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Xenoforce! 大陸弾道砲を止めろ!

●
自由騎士がヴェスドラゴン内で調べる事は多い。地理条件、相手の兵力、軍備、兵站……だが、重要性の高さでいえば最上のものが二つあった。
一つは女神モリグナ。これに関しては王城から動かないというのは確実のようだ。水鏡による確証もあるため、情報精度は高い。
そしてもう一つは、ヴィスマルクのデウスギア『大陸弾道砲』。デウスギアは神により形状が異なり、大陸弾道砲に関しては間違いなく巨大な砲であることが分かっている。20年近くかけてあらゆる『滅び』を詰め込まれた弾丸。回避も防御も意味を成さない存在そのものに滅びの未来を味合わせて消滅させる未来収縮型概念兵器。
これに対抗できたのは、シャンバラのアルス=マグナのみ。『生命』を糧として打ち出すが故に正反対の滅びに何らかの作用を施したのだろう、というのは根拠のない推測。ともあれ、撃たれれば滅びる。現状において最重要視するに値する存在だ。
幸いにして、大陸弾道砲の場所はすぐに知れる。ヴェスドラゴン外れにあるクラーゲン基地。町の区画三つ分を使った軍事基地だ。巨大な砲と弾丸を生み出す施設。忍び込んだものは生きては帰れず、その家族も次の日から謎の消失を遂げたという。
ヴェスドラゴン潜入時から入念に情報を入手し、綿密な計画を立てて自由騎士達はそこに迫ろうとする。そして、その隙は訪れた。最もうれしくない形で。
『大陸弾道法の次の目標は、イ・ラプセルだ!』
『アクアディーネの神殿に落とし、イ・ラプセル国王もろとも国民を滅ぼす!』
『女神は死なぬだろうが、滅びの苦しみは味わうだろう。そして国民も同じ苦しみを味わっていると思えば、もはや抵抗の気力も尽きるだろうよ!』
神は神殺しの力以外では死なない。だがあらゆる滅びを内包した大陸弾道弾は確実に滅びの未来を神に与える。死なず、しかし滅びの未来を味わい続ける。それこそがふさわしいとヴィスマルク軍が喧伝する。
大陸弾道砲、発射三十分前――発射の衝撃に巻き込まれないようにヴィスマルク軍は退去する。皮肉にも、この時に自由騎士がデウスギアに迫るチャンスが生まれた。
だが――
●
「このタイミングでくるという事は、自由騎士で間違いないな」
自由騎士の前に、ヴィスマルク軍が立ちふさがる。バートランド・フォートシャフト。第100歩兵大隊と呼ばれる国外からの移民によって構成された、非ヴィスマルク人部隊を指揮する少佐だ。まるで自由騎士が来るのを待ち構えていたかのような、そんな布陣。
「俺がヴェスドラゴンに潜入するなら、戦車部隊を駆逐した後の強行軍を行う。
その後ガスや火災を使ってのテロぐらいはするかと思ったが、どうやらただ潜入しただけのようだな」
大陸弾道砲発射が近づくにつれて、排熱による熱風が酷くなり不快なガスが広がっていく。それに対する防護をしているのか、フォートシャフト達第100歩兵大隊は微動だにしない。
「成程、大陸弾道砲の噂を流したのは自由騎士を誘い出すためか」
「女神を殺すと言えば甘い貴様らは無理をしてでも攻めると踏んだ。戯言だと会議室の将校は笑ったがな」
自由騎士の問いかけにフォートシャフトは静かに答える。それは取りも直さず自由騎士の潜入はまだ軍内には伝わっていない事だ。この男と第100歩兵部隊を倒せば、情報漏洩は防げる。
何よりも、大陸弾道砲の発射はウソではない。ここで止めることが出来なければ、イ・ラプセルに滅びが訪れるだろう。
「一応聞いてやる。自由騎士の潜伏先を教えるなら、命は助けてやる。どうだ?」
問いかけるフォートシャフト。彼自身、自由騎士がそれに応じるとは思っていない。
死と熱気が渦巻く中、デウスギアをかけた戦いが始まろうとしていた。
自由騎士がヴェスドラゴン内で調べる事は多い。地理条件、相手の兵力、軍備、兵站……だが、重要性の高さでいえば最上のものが二つあった。
一つは女神モリグナ。これに関しては王城から動かないというのは確実のようだ。水鏡による確証もあるため、情報精度は高い。
そしてもう一つは、ヴィスマルクのデウスギア『大陸弾道砲』。デウスギアは神により形状が異なり、大陸弾道砲に関しては間違いなく巨大な砲であることが分かっている。20年近くかけてあらゆる『滅び』を詰め込まれた弾丸。回避も防御も意味を成さない存在そのものに滅びの未来を味合わせて消滅させる未来収縮型概念兵器。
これに対抗できたのは、シャンバラのアルス=マグナのみ。『生命』を糧として打ち出すが故に正反対の滅びに何らかの作用を施したのだろう、というのは根拠のない推測。ともあれ、撃たれれば滅びる。現状において最重要視するに値する存在だ。
幸いにして、大陸弾道砲の場所はすぐに知れる。ヴェスドラゴン外れにあるクラーゲン基地。町の区画三つ分を使った軍事基地だ。巨大な砲と弾丸を生み出す施設。忍び込んだものは生きては帰れず、その家族も次の日から謎の消失を遂げたという。
ヴェスドラゴン潜入時から入念に情報を入手し、綿密な計画を立てて自由騎士達はそこに迫ろうとする。そして、その隙は訪れた。最もうれしくない形で。
『大陸弾道法の次の目標は、イ・ラプセルだ!』
『アクアディーネの神殿に落とし、イ・ラプセル国王もろとも国民を滅ぼす!』
『女神は死なぬだろうが、滅びの苦しみは味わうだろう。そして国民も同じ苦しみを味わっていると思えば、もはや抵抗の気力も尽きるだろうよ!』
神は神殺しの力以外では死なない。だがあらゆる滅びを内包した大陸弾道弾は確実に滅びの未来を神に与える。死なず、しかし滅びの未来を味わい続ける。それこそがふさわしいとヴィスマルク軍が喧伝する。
大陸弾道砲、発射三十分前――発射の衝撃に巻き込まれないようにヴィスマルク軍は退去する。皮肉にも、この時に自由騎士がデウスギアに迫るチャンスが生まれた。
だが――
●
「このタイミングでくるという事は、自由騎士で間違いないな」
自由騎士の前に、ヴィスマルク軍が立ちふさがる。バートランド・フォートシャフト。第100歩兵大隊と呼ばれる国外からの移民によって構成された、非ヴィスマルク人部隊を指揮する少佐だ。まるで自由騎士が来るのを待ち構えていたかのような、そんな布陣。
「俺がヴェスドラゴンに潜入するなら、戦車部隊を駆逐した後の強行軍を行う。
その後ガスや火災を使ってのテロぐらいはするかと思ったが、どうやらただ潜入しただけのようだな」
大陸弾道砲発射が近づくにつれて、排熱による熱風が酷くなり不快なガスが広がっていく。それに対する防護をしているのか、フォートシャフト達第100歩兵大隊は微動だにしない。
「成程、大陸弾道砲の噂を流したのは自由騎士を誘い出すためか」
「女神を殺すと言えば甘い貴様らは無理をしてでも攻めると踏んだ。戯言だと会議室の将校は笑ったがな」
自由騎士の問いかけにフォートシャフトは静かに答える。それは取りも直さず自由騎士の潜入はまだ軍内には伝わっていない事だ。この男と第100歩兵部隊を倒せば、情報漏洩は防げる。
何よりも、大陸弾道砲の発射はウソではない。ここで止めることが出来なければ、イ・ラプセルに滅びが訪れるだろう。
「一応聞いてやる。自由騎士の潜伏先を教えるなら、命は助けてやる。どうだ?」
問いかけるフォートシャフト。彼自身、自由騎士がそれに応じるとは思っていない。
死と熱気が渦巻く中、デウスギアをかけた戦いが始まろうとしていた。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.二五ターン以内に敵を全滅させる
どくどくです。
破壊工作をする立場だから、破壊工作員がどうやって潜入するかとか想像しやすいのです。
本シナリオはアデル・ハビッツ(CL3000496)の関係者であるバートランド・フォートシャフトを使用させていただきました。
該当者に参加を強制するものではありませんし、優先参加権もありません。ご了承ください。
★第100歩兵大隊
ヴィスマルク軍人。国外からの移民によって構成された、非ヴィスマルク人部隊です。種族も様々。ゲリラ戦に優れ、真正面からの戦いではなく奇襲や不意打ち等で優位に作戦を進めるのが基本です。
なので、実は防衛戦は本意ではありませんでした。外国人部隊と言う立場の低さが災いしています。それでも油断していい戦力と状況ではないのは事実です。
全員【火無】【呪耐】を持っています。
一部ネームドキャラは拙作『【鉄血侵攻】Ashes to Ashes! 非情の作戦!』に出ています。見ずとも問題ありません。ヴィスマルクの部隊であることが分かれば充分です。
・バートランド・フォートシャフト(×1)
キジン(オールモスト)。蒸気騎士スタイル。45歳男性。ヴィスマルク軍人です。階級は少佐。傭兵から将校になった指揮官で、個人戦闘力も高いです。
『バンダースナッチ Lv5』『バレッジファイヤ Lv4』『クイーンオブハート Lv3』『柳凪 Lv4』『カームムーブ(EX)』等を活性化しています。
『カームムーブ(EX)』:いかなる状況でも惑わぬ冷静な動き。【精無】【行動不能耐性】
・アンナ・ヴィンプフェリング(×1)
マザリモノ(キマイラ)。15歳女性。非ヴィスマルク人。格闘スタイル。クローを使い、野生的に攻めてきます。親を知らず、歩兵大隊の中で育ってきました。『家族』のために戦います。
『獅子吼 Lv5』『バーサーク Lv4』『影狼 Lv4』等を活性化しています。
・セイジュウロウ・矢ノ(×1)
オニビト。120歳男性。非ヴィスマルク人。呪術師。笛を吹きながら、魔力を解き放っています。死を多く見続けたい為に、傭兵部隊に居続けます。
『ネクロフィリア』『コーリングコネクト Lv5』『ソウルテイカー Lv4』『スペルカット Lv3』等を活性化しています。
・モンタギュー・アルフォード(×1)
ノウブル。30才男性。非ヴィスマルク人。防御タンク。元シャンバラの聖堂騎士。国破れて流れ流れてこの部隊で戦っています。未だにミトラースを信望しているため、ヴィスマルク軍には入れなかったとか。
『ダブルカバーリング』『インデュア Lv4』『シールドバッシュ Lv5』等を活性化しています。
・ヴァルブルク・ブラント(×1)
キジン(ハーフ)。40歳女性。非ヴィスマルク人。蒸気騎士。元ヘルメリアの歯車騎士。戦争から離れられない自分に気付き、傭兵として入隊しました。平和な世界を恐れるように剣を振るいます。
『ヴォーパルソード Lv5』『バーサーク Lv4』『ウォーモンガー Lv4』等を活性化しています。
・アリーナ・ケレン(×1)
ヨウセイ。20歳女性。非ヴィスマルク人。レンジャースタイル。シャンバラ戦でヴィスマルクに併合された地区に住んでいました。魔力の矢を放ってきます。歩兵大隊に救ってもらった恩を返すために戦います。
『アウトレンジホーミング Lv4』『ホークアイ Lv5』『ブリッツクリーク Lv4』等を活性化しています。
・ドニ・リュノー(×1)
ソラビト。30歳男性。非ヴィスマルク人。四〇人殺しのヘルメリア死刑囚。ヘルメリア首都ロンディアナが大変なことになった際に、どさくさ紛れに亡命しました。ナイフで敵を切り刻む度に粘着質な笑顔を浮かべます。
『バトリングラム Lv4』『ラピッドジーン Lv5』『ブレイクゲイト Lv4』等を活性化しています。
●フィールド効果
・排熱の風
大陸弾道砲の排熱が戦場に吹き荒れます。ターン開始時に戦場に居るキャラ全員に【ダメージ0】【バーン3】の効果を持つ攻撃が発生します。
・滅びの呪い
あらゆる滅び、あらゆる死を内包した兵器に渦巻く怨嗟の声。
戦闘不能から復活したキャラに【ダメージ0】【カース3】の効果を持つ攻撃が発生します。
●大陸弾道砲
ヴィスマルクのデウスギア。塔を思わせる黒鉄の大砲です。
第100歩兵大隊を倒して誰かが持っている発射制御室の鍵を手に入れれば、砲の発射を止めることが出来ます。止めずにどこかに撃つこともできますが、確実に最悪の滅びがまき散らされるでしょう。弾丸が放たれた場合、STはプレイング内容に従い粛々と判定を行います。
二十五ターン目の終了に、弾丸が発射されます。そうなれば、依頼失敗です。
●場所情報
ヴィスマルク首都、ヴェスドラゴン。その外れにあるクラーゲン基地。大陸弾道砲の近く。広さや足場は戦闘に支障なし。
戦闘開始時、敵前衛に『アンナ』『モンタギュー』『ヴァルブルク』『ドニ』が、敵後衛に『バートランド』『セイジュウロウ』『アリーナ』がいます。
事前付与は不可とします。相手は待ち構えていたので、一度だけ事前付与をしています。
皆様のプレイングをお待ちしています。
破壊工作をする立場だから、破壊工作員がどうやって潜入するかとか想像しやすいのです。
本シナリオはアデル・ハビッツ(CL3000496)の関係者であるバートランド・フォートシャフトを使用させていただきました。
該当者に参加を強制するものではありませんし、優先参加権もありません。ご了承ください。
★第100歩兵大隊
ヴィスマルク軍人。国外からの移民によって構成された、非ヴィスマルク人部隊です。種族も様々。ゲリラ戦に優れ、真正面からの戦いではなく奇襲や不意打ち等で優位に作戦を進めるのが基本です。
なので、実は防衛戦は本意ではありませんでした。外国人部隊と言う立場の低さが災いしています。それでも油断していい戦力と状況ではないのは事実です。
全員【火無】【呪耐】を持っています。
一部ネームドキャラは拙作『【鉄血侵攻】Ashes to Ashes! 非情の作戦!』に出ています。見ずとも問題ありません。ヴィスマルクの部隊であることが分かれば充分です。
・バートランド・フォートシャフト(×1)
キジン(オールモスト)。蒸気騎士スタイル。45歳男性。ヴィスマルク軍人です。階級は少佐。傭兵から将校になった指揮官で、個人戦闘力も高いです。
『バンダースナッチ Lv5』『バレッジファイヤ Lv4』『クイーンオブハート Lv3』『柳凪 Lv4』『カームムーブ(EX)』等を活性化しています。
『カームムーブ(EX)』:いかなる状況でも惑わぬ冷静な動き。【精無】【行動不能耐性】
・アンナ・ヴィンプフェリング(×1)
マザリモノ(キマイラ)。15歳女性。非ヴィスマルク人。格闘スタイル。クローを使い、野生的に攻めてきます。親を知らず、歩兵大隊の中で育ってきました。『家族』のために戦います。
『獅子吼 Lv5』『バーサーク Lv4』『影狼 Lv4』等を活性化しています。
・セイジュウロウ・矢ノ(×1)
オニビト。120歳男性。非ヴィスマルク人。呪術師。笛を吹きながら、魔力を解き放っています。死を多く見続けたい為に、傭兵部隊に居続けます。
『ネクロフィリア』『コーリングコネクト Lv5』『ソウルテイカー Lv4』『スペルカット Lv3』等を活性化しています。
・モンタギュー・アルフォード(×1)
ノウブル。30才男性。非ヴィスマルク人。防御タンク。元シャンバラの聖堂騎士。国破れて流れ流れてこの部隊で戦っています。未だにミトラースを信望しているため、ヴィスマルク軍には入れなかったとか。
『ダブルカバーリング』『インデュア Lv4』『シールドバッシュ Lv5』等を活性化しています。
・ヴァルブルク・ブラント(×1)
キジン(ハーフ)。40歳女性。非ヴィスマルク人。蒸気騎士。元ヘルメリアの歯車騎士。戦争から離れられない自分に気付き、傭兵として入隊しました。平和な世界を恐れるように剣を振るいます。
『ヴォーパルソード Lv5』『バーサーク Lv4』『ウォーモンガー Lv4』等を活性化しています。
・アリーナ・ケレン(×1)
ヨウセイ。20歳女性。非ヴィスマルク人。レンジャースタイル。シャンバラ戦でヴィスマルクに併合された地区に住んでいました。魔力の矢を放ってきます。歩兵大隊に救ってもらった恩を返すために戦います。
『アウトレンジホーミング Lv4』『ホークアイ Lv5』『ブリッツクリーク Lv4』等を活性化しています。
・ドニ・リュノー(×1)
ソラビト。30歳男性。非ヴィスマルク人。四〇人殺しのヘルメリア死刑囚。ヘルメリア首都ロンディアナが大変なことになった際に、どさくさ紛れに亡命しました。ナイフで敵を切り刻む度に粘着質な笑顔を浮かべます。
『バトリングラム Lv4』『ラピッドジーン Lv5』『ブレイクゲイト Lv4』等を活性化しています。
●フィールド効果
・排熱の風
大陸弾道砲の排熱が戦場に吹き荒れます。ターン開始時に戦場に居るキャラ全員に【ダメージ0】【バーン3】の効果を持つ攻撃が発生します。
・滅びの呪い
あらゆる滅び、あらゆる死を内包した兵器に渦巻く怨嗟の声。
戦闘不能から復活したキャラに【ダメージ0】【カース3】の効果を持つ攻撃が発生します。
●大陸弾道砲
ヴィスマルクのデウスギア。塔を思わせる黒鉄の大砲です。
第100歩兵大隊を倒して誰かが持っている発射制御室の鍵を手に入れれば、砲の発射を止めることが出来ます。止めずにどこかに撃つこともできますが、確実に最悪の滅びがまき散らされるでしょう。弾丸が放たれた場合、STはプレイング内容に従い粛々と判定を行います。
二十五ターン目の終了に、弾丸が発射されます。そうなれば、依頼失敗です。
●場所情報
ヴィスマルク首都、ヴェスドラゴン。その外れにあるクラーゲン基地。大陸弾道砲の近く。広さや足場は戦闘に支障なし。
戦闘開始時、敵前衛に『アンナ』『モンタギュー』『ヴァルブルク』『ドニ』が、敵後衛に『バートランド』『セイジュウロウ』『アリーナ』がいます。
事前付与は不可とします。相手は待ち構えていたので、一度だけ事前付与をしています。
皆様のプレイングをお待ちしています。
状態
完了
完了
報酬マテリア
6個
6個
6個
6個




参加費
150LP [予約時+50LP]
150LP [予約時+50LP]
相談日数
6日
6日
参加人数
9/10
9/10
公開日
2021年06月28日
2021年06月28日
†メイン参加者 9人†

●
『大陸弾道砲、発射準備開始。全職員に退避命令発令』
「我々の事を良くお分かりで」
誘い出された、という事実を受けて『天を征する盾』デボラ・ディートヘルム(CL3000511)は言葉を返した。祖国の人間を守るためなら、無茶をする。その性質はこれまでのヴィスマルクとの戦いで読まれていたのだろう。だからと言って、それを変えるつもりはないが。
「ここが正念場か。イ・ラプセル本国は撃たせねえよ」
銃を手にして『永遠の絆』ザルク・ミステル(CL3000067)は決意を口にする。イ・ラプセルには様々な人がいて、そこで紡いだ思い出がある。それを惨劇に変えることなどできようものか。この一戦が、イ・ラプセルの未来を決めると言っても過言ではない。
「……大丈夫。厳しいのはいつもの事だ」
大きく息を吸い、そして吐き出す。『機盾ジーロン』ナバル・ジーロン(CL3000441)の心は、それだけで落ち着いた。目の前に強敵、状況は劣悪。おまけに時間制限もあると来た。それでも信じあえる仲間がいる。そうだ、こんなのはいつもの事。今回も乗り越えてみせる。
「意地でも阻止させて頂きます……。イ・ラプセルの美味しい水が無くなるのは悲しいですからね」
『全ての人を救うために』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)はそう言って武器を構える。美味しい料理は美味しい水から。その為にもイ・ラプセルを汚すことは許されない。絶望を希望に変える為に戦意をむける。
「潜伏先を教えれば命は助ける? 『殺す順番を後回しにする』だけの話ではないかな?」
フォートシャフトの問いかけにそう答える『智の実践者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)。本当に見逃すとしても、そんな誘いに乗る自由騎士はこの場にはいない。それぞれの大事なモノの為にここまで来た同士なのだから。
「奇しくもシャンバラと同じ状況ですね」
肩の力を抜くように息を吐く『SALVATORIUS』ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)。いや、こうなることは解っていた、同じ射出型の兵器だから撃たれる前に押さえるしかないのは当然だ。違いがあるとすれば、相手の戦う理由か。
「うん。アクアディーネを悲しませることはさせないよ」
渦巻く熱気の中『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)は呟いた。戦いを望まない性格なのに、滅びの運命を見てしまったがために戦う事を選んだ女神。今もなお心を苛む彼女を護るために、ここで大陸弾道砲を撃たせるわけにはいかない。
「しかしまあ、アクの強い奴らばかりだな。っと、それはお互い様か」
第100歩兵大隊のメンバーを見て、『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)は肩をすくめた。正規のヴィスマルク軍人は隊長のフォートシャフト一人。外国人亜人ごちゃまぜの混合部隊だ。そこまで言ってから自由騎士も同じようなものかと頷いた。
「フォートシャフト、ここでお前を倒す」
『装攻機兵』アデル・ハビッツ(CL3000496)はそう告げる。かつて自分を裏切った上司。先の戦いでのやり取り。兵士を駒として扱い、効率のみを重視する戦術。それら全てに対する感情をのせ、それでも怒りを抑えた声で告げる。
「――行け」
短く告げるフォートシャフトの言葉。それに従い動き出す第100歩兵大隊のメンバー達。
大陸弾道砲発射をめぐる戦いの火ぶたは、今切って落とされた。
●
『第三安全装置解除。全排熱口開放』
『砲頭をイ・ラプセルに。射出角度再調整完了』
「奇策も小細工も不要です。シスターらしく真正面からブチ抜いて差し上げます!」
最初に動いたのはアンジェリカだ。言って真正面から敵に攻撃を仕掛ける。シスターとは一体、という疑問を口にする間を与えぬほどの鋭い踏み込み。鍛えられた肉体と揺れぬ精神。それを示すかのような動き。
防御は考えない。守りも癒しもすべて味方に任せ、アンジェリカはただ真っ直ぐに武器を振るう。狙う相手はヘルメリアの蒸気騎士。激しく交差する互いの武器。そのまま力を込めてつば競り合いを押し切り、攻撃を加える。
「戦いを終わらせるために、ここで死んでもらいます」
「それは困る。戦いが無ければ、どうしていいかわからない」
「どっぷり戦い続けた結果か。ヘルメリアの闇だな」
元ヘルメリア蒸気騎士の言葉を受けてザルクが苦々しくため息をついた。イ・ラプセルが終わらせるまでは外敵内敵と戦いに明け暮れた蒸気国家。神のヘルメスの性格故の平和とは程遠い国。そこで真面目に生きればこうなる。ザルクも一歩間違えれば――
いや、と首を振るザルク。ああはならないと強く否定し銀製の指輪を軽くなでる。そのまま二挺拳銃を構えて引き金を引いた。右手で三回、左手で二回。放たれた弾丸は狙い通りにブラントに叩き込まれ、その動きを封じていく。
「悪いが戦いは終わらせてもらう。戦争はイ・ラプセルが終わらせる!」
「戦争は終わらない。戦争の火種は何処にでもある。イ・ラプセルも亜人平等を謳っているけど、亜人奴隷に賛成する人間との軋轢はあるはず」
「否定はしない。だがその軋轢を解決する者もいる」
熱にうなされたように言葉を吐き続けるブラントに、テオドールが告げる。パノプティコンのような統治をしない限り、様々な意見や思想の元に派閥が出来るのは避けられない。だから違った意見を持つ者同士話し合い、戦いを回避するのが大事なのだ。
仲間全員に精霊の加護を与えた後に、孤独と病の精霊を呼び出すテオドール。第100歩兵大隊の防御の要である元聖堂騎士の動きに注視しながら精霊を解き放つ。相手の動きを鈍らせ、同時に技を封じていく病を振りまく。
「大陸弾道砲、止めさせてもらおう」
「そうはさせん。奇しくもミトラース様の仇を討てるかもしれない機会だ」
「今更ミトラースて。私の見てる前で無様におっ死んだぞあのカミサマなら」
テオドールの言葉に反応したアルフォードの言葉に、挑発するように告げるツボミ。一瞬強い殺気を受けたが、それでも何も言わずに盾を構えなおす元聖堂騎士に、流石に簡単には動かんかとツボミは肩をすくめた。
敵歩兵大隊長の動きを注視しながら仲間の傷を回復させていくツボミ。待機に循環するマナと自分の体内のマナを組み合わせ、癒しの力に転化する。医療の知識で仲間の傷具合を確認し、最良と思われる方法で仲間を癒していく。
「しかしこんな場所で来るかどうかわからなかった者を相手に護衛任務とか。本当に使い捨てだな、お前ら」
「お互いさま。貴方達だって楽に終わる仕事だなんて思ってないんでしょ?」
「楽に勝てるとは思ってないけど、使い捨てのつもりはない!」
キマイラのマザリモノの言葉に反応するように叫ぶナバル。自分達は望んでここに来た。厳しい任務だと聞いてはいたが、それでも生きて帰るつもりで志願したし仲間も使い捨てるつもりだとは思っていない。生きて帰る。その為に戦うのだ。
敵の動きを見ながら、どう動くかをイメージする。どこに立ち、どの角度で盾を構え、度の攻撃をどう受け流すか。イメージは一瞬。行動はイメージと同時に。刹那の遅れが致命的になる。庇う事で代わりに受けるダメージに耐えながら、必死にナバルは思考する。
「アンタらの境遇には同情するけど、オレ達は負けるつもりも死ぬつもりもない!」
「精神論で弾丸は防げませんよ。そう言って死んでいった人を私は何人も見ています」
「そうだね。でも、その精神が力になるところも僕は見てきたんだ」
笛を持つ呪術師の言葉を否定するように、マグノリアが告げる。想いで刃は止まらない。だけど想いの強さが奇跡を起こすことを知っている。錬金術は理論と実践の学問だ。見てきた事を否定することなんか、出来やしない。
積み重ねた経験。積み重ねた実験。それが錬金術の強さの根底。聖遺物を両手に握り、呼吸を整えて魔力を循環させる。世界と自分をリンクさせ、この世界に薬品を落とすイメージをする。紅い液体が跳ねた瞬間に『劣化』の概念が津波のように敵に襲い掛かる。
「勝たせてもらうよ。邪魔するなら、消すから」
「あははは。けすんだぁ、こわいなぁ。じゃあはんげきしないとなあ」
「始めから殺すつもりなのは見え見えですよ。殺意を隠す気はないようですね」
死刑囚のソラビトの言葉にはっきり言い放つデボラ。こちらが殺すから仕方なく殺す、なんて主張を通すつもりはない。相手は殺人鬼。人を殺すことに快楽を覚えた人間だ。その殺意は真っ直ぐにこちらの急所を狙っている。
鋭い殺意を受けながら、デボラは盾を構える。後衛から攻撃を加える仲間の盾となり、第100歩兵大隊の攻撃を受け止める。多くの戦場を潜り抜けた傭兵部隊の攻撃。しかし幾多の戦いを勝ち抜いてきたのはこちらも同じ。デボラは歯を食いしばり、攻撃を受け止める。
「皆様の勝利を信じて、皆様の盾になる事こそ私の役目です!」
「それはこっちも同じよ! あたしの弓を甘く見ないで!」
「相手の戦意に過不足なし、ですね」
歩兵大隊に救ってもらったケレンの言葉。それを聞いてミルトスが頷く。戦う理由は様々だ。要はそこにどれだけ心血を注げるか。正しいかどうかなど、どうでもいい。悪でもそこに揺れない思いがあるなら、尊敬に値する。
もちろん、だからと言って負けていいなんて思わない。敵が密集した区域に近づき、体をひねりながら跳躍する。そのまま体全体で遠心力を付けて足を振るい、周囲の敵を蹴り飛ばしていく。そして着地の後に拳を構え、踏み込みと同時に連撃を加える。
「滅びの運命に抗わせてもらいますよ。諦めが悪いんです」
「その心も祖国が消えれば折れる。護るべきものを切り捨てれない貴様らの弱さだ」
「否定はしない。だからこそ守る」
フォートシャフトの言葉に、冷静さを失わないように意識しながら答えるアデル。相手の弱点を攻める。それは戦いの基本だ。自由騎士の戦う理由であるアクアディーネやイ・ラプセル。それは確かに弱点と言えるだろう。
だがアデルを含めた自由騎士達は、それを切り捨てていいとは思わない。護るものがあるから戦えるのだ。手にした槍を振るい、敵の前衛を一気に薙ぎ払う。国を護る為に戦う。その為の覚悟が乗った一撃だ。
「この戦いだけは、絶対に負けられない」
「戦うなら勝つ。事前に準備を怠らず、如何なる手段を使ってでも相手の戦力と戦意を削ぎ、負けの可能性を確実に潰して挑む。
それが貴様と俺の差だ。俺は勝つ。負けられない、などと決意するのは戦う前に終わらせている」
交差する意思。負けられない為に戦う者と、負けない為に戦う者。僅かに、そして決定的に異なる戦う意志。
「まだまだだ!」
「ちっ、やってくれる!」
「すみません、少し抜かれました!」
第100歩兵大隊の攻撃は、後衛を守るナバルとデボラ。そしてデボラが麻痺で動けなくなった隙を縫うように放たれた攻撃により、ザルクのフラグメンツを削り取る。
「倒れるわけにはいかない」
「ええ、全ての絶望を希望に変えるのです!」
アデルとアンジェリカも攻撃を受けてフラグメンツを燃やす。大陸弾道砲からの熱気で体力を奪われ、疲弊したところを攻撃されたのだ。
勝負の天秤はまだどちらに傾くかわからない。それは皆が理解している事。勝利をもぎ取るために、互いの武器を振るう。
大陸弾道砲発射へのカウントダウンは、少しずつ進んでいく。
●
『仰角固定。アンカー固定確認』
『第二安全装置解除。対呪力用防壁消滅』
第100歩兵大隊は外国人部隊だ。亜人や国外の人間を集め、部隊としている。
それはイ・ラプセルの自由騎士と似ているようで、まるで逆の思想だった。自由騎士は亜人平等のシンボルとして結成された舞台だ。対して第100歩兵大隊は有能な亜人や外国人を使い潰すための組織。隊長のフォートシャフトは正規の将校だが、実力で地位を勝ち取ったいわば外様。既に形成されていた軍内派閥からすれば、異物に等しい。
「慣れない防衛戦で、結局最後は捨て駒か。フォートシャフト」
アデルはフォートシャフトに向かいそう言い放つ。第100歩兵大隊が奇襲や不意打ちを得意とする部隊であるのなら、この任務は不慣れな状況だ。ましてや大陸弾道砲は発射寸前。かなりの熱気と死の呪いが渦巻いている。
「捨て駒になるのはどちらだろうな」
捨て駒扱いを否定せず、フォートシャフトは答える。事実、捨て駒扱いされただけなのか。勝って生き延びることを確信しているのか。
「俺達は勝ってイ・ラプセルに戻る。その為に全力を尽くしてお前を倒す」
だがそれはアデルも同じだ。危険な任務だと聞いていたが、それでも命を捨てるつもりはない。
「お前がこの鉄火場にいるのはそれが一番作戦成功率が高いと踏んでの事だろう。自分自身まで『駒』とみるお前のやり方を、ここで勝って否定する」
部下と共に戦う事で指揮をあげる、等という殊勝な考えをするような人間ではない。勝つために最大戦力を投入する。そして得た手柄を盾に上にのし上がる。全ては自分の為。その為の戦争。その為の部隊。
「つまらぬ妄言だ。捨てられたから捨てないなどいう心の咎に捕らわれたか。足手まといを抱えきれずに溺れて死ね」
「それこそつまらない妄言だ。全てを抱えて前に進むからこそ得られる道もある」
かつて同じ部隊にいた上司と部下。それ故に交わらぬ意見。
「その冷徹カブトは任せたぞ。お前なら何とかするだろう」
フォートシャフトとアデルのやり取りを聞きながら、ツボミは戦場に意識を向ける。丸投げする用だが、アデルならできるという信頼の元での発言だ。ツボミの見立てで、アデルが負ける要素は見られない。今はそれよりも――
「クソ暑い……! なんとかしないと干上がるぞ、これは!」
大陸弾道砲からくる熱気。これが自由騎士達を苛んでいた。動きを阻害こそしないが、体力を大きく削られる。更に剣先まで鈍るのだから厄介なことこの上ない。それを含めて癒しながら、善戦で戦う敵の一人に声をかける。どうせならヘイトを稼いで仲間を護ろうというささやかな抵抗だ。
「人の血に塗れてまで続ける家族ごっこは楽しいか小娘?」
「……何?」
声をかけたのはマザリモノのキマイラ。家族を求めて戦うモノ。
「仲良くするのは勝手だが大隊は家族では無い。随分と自分に都合の良い設定当て嵌めてやがんな貴様」
「……それを、マザリモノの貴方が言うの?」
マザリモノは子供を残せない。一世代だけの存在だ。その出自故に親に捨てられる者も多く、故に家族を求めるマザリモノは少なくない。
「言うね。自分の都合を押し付けてそれで傷を癒すのはやめろ、っていてるんだ。寂しいなら寂しいと言えばいい」
「隙を見せれば捨てられる」
「だろうな。あのアデル下位互換はそういう奴だ。だから早く決断して離れないと、手遅れになる。
家族とか人間関係は、自分だけで決めるもんじゃない。相手と相談して、その結果生まれるもんなんだよ。関係性が壊れることを恐れて殻に籠ってても、傷は癒えないんだよ」
言った後でツボミは『いいブーメランだけどな、これ!』と自分の環境を鑑みて自分にツッコミを入れた。
「やはり、庇いに来たね」
前線で立ちまわるアルフォードを見ながら、マグノリアは静かに告げる。護っているのは、バーサーカーを活性化していない前衛の二人。多くの傷が残るその盾に描かれているのは、ミトラースの紋章。
「イ・ラプセルを壊すこと……アクアディーネを悲しませる事は許さない」
「何故だ?」
何故? そう問い返すアルフォードの意図を読めず、マグノリアは呆然とした。大事なモノを守りたい、という気持ちを否定するのではなく、疑問視される理由が分からない。
「神を尊び護ろうとする精神。それを持ちながらなぜ我ら神ミトラースを滅ぼした。あまつさえ、その力を隷属化して見せつける等という事が何故できる!?」
何のこと、と問い返そうとして活性化している『神の寵愛』に思い至った。ミトラースを倒した際に得られた権能。ミトラースの力はアクアディーネに吸収され、そのオラクルが使用できる。成程解釈次第ではミトラースの隷属ともとれなくもない。
「先に攻め込んできたのは、君達シャンバラだ」
正当性はある、という事を告げる。だからと言って国を滅ぼし、その生活を崩したことが許されるわけでもない。彼らにすれば、長年自らを守ってきた神を滅ぼされたことには変わりはないのだから。
「それに、彼女を悲しませることは許さない。僕が戦う理由は、それだけだ」
神の蟲毒に勝たなければ、世界は滅びる。世界の消滅を憂いる女神の顔。それを帰るためにマグノリアは戦場を進むと決めたのだ。たとえ、それが血と死にまみれた泥沼だとしても。
「庇われているのは厄介ですが、それならそれで戦いようもあります」
アルフォードに庇われた状態のブラント。そこに打撃を通すために力を収縮させて、貫くように攻撃を加えるミルトス。間に人を挟んでも、衰えぬほどの貫通力。達人の域に達したミルトスの一撃を前に、ブラントは目標をミルトスに変更する。
「ああ、そうか。貴方が英雄か」
どこか歓喜に満ちた声で剣を向けるブラント。ミルトスのことを知っている、というのではなさそうだ。むしろやっと出会えたという意味合いに聞こえる。
「英雄。戦争を終わらせようとする英雄。そうだ。それを討ち取ることが私の意味」
戦争から離れられない戦士。永遠に戦争を続けたい騎士。戦争意外に自分の価値を見出せないヒト。故に戦争を終わらせる英雄と戦い、殺したい。そうすれば、戦争は終わらないから。
「……私とは違った形の英雄との戦闘志願者ですか。いえ、渇望者、というべきなのでしょうか」
ミルトスは英雄ではない。だが自分を討ち取るのは英雄でなければならないと思っている。戦いの果てに一つの極致に到達したホワイトカラント。自分を倒すのは、世界を変える英雄であるべき――
「残念ですが、私は英雄ではありません。唯一つの頂に至っただけの――ただ強いだけのヒトです」
「ああ、強い。その力は戦争を終わらせる。だから消えて。私の居場所を奪わないで」
「戦争は終わらせます」
それは大陸弾道砲の滅びでもなく、創造神の白紙化でもない。もっと別の形の終わり。
(その果てに、私がどうなっているかはわかりませんが――)
ダン、と踏み込み拳を突き出すミルトス。その一撃に乗った迷いなき意思がブラントを穿った。
「熱気と呪いか。確かに厄介ではあるな」
大陸弾道砲の近くにいるだけで纏わりつく熱気と、そして周囲の呪力。それを感じながらテオドールは魔力を解き放つ。水晶の心臓を持つ蛇のバックアップを受けながら、広範囲に呪術を解き放つ。
「アンタも呪術師か。死に魅入られたクチか? それとも死を恐れた方か?」
テオドールの術を見ながら矢ノが問いかけてくる。多くの死を見る為に戦場を歩く死の魔術師。笛を持ち、倒れた人間を立ち上がらせるネクロマンサー。
「貴君には関係のない話だ」
「確かにその通り。しかしこの道を突き進む者はこの二種類以外は精神を壊す。死を受け入れるか、あるいは死を怖がるための防衛手段か」
呪術師は死にまつわる術式だ。呪い、痛み、そして死。ただ便利な攻撃呪文、として受け入れられるのはそれを俯瞰痴れ見れるモノ――例えば一歩引いた目線で見ることができる存在だ。
死は恐ろしい。死んだ人間は生き返らない。喪失に哀しみ、人は狂気に陥る。そんな様をテオドールは見てきた。そんな『死』を扱う術式を自らのものにできるのは、相応の精神性と理由が必要になる。
「大事なヒトを亡くしたか? あるいはもう亡くさないために不老不死を求めるか?」
大事なヒト。その言葉を聞いてテオドールは一人の女性を思い出す。今は亡き妻――
「貴君には関係のない話だ」
短く、そして冷たくテオドールは言葉を返す。先ほどよりも強く、そして怒気を含んだ声。そのことに軽々に触れられるのは、我慢ならない。
「これは失礼。さあ、死を見せてくれ」
慇懃無礼に一礼し、矢ノは質問を止める。死を求める呪術師と、死を求めない呪術師。他愛のない呪術師同士の交差。
「はああああ!」
裂帛と共に武器を繰り出すアンジェリカ。叩きつけるような一撃が防御タンクの盾に叩き込まれる。衝撃の何割かを受け止められたが、それでも確実に相手にダメージは通っている。あと少しで倒せる。あと少し――
「あははー。きれいなけがわだねー」
言葉と共に腹部に灼熱が走る。死刑囚のリュノーのナイフがアンジェリカの腹を裂いたのだ。素早い動きで迫り、目標を切り裂く。高速の軽戦士ならではの戦法だ。
「貴方の相手はこの後です。待ってなさい」
「そうなるまえになんにんかたおしておかないと。へへ、へへへ」
にちゃぁ、とナイフを手にして笑みを浮かべるリュノー。アンジェリカも前線で戦う以上は敵の攻撃を受けるのは範疇内だが、こういう手合いはあまり慣れていない。
「私達の仲間は強いですわ。そう簡単に倒れるとは思わない方がいいですよ」
「つよくても、せんそうにまけたら、いみないよね? すぐににげられるもん」
ヘルメリア国の首都崩壊時にどさくさ紛れで逃げだした死刑囚。永年続くといわれた蒸気文明発祥の地も、神の気まぐれであっさり崩壊した。滅ぼしたのはイ・ラプセルだが。
「ここでかってもまけても、いつかはぜつぼう。おわってるよ、じゆうきし」
「そうですね。形あるものはいずれは滅びます。それはイ・ラプセルも変わらないでしょう」
栄枯盛衰は世のさだめ。如何なる存在もいずれは滅び去る。それは歴史が証明している。自分達だけは違う、などと言える道理は何処にもない。
「いずれ消え去るというのなら、その形を次世代に受け継がせましょう。
命を、思いを、文化を受け渡すのがヒトの歴史なのですから」
それが無駄に終わっても構わない。それを否定されても仕方ない。それでもヒトは、歴史を紡ぐために報酬なく走り続けるのだ。
「そうだ。戦争を終わらせて、平和を築く。その為の戦いなんだ!」
敵の攻撃を塞ぎながらナバルが吼える。辛く、苦しい戦い。それもヴィスマルクのこの戦いで一区切りがつく。大陸を統一し、神の蟲毒が終われば世界の白紙化を止める手段が手に入る。そうなれば――
「戦争は終わらないわ」
ナバルの言葉を否定したのは、ヨウセイのケレン。射貫くような冷たさで、ナバルの言葉を否定する。そこには甘いことを言う世間知らずに対する侮蔑――ではなく、輪に入れない者の寂しさがあった。
「戦争の理由はたくさん転がっている。あれが欲しい。こいつが気に入らない。誰よりも偉くなりたい。そんな欲望が火種になる」
「だけどそれは話し合えばなんとか――」
「話し合い、なんてできるのはノウブルだけ。――いいえ、力在る権力者だけ。何もないヒトはただ権力に騙されて翻弄していくだけよ」
権力者にとって都合のいい政治。今までそれに民衆は翻弄されてきた。ケレンもその一人だ。イ・ラプセル、ヘルメリア、ヴィスマルクの三国によるシャンバラの土地支配。それにより、運命を分断されたヨウセイ。
「それでも、戦うこと以外で解決することはできるはずだ! 互いに譲り合い、分け与えていけば――」
「ああ、本気でそれが出来るって信じているのね。すごい、うらやましい」
ナバルの必死の叫びに、そんな声を返すケレン。隔絶と、そして眩しいものを見るような目。そんな平和な解決策が思いつくような人生を送れなかった、汚れた戦いに明け暮れたヨウセイの声。
何かを言いかけて、その口を紡ぐ。今言うべきことは――
「オレは、機盾ナバル・ジーロン! イ・ラプセルを守る盾! その為にお前達を乗り越える!」
「私はアリーナ・ケレン。第100歩兵大隊のために戦うヨウセイ。この矢は全てを射貫くわ」
互いに大事なモノの為に、戦う。今できる事はそれだけなのだ。
「元歯車騎士が流れてこのザマか」
弾丸を撃ちながらザルクはブラントに声をかける。ヘルメリアと戦った自由騎士の一人として、歯車騎士に思う所はあった。だがそれは終わった話だ。ヘルメリアがなくなり、歯車騎士団は解体された。今はヘルメリアを守る兵士の名称でしかない。
「知っている。ザルク・ミステル。お前が、オマエが! ヘルメス様を討ち取った自由騎士!」
「へっ、恨み言か。そうだぜ、ヘルメスを殺したのは俺だ。お前の大好きな戦争を終わらせたのは俺だ」
「オマエの首を取れば、きっと歯車騎士達も立ち上がってくれる。戦争の再来だ。その前にオマエの仇をとろうとする自由騎士との戦いか? ああ、嗚呼!」
歓喜――むしろ狂気の叫びをあげるブラント。戦争を続けたい彼女からすれば、戦争を終わらせた一因であるザルクの存在は特別なものだった。
「目的と手段が入れ替わってるな。欲望のために戦争をするんじゃなく、戦争をする為に火種を振りまくか。確かにこいつは救われないぜ。もうどこにも行けないんだろうな。
同情する気はないぜ。こちとら戦争をとっとと終わらせて、嫁と平和に過ごすんだ。邪魔はさせねぇよ!」
平和に生きるために戦う。その為に戦い、その為に銃を撃つ。復讐の闇を閉じたザルクが選んだ道はそれ。ブラントをどうこうしようとは思わない。平和な生活の為に、倒すべき敵の一人。それ以上の認識はない。
「皆様は守り切ります!」
誓いを宣言し、盾を構えるデボラ。ここで大陸弾道砲を撃たせるわけにはいかない。その為に仲間を信じ、守り抜くのだ。イ・ラプセルの勝利とその未来のためにここまで戦ってきたのだ。ここで膝を屈するつもりはない。
「倒れて」
「……っ! 重い一撃、ですね!」
そんなデボラに攻撃を加えてくるのは、格闘家のヴィンプフェリングだ。咆哮と共に繰り出される思い一打。正に獅子が叫ぶが如き獣の一撃。山羊と獅子と蛇が混ざったキマイラのマザリモノ。その一撃がデボラの動きを止める。
「簡単にはやられませんよ!」
麻痺に対する対策を用意してきたデボラだが、それでも完全に止められるものではない。時折ヴィンプフェリングの一撃に足を止め、守りが止まることもある。それでもすぐに復活し、すぐに仲間を守る。
「貴方達が邪魔をしなければ、私は『ここ』にいられるの。殺さないでいてあげるから、大人しく帰って」
盾ごしに聞こえるヴィンプフェリングの声。それは第100歩兵大隊に居場所を見出した少女の言葉。ここで負ければ彼女はその居場所を失う。この戦いは彼女にとって失わない為の戦いなのだ。
大陸弾道砲が多くの生活を奪うように、この戦いの勝利は彼女の生活を奪う。
助かる数が多いほうが正しいので、少ない方は見捨てるべし。そんな言葉でデボラは自分を正当化しない。だが両方救う手立てはない以上、片方は切り捨てるしかない。勝つという事は、何かを踏みにじることだ。だから――選ぶ。
「いいえ、退きません。貴方達に恨みはありませんが、護るべき者のために戦うのが自由騎士ですから!」
交差する自由騎士と第100歩兵大隊。亜人や外国人を取り入れた戦争の為の部隊。
戦争を終わらせる騎士団。戦争を住処にする大隊。在り方が異なる二部隊は互いの想いを武器に乗せて戦う。
●
『第一安全装置解除。発射口、解放』
『各種通路、切り離し完了』
自由騎士は先ず第100歩兵大隊の防御を担うアルフォードを集中攻撃した。ヴィスマルク女神の加護、強い精神力、そして守り手としての技量。その三つを兼ね備えたアルフォードは正に難攻不落と言っても過言ではない。
だが、自由騎士はそれ以上に優秀な戦士だ。波状攻撃でアルフォードの盾を穿ち、最後まで仲間を守った元聖堂騎士の盾を打ち砕く。
「土俵際からが私の本領発揮です!」
アルフォードが倒れたタイミングで、アンジェリカは武器を構えなおす。疲弊した肉体に宿る強い活力。狂戦士の力を武器に込め、大きく横に振るって衝撃波を放つ。敵全体を襲う衝撃波。自らの体力を削り、ただ真っ直ぐに敵に挑む。
「戦争をそんな形で見る人には、負けられません」
崩れ落ちるブラントを見下ろしながら、ミルトスが息を吐く。フラグメンツを削られたが、なんとか相手の意識を刈り取れた。一息つきたいが休んでいる余裕はない。今もなお大陸弾道砲発射のカウントは進んでいるのだから。
「行け、アデル! 決着をつけてこい!」
敵前衛に銃を撃ち放ちながら、ザルクが叫ぶ。第100歩兵大隊で厄介なのは敵の連携だ。ザルクは相手の足を止めてその動きを止め、後衛に向かう道を作る。戦術的にも一番の難敵であるフォートシャフトをフリーにさせる事は悪手である。
「恩に着る」
そう告げて、アデルは後衛にいるフォートシャフトに迫る。自分と似たカタクラフト。かつて自分を犠牲にした上司。その恨みがないわけではないが、今はイ・ラプセルを守る自由騎士として斬りかかる。憎悪でもなく復讐でもなく、もっと大事な理由で。
「オレは盾。世界で一番強い盾だ。護るものが背中にある限り、オレは立ち続ける!」
敵の攻撃を受けながら、ナバルは立ち上がる。仲間や国を護ろうとする不屈の精神、幾多の戦いで鍛えられた肉体と盾の技量。それらが下地となって、この場所に立っている。どれか一つでも欠けていれば、今立ってはいないだろう。
「出し惜しみする余裕などないか」
肩で息をつくようにテオドールが口を開く。できるだけ多くの敵を巻き込み術を解き放つが、広範囲の魔術はその分消費も大きい。魔術師としては世界屈指と言っても過言ではないテオドールとはいえ魔術を連発すれば枯渇してしまう。
「鍵を持つモノを探す余裕は……ないか」
魔術を放ちながら、マグノリアは大陸弾道砲の制御室の鍵を持つヒトを探していたが、鍵の大きさや形状が分からない事もあり断念した。どの道相手を倒さないと取ることもできないのだ。今は戦う事に専念しよう。
「節約せねば持たんが、出し惜しんでると皆殺し。中々酷い有様だなおい」
魔力が枯渇したツボミは、医療魔術の基本技で仲間を癒していた。この場合の皆殺しはイ・ラプセル首都サンクディゼールに住む人を含めた皆殺しだ。愚痴ってどうにかなるわけではないと分かっていても、愚痴を挟みたくなる状況である。
「皆様の事は信じています! 私は私のできる事を!」
盾を構えて仲間を守るデボラ。大陸弾道砲発射までの時間は刻一刻と迫っている。それでも焦らないのは皆を信じているからだ。これまで戦った仲間達。ここまでたどり着いた自由騎士。業況は厳しくとも、負ける事はないと信じている。
「戦争は、終わらない……終わらな……」
「へへー。またにげれば……」
「や……一緒にいたい、の……」
自由騎士達はブラントとリュノーとヴィンプフェリングを倒す。だが自由騎士も相応のダメージを負った。
「最後まで立ってられないのは不服ですが、役目は果たしました……」
「くそ……ここまで、か」
度重なる猛攻で、デボラとナバルが膝を折る。そのまま意識を失い倒れ伏した。
「まだ、倒れないよ……!」
「苛烈だな。だが我らの心を折るにはまだ足りぬ」
「ふん、もはや出涸らしだ。やれるだけやるさ」
タンク役の守りがなくなり、マグノリア、テオドール、ツボミがフラグメンツを燃やす。大陸弾道砲の呪いをはねのけ、立ち上がった。
自由騎士は防御の要を失い、癒し手の魔力は枯渇している。フラグメンツも燃やしており、息絶え絶えの状態で武器を振るう。
第100歩兵大隊も相応にダメージを受け、大きく疲弊している。元より癒し手を連れてきていない分、総合火力ではこちらが勝る形だ。
そして大陸弾道砲の熱気が厄介だ。第100歩兵大隊は熱気に耐える装備を施しており、自由騎士はそれを癒し手に担わせた。その癒し手が疲弊している以上、熱気に体力を奪われるのは避けられない。
勝利の天秤は少しずつ、第100歩兵大隊へと傾いていく。熱気と敵の攻撃で、倒れていく自由騎士達。
「その傷ではもう動けまい」
胸部を貫いた弾丸を受け、倒れるアデル。
戦場で立っていたのはアデルとフォートシャフト。それ以外の者は戦いの中で倒れ伏した。そしてアデルも今、凶弾を受けて膝をつく。
「仲間を盾に出来れば、今の弾を避けれただろう。それが出来なかったのがお前の敗因だ」
「今、俺の攻撃を庇わせたようにか」
「絆や家族ごっこもこういう時に役に立つ」
アデルの槍を受けて倒れたケレンを見ながら、フォートシャフトは冷たく答える。
「貴様にとって、仲間は道具か?」
「今更だな。それが出来ない甘さがあるからお前は今は倒れている」
「そうだな。俺は甘い。仲間を駒としては扱えない」
フォートシャフトの言葉を認めるように、アデルは言葉を吐く。それが出来ていたのなら、この状況にはならなかっただろう。
「だからこそ至れる極地がある。勝利の為に最大効率で命を賭ける覚悟なら、お前に負けるつもりはない」
槍を握りしめる。体を動かすたびに胸の傷が痛み、体中が動くなと警告するがそれを無視する。命を賭けるのはまさにこの時。大陸弾道砲も、国家間の戦争という事も、今は関係ない。敵を倒す。その為だけに命を賭ける。
「仲間の命を道具にするのではなく、信頼して共に戦う。そして自分の命を賭けて、勝利を掴む。
勝つために知恵を絞り、準備を怠らず、鍛錬を惜しまず、ありとあらゆる『負け』の可能性を排除する。それこそが俺の『冷静沈着(カームムーブ)』。お前の『動じぬ指揮(カームムーブ)』とは違う道だ!」
アデルの動きに気付き、回避行動をとるフォートシャフト。これが最後のあがき。これを避けて脳天に一撃喰らわせればそれで終わ――何かが足に引っかかった。自分を庇ったケレン。それがフォートシャフトの回避をわずかに止める。
僅か停止。しかしアデルの槍はその時間を逃さず、フォートシャフトの胸に迫る。
「何となくは気付いていた。父親なんだろう、お前が、俺の」
槍から伝わる確かな感覚。心臓を貫いたその感触を確認しながら、アデルは告げる。
「……終わりだ」
相手の絶命を確認し、槍を振るうアデル。第100歩兵大隊の指揮官バートランド・フォートシャフト少佐の体は、力無く地面に転がった。
●
『最終安全装置、解除。大陸弾道砲、発射準備完了』
『秒読み開始。10、9、8、7――』
「停止完了……!」
「ギリギリ、でしたわ……!」
制御室に入った自由騎士達は息絶え絶えに床に崩れ落ちる。あの戦いの後、アデルに無理矢理起こされ、応急処置もせずに走ってきたのだ。
「コイツはどうする? 二十年分の怨念がこもってるんだろ?」
「モリグナを倒せば、デウスギアの力は消える。このまま放置でいいだろう」
大陸弾道砲をどうするか、を話し合って最終的には撃たずに置いておくことになった。神の力が消えればデウスギアも力を失う。それまでに誰かが砲を動かすという事はないだろう。
「疲れたが、急いで城攻めに加勢しないとな」
「そうだな。あとひと息で、神の蟲毒は終わるんだ」
痛む体に鞭を打ち、自由騎士達は立ち上がる。ヴィスマルク王城をせめ、そこにいる女神モリグナを殺す。神の蟲毒と呼ばれる戦争は、それで決着がつく。
(これで、戦いは終わる……世界の白紙化を止める為の手段が手に入る)
五柱の神の力。これにより世界の白紙化は避けられる。それはアクアディーネを始めとした、イ・ラプセルの悲願だ。
自由騎士達は自らに活を入れ、王城へと足を運ぶのであった――
『大陸弾道砲、発射準備開始。全職員に退避命令発令』
「我々の事を良くお分かりで」
誘い出された、という事実を受けて『天を征する盾』デボラ・ディートヘルム(CL3000511)は言葉を返した。祖国の人間を守るためなら、無茶をする。その性質はこれまでのヴィスマルクとの戦いで読まれていたのだろう。だからと言って、それを変えるつもりはないが。
「ここが正念場か。イ・ラプセル本国は撃たせねえよ」
銃を手にして『永遠の絆』ザルク・ミステル(CL3000067)は決意を口にする。イ・ラプセルには様々な人がいて、そこで紡いだ思い出がある。それを惨劇に変えることなどできようものか。この一戦が、イ・ラプセルの未来を決めると言っても過言ではない。
「……大丈夫。厳しいのはいつもの事だ」
大きく息を吸い、そして吐き出す。『機盾ジーロン』ナバル・ジーロン(CL3000441)の心は、それだけで落ち着いた。目の前に強敵、状況は劣悪。おまけに時間制限もあると来た。それでも信じあえる仲間がいる。そうだ、こんなのはいつもの事。今回も乗り越えてみせる。
「意地でも阻止させて頂きます……。イ・ラプセルの美味しい水が無くなるのは悲しいですからね」
『全ての人を救うために』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)はそう言って武器を構える。美味しい料理は美味しい水から。その為にもイ・ラプセルを汚すことは許されない。絶望を希望に変える為に戦意をむける。
「潜伏先を教えれば命は助ける? 『殺す順番を後回しにする』だけの話ではないかな?」
フォートシャフトの問いかけにそう答える『智の実践者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)。本当に見逃すとしても、そんな誘いに乗る自由騎士はこの場にはいない。それぞれの大事なモノの為にここまで来た同士なのだから。
「奇しくもシャンバラと同じ状況ですね」
肩の力を抜くように息を吐く『SALVATORIUS』ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)。いや、こうなることは解っていた、同じ射出型の兵器だから撃たれる前に押さえるしかないのは当然だ。違いがあるとすれば、相手の戦う理由か。
「うん。アクアディーネを悲しませることはさせないよ」
渦巻く熱気の中『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)は呟いた。戦いを望まない性格なのに、滅びの運命を見てしまったがために戦う事を選んだ女神。今もなお心を苛む彼女を護るために、ここで大陸弾道砲を撃たせるわけにはいかない。
「しかしまあ、アクの強い奴らばかりだな。っと、それはお互い様か」
第100歩兵大隊のメンバーを見て、『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)は肩をすくめた。正規のヴィスマルク軍人は隊長のフォートシャフト一人。外国人亜人ごちゃまぜの混合部隊だ。そこまで言ってから自由騎士も同じようなものかと頷いた。
「フォートシャフト、ここでお前を倒す」
『装攻機兵』アデル・ハビッツ(CL3000496)はそう告げる。かつて自分を裏切った上司。先の戦いでのやり取り。兵士を駒として扱い、効率のみを重視する戦術。それら全てに対する感情をのせ、それでも怒りを抑えた声で告げる。
「――行け」
短く告げるフォートシャフトの言葉。それに従い動き出す第100歩兵大隊のメンバー達。
大陸弾道砲発射をめぐる戦いの火ぶたは、今切って落とされた。
●
『第三安全装置解除。全排熱口開放』
『砲頭をイ・ラプセルに。射出角度再調整完了』
「奇策も小細工も不要です。シスターらしく真正面からブチ抜いて差し上げます!」
最初に動いたのはアンジェリカだ。言って真正面から敵に攻撃を仕掛ける。シスターとは一体、という疑問を口にする間を与えぬほどの鋭い踏み込み。鍛えられた肉体と揺れぬ精神。それを示すかのような動き。
防御は考えない。守りも癒しもすべて味方に任せ、アンジェリカはただ真っ直ぐに武器を振るう。狙う相手はヘルメリアの蒸気騎士。激しく交差する互いの武器。そのまま力を込めてつば競り合いを押し切り、攻撃を加える。
「戦いを終わらせるために、ここで死んでもらいます」
「それは困る。戦いが無ければ、どうしていいかわからない」
「どっぷり戦い続けた結果か。ヘルメリアの闇だな」
元ヘルメリア蒸気騎士の言葉を受けてザルクが苦々しくため息をついた。イ・ラプセルが終わらせるまでは外敵内敵と戦いに明け暮れた蒸気国家。神のヘルメスの性格故の平和とは程遠い国。そこで真面目に生きればこうなる。ザルクも一歩間違えれば――
いや、と首を振るザルク。ああはならないと強く否定し銀製の指輪を軽くなでる。そのまま二挺拳銃を構えて引き金を引いた。右手で三回、左手で二回。放たれた弾丸は狙い通りにブラントに叩き込まれ、その動きを封じていく。
「悪いが戦いは終わらせてもらう。戦争はイ・ラプセルが終わらせる!」
「戦争は終わらない。戦争の火種は何処にでもある。イ・ラプセルも亜人平等を謳っているけど、亜人奴隷に賛成する人間との軋轢はあるはず」
「否定はしない。だがその軋轢を解決する者もいる」
熱にうなされたように言葉を吐き続けるブラントに、テオドールが告げる。パノプティコンのような統治をしない限り、様々な意見や思想の元に派閥が出来るのは避けられない。だから違った意見を持つ者同士話し合い、戦いを回避するのが大事なのだ。
仲間全員に精霊の加護を与えた後に、孤独と病の精霊を呼び出すテオドール。第100歩兵大隊の防御の要である元聖堂騎士の動きに注視しながら精霊を解き放つ。相手の動きを鈍らせ、同時に技を封じていく病を振りまく。
「大陸弾道砲、止めさせてもらおう」
「そうはさせん。奇しくもミトラース様の仇を討てるかもしれない機会だ」
「今更ミトラースて。私の見てる前で無様におっ死んだぞあのカミサマなら」
テオドールの言葉に反応したアルフォードの言葉に、挑発するように告げるツボミ。一瞬強い殺気を受けたが、それでも何も言わずに盾を構えなおす元聖堂騎士に、流石に簡単には動かんかとツボミは肩をすくめた。
敵歩兵大隊長の動きを注視しながら仲間の傷を回復させていくツボミ。待機に循環するマナと自分の体内のマナを組み合わせ、癒しの力に転化する。医療の知識で仲間の傷具合を確認し、最良と思われる方法で仲間を癒していく。
「しかしこんな場所で来るかどうかわからなかった者を相手に護衛任務とか。本当に使い捨てだな、お前ら」
「お互いさま。貴方達だって楽に終わる仕事だなんて思ってないんでしょ?」
「楽に勝てるとは思ってないけど、使い捨てのつもりはない!」
キマイラのマザリモノの言葉に反応するように叫ぶナバル。自分達は望んでここに来た。厳しい任務だと聞いてはいたが、それでも生きて帰るつもりで志願したし仲間も使い捨てるつもりだとは思っていない。生きて帰る。その為に戦うのだ。
敵の動きを見ながら、どう動くかをイメージする。どこに立ち、どの角度で盾を構え、度の攻撃をどう受け流すか。イメージは一瞬。行動はイメージと同時に。刹那の遅れが致命的になる。庇う事で代わりに受けるダメージに耐えながら、必死にナバルは思考する。
「アンタらの境遇には同情するけど、オレ達は負けるつもりも死ぬつもりもない!」
「精神論で弾丸は防げませんよ。そう言って死んでいった人を私は何人も見ています」
「そうだね。でも、その精神が力になるところも僕は見てきたんだ」
笛を持つ呪術師の言葉を否定するように、マグノリアが告げる。想いで刃は止まらない。だけど想いの強さが奇跡を起こすことを知っている。錬金術は理論と実践の学問だ。見てきた事を否定することなんか、出来やしない。
積み重ねた経験。積み重ねた実験。それが錬金術の強さの根底。聖遺物を両手に握り、呼吸を整えて魔力を循環させる。世界と自分をリンクさせ、この世界に薬品を落とすイメージをする。紅い液体が跳ねた瞬間に『劣化』の概念が津波のように敵に襲い掛かる。
「勝たせてもらうよ。邪魔するなら、消すから」
「あははは。けすんだぁ、こわいなぁ。じゃあはんげきしないとなあ」
「始めから殺すつもりなのは見え見えですよ。殺意を隠す気はないようですね」
死刑囚のソラビトの言葉にはっきり言い放つデボラ。こちらが殺すから仕方なく殺す、なんて主張を通すつもりはない。相手は殺人鬼。人を殺すことに快楽を覚えた人間だ。その殺意は真っ直ぐにこちらの急所を狙っている。
鋭い殺意を受けながら、デボラは盾を構える。後衛から攻撃を加える仲間の盾となり、第100歩兵大隊の攻撃を受け止める。多くの戦場を潜り抜けた傭兵部隊の攻撃。しかし幾多の戦いを勝ち抜いてきたのはこちらも同じ。デボラは歯を食いしばり、攻撃を受け止める。
「皆様の勝利を信じて、皆様の盾になる事こそ私の役目です!」
「それはこっちも同じよ! あたしの弓を甘く見ないで!」
「相手の戦意に過不足なし、ですね」
歩兵大隊に救ってもらったケレンの言葉。それを聞いてミルトスが頷く。戦う理由は様々だ。要はそこにどれだけ心血を注げるか。正しいかどうかなど、どうでもいい。悪でもそこに揺れない思いがあるなら、尊敬に値する。
もちろん、だからと言って負けていいなんて思わない。敵が密集した区域に近づき、体をひねりながら跳躍する。そのまま体全体で遠心力を付けて足を振るい、周囲の敵を蹴り飛ばしていく。そして着地の後に拳を構え、踏み込みと同時に連撃を加える。
「滅びの運命に抗わせてもらいますよ。諦めが悪いんです」
「その心も祖国が消えれば折れる。護るべきものを切り捨てれない貴様らの弱さだ」
「否定はしない。だからこそ守る」
フォートシャフトの言葉に、冷静さを失わないように意識しながら答えるアデル。相手の弱点を攻める。それは戦いの基本だ。自由騎士の戦う理由であるアクアディーネやイ・ラプセル。それは確かに弱点と言えるだろう。
だがアデルを含めた自由騎士達は、それを切り捨てていいとは思わない。護るものがあるから戦えるのだ。手にした槍を振るい、敵の前衛を一気に薙ぎ払う。国を護る為に戦う。その為の覚悟が乗った一撃だ。
「この戦いだけは、絶対に負けられない」
「戦うなら勝つ。事前に準備を怠らず、如何なる手段を使ってでも相手の戦力と戦意を削ぎ、負けの可能性を確実に潰して挑む。
それが貴様と俺の差だ。俺は勝つ。負けられない、などと決意するのは戦う前に終わらせている」
交差する意思。負けられない為に戦う者と、負けない為に戦う者。僅かに、そして決定的に異なる戦う意志。
「まだまだだ!」
「ちっ、やってくれる!」
「すみません、少し抜かれました!」
第100歩兵大隊の攻撃は、後衛を守るナバルとデボラ。そしてデボラが麻痺で動けなくなった隙を縫うように放たれた攻撃により、ザルクのフラグメンツを削り取る。
「倒れるわけにはいかない」
「ええ、全ての絶望を希望に変えるのです!」
アデルとアンジェリカも攻撃を受けてフラグメンツを燃やす。大陸弾道砲からの熱気で体力を奪われ、疲弊したところを攻撃されたのだ。
勝負の天秤はまだどちらに傾くかわからない。それは皆が理解している事。勝利をもぎ取るために、互いの武器を振るう。
大陸弾道砲発射へのカウントダウンは、少しずつ進んでいく。
●
『仰角固定。アンカー固定確認』
『第二安全装置解除。対呪力用防壁消滅』
第100歩兵大隊は外国人部隊だ。亜人や国外の人間を集め、部隊としている。
それはイ・ラプセルの自由騎士と似ているようで、まるで逆の思想だった。自由騎士は亜人平等のシンボルとして結成された舞台だ。対して第100歩兵大隊は有能な亜人や外国人を使い潰すための組織。隊長のフォートシャフトは正規の将校だが、実力で地位を勝ち取ったいわば外様。既に形成されていた軍内派閥からすれば、異物に等しい。
「慣れない防衛戦で、結局最後は捨て駒か。フォートシャフト」
アデルはフォートシャフトに向かいそう言い放つ。第100歩兵大隊が奇襲や不意打ちを得意とする部隊であるのなら、この任務は不慣れな状況だ。ましてや大陸弾道砲は発射寸前。かなりの熱気と死の呪いが渦巻いている。
「捨て駒になるのはどちらだろうな」
捨て駒扱いを否定せず、フォートシャフトは答える。事実、捨て駒扱いされただけなのか。勝って生き延びることを確信しているのか。
「俺達は勝ってイ・ラプセルに戻る。その為に全力を尽くしてお前を倒す」
だがそれはアデルも同じだ。危険な任務だと聞いていたが、それでも命を捨てるつもりはない。
「お前がこの鉄火場にいるのはそれが一番作戦成功率が高いと踏んでの事だろう。自分自身まで『駒』とみるお前のやり方を、ここで勝って否定する」
部下と共に戦う事で指揮をあげる、等という殊勝な考えをするような人間ではない。勝つために最大戦力を投入する。そして得た手柄を盾に上にのし上がる。全ては自分の為。その為の戦争。その為の部隊。
「つまらぬ妄言だ。捨てられたから捨てないなどいう心の咎に捕らわれたか。足手まといを抱えきれずに溺れて死ね」
「それこそつまらない妄言だ。全てを抱えて前に進むからこそ得られる道もある」
かつて同じ部隊にいた上司と部下。それ故に交わらぬ意見。
「その冷徹カブトは任せたぞ。お前なら何とかするだろう」
フォートシャフトとアデルのやり取りを聞きながら、ツボミは戦場に意識を向ける。丸投げする用だが、アデルならできるという信頼の元での発言だ。ツボミの見立てで、アデルが負ける要素は見られない。今はそれよりも――
「クソ暑い……! なんとかしないと干上がるぞ、これは!」
大陸弾道砲からくる熱気。これが自由騎士達を苛んでいた。動きを阻害こそしないが、体力を大きく削られる。更に剣先まで鈍るのだから厄介なことこの上ない。それを含めて癒しながら、善戦で戦う敵の一人に声をかける。どうせならヘイトを稼いで仲間を護ろうというささやかな抵抗だ。
「人の血に塗れてまで続ける家族ごっこは楽しいか小娘?」
「……何?」
声をかけたのはマザリモノのキマイラ。家族を求めて戦うモノ。
「仲良くするのは勝手だが大隊は家族では無い。随分と自分に都合の良い設定当て嵌めてやがんな貴様」
「……それを、マザリモノの貴方が言うの?」
マザリモノは子供を残せない。一世代だけの存在だ。その出自故に親に捨てられる者も多く、故に家族を求めるマザリモノは少なくない。
「言うね。自分の都合を押し付けてそれで傷を癒すのはやめろ、っていてるんだ。寂しいなら寂しいと言えばいい」
「隙を見せれば捨てられる」
「だろうな。あのアデル下位互換はそういう奴だ。だから早く決断して離れないと、手遅れになる。
家族とか人間関係は、自分だけで決めるもんじゃない。相手と相談して、その結果生まれるもんなんだよ。関係性が壊れることを恐れて殻に籠ってても、傷は癒えないんだよ」
言った後でツボミは『いいブーメランだけどな、これ!』と自分の環境を鑑みて自分にツッコミを入れた。
「やはり、庇いに来たね」
前線で立ちまわるアルフォードを見ながら、マグノリアは静かに告げる。護っているのは、バーサーカーを活性化していない前衛の二人。多くの傷が残るその盾に描かれているのは、ミトラースの紋章。
「イ・ラプセルを壊すこと……アクアディーネを悲しませる事は許さない」
「何故だ?」
何故? そう問い返すアルフォードの意図を読めず、マグノリアは呆然とした。大事なモノを守りたい、という気持ちを否定するのではなく、疑問視される理由が分からない。
「神を尊び護ろうとする精神。それを持ちながらなぜ我ら神ミトラースを滅ぼした。あまつさえ、その力を隷属化して見せつける等という事が何故できる!?」
何のこと、と問い返そうとして活性化している『神の寵愛』に思い至った。ミトラースを倒した際に得られた権能。ミトラースの力はアクアディーネに吸収され、そのオラクルが使用できる。成程解釈次第ではミトラースの隷属ともとれなくもない。
「先に攻め込んできたのは、君達シャンバラだ」
正当性はある、という事を告げる。だからと言って国を滅ぼし、その生活を崩したことが許されるわけでもない。彼らにすれば、長年自らを守ってきた神を滅ぼされたことには変わりはないのだから。
「それに、彼女を悲しませることは許さない。僕が戦う理由は、それだけだ」
神の蟲毒に勝たなければ、世界は滅びる。世界の消滅を憂いる女神の顔。それを帰るためにマグノリアは戦場を進むと決めたのだ。たとえ、それが血と死にまみれた泥沼だとしても。
「庇われているのは厄介ですが、それならそれで戦いようもあります」
アルフォードに庇われた状態のブラント。そこに打撃を通すために力を収縮させて、貫くように攻撃を加えるミルトス。間に人を挟んでも、衰えぬほどの貫通力。達人の域に達したミルトスの一撃を前に、ブラントは目標をミルトスに変更する。
「ああ、そうか。貴方が英雄か」
どこか歓喜に満ちた声で剣を向けるブラント。ミルトスのことを知っている、というのではなさそうだ。むしろやっと出会えたという意味合いに聞こえる。
「英雄。戦争を終わらせようとする英雄。そうだ。それを討ち取ることが私の意味」
戦争から離れられない戦士。永遠に戦争を続けたい騎士。戦争意外に自分の価値を見出せないヒト。故に戦争を終わらせる英雄と戦い、殺したい。そうすれば、戦争は終わらないから。
「……私とは違った形の英雄との戦闘志願者ですか。いえ、渇望者、というべきなのでしょうか」
ミルトスは英雄ではない。だが自分を討ち取るのは英雄でなければならないと思っている。戦いの果てに一つの極致に到達したホワイトカラント。自分を倒すのは、世界を変える英雄であるべき――
「残念ですが、私は英雄ではありません。唯一つの頂に至っただけの――ただ強いだけのヒトです」
「ああ、強い。その力は戦争を終わらせる。だから消えて。私の居場所を奪わないで」
「戦争は終わらせます」
それは大陸弾道砲の滅びでもなく、創造神の白紙化でもない。もっと別の形の終わり。
(その果てに、私がどうなっているかはわかりませんが――)
ダン、と踏み込み拳を突き出すミルトス。その一撃に乗った迷いなき意思がブラントを穿った。
「熱気と呪いか。確かに厄介ではあるな」
大陸弾道砲の近くにいるだけで纏わりつく熱気と、そして周囲の呪力。それを感じながらテオドールは魔力を解き放つ。水晶の心臓を持つ蛇のバックアップを受けながら、広範囲に呪術を解き放つ。
「アンタも呪術師か。死に魅入られたクチか? それとも死を恐れた方か?」
テオドールの術を見ながら矢ノが問いかけてくる。多くの死を見る為に戦場を歩く死の魔術師。笛を持ち、倒れた人間を立ち上がらせるネクロマンサー。
「貴君には関係のない話だ」
「確かにその通り。しかしこの道を突き進む者はこの二種類以外は精神を壊す。死を受け入れるか、あるいは死を怖がるための防衛手段か」
呪術師は死にまつわる術式だ。呪い、痛み、そして死。ただ便利な攻撃呪文、として受け入れられるのはそれを俯瞰痴れ見れるモノ――例えば一歩引いた目線で見ることができる存在だ。
死は恐ろしい。死んだ人間は生き返らない。喪失に哀しみ、人は狂気に陥る。そんな様をテオドールは見てきた。そんな『死』を扱う術式を自らのものにできるのは、相応の精神性と理由が必要になる。
「大事なヒトを亡くしたか? あるいはもう亡くさないために不老不死を求めるか?」
大事なヒト。その言葉を聞いてテオドールは一人の女性を思い出す。今は亡き妻――
「貴君には関係のない話だ」
短く、そして冷たくテオドールは言葉を返す。先ほどよりも強く、そして怒気を含んだ声。そのことに軽々に触れられるのは、我慢ならない。
「これは失礼。さあ、死を見せてくれ」
慇懃無礼に一礼し、矢ノは質問を止める。死を求める呪術師と、死を求めない呪術師。他愛のない呪術師同士の交差。
「はああああ!」
裂帛と共に武器を繰り出すアンジェリカ。叩きつけるような一撃が防御タンクの盾に叩き込まれる。衝撃の何割かを受け止められたが、それでも確実に相手にダメージは通っている。あと少しで倒せる。あと少し――
「あははー。きれいなけがわだねー」
言葉と共に腹部に灼熱が走る。死刑囚のリュノーのナイフがアンジェリカの腹を裂いたのだ。素早い動きで迫り、目標を切り裂く。高速の軽戦士ならではの戦法だ。
「貴方の相手はこの後です。待ってなさい」
「そうなるまえになんにんかたおしておかないと。へへ、へへへ」
にちゃぁ、とナイフを手にして笑みを浮かべるリュノー。アンジェリカも前線で戦う以上は敵の攻撃を受けるのは範疇内だが、こういう手合いはあまり慣れていない。
「私達の仲間は強いですわ。そう簡単に倒れるとは思わない方がいいですよ」
「つよくても、せんそうにまけたら、いみないよね? すぐににげられるもん」
ヘルメリア国の首都崩壊時にどさくさ紛れで逃げだした死刑囚。永年続くといわれた蒸気文明発祥の地も、神の気まぐれであっさり崩壊した。滅ぼしたのはイ・ラプセルだが。
「ここでかってもまけても、いつかはぜつぼう。おわってるよ、じゆうきし」
「そうですね。形あるものはいずれは滅びます。それはイ・ラプセルも変わらないでしょう」
栄枯盛衰は世のさだめ。如何なる存在もいずれは滅び去る。それは歴史が証明している。自分達だけは違う、などと言える道理は何処にもない。
「いずれ消え去るというのなら、その形を次世代に受け継がせましょう。
命を、思いを、文化を受け渡すのがヒトの歴史なのですから」
それが無駄に終わっても構わない。それを否定されても仕方ない。それでもヒトは、歴史を紡ぐために報酬なく走り続けるのだ。
「そうだ。戦争を終わらせて、平和を築く。その為の戦いなんだ!」
敵の攻撃を塞ぎながらナバルが吼える。辛く、苦しい戦い。それもヴィスマルクのこの戦いで一区切りがつく。大陸を統一し、神の蟲毒が終われば世界の白紙化を止める手段が手に入る。そうなれば――
「戦争は終わらないわ」
ナバルの言葉を否定したのは、ヨウセイのケレン。射貫くような冷たさで、ナバルの言葉を否定する。そこには甘いことを言う世間知らずに対する侮蔑――ではなく、輪に入れない者の寂しさがあった。
「戦争の理由はたくさん転がっている。あれが欲しい。こいつが気に入らない。誰よりも偉くなりたい。そんな欲望が火種になる」
「だけどそれは話し合えばなんとか――」
「話し合い、なんてできるのはノウブルだけ。――いいえ、力在る権力者だけ。何もないヒトはただ権力に騙されて翻弄していくだけよ」
権力者にとって都合のいい政治。今までそれに民衆は翻弄されてきた。ケレンもその一人だ。イ・ラプセル、ヘルメリア、ヴィスマルクの三国によるシャンバラの土地支配。それにより、運命を分断されたヨウセイ。
「それでも、戦うこと以外で解決することはできるはずだ! 互いに譲り合い、分け与えていけば――」
「ああ、本気でそれが出来るって信じているのね。すごい、うらやましい」
ナバルの必死の叫びに、そんな声を返すケレン。隔絶と、そして眩しいものを見るような目。そんな平和な解決策が思いつくような人生を送れなかった、汚れた戦いに明け暮れたヨウセイの声。
何かを言いかけて、その口を紡ぐ。今言うべきことは――
「オレは、機盾ナバル・ジーロン! イ・ラプセルを守る盾! その為にお前達を乗り越える!」
「私はアリーナ・ケレン。第100歩兵大隊のために戦うヨウセイ。この矢は全てを射貫くわ」
互いに大事なモノの為に、戦う。今できる事はそれだけなのだ。
「元歯車騎士が流れてこのザマか」
弾丸を撃ちながらザルクはブラントに声をかける。ヘルメリアと戦った自由騎士の一人として、歯車騎士に思う所はあった。だがそれは終わった話だ。ヘルメリアがなくなり、歯車騎士団は解体された。今はヘルメリアを守る兵士の名称でしかない。
「知っている。ザルク・ミステル。お前が、オマエが! ヘルメス様を討ち取った自由騎士!」
「へっ、恨み言か。そうだぜ、ヘルメスを殺したのは俺だ。お前の大好きな戦争を終わらせたのは俺だ」
「オマエの首を取れば、きっと歯車騎士達も立ち上がってくれる。戦争の再来だ。その前にオマエの仇をとろうとする自由騎士との戦いか? ああ、嗚呼!」
歓喜――むしろ狂気の叫びをあげるブラント。戦争を続けたい彼女からすれば、戦争を終わらせた一因であるザルクの存在は特別なものだった。
「目的と手段が入れ替わってるな。欲望のために戦争をするんじゃなく、戦争をする為に火種を振りまくか。確かにこいつは救われないぜ。もうどこにも行けないんだろうな。
同情する気はないぜ。こちとら戦争をとっとと終わらせて、嫁と平和に過ごすんだ。邪魔はさせねぇよ!」
平和に生きるために戦う。その為に戦い、その為に銃を撃つ。復讐の闇を閉じたザルクが選んだ道はそれ。ブラントをどうこうしようとは思わない。平和な生活の為に、倒すべき敵の一人。それ以上の認識はない。
「皆様は守り切ります!」
誓いを宣言し、盾を構えるデボラ。ここで大陸弾道砲を撃たせるわけにはいかない。その為に仲間を信じ、守り抜くのだ。イ・ラプセルの勝利とその未来のためにここまで戦ってきたのだ。ここで膝を屈するつもりはない。
「倒れて」
「……っ! 重い一撃、ですね!」
そんなデボラに攻撃を加えてくるのは、格闘家のヴィンプフェリングだ。咆哮と共に繰り出される思い一打。正に獅子が叫ぶが如き獣の一撃。山羊と獅子と蛇が混ざったキマイラのマザリモノ。その一撃がデボラの動きを止める。
「簡単にはやられませんよ!」
麻痺に対する対策を用意してきたデボラだが、それでも完全に止められるものではない。時折ヴィンプフェリングの一撃に足を止め、守りが止まることもある。それでもすぐに復活し、すぐに仲間を守る。
「貴方達が邪魔をしなければ、私は『ここ』にいられるの。殺さないでいてあげるから、大人しく帰って」
盾ごしに聞こえるヴィンプフェリングの声。それは第100歩兵大隊に居場所を見出した少女の言葉。ここで負ければ彼女はその居場所を失う。この戦いは彼女にとって失わない為の戦いなのだ。
大陸弾道砲が多くの生活を奪うように、この戦いの勝利は彼女の生活を奪う。
助かる数が多いほうが正しいので、少ない方は見捨てるべし。そんな言葉でデボラは自分を正当化しない。だが両方救う手立てはない以上、片方は切り捨てるしかない。勝つという事は、何かを踏みにじることだ。だから――選ぶ。
「いいえ、退きません。貴方達に恨みはありませんが、護るべき者のために戦うのが自由騎士ですから!」
交差する自由騎士と第100歩兵大隊。亜人や外国人を取り入れた戦争の為の部隊。
戦争を終わらせる騎士団。戦争を住処にする大隊。在り方が異なる二部隊は互いの想いを武器に乗せて戦う。
●
『第一安全装置解除。発射口、解放』
『各種通路、切り離し完了』
自由騎士は先ず第100歩兵大隊の防御を担うアルフォードを集中攻撃した。ヴィスマルク女神の加護、強い精神力、そして守り手としての技量。その三つを兼ね備えたアルフォードは正に難攻不落と言っても過言ではない。
だが、自由騎士はそれ以上に優秀な戦士だ。波状攻撃でアルフォードの盾を穿ち、最後まで仲間を守った元聖堂騎士の盾を打ち砕く。
「土俵際からが私の本領発揮です!」
アルフォードが倒れたタイミングで、アンジェリカは武器を構えなおす。疲弊した肉体に宿る強い活力。狂戦士の力を武器に込め、大きく横に振るって衝撃波を放つ。敵全体を襲う衝撃波。自らの体力を削り、ただ真っ直ぐに敵に挑む。
「戦争をそんな形で見る人には、負けられません」
崩れ落ちるブラントを見下ろしながら、ミルトスが息を吐く。フラグメンツを削られたが、なんとか相手の意識を刈り取れた。一息つきたいが休んでいる余裕はない。今もなお大陸弾道砲発射のカウントは進んでいるのだから。
「行け、アデル! 決着をつけてこい!」
敵前衛に銃を撃ち放ちながら、ザルクが叫ぶ。第100歩兵大隊で厄介なのは敵の連携だ。ザルクは相手の足を止めてその動きを止め、後衛に向かう道を作る。戦術的にも一番の難敵であるフォートシャフトをフリーにさせる事は悪手である。
「恩に着る」
そう告げて、アデルは後衛にいるフォートシャフトに迫る。自分と似たカタクラフト。かつて自分を犠牲にした上司。その恨みがないわけではないが、今はイ・ラプセルを守る自由騎士として斬りかかる。憎悪でもなく復讐でもなく、もっと大事な理由で。
「オレは盾。世界で一番強い盾だ。護るものが背中にある限り、オレは立ち続ける!」
敵の攻撃を受けながら、ナバルは立ち上がる。仲間や国を護ろうとする不屈の精神、幾多の戦いで鍛えられた肉体と盾の技量。それらが下地となって、この場所に立っている。どれか一つでも欠けていれば、今立ってはいないだろう。
「出し惜しみする余裕などないか」
肩で息をつくようにテオドールが口を開く。できるだけ多くの敵を巻き込み術を解き放つが、広範囲の魔術はその分消費も大きい。魔術師としては世界屈指と言っても過言ではないテオドールとはいえ魔術を連発すれば枯渇してしまう。
「鍵を持つモノを探す余裕は……ないか」
魔術を放ちながら、マグノリアは大陸弾道砲の制御室の鍵を持つヒトを探していたが、鍵の大きさや形状が分からない事もあり断念した。どの道相手を倒さないと取ることもできないのだ。今は戦う事に専念しよう。
「節約せねば持たんが、出し惜しんでると皆殺し。中々酷い有様だなおい」
魔力が枯渇したツボミは、医療魔術の基本技で仲間を癒していた。この場合の皆殺しはイ・ラプセル首都サンクディゼールに住む人を含めた皆殺しだ。愚痴ってどうにかなるわけではないと分かっていても、愚痴を挟みたくなる状況である。
「皆様の事は信じています! 私は私のできる事を!」
盾を構えて仲間を守るデボラ。大陸弾道砲発射までの時間は刻一刻と迫っている。それでも焦らないのは皆を信じているからだ。これまで戦った仲間達。ここまでたどり着いた自由騎士。業況は厳しくとも、負ける事はないと信じている。
「戦争は、終わらない……終わらな……」
「へへー。またにげれば……」
「や……一緒にいたい、の……」
自由騎士達はブラントとリュノーとヴィンプフェリングを倒す。だが自由騎士も相応のダメージを負った。
「最後まで立ってられないのは不服ですが、役目は果たしました……」
「くそ……ここまで、か」
度重なる猛攻で、デボラとナバルが膝を折る。そのまま意識を失い倒れ伏した。
「まだ、倒れないよ……!」
「苛烈だな。だが我らの心を折るにはまだ足りぬ」
「ふん、もはや出涸らしだ。やれるだけやるさ」
タンク役の守りがなくなり、マグノリア、テオドール、ツボミがフラグメンツを燃やす。大陸弾道砲の呪いをはねのけ、立ち上がった。
自由騎士は防御の要を失い、癒し手の魔力は枯渇している。フラグメンツも燃やしており、息絶え絶えの状態で武器を振るう。
第100歩兵大隊も相応にダメージを受け、大きく疲弊している。元より癒し手を連れてきていない分、総合火力ではこちらが勝る形だ。
そして大陸弾道砲の熱気が厄介だ。第100歩兵大隊は熱気に耐える装備を施しており、自由騎士はそれを癒し手に担わせた。その癒し手が疲弊している以上、熱気に体力を奪われるのは避けられない。
勝利の天秤は少しずつ、第100歩兵大隊へと傾いていく。熱気と敵の攻撃で、倒れていく自由騎士達。
「その傷ではもう動けまい」
胸部を貫いた弾丸を受け、倒れるアデル。
戦場で立っていたのはアデルとフォートシャフト。それ以外の者は戦いの中で倒れ伏した。そしてアデルも今、凶弾を受けて膝をつく。
「仲間を盾に出来れば、今の弾を避けれただろう。それが出来なかったのがお前の敗因だ」
「今、俺の攻撃を庇わせたようにか」
「絆や家族ごっこもこういう時に役に立つ」
アデルの槍を受けて倒れたケレンを見ながら、フォートシャフトは冷たく答える。
「貴様にとって、仲間は道具か?」
「今更だな。それが出来ない甘さがあるからお前は今は倒れている」
「そうだな。俺は甘い。仲間を駒としては扱えない」
フォートシャフトの言葉を認めるように、アデルは言葉を吐く。それが出来ていたのなら、この状況にはならなかっただろう。
「だからこそ至れる極地がある。勝利の為に最大効率で命を賭ける覚悟なら、お前に負けるつもりはない」
槍を握りしめる。体を動かすたびに胸の傷が痛み、体中が動くなと警告するがそれを無視する。命を賭けるのはまさにこの時。大陸弾道砲も、国家間の戦争という事も、今は関係ない。敵を倒す。その為だけに命を賭ける。
「仲間の命を道具にするのではなく、信頼して共に戦う。そして自分の命を賭けて、勝利を掴む。
勝つために知恵を絞り、準備を怠らず、鍛錬を惜しまず、ありとあらゆる『負け』の可能性を排除する。それこそが俺の『冷静沈着(カームムーブ)』。お前の『動じぬ指揮(カームムーブ)』とは違う道だ!」
アデルの動きに気付き、回避行動をとるフォートシャフト。これが最後のあがき。これを避けて脳天に一撃喰らわせればそれで終わ――何かが足に引っかかった。自分を庇ったケレン。それがフォートシャフトの回避をわずかに止める。
僅か停止。しかしアデルの槍はその時間を逃さず、フォートシャフトの胸に迫る。
「何となくは気付いていた。父親なんだろう、お前が、俺の」
槍から伝わる確かな感覚。心臓を貫いたその感触を確認しながら、アデルは告げる。
「……終わりだ」
相手の絶命を確認し、槍を振るうアデル。第100歩兵大隊の指揮官バートランド・フォートシャフト少佐の体は、力無く地面に転がった。
●
『最終安全装置、解除。大陸弾道砲、発射準備完了』
『秒読み開始。10、9、8、7――』
「停止完了……!」
「ギリギリ、でしたわ……!」
制御室に入った自由騎士達は息絶え絶えに床に崩れ落ちる。あの戦いの後、アデルに無理矢理起こされ、応急処置もせずに走ってきたのだ。
「コイツはどうする? 二十年分の怨念がこもってるんだろ?」
「モリグナを倒せば、デウスギアの力は消える。このまま放置でいいだろう」
大陸弾道砲をどうするか、を話し合って最終的には撃たずに置いておくことになった。神の力が消えればデウスギアも力を失う。それまでに誰かが砲を動かすという事はないだろう。
「疲れたが、急いで城攻めに加勢しないとな」
「そうだな。あとひと息で、神の蟲毒は終わるんだ」
痛む体に鞭を打ち、自由騎士達は立ち上がる。ヴィスマルク王城をせめ、そこにいる女神モリグナを殺す。神の蟲毒と呼ばれる戦争は、それで決着がつく。
(これで、戦いは終わる……世界の白紙化を止める為の手段が手に入る)
五柱の神の力。これにより世界の白紙化は避けられる。それはアクアディーネを始めとした、イ・ラプセルの悲願だ。
自由騎士達は自らに活を入れ、王城へと足を運ぶのであった――
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
重傷
称号付与
†あとがき†
どくどくです。
……アンチカース嫌い!
以上の結果になりました。
第100歩兵大隊はお客様のアイデアですが、そこをどくどく風に仕上げた形です。ヴィスマルクにおける外国人部隊の扱いはやはり低く、自由騎士と良い対比になったと思います。
MVPはハビッツ様に。アニムス使用の覚悟もありますが、見事な立ち回りに対する評価です。
ヴィスマルク決戦の結果は、まだわかりません。神の蟲毒がどうなるか、楽しみに待っております。
それではまた、イ・ラプセルで。
=================
ラーニング成功
●スキル名:カームムーブ(れいせいちんちゃく)
いかなる状況でも惑わぬ冷静な動き。戦いの末、アデル・ハビッツ(CL3000496)が至った道。
……アンチカース嫌い!
以上の結果になりました。
第100歩兵大隊はお客様のアイデアですが、そこをどくどく風に仕上げた形です。ヴィスマルクにおける外国人部隊の扱いはやはり低く、自由騎士と良い対比になったと思います。
MVPはハビッツ様に。アニムス使用の覚悟もありますが、見事な立ち回りに対する評価です。
ヴィスマルク決戦の結果は、まだわかりません。神の蟲毒がどうなるか、楽しみに待っております。
それではまた、イ・ラプセルで。
=================
ラーニング成功
●スキル名:カームムーブ(れいせいちんちゃく)
いかなる状況でも惑わぬ冷静な動き。戦いの末、アデル・ハビッツ(CL3000496)が至った道。
FL送付済