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贖罪エビデンス

●
そりゃそんな簡単に裏切り者が赦されるなんて思わない。壊れたアデレードは見せられた。直接的ではないにしろ、あんなふうにしたのは俺らだ。
視察に連れて行かれた時には、小さい子供に石を投げられた。さもありなん。当然だ。
担当の国防騎士団は注意はしてくれたが、街を壊された怒りなんてそうそう簡単に許せるもんじゃないことくらいわかっている。
俺らがイ・ラプセルで過ごすためにはそれなりに労役するなり何なりと、贖罪はしなくてはいけない。そんなことしなくてもって言うやつもいるだろうが、これは俺のけじめでもある。
「アーウィン・エピ、今日の兵役は、炭鉱の中に出現したイブリースの退治だ」
「へいへい。仰せのままに」
手首につけられたドッグタグがじゃり、と乾いた鎖の音を鳴らす。囚人から囚人。
それでも、ヴィスマルクにいたときよりはずいぶんとこの鎖は軽い。
「今日の監視員は、自由騎士団に頼んである」
「ああ、そうかい」
俺は、あの質問会にきた面々を思い出す。おせっかいで好奇心の強い――、平和な世界で幸せそうに育ってきた彼らを。
正直何度がその能天気さに羨望と、嫉妬と、それと苛立ちを感じたのは否めない。
同じヒトでありながら生まれた場所でこんなにも変わるのかと。
「俺は、この国で生きていていいのかね」
それはここまで何度も思った気持ち。死にたくもねえ、ヴィスマルクにも帰りたくもねえ。
それでも、それでも――。
●
「君たちは、アーウィン・エピ君を覚えているかね?」
『軍事顧問』フレデリック・ミハイロフ(nCL3000005)が問いかける。ついぞ最近、ヴィスマルクから投降し、ヴィスマルクの情報を流してくれたケモノビトの青年だ。
「彼を含み、投降兵たちは、まずは一定の労役で、禊を終えたら自由にということになる。反抗の気配は流石にないが、人々のヴィスマルクに対する心象は良くない。だから、彼らにはそういったことが必要なのだ」
その労役とは国防騎士団の監視の元、国内の怪物退治や炭鉱発掘、様々な作業への従事になる。
一定以上の労役を経て彼らは自由になるのだ。
とはいえ、忙しい国防騎士団だけでは彼らの監視は回りきらない。故に、自由騎士団への監視を嘱託されたのである。
「アーウィン君は真面目で積極的に労役を受けているので心配はないのだが、監視は必要だ。というわけで君らにそれを頼みたい。それに、彼にはまだ何か話したいこともあるだろう?」
そういうとフレデリックはニッコリと笑った。
そりゃそんな簡単に裏切り者が赦されるなんて思わない。壊れたアデレードは見せられた。直接的ではないにしろ、あんなふうにしたのは俺らだ。
視察に連れて行かれた時には、小さい子供に石を投げられた。さもありなん。当然だ。
担当の国防騎士団は注意はしてくれたが、街を壊された怒りなんてそうそう簡単に許せるもんじゃないことくらいわかっている。
俺らがイ・ラプセルで過ごすためにはそれなりに労役するなり何なりと、贖罪はしなくてはいけない。そんなことしなくてもって言うやつもいるだろうが、これは俺のけじめでもある。
「アーウィン・エピ、今日の兵役は、炭鉱の中に出現したイブリースの退治だ」
「へいへい。仰せのままに」
手首につけられたドッグタグがじゃり、と乾いた鎖の音を鳴らす。囚人から囚人。
それでも、ヴィスマルクにいたときよりはずいぶんとこの鎖は軽い。
「今日の監視員は、自由騎士団に頼んである」
「ああ、そうかい」
俺は、あの質問会にきた面々を思い出す。おせっかいで好奇心の強い――、平和な世界で幸せそうに育ってきた彼らを。
正直何度がその能天気さに羨望と、嫉妬と、それと苛立ちを感じたのは否めない。
同じヒトでありながら生まれた場所でこんなにも変わるのかと。
「俺は、この国で生きていていいのかね」
それはここまで何度も思った気持ち。死にたくもねえ、ヴィスマルクにも帰りたくもねえ。
それでも、それでも――。
●
「君たちは、アーウィン・エピ君を覚えているかね?」
『軍事顧問』フレデリック・ミハイロフ(nCL3000005)が問いかける。ついぞ最近、ヴィスマルクから投降し、ヴィスマルクの情報を流してくれたケモノビトの青年だ。
「彼を含み、投降兵たちは、まずは一定の労役で、禊を終えたら自由にということになる。反抗の気配は流石にないが、人々のヴィスマルクに対する心象は良くない。だから、彼らにはそういったことが必要なのだ」
その労役とは国防騎士団の監視の元、国内の怪物退治や炭鉱発掘、様々な作業への従事になる。
一定以上の労役を経て彼らは自由になるのだ。
とはいえ、忙しい国防騎士団だけでは彼らの監視は回りきらない。故に、自由騎士団への監視を嘱託されたのである。
「アーウィン君は真面目で積極的に労役を受けているので心配はないのだが、監視は必要だ。というわけで君らにそれを頼みたい。それに、彼にはまだ何か話したいこともあるだろう?」
そういうとフレデリックはニッコリと笑った。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.アーウィン・エピの監視
2.ネズミイブリースの全滅
2.ネズミイブリースの全滅
†猫天使姫†です。
投降兵たちはこうやって自由になるまでに時間はかかります。
今回はみなさんにエピ君の監視のお仕事をお願いします。
エピ君と一緒に炭鉱に向かい、炭鉱でイブリース化したネズミたちを退治してください。
イブリース化したネズミたちはおおよそ20体。
他のネズミより大型化しています。それほど強くはありませんが数がいるので、しっかりと倒してきてください。
動物交流で話はできなくはないですが、はらへったー、くうー、かじるー、たべるーくらいしか喋りません。
ロケーション
とある炭鉱です。灯りは必要です。足元はごつごつしています。それほど広くはありませんが
■ ■
■ ■
■ ■
と、6つの採掘場と通路があります。その採掘場に広くネズミは分布しているので手分けをして倒してください。
敵
ネズミのイブリースです。
20匹程度50センチほどのネズミがいますので、しっかりと倒しきってください。
通常攻撃には毒がありますので(ポイズン1相当)スリップダメージにはお気をつけください。
一人に対して集中攻撃をする程度の頭はあります。
連続して3回以上噛まれた場合、BSの深度がポイズン2に進行しますのでご注意ください。
アーウィン・エピ
ミミズクのケモノビトです。暗視はもっています。
バトルスタイルはルクタートル。ランク1のスキルは全部もっています。皆様の指示には従います。
指示は相談上で【指示】のタグのあとに指示してください。なければないなりに戦います。
彼に質問などをしていただいても構いませんが、作戦行動中しか話すことはできません。(労役が終わったら彼らは直ぐに詰め所に戻ることになります)
ノーマルである状況を鑑みて、作戦行動と会話のバランスを考えていただけると助かります。
もちろん作戦に従事し、話しかけなくてもかまいません。
彼はいろいろ思うことがあるようです。
以上よろしくおねがいします。
投降兵たちはこうやって自由になるまでに時間はかかります。
今回はみなさんにエピ君の監視のお仕事をお願いします。
エピ君と一緒に炭鉱に向かい、炭鉱でイブリース化したネズミたちを退治してください。
イブリース化したネズミたちはおおよそ20体。
他のネズミより大型化しています。それほど強くはありませんが数がいるので、しっかりと倒してきてください。
動物交流で話はできなくはないですが、はらへったー、くうー、かじるー、たべるーくらいしか喋りません。
ロケーション
とある炭鉱です。灯りは必要です。足元はごつごつしています。それほど広くはありませんが
■ ■
■ ■
■ ■
と、6つの採掘場と通路があります。その採掘場に広くネズミは分布しているので手分けをして倒してください。
敵
ネズミのイブリースです。
20匹程度50センチほどのネズミがいますので、しっかりと倒しきってください。
通常攻撃には毒がありますので(ポイズン1相当)スリップダメージにはお気をつけください。
一人に対して集中攻撃をする程度の頭はあります。
連続して3回以上噛まれた場合、BSの深度がポイズン2に進行しますのでご注意ください。
アーウィン・エピ
ミミズクのケモノビトです。暗視はもっています。
バトルスタイルはルクタートル。ランク1のスキルは全部もっています。皆様の指示には従います。
指示は相談上で【指示】のタグのあとに指示してください。なければないなりに戦います。
彼に質問などをしていただいても構いませんが、作戦行動中しか話すことはできません。(労役が終わったら彼らは直ぐに詰め所に戻ることになります)
ノーマルである状況を鑑みて、作戦行動と会話のバランスを考えていただけると助かります。
もちろん作戦に従事し、話しかけなくてもかまいません。
彼はいろいろ思うことがあるようです。
以上よろしくおねがいします。

状態
完了
完了
報酬マテリア
6個
2個
2個
2個




参加費
100LP [予約時+50LP]
100LP [予約時+50LP]
相談日数
7日
7日
参加人数
8/8
8/8
公開日
2018年06月14日
2018年06月14日
†メイン参加者 8人†
●
「万が一にも無いでしょうが、ほんの少しでも妙な真似をすれば即座にその首を刎ね飛ばしますのでそのつもりで」
監視役の自由騎士団と引き合わされて、採掘場に潜り最初にアーウィン・エピ(nCL3000022) に向けられたのは『護神の剣』カスカ・セイリュウジ(CL3000019)の言葉だ。
「たとえば、こんな風に」
アーウィンの直ぐ横を走るイブリースのネズミをイェソドの鋭い感覚でみつけたカスカはザクとその体躯には見合わぬ大きさの刀で切り捨てる。
「ふざけんな! まじでびびったじゃねえか!」
(他者の善意を心から信じることなどできない……差し詰め、そんな感じですか。今までの人間扱いすらされなかった環境を鑑みれば致し方の無いことなのでしょうが)
それは国という区分が違うだけで起きる悲劇。だがそれは外部から見た印象に過ぎない。なぜならその環境で生きるしかないものにとってはそれが全てなのだ。その凝り固まった既成概念をとき崩すのは容易ではない。故にカスカは一層冷たく言い放つ。
「私は貴方を今のところ、罪人という形で人間扱いしています」
「は? なんだよそれ。訳わかんねえな」
きっと彼は無償の善意というものを理解することができない。だからこれでいい。そのほうが彼にとってはわかりやすいのだ。事実出会って直後の緊張はアーウィンからは抜けている。
「まあまあ、気にするな! 挨拶みたいなものだ! 我が国もまだまだこれからでな、今日の共闘はイ・ラプセルの新しい一歩になり得ようぞ! うおー!! 燃えてきた! アーウィン! お前もだろう! あいたーーーー!!」
興奮するアーウィンを宥め、ネズミに古びたサーベルでトドメをさすのは『イ・ラプセル自由騎士団』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)。その途中で出っ張った岩場に頭をぶつけたのは愛嬌だろう。
「よう兄弟、杯を交わし、再会できた事を喜ぼうじゃないか! ……と言いたいが、今はコレが精一杯か」
言って大柄のクマ、もといクマのケモノビトのウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)が、アーウィンの前に拳を掲げれば、アーウィンはへいへいと答えて打ちあわせる。
「やあやあ、家来! 元気だったかな?」
そんな背中を低い場所からぽんぽん叩くのは『空を泳ぐ』ツツジ フェヴリエ(CL3000009)。
「よう、チビいたのか、すまん見えなかった」
帰ってくるのは悪態。それは親しさからくるものだろう。
「うおー! 誰がチビだ! なんだよ、僕を馬鹿にしてるの?アーウィンのばかー、身長よこせー! モフらせろー!」
「飾り毛を引っ張るな! だれがんな事させるか!」
ツツジは彼の「故郷(ハイマート)をすてた」という言葉が引っかかっていた。――《鉄血の心》。その権能を得てツツジは国家への無理やりな帰属意識というものを感じた。そりゃあ自分の国は大切だ。けれどそれ以上の底しれない気味の悪さは感じた。その権能を圧して別の国家に向かうというそれはよっぽど強い思いだったのだろう。
(アーウィンは今、全部手放した只のアーウィンとして自己実現の途中なんだろうな。それをどうすればいいかわからないんだ。他人から評価だけじゃない。自分で自分を認めないと意味がない。アクアディーネさまのオラクルとしても、イ・ラプセル人としても、アーウィンはまだまだ赤ちゃん同然なんだから! お兄ちゃんの僕の頼れる背中を見せつけて安心させてやろう)
コウテイペンギンの少年は一層胸を張る。
「せいぜい、こき使ってあげるよ、早くこないと全部僕がたおしちゃうからね!」
ツツジはカンテラを持ちアーウィンを引っ張るように歩く。
その横に無言でつくのはイ・ラプセル自由騎士団』ボルカス・ギルトバーナー(CL3000092)だ。ボルカスはアーウィンに対する不信感は隠さない。それは彼も直ぐに気づきニヤリと皮肉げに笑った。
しかしボルカスは彼が、彼の仲間たちがこうやって努力をしているのはわかっている。裏切り者が信頼を得るというのは想うより難しい話だ。
「初めまして、私はガーベラ・キルロードと申します。よろしくお願いしますわ、アーウィン様、仲良くしましょう」
無意識のマイナスイオンを振りまくのは『キルロード家令嬢』ガーベラ・キルロード(CL3000263)。場違いのカーテシーで優雅に挨拶する。
「正直あの戦争は悲劇が多すぎました。説得も掛けましたが上手くはいきませんでした。でも! それでもこうして投降してでも生きてくれた方が居たのは本当に感謝しかありませんわ! だって生きてさえいればやり直す事が出来ます!」
「は、只の綺麗事、偽善だな、あんただって悔しい思いしたんだろ?」
「はい! 偽善でしょう! ですが偽りでも善の気持ちが人と人を結びつけ、いつか戦争もおわり人が仲良くできるんです! 私はこの考えを改める気はありませんわ!」
偽善だとけなされようが、貫くのはその真っ直ぐな心。そんなガーベラに毒気を抜かれてしまう。
「ほら! そこにネズミが! ぼやぼやしていられませんわよ!」
ネズミ駆逐は2班に分かれて行われる。A班にはボルカス、ガーベラ、ツツジ、そしてアーウィンの4人、残りがB班として行動する。
まずはA班である程度の駆逐を試みたあとB班に監視を引き渡すという方針である。
ボルカスは無言で、アーウィンの横に付き黙々とネズミの駆除を進める。
「お菓子食べる?」
「食わねえよ! てかお前もビビってるんだろ? チビ」
「チビいうな! 怖くないけど灯りいるだろ!!」
「俺、暗視あるからいらねーし」
ずいぶんとツツジとアーウィンは仲が良いようだ。そうだ。こんな風に敵同士であっても手を取ることはできるのだ。
まるで柳のように近づいてくるのはガーベラ。なんだかんだで真面目に駆除を行うアーウィンの震撃に合わせ己の震撃も重ねていく。その流麗な動きには彼女の貴族らしさが垣間見えた。
「ずいぶん綺麗な拳だな。お貴族様」
照れ隠しなのかなんなのか、アーウィンが言えば、ガーベラはぷんぷんと頬を膨らます。
「貴族ではない、ガーベラ・キルロードとして接してほしいですわ! ところで何を悩んでいるんです? 悩みは拳に出ます。同じ業を使っていてそれがわからないとお思いですか?」
シンパシーがあるからこそのそのゆらぎをガーベラは直ぐに見抜く。アーウィンはバツが悪そうにその三白眼でにらみつけた。
「うるせえ。しらねえよ。俺は……」
「私、思うのです。人はみんな手をとりあって生きていけます」
「また綺麗事を」
「生まれや育ちで理解できないことはいくらでもあります。でも私はだからといって諦めたくありません。だって人には言葉という共通のツールがあるのですもの! きっと貴方は変わりたいんでしょうね。だけど、そうしていいのか自信がないんです。すぐには変われないでしょう! でもアーウィン様、貴方も諦めなければ変われるはずです。まずは私と友達になりましょう!」
「お前らはそうやって友達友達って……」
ガーベラの言葉はアーウィンを鋭く貫く。きっと変わりたいのだ。イ・ラプセルの国民のように。それを邪魔するのはヴィスマルクでの常識。
「アーウィンは僕の家来だよ。つまり友達ってこと!」
「なんだ! ツツジ! だれが家来になったってんだよ!!」
ネズミに噛まれ、毒に侵される彼を癒やしながら少年はあっけらかんという。ボルカスがこれ以上毒の深度を深めないようにとさり気なくアーウィンを庇っていたことに彼は気づいただろうか?
「そろそろか。あちら側に言ってもらうぞ、アーウィン」
周囲にはネズミの姿は見えない。移動の頃合いだ。
「正直」
言葉少ないボルカスの声にアーウィンは振り向く。
「まだ、お前のことは信用ならん。 しかし、それでもなお、この国の一員になろうと、頑張ってくれる姿を否定できるわけもない。 頑張ってくれよ、「しつこく疑ってスマン」なんて頭を下げる日が、結構楽しみなんだ」
「おっさん、お人好しっていわれねえか? ああ、そうだな、言わせてやる。そんときは詫びにウマイ飯ってのをおごらせてやる」
ボルカスの広い胸にアーウィンは拳をこつんと打ち付けると、背をむけて歩きだした。B班が彼を呼んでいるのだ。
カスカの揺らす松明が明滅し、B班の現在地を知らせていた。
「おい! リスって討伐対象だったか?」
B班に移動するやいなや肩に飛び乗ってきたリスに驚き、うろたえ構えるアーウィン。
「だめだ。それは違う」
回復を順次行っていたリュリュ・ロジェ(CL3000117)が冷静に答える。
「クイニィーもいたずらはやめろ」
「へへ~っ! びっくりした~? 向こうでしっかり仕事はしてきたかなぁ? こっちの班でも働いてもらうよ!」
肩の上でくるりと一回転し、飛び降りると同時にもとに戻る『知りたがりのクイニィー』クイニィー・アルジェント(CL3000178)はいたずらげに笑う。
「イ・ラプセル生活は慣れた?」
「ああ、囚人生活はなんとも愉快痛快、大喝采」
アーウィンもまた皮肉げに笑う。
「まあ此の国は比較的ゆるいほうだし早くでれるといいね。そうだ! 名乗ってなかったね。あたしクイニィー。イ・ラプセル一の情報屋だよ。なーんて、あたしはただの知りたがり。なんでも知りたくなっちゃう性分なんだよ」
「お前もこっち側なんだろ?」
クイニィーの口調は明るい。しかしその真意はしれないほの暗さを感じさせる。故に気づいた。彼女もまた自分の側のヒトであるのだと。
「さー、どっち側のお話なのかなぁ~?」
おしゃべりの最中でも遠慮なく飛びかかってくるネズミに暗殺針を投げつけながらクイニィーははぐらかした。
「よーし、アーウィン、お前もしっかりと働いてもらうぞ。こっちの火力担当はおまえじゃ!」
盾役のシノピリカは豪快に笑いながら、遠慮なくネズミたちを押し付けてくる。
「うわ! あんたそれはスパルタすぎるだろ!」
「はっはっは! 頼りにしているぞ!」
それはシノピリカの狙い。彼に自分が望まれていると思ってほしいのだ。この国では己の欲する所・意思に拠ってそれぞれの役目を果たす事が出来るし、それが求められてもいる。それに気づいてほしいのだ。自分は自由であると。
彼らの役割は使い捨ての盾だった。それが自らを護国の盾と称するシノピリカには我慢ならない。
違う、盾に使い捨てなどないのだと教えてやりたかった。
「アーウィン・エピ」
「なんだよ? 美少女かっこ24歳。ってお前俺と同い年かよ」
「私の言葉に反感を覚える事もなく、延々と贖罪を続けるだけならそれも良いでしょうね」
「何がいいたい?」
「図星でしたらそうならば貴方は帝国を離れたところで本当の『ヒト』にはなれないでしょうね」
「……、……ッ」
図星だ。悔しいほどに。言われたままを言われたままにする。それは模範囚であっても自らの意思でもって思考するヒトではない。だから反論はできなかった。
「まぁ行動と結果で見返してみてください、私よりネズミを倒した数が少なければ、反省の見込みなしって報告します」
「ちょっ! ま! お前! きたねえ!」
「なら頑張ってください。あ、ちなみに私、もう5匹は屠ってますので」
煽られたアーウィンは急いでネズミの真ん中に飛び込めばクイニィーはしょうがないなあと、リュリュは少しだけ焦って回復の準備を整える。
「お主、ずいぶんと煽るのがうまいのう」
「さあて、なんのことやら」
カスカは涼しい顔で、前衛に向かうと競うようにネズミを切り払い始めた。
(彼らのような存在は――祖国を裏切ってでも、帝国を倒せと願う者は――此の国にとって帝国と戦うためのていのいいプロパガンダになるのだろうよ。政治がわからぬワシとて、利用したいというずるい気持ちにはなるものだのう。まあ、それだけが理由ではないがしっかり守らないとの)
シノピリカは盾を構えなおし、思いを強くする。
一方リュリュはアーウィンに話しかけることを躊躇していた。ききたいことは山とある。それゆえ逆に問うことはできなし。しかし思う。時間は彼にも自分にも沢山ある。
「アーウィン、出過ぎだ、下がれ。回復しにくいだろ」
「カスカに負けるわけにいかないんだって! 絶対こいつ変なこというんだ! リュリュもなんとか言ってくれ」
「ロジェだ! そんなことはない。それに私も報告書は書く。安心しろ」
願わくば。思いの外愛想も悪くないこの青年がゆっくりとこれからのことをかんがえる自由をえることができて、彼の思う未来が叶うといいとおもう。
納得できないことは沢山あるだろう。それでもその悩んだ末に納得のいく道がみえるといいと思う。
彼らの戦闘は回復手の迅速かつ丁寧で確実な回復により苦戦らしい苦戦はなかった。
「所詮は数だけのイブリース、俺たちの敵じゃないだろうぜ。さすがの旦那も1人なら辛いだろうが今は俺たちがついてるから安心してくれ」
ウェルスがニッコリと微笑み疲れの見える力づける。そのとおりだ一人では厳しくても仲間がいる。
「過去はかえれないなら未来をを変えればいい。未来は誰にだって平等だ」
ウェルスの愛銃ウルサマヨルが白い蒸気をあげながら弾丸をネズミに撃ち込む。
「まあこんな暗い話ばっかじゃ気が滅入るよな! 聞いてくれ、最近可愛い子ちゃんからもらったこのヘアアクセ! いいだろ?」
「てかあんたに髪の毛ってあるのかよ!」
「もうすぐ星祭だ、屋台や出店出そうぜ!」
「なんだそれ? まあ、見てみたい気はする」
「そういやあ、ヴィスマルクの女神って名前なんだっけ?」
「前もいったろ? ■■■■だって!」
軽口を叩きながらも手はとまらない。連携した攻撃は効率よくネズミを屠っていく。
「今ので20。オーダーの数は終わった」
最後の一匹をリュリュが冷たき死の棺でもって仕留めたところで、戦闘は終了した。
「じゃあ、記念撮影だ!」
戦闘がおわりマキナ=ギアを通じて担当の迎えの兵士を呼びつけると、クイニィーは自分の蒸気カメラを押し付けた。兵士は多少面食らいながらもカメラを構える。
「はい、ならんでー! にっこりわらってー!」
初の共闘記念だ。あとでみんなにもくばるよー! と大はしゃぎだ。
「お気楽だっておもった? これがお国柄! 君もこの国の一員なんだよ! だんだんこうなっていくんだよ、君もね」
ずいぶんな呪いの言葉を吐かれたものだ。俺がこんなお気楽に? そんなわけない。
アーウィンはそう思うが、そう思いたいのだが、未来はわからない。
「ところで、お主。やりたい事がすぐには思いつかぬなら、自由騎士として我らと共に働いてはくれぬか? お主らの働きはいずれ、お国の同輩を救い出す事にも繋がると思うのじゃ」
兵士に連れられるアーウィンの背中にシノピリカがそう言った。
「は、俺が? わかったよ、気が向いたら考えておくさ」
彼は振り返らず片手を上げて答えた。
彼がどんな未来を手にするのか今はわからない。しかして、それが悪いものではないということは、彼ら自由騎士たちにはよく分かる。なぜなら、一瞬だけみえた彼の横顔が笑顔であったのだから。
「万が一にも無いでしょうが、ほんの少しでも妙な真似をすれば即座にその首を刎ね飛ばしますのでそのつもりで」
監視役の自由騎士団と引き合わされて、採掘場に潜り最初にアーウィン・エピ(nCL3000022) に向けられたのは『護神の剣』カスカ・セイリュウジ(CL3000019)の言葉だ。
「たとえば、こんな風に」
アーウィンの直ぐ横を走るイブリースのネズミをイェソドの鋭い感覚でみつけたカスカはザクとその体躯には見合わぬ大きさの刀で切り捨てる。
「ふざけんな! まじでびびったじゃねえか!」
(他者の善意を心から信じることなどできない……差し詰め、そんな感じですか。今までの人間扱いすらされなかった環境を鑑みれば致し方の無いことなのでしょうが)
それは国という区分が違うだけで起きる悲劇。だがそれは外部から見た印象に過ぎない。なぜならその環境で生きるしかないものにとってはそれが全てなのだ。その凝り固まった既成概念をとき崩すのは容易ではない。故にカスカは一層冷たく言い放つ。
「私は貴方を今のところ、罪人という形で人間扱いしています」
「は? なんだよそれ。訳わかんねえな」
きっと彼は無償の善意というものを理解することができない。だからこれでいい。そのほうが彼にとってはわかりやすいのだ。事実出会って直後の緊張はアーウィンからは抜けている。
「まあまあ、気にするな! 挨拶みたいなものだ! 我が国もまだまだこれからでな、今日の共闘はイ・ラプセルの新しい一歩になり得ようぞ! うおー!! 燃えてきた! アーウィン! お前もだろう! あいたーーーー!!」
興奮するアーウィンを宥め、ネズミに古びたサーベルでトドメをさすのは『イ・ラプセル自由騎士団』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)。その途中で出っ張った岩場に頭をぶつけたのは愛嬌だろう。
「よう兄弟、杯を交わし、再会できた事を喜ぼうじゃないか! ……と言いたいが、今はコレが精一杯か」
言って大柄のクマ、もといクマのケモノビトのウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)が、アーウィンの前に拳を掲げれば、アーウィンはへいへいと答えて打ちあわせる。
「やあやあ、家来! 元気だったかな?」
そんな背中を低い場所からぽんぽん叩くのは『空を泳ぐ』ツツジ フェヴリエ(CL3000009)。
「よう、チビいたのか、すまん見えなかった」
帰ってくるのは悪態。それは親しさからくるものだろう。
「うおー! 誰がチビだ! なんだよ、僕を馬鹿にしてるの?アーウィンのばかー、身長よこせー! モフらせろー!」
「飾り毛を引っ張るな! だれがんな事させるか!」
ツツジは彼の「故郷(ハイマート)をすてた」という言葉が引っかかっていた。――《鉄血の心》。その権能を得てツツジは国家への無理やりな帰属意識というものを感じた。そりゃあ自分の国は大切だ。けれどそれ以上の底しれない気味の悪さは感じた。その権能を圧して別の国家に向かうというそれはよっぽど強い思いだったのだろう。
(アーウィンは今、全部手放した只のアーウィンとして自己実現の途中なんだろうな。それをどうすればいいかわからないんだ。他人から評価だけじゃない。自分で自分を認めないと意味がない。アクアディーネさまのオラクルとしても、イ・ラプセル人としても、アーウィンはまだまだ赤ちゃん同然なんだから! お兄ちゃんの僕の頼れる背中を見せつけて安心させてやろう)
コウテイペンギンの少年は一層胸を張る。
「せいぜい、こき使ってあげるよ、早くこないと全部僕がたおしちゃうからね!」
ツツジはカンテラを持ちアーウィンを引っ張るように歩く。
その横に無言でつくのはイ・ラプセル自由騎士団』ボルカス・ギルトバーナー(CL3000092)だ。ボルカスはアーウィンに対する不信感は隠さない。それは彼も直ぐに気づきニヤリと皮肉げに笑った。
しかしボルカスは彼が、彼の仲間たちがこうやって努力をしているのはわかっている。裏切り者が信頼を得るというのは想うより難しい話だ。
「初めまして、私はガーベラ・キルロードと申します。よろしくお願いしますわ、アーウィン様、仲良くしましょう」
無意識のマイナスイオンを振りまくのは『キルロード家令嬢』ガーベラ・キルロード(CL3000263)。場違いのカーテシーで優雅に挨拶する。
「正直あの戦争は悲劇が多すぎました。説得も掛けましたが上手くはいきませんでした。でも! それでもこうして投降してでも生きてくれた方が居たのは本当に感謝しかありませんわ! だって生きてさえいればやり直す事が出来ます!」
「は、只の綺麗事、偽善だな、あんただって悔しい思いしたんだろ?」
「はい! 偽善でしょう! ですが偽りでも善の気持ちが人と人を結びつけ、いつか戦争もおわり人が仲良くできるんです! 私はこの考えを改める気はありませんわ!」
偽善だとけなされようが、貫くのはその真っ直ぐな心。そんなガーベラに毒気を抜かれてしまう。
「ほら! そこにネズミが! ぼやぼやしていられませんわよ!」
ネズミ駆逐は2班に分かれて行われる。A班にはボルカス、ガーベラ、ツツジ、そしてアーウィンの4人、残りがB班として行動する。
まずはA班である程度の駆逐を試みたあとB班に監視を引き渡すという方針である。
ボルカスは無言で、アーウィンの横に付き黙々とネズミの駆除を進める。
「お菓子食べる?」
「食わねえよ! てかお前もビビってるんだろ? チビ」
「チビいうな! 怖くないけど灯りいるだろ!!」
「俺、暗視あるからいらねーし」
ずいぶんとツツジとアーウィンは仲が良いようだ。そうだ。こんな風に敵同士であっても手を取ることはできるのだ。
まるで柳のように近づいてくるのはガーベラ。なんだかんだで真面目に駆除を行うアーウィンの震撃に合わせ己の震撃も重ねていく。その流麗な動きには彼女の貴族らしさが垣間見えた。
「ずいぶん綺麗な拳だな。お貴族様」
照れ隠しなのかなんなのか、アーウィンが言えば、ガーベラはぷんぷんと頬を膨らます。
「貴族ではない、ガーベラ・キルロードとして接してほしいですわ! ところで何を悩んでいるんです? 悩みは拳に出ます。同じ業を使っていてそれがわからないとお思いですか?」
シンパシーがあるからこそのそのゆらぎをガーベラは直ぐに見抜く。アーウィンはバツが悪そうにその三白眼でにらみつけた。
「うるせえ。しらねえよ。俺は……」
「私、思うのです。人はみんな手をとりあって生きていけます」
「また綺麗事を」
「生まれや育ちで理解できないことはいくらでもあります。でも私はだからといって諦めたくありません。だって人には言葉という共通のツールがあるのですもの! きっと貴方は変わりたいんでしょうね。だけど、そうしていいのか自信がないんです。すぐには変われないでしょう! でもアーウィン様、貴方も諦めなければ変われるはずです。まずは私と友達になりましょう!」
「お前らはそうやって友達友達って……」
ガーベラの言葉はアーウィンを鋭く貫く。きっと変わりたいのだ。イ・ラプセルの国民のように。それを邪魔するのはヴィスマルクでの常識。
「アーウィンは僕の家来だよ。つまり友達ってこと!」
「なんだ! ツツジ! だれが家来になったってんだよ!!」
ネズミに噛まれ、毒に侵される彼を癒やしながら少年はあっけらかんという。ボルカスがこれ以上毒の深度を深めないようにとさり気なくアーウィンを庇っていたことに彼は気づいただろうか?
「そろそろか。あちら側に言ってもらうぞ、アーウィン」
周囲にはネズミの姿は見えない。移動の頃合いだ。
「正直」
言葉少ないボルカスの声にアーウィンは振り向く。
「まだ、お前のことは信用ならん。 しかし、それでもなお、この国の一員になろうと、頑張ってくれる姿を否定できるわけもない。 頑張ってくれよ、「しつこく疑ってスマン」なんて頭を下げる日が、結構楽しみなんだ」
「おっさん、お人好しっていわれねえか? ああ、そうだな、言わせてやる。そんときは詫びにウマイ飯ってのをおごらせてやる」
ボルカスの広い胸にアーウィンは拳をこつんと打ち付けると、背をむけて歩きだした。B班が彼を呼んでいるのだ。
カスカの揺らす松明が明滅し、B班の現在地を知らせていた。
「おい! リスって討伐対象だったか?」
B班に移動するやいなや肩に飛び乗ってきたリスに驚き、うろたえ構えるアーウィン。
「だめだ。それは違う」
回復を順次行っていたリュリュ・ロジェ(CL3000117)が冷静に答える。
「クイニィーもいたずらはやめろ」
「へへ~っ! びっくりした~? 向こうでしっかり仕事はしてきたかなぁ? こっちの班でも働いてもらうよ!」
肩の上でくるりと一回転し、飛び降りると同時にもとに戻る『知りたがりのクイニィー』クイニィー・アルジェント(CL3000178)はいたずらげに笑う。
「イ・ラプセル生活は慣れた?」
「ああ、囚人生活はなんとも愉快痛快、大喝采」
アーウィンもまた皮肉げに笑う。
「まあ此の国は比較的ゆるいほうだし早くでれるといいね。そうだ! 名乗ってなかったね。あたしクイニィー。イ・ラプセル一の情報屋だよ。なーんて、あたしはただの知りたがり。なんでも知りたくなっちゃう性分なんだよ」
「お前もこっち側なんだろ?」
クイニィーの口調は明るい。しかしその真意はしれないほの暗さを感じさせる。故に気づいた。彼女もまた自分の側のヒトであるのだと。
「さー、どっち側のお話なのかなぁ~?」
おしゃべりの最中でも遠慮なく飛びかかってくるネズミに暗殺針を投げつけながらクイニィーははぐらかした。
「よーし、アーウィン、お前もしっかりと働いてもらうぞ。こっちの火力担当はおまえじゃ!」
盾役のシノピリカは豪快に笑いながら、遠慮なくネズミたちを押し付けてくる。
「うわ! あんたそれはスパルタすぎるだろ!」
「はっはっは! 頼りにしているぞ!」
それはシノピリカの狙い。彼に自分が望まれていると思ってほしいのだ。この国では己の欲する所・意思に拠ってそれぞれの役目を果たす事が出来るし、それが求められてもいる。それに気づいてほしいのだ。自分は自由であると。
彼らの役割は使い捨ての盾だった。それが自らを護国の盾と称するシノピリカには我慢ならない。
違う、盾に使い捨てなどないのだと教えてやりたかった。
「アーウィン・エピ」
「なんだよ? 美少女かっこ24歳。ってお前俺と同い年かよ」
「私の言葉に反感を覚える事もなく、延々と贖罪を続けるだけならそれも良いでしょうね」
「何がいいたい?」
「図星でしたらそうならば貴方は帝国を離れたところで本当の『ヒト』にはなれないでしょうね」
「……、……ッ」
図星だ。悔しいほどに。言われたままを言われたままにする。それは模範囚であっても自らの意思でもって思考するヒトではない。だから反論はできなかった。
「まぁ行動と結果で見返してみてください、私よりネズミを倒した数が少なければ、反省の見込みなしって報告します」
「ちょっ! ま! お前! きたねえ!」
「なら頑張ってください。あ、ちなみに私、もう5匹は屠ってますので」
煽られたアーウィンは急いでネズミの真ん中に飛び込めばクイニィーはしょうがないなあと、リュリュは少しだけ焦って回復の準備を整える。
「お主、ずいぶんと煽るのがうまいのう」
「さあて、なんのことやら」
カスカは涼しい顔で、前衛に向かうと競うようにネズミを切り払い始めた。
(彼らのような存在は――祖国を裏切ってでも、帝国を倒せと願う者は――此の国にとって帝国と戦うためのていのいいプロパガンダになるのだろうよ。政治がわからぬワシとて、利用したいというずるい気持ちにはなるものだのう。まあ、それだけが理由ではないがしっかり守らないとの)
シノピリカは盾を構えなおし、思いを強くする。
一方リュリュはアーウィンに話しかけることを躊躇していた。ききたいことは山とある。それゆえ逆に問うことはできなし。しかし思う。時間は彼にも自分にも沢山ある。
「アーウィン、出過ぎだ、下がれ。回復しにくいだろ」
「カスカに負けるわけにいかないんだって! 絶対こいつ変なこというんだ! リュリュもなんとか言ってくれ」
「ロジェだ! そんなことはない。それに私も報告書は書く。安心しろ」
願わくば。思いの外愛想も悪くないこの青年がゆっくりとこれからのことをかんがえる自由をえることができて、彼の思う未来が叶うといいとおもう。
納得できないことは沢山あるだろう。それでもその悩んだ末に納得のいく道がみえるといいと思う。
彼らの戦闘は回復手の迅速かつ丁寧で確実な回復により苦戦らしい苦戦はなかった。
「所詮は数だけのイブリース、俺たちの敵じゃないだろうぜ。さすがの旦那も1人なら辛いだろうが今は俺たちがついてるから安心してくれ」
ウェルスがニッコリと微笑み疲れの見える力づける。そのとおりだ一人では厳しくても仲間がいる。
「過去はかえれないなら未来をを変えればいい。未来は誰にだって平等だ」
ウェルスの愛銃ウルサマヨルが白い蒸気をあげながら弾丸をネズミに撃ち込む。
「まあこんな暗い話ばっかじゃ気が滅入るよな! 聞いてくれ、最近可愛い子ちゃんからもらったこのヘアアクセ! いいだろ?」
「てかあんたに髪の毛ってあるのかよ!」
「もうすぐ星祭だ、屋台や出店出そうぜ!」
「なんだそれ? まあ、見てみたい気はする」
「そういやあ、ヴィスマルクの女神って名前なんだっけ?」
「前もいったろ? ■■■■だって!」
軽口を叩きながらも手はとまらない。連携した攻撃は効率よくネズミを屠っていく。
「今ので20。オーダーの数は終わった」
最後の一匹をリュリュが冷たき死の棺でもって仕留めたところで、戦闘は終了した。
「じゃあ、記念撮影だ!」
戦闘がおわりマキナ=ギアを通じて担当の迎えの兵士を呼びつけると、クイニィーは自分の蒸気カメラを押し付けた。兵士は多少面食らいながらもカメラを構える。
「はい、ならんでー! にっこりわらってー!」
初の共闘記念だ。あとでみんなにもくばるよー! と大はしゃぎだ。
「お気楽だっておもった? これがお国柄! 君もこの国の一員なんだよ! だんだんこうなっていくんだよ、君もね」
ずいぶんな呪いの言葉を吐かれたものだ。俺がこんなお気楽に? そんなわけない。
アーウィンはそう思うが、そう思いたいのだが、未来はわからない。
「ところで、お主。やりたい事がすぐには思いつかぬなら、自由騎士として我らと共に働いてはくれぬか? お主らの働きはいずれ、お国の同輩を救い出す事にも繋がると思うのじゃ」
兵士に連れられるアーウィンの背中にシノピリカがそう言った。
「は、俺が? わかったよ、気が向いたら考えておくさ」
彼は振り返らず片手を上げて答えた。
彼がどんな未来を手にするのか今はわからない。しかして、それが悪いものではないということは、彼ら自由騎士たちにはよく分かる。なぜなら、一瞬だけみえた彼の横顔が笑顔であったのだから。
†シナリオ結果†
大成功
†詳細†
称号付与
特殊成果
『一枚のスナップ』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
†あとがき†
みなさまエピ君に温かい言葉ありがとうございました!
皆様全員のお言葉が素晴らしく、少しずつエピ君もかわっていけるかとおもわれます。
みなさまの優しさあふれるプレをみて涙ぐんでしまったのは内緒です。
MVPを悩みになやみましたので、もうこれ大成功でいいや!というわけで
皆さんMVPということで大成功を捧げさせていただきます。
皆様全員のお言葉が素晴らしく、少しずつエピ君もかわっていけるかとおもわれます。
みなさまの優しさあふれるプレをみて涙ぐんでしまったのは内緒です。
MVPを悩みになやみましたので、もうこれ大成功でいいや!というわけで
皆さんMVPということで大成功を捧げさせていただきます。
FL送付済