MagiaSteam
エスケイプ★プリンセス




 城下町には素敵なお店があるときいた。
 わたしのしらないいろいろ。
 わたしはお兄様の代わりだから、危ないこともしちゃだめで、まいにち難しい政治や戦争のお話をきいて。
 でもあのとき自由騎士団の子たちが話してくれたこの国のお話がとても素敵できらきらしていたから。
 だから。見に行きたくなったのだ。
 ほんのちょっとだけ、ほんのすこしだけ。
 あのおひさまが沈むまでの時間でいいから。
 これで最後の一回にするから。


「えっと、みんな、誰にも見つからずにここにこれた?」
 『元気印』クラウディア・フォン・プラテス(nCL3000004)は演算室のすぐ近くの狭い掃除用具入れにあなたたちを呼び寄せる。
「あのね。事件がおきちゃうの。水鏡に映った事件」
 クラウディアはそこで一呼吸おく。
「そのね、ティーヌちゃんが脱走、もとい城下町にお忍びで遊びにいくって見ちゃったの。 たぶんこれを見たのはいまのところ私だけだから……あのね、みんなは、ティーヌちゃんの立場はみんなわかってるよね?
 たぶん、今回だけだと思うんだ。こんなことをするのは。
 ほんとはこれが起きる前に止めなきゃいけなかったんだけど……」
 ――ティーヌちゃん。クレマンティーヌ・イ・ラプセルは国王の妹であり、もしエドワードに何か会った場合の次の王になる立場にある存在である。
 その王女のお忍びが外部に発覚した場合、数多くの危険があることは想像に難くない。
「でもね、私もティーヌちゃんの気持ちはわからなくもないんだ。
 だからね、私はこの情報をみなかったことにしたんだ。
 だけどあなたたちには伝えるんだよ。
 其の意味わかってくれるよね? 
 ごめんね、……私、プラロークとして失格だよね。
 だけど、お願い。ティーヌちゃんをよろしくね」


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
通常シナリオ
シナリオカテゴリー
日常σ
■成功条件
1.18時までに王女を無事に城に帰還させる。
2.おわったあとに王女を叱ってください。
ねこてんです。

この依頼はブレインストーミングの

カーミラ・ローゼンタール(CL3000069) 2018年11月10日(土) 12:44:39
シア・ウィルナーグ(CL3000028) 2018年11月10日(土) 12:16:58
アリア・セレスティ(CL3000222) 2018年11月10日(土) 21:58:31

の依頼から発生しました。
名前のある方が参加することを強要しているものではありません。参加を確定するものでもありません。

王女様は、変装(のつもり)をして城下町にお忍びに出ました。
王女様はねこのぬいぐるみをもっています。
王女様を見つけ出し、夕刻までにお家に帰らせてください。

現在の時間は朝10時。
18時まではうまいことクラウディアがごまかしてくれます。
18時以降まで帰らなかった場合発覚して大騒ぎになりますので失敗です。
また町中で王女とバレた場合には騒ぎになってその時点で帰らなくてならなくなる上に大騒ぎになります。

できる限り騒ぎにならないように、なおかつ王女を無事に帰らせてください。

また、この王女のワガママな行動はともすれば国を揺るがす大事件につながる可能性もありますので、王女はあとでしっかりと叱っておいてください。
もちろんこのあとクラウディアもめちゃくちゃ怒られます。
王女は泣くかも知れません。だけど大事なことです。
ただ全員で寄ってたかって叱るのはアレですので担当の憎まれ役がいるといいかもしれません。(あくまでも指針ですのでPCさんの好きなようにしてください)
もちろんとにかく王女様をお城にすぐ戻そうと走り回ってくれても構いませんし、少しだけ一緒に遊んでも、全員で行動してもしなくても構いません。
(似たような行動をされるかたは一緒に行動しているものと扱います)


10時から城下町を探せばスキルが無くとも1時間~2時間程度で見つかると思います。
見つかるまでの時間がながければ長いほど王女は危険に晒されます。
相応のスキルがあれば、わりと早くみつかるかもしれません。
バラバラに行動する場合は見つけるタイミングも個人のものに準拠します。
一緒に行動した場合は最も早く見つけることのできるスキルのある方に準拠します。

王女の見た目はトップ絵の通りです。

見つけてから18時までの時間は好きに過ごしてください。
ギリギリすぎると帰らないとだだを捏ねるかもしれません。

ロケーションは城下町。お天気は晴れです。たまに吹く風は随分と冷たくなってきています。

以上よろしくおねがいします。
状態
完了
報酬マテリア
1個  1個  1個  2個
13モル 
参加費
100LP [予約時+50LP]
相談日数
5日
参加人数
6/6
公開日
2018年11月25日

†メイン参加者 6人†

『みんなをまもるためのちから』
海・西園寺(CL3000241)
『平和を愛する農夫』
ナバル・ジーロン(CL3000441)



「王女さまが勝手にお忍びしちゃった! 探さなきゃ!」
 両手をぐっと握って『全力全開!』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)が宣言する。
「私が陛下のハートを射止めたら、あのこが私の義理の妹だもんね! 放っておけないわ!」
 こちらは皮算用に燃える『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)。
 恋する? 妙齢の女性の婚活はいつだってアグレッシブなのだ。
「祝勝会で会った時はもっと大人しくて消極的な印象だったけどまさか一人で街に出ちゃうとは思わなかったよ!」
 道だってよくわからないから迷子になってるかも? そう思うのは『『お菓子大好き』ウィルナ』シア・ウィルナーグ(CL3000028)。
「さあさあ、王女様……おっとティーヌ様……ティーヌか。さあて初任務だ! がんばるとするか」
 『新米兵士』ナバル・ジーロン(CL3000441)は今回が初任務である。田舎から立身出世に自由騎士団になったばかりだ。浮足立つのはしかたない。
(クレマンティーヌ様……うぅん、ティーヌは、とても勇気を出したと思います。人の多い所が苦手なティーヌが、一人っきりで街へ出る位に)
 自分だって人混みは苦手だ。飛び出した今きっと不安にかられているのだろうと思うと海・西園寺(CL3000241)の心はきゅっと痛む。
「じゃア、みんな、分散。オレ、スラムとか、さがス」
 『竜天の属』エイラ・フラナガン(CL3000406)は屈伸をしながら仲間に伝えた。
「え? そんなとこにティーヌちゃんがいくかなあ?」
 エイラの言葉にカーミラが疑問符をうつ。
「居ナいならそノ方が良イ。安心。でも万一あっタら駄目。絶対駄目! それにエイラは配達屋ダ。細かい道、暗い道、迷イ道、わかル」
 屈伸を終えたエイラは、其の場でぴょんぴょんとはねると韋駄天足であっという間に走り去る。
「なるほど! たしかにわかんなくって迷い込むかも。じゃあボクは商店街を走り回ってくるよ!」
 納得したシアも同じように韋駄天足であっという間に走り去っていく。
 彼らが走り出すのを合図に、近くにいた自由騎士たちも探索に協力をする。
 
「なんか派手な格好の女の子みなかったかい?」
 ナバルとカーミラはまずはヒトビトが集いやすい噴水周辺の広場に向かう。
 人のよさそうなナバルの笑顔は誰からも好意的にうつる。カーミラのマイナスイオンもあり、彼らの周りには自然ひとがあつまる。
「カーミラおねえちゃん、今日はじゆーきしのおしごとー?」
「おにーちゃんはしんじん? かーみらおねーちゃんのゆーことききなよ?」
 などと子どもたちに絡まれる。さもありなん。こどもたちにとって自由騎士は憧れの存在だ。初期から自由騎士をしていたカーミラは彼らにとってもヒーローなのだ。
「わー、髪ひっぱっちゃだめだよー、あのね、金髪で緑のおとなしそうな女の子で、ぬいぐるみをもってるとおもうの」
「んー、そういえばいたかも。ねえねえ、あのひともじゆーきしなの?」
「あ? い、妹だよ妹! 劇の稽古逃げ出したのを探してるんだよ!」
「きびしくしすぎはいかんですのぉ、しんじんくん」
「はは、都会の子供はませてるなあ。しんじんのおにーちゃんにおしえてくれよ。どっちにいった?」
「あっちー」
 子供は生意気そうに笑うと王女が向かった先を指さした。

 海は街の展望台に登る。捜し物といえば展望台の警備員は自由騎士さんお疲れ様、とねぎらいすぐに通してくれる。
 はたはたと海のマフラーが揺れる。リュンケウスと捨て目。その両方の瞳で住み慣れた街を見下ろす。海は絶対に見逃すものかと集中する。
 金の髪がゆれるのが見えた。手元には自分がよく知っているネコのぬいぐるみ。
 みつけた。急いでマキナ=ギアをとりだす。赤い髪の女が近づいてきている。
 ああ、それならすぐにみんなも集まるだろうと思う。海はマキナ=ギアで皆に連絡を入れ終えると、急いで見つけた場所に向かう。ヒトビトは怖いけど、なぜかいつもより少しだけ早く走れたような気がする。

「ティーヌちゃん!」
 エルシーは女の子が好きそうな商店の建ち並ぶ場所、パーティーで彼女が興味を持った場所を中心的に回る。そのときに金の髪が路地裏に消えるのをみかけたエルシーがいそいで声をかける。
 びくりと肩をふるわせた少女の向こうには怪しげな青年たち。
「私の妹になんの用かしら?」
 にっこりと笑ったエルシーが拳を壁にうちつければ青年たちは逃げていく。
「はー、危なかった」
「あの? 妹?」
「あー、なんでもないなんでもないわ!」
 ついうっかり皮算用の未来の予定が口にでてしまったエルシーは両手を振る。
「あ! クレマンティー……じゃない、ティーヌちゃん! みつけた!」
 ちょっとした騒ぎに気づいたシアは韋駄天の足で駆けつける。其の瞬間マキナ=ギアの連絡音がなる。
「ああ、うん、確保できたよ。エルシーさんとティーヌちゃんと一緒」
 シアはその連絡にこたえると笑顔で王女に向く。
「お城じゃないんだもん、堅苦しくなくていいよね? 勝手に出てきちゃだめだけどボク達自由騎士団が護衛するから、今日は楽しんでいいよ」
「シア……」
「ティーヌちゃんみっけ! 私のこと、覚えてる? こないだのパーティーで会ったカーミラだよ!」
 どーんと腰元にカーミラがタックルしてくる。もちろん手加減はしているが突然のタックルに王女は目を白黒させる。
「お、おぼえてます。すごいぴょんぴょんしてた」
「怪我はない? クラウディアも心配してたよ」
 その名前に王女は目を伏せる。
「おい、カーミラ、びっくりしてるじゃないか。えっと、オレも最近この王都にきたんだ。ティーヌ、って呼んでいいよな。あんたと同じでこの街ははじめてなんだぜ! オレはナバル。新人自由騎士だ! っていっても今日が初任務」
 すこし遅れてきたナバルが気さくに手を出してから、ふと気づきバツの悪そうな顔で服で手を拭うともう一度握手を求める。王女はその手を両手でとる。その手の暖かさが田舎者の少年をどきりとさせる。
「ナバル。私はクレマンティーヌ・イ・ラプセルです。その、騎士の任、ご苦労様です」
 そういった王女の頭に連絡をきき韋駄天足で駆けつけてきたエイラが大きめのキャスケットをかぶせた。
「帰るマデ。ソれマデだけ。オマエただのティーヌ。ダから、自由スる。良イ」
 ふわりと王女の首にマフラーも巻かれる。
「ティアラはミミーが預かります。さむいから、これで口元隠したらあなたが王女で有ることは気づかれない筈」
「あなたは……」
 あのときカーテンの裏で内緒話した海と同じだけど色違いのマフラーを巻かれた王女はマフラーを口元までたぐるとひとこと暖かい、とつぶやいた。
「さあ、ティーヌ! 内緒の冒険しようよ! あ、髪も編んだほうがいいかな? それだけで印象変わるし! バレないようにね?」
 答えもきかぬままにシアはふわりとした王女の髪を編む。正直こんな女の子らしくて綺麗な髪を触りたくてしかたなかったのだ。

 彼らは王女のお忍びの冒険を支援する。
 海はメモリアに会わせたいと願ったが流石にメモリアがいるスペリール湖までは列車の移動が必要だ。往復の時間はとれないということで今回は諦めることになった。
 まずは美味しいスイーツのお店。
 王城ででることはない、素朴で安っぽいものだ。
 ごろっとしたリンゴのコンポートとジャムが混ざったものをシンプルなパンケーキで挟んで片手で食べることのできる、サンクディゼールっこに人気のおやつ。
「こうやってたべるんだよ、お行儀はわるいけど、内緒!」
 シアが食べ方を指南すれば、王女は戸惑いながらもぱくりと口にしてそのリンゴ素材の味に顔を綻ばせる。
「次はこっちだー!」
 カーミラは王女の手をひいて最近女傑族から仕入れられるようになった南国フルーツを手渡す。
「こうやってそのままかじるのが通だよ!」
「ほほう! なんというか甘くてさっぱりしてるのにコクがあるというか!」
 ナバルは半分任務を忘れてこの少女たちの案内に自分も楽しんでいる。王女以上にアレなんだ?! アレ!! と大騒ぎしすぎて、エイラにおとなしくシろ。とぽこりとげんこつをもらった。
 王女がくしゅんとくしゃみをすれば、海が外套をかける。
「これ」
 言葉少なに海は用意していた暖かい紅茶を王女に渡す。
「あったかい」
 本当はエイラもだが海はお弁当をもってきていた。でも彼女はうれしそうに買い食いをしてるから黙っていた。
「そのこ、かわいいでしょう」
 海は王女が後生大事に抱えているネコのぬいぐるみに言及する。
「うん。かわいいし、大切なものなの。だから一緒にきたの。そうしたら勇気がでる気がして。名前は……ブランカってつけたの。えっと……そういえばあなたの名前、知らない」
「この前はちゃんと名乗っていなかったですね。西園寺海です。宜しくティーヌ」
「うん、よろしくね。海」
 軽い気持ちで渡したぬいぐるみに名前までつけて大切にしてもらったのが嬉しくて海はすこしだけ微笑む。その微笑みはだれにもわからなかったかもだけれども。
「ねえ! ティーヌは女の子なんだから! ブティックにもいかないと!!!!!」
 さいねんちょうのいうことはぜったい。
「それに、ティーヌの服も着替えないと。さっきからちらちらと品のよくない人たちがこっちみてるのよ」
 
 ブティックで、王女はエルシーの言うままに町娘スタイルの洋服を買う。
「どうでしょうか?」
 くるりとミニスカートで回ってはにかむ王女にエルシーとナバルが手を叩いて褒める。カーミラとシアもきゃっきゃとはしゃいで喜ぶ。海は頷いて、エイラは少しだけ複雑な顔でイイんじゃないカとつぶやいた。
 次に向かうのは雑貨店。店員が街のヒトビトと楽しそうに話かけている。
 彼らはお揃いのミサンガを買うことを決める。7つも買うんだからもっと安くしてよ! なんてエルシーが店員に値切り交渉をしかける。店員は笑いながらエルシーと其の中間点を探りあっている。
 その姿を眩しそうに王女は眺めていた。
「楽しいでしょ? みんなこうやって王国で笑ってるんだ。それは王様たちのおかげだね」
 そうカーミラに言われた王女ははっと何かに気づいたような顔をした。
 でも、あと少し。すこしだけでいいから。

 王女の願いも虚しく時間は過ぎていく。あたりは夕刻に近づきせわしなくなってくる。
「はい」
 こんど手渡されるのは焼き芋。旬の季節の焼き芋はおいしいのだとシアは笑う。そして彼らは王女の家路にむかってあるきだす。
「あの」
「なあに? ティーヌちゃん」
 足をとめた王女に振り向き、カーミラが尋ねる。
「わたし、かえりたくない」
 其の言葉に自由騎士たちは顔を見つめ合う。
「まあ、普段自由がないってのは可愛そうだし気持ちはわかる」
 ナバルが苦笑した。
「なら」
「うちの弟共がさ、黙って森に入っていったんだ。そしたら大騒ぎになった。みんな心配してさ」
 其の言葉に王女は黙る。
「ねえ、ティーヌ。……ティーヌ様。今日は楽しかったですか?」
 優しげにエルシーが言う。たった15歳の女の子にこんなことを言うのは辛い。王女に対して不敬だとも思う。だけどそれは誰かがいわなくてはいけないのだ。
「皆幸せそうで、だからわたしも、もっと」
「ナア、なんデオマエがここにこれたのかわかルか?」
「……それはわたしが抜け出したから」
「チガう、クラウディアが黙ってテくれたからだ。クラウディア、今回の事デ怒ラれる。他の人モだ。王妹を脱走サせた止メれ無かった。責任問題。分カるか? ヒョッとしたラ罪に問ワれる。仕事喪ウ人が居るかも知レない」
 王女は目のフチにたくさんの涙を溢れさせる。
 エイラは口早にそういうと両手で王女の頭を持つとこつんと額を当てた。
「オマエやっタのそう言ウ事!」
 その言葉の重さに引かれ、王女の涙がボロボロと石畳に落ちる。
「王の妹。大変。分かる。辛イ事悲シ事ある。分カる。でも、ソレで人に迷惑カけるな! ソレ、話違ウ。別の事!」
 真っ直ぐに自分をみつめるエイラの表情は真剣そのものに断罪してくる。
 正直エイラは国を揺るがすなんていう大きな事件なんてピンとこない。だけれども王女の軽率な行動によって身近な人達に知らずのうちに迷惑をかけた。それがエイラには許せない。王族がどうのなど関係はない。悪いことをしたら怒られて当然なのだ。
 王女をみれば小さくなって怯えている。今までこんなふうに叱られたということがなかったのだろう。
「不満アるなら言ウ! 希望も言ウ! 言ッテも無駄思ッタか?」
「だって! お願いしてもだめだったんだもの!」
 実際王女は外にでたいと言って何度か交渉したこともある。だけど許されることはなかった。だからクラウディアはそれを知っていたから、彼女の冒険を見逃した。
「なラ、交渉術を覚えルがいい。オマエはそれを習ってるんだろう? それはそれとしてオマエはオマエ!今回、迷惑カけたのオマエ! だとしたらやらなきゃいけないことはある」
 ああ、これで王女様には嫌われただろうなとエイラは胸が痛む。エイラはマザリモノだ。ヒトに嫌われていることは慣れている。だけれども慣れていても、それは辛いことなのだ。
「ちゃんと相談したらさ、きっとクラウディアも協力してくれたかもしれないぜ? です。
 最初からダメっていわれたっつっても、な、言い方もあるだろうし、です。
 黙っていくのはやっぱだめだとおもうぜ? です」
 不器用な敬語でナバルが言う。
「街の人達はみんな幸せそうでしたね。その幸せは陛下と貴女あってのもの。貴女にもしもの事があれば、国民みんなの幸せが崩壊してしまう事になりかねないのです。私の言いたい事をお察しいただけると幸いです」
 エルシーが思い出すように遠いところをみて諭す。その声は優しい。
 だから余計に涙が溢れる。
「ごめん……なさい」
 その王女の言葉に、エイラは小さく頷くと目をふいと逸らせて離れる。
「王女様だってあそびたかっただけだもんね、今度からはクラウディアに相談しよう?」
 カーミラがマイナスイオンの笑顔で言うが王女の涙は止まらない。
「ボクもごめんね。ボクたちが街には楽しい所がいっぱいあるって言ったからお城を抜け出したくなっちゃったんだよね。ボクも一緒に謝るから、王城のみんなにもあやまろう?」
 王女は目をこすりながら、うんうんと首を縦に振る。
「ティーヌは……」
 海が口をひらく。
「寂しかったんですよね。だったら、今度はティーヌが西園寺達をお茶会等に招いて欲しいと思います。
 西園寺達は王宮の事、逆に何も知らないから……。だから今度はティーヌが色々教えてくれる番でどうですか……?」
 そうしたらいつでも会えると海は心の中で言う。海はこの王女がこの一日でもっと好きになってしまっていたのだ。
「はい……ぜひ」

 そうして彼らは王城にこっそりと王女を送り届ける。
「クレマンティーヌ・イ・ラプセル。オマエ今から戻ル、戻ッた」
 エイラが告げた。
「はい。でも、あなた達の護衛ありがたく思います。でも」
 王女はすこしだけ悲しそうな笑顔になる。
「わたしのことはティーヌと呼んでくれるとうれしいです」
 そう言うと王女は踵を返してシアと一緒に歩いていった。

†シナリオ結果†

成功

†詳細†

称号付与
『おうじょのおともだち』
取得者: カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)
『おうじょのおねえさん(希望)』
取得者: エルシー・スカーレット(CL3000368)
『おうじょのともだち』
取得者: 海・西園寺(CL3000241)
『だいじなことをおしえてくれた』
取得者: エイラ・フラナガン(CL3000406)
『おうじょのともだち』
取得者: シア・ウィルナーグ(CL3000028)
『ちょっとだけ経験した新米騎士』
取得者: ナバル・ジーロン(CL3000441)
特殊成果
『思い出のミサンガ』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)
『思い出のミサンガ』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:エルシー・スカーレット(CL3000368)
『思い出のミサンガ』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:海・西園寺(CL3000241)
『思い出のミサンガ』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:エイラ・フラナガン(CL3000406)
『思い出のミサンガ』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:シア・ウィルナーグ(CL3000028)
『思い出のミサンガ』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:ナバル・ジーロン(CL3000441)

†あとがき†

王女様は無事ご帰還しました。
シアさんはクラウディアといっしょにめっちゃ怒られています。
正座で怒られたのでめっちゃ足痺れたことだと思います。

MVPは次の出会いにつながることをくれた海さんへ。

みなさん素敵なプレイングでうれしかったです。
王女様はないちゃったものの感謝しています。
叱っていただいたそれは王女様のなかで大切に育まれることでしょう。

参加ありがとうございました!
FL送付済