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ヒャッハァ! ラファール海撃隊!

●
「さて、さてさてみなさま。皆々様。この通商連議長、カシミロ・ルンベックよりお願いがございます」
あなた達が酒場で歓談していると、通商商業連合国カシミロ・ルンベックが話しかけてくる。
張り付いた笑顔がなんとも怪しい商人である。すぐそばにはカシミロの服の裾をつまんだ少女――13番が控えている。
「いえいえいえ、むつかしい話ではございません。もうすぐ豊穣祭がございますよね。イ・ラプセルのエールは本当に美味しいです。ええ、ええ、本当に。
国民に配るエールも足りなくてはせっかくのお祭りに水をさします。水の国だけに」
「くそつまんねえよ、でぶ」
ぼそりと13番がつぶやいた。
「これは手厳しい」
従者からの明らかな暴言に、顔色も変えずにカシミロは笑みを浮かべている。
「閑話休題。さて、ほかの国のエールではございますが、こちらにも追加でエールの準備はしております。ええ、ええ。もちろん格安で。イ・ラプセルのエールに飽きる、ということはないでしょうけれども、たまの口直しのブラックエールなんてあれば、皆様もお喜びくださるとおもいます。もちろん豊穣祭が終わった後にはこのブラックエールの取引も引き続きさせていただければと、ええ、ええ、そう思います。
香ばしく深い味わいはイ・ラプセルのものとは一味違ってまた美味でございます」
「本題」
カシミロの流れるような売り込みを止めるように13番が声をかけた。
「ほんとに、ぬーちゃんはしっかりしているねぇ。パパはうれしいよ。
さて、その輸送ルートにおいて、海賊が現れるのでございます。ああ、もちろんあなた方と懇意にしていらっしゃる海賊ではございませんよ」
カシミロの笑みが一層深まる。と、同時に自由騎士団がスカンディナ海賊団と懇意である情報をすでに得ているのだとにおわせるように。
「いいえ、いいえ、他意などございません。私共通商連はあなた方、イ・ラプセルの友人でございます。
海賊団の名前は『ラファール海撃隊』。
ミズビトと水の幻想種由来のマザリビトが中心の海賊でございます。
どうにもエールがお好みのようで、彼らが十中八九狙ってくると思われますので護衛をお願いしたいのでございます」
「船長はラファール・テンタクル。いわゆるクラーケンのマザリモノ
船員は、サハギンマザリモノとかミズビトとかめっちゃ磯臭い」
「詳しくは後程説明させていただきます」
カシミロのもみ手は今やハエのそれより早い。
「あと、うちのトリーディチを皆様とご一緒にお連れくださいませ」
「いや」
「こらこら、トリーディチ。ぱぱのお願いでもだめかい?」
「だまれ、くそでぶ」
「どうやら、トリーディチも快諾してくれたようです。彼女にはドクターの技術を教えておりますので。お役にたてるかと」
「やだって言っている」
どうにもちぐはぐな話にはなっているが、あなた達と13番は同行することになった。
●
「いくぜオーシャンラファール! いいか、てめぇら! 通商連のあの貨物船にはエールが山積みだぁ!」
イカの頭に人の胴体をもったマザリモノの壮年の男が触手を揺らしながら叫べば。
「おかしらぁ! エールを風呂に満たしたエール風呂に入っていいっすか?」
嬉しそうにイソギンチャクのケモノビトの青年が隊長に問いかけた。
「ばっきゃろう! そんな貴族的(ノウブル)な楽しみ方……わるくねぇな!」
彼らは久々の獲物の存在にご機嫌である。
「んじゃあ! 行くぜ!! オーシャンラファ―――ル!! 潮風を味方になぁ!!」
部下がそれってべたべたになるんじゃ……と突っ込みをいれているが、イカのおっさんは気づかない。
「さて、さてさてみなさま。皆々様。この通商連議長、カシミロ・ルンベックよりお願いがございます」
あなた達が酒場で歓談していると、通商商業連合国カシミロ・ルンベックが話しかけてくる。
張り付いた笑顔がなんとも怪しい商人である。すぐそばにはカシミロの服の裾をつまんだ少女――13番が控えている。
「いえいえいえ、むつかしい話ではございません。もうすぐ豊穣祭がございますよね。イ・ラプセルのエールは本当に美味しいです。ええ、ええ、本当に。
国民に配るエールも足りなくてはせっかくのお祭りに水をさします。水の国だけに」
「くそつまんねえよ、でぶ」
ぼそりと13番がつぶやいた。
「これは手厳しい」
従者からの明らかな暴言に、顔色も変えずにカシミロは笑みを浮かべている。
「閑話休題。さて、ほかの国のエールではございますが、こちらにも追加でエールの準備はしております。ええ、ええ。もちろん格安で。イ・ラプセルのエールに飽きる、ということはないでしょうけれども、たまの口直しのブラックエールなんてあれば、皆様もお喜びくださるとおもいます。もちろん豊穣祭が終わった後にはこのブラックエールの取引も引き続きさせていただければと、ええ、ええ、そう思います。
香ばしく深い味わいはイ・ラプセルのものとは一味違ってまた美味でございます」
「本題」
カシミロの流れるような売り込みを止めるように13番が声をかけた。
「ほんとに、ぬーちゃんはしっかりしているねぇ。パパはうれしいよ。
さて、その輸送ルートにおいて、海賊が現れるのでございます。ああ、もちろんあなた方と懇意にしていらっしゃる海賊ではございませんよ」
カシミロの笑みが一層深まる。と、同時に自由騎士団がスカンディナ海賊団と懇意である情報をすでに得ているのだとにおわせるように。
「いいえ、いいえ、他意などございません。私共通商連はあなた方、イ・ラプセルの友人でございます。
海賊団の名前は『ラファール海撃隊』。
ミズビトと水の幻想種由来のマザリビトが中心の海賊でございます。
どうにもエールがお好みのようで、彼らが十中八九狙ってくると思われますので護衛をお願いしたいのでございます」
「船長はラファール・テンタクル。いわゆるクラーケンのマザリモノ
船員は、サハギンマザリモノとかミズビトとかめっちゃ磯臭い」
「詳しくは後程説明させていただきます」
カシミロのもみ手は今やハエのそれより早い。
「あと、うちのトリーディチを皆様とご一緒にお連れくださいませ」
「いや」
「こらこら、トリーディチ。ぱぱのお願いでもだめかい?」
「だまれ、くそでぶ」
「どうやら、トリーディチも快諾してくれたようです。彼女にはドクターの技術を教えておりますので。お役にたてるかと」
「やだって言っている」
どうにもちぐはぐな話にはなっているが、あなた達と13番は同行することになった。
●
「いくぜオーシャンラファール! いいか、てめぇら! 通商連のあの貨物船にはエールが山積みだぁ!」
イカの頭に人の胴体をもったマザリモノの壮年の男が触手を揺らしながら叫べば。
「おかしらぁ! エールを風呂に満たしたエール風呂に入っていいっすか?」
嬉しそうにイソギンチャクのケモノビトの青年が隊長に問いかけた。
「ばっきゃろう! そんな貴族的(ノウブル)な楽しみ方……わるくねぇな!」
彼らは久々の獲物の存在にご機嫌である。
「んじゃあ! 行くぜ!! オーシャンラファ―――ル!! 潮風を味方になぁ!!」
部下がそれってべたべたになるんじゃ……と突っ込みをいれているが、イカのおっさんは気づかない。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.『ラファール海撃隊』から通商連の貨物を守る
ねこてんです。
今回は『ラファール海撃隊』との戦いになります。ちなみにラファールとは風のことです。
フリーエンジンの先生が言っていた海賊になります。磯臭いです。
とにかくテンションの高い海のごろつきです。それなりの練度はあります。
勝てないと思えばサクッと撤退します。
豊穣祭のためのエールがたくさん積まれていますのでしっかり守って下さい。失敗したらエールの量が減ってしまいます。
今回は13番も同行します。
あなた方の監視の意味もあるようです。基本的には回復をしていますが何か指示があれば相談卓で
【13番指示】
のタグにて指示をくださいませ。基本的に言うことは聞きます。ランク2のスキルも使えます。
基本的に口は悪いですが機嫌が悪いわけではなく、そういう性格なだけです。
ロケーション
通商連の貨物船の甲板になります。わりと広いです。船員たちは戦闘が始まれば船室に避難します。
できるだけ船は壊さないでください。あまりにも壊れすぎると貨物室のエールの樽が割れますし、通商連から請求がきて、報酬が下げられてしまいます。
ラファールたちは自分の船を接舷させて飛び込んできます。海から奇襲が来る可能性があります。
エネミー
全員ハイバランサー急を使うことができます。
けん制で大砲をぶっぱしてきますが当たらないので大丈夫です。
磯臭いです。
ラファール・テンタクル(バスター)
ラファール海撃隊の隊長です。クラーケンのマザリモノ。
ランク2のスキルを使ってきます。火力は高め。テンションも高め。
触手で攻撃してきます。技能に【武人】
EXスキル:触手
痺れる触手でぬめぬめします。締め付けることで二連ダメージになります。
クリティカル攻撃で布地は溶けます。ファンブルで防御に失敗しても布地は溶けます。気を付けて!
マリオ・デッシ(フェンサー)
ラファール海撃隊の隊長です。イソギンチャクのケモノビト。
ランク2のスキルを使ってきます。速度は高めのビルド。テンション高いです。
背中で触手がうねうねしています。
サハギンのマザリモノ(ガンナー)
テンション高いです。
鯖のケモノビト(ドクター)
テンション高いです。頭が鯖です。生臭い。
ミズビト×3
テンション高いです。海から奇襲をかけてきます。
バスター、ルクタートル×2
ラファールとマリオ以外は基本ランク1スキルで戦います。
乱戦になると思いますが、気楽に楽しんでください。
今回は『ラファール海撃隊』との戦いになります。ちなみにラファールとは風のことです。
フリーエンジンの先生が言っていた海賊になります。磯臭いです。
とにかくテンションの高い海のごろつきです。それなりの練度はあります。
勝てないと思えばサクッと撤退します。
豊穣祭のためのエールがたくさん積まれていますのでしっかり守って下さい。失敗したらエールの量が減ってしまいます。
今回は13番も同行します。
あなた方の監視の意味もあるようです。基本的には回復をしていますが何か指示があれば相談卓で
【13番指示】
のタグにて指示をくださいませ。基本的に言うことは聞きます。ランク2のスキルも使えます。
基本的に口は悪いですが機嫌が悪いわけではなく、そういう性格なだけです。
ロケーション
通商連の貨物船の甲板になります。わりと広いです。船員たちは戦闘が始まれば船室に避難します。
できるだけ船は壊さないでください。あまりにも壊れすぎると貨物室のエールの樽が割れますし、通商連から請求がきて、報酬が下げられてしまいます。
ラファールたちは自分の船を接舷させて飛び込んできます。海から奇襲が来る可能性があります。
エネミー
全員ハイバランサー急を使うことができます。
けん制で大砲をぶっぱしてきますが当たらないので大丈夫です。
磯臭いです。
ラファール・テンタクル(バスター)
ラファール海撃隊の隊長です。クラーケンのマザリモノ。
ランク2のスキルを使ってきます。火力は高め。テンションも高め。
触手で攻撃してきます。技能に【武人】
EXスキル:触手
痺れる触手でぬめぬめします。締め付けることで二連ダメージになります。
クリティカル攻撃で布地は溶けます。ファンブルで防御に失敗しても布地は溶けます。気を付けて!
マリオ・デッシ(フェンサー)
ラファール海撃隊の隊長です。イソギンチャクのケモノビト。
ランク2のスキルを使ってきます。速度は高めのビルド。テンション高いです。
背中で触手がうねうねしています。
サハギンのマザリモノ(ガンナー)
テンション高いです。
鯖のケモノビト(ドクター)
テンション高いです。頭が鯖です。生臭い。
ミズビト×3
テンション高いです。海から奇襲をかけてきます。
バスター、ルクタートル×2
ラファールとマリオ以外は基本ランク1スキルで戦います。
乱戦になると思いますが、気楽に楽しんでください。

状態
完了
完了
報酬マテリア
2個
6個
2個
2個




参加費
100LP [予約時+50LP]
100LP [予約時+50LP]
相談日数
6日
6日
参加人数
8/8
8/8
公開日
2018年10月15日
2018年10月15日
†メイン参加者 8人†
●
「私はエルシー。突撃しか能がないから怪我がたえないのよ。ヒーラーなんでしょ?アテにしてるから、よろしくね!」
通商連の商船の穂先でしゃがんでぼーっと前を見つめている『スレイブ』十三・番(nCL3000025) に『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)が声をかけた。
「13番。おっぱいちぎるぞ」
了承の意味らしい。
「はっはっは、元気だな」
挨拶するも、相変わらずのけんもほろろな返答に『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)が笑みを浮かべる。
「で、どうだ? あのでぶちんから何を言われて来たんだ?」
「でぶじゃない。カシミロ様」
「ほう?」
どうにも自分以外が彼の悪口を言うことに嫌悪感があるらしい。無表情の眉が一瞬だけ動いたことにツボミはほくそ笑んだ。
「ぬめぬめして磯臭いのかー……」
『全力全開!』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)は特殊な染料を使い鮮やかな茜色の衣装を摘み、うんざりとした顔をする。藍色混じりのその茜色は深い色で大陸産のものだ。早々手軽に買える服ではない。そも、染料は赤と青はこのあたりでは染め物師たちの取り決めで同時に使うことはできない。色が混ざり雑味を帯びてしまうからだ。故にカーミラの服は特殊な染め方をしたのだろう。このあたりではあまり見ない色だ。
「……ふふ、エールを狙う海賊ですって? いい度胸してるじゃないの……」
甲板前方付近で警戒を続ける『梟の帽子屋』アンネリーザ・バーリフェルト(CL3000017)はミシミシと音がなりそうなくらいの勢いで手摺を握り昏く笑うと、翼をはためかせ哨戒のため飛び立つ。
「エールの横取りか。狡い奴らというかなんというか」
アンネリーザの凄みに面食らいながらも、『蒼影の銃士』ザルク・ミステル(CL3000067)は自らのカタフラクトの継ぎ目に防水の処理をする。
イ・ラプセルのカタフラクトであれば海に面した水の国故にある程度の防水加工はされているのだが、彼のカタフラクトはヘルメリアで作られたものだ。高価なものであれば耐水性もあるだろうが、貴族でなくては手に入れることは難しいだろう。
「陽気な人は嫌いじゃないんだけどね」
はは、と太陽のようなかんばせを緩め、『挺身の』アダム・クランプトン(CL3000185)もまた13番に挨拶を終え、唯一の同性であるザルクに話しかけた。(もうひとりいるにはいるが、どうにも絵になる写角を求めているらしく両手の指をL型にしてアチラコチラをみまわっていたので声をかけずにいた)
ちなみに彼の挨拶に対する13番の返事は「うるせー、この女たらし顔」であった。ずいぶんとご機嫌そうである。
「わたくし達の力を見せつけて、とっととご退場願いましょう!! ねえ! アダム!」
「そ、そうだね。頑張ろう!」
相変わらずの勢いの『高潔たれ騎士乙女』ジュリエット・ゴールドスミス(CL3000357)に押されるようにアダムが答える。
「――――!」
瞬間、マスト近くで警戒をしていた自由騎士とアンネリーザが同時に警告の声をあげた。
その警告に彼ら自由騎士は一瞬にして、気持ちを入れ替る。少女騎士が船員たちをを誘導すれば、彼らは事前に打ち合わせた配置につく。珍しいことに、普段前衛につくはずのアダムと『天辰』カスカ・セイリュウジ(CL3000019)は後方に配している。後ろからの奇襲に備えたのだ。
ドォン、ドォンと牽制の大砲が放たれる。
「んもう! あたったらどうするのよ! エールが台無しでしょ!!!」
アンネリーザが愚痴る。オラクルの恩恵で当たることはないだろうが、もしもというものはどこにでも転がっているのだ。この船には彼女の宝物(エール)が詰まっている。守りきらなくてはならない。
通商連の船よりは小型の船が速やかに接舷する。件の海賊船である。
「行くぜ!!! オーシャンラファーーーーーーール!!!」
ラファール海撃隊の隊長である、クラーケンのマザリモノ、ラファール・テンタクルが高らかに名乗りを上げて通商連の船に乗り込めば、イソギンチャクのケモノビトであるマリオ・デッシが背中の触手を揺らしながら続き、サハギンのマザリモノと鯖も乗り込んで来る。
「きたわね、魚介類! エールの肴にしてあげるわ! 触手って食べれるのかしら?」
エルシーは拳を手のひらにたたきつけて好戦的な笑みを浮かべた。
「で、お前さんらは……船員ではないよなあ? 何者だ?」
「海賊に名乗る名前は……」
「おーっほほほほ!! わたくしはジュリエット・ゴールドスミス!
ラファール海撃隊の皆さん。貴方方にはご退場願いますわ!!!」
「カーミラ・ローゼンタールだよっ!!!」
キラッキラの爆発音とともに名乗るはキラッキラアイドルオーラを煌めかせる二人。ザルクはもう何でもいいかってちょっと思い始めた。だってキラキラのアイドルだもん。しかたない。
兎にも角にも戦闘が始まる。
誰よりも早い速度で飛び込んでくるのは切り込み隊長マリオ・デッシ。その速度を活かした神速の剣でキラキラのカーミラに飛び込んでいく。
「わわっ!」
ガントレットで受け流し切れないダメージがカーミラの素肌を刻む。
「その名称微妙に間違ってません? オセアンラファール、もしくはオーシャンガストでしょう?」
カスカが妖刀・逢瀬切乱丸 序から斬気を放ちラファールに問いかける。
「ノリってもんだ! お嬢ちゃん! 叫んで気持ちいいくらいでいいのさ!」
イカのおっさんがガハハと笑って答ながら触手で前衛で聖剣「ロミオ」に充填中のジュリエットを襲う。彼らにとって充填とは未知のスキルだ。なおかつその相手が前衛にいるのであれば狙うが道理。
「ひゃうっ?!」
矢継ぎ早に繰り出される触手は的確にジュリエットの衣服を溶かしていき、ロングスカートが際どいミニスカートになる。動けば中身が見えてしまいそうな丈になり、脇腹あたりからみずみずしい素肌がのぞいている。
「アダム! みちゃだめですわ!」
大丈夫だ、そもそも彼は後ろからくると思われる伏兵を警戒してジュリエットを見ていない。
「アダムゥゥゥゥゥ!!!」
「えっ?! 何?! うわ!!」
なんだかそれに妙ないらだちを感じたジュリエットが叫べば、アダムは自らのマントを投げてよこした。そういうことじゃないんだけど、まあありがたいのでジュリエットは受け取っておく。
「ジュリエット?! このいやらしい触手がっ!」
友人のピンチにエルシーがジュリエットをかばうように、鉄山靠をイカに繰り出せば、後衛のサハギンにもその攻撃は到達する。
「てやーーーー!!」
カーミラはいつもの雄叫びを上げて震撃で眼の前のマリオを殴る。背中の触手がちょっと気持ち悪い。重力がマリオを襲い、動きが緩慢になったことにやった! とカーミラは顔をほころばした。
「私のエール……もとい、イ・ラプセルへの貨物に手を出した事を後悔させてあげるわ……!!」
メンバーで最も強い情念で動くのはアンネリーザだ。梟の羽をはためかせ、上空からヘッドショットをラファールに向けて放つ。
「いい弾だ! だが! 火力がたりねぇ!」
弾丸を触手に絡め取りラファールが笑みを浮かべた。
ダダダン、と鯖の周りをザルクが放った不可視の術弾が穿つ。
「なんだこりゃああああああああ!」
簡易型の束縛結界がドクター鯖を縛め、その動きを封じる。とある将軍が好んで使っていたエクストラスキル。誰も伝承することができなかったその技は彼が命を賭して得た奇跡の御技。
ザルクの横合いから、アダムのハチェットが唸りをあげ鯖に命中する。
「おーおー、眼福、眼福だな」
ツボミはニヤニヤ笑いながもジュリエットに回復を齎す。その後ろで13番もツボミの指示に追随するように回復する。
「ヒャッハァ!!! ラファー……」
ターンが終わったその瞬間を狙うかのように後方からミズビトの隊員が水柱を上げて派手に奇襲? するのをカスカが最後まで言わせる前に三連の閃刃で叩き落とされた。彼女には奇襲は通じない。
哀れそのミズビトは海に叩き込まれる。然し残りの二人は後衛側に乗り込むことに成功する。
「こんなものなのですか? あなた達は。これなら、断然アルヴィダのほうが強かったですよ」
「アルヴィダだとぉお!!」
その、海賊たちにとっては、王国よりも、通商連よりも大きな名前にラファールたちはどよめく。
「あの、冷酷無比、通ったあとは魚ですら住み着かないといわれるスカンディナ海賊団のことか?!」
「あの、海の男を侍らせ、全部が船長の愛人というあのスーパーオーシャンビッチのアルヴィダのことか!!」
「噂の尾ひれってとんでもないんですね」
「面白いじゃあねえか! スカンディナ海賊団と比べられるとはな! おい! 野郎ども! 俺たちオーーーーーーーーーーーーーシャンラファールの力も見せつけてやれ!」
ラファールが号令をかけると同時に潜在能力を引き上げる。
「乙女の肌! 晒させたその怒り! 思い知りなさい!」
ジュリエットの圧縮された魔導力が空に放たれ、充填で倍加された光の雨がラファールを強く打ち据える。ラファールの肌がピキピキと氷り始めるが、しかし、パキンと磨かれた筋肉に阻まれ、クリーンヒットにはいたらない。
「ジュリエットが本気だわ! 私もまけていられないっ!」
「そうだね! ルクタートルも強いんだってみせつけるよー!」
その火力に克己されるのはエルシーとカーミラ。二人は目配せし合うと、鉄山靠と震撃をイソギンチャクに炸裂させる。
「アンタ達なんかにねぇ! 私のエールをタダでくれてやる訳には行かないのよ! このイカ野郎!!」
怒髪天のアンネリーザはとにかくラファールを狙う。別に怒りのバッドステータスがついているわけでもないのにこの有様だ。
ザルクはマイペースに動けずにいるドクターを狙った二連射を狙うが、誰も対応していなかったサハギンがゼロ距離射撃を狙い前衛を突破してきたので、彼はサハギンへの二連射に切り替えざるを得なかった。
アダムは二人目のミズビトを狙い、蒸気鎧装から煙を噴出させながら蹴撃を仕掛けた。
走り出しこそ良かったものの、自由騎士たちが狙う的が現状ではバラバラになってしまっていることで、戦局は想定しているより長くなってしまっている。もともと長期戦に強いメンバーではあったが、魔力はどんどんと失われて行くばかりだ。
体力についてはツボミと13番の卒のない回復に加え、ジュリエッタの高い回復力のサポートが有ることもあって、敵側の高い攻撃力に対して、防御壁になっている。海に叩き落としたミズビトが復帰することはなかったが、とはいえ、各個撃破できていないという状況は、芳しくはない。ドクターの鯖はパラライズから自己回復すれば回復は当然ながら飛ぶ。ラファールはオーバーロードによる自己修復で多少のダメージはなかったことにできる。ザルクはドクターの回復を止めようとパラライズショットを撃つが、クリーンヒットしないこともある。仲間の自由騎士たちの支援攻撃はあるものの、なかなか決め手が出せずにいた。
業を煮やした回復役のツボミは皆に、集中攻撃の指示を向ける。
「ボスを狙え、ボスを! 服が溶かされる? それは大いに結構だ! 頑張れ!」
「しつこい奴らだぜい!!」
傷だらけのラファールが戦法をバーサークに切り替える。
「あいつもうすぐ倒せるよ!」
カーミラが叫び、警告すれば、奇襲のミズビトを各個撃破でなんとか倒し終えたカスカとアダムもまたボスへの戦線に加わる。
「エール酒が欲しいなら真っ当なお客さんとして僕らの国に来たまえ。その際は共に豊穣祭を楽しもう!」
「馬鹿言っちゃいけねえよ! 坊っちゃん! 俺たちゃ海賊さ。悪党はそんな誘いに乗るわけにはいかないのさ! 沽券ってものがあってなぁ!!」
バーサークによって強化された触手はダメージと共に、アダムの服を溶かす。
「くっ……!」
機械の肌が見えてしまうことに少年は苦悶の呻きを漏らす。
「シャッターチャンス!!! くまさんも! 早く撮って!! あとでいくらでも支払います!!」
「きゃーーー!」
仲間のピンチだというのに、ずいぶんと楽しげなジュリエットとエルシーである。女子恐ろしきかな。
「私はあれですよ。服を溶かしたら当局からとんでもない通告がきますので、あとカーミラはああ見えて、12歳ですので、もっと本気でやばいです」
「え? 私? だめなの?」
「えっ! まじかよ!! ファッキン! 当局!!!」
しれっと合法ロリであるカスカが嘘混じりの牽制をかけながら三連の刃を煌めかせ、その全てをラファールに叩き込んだ。ザルクは最後のパラライズショットを畳み掛けるようにラファールに撃ち込む。多少仲間(アダム)が巻き込まれたが、半裸の動けない少年というシチュエーションは主に二人の女子に大受けだったからまあ大丈夫だと思う。本人にはあとで謝ろう。
ザルクが作り上げたその一瞬のチャンスを逃すアンネリーザではない。
「一昨日来やがれ! エールの恨みを思い知ったかー!!」
「おかしらぁああああああああ!」
脳天にバーサーカーアンネリーザの弾丸をくらい、倒れたラファールを巨乳に囲まれてボコられつつもギリギリ生き延びたマリオが抱え、接舷した船に戻る。
「てめぇら! 退くぞ!!」
マリオの叫びにサハギンと鯖もボロボロになりつつも倒れたミズビトの二人を背負って撤退していった。
「別に豊穣祭にきてもいいんだからねー!」
断られたとはいえ、その背中にエルシーはもう一度彼らに誘いをかけるが、返事はばーかばーか! という捨て台詞であった。
ザルクは周辺にまだ伏兵がいないかを確かめ、船員を呼び出しエールが無事であったかを尋ねれば、大丈夫だという。
「大丈夫か、味見してたしかめてやるよ」
手を差し出しそんなことを言うザルクの手を船員が苦笑しながらぱちんと叩いた。豊穣祭当日まではお預けのようだ。
●
「あった」
戦闘後、船にしゃがみこんだ13番が何かを拾い上げた。
「これ、てめーらも知ってるはず」
出されたものは小さな青い宝石のような物質。ツボミはああ、と答える。よく知っているものだ。それはマテリアと呼ばれる正体不明の物質だ。彼らの給金にも含まれている主にスキルを強化するための触媒石である。
「まあ、よくわからんが、自分らはマテリアと呼んでいるな」
「これ、てめーら、イ・ラプセルのオラクルの周辺でよく発生? してるみたい」
他の国のオラクルの周りでも発生はするけれど、これほどの量にはならないと、13番は付け足した。
「ほう?」
「ぱぱ、じゃなくてカシミロ様が、集めてる」
「なるほど。君が今回監視についてきたのはこのマテリアが目的だったのかい?」
カシミロについて何かを聞こうとしていたアダムも口を挟んでくる。
「そう、ねえ。てめーら。通商連と商売をしない? 対価はこのマテリア」
「商売?」
「うん、てめーらが見たこともない商品と交換してやる」
「私はエルシー。突撃しか能がないから怪我がたえないのよ。ヒーラーなんでしょ?アテにしてるから、よろしくね!」
通商連の商船の穂先でしゃがんでぼーっと前を見つめている『スレイブ』十三・番(nCL3000025) に『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)が声をかけた。
「13番。おっぱいちぎるぞ」
了承の意味らしい。
「はっはっは、元気だな」
挨拶するも、相変わらずのけんもほろろな返答に『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)が笑みを浮かべる。
「で、どうだ? あのでぶちんから何を言われて来たんだ?」
「でぶじゃない。カシミロ様」
「ほう?」
どうにも自分以外が彼の悪口を言うことに嫌悪感があるらしい。無表情の眉が一瞬だけ動いたことにツボミはほくそ笑んだ。
「ぬめぬめして磯臭いのかー……」
『全力全開!』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)は特殊な染料を使い鮮やかな茜色の衣装を摘み、うんざりとした顔をする。藍色混じりのその茜色は深い色で大陸産のものだ。早々手軽に買える服ではない。そも、染料は赤と青はこのあたりでは染め物師たちの取り決めで同時に使うことはできない。色が混ざり雑味を帯びてしまうからだ。故にカーミラの服は特殊な染め方をしたのだろう。このあたりではあまり見ない色だ。
「……ふふ、エールを狙う海賊ですって? いい度胸してるじゃないの……」
甲板前方付近で警戒を続ける『梟の帽子屋』アンネリーザ・バーリフェルト(CL3000017)はミシミシと音がなりそうなくらいの勢いで手摺を握り昏く笑うと、翼をはためかせ哨戒のため飛び立つ。
「エールの横取りか。狡い奴らというかなんというか」
アンネリーザの凄みに面食らいながらも、『蒼影の銃士』ザルク・ミステル(CL3000067)は自らのカタフラクトの継ぎ目に防水の処理をする。
イ・ラプセルのカタフラクトであれば海に面した水の国故にある程度の防水加工はされているのだが、彼のカタフラクトはヘルメリアで作られたものだ。高価なものであれば耐水性もあるだろうが、貴族でなくては手に入れることは難しいだろう。
「陽気な人は嫌いじゃないんだけどね」
はは、と太陽のようなかんばせを緩め、『挺身の』アダム・クランプトン(CL3000185)もまた13番に挨拶を終え、唯一の同性であるザルクに話しかけた。(もうひとりいるにはいるが、どうにも絵になる写角を求めているらしく両手の指をL型にしてアチラコチラをみまわっていたので声をかけずにいた)
ちなみに彼の挨拶に対する13番の返事は「うるせー、この女たらし顔」であった。ずいぶんとご機嫌そうである。
「わたくし達の力を見せつけて、とっととご退場願いましょう!! ねえ! アダム!」
「そ、そうだね。頑張ろう!」
相変わらずの勢いの『高潔たれ騎士乙女』ジュリエット・ゴールドスミス(CL3000357)に押されるようにアダムが答える。
「――――!」
瞬間、マスト近くで警戒をしていた自由騎士とアンネリーザが同時に警告の声をあげた。
その警告に彼ら自由騎士は一瞬にして、気持ちを入れ替る。少女騎士が船員たちをを誘導すれば、彼らは事前に打ち合わせた配置につく。珍しいことに、普段前衛につくはずのアダムと『天辰』カスカ・セイリュウジ(CL3000019)は後方に配している。後ろからの奇襲に備えたのだ。
ドォン、ドォンと牽制の大砲が放たれる。
「んもう! あたったらどうするのよ! エールが台無しでしょ!!!」
アンネリーザが愚痴る。オラクルの恩恵で当たることはないだろうが、もしもというものはどこにでも転がっているのだ。この船には彼女の宝物(エール)が詰まっている。守りきらなくてはならない。
通商連の船よりは小型の船が速やかに接舷する。件の海賊船である。
「行くぜ!!! オーシャンラファーーーーーーール!!!」
ラファール海撃隊の隊長である、クラーケンのマザリモノ、ラファール・テンタクルが高らかに名乗りを上げて通商連の船に乗り込めば、イソギンチャクのケモノビトであるマリオ・デッシが背中の触手を揺らしながら続き、サハギンのマザリモノと鯖も乗り込んで来る。
「きたわね、魚介類! エールの肴にしてあげるわ! 触手って食べれるのかしら?」
エルシーは拳を手のひらにたたきつけて好戦的な笑みを浮かべた。
「で、お前さんらは……船員ではないよなあ? 何者だ?」
「海賊に名乗る名前は……」
「おーっほほほほ!! わたくしはジュリエット・ゴールドスミス!
ラファール海撃隊の皆さん。貴方方にはご退場願いますわ!!!」
「カーミラ・ローゼンタールだよっ!!!」
キラッキラの爆発音とともに名乗るはキラッキラアイドルオーラを煌めかせる二人。ザルクはもう何でもいいかってちょっと思い始めた。だってキラキラのアイドルだもん。しかたない。
兎にも角にも戦闘が始まる。
誰よりも早い速度で飛び込んでくるのは切り込み隊長マリオ・デッシ。その速度を活かした神速の剣でキラキラのカーミラに飛び込んでいく。
「わわっ!」
ガントレットで受け流し切れないダメージがカーミラの素肌を刻む。
「その名称微妙に間違ってません? オセアンラファール、もしくはオーシャンガストでしょう?」
カスカが妖刀・逢瀬切乱丸 序から斬気を放ちラファールに問いかける。
「ノリってもんだ! お嬢ちゃん! 叫んで気持ちいいくらいでいいのさ!」
イカのおっさんがガハハと笑って答ながら触手で前衛で聖剣「ロミオ」に充填中のジュリエットを襲う。彼らにとって充填とは未知のスキルだ。なおかつその相手が前衛にいるのであれば狙うが道理。
「ひゃうっ?!」
矢継ぎ早に繰り出される触手は的確にジュリエットの衣服を溶かしていき、ロングスカートが際どいミニスカートになる。動けば中身が見えてしまいそうな丈になり、脇腹あたりからみずみずしい素肌がのぞいている。
「アダム! みちゃだめですわ!」
大丈夫だ、そもそも彼は後ろからくると思われる伏兵を警戒してジュリエットを見ていない。
「アダムゥゥゥゥゥ!!!」
「えっ?! 何?! うわ!!」
なんだかそれに妙ないらだちを感じたジュリエットが叫べば、アダムは自らのマントを投げてよこした。そういうことじゃないんだけど、まあありがたいのでジュリエットは受け取っておく。
「ジュリエット?! このいやらしい触手がっ!」
友人のピンチにエルシーがジュリエットをかばうように、鉄山靠をイカに繰り出せば、後衛のサハギンにもその攻撃は到達する。
「てやーーーー!!」
カーミラはいつもの雄叫びを上げて震撃で眼の前のマリオを殴る。背中の触手がちょっと気持ち悪い。重力がマリオを襲い、動きが緩慢になったことにやった! とカーミラは顔をほころばした。
「私のエール……もとい、イ・ラプセルへの貨物に手を出した事を後悔させてあげるわ……!!」
メンバーで最も強い情念で動くのはアンネリーザだ。梟の羽をはためかせ、上空からヘッドショットをラファールに向けて放つ。
「いい弾だ! だが! 火力がたりねぇ!」
弾丸を触手に絡め取りラファールが笑みを浮かべた。
ダダダン、と鯖の周りをザルクが放った不可視の術弾が穿つ。
「なんだこりゃああああああああ!」
簡易型の束縛結界がドクター鯖を縛め、その動きを封じる。とある将軍が好んで使っていたエクストラスキル。誰も伝承することができなかったその技は彼が命を賭して得た奇跡の御技。
ザルクの横合いから、アダムのハチェットが唸りをあげ鯖に命中する。
「おーおー、眼福、眼福だな」
ツボミはニヤニヤ笑いながもジュリエットに回復を齎す。その後ろで13番もツボミの指示に追随するように回復する。
「ヒャッハァ!!! ラファー……」
ターンが終わったその瞬間を狙うかのように後方からミズビトの隊員が水柱を上げて派手に奇襲? するのをカスカが最後まで言わせる前に三連の閃刃で叩き落とされた。彼女には奇襲は通じない。
哀れそのミズビトは海に叩き込まれる。然し残りの二人は後衛側に乗り込むことに成功する。
「こんなものなのですか? あなた達は。これなら、断然アルヴィダのほうが強かったですよ」
「アルヴィダだとぉお!!」
その、海賊たちにとっては、王国よりも、通商連よりも大きな名前にラファールたちはどよめく。
「あの、冷酷無比、通ったあとは魚ですら住み着かないといわれるスカンディナ海賊団のことか?!」
「あの、海の男を侍らせ、全部が船長の愛人というあのスーパーオーシャンビッチのアルヴィダのことか!!」
「噂の尾ひれってとんでもないんですね」
「面白いじゃあねえか! スカンディナ海賊団と比べられるとはな! おい! 野郎ども! 俺たちオーーーーーーーーーーーーーシャンラファールの力も見せつけてやれ!」
ラファールが号令をかけると同時に潜在能力を引き上げる。
「乙女の肌! 晒させたその怒り! 思い知りなさい!」
ジュリエットの圧縮された魔導力が空に放たれ、充填で倍加された光の雨がラファールを強く打ち据える。ラファールの肌がピキピキと氷り始めるが、しかし、パキンと磨かれた筋肉に阻まれ、クリーンヒットにはいたらない。
「ジュリエットが本気だわ! 私もまけていられないっ!」
「そうだね! ルクタートルも強いんだってみせつけるよー!」
その火力に克己されるのはエルシーとカーミラ。二人は目配せし合うと、鉄山靠と震撃をイソギンチャクに炸裂させる。
「アンタ達なんかにねぇ! 私のエールをタダでくれてやる訳には行かないのよ! このイカ野郎!!」
怒髪天のアンネリーザはとにかくラファールを狙う。別に怒りのバッドステータスがついているわけでもないのにこの有様だ。
ザルクはマイペースに動けずにいるドクターを狙った二連射を狙うが、誰も対応していなかったサハギンがゼロ距離射撃を狙い前衛を突破してきたので、彼はサハギンへの二連射に切り替えざるを得なかった。
アダムは二人目のミズビトを狙い、蒸気鎧装から煙を噴出させながら蹴撃を仕掛けた。
走り出しこそ良かったものの、自由騎士たちが狙う的が現状ではバラバラになってしまっていることで、戦局は想定しているより長くなってしまっている。もともと長期戦に強いメンバーではあったが、魔力はどんどんと失われて行くばかりだ。
体力についてはツボミと13番の卒のない回復に加え、ジュリエッタの高い回復力のサポートが有ることもあって、敵側の高い攻撃力に対して、防御壁になっている。海に叩き落としたミズビトが復帰することはなかったが、とはいえ、各個撃破できていないという状況は、芳しくはない。ドクターの鯖はパラライズから自己回復すれば回復は当然ながら飛ぶ。ラファールはオーバーロードによる自己修復で多少のダメージはなかったことにできる。ザルクはドクターの回復を止めようとパラライズショットを撃つが、クリーンヒットしないこともある。仲間の自由騎士たちの支援攻撃はあるものの、なかなか決め手が出せずにいた。
業を煮やした回復役のツボミは皆に、集中攻撃の指示を向ける。
「ボスを狙え、ボスを! 服が溶かされる? それは大いに結構だ! 頑張れ!」
「しつこい奴らだぜい!!」
傷だらけのラファールが戦法をバーサークに切り替える。
「あいつもうすぐ倒せるよ!」
カーミラが叫び、警告すれば、奇襲のミズビトを各個撃破でなんとか倒し終えたカスカとアダムもまたボスへの戦線に加わる。
「エール酒が欲しいなら真っ当なお客さんとして僕らの国に来たまえ。その際は共に豊穣祭を楽しもう!」
「馬鹿言っちゃいけねえよ! 坊っちゃん! 俺たちゃ海賊さ。悪党はそんな誘いに乗るわけにはいかないのさ! 沽券ってものがあってなぁ!!」
バーサークによって強化された触手はダメージと共に、アダムの服を溶かす。
「くっ……!」
機械の肌が見えてしまうことに少年は苦悶の呻きを漏らす。
「シャッターチャンス!!! くまさんも! 早く撮って!! あとでいくらでも支払います!!」
「きゃーーー!」
仲間のピンチだというのに、ずいぶんと楽しげなジュリエットとエルシーである。女子恐ろしきかな。
「私はあれですよ。服を溶かしたら当局からとんでもない通告がきますので、あとカーミラはああ見えて、12歳ですので、もっと本気でやばいです」
「え? 私? だめなの?」
「えっ! まじかよ!! ファッキン! 当局!!!」
しれっと合法ロリであるカスカが嘘混じりの牽制をかけながら三連の刃を煌めかせ、その全てをラファールに叩き込んだ。ザルクは最後のパラライズショットを畳み掛けるようにラファールに撃ち込む。多少仲間(アダム)が巻き込まれたが、半裸の動けない少年というシチュエーションは主に二人の女子に大受けだったからまあ大丈夫だと思う。本人にはあとで謝ろう。
ザルクが作り上げたその一瞬のチャンスを逃すアンネリーザではない。
「一昨日来やがれ! エールの恨みを思い知ったかー!!」
「おかしらぁああああああああ!」
脳天にバーサーカーアンネリーザの弾丸をくらい、倒れたラファールを巨乳に囲まれてボコられつつもギリギリ生き延びたマリオが抱え、接舷した船に戻る。
「てめぇら! 退くぞ!!」
マリオの叫びにサハギンと鯖もボロボロになりつつも倒れたミズビトの二人を背負って撤退していった。
「別に豊穣祭にきてもいいんだからねー!」
断られたとはいえ、その背中にエルシーはもう一度彼らに誘いをかけるが、返事はばーかばーか! という捨て台詞であった。
ザルクは周辺にまだ伏兵がいないかを確かめ、船員を呼び出しエールが無事であったかを尋ねれば、大丈夫だという。
「大丈夫か、味見してたしかめてやるよ」
手を差し出しそんなことを言うザルクの手を船員が苦笑しながらぱちんと叩いた。豊穣祭当日まではお預けのようだ。
●
「あった」
戦闘後、船にしゃがみこんだ13番が何かを拾い上げた。
「これ、てめーらも知ってるはず」
出されたものは小さな青い宝石のような物質。ツボミはああ、と答える。よく知っているものだ。それはマテリアと呼ばれる正体不明の物質だ。彼らの給金にも含まれている主にスキルを強化するための触媒石である。
「まあ、よくわからんが、自分らはマテリアと呼んでいるな」
「これ、てめーら、イ・ラプセルのオラクルの周辺でよく発生? してるみたい」
他の国のオラクルの周りでも発生はするけれど、これほどの量にはならないと、13番は付け足した。
「ほう?」
「ぱぱ、じゃなくてカシミロ様が、集めてる」
「なるほど。君が今回監視についてきたのはこのマテリアが目的だったのかい?」
カシミロについて何かを聞こうとしていたアダムも口を挟んでくる。
「そう、ねえ。てめーら。通商連と商売をしない? 対価はこのマテリア」
「商売?」
「うん、てめーらが見たこともない商品と交換してやる」
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
†あとがき†
ご参加ありがとうございました。
13番の監視の目的は、マテリアでした。
マテリアはオラクルの戦闘経験を凝縮した触媒石です。この触媒石のちからを転用することでスキルを強化することができるのです。
他の国のオラクルでも産出されますが、あなた方ほどの量は産出されないので、とても高価な代物になります。
この結果に伴い、通商連とマテリア交換取引が可能となりました。ご利用ください。
13番の監視の目的は、マテリアでした。
マテリアはオラクルの戦闘経験を凝縮した触媒石です。この触媒石のちからを転用することでスキルを強化することができるのです。
他の国のオラクルでも産出されますが、あなた方ほどの量は産出されないので、とても高価な代物になります。
この結果に伴い、通商連とマテリア交換取引が可能となりました。ご利用ください。
FL送付済