MagiaSteam
【楽土陥落】鉄血進撃




 今やシャンバラは数々の小管区をイ・ラプセル、ヘルメリア、そしてヴィスマルクに掌握され、四面楚歌の状況に陥っている。
 シャンバラの神、ミトラースの護りは薄く、彼らに残された手段は神造兵器である『アルス・マグナ』ただ一つ。
 故に、イ・ラプセルもヘルメリアもヴィスマルクもミトラースの神滅を求め聖央都に攻め込む。
 神を殺す方法。それは他国の色の『オラクル』が神を撃つことである。
 その事実をアレイスター・クローリーから伝えられた各国の神は自らを他国のオラクルからの暗殺より守るため、自分の色に染めたオラクル以外の居住区への侵入を強く禁止した。
 無論、ミトラースもまた聖央都の護りを怠っていたわけではない。
 聖域は破られた。
 獄層は奪われた。
 奪われた小管区における聖櫃はすべて破壊された。
 聖央都の一部も奪われた。
 詰まりは神々の蠱毒における神殺しの好機が今なのだ。
 鉄血の国、ヴィスマルクはそれを見逃すことはない。


「我らの目的はミトラースの神滅である」
 侵火槍兵団『第五トラバウト戦闘団』団長フォーゲル・トラバウト大佐は手にした銃剣(バヨネット)を高らかにあげて宣言する。
「しかして、我らが第五トラバウト戦闘団の前にはイ・ラプセルが立ちはだかるだろう。彼らの国の水鏡が察知するのは間違いないといっていいだろう。
 再度言おう我々の目的はミトラースの神滅である。
 イ・ラプセルの兵にかかずらっている暇はない。ミトラースの神域にいち早く達し、ミトラースを屠るのが目的である」
「イ・ラプセルが邪魔をするのであれば?」
「潰せ。我が栄光たる女神より賜った勝利は我らのものだ」


「さて、君たちへの作戦の指示をだす」
 多少の疲れが見え隠れする『長』クラウス・フォン・プラテス(nCL3000003) は君たち自由騎士の前に地図を出す。
 クラウスはアストラント小管区を指差す。 
「遺憾ながら、我々がクラーマー卿との協和会談の隙をつき、彼らはアストラント小管区を制圧した。
 会談中は我々も動けないと読んだ上で電撃的に奪ったとのことだ。
 彼らヴィスマルクはアストラントを足がかりに、聖央都へ攻めてくる」
 それならば、共闘はできないのか? と誰かが問いかけた。
「否。彼らの目的はミトラースの神滅にある。
 彼らヴィスマルクの兵がミトラースを神滅することがあれば――」
 クラウスは一呼吸をおいてその先を続ける。
「ミトラースの権能をシャンバラが奪い、神滅を果たした国ということで、シャンバラの切り分けは彼らに大きく有利になるだろう。それは防がなくてはならない」
 故に――。
「君たちには、ヴィスマルク兵の足止めをおこなってもらう。
 対するのは『第五トラバウト戦闘団』。
 団長である、オニビトのフォーゲル・トラバウト大佐を将にガンナーやマギウスなど遠距離スタイル中心の20名の手練の兵が聖央都に向かってきている。
 彼らはヴィスマルクが誇る侵火槍兵団だ。市街戦や森での戦いに特化した彼らを迎撃してもらう。
 水鏡の予測で彼らのルートは割れている。
 君たちはここで待ち伏せし、彼らを足止めすることが任務である。
 大掛かりな罠をつくる時間は残念ながら、残されてはいない。
 君たちが現地についたところで戦闘は始まるだろう」


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
EXシナリオ
シナリオカテゴリー
対人戦闘
■成功条件
1.ヴィスマルク兵の足止め
ねこてんです。
 ヴィスマルクの兵を足止めしてください。
 20人中8人に突破されると失敗です。
 基本的にはフォーゲル大佐を中心に護りを固め、突破することを前提に作戦を組んでいます。
 半数以上の撃破、もしくはエリアボスの撃退で撤退しますが、突破した兵に関してはそのまま決戦に介入することになります。
 決戦に介入した兵士は決戦に参加したみなさまを利用して、ミトラースにトドメを指すことを最優先で行動します。
 誰かが小隊に対して1名以上足止めをすれば、戦闘区域からの脱出は不可能になります。
(その場合は戦闘になりますが、相対した全員が戦闘不能になった時点で、彼らは戦闘区域から脱出を試みることになります)

この共通タグ【楽土陥落】依頼は、連動イベントのものになります。同時期に発生した依頼ですが、複数参加することは問題ありません。
 また、本依頼が失敗した場合ヴィスマルク軍が【楽土陥落】決戦に介入します。以上のことをご理解の上で参加宜しくお願いします。
 成功の場合でも、突破したヴィスマルク兵が居た場合は決戦に介入します。
 
●ロケーション
 アストラントより少し南の森林区になります。
 明るさ、足元共に特に問題はありませんが射線は通りにくくなっています。
 第一小隊以外は4人ごとの小隊を組み、あなた達を突破しようとしてきます。
 連携能力は各々高いです。

●エネミー
『第五トラバウト戦闘団』
 
 第一小隊(8人)

 エリアボス 
 フォーゲル・トラバウト大佐 オニビト ガンナー
 大きな銃剣を手にしたガンナーです。ガンナーのランク2スキルに加え、
 オーバーブラスト、ウォークライを使用します。
 2mちかい巨躯に大きな3本の角を持ったオニビトです。叩き上げで大佐まで登った実力者で部下からの信望は厚い男性です。
 火力と命中、体力は高めです。危険になれば、小隊を呼び寄せ対応します。
 豪快な性格で戦闘は好きです。
 
 (EX)レイジングドローミ 範囲 【移動不可】【パラライズ】 魔導・遠距離
  弾丸に魔導力を込め実体化した弾道をもって対象を縛める。

  非戦はテレパス急とフォレストマスターを活性化しています。仲間と状況はテレパスで共有します。

 副官
 ヴィルダー・ツァンコ大尉 ノウブル ガーディアン
 大盾を装備したガーディアンです。隊列を乱すことを得意としています。前衛。
 フォーゲルと共に行動しています。
 防御力は高め。生真面目で冷静で無口。
 フォーゲルが危険であれば庇います。
 非戦はフォレストマスターと目星破

 ガンナー×2 
 ドクター×2
 バスター×1
 マギウス×1
 各々雑多な亜人とノウブルの混成になります。各々のバトルスタイルのランク2まで使用可能
 練度は高め。
 防御を前提にしたチームです。
 活性化非戦はフォレストマスター

 第二小隊
 ガンナー×1 
 ドクター×1
 バスター×1
 マギウス×1
 各々雑多な亜人とノウブルの混成になります。各々のバトルスタイルのランク2まで使用可能
 練度は参加した皆様の平均レベル程度になります。
 活性化非戦はフォレストマスターと韋駄天足

 第三小隊
 ガンナー×1
 ルクタートル×1
 ドクター×1
 マギウス×1
 各々雑多な亜人とノウブルの混成になります。各々のバトルスタイルのランク2まで使用可能
 練度はひくめですが、一人で対応できる相手ではありません。
 活性化非戦はフォレストマスター

 第四小隊
 ガンナー×1
 ドクター×1
 ガーディアン×1
 バスター×1
 各々雑多な亜人とノウブルの混成になります。各々のバトルスタイルのランク2まで使用可能
 練度はひくめですが、一人で対応できる相手ではありません。
 活性化非戦はフォレストマスターと韋駄天足

 どこかのチームを一つ捨てて、他を全撃破などは可能です。

 
 同行NPCにアーウィン・エピが居ます。
 指示がなければ、邪魔をしないようにお手伝いします。
 指示があれば【アーウィン指示】の最新発言に従います。

 面倒な状況です。チームを上手く分割して対応してください。
 対応する小隊を明確にしていただければ、位置関係を問わずその小隊に対応したとして足止めはできることとします。
 小隊を撃破することができれば、どこかに合流することはできますが、体力、魔導力は回復していません。戦闘後の状況に対応します。

 事前に大掛かりな罠(落とし穴など)はつくることはできません。
状態
完了
報酬マテリア
3個  7個  3個  3個
11モル 
参加費
150LP [予約時+50LP]
相談日数
7日
参加人数
10/10
公開日
2019年04月19日

†メイン参加者 10人†




 力だけじゃだめなんだ。
 鉄血の国のやり方では自分の目指す『優しい世界』に辿り着くことはない。そう思う。
 だから、と少年は蒸気鎧装から蒸気を排出する。
「君たちはここで止める。それがこの場における僕の信念だ」
 『革命の』アダム・クランプトン(CL3000185)は目の前のヴィスマルク兵に向かって一歩進んだ。

●第二小隊
 「ではゆくぞ、アリア殿」
 「ええ、ご武運を」
 敵の進軍予想進路は水鏡で確認した。『果たせし十騎士』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)と『慈葬のトリックスター』アリア・セレスティ(CL3000222)は一旦行動を別にする。
 アリアが森に消えるのを確認すると、シノピリカは葦毛の愛馬、ワッカの首元をなでる。森林地帯であるこの場では走りにくいだろうが進軍ルート上である程度開けた場所を拠点とすることにした。
 首元を撫でられたワッカはぶるん、とシノピリカに応える。
「あれから二ヶ月。遂に実戦である。戦いが終わればワシのおさげを食んでも怒らぬからな。相棒よろしく頼むぞ」
  ややあって、木々の向こうから小隊の足音が聞こえる。シノピリカはアリアにも聞こえるほどの大音響で接敵を知らせるため叫ぶ。
「遠からん者は音に聞け!
 近くば寄って目にも見よ!
 我が名はシノピリカ・ゼッペロン!
 鉄血より流れ着きながら、
 イ・ラプセルに恩顧を賜りしエトピリカの裔である!」
 騎乗し、サーベル『エトピリカ』を高く掲げ、シノピリカは目の前の小隊を足止めする。
「水鏡で読まれたということか」
 第二小隊の小隊長のバスターが剣を構え、片手で後衛に合図を送れば後衛は木々に姿を隠す。どうやら自分を倒して突破を狙うとつもりか。それでいい。それでいいのだ。
 シノピリカたちB班の役目は足止めだ。如何に長時間彼らをここに留めるかが肝要だ。
「武名いまだ響かざりし若輩なれど、功名の種にはなろう……
 この首とって、貴公らの帝に見せよや!!」
 少々時代錯誤な名乗りではあるが、小隊は足を止めざるを得ない。
 第二小隊はシノピリカを集中攻撃するために囲みこんでいく。
 シノピリカに意識が集中したその瞬間。オーディオエフェクトを駆使したアリアが木々の枝をつたい、飛び降りざまにマギアスごとドクターにツイスタータップを仕掛ければ後衛の二人が混乱する。
「!! 伏兵がいるぞ!! 気をつけろ!」
 仕掛けたアリアはその足でた森に姿を消す。
 美事なり、アリア殿。
 アリアは撹乱担当、シノピリカは盾として自分の役目を全うする。できる限りのダメージは自分に集める。それでいい。
 接敵の情報はすぐにフォーゲルに伝えられることになるだろう。彼らはどの小隊も逃すつもりはない。すべての小隊が足止めされたという状況はヴィスマルク軍に対しての牽制になる。
  
 ●第三小隊。
 第三小隊に対応するC班こと、『薔薇色の髪の騎士』グローリア・アンヘル(CL3000214)、『黒炎獣』リムリィ・アルカナム(CL3000500)、『いつかそう言える日まで』ボルカス・ギルトバーナー(CL3000092)に与えられた役目は、練度が低いと判断された小隊の早期殲滅である。
「いよいよシャンバラとの戦いも佳境だが、その前に火の粉は払わねばならん」
 ボルカスはサーモグラフィーで敵兵の位置を探る。森林戦を得意とするボルカスには同じくして森林戦を得意とする歩兵の動きは予測ができる。
「ヴィスマルクにはじゃまはさせない。だれもとおさない」
 リムリィは自らに龍氣を巡らせ、呼吸を整える。
「ここより先は行かせない。グローリア・アンヘル――抜刀!」
 彼らC班の薔薇のような軌跡をのこしグローリアは敵兵のルクタートルに挑む。ドクターを狙う邪魔をされることは織り込み済みだ。故にブロックをしてきたルクタートルごと、新しく覚えたばかりの技で貫く。
「こいつは私が抑える。ボルカスとリムリィはドクターを。私のスラッシュに貫かれてくれるなよ」
「わかった、そっちは任せた」
「おう」
 グローリアと組み合うルクタートルの横を走り抜け、ボルカスとリムリィはドクターに向かう。なるほど、この小隊は連携はしているとは言え、練度はそれほど高くないのが救いか。
 マギアスとガンナーは木々の間からクロスするようにするリムリィへ銃弾と魔弾を放つ。
 サーモグラフィで第三小隊の位置を確認した直後に念の為ノートルダムの息吹を発動しておいてよかったとボルカスは思う。
 どうにもリムリィは痛みに鈍感らしい。回復手段が乏しく、なおかつ撃破を優先する今、回復の手番は惜しい状況で痛みを感じないからと無理をさせて倒れてしまったら本末転倒だ。
「あとがつかえてるから――いっきにきめるね」
 リムリィが巨大なハンマーを振りかぶる。その勢いで周囲の小枝がちぎれ飛ぶがリムリィは気にしない。振りかぶり打ち下ろす勢いと重量を乗せた豪風が一度、二度とドクターをメビウスの帯の軌道で撃ち据えた。ボルカスもまたリムリィに合わせてドクターにバッシュを食らわせる。よろけ、たたらを踏みながらもかろうじて体力の残っていたドクターは自らにメセグリンをかけ回復する。構わない。それなら回復する以上のダメージを与えればいい。なにせ自分たちは火力自慢が集まったチームであるのだから。
 ルクタートルがドクターを庇いにいこうとするが今度は逆にグローリアがそれを邪魔する。
「誰も通さないといっただろう」
 守る者が居ないドクターは自己回復を図るがそれも功を奏さず、リムリィとボルカスの猛攻に倒れる。
「つぎは、マギウス」
 リムリィは次の対象にターゲットを移す。ボルカスもそれに従い、マギウスに向かう。
 マギウスはリムリィの足をとめようとコキュートスを打ち込めばリムリィの動きが鈍った。すかさずボルカスはクリアカースで対応する。
 グローリアはブロックしているルクタートルごと味方に当たらないよう剣戟を貫通させマギアスを狙う。
 ガンナーのバレッジファイアでの攻撃が的確にこちらの体力を削ってくる上にこちらの攻撃が当たりにくくなるのが厄介だった。
 練度が低いとはいえ簡単に倒せる相手でもない。時間は過ぎていくことに焦り始める。ルクタートルは防御の構えをとりダメージが入りにくいのも、戦闘時間が長引く一つの理由だった。せめて同数の味方がいれば、魔導力の消耗を控える方向でなければ状況は変わっていたかもしれないが、いまさら言う話ではない。
(く……、焦るな)
 ボルカスは心の中で自分に言い聞かせる。
「はやくいかなきゃなのに」
 リムリィも焦っているようだ。グローリアとて言葉にはしないが焦りは見える。
 ボルカスは少し逡巡したあと、再度ノートルダムの息吹を展開する。
「後少しだ、いけるな?」
「ああ」
「いける」
 仲間の言葉が力強かった。ボルカスは頷くとランスを構えると、力強くその穂先を前に突き出した。
 
「はあ、はあ」
 怪我だらけではあるもののボルカスたちは第三小隊との戦闘になんとか勝利を収める。
「いく」
 座り込んで休憩をとっていたリムリィがすっくと立ちあがる。
「まて」
 ボルカスはリムリィを止めると、ノートルダムの息吹でリムリィとグローリアを包む。
「移動中で切れてしまうだろうが、無いよりはマシだ」
「恩に切る。では私は韋駄天足を使い先にD班に向かう。リムリィ、先にいくがいいな?」
 やけにグローリアは焦っている様子ではあるが、傲慢にもボルカスはそれに気づかないふりをする。
「だいじぶ。わたしもいっぱいはしる」
 リムリィはむっふーと鼻から息を吹き出し、耳をぴるぴると回転させる。
 彼らはハイタッチすると、ボルカスは第二小隊へ、リムリィとグローリアは第四小隊への援護に向かうのだった。
 
●第四小隊
「俺らはここで足止めでいいんだな?」
 アーウィン・エピの問いかけに『鋼壁の』アデル・ハビッツ(CL3000496)は無言で頷く。
「先輩はそちらの木に。俺はあっちの低木に身を潜める」
 彼らD班は待ち伏せ作戦を仕掛けるつもりだ。
「火事場泥棒には……」
 アデルは其処まで言ったところで、アーウィンの出身地を思い言葉をとめる。
「そのとおりだ、アイツラは火事場泥棒さ」
「そうか、ならいい。兵隊のやり方で戦い方を教えてやろう、頼むぞ、アーウィン『先輩』」
「まだそれ続いてるのかよ。良いよ、先輩なんかつけなくても」
 アーウィンは笑い、片手をあげる。アデルはあげられた手にハイタッチする。
「では状況開始だ、アーウィン」
「ああ、了解だ。アデル」
 木に身をひそめる彼らの前に小隊が近づいてくる。警戒はしているようだがまだ二人には気づいては居ない。
 アデルは、集中を高める。
 タイミングが命の奇襲だ。足元の枯れ枝はどけておいた。踏んだ音でばれるなんていうヘマはおかさない。事実、第四小隊は気づいてすらいない。
 やけに自分の唾を飲み込む音が大きく聞こえる。小隊のドクターがアデルの潜む低木を通り過ぎる。その瞬間、ジョルトランサーを構え低姿勢から跳ね上がるように足のカタフラクトから蒸気を噴き出しながらそれを推進力にしてアデルはドクターに突貫する。
 初手からの切り札(ジョーカー)。それはやけくそで行ったわけではない。見せるべきは確固たる攻撃の意志。
「俺に警戒しろ!」
 あわよくば、アーウィンと合わせたこの一撃でドクターを倒すつもりではあったが、其処まで甘くはない。
 ドクターを守るようにガーディアンが飛び込んでくるのをアデルは一歩下がって構える。
「狙いは?」
「変わらん」
 アーウィンの問いにアデルは短く答えバッシュをドクターに向ける。案の定ガーディアンは庇うがそれでいい。目的はドクター狙いであることを印象づけるだけだ。
「団長に連絡を」
 ドクターの言葉に隊長らしいバスターは眉を顰めた。おかしいつながらない。
 その様子にアデルは兜の向こうで薄く笑う。
「俺の得意なことは嫌がらせ(サボタージュ)でな」
 展開しておいたジャミングは滞りなく彼らの連携を阻止する。少なくともこの半径30m範囲であればフォーゲルの指示は届かない。彼らは見たところ新兵のようだ。練度が足りない彼らに司令官の声が届かないのは有効的だ。
 とは言えフォーゲルは連絡の途絶えた第四小隊の接敵は気づくだろう。どちらにせよ時間の問題の話だ。今ここで連携を崩すことに意味があるのだ。

 ●第五トラバウト戦闘団
「俺たちへの足止めは、ひ~ふ~み~、っておい、四人しかいないのかよ」
 大柄なオニビトのガンナーが銃剣を振りながら数える。
「まあ、足止めに来るとは予測はされてはいたが……ああ、第二小隊と第三小隊からも接敵だとよ。第四にはつながらないが……200メートル離れたか? ったく、離れるなって言ったのにな。それともあれか?『ジャミング』されてるのか? だとしたら、全部の小隊が足止めを食らったということか。
 どうだい? えー、お前らはシャンバラ兵でもヘルメリア兵にも見えない。
 ってことはイ・ラプセルの自由騎士さんたちってことでいいのかい?」
 獰猛な笑みを浮かべながら、『第五トラバウト戦闘団』団長フォーゲル・トラバウト大佐が自由騎士たちに問いかける。
 おおよその予測進路上で伏せていた自由騎士達は後背から奇襲を仕掛けたのだが、その混乱はフォーゲルの一喝により即座に収束し、現状にらみ合う形で相対している。
(漁夫の利を狙いに来た指揮官が銃使い……最っ高の戦場じゃないか。強え奴との戦いはソレだけで格別だが、撃ち合いとなりゃ格別だ)
 『隻翼のガンマン』アン・J・ハインケル(CL3000015)は銃先で帽子のつばを上げ、宙見する。
 アダムは柳凪の構えをとり前にでる。もちろん勝てればソレに越したことはないがこの場での戦いは如何に全員が立ち続けることができるか、なのだ。
「僕は自由騎士アダム・クランプトン。
 第五トラバウト戦闘団フォーゲル・トラバウト大佐、ヴィルダー・ツァンコ大尉
 ここから先には進ませないよ」
 不安もあるがアダムは名乗りをあげる。
「やっぱり自由騎士さんかい。名乗る前にこっちの名前を知っているとは水鏡ってのは恐ろしいもんだな。……ん? アダム・クランプトン……? ああ、報告に合ったやたら硬いっていう坊っちゃんかい。
 いやな相手がきたもんだ」
 格上、そして人数比が相手のほうが倍であるということはたった一人を倒すことすら簡単にはいかないだろう。
(戦うのは苦手。待ってる間だって心臓がばくばくしてたし、そもそもデスクワーク派なんだから)
 『博学の君』アクアリス・ブルースフィア(CL3000422)は愛用の杖を強く握り込む。
「他にも自由騎士は伏せているかもしれないよ?」
 内心を隠しアクアリスは大木を背にブラフを張る。どこまで通じるかはわからないが、思考の隙を作ることができるのなら万々歳だ。
「そりゃあこわいな! じゃあ、その援軍がくるまでにお前たちを倒して先にいくしかないようだ」
 フォーゲルは言ってアクアリスに対してニ連射を仕掛ける。完全に樹木で隠れるつもりでは合ったが、それでは射線が切れてしまうのだ。
「ずいぶんな挨拶だな」
 その銃撃に盾を構え割って入るのは『信念の盾』ランスロット・カースン(CL3000391)。この場でもっともか弱そうにみえる女性が――それもヒーラーが狙われるのは織り込み済みだ。
 返す盾で、飛び込んでくる前衛をシールドバッシュで吹き飛ばす。
 昨年より続くシャンバラとの戦いも漸く決戦を目の前にするところまでこぎつけた。
 途中彼らを利用したことは事実ではあるがだからといって彼らが神殺しをするために決戦に介入させる義理はない。
 ミトラースを討ち取るのは自分たちイ・ラプセルの自由騎士ではなくてはならないのだ。
「ほう、そっちの騎士さんもかてえな。名乗らないのかい?」
「……この身は一帖の盾である。此処を抜かせる訳にはいかん!」
 フォーゲルの問いにランスロットは答えない。
「BANG!」
 アンがウェッジショットでドクターを狙うが、案の定というべきかヴィルダーが庇う。
「チッ……!」
「アタッカーはあのガンナーか。騎士さんたちは防衛専守になるようだな。よし、お前ら騎士さんたちの『剣』から奪っていくぞ」
 フォーゲルの指示にガンナーとマギウスが攻撃の矛先を集中する。
 アダムはその言葉に、アンを護るため下がる。
(敵と相対してその能力を見抜いて的確な判断で合理的に戦況を把握する。……部下に対しても細やかに指示をかける。武力も、そしてブレインとしても仕事を果たす。なるほど、理想の主任っていうのはああいう男を指すのだろうか)
 アクアリスの頬を汗が伝う。相手は自由騎士を『侮ってなどはいない』。
 確実に、各個撃破というやり方ですり潰そうとしているのがわかり、ゾッとする。
 あのフォーゲルという男は自分とは全く正反対のタイプだ。粗野な口調も軍人らしく部下を割賦するためのもの。
 なんというか、敵だというのに多少の好感すら覚えてしまう。だからといって負けるわけにはいかないのだ。
「アダム君、アン君、ランスロット君、木々を背にして、回り込まれないようにしよう。無理に攻撃を考えないで、守備を固めよう」
 これは長丁場になるな、とアクアリスは思う。

●第二小隊・ニ
 シノピリカは一度は膝を着いたものの、運命力でもって立ち上がる。英雄の欠片(おくのて)はまだ温存している。
 騎乗していることで目立つワッカはすぐに狙われることになったので早々に逃した。今頃はそれほど遠くない場所で草でも食んでいるのだろう。この戦いに勝ち迎えにいかなくてはならない。
 第二小隊はバスターとマギウスがアタッカーとなり、ガンナーが同じ後衛としてドクターを守護すると布陣につく。練度が低くないが故の臨機応変さなのだろう。もしくはそうフォーゲルに指示されたか。遠距離攻撃が不得手であるシノピリカはバスターにブロックされ後衛には近づくことができない。
 ヒットアンドアウェイを続けるアリアが目標をガンナーに切り替えはするが回復をされて攻めあぐねるという状況が続くことに焦れる。木々に隠れることでマギアスとガンナーの射線は切れるが逆に攻め続けることができないのだ。ツイスタータップでの混乱も多少は作用するが存外にダメージによる回復で解除されることもある。ガンナーが護りについてからはドクターへの混乱の成功率は著しく低くなる。
(あの人達ほんとうに油断ならないね)
 木の陰でアリアはひとりごちる。ヒットアンドアウェイでダメージ事態は少ないが、それはシノピリカに負担を強いているのと同意義なのだ。敵側はこちらを探すよりは目の前で目立つ方を優先して攻撃する作戦のようだ。
 アリアは焦れる。早く、援軍が来てほしいと。
 マギウスの緋文字がシノピリカを焼く。
 何度目かのバスターのバッシュにこほりと吐血する。シンプルな攻撃というものはそれだけで力強いものなのだ。
 シノピリカは再度膝を折りそうになった。
 瞬間、聞き覚えのある雄叫びが森に響き渡り、体に活力がみなぎってくる。
 振り向けば、肩で大きく息をするボルカスの姿があった。
「遅くなったな」
 フォレストマスターである彼であっても全速力で森を走ることは楽ではないはずだ。
「ドクター! もといボルカスさんっ!」
「誰がドクターだ! 俺はバスターだ!」
 ボルカスの合流にアリアからつい本音が漏れる。
「ボルカス殿!」
 ボルカスの援軍に自然シノピリカの頬が緩む。なんと心憎い役であろうか。
 これだから――。惚れてしまうのじゃ。
「それでは攻勢に転じましょう」
 心強い仲間がきたのだ。アリアの足がワルツを刻む。
 葬送の願いと萃う慈悲の祈り。ふたふりの剣を構えた剣姫が水を得たりと飛び出していく。
 ついでボルカスは叫ぶ。
「我らこそは最強にして無敵なり!」
 その鼓舞の言葉は魔力をもってアリアとシノピリカに力を与える。それは敵将より奪ったボルカスの新しい『叫び(クライ)』
「そのとおりです!」
 アリアはその叫びに答え、ドクターを斬る。
 ボルカスは軍人だ。合理性を尊ぶ軍人である。この一連の戦いは我が国が蠱毒を有利に進めるための利己的なものである。
 しかして。
 彼は思うのだ。軍人ではなく『一人の人』として。
 新しく仲間になった有翼の友人達をシャンバラという驚異から救いたいと。少しだけ、ほんの少しだけだがそれは紛れもなくボルカスの本心なのだ。

●第四小隊・ニ
「アーウィン無事か!」
 赤髪の騎士が、全速力で戦場に駆けつける。その髪は大いに乱れているしアチラコチラに小枝が絡まっている。
「ああ、なんとかな」
 とは応えるもののアーウィンは満身創痍である。防御に徹していただけに相手はまだ倒せていない。
 あのときとは違いずいぶんと落ち着いてみえることにグローリアはホッとする。心配はいらないようだ。
 彼の無事を確認したときグローリアの心に力が満ちてくる。
「俺もいるんだがな」
 アデルも自分の無事を伝える。
「す、すまない。アデルも無事そうでよかった」
「リムリィは?」
「もうすぐ合流する。私が先にきた」
「了解」
 アデルは状況を鑑みる。自分もアーウィンも一度は膝を着いている。クマのケモノビトの仲間の支援はあったものの、人数の少ない自分たちよりも第一小隊への支援に向かってくれと指示をした。
 次の戦場への転戦は難しいだろう。
 故にこの場にいる敵を屠るとバーサークを発動する。グローリアが来たということは、第三小隊の4人は倒しきったということだろう。
 ならばあと6人。水鏡の情報では半数の兵を撃破すれば彼らは撤退するだろうと予測されている。
 ボルカスの向かった第二小隊もまた攻勢に転じているはずだ。
 とは言え、体力は心もとない。後どれほど倒せるかはわからないが仲間を信じるだけだ。
 グローリアは速度を活かしたステップで戦闘を始めている。アーウィンもまたそれに合わせて攻勢に転じた。
「ドクターを倒すぞ」
 アデルはあえてそれを口にする。
 防戦で耐えるつもりであることはすでに敵には看過されている。しかして今からは攻勢に移ることができる
 
「だらららららー、だん」
 ずいぶんとローテンションなワルツにのり、リムリィが戦場に到着した。
 木々を破壊しながら飛び込んできた二連のワルツはガーディアンに大きなダメージを与える。
「おまたせ。てつだいにきた――さっさとおわらせてつぎにいこう」
「ああ、またせてもらったぞ」
 これで同数。リムリィとグローリアはボルカスの回復もあってかダメージ事態は少ない。魔導力については自分たちと同様尽きかけてはいるのではあるのだろうが。
「そのぶん、がんばる」
 リムリィは暴風と化して、戦場を翔ける。
 ぜったいにこのさきにはいかせない。じゃまはさせない。
 HPもこころもとない。MPももうない。
 それでもまけれない。ここはぬかせるわけにはいかない。
 それは今まで何でも特に考えたことがなかった自分がそうすると決めたことだ。誰にも譲るつもりはない。
 わたしはわたしのたいせつのために。
 きらきらするきれいなもののために。
 がんばらないといけない。そうじゃないとまもれないから。
 だから――。
「――ここはぜったいにとおさない」
 
●第五トラバウト戦闘団・ニ
 アクアリスは歯噛みする。防衛に徹する状況は続く。それでも仲間はまだこない。苦戦しているのだろう。
「お嬢ちゃんの言ってた援軍ってのはいつくるんだ?」
 防御力に秀でるアダムとランスロットに対して、ガンナー達はウェッジショットでの攻撃に切り替えてきている。
 明確なダメージの蓄積がアクアリスの魔導力を蝕んでいることは否めない。
「さあね、もうすぐかもだよ?」
 肩で息をしながら、アクアリスは答える。心の中では早く来てと叫びたいくらいだ。
 自分以外の三人は英雄の欠片という切り札は使い切った。自分の練度の低さが恨めしい。だからこそ、戦場を俯瞰して回復を続けてきた。ここまでの手番にミスはない、はずだ。
 しかして人数差はいかんともし難い。パリィングを続けるガーディアンの二人の魔導力も今やこころもとない。専守防衛とはいえ、じわじわと削られてきているのも事実だ。
 あと数ターンもてば良いところだろう。
 ランスロットはフルカウンターで反撃もしたいところではあるが、アンをアダムが防衛している以上自分は絶対にアクアリスの防衛を外すわけにはいかない。
 アンを狙っているようで、さり気なく前衛は回り込みアクアリスを狙うのだ。数が多いからこそのその戦法が恨めしい。
 それでも彼ら自由騎士達は十分以上に戦場を維持している。
 アダムは穿たれた肩の蒸気鎧装から蒸気を噴出させている。致命的とまではいわないが、放置しておけば、この蒸気鎧装の腕は動かなくなるだろう。
 しかして、自分が動けなくなったとしても、他の仲間が動ければ負けではない。
 少年らしいその負けず嫌いは萎えそうになる戦意を震え立たせる。
 少年は誓った。この身がガラクタの一片になろうとも『守る』のだと。
 それが騎士としての、――いや、アダム・クランプトンとしての信念なのだから。
 折れるわけにはいかない。
「ひとつ聞きたい」
 アダムは折れぬ戦意でもってフォーゲルに問う。
「なんだ、ぼっちゃん、いってみな」
「ヴィスマルクとはどういう国だろうか?」
「ああ、そんなことか。
 面白い。答えよう。
 強い、国だ。
 力こそが正義だ。この世界には亜人差別がはびこっているのはお前も知っているだろう。
 しかし! 我が国では亜人であっても武力を得ることができれば、将にもなれる。
 それはなんと平等な女神の采配か!
 弱肉強食。それはこの世界の真理!
 それを体現した選ばれし我がヴィスマルクが世界を統べることは世界のさらなる発展につながることだろう!」
「違う!! 力だけじゃだめだ! それじゃ僕の目指す『優しい世界』にはたどりつけない。
 弱い人だっている。
 だけど弱くたって、蹂躙されていいわけじゃないんだ!! 弱い人にだって強い人に負けない心がある。
 それに強いものだけが輝く世界では弱いものの立つ瀬がない。そんなのは、絶対に駄目だ」
 それは悲痛なる叫び。少年は世界が優しくないことはもう知っている。
 願えば願うほどにその世界は遠いのだと実感する。それが悔しかった。
「呵呵」
 フォーゲルはその理想を嗤う。
「弱ければ、踏み潰されるだけだ。弱いからだめなんだ。強くなればいい」
 知っている。そのとおりだ。だから、自分は踏み捨てられてしまう弱いものを守ると誓ったのだ。
「弱肉強食っつったな!? じゃあ、やってやるよ!」
 額から血を流すアンが叫ぶ。片手はしびれて動かない。アダムが護ってくれているとはいえ、パリィングの隙間を的確にヴィスマルク兵は狙ってくるのだ。
 生半な攻撃は二人のドクターに回復されてしまう。そのドクターですらまだ落とせていない。笑えてくる。自分はこんなに『弱い』のか? 
 そう思ったら笑えてきた。情けなくて。
 だから、アニムスを燃やすことにした。
 丹田に力を溜める。片手で大型の銃口をフォーゲルに向ける。
 照星が揺れる。この銃は反動が強い。片手で撃てば脱臼するのは確実だ。下手をすれば肩が砕ける可能性だってある。
 それがどうした? たいしたことじゃあない。あたりゃあいい。あたりさえすればその後肩がぶっ壊れてもかまいやしない。
「アン! むちゃをするな!」
 ランスロットが叫ぶ。知ったことか。
 自分と、フォーゲルの間の距離が縮まった気がした。行けるはずだ。
 照星がフォーゲルを捉える。
 ダァン! と森を貫く銃声。古い時代の者は銃声を竜の鳴き声であると表現した。
 竜の弾丸は音を超えフォーゲルを穿たんとする。
「大佐!」
 目星によりその銃弾(ドラグハウル)は危険だと判断したヴィルダーが上司を守らんとその身を盾にする。
「!!」
 たった一発の銃撃はヴィルダーの体を貫通し、フォーゲルの目元をかすめていった。
「今のは?」
「ざまあ、見やがれ」
 銃を撃った腕までもう動かない。こりゃあ複雑骨折してるなとアンは妙に冷静に思う。次の瞬間、痛みが脳に直接ダメージを伝える。その激痛に意識が焼き切れる。
「アンさん!!」
 アダムが意識を失ったアンを抱き上げ、下がる。
「大尉! ツァンコ大尉! おい! ヴィルダー返事しろ!」
 ヴィルダーの意識はたった一撃で刈り取られてしまった。ドクターがフォーゲルの耳元で命に別状はないと診断すればあからさまにフォーゲルはホッとした顔になった。
「なんつうことをするんだ……あのアマは」
 それはヴィルダーにとっても初めて見る奇跡。かすめた銃弾の傷から流れる血液が視界をぼやけさせる。
「大佐殿ずいぶんと男前になられましたな」
「俺ぁ、最初から男前だろ」
 部下が状況に戸惑いながらも軽口でヴィルダーの無事を確認する。
「侮ってたつもりはなかったが、上方修正だ。こいつらは危険だ。お前ら、遊びはもうおしまいだ!
 こいつらはイ・ラプセルの羊じゃあない。俺達と同じ、狼だ」
 倒れたヴィルダーを下げフォーゲルが一歩前に進む。
 ごくりとアクアリスが唾を嚥下する。
 絶対絶命の状況だ。
 
 ――だが。
 
「あ? なんだと? 第三小隊全滅か? 第二と第四は撤退だと? ていうか第四小隊、お前らなにしてた? 連絡は大事だってアレほど言っただろう? ああ? ジャミング? しらんわ! 気合でなんとかしろ!」
 フォーゲルが仲間からのテレパシーでの通信に足を止める。
 ずいぶんとすきだらけに見えるがアダムもランスロットもアクアリスも攻撃はできなかった。このタイミングで攻撃したところで軽くあしらわれるのがみえていたからだ。
 それに攻撃する余裕なんて正直なところほとんどない。
 第四小隊のアデルによるジャミングはあえて停止したようだ。そうすることで、退却する彼らの情報をフォーゲルに伝えさせるためにだ。
「おいおい、まじかよ……俺の部隊が半数撤退なんてな。全滅ってやつじゃねえか。くっそ、もっと鍛え直さないとだめだな」
 大仰にフォーゲルがため息をつく。その言葉に数人の部下が顔を青ざめさせた。
 軍事的におおよそ部隊の三割、戦闘担当においては6割の喪失になり組織的抵抗が不可能になり全滅とされる。
「お前らは最初から、俺らの足止めじゃなくて、俺らの全滅を狙ってたってことか……はぁ」
 フォーゲルは自由騎士たちの作戦意図を察する。
「よし、負け戦だ。撤退するぞ」
 思ったよりもあっさりとフォーゲルは撤退の意志をみせた。
「ああ、お前ら追ってくるなよ?」
 いうと、フォーゲルは残る三人に向かって銃口を向ける。追うのであれば彼のとっておきが炸裂することになるだろう。
「わかってるよ」
 アクアリスは両手をあげ無抵抗のアピールをする。
「おいおい、勝ったのはお前らだぜ。その両手は万歳(ハイル)ってことにしておいてやるさ。
 ――お嬢ちゃん、名前をきいてやる、いってみな?」
「アクアリス・ブルースフィアだよ」
 名前を聞いたフォーゲルは呵呵と笑い去っていった。

「キモが冷えた」
 ランスロットは頬に伝う汗を拭いその場に座る。
「アンさんは無事だよ。気絶してるだけだけど……。でも腕の治療はしないとだめだ」
 アダムは地面にアンをおろし息をつく。
(ボクにはまだまだ学ぶことがおおいね)
 アクアリスは杖にもたれかかるようにずるずるとその場に腰をおろした。ぶっちゃけ腰が抜けているのだが気づかれてはいないはずだ。
 
 戦いはまだ終わらない。
 決戦はめの前だ。
 ヴィスマルクの介入は阻止した。今はその安堵に浸っていてもいいだろう。
 

†シナリオ結果†

成功

†詳細†

称号付与
『竜弾』
取得者: アン・J・ハインケル(CL3000015)
『守るべき信念』
取得者: アダム・クランプトン(CL3000185)
『慈悲の剣姫』
取得者: アリア・セレスティ(CL3000222)
『一帖の盾』
取得者: ランスロット・カースン(CL3000391)

†あとがき†

皆様お疲れ様でした。

フォレストマスターみんなもっててずるい……。

リザルトは第一小隊は全員撤退。
副官はそれなり以上の重症です。

第二小隊も撤退。
第三小隊は捕虜にするタイミングが無かったので放置したところを回収済み。
第四小隊も撤退。
という形になりました。

フォーゲルはアニムスの奇跡をみたことを本国に報告するでしょう。
あなた方の存在が、侵略されるだけの国ではないと認識することになりました。

それではご参加ありがとうございます。
次の戦いに備えてくださいませ。
FL送付済