MagiaSteam
Hundred! 百年使える路を作れ!



●陳情内容
『冬に向けて「燃料資源(薪、炭)、水資源の領内への供給改善」に取り組みたい。

 旧シャンバラ領は初めて「冬」を迎えることになる。
 領内の集落が無事に冬を越せるよう、集落への資源供給および備蓄を整備する事が目的だ。
 特に冬場は重要になる燃料資源の備蓄(薪や炭などの収集・集積)と、重労働で人々の生産性を損なう水資源の整備(井戸や用水路の整備)を主眼としたい。――――アデル・ハビッツ(CL3000496) 』

●シャンバラの一〇月
 越冬。
 かつて神が存在したころのシャンバラなら、想像すらしなかった言葉である。常春と呼ばれた空気は聖櫃と呼ばれるヨウセイの生命を使って維持されたもので、その聖櫃もそれを生み出した神もいない。支度をせずに冬を待つなど自殺行為といえよう。
 まだ同様に水資源の確保も重要だ。人は三日食べずとも死なないが、水は一日断つと命にかかわる。生命を維持するために確実な水の確保は必須である。
 幸か不幸か、それまでそういったことを必要としなかったシャンバラであるがゆえに鉱山や水脈はほぼ手付かずであった。後はその輸送経路を確保するだけである。
 問題は――

●自由騎士
「線路と用水路、作って……ねむ」
 ものすごく眠そうな表情で『芸術は爆発』アンセム・フィンディング(nCL3000009)は説明を開始……する前に眠っていた。
「寝てない寝てない。ええと……これが設計図……ふぁああああ」
 アンセムが用意した羊皮紙には、ニルヴァンにある鉱山や湖からどういうルートで線路や水脈を引くかが書かれた地図と、その設計図があった。専門的な知識がある者から見れば、非の打ち所がないものである。ただ問題は――
「これを……作るのか」
 自由騎士の言葉に、頷くアンセム。もう自分の仕事は終わったとばかりにうつらうつらとしている。
「道具と、材料は、あるから……あふぅ……人手も、技術も、あるから……あとは指導を……ぐう」
 睡魔に耐えきれずに机に突っ伏すアンセム。こうなると簡単には起きない事を自由騎士達は知っていた。
 まとめるとこうだ。
 鉱山から鉱物を運ぶ線路と、湖から水を運ぶ水路。この二つを作る。
 設計図はある、道具もある、材料もある、後は設計図に沿って作るだけ。
 問題は、その労力だ。人数も技術も問題ないが、野放図に行えば冬までに間に合わないだろう。計画立てて効率よく進めなければならない。舵を取る人間が必要だ。
 誰が?
「……俺達だよなぁ」
 自由騎士達は諦めたように肩をすくめた。


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
通常シナリオ
シナリオカテゴリー
資源発掘γ
担当ST
どくどく
■成功条件
1.鉱山から線路を引く
2.用水路を完成させる
 どくどくです。
 これがなければ冬将軍(幻想種)到来とか言うシナリオが出来たというのに……!(シナリオ案破りつつ

●説明ッ!
 主目的は『鉱山からの線路』と『湖から水路を引く』事になります。
 アンセムの設計図により大まかな計画表なども完成しており、同時に必要な材料なども用意済みです。工事に携わる人も充分そろっています。
 自由騎士達に求められるのは、その人間を動かすことです。
 やり方は自由です。自ら体を動かしてついてこさせても構いませんし、全体を見ながら指揮を執ってもいいでしょう。音楽や踊りなどで皆を鼓舞するやり方もありますし、スパルタ形式に行っても構いません。技能などはそれらをサポートしてくれるでしょう。
 基本的に工夫達は自由騎士を信用しています。よほど奇異な(それこそ成功条件に反しなければ)行動でなければ、ついていきます。人数は百人ほど(十人の頭に十名ずつの工夫がついているイメージ)です。
 ある程度形になれば、現場に任せる形になります(あるいは完成までずっと手伝うという設定でも構いません)。

●場所情報
 便宜上、工事現場を四つに分けます。どの現場で行動するかをプレイングに明記してください。一人が複数の現場を選んでも構いませんが、その分指導力も分散されます。

【鉱山付近】
 ニルヴァンにある鉱山。採掘量はそこそこ。鉱物を運ぶトロッコの駐屯地作製と線路を引く作業になります。また、時折動物や悪戯(破壊行為)好きな幻想種が出る可能性があるので、それ用の防衛策を備える必要があります。

【山道】
 鉱山からの坂道。主に伐採と線路の整備になります。道筋などはアンセムの設計図に書かれてあるので、それに沿う形で。単純な肉体作業になるので、娯楽などを用意するかあるいは体育会系のノリで押し切るなどが有効です。

【湖付近】
 ニルヴァンにある湖です。水門や水門管理の駐屯地作製がメインとなります。水門は蒸気機関で開閉されますので、その知識がある者が望ましいでしょう。

【水路作成】
 湖から繋がる川から水を各村へ運ぶ用水路の作製となります。道筋などはアンセムの設計図に書かれてあるので、それに沿う形で。村人との顔繋ぎが出来れば、手助けなどがもらえるかもしれません。

 ニルヴァン領主からの案件という事で、ある程度の予算は確保されています。
 移動用の蒸気自動車や追加の施設など、アイデアがあればそこから捻出可能です。

 皆様のプレイングをお待ちしています。

状態
完了
報酬マテリア
1個  1個  5個  1個
8モル 
参加費
100LP [予約時+50LP]
相談日数
6日
参加人数
8/8
公開日
2019年11月04日

†メイン参加者 8人†




「力仕事はまかせろー!」
 鉱山で勢い良く拳を振り上げる『イ・ラプセル自由騎士団』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)。椅子に座っての指揮よりも、前に立って体を動かす方が性に合う。前に立つ指揮官は現場に声が届きやすい事もあるため、メリットも大きかった。
「基礎部分は手を加えれそうだな」
 設計図を見ながらウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)はうむりと頷く。元の設計図のテーマを崩すことなく、基礎部分を強化する。材料などが些か足が出るが、それぐらいは予想範囲内だろう。相談した後でやってみるかと設計図をたたむ。

「さて、スパルタ式でいくぞ」
 行動から続く山道で『装攻機兵』アデル・ハビッツ(CL3000496)は拳を振り上げる。連れ添った工夫とニルヴァンで訓練中の兵士を連れ添っていた。よく動き、よく休む。スパルタ式は実のところ、効率重視で体を動かす方式なのだ。
「ではヨツカは先導して動こう。なに、ヨツカが動けば他も動く」
 冷える風を感じながら『背水の鬼刀』月ノ輪・ヨツカ(CL3000575)は顎を擦る。指揮官となって戦を導く経験はないが、兵士となって戦端を切り開くことには慣れている。雄々しい姿を見せれば、自然と工夫もついてくるだろう。

「二ルヴァン付近はイ・ラプセルよりも寒いし、ちゃんと冬に向けて準備しなきゃいけないわね」
 厚手のマントを羽織りながら『ピースメーカー』アンネリーザ・バーリフェルト(CL3000017)は湖を見る。今はまだこの程度で済むだろうが、本格的な冬が来れば防寒具はかなりのモノを用意しなくてはならない。そうなる前に施設を完成させるのだ。
「ああ、やっぱ農業牧畜土木はいいなあ。何かを作るっていいなあ」
 うんうんと頷く『たとえ神様ができなくとも』ナバル・ジーロン(CL3000441)。戦争で人を傷つけたり、人間の醜い所を見るのはもう疲れた。このままこうして物を作っていたい……という現実逃避から頬を叩いて脱却する。よし、仕事開始だ。

「村々を回って、挨拶をせねばな」
 水路を作るルートを確認しながら『達観者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)は思考する。邪険にされることはないだろうが、それでも長年住んでいる土地に手を加えるのだ。対応を誤れば禍根を残しかねない。挨拶周りは問題なく終わらせなければ。
「納期! スケジュール! 資材と予算の管理! これはもう、アタシの仕事ネ!」
 拳を握って気合を入れる『有美玉』ルー・シェーファー(CL3000101)。納期を守って物を完成させる。それがマーチャントでなくて何なのか。自分の得意領域なら下手は打てない。後、何故かバニー服だった。バニー服だった(大事な事なので二度言った)。

 かくして、自由騎士達の冬を超える為の工事が始まった。


 鉱山付近には、悪戯好きな幻想種――ゴブリンがいる。
 やることは工夫の足を引っかけたり、奇声をあげて挑発したりと言ったことだが時折物を盗んだりと度が過ぎる悪戯をする事もある。
「悪戯もそこまでじゃ!」
 シノピリカはそんなゴブリンを捕まえ、軽く頭を小突いた。サーベルを抜くような真似はしない。とりあえず悪い事を叱ればそれでいい。あとは交渉だ。こちらは山に立ち入った侵入者。テリトリーに立ち入ったのはこちらなのだという自覚があった。
「ぶつかり合うほかにも手段はあるはずじゃ! たとえば! ……そうじゃな。悪戯を止めて貰う代わりに肉を捧げるとか」
 ゴブリンの言葉が喋れる人間を探し、交渉するシノピリカ。元よりここに住むゴブリン達は人を襲うほどの気性はない。暗闇の中、夜目が利かない人達をからかっている程度だ。供物を捧げられていい気分になれば、それで満足するだろう。
「うむ。こちらはこれでいいな。後は動物対策か。猛獣への警戒・駆除は定期的に行わなければならぬのう」
「そっちの対策は任せるぜ。俺は工事に専念するから」
 言って手を振るウェルス。こちらに害為す物の相手はシノピリカに任せ、ウェルスは工事関係に専念していた。工夫達と一緒に汗を流して、駐屯地を作っていく。指揮をするだけでもいいのだが、偶には汗水流してみるのも悪くない。
「百年使えるようにするなら、足元はしっかりしないとな」
 時間と材料を計算するウェルス。設計図通りに進めれば概ね問題はないが、長く使うというのなら今ここでしっかり作っておくに越したことはない。しかし時間をかけすぎて間に合わない、となれば本末転倒だ。そのバランスを上手く両立しなければならない。
「下地を作ってから補強していくか。よし、褌をしめなおすぞ」
 アマノホカリの大工が言う言葉を口にして、ウェルスは工事に取り掛かる。
「作業は慎重に、技師の指導は絶対じゃ。何よりも安全第一! 確認ヨシ! ご安全に! ウム、これもアマノホカリの言葉らしいのぅ!」
「指さし確認か。米と言い、刀と言い、アマノホカリの文化は異質だな」
 シノピリカの言葉にウェルスが言葉を返す。遠い東国の文化は耳に聞こえるが、足を運ぶには遠すぎる。
「神なき国に生まれた文化。一度見てみたいのぅ。機会があれば遠く海を超えて行ってみたいものじゃが……戦時ではそれもかなわぬか」
「全くだ。今は工事を終わらせようぜ」
 うむ、とシノピリカがうなずき、この話題は終わる。
 いずれ運命が交差し、東国との縁が結ばれる日が来るのだろうか? それはプラロークですら見えない未来の話――


 山の中、自由騎士達の声が響き渡る。
「工程は大きく『ルート上の木の伐採』『伐採後の整地』『線路の敷設・固定』から成り立っている。我々はこれを、野戦築城の訓練も兼ねて取り組むぞ!」
 アデルは声を出して、工夫と兵士に指示を出す。声が大きいのではなく、皆に聞こえるような通るような声だ。砲撃轟く戦場に置いて、的確な指示を届ける兵士の声。
「今すぐそこまで敵軍が来ている! 騎馬隊だ! 急いで陣地を構築しなければ、全軍轢き殺される! そういうつもりで木を伐り倒せ!」
「走れ走れ! レールを持って走れ! 冬将軍は待ってはくれんぞ! レールの固定が終わったものから休憩してヨシ!」
 遠視の瞳で全体を把握し、工程の穴を埋めるように指示を出していくアデル。ただ身体を動かすだけではない。大事なのは効率だ。障害があるならそこに人を割り振り、十分なら休ませる。労働と休憩。その両方を上手く回してこそのスパルタ式なのだ。
「目に見える備えがあるとわかれば、ニルヴァンの民は安堵できる。これも国防の一つと理解して動け!」
「理解した。皆、ヨツカに着いてこい!」
 アデルの発破に乗るように、ヨツカが声をあげる。野太刀に手をかけ、息を吸い込みながら意識を集中する。世界全てが白紙になるほどに集中した後に、呼気と共に踏み込み、抜刀した。姿勢を正して納刀すると同時に、目の前の樹木が斬り落とされる。
「いいか、ヨツカ達は今、ここからこの山道を切り拓く! 皆の者、力の限り、突き進め! ヨツカについてこい!」
 ヨツカの伐採に奮起したのか、工夫達は声をあげて動き出す。ヨツカを先頭にして、山を切り拓いていく。ヨツカ自身も前に立ちながら、遠視の魔眼で先を見ながら山道を予測しつつ危険を避けて進んでいく。
「冬は厳しい! だがその為の備えがあれば立ち向かえる! よく動き、よく食べろ! 働いた後のメシは美味いぞ!」
「その通りだ。この道は未来を作る道。鉱山から多くの物資を運び、民に暖を与える生命線! それはニルヴァンで育つ子達を守る! その子供達を守るために働き、そして休め!」
「流石は領主。ヨツカはヒトを使う事には慣れていない。助かった」
「そうでもない。先導する者がいるからこその発破だ。だが領主の役割はこれで終了だな。やはり俺には、兵士の方が向いている」
「はは。戦場に在るほうがしっくりくるのはヨツカもだ。だが、こういうのも悪くない」
 ヨツカの言葉に頷くアデル。戦場で戦うことに慣れているからこそ、こういう仕事を尊く思う。破壊ではなく、創造でつなぐ未来。切り倒された山道は、多くの命を救うだろう。


「こんにちは! 水門作成の指揮を任されたアンネリーザ・バーリフェルトです!」
「ナバル・ジーロンだ。よろしくな!」
 湖に集まった工夫達に挨拶を交わした自由騎士達。やるべきことは水門とそこの駐屯地の作製だ。水門担当がアンネリーザで、駐屯地がナバルとなる。
(アンネリーザさんと共同作業……共同作業って言葉、なんかドキドキするな)
 と、思った後に頬を叩いて我に返るナバル。それを自ら気合を入れたと判断したのか、アンネリーザも活を入れる様に声をあげる。
「ナバル、手分けして頑張りましょう!」
「おう! ビシバシやっていくぜ!」
 こうして工事は始まる。ビシバシやるとナバルは言ったが、掲げた方針は過密と言うよりは工夫の身体を考慮したものだった。
「朝食はしっかり食べる! 水分補給もする! 休みは一時間! 怒らないから失敗は早めに報告する! でも作業はまじめに手を抜かない!」
 休む時は休み、その分仕事はしっかりとやる。作業をひと手間抜くと事故が起き、余計な手間が増えてしまう。それを防ぐための措置でもあった。
「へー、羊飼いやってたんだ。じゃあ獣避けの柵とかは得意かな? そっちをお願い。貴方は――」
 さらに、工夫の経歴から得意分野を導き出し、それに沿った仕事を宛がっていた。建物とは技術の複合により生まれる。大工は言うに及ばず、蒸気期間、安全管理、経済学……建物の目的に沿って必要な技術が変わるのだ。それを見出し、割り振ることは重要なことである。
「この辺りではまだ蒸気機関に懐疑的な人も居るかもしれないけど、冬の寒さを侮ると本当に、死にます!」
 元シャンバラの交付に向けて説明を開始するアンネリーザ。冬の存在を知らない事もあり、ここまで大掛かりな事をする理由が実感できていない者もいる。そういった人達に再度説明する意味で、アンネリーザは力説した。
「設置計画はこうです! 日数はこちらで、定期的に進捗状況を報告してください。遅れが出ても構いません。それをフォローするために正しい報告をお願いします」
 各工夫の頭に設置計画の詳細を告げるアンネリーザ。大事なのは現状がどうなっているかをしっかり把握すること。遅れが出た個所をどう補い、どう計画を修正するか。それを伝え、作業を開始させる。
「すごい! 流石は職人さんね! 予定通り、いいえ、予定より早く完成しちゃうかもしれないわね!」
 褒めるとことは褒める。駄目だったとしても、それを責めるのではなくどうするかを一緒に考える。そう言ったコミュニケーションがアンネリーザと工夫達の信頼を深めていた。


 そして湖からの水路作製である。用水路の作製と、それを受け取る村々との交渉だ。
「私は村々を回ろう。工事の方は任せたよ」
「ハーイ! 工数管理は任せてほしいネ!」
 といった感じで役割分担を分担するテオドールとルー。テオドールは村の方に向かい、ルーは工夫と相談を開始する。
「先ずはお話を聞いていただきありがとうございます。それでは――」
 村に着いたテオドールは一礼の後に説明を開始する。手土産に持ってきた厚手の布や保存の効く肉類が功を奏したのか、話し合いまではスムーズに進んだ。頭の固い者が頑なに拒否する可能性も考慮していたため、テオドールは静かに胸をなでおろす。
「予定はこのようになっています。工事の音等で迷惑をかけるかもしれません。そちらの都合が悪ければ日時をずらすことも可能です」
「ふうむ、実はこの日は村の祭で――」
 工事の時に怒るだろう障害と村への影響を説明してから話をするテオドール。それを隠して作業を行えば、今度の軋轢が生まれかねない。手間ではあるが、そこを怠るつもりはなかった。
「分かりました。その辺りを考慮して、工事日時を修正しましょう」
 意見を纏めて羊皮紙に記載し、次の村に向かうテオドール。
「戦闘に耐えうるバニー服が工事に耐えられないはずがないよネー」
 という理屈でルーはバニー服で工夫達を鼓舞していた。バニー、それはウサミミ&胸と太ももを強調した服装である。体のラインを強く強調し、同時に女性の各部位を余すことなく魅せている。それでいてウサギのかわいらしさを失わない二重属性(ダブルアトリビュート)を持つ服なのだ。故に鼓舞されないはずがない。
「あ、でも見飽きると効果ないから普段は仕事着で。ちょっとダレてきたらカンフル剤的にネー」
 ないのだが、やはり常時バニーはあれだろうという事で普段着で工事を管理するルー。現場を回ってめぼしい所にチェックを入れ、同時に食料などのロジスティックスも怠らない。正に商人だからこそ見える部分をふんだんに生かしていた。
「工事は順調かな。各村の意見を纏めておいた。目を通してくれ」
「フム? こっちの村は宿泊施設まで貸してくれるノネ。よきよき」
「ああ、基本的に工事には好意的だ。だが村自体の事情で工事が難しい日があるぐらいだな」
「マー、そこは避ければいいだけネ。あ、祭りだったらむしろ稼ぎ時? にぎやかしに行くとかどうネ?」
 そんなことを相談しながら、水路は作られていく。


 かくして工事は予想以上に順調に進む。
 休憩を重視した労働基準は一見労働時間が短いように思えるが、短時間で集中して作業を行える環境は短縮され時間を凌駕するほどの結果を生んだ。工夫を酷使して使い物にならないようになっていれば、工期は大きく遅れただろう。
「大きな怪我人が出ないのはいい事だ。予想していたよりは暇だったな」
 とは、サポートに来ていたマザリモノの医者の意見である。
 何よりも、自由騎士が明確なビジョンを持っていたことが大きい。設計図を基点とし、何をどうすればいいかが明確であったため指示も正確に出すことが出来た。リーダーの目的が明確なら、部下も動きやすい。
「それじゃあ、試運転するわよ」
 アンネリーザの宣言と同時に蒸気機関が動き出し、水門が開かれる。放出された水が澄色を走り、各村々へと水を届けていく。
「トロッコの走り始めじゃ! ワシを載せて走れるなら、そりゃあもう大安心じゃて!」
 そしてシノピリカを乗せて、鉱山からトロッコが走り出す。多くの鉱石とシノピリカを乗せたトロッコが山道を一気に駆け降りる。
 ニルヴァンの生活を支える道の完成に、工夫達は喜びの声を上げた。そしてその恩恵を受ける村人達も感謝の言葉を返すだろう。

 技術が発達し、もっとより良い方法で生活を支える事が出来るようになれば、いつかこの道が使われなくなる時が来るだろう。
 だがそれを惜しむ者はいない。技術はいつだって今を超えて進化する。今作った道を基盤にして、より良いものが出来るなら本望だ。今の道があるから、未来の技術がある。
 百年後、この土地がどうなっているか。
 それは未来を見る女神でさえ明らかではない遠い先の物語――


†シナリオ結果†

大成功

†詳細†


†あとがき†

どくどくです。
インフラ大事。超大事(暖房器具を引っ張り出しながら

以上のような結果になりました。休憩をきちんと考えていた……だと!?
というわけで、全員MVPという事で大成功です。

それではまた、イ・ラプセルで。
FL送付済