MagiaSteam




Complex! 輝き、解き放って――

●とあるヨッパライ同士の会話
「人間そのものに幻覚をかけて騙すことはできるか?」
『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)は目の前の幻想種に向かい、そう質問する。身長1mほどのタヌキ幻想種。名前を藤玄京(とうげんきょう)と言う。
かつて、自らに幻覚を纏いミラージュドラゴンを名乗り、アクアフェスタに介入しようとしたことがある悪辣な……というよりは悪戯好きな幻想種で、ツボミは時折こうして酒を酌み交わしていた。
「例えばどないな感じで?」
「良く喜劇とかでだな、女装を強要された強面が鏡見て『これが私……!?』とか言って新しい性癖に目覚めるのとかあるじゃん。何気にそう言う『気づき』って私凄い大事だと思うんだよなー。ヒック」
エールを飲みながらツボミは説明する。かなり酒がまわっているようだ。
「ええがなええがな! ふと、うなじを見た時に胸に来る衝撃! その時までは何ともなかったけど、その瞬間から目が離せなくなる病! こうして人の性癖(こころ)は発掘されていくんやなぁ。ぶはぁ! ええ酒や!」
「もっとライトな例で言うなら、例えば戦いしか知らなかった女傭兵が初めての御洒落に嬉し恥ずかし初☆体験とかな。それまで避けて来たかそもそも視界の外だった部分に手が触れる事で、新たな美や魅力が芽生えると言う例は多いし、何よりも上手く嵌れば最高に『滾る』物となる……! ウィー」
「甘酸っぱい初経験! 心の奥で助けを求めるか細い声。その心の扉を開ければ新たな世界が待ってるんや! そうして生まれた人がさらに誰かの扉を開けていく。こうやって世界は作られていくんや! ゲップ!」
「本番はアクアフェスタだ。だがその時になってからでは手遅れだろう? 今だから間に合う。今のうちにお試しをさせ模索させ目覚めさせる事で! 衣装の準備が間に合い! 今年のアクアフェスタはより酷いもとい輝かしい事になる! 気がする! ゴキュゴキュ!」
「流石水の女神様アクアディーネ様の自由騎士! 祭りを盛り上げるための下準備は欠かせないというわけやな。おおっと、わかってるで。そんなお題目でいろいろ見たいんやろ? 分かってる分かってる。ワシもそうやさかい! おかわりー」
「集めるのは私が何とかするぞ! 宥めてすかしたり屁理屈捏ねたり騙したり何なら幼児の如く地団太踏んでおねだりしたりして何とかする!」
●こうして
ツボミに集められた者達は、ひっどい目にあうのであった。
「人間そのものに幻覚をかけて騙すことはできるか?」
『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)は目の前の幻想種に向かい、そう質問する。身長1mほどのタヌキ幻想種。名前を藤玄京(とうげんきょう)と言う。
かつて、自らに幻覚を纏いミラージュドラゴンを名乗り、アクアフェスタに介入しようとしたことがある悪辣な……というよりは悪戯好きな幻想種で、ツボミは時折こうして酒を酌み交わしていた。
「例えばどないな感じで?」
「良く喜劇とかでだな、女装を強要された強面が鏡見て『これが私……!?』とか言って新しい性癖に目覚めるのとかあるじゃん。何気にそう言う『気づき』って私凄い大事だと思うんだよなー。ヒック」
エールを飲みながらツボミは説明する。かなり酒がまわっているようだ。
「ええがなええがな! ふと、うなじを見た時に胸に来る衝撃! その時までは何ともなかったけど、その瞬間から目が離せなくなる病! こうして人の性癖(こころ)は発掘されていくんやなぁ。ぶはぁ! ええ酒や!」
「もっとライトな例で言うなら、例えば戦いしか知らなかった女傭兵が初めての御洒落に嬉し恥ずかし初☆体験とかな。それまで避けて来たかそもそも視界の外だった部分に手が触れる事で、新たな美や魅力が芽生えると言う例は多いし、何よりも上手く嵌れば最高に『滾る』物となる……! ウィー」
「甘酸っぱい初経験! 心の奥で助けを求めるか細い声。その心の扉を開ければ新たな世界が待ってるんや! そうして生まれた人がさらに誰かの扉を開けていく。こうやって世界は作られていくんや! ゲップ!」
「本番はアクアフェスタだ。だがその時になってからでは手遅れだろう? 今だから間に合う。今のうちにお試しをさせ模索させ目覚めさせる事で! 衣装の準備が間に合い! 今年のアクアフェスタはより酷いもとい輝かしい事になる! 気がする! ゴキュゴキュ!」
「流石水の女神様アクアディーネ様の自由騎士! 祭りを盛り上げるための下準備は欠かせないというわけやな。おおっと、わかってるで。そんなお題目でいろいろ見たいんやろ? 分かってる分かってる。ワシもそうやさかい! おかわりー」
「集めるのは私が何とかするぞ! 宥めてすかしたり屁理屈捏ねたり騙したり何なら幼児の如く地団太踏んでおねだりしたりして何とかする!」
●こうして
ツボミに集められた者達は、ひっどい目にあうのであった。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.心の中にある自分と向き合……ってひどい目に合う
どくどくです。
新天地開拓です(言いきった)。
このシナリオは非時香・ツボミ(CL3000086)様の依頼により発生したEXリクエストシナリオです。発注者以外でも参加は可能です。
★リクエストシナリオとは(マニュアルから抜粋)
リクエストシナリオは最大参加者4名、6名、8名まで選べます。なお依頼自体はOPが出た時点で確定しており、参加者が申請者1名のみでもリプレイは執筆されます。
リプレイの文字数は参加人数に応じて変動します。
【EXシナリオ】
1人の場合は4000文字まで、その後1人につき+1500文字 6人以上の場合は最大12000文字までとなります。
なお、ツボミ様のセリフは発注文からそのまま使用させていただきました。引用ですらない。
●説明っ!
ツボミに集められた者達は、幻覚を見ます。それは『己の中に秘められた願望』が叶うものです。
願望と言ってもお金や地位と言った物理的社会的なものではなく、フェティシズムのような精神的な崇拝であったり、秘めたる性的願望だったりします。それは必死に隠していたものかもしれませんし、本人が気づいていない事なのかもしれません。
衣装が変わったりするのはもちのろん。身長や年齢や性別や種族が変化したり、変化した誰かが隣にいたりすることもあります。周りの状況も変化します。認知能力とかも狂うので、幻覚だと気付くこともできません。
幻覚は他人には見えませんが、思わず口走ったりしてバレるかもしれません。
簡単に言えば『キャラに変な性癖付けて、楽しみましょう』です。
リクエスト主曰く『なるたけ酷い事になる様にして欲しいのです』……ということなので、しかたないなぁ(何かのリミッターを解除した)。
●NPC
・藤玄京(とうげんきょう)
アマノホカリから来たタヌキ型幻想種。本人曰く300歳のオオダヌキ。拙作『【アクアフェスタ】Xanadu! 夏の美を示せ!』に出ていますが、知らずとも『幻覚見せるヤツ』という認識で問題ありません。
●場所情報
ツボミに連れられてやってきた酒場。なお幻覚が見せる場所はプレイング次第。
幻覚にかかっている時間は現実世界で10分ほどとします。つまり『一生ヤンデレに監禁される』的な感じでも体感時間で一生ですが、現実では10分ほどという事で。
最後に『マギアスティームは全年齢!』
皆様のプレイングをお待ちしています。
新天地開拓です(言いきった)。
このシナリオは非時香・ツボミ(CL3000086)様の依頼により発生したEXリクエストシナリオです。発注者以外でも参加は可能です。
★リクエストシナリオとは(マニュアルから抜粋)
リクエストシナリオは最大参加者4名、6名、8名まで選べます。なお依頼自体はOPが出た時点で確定しており、参加者が申請者1名のみでもリプレイは執筆されます。
リプレイの文字数は参加人数に応じて変動します。
【EXシナリオ】
1人の場合は4000文字まで、その後1人につき+1500文字 6人以上の場合は最大12000文字までとなります。
なお、ツボミ様のセリフは発注文からそのまま使用させていただきました。引用ですらない。
●説明っ!
ツボミに集められた者達は、幻覚を見ます。それは『己の中に秘められた願望』が叶うものです。
願望と言ってもお金や地位と言った物理的社会的なものではなく、フェティシズムのような精神的な崇拝であったり、秘めたる性的願望だったりします。それは必死に隠していたものかもしれませんし、本人が気づいていない事なのかもしれません。
衣装が変わったりするのはもちのろん。身長や年齢や性別や種族が変化したり、変化した誰かが隣にいたりすることもあります。周りの状況も変化します。認知能力とかも狂うので、幻覚だと気付くこともできません。
幻覚は他人には見えませんが、思わず口走ったりしてバレるかもしれません。
簡単に言えば『キャラに変な性癖付けて、楽しみましょう』です。
リクエスト主曰く『なるたけ酷い事になる様にして欲しいのです』……ということなので、しかたないなぁ(何かのリミッターを解除した)。
●NPC
・藤玄京(とうげんきょう)
アマノホカリから来たタヌキ型幻想種。本人曰く300歳のオオダヌキ。拙作『【アクアフェスタ】Xanadu! 夏の美を示せ!』に出ていますが、知らずとも『幻覚見せるヤツ』という認識で問題ありません。
●場所情報
ツボミに連れられてやってきた酒場。なお幻覚が見せる場所はプレイング次第。
幻覚にかかっている時間は現実世界で10分ほどとします。つまり『一生ヤンデレに監禁される』的な感じでも体感時間で一生ですが、現実では10分ほどという事で。
最後に『マギアスティームは全年齢!』
皆様のプレイングをお待ちしています。
状態
完了
完了
報酬マテリア
1個
1個
5個
1個




参加費
150LP [予約時+50LP]
150LP [予約時+50LP]
相談日数
6日
6日
参加人数
6/6
6/6
公開日
2020年03月15日
2020年03月15日
†メイン参加者 6人†
●幻覚発動
「鳥居の数がいちにのさん。とおにはたえにごじゅうにひゃく。
みーえるみえーる、みえるみえるー。あなたの心にぽぽんのぽん!」
●『おじさま以外に触らせません!』デボラ・ディートヘルム(CL3000511)の願望
「ここは……ティダルトの機械室でしょうか?」
気が付くとデボラは機械に囲まれた部屋にいた。周囲にはごうごうとうなりをあげる蒸気機械。多くの配管と数多くの計器。壁にかけられたランタンが薄く部屋の中を照らしている。無機物だらけの蒸気で蒸された空間。そんな部屋だ。
「他には誰もいない……みたいですね」
知り合いの名前を読んでも何の返事もない。そもそもなんでこんな所に来たかも思い出せない。ともあれじっとしていても仕方ない手掛かりを求めて動こうとした矢先に――
「え?」
足元に何かが絡みついているのに気付く。蒸気供給用に水を送る配管だ。ヘルメリア技術で作られたゴム製のホースである。足を振り上げ払おうとするデボラだが、その瞬間にホースの一部が切れて水が漏れ、体中に水がかかってしまう。
「きゃう! なんなんですか、これ」
思わぬハプニングに気がそれるデボラ。そんなデボラに機械のマニピュレーターが近づいてくる。トラブル発生時の自動修復装置だ。配管の漏れを察知し、それを修復するための機械である。それはホースの穴をふさぐと同時に、濡れた個所をふき取りカビ発生を防止するモノだ。
それは濡れたデボラの身体にも迫る。
「わわっ、ちょ、何を……!」
機械は機能に従い、濡れたデボラの身体を拭く。頭、肩、背中、腰、お腹周り、そして太ももを……。
「ななななな、そんな所を触らないでください! ちょっと、ニコラ様!」
製作者であろう人の名を呼び抗議するが、機械の動きは止まらない。そして機械はデボラの服の中まで侵入してくる。秘された乙女の領域。そこへの接近に気付き、慌てて逃れようとするデボラだが……。
「え、そんな、離してください!?」
マニピュレーターは逃れようとするデボラを拘束するように動く。濡れているモノが暴れれば飛沫が飛び、作業が増える。ならば最初に拘束するのは当然ですよね? 機械の管がデボラの身体に絡みつく。関節を押さえる効率的な拘束術により、デボラは身動きが取れなくなっていた。
「な、そんなところを、やめ、てっ……」
無機質に素肌を這う機械達。それは全身濡れたデボラの水分を拭きとろうとデボラの体全てに迫る。逃れようにも逃れられず、デボラはただ全身を駆け巡る機械に耐えるしかできない
(機械の冷たさが、気持ちいいとか……思ってませんから、ぁ!)
非常識な状況での非常識な体験。その精神的ストレスからか、はたまた別の要因からか。デボラの肌は少しずつ上気し、うっすらと肌から汗がにじみ出ている。機械はそれに反応し、更に動き続ける。
終わらない機械による行為。それは少しずつデボラを追い詰めていく。精神的に、そして肉体的な限界が少しずつ近づいてくる。
「そんなところまで! お願いです! そこは、そこは!」
四肢を拘束され、触れられたくない場所まで機械に触れられて。抵抗したくても何もできず、しかし心のどこかでその行為を望んでいる自分が――
(そんなことはありません! このような事、このような事……!)
心は必死に否定するが、状況は何も変わらない。機械はデボラの体中を執拗に吹き上げる。濡れた場所を中心に、丹念に。何度も。何度も。
……………………。
…………。
……。
(こ、こは……)
気が付くと、デボラはまた別の場所にいた。
手足のカタクラフトは外され、椅子に拘束された自分。そして体中に絡まる機械のチューブ。それは注射器のように身体中に刺さっていた。
「こ、これは……?」
『意識覚醒確認。フラグメンツ抽出作業、開始します』
「あ、あああああ!」
デボラの身体に走る甘い感覚。そしてチューブから吸われる何かが一つの機械に集まり、粉状の物を生み出していた。
あれは通商連御用達の『白い粉』。そう言えばあれがどうやって作られるのか、聞いたことがなかった。フラグメンツを回復させるという効用。それが誰かのフラグメンツを奪って作られると言うのなら……。
「この機械類は、もしかして……。私は……これから……」
動くことすらできず、ただ機械に弄られ続ける。そんな未来を想像し、デボラは絶望する。チューブから薬を与えられているのか、衰弱することも眠ることもできない。これから二十四時間ずっと、機械に全てを奪われ続けるのだ。乙女の身も、自由騎士の心も、通商連の儲けの為に。
「これで通商連も潤います。いやはや、流石ですよコーリナー様」
え? デボラは視界の端に見知った男がいる事に気付く。
「いえいえ。これからもよしなに」
男は機械に責められて甘く震える自分をじっと見ていた。そんな彼が。
でも、その感覚すら――
●『空飛ぶナポリタンの使徒』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)の願望
「……ハッ!?」
気が付くとアンジェリカは拘束されていた。
武装は全て没収され、天井から両手を吊られた状態だ。場所はどこかの地下室だろう。そして目の前には覆面をつけた者達がいた。経緯は思い出せないが、おそらく彼らに捕まったのだろう。アンジェリカは相手の情報を引き出すために口を開く。
「何者なのですか。貴方達は?」
「我らは央華大陸から来たRhapsodic Ramen respecter(熱狂的なラーメン信望者)。略してRRR!」
「……え?」
あんパン系はPCが扱うネタなので、こちらに変更させていただきました。かしこ。
「貴様が自由騎士にしてFPM教であることは知っている。そう言えば、我らが貴様を誘拐したわけが、わかるよな?」
「ま、待ってください。それは!? その子は!」
アンジェリカの前には、程よく茹で上がったパスタがあった。鍋で煮られてあげられたばかりのパスタ。まだどのようにでもなる無限の可能性。ミート、トマト、チーズ……その無限の可能性は、赤く染まったスープに迫っていく。
「激辛ソース。唐辛子大蒜マシマシマシでの超濃厚スープだ」
「やめてください! そんなソースにつけられたら、その子が赤く染め上げられてしまいます! その子はまだ何も知らない子なんです!」
「分かっているではないか。ではどうすればいいか、わかるよな?」
何がどうなのか一般人には分からないが、アンジェリカとRRRの人間にはいろいろわかるらしい。
「分かりました……私が代わりにそれを受ればいいのでしょう!」
「おおっと、言葉を選んだ方がいいんじゃないか? そんな口調じゃ、我らも気が変わってしまうかもな?」
「…………っ!?」
RRRの言葉に屈するように、アンジェリカは屈辱的な言葉を口にする。
「わ、私にラーメンのすばらしさを、教えてくださいませ」
「『宜しくお願いします』が抜けてるぜ。最初からだ」
「私にラーメンのすばらしさを、教えてくださいませ。……よろしくお願いします」
「はっはっは。FPM教の信徒様からそんな御願いをされちゃあ、仕方ないよな。たーっぷり教えてやるぜ。その身体にな」
なんかいろいろな読者を置き去りにしている気がするが、この手の導入なんてこんなもんです(暴論)。
「先ずは定番のモヤシからだ」
「そんな、モヤシが急成長して足に絡みついて! こ、このような格好は!」
「大事な部分は海苔で隠してやろう。我々は紳士だからな。さて次は卵だな。程よく茹でた半熟卵は白身と黄身で味わいが変わる」
「白身のぷりぷりした感覚が……それに黄身がねっとりと体に絡んでくる! いつも食べているパスタとは、違った感覚……!」
「どうだ。スープの熱さも相まって(おいしく)感じるだろう?」
「そ、そのような事は……! これは(ただ高カロリーで胃袋が)反応しているだけです! 私のパスタへの信仰は揺るぎはしません!」
「ふん。素直になればいいものを。ではこれならどうだ?」
「そ、それはチャーシュー! そのような縛りを……それは、それは。おやめください! 只でさえ平均的女性の摂取カロリーをオーバーしている量なのに……そこにそんな脂分多めの肉を乗せられたら……ああっ!
いいえ、いいえ私は、このような責めに屈するわけには……!」
「ふん、そんな顔で強がってもむなしいだけだな。体は既に堕ちているくせに」
「そんなこと言わないでください、そのような屈辱に、耐えきれません……。もう、これ以上は……!」
終わらない責めに涙を流すアンジェリカ。身体はラーメンに屈しているのに、信仰でギリギリ自分を保っていた。
だがそれも砂上の楼閣。押し寄せる(胃袋を満たす)快楽の波に理性を守る砂の足場は少しずつ崩されていく――
「いいだろう。限界と言うのなら辞めてやる。だがそうなるとあの子に手を出すしかないな」
「っ! 卑怯です! あの子に手を出さないといったではないですか!」
「あの純白な体に濃厚なトンコツスープをかけてやろうか。それともどろりとしたあんかけスープがお似合いかな?」
「ああああああああ、どうか、どうかあの子だけは!」
「おやおや? やめてほしいのではなかったのか? 我らは紳士だ。願いならいくらでも聞いてやろう」
「卑怯……卑怯です……!」
だが人質(?)を取られたアンジェリカに選択肢などない。死ぬことすら許されず、限界を超えてもなお耐えなければならない。
RRRによる責め苦は、麺に絡むスープのようにアンジェリカに纏わりつく――
●『有美玉』ルー・シェーファー(CL3000101)の願望
「ルーさん」
目が覚めると、ルーが経営するいつもの店。
声をかけてきたのは最近雇ったカルラ。まだ社会に出るには早いノウブルの少年で、つい最近ルーが小間使いとして雇ったのだ。亜麻色の髪に薄茶色の瞳。まだ世間を知らないあどけない表情。
ルーが彼を雇ったのには、理由があった。
『有能そうな子を雇って、商売のイロハを教える! 愛情をもって育てて、時にはラッキーすけべイベントも! 立派にアタシの右腕になるまで育てて……親と思っていた憧れはいつしか恋に変わるのヨ!』
つまり、
『題して「逆ヒカルゲンジ計画」……!』
何とも壮大な計画である。元ネタ的に複数名の少年と出会うことも考えたが、騎士的に戦力の分散は危険という判断の元でこうなった。
「商売の基本は情報! そして行動! 今日も頑張るヨー!」
「はい、お師匠様!」
「んー……。そういう硬い呼び方はちょい困るネ。……気軽に、ルーお姉ちゃんとかドウ?」
「え……。ルーおねーちゃん……?」
(きゅわあああああああ!? 何これ破壊力高い! あどけない顔でおねえちゃん呼びとか、ホントずっきゅん来たネ!)
とか。
「うひー、雨にやられたネ。カルラも身体拭いてあげるネ」
「はい、……っ! あの、いえ、ルーおねえちゃんの服、その……!」
「何目を逸らして……あら、もしかして濡れ透けてるおねーちゃんの身体に興奮シタ?」
「そんなこと……!? あの、僕のことはいいからおねーちゃんが体を拭いてください」
「だーめ。カルラはまだ子供なんだから風邪ひいたら大変ネ。おねーちゃんはその後で無問題ヨ」
「わわっ、あのそんなところまで拭かないでください! 自分で、自分でしますから!」
「やーネ。おねえちゃんがしっかり世話してアゲルから」
とか。
「はい、今日の晩御飯ですおねーちゃん!」
「おお!? 豪華豪華ネ。でもお財布大丈夫?」
「大丈夫です! 市場の売れ残りを安く買い取ったので!」
「きゃー! お姉ちゃん感激! アタシの教えをしっかり受け継いで、しかもアレンジまでするなんて。もうアタシの教える事はないネ」
「おねーちゃんの教え方が上手かったからです! これからも色々教えてくださいね!」
「うう……。ソウネ! イロイロ、教えてアゲルヨ! これからも、すっとネ!」
とかの日常をこなし、そして――
(ふっふっふ。カルラがダイヤの指輪とウェディングドレスを購入したことは商人の伝手から入手済み。これはついにアレね。アクアディーネ様の前で愛の誓いヨ!)
ルーは自分の部屋で笑みを浮かべていた。カルラの行動が最近怪しい事に気付き、現金の流れを追っていた所、そのような事実が発覚したのだ。サプライズなプロポーズ。ついにその時がやってきたのだ。このような事もあろうかと思って用意していた衣服。下着の準備もぬかりない。
ドアのノックの後に、カルラが姿を見せる。
「ルーおねえちゃん。大事な話があるんです!」
開口一番、そう言い放つカルラ。その隣に、見知らぬノウブルの少女の姿があった。
「……カルラ、誰その子?」
「はい! 僕、この子と結婚して、商人として独立しようと思うんです!」
「……………………は?」
ルーの視線の先には、少女の薬指にはまったダイヤの指輪。それをいとおしげに見る二人の表情。え? なにそれ寝取られ!? いや、確かにまだ手を付けてないからアレなんだけど、精神的にはほら、ほらさあ!?
「今までありがとうございました! これからも姉としていろいろ教えてください!」
「カルラ君と幸せになります。だからルーさんもお元気で!」
そうして消えていく二人。それを追う事すらできないルー。
真に計画成功を狙うなら、失敗の可能性を考慮して育てる少年は複数用意すべきだった。
だがルーはそれが出来なかった。本当に欲しかったのは、ハーレムではない。
彼女の願望は『マザリモノには産めない子供が欲しい』『寄り添う誰かがいて欲しい』。それだけだったのだ――
●『たとえ神様ができなくとも』ナバル・ジーロン(CL3000441)の願望
誰かを守る。それがナバルの戦い方であり、そして目指した理想だった。戦争なんてなくなればいい。皆が平和に暮らせればそれでいい。
だけど現実は非情で戦争は終わらない。そして種族による抗争もまた同じ。言葉が分かっても、言葉が通じない事なんていつものことで。つまり戦いなんていつどこで起きても仕方がない。
だからナバルは盾を持つ。その身体で、大事な誰かを守れるように――
「ナバル!?」
背中から聞こえる声にナバルは安堵する。心配そうな声ではあるが、無事に守れた証だからだ。目の前のゴブリンの殺意を受けながら、ナバルは背後の女性に声をかけた。
「ナナリー、大丈夫だ。オレが護ってやるから!」
ナナリー。ジーロン村で共に過ごした幼馴染――それが幻覚による認識のずれなのか、実際にそういう幼馴染がいるかはPLにおまかせ――だ。小さな頃から共に育ってきた仲。ナバルと共に大きくなってきた女性。
「う、うん」
言ってナナリーはナバルに身を寄せる。ゴブリンにつかまり、ボロボロに破られた衣服。あわやという所でゴブリンとの間に割って入ったナバル。その背中に寄り添うように、ナナリーは身体を預けた。
(う、おおおおおおおおおおおお! 背中に柔らかい感覚! ナナリーのナナリーの幼馴染おっぱい! 服がボロボロっていうのもあってダイレクトアターック!
まだ小さいころにお風呂に張ったころが思わず回顧! 一緒に水浴びしたころのあの水着! 少し大人になって一緒に畑作業している時にチラ見したあの膨らみ! そして今、更なる成長を遂げたおっぱい!
幼馴染おっぱいとはすなわち成長の全てを知っていること! 全ての過去が一機に凝縮され、現代の柔らかさがある! その成長の過程が今ここに凝縮! まさにナナリーと言う女性の全てが今この背中にある!)
「何惚けてるのよ、このバカ!」
「あいた!? ……え、ここは、あれ? ケイミー?」
頭を叩かれて我に返ったナバル。目の前にいるのは自由騎士仲間の格闘家ケイミーだ。それが幻覚による認識のずれ以下省略。
「い、いくら敵に魅了されたからって、アタシに迫るとかやめてよね!」
そうだ。いまは戦闘中。魅了を使うイブリースと戦っていた所だ。火力特化のケイミーをカバーリングしていたナバルは魅了され、ケイミーを押し倒していた。ノックBということで。
「は、早く離れなさい。その、こんな所他の誰かにみられたら、ご、誤解されるでしょう! アタシはそれでもいい……って、違うから! とにかく早く!」
顔を赤らめながら目を逸らすケイミー。言葉とは裏腹に抵抗するそぶりはない。
(やばい! ケイミーのおっぱいがオレの手にあたってる! っていうかケイミーのおっぱいを押し潰している!
格闘家だから服とか薄くてオレの手に柔らかい部分が超密着! 水が詰まったような、それでいて肉の感覚と柔らかさ。押せばその分押し返す。水風船のようでモチのようで。鍛えられたケイミーの肉質が加味されて、何とも言えない弾力が!
いかんいかん、早く起き上がらないと。四肢に力を込めて――)
「んっ! ……馬鹿、もっと優しく……」
起き上がるために体に力を込め――手にしていたケイミーおっぱいを強く握ってしまう。ふにょっとした感覚。その動きに反応するケイミー。ナバルはその時ある事実に気付く。
「そうか。ケイミーも魅了されてるのか! そうでないと、いつも強気なケイミーがそんなこと言うわけないもんな!」
「その朴念仁な所は君の欠点だな」
気が付くと、ナバルは膝枕をされていた。自由騎士の医者の一人、イライーダだ。それが幻覚以下略。彼女の顔は見えない。膝に寝かされるナバルの目の前には、二つの大きな白丘があるからだ。
そう言えば、お風呂に入っていた気がする。さっきまでのは夢か。ナバルはそう納得した。
「だがそれがいい。風呂でのぼせて茹った体をゆっくり休めるがいい」
言って頭を撫でるイライーダ。なお彼女はバスタオル一枚姿だった。濡れたタオルが際どいボディラインと胸の形を映し出している。
(ふぉおおおおおおおお! 湯上り年上女性おっぱい! しかも膝枕! 濡れたタオル越しに分かるその造形! 芸術的な曲線とそして反り立つ頂!
触れられそうで触れられない。だからこそ、その頂を目指すのが男というモノ! 癒しにして浪漫! 男が男である以上、逃れることのできないサガ! それがおっぱい!)
「ナバル……私を守って」
「早くアタシを守りなさいよ、ナバル!」
そして背中にナナリーおっぱい。手にケイミーおっぱい。
それだけではない。ナバルを取り囲むおっぱいは少しずつ増えてくる。
「おっぱい、おっぱいに埋もれていくーーーーーー!」
まあそういう願望です。
●『真理を見通す瞳』猪市 きゐこ(CL3000048)の願望
さて。きゐこは童顔である。さらに言えば背丈はさほど大きいわけでもなく、有り体に言えば子供体型である。その辺りに少しコンプレックスがあった。
「おお、おお、これが私!?」
なので、大人になった姿はなんというか感無量だった。すらりと伸びた綺麗な手足。片から足元までのボディライン。各部位でいえばふっくらしたと健康的な胸部。芸術歴なくびれから大きくカーブを描く臀部。どこからどこまで完璧な大人姿だった。
「成程っ、これ幻覚ね!」
そういえばタヌキがいたなぁ。あれ、アマノホカリの奴か。きゐこは深く納得した。
「よぉ、きゐこ。今日も都で暴れようぜ」
言って肩を叩くのはアマノホカリでの相棒、バンコだ。きゐこと同じオニビトで、魔術師のきゐこと反する重戦士。巨大な鎖鉄球を力任せに振るうパワーファイターだ。
二人はアマノホカリで悪さをするオニの一角だった。バンコはさまざまな悪事を行う際によく一緒にいた相棒で、豪快であっけらかんとした彼女は不思議ときゐこと相性が良かった。今日も今日とて商人の馬車を襲い、ねぐらで分け前を分配していた。
「お。これ魔法の品物か。きゐこにやるよ」
「おお!? いいの? 売ればそれなりにお金になるけど」
「ばっか! んなモンいらねーよ! しばらく食う分があればいーんだよ。まあ、重い武器があったらもらうけどな! がっはっは!」
バンコは欲深いというわけではない。ただ暴れたいから悪事を行う。そんな盗賊だ。損得なしに強い相手に挑んだり、損を覚悟で仲間を助けに行ったり。欲ではなく義ではなく我欲のままに生きていた。
(こう相棒の姿が微妙に私の逆鱗に触れない程度に似てない上に、美化されてるのが実に夢っぽいわね……)
そっかこれはそういう夢か。うんうんと頷くきゐこ。
「まあ、欲しいモンは目の前にあるしな」
「へ?」
なもんで、突然バンコが迫ってきたときには驚いた。圧倒的な力で抑え込まれ、手足が動かせなくなる。魔法の杖も遠くに置かれ、何もできなくなった。
「待って! 待ちなさいっ! 夢か幻覚なら私の思い通りになるのだわっ!」
「何言ってるんだ? まあ、夢心地にはなるんだけどな」
「まままままま待ちなさいっ! その道具は何!?」
「知らねぇのか? まあこれからたっぷり教えてやるから、覚悟しろよきゐこ。
抵抗したけりゃ幾らでもしていいぜ。その方が燃えるからな」
「あわわわわわわ、悪趣味っ! その道具、ちょっと、なんでそんな所に道具当てるのよ!?」
「じっくり楽しみな」
「んっ、道具が、はぁ、んんんんん!」
「すげー反応だな。だったらここだとどうだ?」
「んゆー! はぅ、この、そんな、離しな、さい……!」
必死に抵抗するきゐこだが、バンコの力にはかなわない。大人になったがゆえにその感覚も鋭く強く。きゐこの身体を電撃が走ったかのような感覚が貫き、ただただ震えるしかできない。道具が与えてくる感覚に呪文を唱える事も魔法に集中することもできず、きゐこにできるのはただただ体を捩るのみだった。
「暴れたって無駄だぜ」
その僅かな抵抗も、バンコが少し力を増せば押さえられる。地面に組み伏せられるようにされたきゐこはじわじわと限界まで追い込まれていく。
「くぅ……!」
顔を背け、バンコから目を逸らす。せめて表情を隠そうという最後の抵抗。だがバンコはそれすらも許さない。
「恥ずかしいのか? その顔を俺に見せろ。
きゐこがそうやって溺れていく姿をじっと見てやるぜ。恥ずかしがる所も、抵抗を諦める絶望の顔も」
「そ、そんな……っ」
「安心しな。最後のトドメは俺がさしてやるよ。
鎖で縛って、言葉で弄って、散々辱めて、その果てに屈服して哀願するきゐこをぶっ壊すほどの俺の力でな」
「うううう、ううううううううっ!」
バンコの宣誓。もう逃れることはできない。圧倒的な力。圧倒的な暴力。それにきゐこは抵抗できない。その末に待っている結末を知りながら、何もできないのだ。
「いいかきゐこ、お前は俺のモノだ。
逆らってもいいぜ。その度にねじ伏せてやる。自分の立場ってものを教え込んでやる」
「私は……私はそんなことっ!」
望んでいない、の言葉が口から出なかった。言っても変わらない現実を知っていることもあるが、心のどこかでその言葉を押しとどめる『何か』があった。望んでいない、の真逆の意志が少しずつきゐこのなかで膨れ上がっていく。
夜は長い。バンコによるきゐこへの責め苦も、まだ始まったばかりだ――
●『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)の欲望
「おお……おおお!」
ツボミの目の前には多くの美少年がいた。金髪紅眼の愛くるしい少年。ぼさぼさ茶髪の活発的少年。眼鏡をかけた少し生意気そうな少年。純粋無垢な少年。涙を流し現状を憂う少年……。
しかもそれら全ては女装させられていた。ゴシックなスカートの桃色系のドレス。淡い色のワンピース。社交界で映える紅色のドレス。街の給仕が着る制服、アカデミーの女性用制服。アクアディーネ神殿の女性神官服。故郷、央華大陸の女性服……。
「分かっているではないか藤玄京! くっくっく、良い顔だ。艶めいて本当に良い顔だ」
皆の隠れた性癖を暴きたい。そんなリクエストシナリオ……もとい、野望の今回の首謀者であるツボミは、これが幻覚であることを理解していた。少年たちの格好も表情もすべてツボミの思い通りである。
「そんな恥辱に塗れた顔で睨まれると、ついつい辱めたくなるなあ? それとも誘って居るのかな? なら仕方ない」
言って少年の一人に馬乗りになるツボミ。少年の中で一番気に入っている少年だ。怯えるような表情をした少年にツボミの嗜虐心は増幅する。火に風を送ったかのように燃え上がる情熱。ツボミの手がゆっくりと少年の手に伸び――
「お?」
その腕を掴まれ、引っ張られる。抵抗しようと下がるツボミだが、今度はその力を利用されて逆に押し倒される。先ほどとは逆の体制。見下ろされる馬乗りの体制だ。他の少年が動き出し、ツボミの手足を押さえ込む。
「おおお!? ちょっと待て、馬鹿何をする……!?」
抵抗空しく女装した少年たちに押さえ込まれるツボミ。少年とは言え数は多い。力押しが得意ではないツボミは身じろぎすらできない状態になった。
「馬鹿? 馬鹿っていうのはこういう状況なのにまだ自分が有利と思ってる人のことを言うんですよ。知ってました?」
「痛っ、こ、こら踏むな! おい、本当に痛い……!?」
「もう、まだそんなことを言うんですね。自分の立場ってものが分からない人には、しっかり教えないといけませんね。しかたありません
しつけの時間ですね」
言うなり少年はツボミを踏む力をさらに籠める。単純な圧力だが、防御も何もできない状態ではそのまま痛みになる。何よりも見降ろされて足で踏まれているという精神的な屈辱が大きい。
「いい大人にもなって礼節一つ身についていないとか恥ずかしくないんですか? まあそうですよね。そもそもこんな格好をした子供にいいようにされているんですから。最低限の礼節以前の話です。常識的ですらない。
そういうのをなって言うか知っていますか? マゾヒズムっているんですよ」
「……お、おい、本当に止め、止めろ!? 止めて……」
弱々しく口を開くツボミ。今までしたと思っていた少年に見下ろされ、罵倒され、踏みつけられて。そんな状況だというのに体は痛みとは別の熱を帯びてきている。命令的だった口調は少しずつ大人しくなり、最後には哀願となっていた。
その態度を良しととったか、少年の足の動きは止まる。安堵するツボミに、少年は顔を近づけて小さく問いかけた。
「本当に、やめていいんですか?」
「……っ!?」
「このままやめていいんですか? やめるともう二度とこんなことされませんよ。
だってそうでしょう? 女装した少年にいじめられるなんて状況、意図的でない限り発生はしませんよ。お金を積んでも拒否されるんじゃないですか? 今足を離せば、一生こんなことは起きませんよ?」
「ああ、あああああ……」
冷静になろうと努めるツボミの脳を揺さぶる声。だが冷静になったからこそこの異常性が理解できる。こんな状況、二度と起きやしない。
拒否すべきだ。常識的に考えればそうだろう。そうすべきだ。そんな事はないと首を振り拒否すれば、少年はやめてくれるだろう。だから言葉を告げようと少年を見――
ツボミは見下ろす少年と目があった。優しい笑顔を浮かべる少年。そこにはツボミを虐げる嗜虐心と女装と言う倒錯的な衣装、そして子供が持ちうる純真な表情(かお)があった。純粋だからこそブレーキを踏むことなく感情のままに行動できる無邪気さが。
そこにはマザリモノが一生持ちえない子供がいた。生物的に、そして精神的に迎えられない子供という存在。その子供に言いように蹂躙され、満たされる。そんなことは、今を逃せばもう二度とないだろう。
つばを飲み込み、ツボミは口を開く。そこから出た答えは――
●新天地。それは開けてはならぬパンドラの箱
「お、目ぇ覚めたか。どないやっtくぐはぁ!」
幻覚から戻った自由騎士が最初に行ったことは、藤玄京への攻撃だった。幻覚を行使した藤玄京を先ず封殺し、被害拡大防止に努める。自由騎士達の意志は、無意識化で結託していた。
「なんや! 皆何見たんや!?」
「ウォークライ! ワルツ! バーチカルブロウ!」
「パスタ神の天罰です」
「NTR反対ヨ!」
「馬鹿っ、死ねっ! というより殺すわ! 燃やすわ!」
まあ、心の中をさらけだされた八つ当たりでもあるが。
怒る面々から離れた場所で、ナバルは幻覚の感触を思い出そうと脳をフル活性化し、ツボミは呆然として呟いていた。
「と、取り敢えず、何だ。……アクアフェスタの衣装の、参考には……ならんわ。コレ……」
あたりまえである。
「鳥居の数がいちにのさん。とおにはたえにごじゅうにひゃく。
みーえるみえーる、みえるみえるー。あなたの心にぽぽんのぽん!」
●『おじさま以外に触らせません!』デボラ・ディートヘルム(CL3000511)の願望
「ここは……ティダルトの機械室でしょうか?」
気が付くとデボラは機械に囲まれた部屋にいた。周囲にはごうごうとうなりをあげる蒸気機械。多くの配管と数多くの計器。壁にかけられたランタンが薄く部屋の中を照らしている。無機物だらけの蒸気で蒸された空間。そんな部屋だ。
「他には誰もいない……みたいですね」
知り合いの名前を読んでも何の返事もない。そもそもなんでこんな所に来たかも思い出せない。ともあれじっとしていても仕方ない手掛かりを求めて動こうとした矢先に――
「え?」
足元に何かが絡みついているのに気付く。蒸気供給用に水を送る配管だ。ヘルメリア技術で作られたゴム製のホースである。足を振り上げ払おうとするデボラだが、その瞬間にホースの一部が切れて水が漏れ、体中に水がかかってしまう。
「きゃう! なんなんですか、これ」
思わぬハプニングに気がそれるデボラ。そんなデボラに機械のマニピュレーターが近づいてくる。トラブル発生時の自動修復装置だ。配管の漏れを察知し、それを修復するための機械である。それはホースの穴をふさぐと同時に、濡れた個所をふき取りカビ発生を防止するモノだ。
それは濡れたデボラの身体にも迫る。
「わわっ、ちょ、何を……!」
機械は機能に従い、濡れたデボラの身体を拭く。頭、肩、背中、腰、お腹周り、そして太ももを……。
「ななななな、そんな所を触らないでください! ちょっと、ニコラ様!」
製作者であろう人の名を呼び抗議するが、機械の動きは止まらない。そして機械はデボラの服の中まで侵入してくる。秘された乙女の領域。そこへの接近に気付き、慌てて逃れようとするデボラだが……。
「え、そんな、離してください!?」
マニピュレーターは逃れようとするデボラを拘束するように動く。濡れているモノが暴れれば飛沫が飛び、作業が増える。ならば最初に拘束するのは当然ですよね? 機械の管がデボラの身体に絡みつく。関節を押さえる効率的な拘束術により、デボラは身動きが取れなくなっていた。
「な、そんなところを、やめ、てっ……」
無機質に素肌を這う機械達。それは全身濡れたデボラの水分を拭きとろうとデボラの体全てに迫る。逃れようにも逃れられず、デボラはただ全身を駆け巡る機械に耐えるしかできない
(機械の冷たさが、気持ちいいとか……思ってませんから、ぁ!)
非常識な状況での非常識な体験。その精神的ストレスからか、はたまた別の要因からか。デボラの肌は少しずつ上気し、うっすらと肌から汗がにじみ出ている。機械はそれに反応し、更に動き続ける。
終わらない機械による行為。それは少しずつデボラを追い詰めていく。精神的に、そして肉体的な限界が少しずつ近づいてくる。
「そんなところまで! お願いです! そこは、そこは!」
四肢を拘束され、触れられたくない場所まで機械に触れられて。抵抗したくても何もできず、しかし心のどこかでその行為を望んでいる自分が――
(そんなことはありません! このような事、このような事……!)
心は必死に否定するが、状況は何も変わらない。機械はデボラの体中を執拗に吹き上げる。濡れた場所を中心に、丹念に。何度も。何度も。
……………………。
…………。
……。
(こ、こは……)
気が付くと、デボラはまた別の場所にいた。
手足のカタクラフトは外され、椅子に拘束された自分。そして体中に絡まる機械のチューブ。それは注射器のように身体中に刺さっていた。
「こ、これは……?」
『意識覚醒確認。フラグメンツ抽出作業、開始します』
「あ、あああああ!」
デボラの身体に走る甘い感覚。そしてチューブから吸われる何かが一つの機械に集まり、粉状の物を生み出していた。
あれは通商連御用達の『白い粉』。そう言えばあれがどうやって作られるのか、聞いたことがなかった。フラグメンツを回復させるという効用。それが誰かのフラグメンツを奪って作られると言うのなら……。
「この機械類は、もしかして……。私は……これから……」
動くことすらできず、ただ機械に弄られ続ける。そんな未来を想像し、デボラは絶望する。チューブから薬を与えられているのか、衰弱することも眠ることもできない。これから二十四時間ずっと、機械に全てを奪われ続けるのだ。乙女の身も、自由騎士の心も、通商連の儲けの為に。
「これで通商連も潤います。いやはや、流石ですよコーリナー様」
え? デボラは視界の端に見知った男がいる事に気付く。
「いえいえ。これからもよしなに」
男は機械に責められて甘く震える自分をじっと見ていた。そんな彼が。
でも、その感覚すら――
●『空飛ぶナポリタンの使徒』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)の願望
「……ハッ!?」
気が付くとアンジェリカは拘束されていた。
武装は全て没収され、天井から両手を吊られた状態だ。場所はどこかの地下室だろう。そして目の前には覆面をつけた者達がいた。経緯は思い出せないが、おそらく彼らに捕まったのだろう。アンジェリカは相手の情報を引き出すために口を開く。
「何者なのですか。貴方達は?」
「我らは央華大陸から来たRhapsodic Ramen respecter(熱狂的なラーメン信望者)。略してRRR!」
「……え?」
あんパン系はPCが扱うネタなので、こちらに変更させていただきました。かしこ。
「貴様が自由騎士にしてFPM教であることは知っている。そう言えば、我らが貴様を誘拐したわけが、わかるよな?」
「ま、待ってください。それは!? その子は!」
アンジェリカの前には、程よく茹で上がったパスタがあった。鍋で煮られてあげられたばかりのパスタ。まだどのようにでもなる無限の可能性。ミート、トマト、チーズ……その無限の可能性は、赤く染まったスープに迫っていく。
「激辛ソース。唐辛子大蒜マシマシマシでの超濃厚スープだ」
「やめてください! そんなソースにつけられたら、その子が赤く染め上げられてしまいます! その子はまだ何も知らない子なんです!」
「分かっているではないか。ではどうすればいいか、わかるよな?」
何がどうなのか一般人には分からないが、アンジェリカとRRRの人間にはいろいろわかるらしい。
「分かりました……私が代わりにそれを受ればいいのでしょう!」
「おおっと、言葉を選んだ方がいいんじゃないか? そんな口調じゃ、我らも気が変わってしまうかもな?」
「…………っ!?」
RRRの言葉に屈するように、アンジェリカは屈辱的な言葉を口にする。
「わ、私にラーメンのすばらしさを、教えてくださいませ」
「『宜しくお願いします』が抜けてるぜ。最初からだ」
「私にラーメンのすばらしさを、教えてくださいませ。……よろしくお願いします」
「はっはっは。FPM教の信徒様からそんな御願いをされちゃあ、仕方ないよな。たーっぷり教えてやるぜ。その身体にな」
なんかいろいろな読者を置き去りにしている気がするが、この手の導入なんてこんなもんです(暴論)。
「先ずは定番のモヤシからだ」
「そんな、モヤシが急成長して足に絡みついて! こ、このような格好は!」
「大事な部分は海苔で隠してやろう。我々は紳士だからな。さて次は卵だな。程よく茹でた半熟卵は白身と黄身で味わいが変わる」
「白身のぷりぷりした感覚が……それに黄身がねっとりと体に絡んでくる! いつも食べているパスタとは、違った感覚……!」
「どうだ。スープの熱さも相まって(おいしく)感じるだろう?」
「そ、そのような事は……! これは(ただ高カロリーで胃袋が)反応しているだけです! 私のパスタへの信仰は揺るぎはしません!」
「ふん。素直になればいいものを。ではこれならどうだ?」
「そ、それはチャーシュー! そのような縛りを……それは、それは。おやめください! 只でさえ平均的女性の摂取カロリーをオーバーしている量なのに……そこにそんな脂分多めの肉を乗せられたら……ああっ!
いいえ、いいえ私は、このような責めに屈するわけには……!」
「ふん、そんな顔で強がってもむなしいだけだな。体は既に堕ちているくせに」
「そんなこと言わないでください、そのような屈辱に、耐えきれません……。もう、これ以上は……!」
終わらない責めに涙を流すアンジェリカ。身体はラーメンに屈しているのに、信仰でギリギリ自分を保っていた。
だがそれも砂上の楼閣。押し寄せる(胃袋を満たす)快楽の波に理性を守る砂の足場は少しずつ崩されていく――
「いいだろう。限界と言うのなら辞めてやる。だがそうなるとあの子に手を出すしかないな」
「っ! 卑怯です! あの子に手を出さないといったではないですか!」
「あの純白な体に濃厚なトンコツスープをかけてやろうか。それともどろりとしたあんかけスープがお似合いかな?」
「ああああああああ、どうか、どうかあの子だけは!」
「おやおや? やめてほしいのではなかったのか? 我らは紳士だ。願いならいくらでも聞いてやろう」
「卑怯……卑怯です……!」
だが人質(?)を取られたアンジェリカに選択肢などない。死ぬことすら許されず、限界を超えてもなお耐えなければならない。
RRRによる責め苦は、麺に絡むスープのようにアンジェリカに纏わりつく――
●『有美玉』ルー・シェーファー(CL3000101)の願望
「ルーさん」
目が覚めると、ルーが経営するいつもの店。
声をかけてきたのは最近雇ったカルラ。まだ社会に出るには早いノウブルの少年で、つい最近ルーが小間使いとして雇ったのだ。亜麻色の髪に薄茶色の瞳。まだ世間を知らないあどけない表情。
ルーが彼を雇ったのには、理由があった。
『有能そうな子を雇って、商売のイロハを教える! 愛情をもって育てて、時にはラッキーすけべイベントも! 立派にアタシの右腕になるまで育てて……親と思っていた憧れはいつしか恋に変わるのヨ!』
つまり、
『題して「逆ヒカルゲンジ計画」……!』
何とも壮大な計画である。元ネタ的に複数名の少年と出会うことも考えたが、騎士的に戦力の分散は危険という判断の元でこうなった。
「商売の基本は情報! そして行動! 今日も頑張るヨー!」
「はい、お師匠様!」
「んー……。そういう硬い呼び方はちょい困るネ。……気軽に、ルーお姉ちゃんとかドウ?」
「え……。ルーおねーちゃん……?」
(きゅわあああああああ!? 何これ破壊力高い! あどけない顔でおねえちゃん呼びとか、ホントずっきゅん来たネ!)
とか。
「うひー、雨にやられたネ。カルラも身体拭いてあげるネ」
「はい、……っ! あの、いえ、ルーおねえちゃんの服、その……!」
「何目を逸らして……あら、もしかして濡れ透けてるおねーちゃんの身体に興奮シタ?」
「そんなこと……!? あの、僕のことはいいからおねーちゃんが体を拭いてください」
「だーめ。カルラはまだ子供なんだから風邪ひいたら大変ネ。おねーちゃんはその後で無問題ヨ」
「わわっ、あのそんなところまで拭かないでください! 自分で、自分でしますから!」
「やーネ。おねえちゃんがしっかり世話してアゲルから」
とか。
「はい、今日の晩御飯ですおねーちゃん!」
「おお!? 豪華豪華ネ。でもお財布大丈夫?」
「大丈夫です! 市場の売れ残りを安く買い取ったので!」
「きゃー! お姉ちゃん感激! アタシの教えをしっかり受け継いで、しかもアレンジまでするなんて。もうアタシの教える事はないネ」
「おねーちゃんの教え方が上手かったからです! これからも色々教えてくださいね!」
「うう……。ソウネ! イロイロ、教えてアゲルヨ! これからも、すっとネ!」
とかの日常をこなし、そして――
(ふっふっふ。カルラがダイヤの指輪とウェディングドレスを購入したことは商人の伝手から入手済み。これはついにアレね。アクアディーネ様の前で愛の誓いヨ!)
ルーは自分の部屋で笑みを浮かべていた。カルラの行動が最近怪しい事に気付き、現金の流れを追っていた所、そのような事実が発覚したのだ。サプライズなプロポーズ。ついにその時がやってきたのだ。このような事もあろうかと思って用意していた衣服。下着の準備もぬかりない。
ドアのノックの後に、カルラが姿を見せる。
「ルーおねえちゃん。大事な話があるんです!」
開口一番、そう言い放つカルラ。その隣に、見知らぬノウブルの少女の姿があった。
「……カルラ、誰その子?」
「はい! 僕、この子と結婚して、商人として独立しようと思うんです!」
「……………………は?」
ルーの視線の先には、少女の薬指にはまったダイヤの指輪。それをいとおしげに見る二人の表情。え? なにそれ寝取られ!? いや、確かにまだ手を付けてないからアレなんだけど、精神的にはほら、ほらさあ!?
「今までありがとうございました! これからも姉としていろいろ教えてください!」
「カルラ君と幸せになります。だからルーさんもお元気で!」
そうして消えていく二人。それを追う事すらできないルー。
真に計画成功を狙うなら、失敗の可能性を考慮して育てる少年は複数用意すべきだった。
だがルーはそれが出来なかった。本当に欲しかったのは、ハーレムではない。
彼女の願望は『マザリモノには産めない子供が欲しい』『寄り添う誰かがいて欲しい』。それだけだったのだ――
●『たとえ神様ができなくとも』ナバル・ジーロン(CL3000441)の願望
誰かを守る。それがナバルの戦い方であり、そして目指した理想だった。戦争なんてなくなればいい。皆が平和に暮らせればそれでいい。
だけど現実は非情で戦争は終わらない。そして種族による抗争もまた同じ。言葉が分かっても、言葉が通じない事なんていつものことで。つまり戦いなんていつどこで起きても仕方がない。
だからナバルは盾を持つ。その身体で、大事な誰かを守れるように――
「ナバル!?」
背中から聞こえる声にナバルは安堵する。心配そうな声ではあるが、無事に守れた証だからだ。目の前のゴブリンの殺意を受けながら、ナバルは背後の女性に声をかけた。
「ナナリー、大丈夫だ。オレが護ってやるから!」
ナナリー。ジーロン村で共に過ごした幼馴染――それが幻覚による認識のずれなのか、実際にそういう幼馴染がいるかはPLにおまかせ――だ。小さな頃から共に育ってきた仲。ナバルと共に大きくなってきた女性。
「う、うん」
言ってナナリーはナバルに身を寄せる。ゴブリンにつかまり、ボロボロに破られた衣服。あわやという所でゴブリンとの間に割って入ったナバル。その背中に寄り添うように、ナナリーは身体を預けた。
(う、おおおおおおおおおおおお! 背中に柔らかい感覚! ナナリーのナナリーの幼馴染おっぱい! 服がボロボロっていうのもあってダイレクトアターック!
まだ小さいころにお風呂に張ったころが思わず回顧! 一緒に水浴びしたころのあの水着! 少し大人になって一緒に畑作業している時にチラ見したあの膨らみ! そして今、更なる成長を遂げたおっぱい!
幼馴染おっぱいとはすなわち成長の全てを知っていること! 全ての過去が一機に凝縮され、現代の柔らかさがある! その成長の過程が今ここに凝縮! まさにナナリーと言う女性の全てが今この背中にある!)
「何惚けてるのよ、このバカ!」
「あいた!? ……え、ここは、あれ? ケイミー?」
頭を叩かれて我に返ったナバル。目の前にいるのは自由騎士仲間の格闘家ケイミーだ。それが幻覚による認識のずれ以下省略。
「い、いくら敵に魅了されたからって、アタシに迫るとかやめてよね!」
そうだ。いまは戦闘中。魅了を使うイブリースと戦っていた所だ。火力特化のケイミーをカバーリングしていたナバルは魅了され、ケイミーを押し倒していた。ノックBということで。
「は、早く離れなさい。その、こんな所他の誰かにみられたら、ご、誤解されるでしょう! アタシはそれでもいい……って、違うから! とにかく早く!」
顔を赤らめながら目を逸らすケイミー。言葉とは裏腹に抵抗するそぶりはない。
(やばい! ケイミーのおっぱいがオレの手にあたってる! っていうかケイミーのおっぱいを押し潰している!
格闘家だから服とか薄くてオレの手に柔らかい部分が超密着! 水が詰まったような、それでいて肉の感覚と柔らかさ。押せばその分押し返す。水風船のようでモチのようで。鍛えられたケイミーの肉質が加味されて、何とも言えない弾力が!
いかんいかん、早く起き上がらないと。四肢に力を込めて――)
「んっ! ……馬鹿、もっと優しく……」
起き上がるために体に力を込め――手にしていたケイミーおっぱいを強く握ってしまう。ふにょっとした感覚。その動きに反応するケイミー。ナバルはその時ある事実に気付く。
「そうか。ケイミーも魅了されてるのか! そうでないと、いつも強気なケイミーがそんなこと言うわけないもんな!」
「その朴念仁な所は君の欠点だな」
気が付くと、ナバルは膝枕をされていた。自由騎士の医者の一人、イライーダだ。それが幻覚以下略。彼女の顔は見えない。膝に寝かされるナバルの目の前には、二つの大きな白丘があるからだ。
そう言えば、お風呂に入っていた気がする。さっきまでのは夢か。ナバルはそう納得した。
「だがそれがいい。風呂でのぼせて茹った体をゆっくり休めるがいい」
言って頭を撫でるイライーダ。なお彼女はバスタオル一枚姿だった。濡れたタオルが際どいボディラインと胸の形を映し出している。
(ふぉおおおおおおおお! 湯上り年上女性おっぱい! しかも膝枕! 濡れたタオル越しに分かるその造形! 芸術的な曲線とそして反り立つ頂!
触れられそうで触れられない。だからこそ、その頂を目指すのが男というモノ! 癒しにして浪漫! 男が男である以上、逃れることのできないサガ! それがおっぱい!)
「ナバル……私を守って」
「早くアタシを守りなさいよ、ナバル!」
そして背中にナナリーおっぱい。手にケイミーおっぱい。
それだけではない。ナバルを取り囲むおっぱいは少しずつ増えてくる。
「おっぱい、おっぱいに埋もれていくーーーーーー!」
まあそういう願望です。
●『真理を見通す瞳』猪市 きゐこ(CL3000048)の願望
さて。きゐこは童顔である。さらに言えば背丈はさほど大きいわけでもなく、有り体に言えば子供体型である。その辺りに少しコンプレックスがあった。
「おお、おお、これが私!?」
なので、大人になった姿はなんというか感無量だった。すらりと伸びた綺麗な手足。片から足元までのボディライン。各部位でいえばふっくらしたと健康的な胸部。芸術歴なくびれから大きくカーブを描く臀部。どこからどこまで完璧な大人姿だった。
「成程っ、これ幻覚ね!」
そういえばタヌキがいたなぁ。あれ、アマノホカリの奴か。きゐこは深く納得した。
「よぉ、きゐこ。今日も都で暴れようぜ」
言って肩を叩くのはアマノホカリでの相棒、バンコだ。きゐこと同じオニビトで、魔術師のきゐこと反する重戦士。巨大な鎖鉄球を力任せに振るうパワーファイターだ。
二人はアマノホカリで悪さをするオニの一角だった。バンコはさまざまな悪事を行う際によく一緒にいた相棒で、豪快であっけらかんとした彼女は不思議ときゐこと相性が良かった。今日も今日とて商人の馬車を襲い、ねぐらで分け前を分配していた。
「お。これ魔法の品物か。きゐこにやるよ」
「おお!? いいの? 売ればそれなりにお金になるけど」
「ばっか! んなモンいらねーよ! しばらく食う分があればいーんだよ。まあ、重い武器があったらもらうけどな! がっはっは!」
バンコは欲深いというわけではない。ただ暴れたいから悪事を行う。そんな盗賊だ。損得なしに強い相手に挑んだり、損を覚悟で仲間を助けに行ったり。欲ではなく義ではなく我欲のままに生きていた。
(こう相棒の姿が微妙に私の逆鱗に触れない程度に似てない上に、美化されてるのが実に夢っぽいわね……)
そっかこれはそういう夢か。うんうんと頷くきゐこ。
「まあ、欲しいモンは目の前にあるしな」
「へ?」
なもんで、突然バンコが迫ってきたときには驚いた。圧倒的な力で抑え込まれ、手足が動かせなくなる。魔法の杖も遠くに置かれ、何もできなくなった。
「待って! 待ちなさいっ! 夢か幻覚なら私の思い通りになるのだわっ!」
「何言ってるんだ? まあ、夢心地にはなるんだけどな」
「まままままま待ちなさいっ! その道具は何!?」
「知らねぇのか? まあこれからたっぷり教えてやるから、覚悟しろよきゐこ。
抵抗したけりゃ幾らでもしていいぜ。その方が燃えるからな」
「あわわわわわわ、悪趣味っ! その道具、ちょっと、なんでそんな所に道具当てるのよ!?」
「じっくり楽しみな」
「んっ、道具が、はぁ、んんんんん!」
「すげー反応だな。だったらここだとどうだ?」
「んゆー! はぅ、この、そんな、離しな、さい……!」
必死に抵抗するきゐこだが、バンコの力にはかなわない。大人になったがゆえにその感覚も鋭く強く。きゐこの身体を電撃が走ったかのような感覚が貫き、ただただ震えるしかできない。道具が与えてくる感覚に呪文を唱える事も魔法に集中することもできず、きゐこにできるのはただただ体を捩るのみだった。
「暴れたって無駄だぜ」
その僅かな抵抗も、バンコが少し力を増せば押さえられる。地面に組み伏せられるようにされたきゐこはじわじわと限界まで追い込まれていく。
「くぅ……!」
顔を背け、バンコから目を逸らす。せめて表情を隠そうという最後の抵抗。だがバンコはそれすらも許さない。
「恥ずかしいのか? その顔を俺に見せろ。
きゐこがそうやって溺れていく姿をじっと見てやるぜ。恥ずかしがる所も、抵抗を諦める絶望の顔も」
「そ、そんな……っ」
「安心しな。最後のトドメは俺がさしてやるよ。
鎖で縛って、言葉で弄って、散々辱めて、その果てに屈服して哀願するきゐこをぶっ壊すほどの俺の力でな」
「うううう、ううううううううっ!」
バンコの宣誓。もう逃れることはできない。圧倒的な力。圧倒的な暴力。それにきゐこは抵抗できない。その末に待っている結末を知りながら、何もできないのだ。
「いいかきゐこ、お前は俺のモノだ。
逆らってもいいぜ。その度にねじ伏せてやる。自分の立場ってものを教え込んでやる」
「私は……私はそんなことっ!」
望んでいない、の言葉が口から出なかった。言っても変わらない現実を知っていることもあるが、心のどこかでその言葉を押しとどめる『何か』があった。望んでいない、の真逆の意志が少しずつきゐこのなかで膨れ上がっていく。
夜は長い。バンコによるきゐこへの責め苦も、まだ始まったばかりだ――
●『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)の欲望
「おお……おおお!」
ツボミの目の前には多くの美少年がいた。金髪紅眼の愛くるしい少年。ぼさぼさ茶髪の活発的少年。眼鏡をかけた少し生意気そうな少年。純粋無垢な少年。涙を流し現状を憂う少年……。
しかもそれら全ては女装させられていた。ゴシックなスカートの桃色系のドレス。淡い色のワンピース。社交界で映える紅色のドレス。街の給仕が着る制服、アカデミーの女性用制服。アクアディーネ神殿の女性神官服。故郷、央華大陸の女性服……。
「分かっているではないか藤玄京! くっくっく、良い顔だ。艶めいて本当に良い顔だ」
皆の隠れた性癖を暴きたい。そんなリクエストシナリオ……もとい、野望の今回の首謀者であるツボミは、これが幻覚であることを理解していた。少年たちの格好も表情もすべてツボミの思い通りである。
「そんな恥辱に塗れた顔で睨まれると、ついつい辱めたくなるなあ? それとも誘って居るのかな? なら仕方ない」
言って少年の一人に馬乗りになるツボミ。少年の中で一番気に入っている少年だ。怯えるような表情をした少年にツボミの嗜虐心は増幅する。火に風を送ったかのように燃え上がる情熱。ツボミの手がゆっくりと少年の手に伸び――
「お?」
その腕を掴まれ、引っ張られる。抵抗しようと下がるツボミだが、今度はその力を利用されて逆に押し倒される。先ほどとは逆の体制。見下ろされる馬乗りの体制だ。他の少年が動き出し、ツボミの手足を押さえ込む。
「おおお!? ちょっと待て、馬鹿何をする……!?」
抵抗空しく女装した少年たちに押さえ込まれるツボミ。少年とは言え数は多い。力押しが得意ではないツボミは身じろぎすらできない状態になった。
「馬鹿? 馬鹿っていうのはこういう状況なのにまだ自分が有利と思ってる人のことを言うんですよ。知ってました?」
「痛っ、こ、こら踏むな! おい、本当に痛い……!?」
「もう、まだそんなことを言うんですね。自分の立場ってものが分からない人には、しっかり教えないといけませんね。しかたありません
しつけの時間ですね」
言うなり少年はツボミを踏む力をさらに籠める。単純な圧力だが、防御も何もできない状態ではそのまま痛みになる。何よりも見降ろされて足で踏まれているという精神的な屈辱が大きい。
「いい大人にもなって礼節一つ身についていないとか恥ずかしくないんですか? まあそうですよね。そもそもこんな格好をした子供にいいようにされているんですから。最低限の礼節以前の話です。常識的ですらない。
そういうのをなって言うか知っていますか? マゾヒズムっているんですよ」
「……お、おい、本当に止め、止めろ!? 止めて……」
弱々しく口を開くツボミ。今までしたと思っていた少年に見下ろされ、罵倒され、踏みつけられて。そんな状況だというのに体は痛みとは別の熱を帯びてきている。命令的だった口調は少しずつ大人しくなり、最後には哀願となっていた。
その態度を良しととったか、少年の足の動きは止まる。安堵するツボミに、少年は顔を近づけて小さく問いかけた。
「本当に、やめていいんですか?」
「……っ!?」
「このままやめていいんですか? やめるともう二度とこんなことされませんよ。
だってそうでしょう? 女装した少年にいじめられるなんて状況、意図的でない限り発生はしませんよ。お金を積んでも拒否されるんじゃないですか? 今足を離せば、一生こんなことは起きませんよ?」
「ああ、あああああ……」
冷静になろうと努めるツボミの脳を揺さぶる声。だが冷静になったからこそこの異常性が理解できる。こんな状況、二度と起きやしない。
拒否すべきだ。常識的に考えればそうだろう。そうすべきだ。そんな事はないと首を振り拒否すれば、少年はやめてくれるだろう。だから言葉を告げようと少年を見――
ツボミは見下ろす少年と目があった。優しい笑顔を浮かべる少年。そこにはツボミを虐げる嗜虐心と女装と言う倒錯的な衣装、そして子供が持ちうる純真な表情(かお)があった。純粋だからこそブレーキを踏むことなく感情のままに行動できる無邪気さが。
そこにはマザリモノが一生持ちえない子供がいた。生物的に、そして精神的に迎えられない子供という存在。その子供に言いように蹂躙され、満たされる。そんなことは、今を逃せばもう二度とないだろう。
つばを飲み込み、ツボミは口を開く。そこから出た答えは――
●新天地。それは開けてはならぬパンドラの箱
「お、目ぇ覚めたか。どないやっtくぐはぁ!」
幻覚から戻った自由騎士が最初に行ったことは、藤玄京への攻撃だった。幻覚を行使した藤玄京を先ず封殺し、被害拡大防止に努める。自由騎士達の意志は、無意識化で結託していた。
「なんや! 皆何見たんや!?」
「ウォークライ! ワルツ! バーチカルブロウ!」
「パスタ神の天罰です」
「NTR反対ヨ!」
「馬鹿っ、死ねっ! というより殺すわ! 燃やすわ!」
まあ、心の中をさらけだされた八つ当たりでもあるが。
怒る面々から離れた場所で、ナバルは幻覚の感触を思い出そうと脳をフル活性化し、ツボミは呆然として呟いていた。
「と、取り敢えず、何だ。……アクアフェスタの衣装の、参考には……ならんわ。コレ……」
あたりまえである。
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
称号付与
『幼き揺り籠の中で』
取得者: 非時香・ツボミ(CL3000086)
『オニの饗宴、暴虐の虜』
取得者: 猪市 きゐこ(CL3000048)
『おっぱいソムリエにオレはなる!』
取得者: ナバル・ジーロン(CL3000441)
『ショタの波動に目覚めし者』
取得者: ルー・シェーファー(CL3000101)
『くっころ(ぱすた)』
取得者: アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)
『人機融合(偽)の果てに』
取得者: デボラ・ディートヘルム(CL3000511)
取得者: 非時香・ツボミ(CL3000086)
『オニの饗宴、暴虐の虜』
取得者: 猪市 きゐこ(CL3000048)
『おっぱいソムリエにオレはなる!』
取得者: ナバル・ジーロン(CL3000441)
『ショタの波動に目覚めし者』
取得者: ルー・シェーファー(CL3000101)
『くっころ(ぱすた)』
取得者: アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)
『人機融合(偽)の果てに』
取得者: デボラ・ディートヘルム(CL3000511)
†あとがき†
どくどくはわるくないっ!(目を逸らした
FL送付済