向かう。
 攻め込んだのは自由騎士だが、実質この戦いは自由騎士の防衛戦だ。海賊行為は電撃作戦だからこそ意味がある。足止めされる時間が長ければ、それだけ相手に準備させてしまうのだ。――シャンバラの人達が予知を聞き入れてくれれば、もう少し闘いの幅は広がったのだが、已む無きことか。
 その意味では一進一退の状況は自由騎士に有利といえよう。このまま耐え続ければ、『赤髭海賊団』も引かざるを得まい。
 勿論、安堵はできない。バランスが崩れれば戦況は一気に変わるかもしれないのだ。
 戦いは少しずつ、終局に近づいていく。


 自由騎士達は海賊団の数を減らしながら、モーガンに従う女性達を各個撃破していく。
「ヒデー! やってれっかヨー!」
 前衛で動き回るベラを倒すことに成功するが、自由騎士の被害も少なくない。
「まだまだだ」
「痛いわね! ぶん殴るわよ!」
「……っ! まだ、倒れません!」
 前衛で戦うアリスタルフとエルシー、そしてアリアがフラグメンツを削られる。
「まだ倒れるわけにはいかんな……!」
「聞きしに勝るな、赤髭海賊団の強さは」
 ツボミとテオドールも後方から飛んでくる射撃にフラグメンツを燃やして耐え抜く。
「――――っ」
 血を流し、追い詰められたリムリィが声なき雄叫びをあげる。もはや理性などなく、闘争心に身を任せた状態となった。理性のブレーキが外れ、怒涛の勢いでハンマーを振るう。サチコの盾を吹き飛ばし、防御の要を削り切る。
「あかーん。あとまかせたわー」
「いい加減に……してください……!」
 満身創痍の状態で二刀を振るうアリア。海賊とマスミのレイピアがじわりじわりと体力を奪っていく。服の所々は敗れ、そこから肌が見え隠れしている。そこを隠そうとするアリアの動きを楽しむように、海賊達は攻撃を仕掛けていく。
「とっておきをみせてあげるわ。スカーレット・インパクト!」
 前衛にやってきた海賊を討つために、エルシーが戦闘中に高めた気を爆発させる。広範囲に広がるのではなく、一点に集中させての打撃。鋭く、そして重い一打が海賊を穿ち、昏倒させる。
「倒れるわけにはいかん。彼らの侵略を許せば、それが呼び水となって新たな盗賊行為が生まれるからな」
 テオドールは痛む体に活を入れるように歯を食いしばる。この一戦は今民を護るだけではない。自由騎士ここにありと喧伝し、以降の火事場泥棒への抑止力とする意味もある。魔力と体力が尽きるまで倒れるつもりはない。
「ヘルメリアからすれば、それを誘発させるつもりでモーガンを攻めさせたんだろうよ」
 テオドールの言葉に付け足すようにザルクが口を開いた。この時期に『偶然』海賊が攻めてくれば、追随する悪党もあらわれる。あてずっぽうだが、ありえる話ではあった。憎々しげに奥歯を噛みしめ、ザルクはヘンリエッタを狙って弾丸を放っていく。
「流石にレジスト持ってることは読まれたか。まあいい。時間はかせいだ」
 ヘンリエッタの矛先がこちらを向いていない事を確認し、ツボミは舌打ちするように呟いた。何度か術を飛ばされ、その感触から効果は薄いと判断されたのだろう。どうあれ重要な時間は稼いだ。残り時間を意識しながら必死に頭を回す。
「流石は噂に名高き赤髭海賊団。だが俺達もこれからが本領発揮だ」
 肩で息をしながらアリスタルフは警棒を構えて笑みを浮かべる。余裕などない。あともう少し攻められれば倒れてしまうだろう肉体。それでも不敵に笑みを浮かべる。そうすることでわずかでも時間が稼げれば、後は仲間が何とかしてくれるから。
「おおっと、お前の相手は俺がさせてもらうぜ」
 前衛に出てきたモーガンを押さえるようにウェルスが歩を進めた。振り上げたモーガンの大筒を相棒ともいえる『ウルサマヨル』の引き金を引いて軌跡を逸らす。できる事は何でもやる。抗う為の手段は、これまでの戦いで学んできた。
「……ちっ、時間をかけすぎたか……!」
 モーガンは夕日の位置を見て、舌打ちする。自由騎士との戦いに時間を取り過ぎた。街に居るシャンバラ民もこの戦いを目撃し、逃げ出す算段をしているかもしれない。
 だが――
「だが――まあ、これで終いだな!」
 モーガンの砲身がツボミの方を向く。衝撃と共に放たれた弾丸が、ツボミの意識を刈り取った。
「…………っ!?」
 自由騎士達は焦りと同時に失態を悟る。
 今回の作戦は防衛戦で、端的に言えば耐え抜くことが求められる。その為の条件とは何か。硬い盾? 風のような俊足? それも確かに個人レベルで必要だろう。だが優秀な回復役が欠ければ、防衛力は落ちる。
 ならば、誰かが回復役を守るかあるいは回復役に攻撃が向かわせないように挑発し、回復役であるツボミへのダメージ負担を減らす必要があった。パーティ唯一のヒーラーが倒れた以上、自由騎士は体力回復が出来ずじりじりとダメージが蓄積していく。
「くそ……! きついぜ、赤髭の旦那!」
「ヘルメリアの飼い犬に屈するつもりはねえ!」
 海賊達の攻撃を受けて、ウェルスとザルクが英雄の欠片を燃やす。
「静寂の天使が……頭上で舞ってます……」
「ふふふ。絶対呪う。イ・ラプセルの民が足の小指を家具の角にぶつけますように……」
 マスミとヘンリエッタが自由騎士の攻撃を受けて倒れるが、自由騎士達も消耗が激しい。既にフラグメンツを燃やしていたアリスタルフとエルシーとアリアとテオドールは既に倒れ、凶戦士状態のリムリィも倒れる寸前だ。
「ったく、こいつらをへばらせるなんざ大したもんだ」
 女性海賊に目を向け、モーガンが笑う。肩で息をしているが、まだ倒れる気配はない。残った海賊達も傷ついて入るが戦う気満々だ。
「へっへっへ。奴隷八名、女が四に男が四。今夜は楽しませてもらうぜ」
「赤髭海賊団に逆らった事を後悔させてやるぜ」
 まだ動ける自由騎士の隙をつき、倒れている自由騎士達を回収していこうとする海賊達。だがその足元に弾丸が叩き込まれる。
「おいおい、もう少しこっちと遊んでくれないか」
 口元を笑みの形に変え、ウェルスが銃口を向ける。体中の痛みを魔術で誤魔化し、倒れそうになる肉体を気力で支えていた。
「死にかけの分際で――」
 モーガンが大筒を構えると同時に、その動きに反応するようにウェルスも動く。銃の重さの分だけウェルスが早く。そして引き金が引かれる。
(分かるぜ、赤髭の旦那。あんたの動きが完全に)
 体中が熱でうなされたかのような状態の中、ウェルスの頭は冷え切ったかのようになっていた。モーガンの動きが手に取るようにわかる。何を考え、次に何をして、そして何をされれば嫌がるかを。
(同種族、同職業の海の男――変な偶然だが、だからこそなんだろうな!)
 ウェルスはモーガンの動きを完全に読み切っていた。そしてそれはモーガンが統率している『赤髭海賊団』の動きを支配しているも同然だった。
 チェスの一流プレイヤーは相手の指し方さえも支配すると言う。盤面の駒一つ一つで相手の思考を支配し、思うままのゲーム運びを行うのだ。
 ウェルスが今展開していることもまさにそれ。視線、銃口の向き、相手との距離、起きている味方と敵――状況そのものを駒とみて、戦場全てをコントロールする。常に冷静であろうとするウェルスだからこそたどり着いた場所。
「この俺が攻めきれない……だと!?」
 この状況、モーガンに負けはない。だが同時に勝ちもない。こちらが押せば合わせて引き、手を止めれば押し返してくる。
 故にこの奇跡は『パーペチュアル・チェッカー』――敗北必至の状況を覆す知の極地。冷静さが導いた一手。
 衝撃が船を揺るがす。戦闘開始から五分後に来る予定の、イ・ラプセルの突撃艇だ。海賊達が動揺する隙を縫って、ザルクとリムリィは倒れている仲間を回収し、船に戻っていく。
「流石赤髭海賊団だ。ふざけちゃいるが、恐ろしい相手だったぜ」
「そいつは最大の皮肉だな。覚えておくぜ、お前の顔」
 ウェルスはモーガンとそんなやり取りをした後に、船に戻っていく。

 海賊達が衝撃から立ち直る事には、突撃艇はもう離脱していた。


 戦い終わって一息ついた自由騎士達は傷の手当と状況確認を行っていた。
 赤髭海賊団の船がシャンバラに向かう様子はない。向こうも向こうで痛手を負っている。略奪を行う体力は残っていないだろう。しばらくした後に、沖の方に移動していった。
 自由騎士もけが人は多いが、命に別状はない。ツボミを始めとした医者が応急処置を施していく。本格的な治療は陸に戻ってからになりそうだ。
「酷い有様だな」
「だがまあ、これでどうにかなりそうだ」
 起き上がることも困難な状況だが、それでも自由騎士達の表情は晴れやかだった。

「派手にやられたな……くそ、大損だぜ」
 船や仲間の状況報告を受けたモーガンは言って椅子の背もたれに身を預ける。赤髪を乱暴にかき乱し、苛立ちを押さえ込んだ。
「でも『すぽんさー』からお金は貰えるんでっしゃやろ? 赤字ぐらいで落ち込まんでもええやん」
「まあな。『スポンサー』も小管区を取りに行けなかった腹いせがしたかったんだろうよ。ったく、人使いが荒いぜ。
 それよりも自由騎士とか言う連中の品定めがメインだったんだろうな」
「イ・ラプセルの騎士の品定め? この前の講和会議で獣のように吠えたてた礼儀知らずの田舎モンとちゃうん?」
「それがこちらのスパイを意識した演技の可能性もあるって話だ。心配性だね、雇い主は」
「ほーん? で、船長の評価はどうなん?」
「悪くない。特に最後のは本気で驚いた。一度酒宴にでも誘いたい奴らだな。あいつ等が絡みそうな仕事が来たら、積極的に受けてみるか」
 赤髭は口を笑みの形に変え、船長室の窓から海を見る。
 遥か遠くにある、イ・ラプセルの方角を――


†シナリオ結果†

成功

†詳細†

称号付与
『パーペチュアル・チェッカー』
取得者: ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)

†あとがき†

どくどくです。
文字数削りが最大の敵でした。

以上のような結果になりました。
モーガンはアルヴィダと対極の存在です。男と女。秩序(某国に忠誠)と混沌(某国に復讐)。飛び道具と近接武器。同じ海賊という立場なのに、目指すポイントは真逆です。
そんな彼と赤髭海賊団が自由騎士達とどのような物語を紡いでいくのか。それはSTであるどくどくにもわかりません。PBWだからね!

シャンバラの戦争は終局を迎えつつあります。
皆様の健闘を祈りながら、筆を置かせてもらいます。

それではまた、イ・ラプセルで。
FL送付済