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【機児解放】降下作戦アルタイル

●
「今作戦は、奇襲作戦だ」
まずはと、『軍事顧問』フレデリック・ミハイロフ(nCL3000005)は要点を述べた。
「ドナー基地に対して、補給物資――兵站の寸断を行う。また、敵兵援軍の戦車も破壊してもらうのが今回の君たちへの任務とする」
至ってシンプルな内容。
兵站の寸断は戦争に置いて大きな意味をもつ。
「君たちが作った、兵射出式隠密飛行船『アルタイル』による射出により、ここ」
言うとフレデリックはドナー基地より東にある地域を指差した。
「この補給地を襲撃してもらう。
ここを押さえれば、敵兵の兵站を寸断し、本拠地への援軍を止めることができる」
ヴィスマルク兵は現状自らこそが制空権をもつと思っている。故に、イ・ラプセルのアルタイルの存在にはまだ気づいてはいない。
今後対策はとられるだろうとはいえ、今作戦においては相当以上のアドバンテージをもつことになる。
まさか、空から振ってきた砲弾から自由騎士たちが現れるなどと予想できる兵士は居るはずもない。
「いい報告をまっているぞ」
フレデリックはあなた達にエールを送ると次の指示をだしに去っていく。
新型兵器、デネブ、アルタイル、ベガ。
夏ではなく冬に輝く大三角はイ・ラプセルにどんな勝利の輝きを与えるのだろうか?
「今作戦は、奇襲作戦だ」
まずはと、『軍事顧問』フレデリック・ミハイロフ(nCL3000005)は要点を述べた。
「ドナー基地に対して、補給物資――兵站の寸断を行う。また、敵兵援軍の戦車も破壊してもらうのが今回の君たちへの任務とする」
至ってシンプルな内容。
兵站の寸断は戦争に置いて大きな意味をもつ。
「君たちが作った、兵射出式隠密飛行船『アルタイル』による射出により、ここ」
言うとフレデリックはドナー基地より東にある地域を指差した。
「この補給地を襲撃してもらう。
ここを押さえれば、敵兵の兵站を寸断し、本拠地への援軍を止めることができる」
ヴィスマルク兵は現状自らこそが制空権をもつと思っている。故に、イ・ラプセルのアルタイルの存在にはまだ気づいてはいない。
今後対策はとられるだろうとはいえ、今作戦においては相当以上のアドバンテージをもつことになる。
まさか、空から振ってきた砲弾から自由騎士たちが現れるなどと予想できる兵士は居るはずもない。
「いい報告をまっているぞ」
フレデリックはあなた達にエールを送ると次の指示をだしに去っていく。
新型兵器、デネブ、アルタイル、ベガ。
夏ではなく冬に輝く大三角はイ・ラプセルにどんな勝利の輝きを与えるのだろうか?
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.兵站拠点の破壊
2.ヴィドルの撤退もしくは撃破
2.ヴィドルの撤退もしくは撃破
たぢまです。
今回は奇襲作戦をしていただきます。
武装倉庫が50%以内の破壊の状態で成功すれば、軍事、生産に300のボーナスがつきます。大成功であれば2倍のボーナスをつけることができます。
最初のターンでの敵兵の行動はありません。
大成功の条件は子供たちの死者がいない、ヴィドルの撃破、武装倉庫のダメージ30%以内となります。
■ロケーション
兵站拠点
武装倉庫、火薬倉庫、火薬倉庫の隣に予備のチャイルドギアを10人程度閉じ込めた小屋、小屋に続く形で戦車を6体おさめた倉庫があります。
小屋と戦車倉庫は繋がっています。倉庫はそれなりに広くなっています。
どこに降りるかは決めることができます。
夜闇に紛れて降下します。明かりなどは拠点の明かりがあるので、必要ありません。
2ターン目、オルク2体が出動します。
残りの4体はバール2とドーファン2になります。
また、5ターン目までにチャイルドギアに対して何も対応しなければ、子供がチャイルドギアに乗り込み出動します。
子供たちのいる小屋に5人以上向かった場合には火薬倉庫に火をつけられて、チャイルドギアごと吹き飛ばされます。
その場合武装倉庫の30%破壊、戦車は4体破壊という状態になります。
爆破された時点で小屋にいた場合には戦闘不能となります。フラグメンツ復活はできます。
チャイルドギアたちは自由騎士の言うことは聞きません。最優先は戦車に乗り込み出動することとなります。
チャイルドギアのいる小屋には防御タンク型が3人います。全体攻撃や範囲攻撃をされた場合にはチャイルドギアを防御する行動を優先し、戦車に乗せます。
ちなみに揺れるリブラにてさらわれた子供もここにいます。
乗り込んでいない戦車を壊すには2人で4ターンかかります。(アイテム兵1つにつき1人分と人数に含まれますがアイテム兵1つ使うごとに破壊まで+1ターンかかります)
今回持ち込めるアイテムの兵は全部で5つまでになります。(種類は問いません)
■敵兵
ボス
侵火槍兵団 炎獄戦闘団
ヴィドル・スプラウト少佐 キジン バスター
その名の通り炎熱の特殊スキルももつ、炎獄戦闘団の団長です。
部下の信頼も厚く、彼を司令塔に練度の高い連携をみせてきます。
拙作「マギアスティームグランドオープニング 神殺し」「揺れるリブラ」で登場しました。
EX:炎獄撃
範囲 物理。近接 高火力高命中 【バーン3】【二連】20m移動可能
チャイルドギアについては否定的ですが、いざとなればチャイルドギアを切り捨てる判断もします。
基本的には兵站拠点を歩き回って最も戦闘が激しい場所に向かいます。(もっとも人数が割かれている場所)
部下が半数を切った状況で、撤退準備として武装倉庫の破壊を命じます。
その場合2ターン戦闘不能にならなかった場合一人につき破壊度が10%追加の後撤退します。
撤退行動中ヴィドルはこちらに全力で攻撃し、部下の撤退を確認後、撤退します。
侵火槍兵団(ヴィスマルク兵)×8
戦車に随行している兵士です。侵火槍兵団(歩兵科)
チャイルドギア小屋に3人(防御タンク)、戦車倉庫に3人(ガンナー1軽戦士1サムライ1)、ヴィドル随行に2人(ニンジャ1ドクター1)
基本的にPCたちを邪魔する行動をします。各々ランク3まで、ニンジャとサムライはランク2までのスキルを使います。
サムライスキル
・一刀両断
・居合彼岸花
・火之迦具土
ニンジャスキル
・体術・飛天空蝉
・瞳術・不動金縛
・秘伝・口寄招来
戦車の配置場所はヴィドルの指示に従う形になります。
・バール
突撃用の小型戦車。大きさ2mほど。主砲はなく、砦の壁や敵陣を突破するために特化された戦車です。前面に衝角を持ち、突撃してこれを突き刺したりします。
攻撃方法
突撃 攻近貫 突撃して、衝角を突き刺してきます。20m移動可能(100%、75%)
轢殺 攻近範 衝角を伴わない体当り。
副砲 魔遠単 備え付けられた火炎放射器。【バーン】系(強さはお任せ)のBS付与
・ドーファン
重量系の戦車。動きはとろいが、砲撃は侮れない形式
攻撃方法
主砲 攻遠範 主砲を放ち、敵陣を攻撃します。溜1
轢殺 攻近範 衝角を伴わない体当り。
副砲 魔遠単 備え付けられた毒霧噴出気。【ポイズン】系(強さはお任せ)のBS付与
・オルク
水陸両用のバランスの取れた戦車。安定性も高く、あらゆる場面で活躍できるとされる。
主砲 攻遠範 主砲を放ち、敵陣を攻撃します。
副砲 攻近範 備え付けられた機関銃。【二連】
水中適正 P 水場でも動きは損なわない。
以上面倒な状況ではありますがよろしくおねがいします。
ムサシマルとアーウィンへの指示は【指示】のタグのある最新発言を参照します。
基本的にふたりとも言うことはききます。
ランク2までのスキルを使えます。
----------------------------------------------------------------------
「この共通タグ【機児解放】依頼は、連動イベントのものになります。依頼が失敗した場合、『【機児解放】Agony! 苦悶の機械を破壊せよ!』に軍勢が雪崩れ込みます」
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今回は奇襲作戦をしていただきます。
武装倉庫が50%以内の破壊の状態で成功すれば、軍事、生産に300のボーナスがつきます。大成功であれば2倍のボーナスをつけることができます。
最初のターンでの敵兵の行動はありません。
大成功の条件は子供たちの死者がいない、ヴィドルの撃破、武装倉庫のダメージ30%以内となります。
■ロケーション
兵站拠点
武装倉庫、火薬倉庫、火薬倉庫の隣に予備のチャイルドギアを10人程度閉じ込めた小屋、小屋に続く形で戦車を6体おさめた倉庫があります。
小屋と戦車倉庫は繋がっています。倉庫はそれなりに広くなっています。
どこに降りるかは決めることができます。
夜闇に紛れて降下します。明かりなどは拠点の明かりがあるので、必要ありません。
2ターン目、オルク2体が出動します。
残りの4体はバール2とドーファン2になります。
また、5ターン目までにチャイルドギアに対して何も対応しなければ、子供がチャイルドギアに乗り込み出動します。
子供たちのいる小屋に5人以上向かった場合には火薬倉庫に火をつけられて、チャイルドギアごと吹き飛ばされます。
その場合武装倉庫の30%破壊、戦車は4体破壊という状態になります。
爆破された時点で小屋にいた場合には戦闘不能となります。フラグメンツ復活はできます。
チャイルドギアたちは自由騎士の言うことは聞きません。最優先は戦車に乗り込み出動することとなります。
チャイルドギアのいる小屋には防御タンク型が3人います。全体攻撃や範囲攻撃をされた場合にはチャイルドギアを防御する行動を優先し、戦車に乗せます。
ちなみに揺れるリブラにてさらわれた子供もここにいます。
乗り込んでいない戦車を壊すには2人で4ターンかかります。(アイテム兵1つにつき1人分と人数に含まれますがアイテム兵1つ使うごとに破壊まで+1ターンかかります)
今回持ち込めるアイテムの兵は全部で5つまでになります。(種類は問いません)
■敵兵
ボス
侵火槍兵団 炎獄戦闘団
ヴィドル・スプラウト少佐 キジン バスター
その名の通り炎熱の特殊スキルももつ、炎獄戦闘団の団長です。
部下の信頼も厚く、彼を司令塔に練度の高い連携をみせてきます。
拙作「マギアスティームグランドオープニング 神殺し」「揺れるリブラ」で登場しました。
EX:炎獄撃
範囲 物理。近接 高火力高命中 【バーン3】【二連】20m移動可能
チャイルドギアについては否定的ですが、いざとなればチャイルドギアを切り捨てる判断もします。
基本的には兵站拠点を歩き回って最も戦闘が激しい場所に向かいます。(もっとも人数が割かれている場所)
部下が半数を切った状況で、撤退準備として武装倉庫の破壊を命じます。
その場合2ターン戦闘不能にならなかった場合一人につき破壊度が10%追加の後撤退します。
撤退行動中ヴィドルはこちらに全力で攻撃し、部下の撤退を確認後、撤退します。
侵火槍兵団(ヴィスマルク兵)×8
戦車に随行している兵士です。侵火槍兵団(歩兵科)
チャイルドギア小屋に3人(防御タンク)、戦車倉庫に3人(ガンナー1軽戦士1サムライ1)、ヴィドル随行に2人(ニンジャ1ドクター1)
基本的にPCたちを邪魔する行動をします。各々ランク3まで、ニンジャとサムライはランク2までのスキルを使います。
サムライスキル
・一刀両断
・居合彼岸花
・火之迦具土
ニンジャスキル
・体術・飛天空蝉
・瞳術・不動金縛
・秘伝・口寄招来
戦車の配置場所はヴィドルの指示に従う形になります。
・バール
突撃用の小型戦車。大きさ2mほど。主砲はなく、砦の壁や敵陣を突破するために特化された戦車です。前面に衝角を持ち、突撃してこれを突き刺したりします。
攻撃方法
突撃 攻近貫 突撃して、衝角を突き刺してきます。20m移動可能(100%、75%)
轢殺 攻近範 衝角を伴わない体当り。
副砲 魔遠単 備え付けられた火炎放射器。【バーン】系(強さはお任せ)のBS付与
・ドーファン
重量系の戦車。動きはとろいが、砲撃は侮れない形式
攻撃方法
主砲 攻遠範 主砲を放ち、敵陣を攻撃します。溜1
轢殺 攻近範 衝角を伴わない体当り。
副砲 魔遠単 備え付けられた毒霧噴出気。【ポイズン】系(強さはお任せ)のBS付与
・オルク
水陸両用のバランスの取れた戦車。安定性も高く、あらゆる場面で活躍できるとされる。
主砲 攻遠範 主砲を放ち、敵陣を攻撃します。
副砲 攻近範 備え付けられた機関銃。【二連】
水中適正 P 水場でも動きは損なわない。
以上面倒な状況ではありますがよろしくおねがいします。
ムサシマルとアーウィンへの指示は【指示】のタグのある最新発言を参照します。
基本的にふたりとも言うことはききます。
ランク2までのスキルを使えます。
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「この共通タグ【機児解放】依頼は、連動イベントのものになります。依頼が失敗した場合、『【機児解放】Agony! 苦悶の機械を破壊せよ!』に軍勢が雪崩れ込みます」
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状態
完了
完了
報酬マテリア
3個
7個
3個
3個




参加費
100LP [予約時+50LP]
100LP [予約時+50LP]
相談日数
7日
7日
参加人数
8/8
8/8
公開日
2020年12月24日
2020年12月24日
†メイン参加者 8人†
●
「降下地点到着、只今より戦車倉庫を突き破る」
そう、装攻機兵』アデル・ハビッツ(CL3000496)は宣言すると、降下準備を始める。
「カウントいくのだわ~、さ~ん、に~、い~っち」
『日は陰り、されど人は歩ゆむ』猪市 きゐこ(CL3000048)がカウントダウンを始める。
「今更ではあるが空から突入するというのは些か恐ろしいものがあるね」
『白騎士』アダム・クランプトン(CL3000185)が装着したアルタイルをふりかえりながらこぼした。
「怖いですか?」
『祈りは歌にのせて』サーナ・フィレネ(CL3000681)がアダムに問いかける。
「少しだけね」
「ふふ、勇敢にみえる白騎士さんでもそんなことあるんですね。大丈夫ですよ、怖くないですよ」
少しだけママ味をもってサーナは微笑む。彼女とて背に羽をもつとはいえそれで飛行はできない。自分も怖くないかと問われれば怖いと答えるしかない。それでも、同じように誰かが怖いと思うのは少しだけ勇気になる。
「ぷぎゃー! アダム殿ヘタレでござるねーーwwwww うけるぅうぇwwwww」
アダムに対して煽りちらかすムサシマル・ハセ倉(nCL3000011)がアデルにデコピンされて「あいたっ!」っと悲鳴を上げた。
「んもう、もういい? ぜーろ! ふぁいやー! なのだわ!!!」
きゐこが少しだけ止めていたカウントを進め彼らは状況を開始する。
まさに言葉通り、青天の霹靂となり自由騎士たちは各々のスキルをぶっ放し武器倉庫の屋根を突き破った。
「なんだぁ?!」
突然の闖入者にヴィスマルクの兵士たち、敵兵は浮足立つ。
「現場の指揮は俺が執る。基本はブリーフィング通りだ。奇襲の優位を活かすぞ」
最初に着地したアデルがマシンアイをまたたかせリュンケウスの瞳とサーチエネミーを起動すると、状況を分析し始めた。
「こりゃあまた。派手なことを……
なるほどな。カドタ殿、ドクター、すぐに倉庫に向かうぞ」
周囲を警邏していたヴィドル・スプラウトは轟音とそして自由騎士の強襲に気づくと即時に部下に指示を出すと戦車倉庫に向かって駆け出す。
彼らの作戦は全員での戦車倉庫襲撃。気づかれるのは織り込み済みだ。
気づきやってくる敵兵をインターセプトで倒すという至ってシンプルな作戦である。
「おじさん使いが荒いねえ」
『キセキの果て』ニコラス・モラル(CL3000453)は初手でタンゴのステップを踏む。まずは足止め。
戦車には動きはないが2機には子供が搭乗済みであることはわかっている。
「ひゃっほぅ!!! やっぱり目標地点に直接ってのは手っ取り早くて良いわね♪」
ごきげんなきゐこが自らのルーツの力を解き放ち鬼斧の加護を仲間に行き渡らせる。
「子供たちを助ける! そして! セカイの未来のためにもチャイルドギアなんてものの存在を否定する!!」
『命の価値は等しく。されど』ナバル・ジーロン(CL3000441)は狼狽える敵兵に強固な一撃を食らわせた。
「あと10秒後にはヴィドルはこの倉庫に到着する……ね」
上空からとサーチエネミーで警戒していた『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)はデ・レ・メタリカでの弱体化を敵兵に付与しながら警告する。
全員で不意打ち攻撃をかけるものの流石に最初のターンで全滅させることができるほどに敵兵は弱くはない。
「おい、バカ医者! ぼけっとしてんな!」
アーウィン・エピ(nCL3000022)が、ツボミを守るように敵兵からの射線を遮蔽し、怒鳴った。
「わ、わかっている、状況判断をしていただけだ!」
「そうなのか? すまん!」
正直、アーウィンと同じ任務をこなすのはなんというか気まずい、のだ。
気まずいというか、あのとき言った恥ずかしい言葉の数々が脳裏をよぎり、気持ちがバラバラになりそうになる。
事実あれから今日の任務まで彼とできる限り顔を合わせないように逃げ回った。
そういう時に限ってあいつは自分を探し回るらしい。何度も番外地の面々から彼がツボミを探していたという話は聞いた。久々に会ったブリーフィングでもなにかいいたそうだったが、わざと遠くの席に座って避けたほどだ。
しかしここは戦場。せっかく有利に攻めることができる状況なのだ。気合を入れねばならん。気まずいとかそういう感情が戦闘を邪魔することがあってはならん。わかるな? 私? いいな?
自分に言い聞かせるが、彼女がそれほど器用ではないことは明らかだ。
「ツボミン。恋する……アラサーでござるな~~~~」
ほらみろ、いらんことを言うバカがいるのだ。ツボミはムサシマルに真面目にやれと睨む。
「慌てるな、戦車を起動しろ」
倉庫のドアを蹴破り、ヴィドルが到着するやいなや迅速に部下たちに指示を出した。
ダメージを受けていた敵兵たちはドクターの回復魔法が癒やす。
「カドタ殿は……ドーファンにむかってくれ」
ニンジャだろう、カドタと呼ばれた男は指示に従いドーファンに向かう。
「……?」
その怪しい動きにマグノリアが疑問符を浮かべるが、今は攻撃のほうが重要だ。
チャイルドギア小屋のドアが開き、子供をつれ兵士が現れる。
それを確認した自由騎士たちは即時に事前に決められた作戦を実行する。
救出班にアダムとサーナ、ニコラスとアーウィン、ムサシマルが向かう。
アダムがノックバックで敵兵を吹き飛ばすと、ムサシマルとサーナが子供を攻撃し昏倒させるとアーウィンが子供を抱きとめ攻撃が届かない倉庫の端に寄せる。
敵兵も態々戦闘不能の子供の止めをさすようなことはしない。目の前の驚異である自由騎士たちの対応のほうが優先順位は高い。随伴した盾兵にこの場は委託し、アーウィンは戦場に戻る。
「ギアの運搬は中止だ! タンカー、貴様らも自由騎士たちを止めろ!! 小屋に絶対に入れるな!」
ヴィドルは指示をだす。
自由騎士たちの目的は子供たちの保護なのだろう。なんともバカバカしい。これはいまやただの道具、戦車を動かすための歯車でしかないのに。
「戦車たちは自由騎士を撃て!」
その言葉にツボミとニコラスはアイコンタクトをとる。
子供たちを移動しないのであれば今足止めは必要はない。これから来る猛攻から仲間たちを守ることが重要視されるからだ。
「小屋には鍵がかけられたようです!」
サーナが叫ぶ。
「なら俺はツボミ先生とニコラスさんを守る!」
ナバルは後衛に下がると状況の柱である二人のもとに向かう。油断も安心もできないが、この戦場で子供たちが無駄に殺されるという状況はなくなった。
子供たちはもともと不殺攻撃に巻き込んで戦闘不能にする手はずだった。殺しはしないとはいえ自らの手で折れそうに細く栄養の足りていない子供たちを攻撃して怯えさせるという真似はしたくないというのは正直なところだ。
アダムはあからさまにホッとした顔を浮かべた。
いくら権能があっても下手をすれば後遺症だって残らないわけではないのだから。
「なるほど、状況は至ってシンプルになっただけということだな」
アデルはジョルトランサーをヴィドルに突きつけジャヴァウォックを起動する。
「随分な挨拶だな。装攻機兵」
「こちらとて降下作戦は命懸けなものでな。そちらも命をベットしてもらうぞ」
一連、二連、そして三連と粉砕機構はヒットするが、手応えを感じない。
防御を突き抜けるはずのこの攻撃が、前回も思ったのだが『機能していない』。まるでそれは神に守られているかのような違和感。
その違和感を今考えても答えはでないだろう。目の前の敵は油断などできない相手だ。
マグノリアはさり気なくヴィドルの背面側に移動し、鎧を腐食させるべく錬金の術を構築する。
「ああ、ニンジャにサムライ! ああ~~~そうだったのだわ! 同盟しているんだから当然っちゃ当然だけれども嫌ねえ」
うきうき気分でフォーマルハウトを連発するきゐこはため息をつく。
「敵陣ど真ん中で爆破したり、飛んで火にいる~ができるのはずるいわね! けどそういうの大好き!!」
一瞬で切り替えたきゐこはやっぱりご機嫌になる。そも、トリガーハッピーな彼女は派手好きなのだ。
総力戦になった彼らは己がスキルを行使しながら削り合いの様相をみせる。
「くそっ、ヨウセイごときが!」
すばしこくサーナは舞うように敵兵を遊撃する。
「回復は大丈夫ですか?」
「おーけい、お嬢ちゃん、おじさんがそっちはなんとかするから攻撃してくれ。どっちにしろ天井は開いてるが屋内では森の賢人は使えないからな」
「わかりました!」
サーナはリュンケウスの瞳で子供が搭乗していない戦車を見渡す。
「!!!!! みなさん! 奥のドーファンが起動しています!!!!」
戦車を見渡していた彼女だからこそ気づいたこと。
「なんでだよ! ドアは閉められているのに!」
「僕たちがみているかぎり、子供たちは移動していなかった!」
ナバルが叫び、小屋の近くで戦っていたアダムが答えた。
「あっ!!」
「あ……」
きゐことマグノリアが同時に声をあげた。
マグノリアはニンジャが怪しげな動きをしていたことを思い出す。
きゐこはニンジャのスキルに、一度だけ遠くの味方を引き寄せるものがあったと思い出したのだ。このスキルは一つの戦場で一度しか使えないのでこれ以上引き寄せられることがないのが幸いといえば幸いだろう。
「あ~~もう悔しい! やっぱりずるいのだわ!」
起動したドーファンの砲塔がきゐこを狙う。
「ちっ! アダムさん! ドクターのふたりを頼む」
「わかったよ! ナバルくん」
きゐこに近いタンカーはナバルだ。この中で最もダメージディーラーとして活躍するきゐこを落とすわけにはいかない。
ドォン…!!
轟音をあげた撃たれた主砲がナバルに炸裂する。
「くっ。子供を守るのがオレの役目だからな!」
「あとで、おぼえておくのだわ! 私は子供じゃないのだわ! でも、たすかったのだわ!」
脚がふらつくが倒れるほどではない。ナバルは盾を構え直しドーファンを見据える。
絶対に君たちは俺が救うのだと。
ドーファンの投入により状況はより激しいものになっていく。
前衛であるアデルとアダム、ナバル、サーナは一度は膝をつき、立ち上がった。
後衛攻撃手であるマグノリアときゐこも回復手であるツボミもニコラスも満身創痍だ。
「これがオレの守りたいものだ!! オレは、オレの護りたいものを護るために戦っている!
お前の、お前らの護りたいものは、本当にこの戦いの先にあるのか!?」
ナバルが立ち上がりながら叫ぶ。
子供を犠牲にする未来のもっと先に未来なんてない。
そんなの未来視なんてなくてもわかることだ。
「どうだろうな! だからといって、脚を止めれば全てが滅ぶ!!」
ヴィドルがそれに答える。ただ一人、ナバルの言葉に背中がぴくりと動いたことを、動揺の色をみせたことをマグノリアだけはきづいていた。
「ねえ、キミはほんとうは、子供を……こんなことに使うのは、嫌じゃないのかな?」
それは彼に前回告げられた言葉から類推したもの。
「ギアはギア。道具だっ!!!」
言って、ヴィドルは背後のマグノリアに攻撃を向ける。その結果対峙するアデルに隙をつかれることになってもかまわないというように。
「くっ!」
マグノリアが血しぶきをあげながら意識を手放す。
当然ながらアデルはジャヴァウォックをヴィドルに叩き込む。
「マグノリアさんっ!」
アダムが叫び彼女のもとに向かう。
「マグノリアは私にまかせろ。アダム、移動するぞ。守ってくれ」
「わかった! 僕の矜持にかけてツボミさんを守りきるよ」
エイルの右手でもって賦活するためにツボミが走り出すのをアダムが随伴する。
「……っ!
バール、まだ動くか? 動けないわけはないな! 今すぐ倉庫の壁に穴を開けろ!! 壊れても構わん!」
額から血を流したヴィドルが指示を出した。
状況は悪い。自分は完全に足止めをくらっている。目の前にはヴィスマルクでも名をとどろかせる装攻機兵に白騎士、機盾ジーロン。なんとか白騎士は剥がしたものの、分は悪い。
壁に穴をあけてバールは沈黙。ドーファンはのろまだ。不意の一撃も失敗した以上的にしかならない。オルクも機能停止まで秒読みか。こちらの兵士も3人が倒れている。潮目はもうあちら側に渡ってもどることはないだろう。
「逃がすと思うか?」
アデルが、逃さぬと言わんばかりの攻撃は激しい。わかっている、自分が逃げることはできない。この戦士はここで自分を屠るつもりだ。ならば――。
「俺はいい!! カドタ殿、スケロク殿は撤退を。我らが帝国への忠義はここまででいい。
貴様ら第3侵火槍兵団も撤退しろ! ここは俺が止める」
ヴィドルの言葉にカドタとスケロクと呼ばれたニンジャとサムライが躊躇なく撤退する。彼らが忠義を尽くすはヴィスマルクではないのだ。
「みなさん! 足止めを!」
自らもタンゴのステップで、撤退をはじめる兵士たちを足止めしようとサーナが叫び盾兵が動きだすがわずかに遅い。
「おっと、おじさんも忘れちゃこまるぜ!」
精霊によびかけながらニコラスも足止めに務める。
「?! まずいのだわ!!」
数秒先の未来が現在に重なって見える。大きな爆発音。子供たちの悲鳴。
きゐこはおぞましき気配をまっすぐにヴィドルに向ける。奇々怪々。それはオニヒトだけがもつ異形の力。
「ぐっ!」
ヴィドルの動きが止まる。ぽろり、となんらかのスイッチが手から転がり落ちた。
サーナはステップを止め、思いっきりそのスイッチを蹴り飛ばす。
おそらくそれはチャイルドギア小屋の起爆スイッチだろう。ころがってきたスイッチをツボミはさっと拾うと衣服の胸元にしまいこんでニヤリと笑う。
「降伏しろ。
殺しはしない。お前も、部下も、子供たちも。
みんな、この世界の未来で生きていく命だ」
静かな声でナバルが宣言すれば、足止めをくらった生き残りの兵士が武器を下ろす。数の有利は敵側。
隊長も満身創痍。倒れていないのが不思議なほどだ。
「構わん、従え。イ・ラプセルがお前らを悪いようにはしないはずだ。そうだな? 白騎士」
「ああ、そのとおりだよ」
ヴィドルの問いにはっきりとアダムが答えた。
「感謝する。 なら、俺はここで安心して果てることができるってもんだ!!! なあ!! 装攻機兵!!!!」
「ああ!! 今度こそお前を此処で討ち取る――これで終わりだ!」
ヴィドルは叫び炎獄撃をアデルに、アデルは虎の子であったジョルト・アサルト・フルロードをヴィドルに撃ちこむ。
それはお互いにとって最後の一撃。
「スプラウト少佐!!!!」
その攻撃は二人の男たちの全てをかけたもの。アダムが叫び向かうが間に合わない。
守りたかった。それがたとえ敵であっても。
アデルの右足と右腕がバラバラに吹き飛ぶ。
ヴィドルの腹部がジョルトランサーによって貫かれる。
それは同時に起こった。
もし、間に合っていたとしてもアダムは二人を止めることはできなかっただろう。
お互いの戦士の矜持をかけた一撃を邪魔するような真似は同じ男としてできなかった。
「いい、一撃だった」
ヴィドルは笑う。まるで子供のように。腹部にあいた大穴から命がながれだしていく。もう自分は助からないが倒れることだけはしない。
「めちゃくちゃ、しやがって……糞」
毒づきながらアデルはその場に倒れた。
「本当に戦争なんて未来にのこすもんじゃないな。俺もそうおもっていたんだ。機盾ジーロン」
水を向けられたナバルはあたりまえだろ、と返した。だがヴィドルは答えない。すでに彼は立ったまま死んでいる。
「このばかちんが! むちゃくちゃだ!」
ツボミがアデルに走り寄って怪我を検分するが死ぬほどのものではないと止血だけすると、残りの治療をニコラスに任せる。
ツボミにはまだやることがある。
チャイルドギアの子供たちのケアだ。健康状態をまずは確認しなくてはいけない。それは医学知識をもつ自分にしかできないことだ。
「おい、アーウィン。ガキのおもりは得意だろう。おまえのラーゲリのガキがいるならお前が必要になる」
「お、おう」
「あ、私も手伝います!」
サーナが手を上げるが、ニコラスが「邪魔をしちゃだめだぜ? お嬢ちゃん。馬がやってきてお嬢ちゃんをけりとばしちまうぞ?」と止める。
「え? お馬さん? どこから?」
目を白黒させるサーナにニコラスは苦笑した。
「アデルとマグノリアの手当もしないとだし、ちょっと手伝ってくれ。
あ~、ナバルとアダムも外に運ぶの手伝ってくれ。こんなホコリっぽい場所に放置はできねえからな。一旦詰め所にでも運ぶぞ。ベッドのひとつや二つはあるだろう」
「わかった!」
「了解したよ」
「僕は大丈夫……。それより、部屋になんらかの手紙とか作戦書がないか調べないと……」
むりやり起き上がって動こうとするマグノリアをニコラスは
「あとでやっとくから、とりあえずお前さんはお休みだ」
と遮った。
「そんで、きゐこ! 戦車から子供を救出してやってくれ。気絶してるだけだとおもう。そのあとなら戦車好きにいじってもいいから!」
「了解したのだわ!」
「ムサシマル!! お前さんはピーピングにいこうとするな!! お前さんもきゐこを手伝ってくれ!」
「えー、つまらんでござる~~~、こういい感じになってせっぷんとかするかもでござるよ~~」
「いやよく考えてみろ、あの二人だぞ」
「あ~、ねえなでござるな」
「捕虜の扱いに、ガキどもの世話に。そんで調査? あーーーー! 忙しすぎね? おじさんないちゃうよ!」
ニコラスの嘆きがぽっかりとあいた倉庫の屋根から見える空に吸い込まれていった。
「降下地点到着、只今より戦車倉庫を突き破る」
そう、装攻機兵』アデル・ハビッツ(CL3000496)は宣言すると、降下準備を始める。
「カウントいくのだわ~、さ~ん、に~、い~っち」
『日は陰り、されど人は歩ゆむ』猪市 きゐこ(CL3000048)がカウントダウンを始める。
「今更ではあるが空から突入するというのは些か恐ろしいものがあるね」
『白騎士』アダム・クランプトン(CL3000185)が装着したアルタイルをふりかえりながらこぼした。
「怖いですか?」
『祈りは歌にのせて』サーナ・フィレネ(CL3000681)がアダムに問いかける。
「少しだけね」
「ふふ、勇敢にみえる白騎士さんでもそんなことあるんですね。大丈夫ですよ、怖くないですよ」
少しだけママ味をもってサーナは微笑む。彼女とて背に羽をもつとはいえそれで飛行はできない。自分も怖くないかと問われれば怖いと答えるしかない。それでも、同じように誰かが怖いと思うのは少しだけ勇気になる。
「ぷぎゃー! アダム殿ヘタレでござるねーーwwwww うけるぅうぇwwwww」
アダムに対して煽りちらかすムサシマル・ハセ倉(nCL3000011)がアデルにデコピンされて「あいたっ!」っと悲鳴を上げた。
「んもう、もういい? ぜーろ! ふぁいやー! なのだわ!!!」
きゐこが少しだけ止めていたカウントを進め彼らは状況を開始する。
まさに言葉通り、青天の霹靂となり自由騎士たちは各々のスキルをぶっ放し武器倉庫の屋根を突き破った。
「なんだぁ?!」
突然の闖入者にヴィスマルクの兵士たち、敵兵は浮足立つ。
「現場の指揮は俺が執る。基本はブリーフィング通りだ。奇襲の優位を活かすぞ」
最初に着地したアデルがマシンアイをまたたかせリュンケウスの瞳とサーチエネミーを起動すると、状況を分析し始めた。
「こりゃあまた。派手なことを……
なるほどな。カドタ殿、ドクター、すぐに倉庫に向かうぞ」
周囲を警邏していたヴィドル・スプラウトは轟音とそして自由騎士の強襲に気づくと即時に部下に指示を出すと戦車倉庫に向かって駆け出す。
彼らの作戦は全員での戦車倉庫襲撃。気づかれるのは織り込み済みだ。
気づきやってくる敵兵をインターセプトで倒すという至ってシンプルな作戦である。
「おじさん使いが荒いねえ」
『キセキの果て』ニコラス・モラル(CL3000453)は初手でタンゴのステップを踏む。まずは足止め。
戦車には動きはないが2機には子供が搭乗済みであることはわかっている。
「ひゃっほぅ!!! やっぱり目標地点に直接ってのは手っ取り早くて良いわね♪」
ごきげんなきゐこが自らのルーツの力を解き放ち鬼斧の加護を仲間に行き渡らせる。
「子供たちを助ける! そして! セカイの未来のためにもチャイルドギアなんてものの存在を否定する!!」
『命の価値は等しく。されど』ナバル・ジーロン(CL3000441)は狼狽える敵兵に強固な一撃を食らわせた。
「あと10秒後にはヴィドルはこの倉庫に到着する……ね」
上空からとサーチエネミーで警戒していた『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)はデ・レ・メタリカでの弱体化を敵兵に付与しながら警告する。
全員で不意打ち攻撃をかけるものの流石に最初のターンで全滅させることができるほどに敵兵は弱くはない。
「おい、バカ医者! ぼけっとしてんな!」
アーウィン・エピ(nCL3000022)が、ツボミを守るように敵兵からの射線を遮蔽し、怒鳴った。
「わ、わかっている、状況判断をしていただけだ!」
「そうなのか? すまん!」
正直、アーウィンと同じ任務をこなすのはなんというか気まずい、のだ。
気まずいというか、あのとき言った恥ずかしい言葉の数々が脳裏をよぎり、気持ちがバラバラになりそうになる。
事実あれから今日の任務まで彼とできる限り顔を合わせないように逃げ回った。
そういう時に限ってあいつは自分を探し回るらしい。何度も番外地の面々から彼がツボミを探していたという話は聞いた。久々に会ったブリーフィングでもなにかいいたそうだったが、わざと遠くの席に座って避けたほどだ。
しかしここは戦場。せっかく有利に攻めることができる状況なのだ。気合を入れねばならん。気まずいとかそういう感情が戦闘を邪魔することがあってはならん。わかるな? 私? いいな?
自分に言い聞かせるが、彼女がそれほど器用ではないことは明らかだ。
「ツボミン。恋する……アラサーでござるな~~~~」
ほらみろ、いらんことを言うバカがいるのだ。ツボミはムサシマルに真面目にやれと睨む。
「慌てるな、戦車を起動しろ」
倉庫のドアを蹴破り、ヴィドルが到着するやいなや迅速に部下たちに指示を出した。
ダメージを受けていた敵兵たちはドクターの回復魔法が癒やす。
「カドタ殿は……ドーファンにむかってくれ」
ニンジャだろう、カドタと呼ばれた男は指示に従いドーファンに向かう。
「……?」
その怪しい動きにマグノリアが疑問符を浮かべるが、今は攻撃のほうが重要だ。
チャイルドギア小屋のドアが開き、子供をつれ兵士が現れる。
それを確認した自由騎士たちは即時に事前に決められた作戦を実行する。
救出班にアダムとサーナ、ニコラスとアーウィン、ムサシマルが向かう。
アダムがノックバックで敵兵を吹き飛ばすと、ムサシマルとサーナが子供を攻撃し昏倒させるとアーウィンが子供を抱きとめ攻撃が届かない倉庫の端に寄せる。
敵兵も態々戦闘不能の子供の止めをさすようなことはしない。目の前の驚異である自由騎士たちの対応のほうが優先順位は高い。随伴した盾兵にこの場は委託し、アーウィンは戦場に戻る。
「ギアの運搬は中止だ! タンカー、貴様らも自由騎士たちを止めろ!! 小屋に絶対に入れるな!」
ヴィドルは指示をだす。
自由騎士たちの目的は子供たちの保護なのだろう。なんともバカバカしい。これはいまやただの道具、戦車を動かすための歯車でしかないのに。
「戦車たちは自由騎士を撃て!」
その言葉にツボミとニコラスはアイコンタクトをとる。
子供たちを移動しないのであれば今足止めは必要はない。これから来る猛攻から仲間たちを守ることが重要視されるからだ。
「小屋には鍵がかけられたようです!」
サーナが叫ぶ。
「なら俺はツボミ先生とニコラスさんを守る!」
ナバルは後衛に下がると状況の柱である二人のもとに向かう。油断も安心もできないが、この戦場で子供たちが無駄に殺されるという状況はなくなった。
子供たちはもともと不殺攻撃に巻き込んで戦闘不能にする手はずだった。殺しはしないとはいえ自らの手で折れそうに細く栄養の足りていない子供たちを攻撃して怯えさせるという真似はしたくないというのは正直なところだ。
アダムはあからさまにホッとした顔を浮かべた。
いくら権能があっても下手をすれば後遺症だって残らないわけではないのだから。
「なるほど、状況は至ってシンプルになっただけということだな」
アデルはジョルトランサーをヴィドルに突きつけジャヴァウォックを起動する。
「随分な挨拶だな。装攻機兵」
「こちらとて降下作戦は命懸けなものでな。そちらも命をベットしてもらうぞ」
一連、二連、そして三連と粉砕機構はヒットするが、手応えを感じない。
防御を突き抜けるはずのこの攻撃が、前回も思ったのだが『機能していない』。まるでそれは神に守られているかのような違和感。
その違和感を今考えても答えはでないだろう。目の前の敵は油断などできない相手だ。
マグノリアはさり気なくヴィドルの背面側に移動し、鎧を腐食させるべく錬金の術を構築する。
「ああ、ニンジャにサムライ! ああ~~~そうだったのだわ! 同盟しているんだから当然っちゃ当然だけれども嫌ねえ」
うきうき気分でフォーマルハウトを連発するきゐこはため息をつく。
「敵陣ど真ん中で爆破したり、飛んで火にいる~ができるのはずるいわね! けどそういうの大好き!!」
一瞬で切り替えたきゐこはやっぱりご機嫌になる。そも、トリガーハッピーな彼女は派手好きなのだ。
総力戦になった彼らは己がスキルを行使しながら削り合いの様相をみせる。
「くそっ、ヨウセイごときが!」
すばしこくサーナは舞うように敵兵を遊撃する。
「回復は大丈夫ですか?」
「おーけい、お嬢ちゃん、おじさんがそっちはなんとかするから攻撃してくれ。どっちにしろ天井は開いてるが屋内では森の賢人は使えないからな」
「わかりました!」
サーナはリュンケウスの瞳で子供が搭乗していない戦車を見渡す。
「!!!!! みなさん! 奥のドーファンが起動しています!!!!」
戦車を見渡していた彼女だからこそ気づいたこと。
「なんでだよ! ドアは閉められているのに!」
「僕たちがみているかぎり、子供たちは移動していなかった!」
ナバルが叫び、小屋の近くで戦っていたアダムが答えた。
「あっ!!」
「あ……」
きゐことマグノリアが同時に声をあげた。
マグノリアはニンジャが怪しげな動きをしていたことを思い出す。
きゐこはニンジャのスキルに、一度だけ遠くの味方を引き寄せるものがあったと思い出したのだ。このスキルは一つの戦場で一度しか使えないのでこれ以上引き寄せられることがないのが幸いといえば幸いだろう。
「あ~~もう悔しい! やっぱりずるいのだわ!」
起動したドーファンの砲塔がきゐこを狙う。
「ちっ! アダムさん! ドクターのふたりを頼む」
「わかったよ! ナバルくん」
きゐこに近いタンカーはナバルだ。この中で最もダメージディーラーとして活躍するきゐこを落とすわけにはいかない。
ドォン…!!
轟音をあげた撃たれた主砲がナバルに炸裂する。
「くっ。子供を守るのがオレの役目だからな!」
「あとで、おぼえておくのだわ! 私は子供じゃないのだわ! でも、たすかったのだわ!」
脚がふらつくが倒れるほどではない。ナバルは盾を構え直しドーファンを見据える。
絶対に君たちは俺が救うのだと。
ドーファンの投入により状況はより激しいものになっていく。
前衛であるアデルとアダム、ナバル、サーナは一度は膝をつき、立ち上がった。
後衛攻撃手であるマグノリアときゐこも回復手であるツボミもニコラスも満身創痍だ。
「これがオレの守りたいものだ!! オレは、オレの護りたいものを護るために戦っている!
お前の、お前らの護りたいものは、本当にこの戦いの先にあるのか!?」
ナバルが立ち上がりながら叫ぶ。
子供を犠牲にする未来のもっと先に未来なんてない。
そんなの未来視なんてなくてもわかることだ。
「どうだろうな! だからといって、脚を止めれば全てが滅ぶ!!」
ヴィドルがそれに答える。ただ一人、ナバルの言葉に背中がぴくりと動いたことを、動揺の色をみせたことをマグノリアだけはきづいていた。
「ねえ、キミはほんとうは、子供を……こんなことに使うのは、嫌じゃないのかな?」
それは彼に前回告げられた言葉から類推したもの。
「ギアはギア。道具だっ!!!」
言って、ヴィドルは背後のマグノリアに攻撃を向ける。その結果対峙するアデルに隙をつかれることになってもかまわないというように。
「くっ!」
マグノリアが血しぶきをあげながら意識を手放す。
当然ながらアデルはジャヴァウォックをヴィドルに叩き込む。
「マグノリアさんっ!」
アダムが叫び彼女のもとに向かう。
「マグノリアは私にまかせろ。アダム、移動するぞ。守ってくれ」
「わかった! 僕の矜持にかけてツボミさんを守りきるよ」
エイルの右手でもって賦活するためにツボミが走り出すのをアダムが随伴する。
「……っ!
バール、まだ動くか? 動けないわけはないな! 今すぐ倉庫の壁に穴を開けろ!! 壊れても構わん!」
額から血を流したヴィドルが指示を出した。
状況は悪い。自分は完全に足止めをくらっている。目の前にはヴィスマルクでも名をとどろかせる装攻機兵に白騎士、機盾ジーロン。なんとか白騎士は剥がしたものの、分は悪い。
壁に穴をあけてバールは沈黙。ドーファンはのろまだ。不意の一撃も失敗した以上的にしかならない。オルクも機能停止まで秒読みか。こちらの兵士も3人が倒れている。潮目はもうあちら側に渡ってもどることはないだろう。
「逃がすと思うか?」
アデルが、逃さぬと言わんばかりの攻撃は激しい。わかっている、自分が逃げることはできない。この戦士はここで自分を屠るつもりだ。ならば――。
「俺はいい!! カドタ殿、スケロク殿は撤退を。我らが帝国への忠義はここまででいい。
貴様ら第3侵火槍兵団も撤退しろ! ここは俺が止める」
ヴィドルの言葉にカドタとスケロクと呼ばれたニンジャとサムライが躊躇なく撤退する。彼らが忠義を尽くすはヴィスマルクではないのだ。
「みなさん! 足止めを!」
自らもタンゴのステップで、撤退をはじめる兵士たちを足止めしようとサーナが叫び盾兵が動きだすがわずかに遅い。
「おっと、おじさんも忘れちゃこまるぜ!」
精霊によびかけながらニコラスも足止めに務める。
「?! まずいのだわ!!」
数秒先の未来が現在に重なって見える。大きな爆発音。子供たちの悲鳴。
きゐこはおぞましき気配をまっすぐにヴィドルに向ける。奇々怪々。それはオニヒトだけがもつ異形の力。
「ぐっ!」
ヴィドルの動きが止まる。ぽろり、となんらかのスイッチが手から転がり落ちた。
サーナはステップを止め、思いっきりそのスイッチを蹴り飛ばす。
おそらくそれはチャイルドギア小屋の起爆スイッチだろう。ころがってきたスイッチをツボミはさっと拾うと衣服の胸元にしまいこんでニヤリと笑う。
「降伏しろ。
殺しはしない。お前も、部下も、子供たちも。
みんな、この世界の未来で生きていく命だ」
静かな声でナバルが宣言すれば、足止めをくらった生き残りの兵士が武器を下ろす。数の有利は敵側。
隊長も満身創痍。倒れていないのが不思議なほどだ。
「構わん、従え。イ・ラプセルがお前らを悪いようにはしないはずだ。そうだな? 白騎士」
「ああ、そのとおりだよ」
ヴィドルの問いにはっきりとアダムが答えた。
「感謝する。 なら、俺はここで安心して果てることができるってもんだ!!! なあ!! 装攻機兵!!!!」
「ああ!! 今度こそお前を此処で討ち取る――これで終わりだ!」
ヴィドルは叫び炎獄撃をアデルに、アデルは虎の子であったジョルト・アサルト・フルロードをヴィドルに撃ちこむ。
それはお互いにとって最後の一撃。
「スプラウト少佐!!!!」
その攻撃は二人の男たちの全てをかけたもの。アダムが叫び向かうが間に合わない。
守りたかった。それがたとえ敵であっても。
アデルの右足と右腕がバラバラに吹き飛ぶ。
ヴィドルの腹部がジョルトランサーによって貫かれる。
それは同時に起こった。
もし、間に合っていたとしてもアダムは二人を止めることはできなかっただろう。
お互いの戦士の矜持をかけた一撃を邪魔するような真似は同じ男としてできなかった。
「いい、一撃だった」
ヴィドルは笑う。まるで子供のように。腹部にあいた大穴から命がながれだしていく。もう自分は助からないが倒れることだけはしない。
「めちゃくちゃ、しやがって……糞」
毒づきながらアデルはその場に倒れた。
「本当に戦争なんて未来にのこすもんじゃないな。俺もそうおもっていたんだ。機盾ジーロン」
水を向けられたナバルはあたりまえだろ、と返した。だがヴィドルは答えない。すでに彼は立ったまま死んでいる。
「このばかちんが! むちゃくちゃだ!」
ツボミがアデルに走り寄って怪我を検分するが死ぬほどのものではないと止血だけすると、残りの治療をニコラスに任せる。
ツボミにはまだやることがある。
チャイルドギアの子供たちのケアだ。健康状態をまずは確認しなくてはいけない。それは医学知識をもつ自分にしかできないことだ。
「おい、アーウィン。ガキのおもりは得意だろう。おまえのラーゲリのガキがいるならお前が必要になる」
「お、おう」
「あ、私も手伝います!」
サーナが手を上げるが、ニコラスが「邪魔をしちゃだめだぜ? お嬢ちゃん。馬がやってきてお嬢ちゃんをけりとばしちまうぞ?」と止める。
「え? お馬さん? どこから?」
目を白黒させるサーナにニコラスは苦笑した。
「アデルとマグノリアの手当もしないとだし、ちょっと手伝ってくれ。
あ~、ナバルとアダムも外に運ぶの手伝ってくれ。こんなホコリっぽい場所に放置はできねえからな。一旦詰め所にでも運ぶぞ。ベッドのひとつや二つはあるだろう」
「わかった!」
「了解したよ」
「僕は大丈夫……。それより、部屋になんらかの手紙とか作戦書がないか調べないと……」
むりやり起き上がって動こうとするマグノリアをニコラスは
「あとでやっとくから、とりあえずお前さんはお休みだ」
と遮った。
「そんで、きゐこ! 戦車から子供を救出してやってくれ。気絶してるだけだとおもう。そのあとなら戦車好きにいじってもいいから!」
「了解したのだわ!」
「ムサシマル!! お前さんはピーピングにいこうとするな!! お前さんもきゐこを手伝ってくれ!」
「えー、つまらんでござる~~~、こういい感じになってせっぷんとかするかもでござるよ~~」
「いやよく考えてみろ、あの二人だぞ」
「あ~、ねえなでござるな」
「捕虜の扱いに、ガキどもの世話に。そんで調査? あーーーー! 忙しすぎね? おじさんないちゃうよ!」
ニコラスの嘆きがぽっかりとあいた倉庫の屋根から見える空に吸い込まれていった。
†シナリオ結果†
大成功
†詳細†
称号付与
†あとがき†
文字数ギリギリでした。
少々突飛な方法でしたが、狙いはすぐに分かるので対策はとられた形です。
子供狙ってる>時期をみて爆破してやるから閉じ込めた。だったんですが
見事星影の美少女が止めてくれました。なんだよオニヒトあのスキル!!
ダメージディーラーにバッファーに静止と大活躍だったので美少女MVPです。
もちろん他の皆様の攻撃もあっての撃破となります。
逃げられた敵はアマノホカリの二人だけでしたので、破壊度は20%でとどまっています。
キャバリエの二人の思いもありまして、ヴィドル以外は捕虜になりました。
あまり高い地位はないので得られる情報はたいしたことがありません。
というわけで条件全部突破で大成功ですので軍事と生産に600しときますね。
ぶっ壊さなかったので戦車はそのまま拿捕でいいです。
使ってもいいです。えへへ。チャイルドギアもいっぱいスペアありますよ!
アデルさんは相打ちで手足木っ端微塵です。
運営にといあわせてもらえればキジンの深度高めることはできますし
なんとか戻ったということであればそのままでも構いません。
以上がリザルトになります。
ご参加ありがとうございました。
少々突飛な方法でしたが、狙いはすぐに分かるので対策はとられた形です。
子供狙ってる>時期をみて爆破してやるから閉じ込めた。だったんですが
見事星影の美少女が止めてくれました。なんだよオニヒトあのスキル!!
ダメージディーラーにバッファーに静止と大活躍だったので美少女MVPです。
もちろん他の皆様の攻撃もあっての撃破となります。
逃げられた敵はアマノホカリの二人だけでしたので、破壊度は20%でとどまっています。
キャバリエの二人の思いもありまして、ヴィドル以外は捕虜になりました。
あまり高い地位はないので得られる情報はたいしたことがありません。
というわけで条件全部突破で大成功ですので軍事と生産に600しときますね。
ぶっ壊さなかったので戦車はそのまま拿捕でいいです。
使ってもいいです。えへへ。チャイルドギアもいっぱいスペアありますよ!
アデルさんは相打ちで手足木っ端微塵です。
運営にといあわせてもらえればキジンの深度高めることはできますし
なんとか戻ったということであればそのままでも構いません。
以上がリザルトになります。
ご参加ありがとうございました。
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