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Eat! パンケーキを食べるだけの依頼です

●ブレインストーミングより
「僕は自由騎士団の今後を考えあんぱん早食い大会があると良いんじゃないかと思うよ……!!」
「クリームパンやコッペパンでもよろしいかと思いますわ!!」
「WBRでパンプキンケーキの早食い大食い大会ならあったよ!」
●天使のような悪魔の笑顔
「よーし。じゃあ私がたくさん作るからね!」
『元気印』クラウディア・フォン・プラテス(nCL3000004)はその二つ名に恥じぬ元気良さで厨房に向かう。
かくしてラウンジにクラウディアが作った大量のパンケーキが並ぶのであった……。
「僕は自由騎士団の今後を考えあんぱん早食い大会があると良いんじゃないかと思うよ……!!」
「クリームパンやコッペパンでもよろしいかと思いますわ!!」
「WBRでパンプキンケーキの早食い大食い大会ならあったよ!」
●天使のような悪魔の笑顔
「よーし。じゃあ私がたくさん作るからね!」
『元気印』クラウディア・フォン・プラテス(nCL3000004)はその二つ名に恥じぬ元気良さで厨房に向かう。
かくしてラウンジにクラウディアが作った大量のパンケーキが並ぶのであった……。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.イキロ……
2.だがパンケーキは全部食え!
2.だがパンケーキは全部食え!
どくどくです。
この依頼は『ブレインストーミングスペース#1』の、
『アダム・クランプトン(CL3000185) 2018年11月14日(水) 00:40:20』
『ジュリエット・ゴールドスミス(CL3000357) 2018年11月14日(水) 00:42:45』
『カーミラ・ローゼンタール(CL3000069) 2018年11月14日(水) 00:51:57』
より派生したシナリオです。当該PCの参加を強要するものではありません。
どうしてこうなった、とか聞きません。
●説明ッ!
場所はイ・ラプセル城内。自由騎士達のラウンジ。そこのクラウディアの作ったパンケーキが大量に並んでいます。
端的に言えば不味いです。プロフィールの言葉をそのまま言えば、壊滅的です。そしてギャグシナリオ補正が入るため、決戦依頼ボス級のスキル攻撃をもろに受けた程の衝撃が待っています。アニムスとかを超越した何かがまっています。知らんけど。
せめてもの情けで、お茶(普通の味)類は完備されています。末期の水かもしれませんが。
ぶっちゃければ、不味いパンケーキを食べて七転八倒するだけのシナリオです。
なおいつもの如くプレイングなどに【覚悟完了】と書かれたキャラクターは、容赦なく描写させていただきます。かしこ。
皆様のプレイングをお待ちしています。
この依頼は『ブレインストーミングスペース#1』の、
『アダム・クランプトン(CL3000185) 2018年11月14日(水) 00:40:20』
『ジュリエット・ゴールドスミス(CL3000357) 2018年11月14日(水) 00:42:45』
『カーミラ・ローゼンタール(CL3000069) 2018年11月14日(水) 00:51:57』
より派生したシナリオです。当該PCの参加を強要するものではありません。
どうしてこうなった、とか聞きません。
●説明ッ!
場所はイ・ラプセル城内。自由騎士達のラウンジ。そこのクラウディアの作ったパンケーキが大量に並んでいます。
端的に言えば不味いです。プロフィールの言葉をそのまま言えば、壊滅的です。そしてギャグシナリオ補正が入るため、決戦依頼ボス級のスキル攻撃をもろに受けた程の衝撃が待っています。アニムスとかを超越した何かがまっています。知らんけど。
せめてもの情けで、お茶(普通の味)類は完備されています。末期の水かもしれませんが。
ぶっちゃければ、不味いパンケーキを食べて七転八倒するだけのシナリオです。
なおいつもの如くプレイングなどに【覚悟完了】と書かれたキャラクターは、容赦なく描写させていただきます。かしこ。
皆様のプレイングをお待ちしています。
状態
完了
完了
報酬マテリア
1個
1個
1個
2個




参加費
100LP [予約時+50LP]
100LP [予約時+50LP]
相談日数
6日
6日
参加人数
8/8
8/8
公開日
2018年12月24日
2018年12月24日
†メイン参加者 8人†
●
「何処からどう見ても普通のパンケーキだねえ……」
ラウンジに並んだパンケーキを見てトミコ・マール(CL3000192)はそう判断するしかない、と言う渋い顔をする。クラウディアに作り方を聞いたところ、合格点とばかりの返答まで帰ってきた。普通に作り、普通に焼いたパンケーキ。それ以外の何物でもない。
「試食……したんだよね。本人もそう言ってたもんね。だから大丈夫だよね」
『お菓子大好き』シア・ウィルナーグ(CL3000028)は何度も本人に確認を取ったことを復唱し、鼓舞するように拳を握る。クラウディアのあの目は嘘を言っている眼ではなかった。だから目の前のパンケーキはパンケーキなのだ。
「そう、パンケーキに罪は無いのじゃ……さりとて、焼いた者にも罪は無い……」
自らを論理武装するように『ビッグ・ヴィーナス』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)は言葉を繰り返す。それは戦地に向かう騎士の如く。これより始まる死闘を前に辞世の句を読むが如くの潔さ。戦友よ我が亡骸を超えて行け。
「クラウディアさん作かー。そっかー。……そう言えば、美味しいおやつ、とは聞かなかったっけ」
はっはっは、と乾いた笑いを浮かべる『真実までは後少し』ライチ・リンドベリ(CL3000336)。いや、WBRのクラウディアソースはお祭りの冗談だ。だいたいあんな神がかったデスソースなどそんなに作れるものではない。はい、フラグね。
「なんで一部のヤツらは浮かない顔してんだ?」
首をひねって疑問符を浮かべる『本音が建前を凌駕する男』ニコラス・モラル(CL3000453)。パンケーキを食べるだけの依頼と聞いて喜んでやってきたという。知らないということは幸せな事だ。
「エイラ食ベる好キ! パンケーキ美味イ好キ。好キ好キ合ワさる良イ!」
知らないというこおとは幸せな事だパート2。『竜天の属』エイラ・フラナガン(CL3000406)はニコニコした顔でパンケーキを見ていた。そう、それは悪意を知らない純粋な子供。好きなだけ食べていいよと言う善意に喜ぶ穢れなき心。
「よくわからんが、そんなに気合いを入れなくても大丈夫だろう」
一部の参加者を見て『スケープゴート』ウィルフリード・サントス(CL3000423)は椅子に座る。鼻腔をくすぐる甘い香り。それが心を落ち着かせてくれるのを感じていた。それにしてもその称号は――いや、何も言うまい。
「女神よ。今日も無事に仕事を終え、糧を得られる幸せに感謝します。日々の労働と平和に(以下略))」
パンケーキを前の黙々と祈りを捧げる『空に舞う黒騎士』ナイトオウル・アラウンド(CL3000395)。女神アクアディーネに捧げるいのりはこの後五分ほど続き、その後で聖印を天に掲げて瞑想する。一連の儀式が終わった後でフォークを手にした。
繰り返そう。パンケーキである。
表面は程よく焼いたことを示す焼き色が広がり、味付けにハチミツが添えられている。フォークを指せばその弾力が手から伝わり、少し持ち上げれば甘い香りが空間を支配する。唇に近づけれるにつれてにパンの温かさが空気を通して伝わってくる。
何処からどう見てもパンケーキ。誰が見てもパンケーキ。再三繰り返すがパンケーキなのだ。
自由騎士達は意を決し(一部は何も知らないままに)、パンケーキを口に運んだ。
●
パンケーキにフォークを突き刺す。
フォークを持つ手から伝わる柔らかな感覚。それは程よく焼かれたことを示す感触。そのまま力を込めて深く突きさし、その穴からパンケーキに挟まれたソースがとろりと浮かび上がってくる。
適度な大きさに切り分けたパンケーキを口に運ぶ。その間に鼻に届く甘い香り。それが食欲を促進させ、期待を増幅させる。空腹を満たすのは動物の欲求。そして美味を求めるのは人間の欲求。本能と理性。相反する二つを満たすべく、パンケーキを口にした。
違和感。
最初に感じたのは違和感だ。これはパンケーキなのか? 否、パンケーキなのだろうか? 確かに食感はパンケーキだ。しかし何かが違う。言語化できない何かがこれがパンケーキではないと告げていた。あえて例えるならパソケーキ、いいやバンケーキ、はたまたパン々ーキ……違うのに違うことが分からないから、なお怖い。
そしてその違和感を探ろうとさらにもう一口――ソースが絡んだ部分を含み舌で味わう。ソースとケーキが混ざり合い、融合する。その瞬間、自由騎士達は不思議な感覚に見舞われた。
例えるなら『甘さ』と言う属性を持った大きさ一センチほどのスライムが大量に全身を這って動いているような感覚。口元から首筋、背中、腰、足元まで秒速一センチでゆっくりとスライムが進む。ねとねととした感覚が体中に伝わり、全身を粘液が愛撫するように刺激する。
そしてパンケーキを飲み込んだ体内からも神経を通してその感覚が伝わってくる。胃から血管内を進んで心臓にいたり、余すことなく全身を通って脳に至る。外からと中からと。その両側から自由騎士の全身を『甘さ』が刺激していく。
未知ともいえるその感覚を前に『吐き出す』と言う反射的な行為すら封じられていた。全ての行動を『甘さ』により支配され、呼吸すらままならない状態。甘さを感じること以外何もできない――否『甘さ』に体中を支配されていた。
実際には十秒に満たない事だったのだろう。しかし自由騎士達の体感からすれば丸一日甘味地獄に捕らわれていた。馬鹿な、ありえない。だがしかし時計の針は現実を冷酷に指し示し、目の前のパンケーキは質量として存在している。
紅茶を飲み、口の中を一掃する。一息ついた自由騎士達は何とか平常心を取り戻していた。
「パンケーキテロ……!? 見栄えはいいのにどうして!?」
呼吸を整えながらシアはパンケーキを見る。パンケーキに罪はない。そうだとわかっていてもそう言いたくなった。確かにこれは他の人には食べさせられない。だけど食べきれるかと言われると甚だ疑問だった。
「これは……どうすればいいのか悩みどころだねぇ……」
トミコは腕を組んでどうすればこの味を緩和できるのか思考していた。甘さを緩和するハーブを入れる? クリームを入れて方向性を変える? どれをしてもごまかしにしかならない気がする。それでもやらないよりはマシだろうか、とソースを作り始めた。
「こういう時のロストペイン! ……よーし、何も感じない! ごめんね、これ、自分にしか使えないんだって。他の人にも使えたら道連れ増やせたのにね」
ライチはクローリーから教わった魔術を使い、感覚を麻痺させる。しかしライチは忘れていた。あるいは無視していた。テキスト後半に書いてある文章を。『ケガや病気が治るわけではありません』の一文を。
「Caaaaaaaaaakeeeeeeeeeeee!」
兜をかぶり、狂ったように叫ぶナイトオウル。女神が『パンケーキお好きなんですか?』と推測されたのだから、天地がひっくり返ってもパンケーキを好きでなければならない。理性を飛ばしてでも食べ続ける。
「ななな、何!? 何 こノ。コレ……何。何!」
言語消失とばかりにエイラは悶絶する。まさに青天のへきれき。パンケーキと思って食べた物が、パンケーキではないマテリアルだったとは。イブリースすら浄化する自由騎士だが、それとは別の世界の脅威。それを前に、ただ悶えるしかない。
「現実とは何なのか。真実は何処なのか。それは悩むほど遠ざかる蒼い星の如く……」
ニコラスはまるで人が変わったかのようにぶつぶつと呟いていた。パンケーキと言う何かに。この現実を前に疑問を抱き、この現象の真実を求めているのだろうか? しかしそれは悩むほど遠ざかっていた。
「悪食だからと言って、この『感覚』を誤魔化すことはできない……。食戦士だから無限に食べられる……まさに無限甘味地獄!」
ウィルフリードは無意識にパンケーキにフォークを突き刺し、口に運んでいた。それは無限の食欲が生む中毒症状。理性がそれを拒んでも、体が甘味に支配されて求めてしまう。これはやばいと分かっていても、体はもう止められなかった。
「ああ なにかがよんでおる。彗星かなあ……違うな、あれはご先祖様じゃな。あっ、昔飼ってた猫のタマ……」
『鉄血』+『食戦士』。すなわち国家に対する忠義を誓う無限の胃袋を持つシノピリカは、愛する国民のために自ら進んでパンケーキを喰らう。クラウディアに罪はない。国が生んだ小麦粉に罪はない。ならば食らうのみ。鉄の意志がフォークを動かしていた。
焼き立てのパンケーキの湯気が、ゆらゆらと昇っていた。
●
次のパンケーキはイチゴジャムとの融合だった。
赤く輝くイチゴジャムがパンケーキに絡み、相乗効果を生み出す。イチゴの酸味がフレッシュに際立てられて、口から鼻腔へと匂いが湧き戻る。それは胃酸を数十倍にしたような酸っぱさ。甘味の要素は消え、突き刺すようなボディブローに似た衝撃が自由騎士を襲う。
勿論殴られたわけではない。だがその衝撃は確かに体を貫き、脳を支配する。これが戦いなら、相手の動きを予測して回避ができるだろう。だがこれはパンケーキだ。その動きなど予測できるはずがない。
トミコの経験から生まれたソースは、確かにこの衝撃を緩和してくれただろう。
それでもなお、残るものはある。それはこの世に刻まれた楔。呪いに似た奇跡。水鏡の女神すら見ることのできなかった世界の終わり――
(パンケーキは素晴らしい女神はパンケーキという神聖な料理をこの世に与えてくださったパンケーキと祈りの時間を欠かしてはならないパンケーキこそが至高にして究極の料理病める時もパンケーキを食べよ健やかなる時もパンケーキを食べよ富める時もパンケーキを食べよ貧しき時もパンケーキを食べよパンケーキを愛せよパンケーキを敬えよパンケーキは権利であるパンケーキは義務であるパンケーキを汚すなかれよパンケーキの為に生きよパンk――)
ナイトオウルは心の中で黙々と呟きながらパンケーキを口に運んでいた。口にするたびに体に様々な症状が起きるが、それでもなお止めることはない。それは女神アクアディーネに対する信念。吐き出すことは許されない。
「お菓子に罪は無いっ……無い……罪は……ううっ……」
苦しそうに悶えるシア。暴走しそうになる心を堪えるように言葉を放ち、自らを律していた。お菓子大好き。お菓子は美味しい。しかしその心もパンケーキを口にするたびに崩れていく。繰り返されるパンケーキの凌辱に最後の理性が必死で呼びかけている状態だ。純粋な少女騎士の心はもう、陥落寸前だった。
「悪意がないのはわかるし、クラウディアが善意で作ったのも分かる。さあ、どんどん食べるよ!」
気合を入れてトミコが新たなパンケーキにフォークを刺す。料理に関して百戦錬磨のトミコだからこそこの状態が維持できる。否、トミコでさえ気合を入れなければ対抗できない料理。まさに食の大戦。小麦粉を主食とするイ・ラプセルの食文化分水嶺ともいえる戦いだ。
「……ぐ、ほぐぶはぁ!? まさか……時間切れ……?」
アレイスター魔法により痛みを誤魔化していたライチ。しかしどのような魔法も無限には続かない。主にSTの都合で切れたりするのだ。ひでぇ。そしてパンケーキの衝撃は消えてなくなっていたのではない。むしろ溜まっていた衝撃が一斉に襲い掛かってきたかのようにライチに降り注いだ。甘さが、食感が、衝撃が。上下左右外内肉体精神火水風土光闇……あらゆる感覚が一斉にライチを襲う。
「……あれは……」
ライチの目の前に、もう一人の自分がいる。かつて英雄を求めて突き進んでいた自分。間違っていないことを間違っていないと真っ直ぐに主張し、それが正しいと疑わなかった自分。それが……通り過ぎていく。
あのライチは何処に行くのだろう。振り向く権利は今のライチにはなかった。それを選ばなかったのが自分なのだから。通り過ぎた自分を前に生まれた感情の正体は、わからない。ただ言えるのは――早く現実に戻ってパンケーキ食べなきゃ。それだけだ。
「ここは……ヘルメリア……?」
灰色の空。立ち並ぶビル。その間を繋ぐ蒸気配管。それはニコラスの記憶にあるヘルメリアそのものだった。工作兵であるニコラスはその機密性もあり軍服に袖を通さない。今は修理屋のツナギを着ていた。
(確か……そうだ、ここにガスを仕掛ける任務で……。覚えている。この後、この建物の人間全員が死ぬ……)
その時はガスの内容を聞かされていなかった。ただ命令のままにガスを仕掛け、後に詳細を知ったのだ。議会に楯突く二人を殺すために、無関係な三四人も死ぬ。暗殺よりも皆殺しの方が楽だから。そんな工作。
(チクショウ、これは過去だ。ここで別の行動をとっても、今が変わるわけじゃない――)
これがパンケーキが見せた幻覚であることは解っている。過去は変わらない。罪は消えない。だけど――だからこそ、同じ轍は踏めなかった。踏みたくなかった。
ガスの装置を持ち、場から放れるニコラス。脱走の手段を頭の中で展開し、蒸気の街を走り始めた。
「ウゴゥルブブブルブ……ココ……ハ?」
エイラは気がつくと真っ暗な空間にいた。上下左右の間隔もなく、水の中で浮かんでいるような浮遊感がある。
<まさかここに来るものがいようとはな。……ふむ、何らかのショックで存在位相がずれたのか>
声はエイラの頭の中に直接響く。意味は全く分からないが、それを意に介さぬとばかりに説明は続く。
<簡単に言えば過大な情報負荷が君の精神を微分可能なレスタル構造に変化させ、量子的に虚枢軸を持つ一四次関数の状況を感知できるようになった状態だ。氾濫する意識が遊弋し、生命活動によって脳に留まるはず表層心理を乖離させている>
「エイラ、頭悪イカラ、全然ワカラン……」
簡単に説明しているつもりなのだろうが、エイラには全く理解できなかった。
<推測だが腹足綱古腹足目リュウテン科は日照温度風速波長と言った環境要因で刺の有無が変化する。すなわち適者生存能力が高く、精神的な危機からブレイクスルーともいえる幾何学進化を果たしたということだろう>
「マスマスワカラン。……エイラ、帰リタイ」
耳を塞いでも聞こえてくる意味不明な言葉に、うんざりするエイラであった。
「無限のパンケーキ……そう。これが食戦士の戦いの末……」
ウィルフリードは虚しい気持ちのまま、パンケーキの丘に座り込む。パンケーキの丘!? 一瞬だけ正気を取り戻すが、すぐにこれが正しいんだと納得する。
ここはパンケーキにより構成された世界。パンケーキの大地、パンケーキの木、パンケーキの空。そしてそこに横たわる戦士たちの亡骸。この世の全てを浄化する『本物の』パンケーキを求め、パンケーキ探索に命を懸けたパンケーキ卓の騎士達。
「親友に裏切られ、部下は全て潰え、そして息子に心臓を貫かれ……」
様々な物語があった。パンケーキを求める蛮族を退け、パンケーキの妖精からケーキカットの聖剣を受け取り、無限の胃袋と悪食を経てパンケーキ探索に向かい、そんな中親友の裏切りから騎士団は崩壊し、このパンケーキの丘で今、心臓を貫かれ――
「それでも、パンケーキを求めるのだ」
そう。これは自由騎士の誇り。真実のパンケーキを求めて突き進むウィルフリードの戦い。死ぬことすら許されず、永劫不滅の肉体で苦しみながら真実の美味を探し続ける――
「ユニヴァース!?」
シノピリカは奇声を上げながら覚醒する。周りの人がびっくりするが、すぐに眠るように大人しくなった。
「列車の……中?」
周囲を見回したシノピリカの第一声はそれだった。定期的に響く線路を走る音。咆哮のように轟く煙突の排気音。等間隔で並ぶ椅子。そこに座る人たち。そして窓の外は一面の銀世界。
「どういうことじゃ。ワシはパンケーキを食べていたはず……?」
「まあ、それは幸せな時間だったのね」
呟くシノピリカに、真正面の女性が声をかけてくる。
「ここは人生の列車。魂を海に送る為の箱。心が最後に見る白い夢」
「なんとー!? ワシ、死亡状態か! 死因:パンケーキとか笑えんぞ!」
状況を察し、立ち上がるシノピリカ。そのまま列車を降りようと出口を探す。すぐに最後尾の扉を見つけ、ノブを回した。吹雪が痛いほど体を打つ。それが現実への道だと理解させた。
「戻るの? もしかしたらここでこうしている方が幸せかもしれないのに。
殺し、殺され、奪い、奪われ。勝者は責務を負い、敗者は屈辱に沈む。それが戦争。英雄であればあるほど血にまみれ、正義は自らを誤魔化す為の酒にしかならない。
そんな世界に、戻りたいの――?」
かけられる声にシノピリカは振り向くことなく答える。
「無論じゃ。そんな世界だからこそ、ワシのような軍人が必要なのじゃ」
迷いはない。
この身は国に捧げた。国民の盾になり、剣となる。戦争と言う災禍から民を守るために。
「そう。なら行きなさい。我が子の未来に、幸あらんことを――」
「え、まさかご先祖様――」
銀世界に意識が染まる。真っ白な感覚と共に魂は現実に戻っていった。
●
気がつくと、ベットの上だった。
「失敗は成功の母だよね。じゃあ次は――」
聞こえてくるクラウディアの声と厨房で何かを焼く音を聞きながら、もう無理とばかりに自由騎士達は再度意識を手放した。
「何処からどう見ても普通のパンケーキだねえ……」
ラウンジに並んだパンケーキを見てトミコ・マール(CL3000192)はそう判断するしかない、と言う渋い顔をする。クラウディアに作り方を聞いたところ、合格点とばかりの返答まで帰ってきた。普通に作り、普通に焼いたパンケーキ。それ以外の何物でもない。
「試食……したんだよね。本人もそう言ってたもんね。だから大丈夫だよね」
『お菓子大好き』シア・ウィルナーグ(CL3000028)は何度も本人に確認を取ったことを復唱し、鼓舞するように拳を握る。クラウディアのあの目は嘘を言っている眼ではなかった。だから目の前のパンケーキはパンケーキなのだ。
「そう、パンケーキに罪は無いのじゃ……さりとて、焼いた者にも罪は無い……」
自らを論理武装するように『ビッグ・ヴィーナス』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)は言葉を繰り返す。それは戦地に向かう騎士の如く。これより始まる死闘を前に辞世の句を読むが如くの潔さ。戦友よ我が亡骸を超えて行け。
「クラウディアさん作かー。そっかー。……そう言えば、美味しいおやつ、とは聞かなかったっけ」
はっはっは、と乾いた笑いを浮かべる『真実までは後少し』ライチ・リンドベリ(CL3000336)。いや、WBRのクラウディアソースはお祭りの冗談だ。だいたいあんな神がかったデスソースなどそんなに作れるものではない。はい、フラグね。
「なんで一部のヤツらは浮かない顔してんだ?」
首をひねって疑問符を浮かべる『本音が建前を凌駕する男』ニコラス・モラル(CL3000453)。パンケーキを食べるだけの依頼と聞いて喜んでやってきたという。知らないということは幸せな事だ。
「エイラ食ベる好キ! パンケーキ美味イ好キ。好キ好キ合ワさる良イ!」
知らないというこおとは幸せな事だパート2。『竜天の属』エイラ・フラナガン(CL3000406)はニコニコした顔でパンケーキを見ていた。そう、それは悪意を知らない純粋な子供。好きなだけ食べていいよと言う善意に喜ぶ穢れなき心。
「よくわからんが、そんなに気合いを入れなくても大丈夫だろう」
一部の参加者を見て『スケープゴート』ウィルフリード・サントス(CL3000423)は椅子に座る。鼻腔をくすぐる甘い香り。それが心を落ち着かせてくれるのを感じていた。それにしてもその称号は――いや、何も言うまい。
「女神よ。今日も無事に仕事を終え、糧を得られる幸せに感謝します。日々の労働と平和に(以下略))」
パンケーキを前の黙々と祈りを捧げる『空に舞う黒騎士』ナイトオウル・アラウンド(CL3000395)。女神アクアディーネに捧げるいのりはこの後五分ほど続き、その後で聖印を天に掲げて瞑想する。一連の儀式が終わった後でフォークを手にした。
繰り返そう。パンケーキである。
表面は程よく焼いたことを示す焼き色が広がり、味付けにハチミツが添えられている。フォークを指せばその弾力が手から伝わり、少し持ち上げれば甘い香りが空間を支配する。唇に近づけれるにつれてにパンの温かさが空気を通して伝わってくる。
何処からどう見てもパンケーキ。誰が見てもパンケーキ。再三繰り返すがパンケーキなのだ。
自由騎士達は意を決し(一部は何も知らないままに)、パンケーキを口に運んだ。
●
パンケーキにフォークを突き刺す。
フォークを持つ手から伝わる柔らかな感覚。それは程よく焼かれたことを示す感触。そのまま力を込めて深く突きさし、その穴からパンケーキに挟まれたソースがとろりと浮かび上がってくる。
適度な大きさに切り分けたパンケーキを口に運ぶ。その間に鼻に届く甘い香り。それが食欲を促進させ、期待を増幅させる。空腹を満たすのは動物の欲求。そして美味を求めるのは人間の欲求。本能と理性。相反する二つを満たすべく、パンケーキを口にした。
違和感。
最初に感じたのは違和感だ。これはパンケーキなのか? 否、パンケーキなのだろうか? 確かに食感はパンケーキだ。しかし何かが違う。言語化できない何かがこれがパンケーキではないと告げていた。あえて例えるならパソケーキ、いいやバンケーキ、はたまたパン々ーキ……違うのに違うことが分からないから、なお怖い。
そしてその違和感を探ろうとさらにもう一口――ソースが絡んだ部分を含み舌で味わう。ソースとケーキが混ざり合い、融合する。その瞬間、自由騎士達は不思議な感覚に見舞われた。
例えるなら『甘さ』と言う属性を持った大きさ一センチほどのスライムが大量に全身を這って動いているような感覚。口元から首筋、背中、腰、足元まで秒速一センチでゆっくりとスライムが進む。ねとねととした感覚が体中に伝わり、全身を粘液が愛撫するように刺激する。
そしてパンケーキを飲み込んだ体内からも神経を通してその感覚が伝わってくる。胃から血管内を進んで心臓にいたり、余すことなく全身を通って脳に至る。外からと中からと。その両側から自由騎士の全身を『甘さ』が刺激していく。
未知ともいえるその感覚を前に『吐き出す』と言う反射的な行為すら封じられていた。全ての行動を『甘さ』により支配され、呼吸すらままならない状態。甘さを感じること以外何もできない――否『甘さ』に体中を支配されていた。
実際には十秒に満たない事だったのだろう。しかし自由騎士達の体感からすれば丸一日甘味地獄に捕らわれていた。馬鹿な、ありえない。だがしかし時計の針は現実を冷酷に指し示し、目の前のパンケーキは質量として存在している。
紅茶を飲み、口の中を一掃する。一息ついた自由騎士達は何とか平常心を取り戻していた。
「パンケーキテロ……!? 見栄えはいいのにどうして!?」
呼吸を整えながらシアはパンケーキを見る。パンケーキに罪はない。そうだとわかっていてもそう言いたくなった。確かにこれは他の人には食べさせられない。だけど食べきれるかと言われると甚だ疑問だった。
「これは……どうすればいいのか悩みどころだねぇ……」
トミコは腕を組んでどうすればこの味を緩和できるのか思考していた。甘さを緩和するハーブを入れる? クリームを入れて方向性を変える? どれをしてもごまかしにしかならない気がする。それでもやらないよりはマシだろうか、とソースを作り始めた。
「こういう時のロストペイン! ……よーし、何も感じない! ごめんね、これ、自分にしか使えないんだって。他の人にも使えたら道連れ増やせたのにね」
ライチはクローリーから教わった魔術を使い、感覚を麻痺させる。しかしライチは忘れていた。あるいは無視していた。テキスト後半に書いてある文章を。『ケガや病気が治るわけではありません』の一文を。
「Caaaaaaaaaakeeeeeeeeeeee!」
兜をかぶり、狂ったように叫ぶナイトオウル。女神が『パンケーキお好きなんですか?』と推測されたのだから、天地がひっくり返ってもパンケーキを好きでなければならない。理性を飛ばしてでも食べ続ける。
「ななな、何!? 何 こノ。コレ……何。何!」
言語消失とばかりにエイラは悶絶する。まさに青天のへきれき。パンケーキと思って食べた物が、パンケーキではないマテリアルだったとは。イブリースすら浄化する自由騎士だが、それとは別の世界の脅威。それを前に、ただ悶えるしかない。
「現実とは何なのか。真実は何処なのか。それは悩むほど遠ざかる蒼い星の如く……」
ニコラスはまるで人が変わったかのようにぶつぶつと呟いていた。パンケーキと言う何かに。この現実を前に疑問を抱き、この現象の真実を求めているのだろうか? しかしそれは悩むほど遠ざかっていた。
「悪食だからと言って、この『感覚』を誤魔化すことはできない……。食戦士だから無限に食べられる……まさに無限甘味地獄!」
ウィルフリードは無意識にパンケーキにフォークを突き刺し、口に運んでいた。それは無限の食欲が生む中毒症状。理性がそれを拒んでも、体が甘味に支配されて求めてしまう。これはやばいと分かっていても、体はもう止められなかった。
「ああ なにかがよんでおる。彗星かなあ……違うな、あれはご先祖様じゃな。あっ、昔飼ってた猫のタマ……」
『鉄血』+『食戦士』。すなわち国家に対する忠義を誓う無限の胃袋を持つシノピリカは、愛する国民のために自ら進んでパンケーキを喰らう。クラウディアに罪はない。国が生んだ小麦粉に罪はない。ならば食らうのみ。鉄の意志がフォークを動かしていた。
焼き立てのパンケーキの湯気が、ゆらゆらと昇っていた。
●
次のパンケーキはイチゴジャムとの融合だった。
赤く輝くイチゴジャムがパンケーキに絡み、相乗効果を生み出す。イチゴの酸味がフレッシュに際立てられて、口から鼻腔へと匂いが湧き戻る。それは胃酸を数十倍にしたような酸っぱさ。甘味の要素は消え、突き刺すようなボディブローに似た衝撃が自由騎士を襲う。
勿論殴られたわけではない。だがその衝撃は確かに体を貫き、脳を支配する。これが戦いなら、相手の動きを予測して回避ができるだろう。だがこれはパンケーキだ。その動きなど予測できるはずがない。
トミコの経験から生まれたソースは、確かにこの衝撃を緩和してくれただろう。
それでもなお、残るものはある。それはこの世に刻まれた楔。呪いに似た奇跡。水鏡の女神すら見ることのできなかった世界の終わり――
(パンケーキは素晴らしい女神はパンケーキという神聖な料理をこの世に与えてくださったパンケーキと祈りの時間を欠かしてはならないパンケーキこそが至高にして究極の料理病める時もパンケーキを食べよ健やかなる時もパンケーキを食べよ富める時もパンケーキを食べよ貧しき時もパンケーキを食べよパンケーキを愛せよパンケーキを敬えよパンケーキは権利であるパンケーキは義務であるパンケーキを汚すなかれよパンケーキの為に生きよパンk――)
ナイトオウルは心の中で黙々と呟きながらパンケーキを口に運んでいた。口にするたびに体に様々な症状が起きるが、それでもなお止めることはない。それは女神アクアディーネに対する信念。吐き出すことは許されない。
「お菓子に罪は無いっ……無い……罪は……ううっ……」
苦しそうに悶えるシア。暴走しそうになる心を堪えるように言葉を放ち、自らを律していた。お菓子大好き。お菓子は美味しい。しかしその心もパンケーキを口にするたびに崩れていく。繰り返されるパンケーキの凌辱に最後の理性が必死で呼びかけている状態だ。純粋な少女騎士の心はもう、陥落寸前だった。
「悪意がないのはわかるし、クラウディアが善意で作ったのも分かる。さあ、どんどん食べるよ!」
気合を入れてトミコが新たなパンケーキにフォークを刺す。料理に関して百戦錬磨のトミコだからこそこの状態が維持できる。否、トミコでさえ気合を入れなければ対抗できない料理。まさに食の大戦。小麦粉を主食とするイ・ラプセルの食文化分水嶺ともいえる戦いだ。
「……ぐ、ほぐぶはぁ!? まさか……時間切れ……?」
アレイスター魔法により痛みを誤魔化していたライチ。しかしどのような魔法も無限には続かない。主にSTの都合で切れたりするのだ。ひでぇ。そしてパンケーキの衝撃は消えてなくなっていたのではない。むしろ溜まっていた衝撃が一斉に襲い掛かってきたかのようにライチに降り注いだ。甘さが、食感が、衝撃が。上下左右外内肉体精神火水風土光闇……あらゆる感覚が一斉にライチを襲う。
「……あれは……」
ライチの目の前に、もう一人の自分がいる。かつて英雄を求めて突き進んでいた自分。間違っていないことを間違っていないと真っ直ぐに主張し、それが正しいと疑わなかった自分。それが……通り過ぎていく。
あのライチは何処に行くのだろう。振り向く権利は今のライチにはなかった。それを選ばなかったのが自分なのだから。通り過ぎた自分を前に生まれた感情の正体は、わからない。ただ言えるのは――早く現実に戻ってパンケーキ食べなきゃ。それだけだ。
「ここは……ヘルメリア……?」
灰色の空。立ち並ぶビル。その間を繋ぐ蒸気配管。それはニコラスの記憶にあるヘルメリアそのものだった。工作兵であるニコラスはその機密性もあり軍服に袖を通さない。今は修理屋のツナギを着ていた。
(確か……そうだ、ここにガスを仕掛ける任務で……。覚えている。この後、この建物の人間全員が死ぬ……)
その時はガスの内容を聞かされていなかった。ただ命令のままにガスを仕掛け、後に詳細を知ったのだ。議会に楯突く二人を殺すために、無関係な三四人も死ぬ。暗殺よりも皆殺しの方が楽だから。そんな工作。
(チクショウ、これは過去だ。ここで別の行動をとっても、今が変わるわけじゃない――)
これがパンケーキが見せた幻覚であることは解っている。過去は変わらない。罪は消えない。だけど――だからこそ、同じ轍は踏めなかった。踏みたくなかった。
ガスの装置を持ち、場から放れるニコラス。脱走の手段を頭の中で展開し、蒸気の街を走り始めた。
「ウゴゥルブブブルブ……ココ……ハ?」
エイラは気がつくと真っ暗な空間にいた。上下左右の間隔もなく、水の中で浮かんでいるような浮遊感がある。
<まさかここに来るものがいようとはな。……ふむ、何らかのショックで存在位相がずれたのか>
声はエイラの頭の中に直接響く。意味は全く分からないが、それを意に介さぬとばかりに説明は続く。
<簡単に言えば過大な情報負荷が君の精神を微分可能なレスタル構造に変化させ、量子的に虚枢軸を持つ一四次関数の状況を感知できるようになった状態だ。氾濫する意識が遊弋し、生命活動によって脳に留まるはず表層心理を乖離させている>
「エイラ、頭悪イカラ、全然ワカラン……」
簡単に説明しているつもりなのだろうが、エイラには全く理解できなかった。
<推測だが腹足綱古腹足目リュウテン科は日照温度風速波長と言った環境要因で刺の有無が変化する。すなわち適者生存能力が高く、精神的な危機からブレイクスルーともいえる幾何学進化を果たしたということだろう>
「マスマスワカラン。……エイラ、帰リタイ」
耳を塞いでも聞こえてくる意味不明な言葉に、うんざりするエイラであった。
「無限のパンケーキ……そう。これが食戦士の戦いの末……」
ウィルフリードは虚しい気持ちのまま、パンケーキの丘に座り込む。パンケーキの丘!? 一瞬だけ正気を取り戻すが、すぐにこれが正しいんだと納得する。
ここはパンケーキにより構成された世界。パンケーキの大地、パンケーキの木、パンケーキの空。そしてそこに横たわる戦士たちの亡骸。この世の全てを浄化する『本物の』パンケーキを求め、パンケーキ探索に命を懸けたパンケーキ卓の騎士達。
「親友に裏切られ、部下は全て潰え、そして息子に心臓を貫かれ……」
様々な物語があった。パンケーキを求める蛮族を退け、パンケーキの妖精からケーキカットの聖剣を受け取り、無限の胃袋と悪食を経てパンケーキ探索に向かい、そんな中親友の裏切りから騎士団は崩壊し、このパンケーキの丘で今、心臓を貫かれ――
「それでも、パンケーキを求めるのだ」
そう。これは自由騎士の誇り。真実のパンケーキを求めて突き進むウィルフリードの戦い。死ぬことすら許されず、永劫不滅の肉体で苦しみながら真実の美味を探し続ける――
「ユニヴァース!?」
シノピリカは奇声を上げながら覚醒する。周りの人がびっくりするが、すぐに眠るように大人しくなった。
「列車の……中?」
周囲を見回したシノピリカの第一声はそれだった。定期的に響く線路を走る音。咆哮のように轟く煙突の排気音。等間隔で並ぶ椅子。そこに座る人たち。そして窓の外は一面の銀世界。
「どういうことじゃ。ワシはパンケーキを食べていたはず……?」
「まあ、それは幸せな時間だったのね」
呟くシノピリカに、真正面の女性が声をかけてくる。
「ここは人生の列車。魂を海に送る為の箱。心が最後に見る白い夢」
「なんとー!? ワシ、死亡状態か! 死因:パンケーキとか笑えんぞ!」
状況を察し、立ち上がるシノピリカ。そのまま列車を降りようと出口を探す。すぐに最後尾の扉を見つけ、ノブを回した。吹雪が痛いほど体を打つ。それが現実への道だと理解させた。
「戻るの? もしかしたらここでこうしている方が幸せかもしれないのに。
殺し、殺され、奪い、奪われ。勝者は責務を負い、敗者は屈辱に沈む。それが戦争。英雄であればあるほど血にまみれ、正義は自らを誤魔化す為の酒にしかならない。
そんな世界に、戻りたいの――?」
かけられる声にシノピリカは振り向くことなく答える。
「無論じゃ。そんな世界だからこそ、ワシのような軍人が必要なのじゃ」
迷いはない。
この身は国に捧げた。国民の盾になり、剣となる。戦争と言う災禍から民を守るために。
「そう。なら行きなさい。我が子の未来に、幸あらんことを――」
「え、まさかご先祖様――」
銀世界に意識が染まる。真っ白な感覚と共に魂は現実に戻っていった。
●
気がつくと、ベットの上だった。
「失敗は成功の母だよね。じゃあ次は――」
聞こえてくるクラウディアの声と厨房で何かを焼く音を聞きながら、もう無理とばかりに自由騎士達は再度意識を手放した。
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
重傷
称号付与
『パンケーキを愛する者』
取得者: ナイトオウル・アラウンド(CL3000395)
『終ノ彼方 鉄ノ貴女』
取得者: シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)
『パンケーキ卓の騎士』
取得者: ウィルフリード・サントス(CL3000423)
『『 』に至る魂』
取得者: エイラ・フラナガン(CL3000406)
『人とお菓子を憎まぬ少女騎士』
取得者: シア・ウィルナーグ(CL3000028)
『その過去は消えぬけど』
取得者: ニコラス・モラル(CL3000453)
『運命を変える料理人』
取得者: トミコ・マール(CL3000192)
『交差する過去、行く現在』
取得者: ライチ・リンドベリ(CL3000336)
取得者: ナイトオウル・アラウンド(CL3000395)
『終ノ彼方 鉄ノ貴女』
取得者: シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)
『パンケーキ卓の騎士』
取得者: ウィルフリード・サントス(CL3000423)
『『 』に至る魂』
取得者: エイラ・フラナガン(CL3000406)
『人とお菓子を憎まぬ少女騎士』
取得者: シア・ウィルナーグ(CL3000028)
『その過去は消えぬけど』
取得者: ニコラス・モラル(CL3000453)
『運命を変える料理人』
取得者: トミコ・マール(CL3000192)
『交差する過去、行く現在』
取得者: ライチ・リンドベリ(CL3000336)
†あとがき†
※パンケーキはこの後自由騎士(スタッフ)が美味しく頂きました。
クラウディアに悪意はありません。彼女はレピシ通り普通に作っています。
でも最後になぜか運命的なバイアスがかかって、見た目は綺麗なまずいお菓子になるそうです。そこにSTの悪ふざけがはいって、まあ、その。
MVPは最もパンケーキを喰らったであろう貴方に。選出基準は技能とプレイングです。
クラウディアに悪意はありません。彼女はレピシ通り普通に作っています。
でも最後になぜか運命的なバイアスがかかって、見た目は綺麗なまずいお菓子になるそうです。そこにSTの悪ふざけがはいって、まあ、その。
MVPは最もパンケーキを喰らったであろう貴方に。選出基準は技能とプレイングです。
FL送付済