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【白蒼激突】神の愛はいつくしみふかき

●
「そう、そうなのね。いいわ、あなた達が帰ってきたことは間違いもなくミトラース様の加護のおかげよ。ミトラース様に感謝しましょう」
魔女狩りであるソラビトの青年、ジェラルド・オーキスが片目をうしなった二人の少年を抱きしめる。
「申し訳ありません。僕たちは戻ってくるためとは言え、聖霊門をひとつイ・ラプセルのために明け渡すことになりました」
犬のケモノビトであるレイノルズ・ライが主人に頭を下げる。包帯で巻かれた彼の左目今はもうない。くり抜かれ、カッツェ・マズルの右目と共に聖堂騎士が踏み潰したのを残った瞳で見た。
国家の秘密を明渡した彼らに対してこの程度の罰で許してくれるとは、本当にミトラース様は慈悲深い愛の神だと思う。主人であるジェラルドも欠損してしまい美しさをうしなった自分たちを抱きしめてくれた。
ああ、この国に戻ってきてよかった。この国はミトラース様の愛と慈悲に満ち溢れているのだ。レイノルズは心の底から思う。
「ジェラルド様、他の魔女狩りたちは? どこかにでかけているのですか?」
猫のケモノビトのカッツェがジェラルドの部屋に仲間がいないことに気づき主に尋ねる。
「あの子達は……ニルヴァン近くに魔女狩りに行かせて……帰ってこないわ」
ジェラルドの声がワントーン低くなる。迎えに行かせたのだけれど、殺された彼らは埋められていたわ。まとめてね。
「それって……」
「そう、何者かにあの子達は殺された。そして、イ・ラプセルはニルヴァン周辺にいるのは間違いないわ。汚らわしい魔女たちがあの子達を倒すなんてできるわけがないのだから。あの子達は私が戦い方を教えたわ。そうとなれば、あの子達はイ・ラプセルに遭遇して殺されたとしか思えない。もちろんあなた達の情報を鑑みるに、あの鉄血の可能性はないとはいえないけど……」
ギリ、とジェラルドの爪がカッツェの肩に食い込む。
「イ・ラプセルはそんなことは……」
カッツェは決して悪いものではなかったイ・ラプセルでの待遇を考える。彼の国の情報を伝達をさせないため儀式だけ行わせるだけ行わせて自分たちは殺すという判断も彼らにはできたはずだ。だというのに、彼らは儀式の終わった自分たちを紳士的に通商蓮に預けた。
カッツェとてあの提案はのるかそるかの賭けであったのだ。蜘蛛の糸より細い可能性だった。自分たちが国に帰ることができるかもしれないたったひとつの方法。それは自分たちの思惑どおりに叶った。正直嘘みたいだ。
そんなお人好しにも程がある彼らが、シャンバラの兵だからといって、殺すだろうか? いや、そんなはずはないとも思う。
では、仮に鉄血が犯人だとしよう。とは言え、あの国がわざわざ敵兵をを弔うような真似をするだろうか? お人好しなイ・ラプセルだからこそわざわざ埋葬したのではないかと思う。
「僕にはわかりません」
「いや! イ・ラプセルに決まってる!!」
考えた結果どちらかわからなくなってしまったカッツェの言葉を遮るように、レイノルズは声を荒げた。彼にとってイ・ラプセルは自らに恥辱を与えた相手だ。無事に帰されたとは言え、許せるような相手ではない
「そうよ! そのとおりだわ!!」
ジェラルドはレイノルズの言葉にに向き直ると、彼の衣服を裂き、乱暴に唇を奪う。
「……っん!」
「法皇様から、ニルヴァンの奪還の命令がでたわ。聖堂騎士様たちがそれに向かうわ」
ジェラルドは何者かに大切な宝物を奪われた。その憎しみと憤りははてがない。それを解消する相手であればイ・ラプセルでもヴィスマルクでも構わない。よしんば犯人がイ・ラプセルでなければ、それならそれでヴィスマルクを屠ればいい。ここは神の国だ。神の国で不敬を働くものはすべて何もかも悪逆な怨敵だ。神が悪逆を討てというのであれば、それに従うのみ。神の敵の前に自分の敵でもある。
「では……ジェラルド様」
「当たり前よ。同行してあの子たちの仇を撃つわ。イ・ラプセルの自由騎士を捉えて、そして、むちゃくちゃにしてやるわ。あの子達が、あの野蛮人達にやられたように。めちゃくちゃに、めちゃくちゃに」
ジェラルドはレイノルズとカッツェをふたりまとめてベッドに押し倒す。
「その前に、あなた達を愛してあげる。さあ、その包帯をとって、哀れな眼孔をみせてちょうだい。優しく、優しくなめてあげるから。たとえ片目をミトラース様にささげていたとしても。あなたたちは私の大切な宝物(こぶたちゃん)よ」
●
「みんな、もう予想はできていたことだけど、水鏡に情報が映ったよ!」
『元気印』クラウディア・フォン・プラテス(nCL3000004)が両手に沢山の資料を抱えて演算室に集まったあなた達に声をかけた。
「他にもいろいろ水鏡に予知されたけど、あなた達におねがいするのは橋頭堡の死守だよ。
表側はフレデリックおじさんが担当してるから、こっちは裏側から攻めてくるシャンバラ兵を迎撃してもらうよ!
ムサシマルちゃんが、投石機を担当してくれるから、援護攻撃は任せて……いいのかなあ? うん、えっと、みんなでちゃんと説明してあげたら多分ムサシマルちゃんでもできる、かもしれない。かな?」
本当に大丈夫なのだろうかとあなた達は顔を見合わせる。
「で、来るのは……白銀騎士団の隊長エルネスト・ランベール率いる白銀騎士達とネクロマンサーのジェラルド・オーキス。まえに聖霊門の資材をもってきたひとだよ。
それとみんなも知ってると思うけど、捕虜だったレイノルズ・ライとカッツェ・マズルの二人。
その三人は私達、イ・ラプセルに強い憎しみをもっているみたい」
言って複雑そうにクラウディアは目を伏せる。無理もない。自分と対して年齢の変わらない少年が自分の故郷に対して深い憎しみをもっていることを見てしまった。
思うことはたくさんあるが、これが戦争なのだと自分で自分に言い聞かせているのだろう。
「彼らを退けて。ニルヴァンを落されるわけにはいかないから」
そういってクラウディアはあなた達に深く頭をさげた。
●
「ランベール様。私達を連れて行ってください。レイノルズとカッツェは多少なりともイ・ラプセルを知ります。お役にたてるかと」
ジェラルドは白銀騎士団隊長であるエルネスト・ランベールに上申する。
「貴殿は、奪われた部下の仇をとる、そういいたいのだな」
「左様でございますわ」
エルネストはジェラルドの瞳をみつめる。底昏い憎しみの瞳。神の愛をうけたものとは思えないほどの憎しみの瞳はエルネストの心をうつには十分だった。彼なら魔女狩りという卑賤なものではあるがそれなりに役立ってくれるだろう。
「あいわかった。我が隊はナバル卿の正面部隊を支援するための部隊であることは理解しているだろうか?」
「はい、承知の上です。私達の支援が花開き、ナバル様が落城させる力になるのであれば願ってもありません。
それに……」
「それに?」
「こちら側に自由騎士が対応にでるとしても、表を疎かにできない以上少数でしょう?
でしたら、ナバル様を囮にエルネスト様が自由騎士を屠り、内部に侵攻してもなんの問題が?」
「ふむ、なるほど、ジェラルド、貴殿らの同行を許す」
「そう、そうなのね。いいわ、あなた達が帰ってきたことは間違いもなくミトラース様の加護のおかげよ。ミトラース様に感謝しましょう」
魔女狩りであるソラビトの青年、ジェラルド・オーキスが片目をうしなった二人の少年を抱きしめる。
「申し訳ありません。僕たちは戻ってくるためとは言え、聖霊門をひとつイ・ラプセルのために明け渡すことになりました」
犬のケモノビトであるレイノルズ・ライが主人に頭を下げる。包帯で巻かれた彼の左目今はもうない。くり抜かれ、カッツェ・マズルの右目と共に聖堂騎士が踏み潰したのを残った瞳で見た。
国家の秘密を明渡した彼らに対してこの程度の罰で許してくれるとは、本当にミトラース様は慈悲深い愛の神だと思う。主人であるジェラルドも欠損してしまい美しさをうしなった自分たちを抱きしめてくれた。
ああ、この国に戻ってきてよかった。この国はミトラース様の愛と慈悲に満ち溢れているのだ。レイノルズは心の底から思う。
「ジェラルド様、他の魔女狩りたちは? どこかにでかけているのですか?」
猫のケモノビトのカッツェがジェラルドの部屋に仲間がいないことに気づき主に尋ねる。
「あの子達は……ニルヴァン近くに魔女狩りに行かせて……帰ってこないわ」
ジェラルドの声がワントーン低くなる。迎えに行かせたのだけれど、殺された彼らは埋められていたわ。まとめてね。
「それって……」
「そう、何者かにあの子達は殺された。そして、イ・ラプセルはニルヴァン周辺にいるのは間違いないわ。汚らわしい魔女たちがあの子達を倒すなんてできるわけがないのだから。あの子達は私が戦い方を教えたわ。そうとなれば、あの子達はイ・ラプセルに遭遇して殺されたとしか思えない。もちろんあなた達の情報を鑑みるに、あの鉄血の可能性はないとはいえないけど……」
ギリ、とジェラルドの爪がカッツェの肩に食い込む。
「イ・ラプセルはそんなことは……」
カッツェは決して悪いものではなかったイ・ラプセルでの待遇を考える。彼の国の情報を伝達をさせないため儀式だけ行わせるだけ行わせて自分たちは殺すという判断も彼らにはできたはずだ。だというのに、彼らは儀式の終わった自分たちを紳士的に通商蓮に預けた。
カッツェとてあの提案はのるかそるかの賭けであったのだ。蜘蛛の糸より細い可能性だった。自分たちが国に帰ることができるかもしれないたったひとつの方法。それは自分たちの思惑どおりに叶った。正直嘘みたいだ。
そんなお人好しにも程がある彼らが、シャンバラの兵だからといって、殺すだろうか? いや、そんなはずはないとも思う。
では、仮に鉄血が犯人だとしよう。とは言え、あの国がわざわざ敵兵をを弔うような真似をするだろうか? お人好しなイ・ラプセルだからこそわざわざ埋葬したのではないかと思う。
「僕にはわかりません」
「いや! イ・ラプセルに決まってる!!」
考えた結果どちらかわからなくなってしまったカッツェの言葉を遮るように、レイノルズは声を荒げた。彼にとってイ・ラプセルは自らに恥辱を与えた相手だ。無事に帰されたとは言え、許せるような相手ではない
「そうよ! そのとおりだわ!!」
ジェラルドはレイノルズの言葉にに向き直ると、彼の衣服を裂き、乱暴に唇を奪う。
「……っん!」
「法皇様から、ニルヴァンの奪還の命令がでたわ。聖堂騎士様たちがそれに向かうわ」
ジェラルドは何者かに大切な宝物を奪われた。その憎しみと憤りははてがない。それを解消する相手であればイ・ラプセルでもヴィスマルクでも構わない。よしんば犯人がイ・ラプセルでなければ、それならそれでヴィスマルクを屠ればいい。ここは神の国だ。神の国で不敬を働くものはすべて何もかも悪逆な怨敵だ。神が悪逆を討てというのであれば、それに従うのみ。神の敵の前に自分の敵でもある。
「では……ジェラルド様」
「当たり前よ。同行してあの子たちの仇を撃つわ。イ・ラプセルの自由騎士を捉えて、そして、むちゃくちゃにしてやるわ。あの子達が、あの野蛮人達にやられたように。めちゃくちゃに、めちゃくちゃに」
ジェラルドはレイノルズとカッツェをふたりまとめてベッドに押し倒す。
「その前に、あなた達を愛してあげる。さあ、その包帯をとって、哀れな眼孔をみせてちょうだい。優しく、優しくなめてあげるから。たとえ片目をミトラース様にささげていたとしても。あなたたちは私の大切な宝物(こぶたちゃん)よ」
●
「みんな、もう予想はできていたことだけど、水鏡に情報が映ったよ!」
『元気印』クラウディア・フォン・プラテス(nCL3000004)が両手に沢山の資料を抱えて演算室に集まったあなた達に声をかけた。
「他にもいろいろ水鏡に予知されたけど、あなた達におねがいするのは橋頭堡の死守だよ。
表側はフレデリックおじさんが担当してるから、こっちは裏側から攻めてくるシャンバラ兵を迎撃してもらうよ!
ムサシマルちゃんが、投石機を担当してくれるから、援護攻撃は任せて……いいのかなあ? うん、えっと、みんなでちゃんと説明してあげたら多分ムサシマルちゃんでもできる、かもしれない。かな?」
本当に大丈夫なのだろうかとあなた達は顔を見合わせる。
「で、来るのは……白銀騎士団の隊長エルネスト・ランベール率いる白銀騎士達とネクロマンサーのジェラルド・オーキス。まえに聖霊門の資材をもってきたひとだよ。
それとみんなも知ってると思うけど、捕虜だったレイノルズ・ライとカッツェ・マズルの二人。
その三人は私達、イ・ラプセルに強い憎しみをもっているみたい」
言って複雑そうにクラウディアは目を伏せる。無理もない。自分と対して年齢の変わらない少年が自分の故郷に対して深い憎しみをもっていることを見てしまった。
思うことはたくさんあるが、これが戦争なのだと自分で自分に言い聞かせているのだろう。
「彼らを退けて。ニルヴァンを落されるわけにはいかないから」
そういってクラウディアはあなた達に深く頭をさげた。
●
「ランベール様。私達を連れて行ってください。レイノルズとカッツェは多少なりともイ・ラプセルを知ります。お役にたてるかと」
ジェラルドは白銀騎士団隊長であるエルネスト・ランベールに上申する。
「貴殿は、奪われた部下の仇をとる、そういいたいのだな」
「左様でございますわ」
エルネストはジェラルドの瞳をみつめる。底昏い憎しみの瞳。神の愛をうけたものとは思えないほどの憎しみの瞳はエルネストの心をうつには十分だった。彼なら魔女狩りという卑賤なものではあるがそれなりに役立ってくれるだろう。
「あいわかった。我が隊はナバル卿の正面部隊を支援するための部隊であることは理解しているだろうか?」
「はい、承知の上です。私達の支援が花開き、ナバル様が落城させる力になるのであれば願ってもありません。
それに……」
「それに?」
「こちら側に自由騎士が対応にでるとしても、表を疎かにできない以上少数でしょう?
でしたら、ナバル様を囮にエルネスト様が自由騎士を屠り、内部に侵攻してもなんの問題が?」
「ふむ、なるほど、ジェラルド、貴殿らの同行を許す」
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.シャンバラ兵の全撃破、もしくは撃退
ねこてんです。
『白銀旗』ナディア・ナバルが攻め込む裏側から侵攻し、内部に潜り込もうとしている彼らを止めてください。
----------------------------------------------------------------------
「この共通タグ【白蒼激突】依頼は、連動イベントのものになります。同時期に発生した依頼ですが、複数参加することは問題ありません」
-----------------------------------------------
・ロケーション
森の中です。
それなりに動きにくくはあります。灯りはきにしなくてもだいじょうぶです。
・エネミー
『白銀騎士』エルネスト・ランベール オラクル・ノウブル・男性
白銀騎士団隊長。ナディアと同輩ではありますが、できればナディアよりは功を欲しいと思っています。
うまいことジェラルドに乗せられてナディアを囮にして侵入し内部で暴れることで戦功を得ようとしています。
単純な人物です。
とはいえ、ネームドですのでそれなりの強さの白銀騎士です。バトルスタイルはガーディアン。剣と盾で戦います。
ガーディアンランク2スキルまでに加え、柳凪 、鉄山靠なども使用する前衛です。
防御力は最高峰と言ってもいいでしょう。
フォレストマスター・威風急
白銀騎士×6
ランク2までのスキルを使用できるフェンサー・バスター・ドクターが2人ずつ。
練度は決して低くはありません。
全員ハイバランサー序を活性化しています。
ジェラルド・オーキス
マッチョなソラビトのネクロマンサー男性です。
ランク2までのスキルを使います。愛こそすべて。
体力、魔導力は高く、命中も高めです。
活性化技能は愛の狩人と暗視
・ネクロフィリア
・因果逆転
・リバースドレイン(対象一人に与ダメの10%回復効果を付与)
・ペインリトゥス(致命つきの範囲攻撃です・スクラッチ1)
レイノルズ・ライ
犬のケモノビトの美少年(ドクター)
練度は高め。ランク2スキルを使います。
左目はくり抜かれていてありません。
カッツェ・マズル
ネコのケモノビトの美少年(フェンサー)
速度高めです。
右目はくり抜かれていてありません。
レイノルズとカッツェはジェラルドをカバーします。
この三人は最後まで粘ることでしょう。
白銀騎士たちは基本前衛。白銀騎士ドクターは後衛。
ドクターが狙われれば防御もします。
【ムサシマルの投石機】
ポイズンを付与する投石機を合計4回ぶっ放します。範囲攻撃です。
どのタイミングでほしいかは
【ムサシマル指示】とタグのついた最新発言を参照します。とくになければ適当に撃ちます。
指示がなければ大凡20%程度の命中率になります。
指示が的確であれば命中率とダメージが大きくなります。
以上よろしくおねがいします。
『白銀旗』ナディア・ナバルが攻め込む裏側から侵攻し、内部に潜り込もうとしている彼らを止めてください。
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「この共通タグ【白蒼激突】依頼は、連動イベントのものになります。同時期に発生した依頼ですが、複数参加することは問題ありません」
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・ロケーション
森の中です。
それなりに動きにくくはあります。灯りはきにしなくてもだいじょうぶです。
・エネミー
『白銀騎士』エルネスト・ランベール オラクル・ノウブル・男性
白銀騎士団隊長。ナディアと同輩ではありますが、できればナディアよりは功を欲しいと思っています。
うまいことジェラルドに乗せられてナディアを囮にして侵入し内部で暴れることで戦功を得ようとしています。
単純な人物です。
とはいえ、ネームドですのでそれなりの強さの白銀騎士です。バトルスタイルはガーディアン。剣と盾で戦います。
ガーディアンランク2スキルまでに加え、柳凪 、鉄山靠なども使用する前衛です。
防御力は最高峰と言ってもいいでしょう。
フォレストマスター・威風急
白銀騎士×6
ランク2までのスキルを使用できるフェンサー・バスター・ドクターが2人ずつ。
練度は決して低くはありません。
全員ハイバランサー序を活性化しています。
ジェラルド・オーキス
マッチョなソラビトのネクロマンサー男性です。
ランク2までのスキルを使います。愛こそすべて。
体力、魔導力は高く、命中も高めです。
活性化技能は愛の狩人と暗視
・ネクロフィリア
・因果逆転
・リバースドレイン(対象一人に与ダメの10%回復効果を付与)
・ペインリトゥス(致命つきの範囲攻撃です・スクラッチ1)
レイノルズ・ライ
犬のケモノビトの美少年(ドクター)
練度は高め。ランク2スキルを使います。
左目はくり抜かれていてありません。
カッツェ・マズル
ネコのケモノビトの美少年(フェンサー)
速度高めです。
右目はくり抜かれていてありません。
レイノルズとカッツェはジェラルドをカバーします。
この三人は最後まで粘ることでしょう。
白銀騎士たちは基本前衛。白銀騎士ドクターは後衛。
ドクターが狙われれば防御もします。
【ムサシマルの投石機】
ポイズンを付与する投石機を合計4回ぶっ放します。範囲攻撃です。
どのタイミングでほしいかは
【ムサシマル指示】とタグのついた最新発言を参照します。とくになければ適当に撃ちます。
指示がなければ大凡20%程度の命中率になります。
指示が的確であれば命中率とダメージが大きくなります。
以上よろしくおねがいします。
状態
完了
完了
報酬マテリア
3個
3個
7個
3個




参加費
100LP [予約時+50LP]
100LP [予約時+50LP]
相談日数
7日
7日
参加人数
8/8
8/8
公開日
2019年02月15日
2019年02月15日
†メイン参加者 8人†
●
「大丈夫! 絶対できるから! 期待してるわ!」
「え~、まじでござるかぁ? 拙者天才でござるかぁ?」
「もちろんよ! 天災……もとい天才よ!」
『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)は、投石機の使い方が難しい(決して使用法はそれほど難しいといえるものではない。むしろ簡略化されているくらいである)とゴネるムサシマル・ハセ倉(nCL3000011)の肩を叩いて褒め殺す。
単純なムサシマルはそれでご機嫌になり作戦は了解と自由騎士たちを送り出した。
「なんか、つかれたわ」
そう呟いたエルシーの肩を叩き、なかなかに太鼓持ちの才能があるな、と『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)が笑う。
「そんな才能より玉の輿の才能がほしいわ……」
●
ドォンと大音響をたて投石機が砦に向かいくる敵の白銀騎士達を狙い着弾する。
「よし! いい狙いじゃ! ムサシマル殿!」
思い通りの箇所への着弾に『終ノ彼方 鉄ノ貴女』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)が快哉をあげる。
このニルヴァンの砦は自由騎士たちの二ヶ月の苦労の結晶だ。その当事者であったシノピリカはなおさらそう思う。必ず守り抜いて見せると。
「なに?! この裏側からの侵攻が読まれていたというのか?!」
この場の司令官である白銀騎士、エルネスト・ランベールが投石機による攻撃にひるむがすぐに持ち直し、ドクターに解毒を指示し、目の前に立つ自由騎士に向かう。
「エルネスト様、これが彼らの水鏡の権能ということかもしれません」
ネクロマンサー、ジェラルド・オーキスが口添えする。
「なるほど……邪神の権能というものは厄介だな」
エルネストは目を細め柳凪の構えをとる。
ドォン!! とまた爆音が響き白銀騎士たちは周りを見回す。
「おーーっほっほっほっほ!!!
わたくしはイ・ラプセル自由騎士団のジュリエット・ゴールドスミス!
ここから先へは進ませませんわ! ぜぇっっったいに進ませませんわー!!」
『思いの先に』ジュリエット・ゴールドスミス(CL3000357)がきらびやかなオーラをまとい 聖剣「ロミオ」を構え名乗りをあげる。
「ほう……。邪神の使いとて礼儀は心得ているか。
白銀騎士、エルネスト・ランベール。我が白の神の騎士である。貴様らが不法占拠するニルヴァンを返してもらう!」
(ああ、そうさ、そのとおりだ。こっちの正義とあっちの正義。踏み躙り合い削り合いだ)
後衛でジェラルドをにらみつけるのはツボミだ。
戦争に解などは存在していない。どちらも等しく正解であり不正解だ。それを決めるのは自分の立場のみ。
その自分、ひいては自分の信じる神が最も正しいと悩まずに固く信じているものは何よりも――強い。
「やだやだ怖え、怖え」
つい、思考を超えて、口にでてしまう。それでも彼らは、『やる』しかないのだ。ならばヒトでなしで構わない。やっちまえ。
『達観者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)の目はそのジェラルドの手前、二人の隻眼の少年を見つめる。せっかくの拾った命を捨てにきたかとため息をつく。
それでも故国で滅びたいのであればそれを否定する道理もない。彼らには生きていて欲しかったが敵同士として出会った以上はその思いを抱くのは諦めるべきだ。その甘さは命取りになる。自分には守るべきものがある。
テオドールは言葉なく、緋文字を放つ。
(レイノルズ君、カッツェ君……僕は彼らに嘘をつき拒絶された。だが、その程度で諦めるものか!
僕の思いはその程度のモノだったのか! 違う、違うはずだ。彼らに伝えていない言葉がある!)
「アダム・クランプトン! イ・ラプセル自由騎士。神の意志ではなくヒトの意志でもって貴殿等を討たせていただく!!」
『挺身の』アダム・クランプトン(CL3000185)が朗々と名乗りをあげた。
アダムのその言葉でもって、彼らの戦いの幕が上がる。
(あのこらの飼い主きとるん? そりゃ挨拶せなあかんわぁ。なんせうちの玉の肌にきずつけよったし、落とし前つけてもらわな)
『艶師』蔡 狼華(CL3000451)は小太刀を構え、前衛に向かって踏み込んでいく。
まずはバスター。事前に決められた優先順位には従う。そのあとは自由にさせてもらうけど。
シノピリカは雄叫びをあげ、バスターを押し返すように前に進む。兎にも角にも絶対に一歩たりとて中に入れぬ!
その気迫はバスターにも伝わり、彼もまた同じく雄叫びをあげる。
(しかし「寛容な罰」で目を抉るとはのう。まこと「お優しい」神様である事よな……胸糞の悪い)
シノピリカはいつもよりよく見える自分の新調したばかりの鎧装(め)で彼らを見る。自分が目をなくしたときは名誉の負傷であるとはいえ、どれほど辛かったことか。
柳凪の構えをとるエルシーは自分が狙われないことに疑問符を出す。この中では最も防御力がなく対応しやすそうに見えるとおもうのに。
彼ら白銀騎士たちは自由騎士とは初対面である。畢竟、エルシーたちのバトルスタイルも誰がどのような力を持っているのかは、暫く戦ってからではないと認識することはできない。
初対面であるのに敵兵が何をするか、どんなバトルスタイルであるかを認識できること、それ自体が水鏡のアドバンテージであるのだ。
しかして狙われないのであれば自分は遊兵として自由に動くことができる。それはそれで問題はない。
同じく向こうから後衛に向かい飛び込んできたフェンサーをエルシーは慌ててブロックする。
「おお、いいぞ、エルシー、そのままおさえておいてくれ、そいつらが後衛(こっち)にきたら厄介だ!」
「ええっ、ふたりとも?」
「貴様の回避であればなんとかなるなんとかなる!」
「んもー、適当なこといって!」
そのエルシーにツボミが指示をかける。狙いはバスターではあるが、フェンサーが食い込んでくるのはありがたくはない。高い回避力を誇るエルシーは柳凪の使い手でもある。ダメージは最小限にできるだろう。
女の歌声とともにバスターに緋色の文字が着弾する。
『魔女』エル・エル(CL3000370)のものだ。彼女にとって足場の悪さはデメリットにはなりえない。
「イ・ラプセルがっ! 私の宝物を奪う悪魔っ!」
ジェラルドは憎しみに昏く染まる瞳でアダムとシノピリカ、エルシーにむけてペインリトゥスを放つ。痛みを継続的に与えるその魔導により吹き出した血は止まらずにダメージを与え続ける。
「憎きネクロマンサー! このアンチヒーラー! いやらしいですわ!」
きいきい、と叫び声をあげながらジュリエットが待機し、後手ながらも対処にヒュギエイアを使えば、同じく待機していたツボミが回復の魔導を齎す。二人のヒーラーは無駄なく戦場を支配する。
「でりゃー!」
「はっ……ッ!」
鋼鉄の前衛二人がタイミングを合わせバスターのノックバックを仕掛ける。
「押せー!」
シノピリカの声が高く響く。その直後に投石機による攻撃が白銀騎士たちに直撃する。
「卑怯な! またも援護射撃か!」
エルネストはパリィングでドクターたちを庇いながら鉄山靠を放つが攻めづらい状況には違いない。彼ら自由騎士に加え、ニルヴァン要塞からの援護射撃もあるのだ。
それにしても我がミトラースの美しき白き教会をここまでグロテスクな建物に改造したものだと思う。
戦況は暫くの間膠着状態が続く。なんとかバスターは倒すことができたが、ドクターに攻撃をしようとするも前衛はフェンサーに阻まれる。アダムがノックバックでパリィングを妨害するが、そうなれば代わりにフェンサーが下がりドクターの防御に回る。
主人が狙われていないとわかればカッツェは自由騎士たちに対し遊撃兵として行動し、ジェラルドはエルネストを支援するように範囲攻撃で邪魔をする。レイノルズはエルネストに守られるドクターと連携し白銀騎士前衛を支援する。
ジェラルドの狙いは決してこの要塞の陥落ではない。ただ自由騎士たち(かたき)に報いたい。その意志でここにいるのだ。イ・ラプセルが宝物(こぶた)たちの仇と思い込んでいる彼にとっては自由騎士と戦い殺すことができればそれでいい。カッツェの言っていたように鉄血が仇であれば鉄血の軍人たちも殺せばいい。ミトラース神は世界に選ばれた神。やがて世界を統一する。それは定められているのだから。その神の敵はイ・ラプセルであろうが鉄血であろうが、大差などないのだ。
「死になさい! 私の可愛い子を殺したお前たちなんて!」
「なあなあ、テキトーに埋めた死体を埋葬なんてゆう程シャンバラの葬式は粗末なんか?」
目を細めた狼華が、バスターにヒートアクセルを叩き込みながら口をひらく。
「そや、うちらが殺して埋めたんや! うちが憎いか? ほんなら、シよか。あんたのその残った瞳もくり抜いて左右対称にしたらバランス取れてええんちゃう?」
「貴様ぁああああ!」
横合いからカッツェが狼華に飛び込んでヒートアクセルを放つ。
「あいつは、あいつらはいいやつだった! それをお前が!!! 一瞬でも信じた僕がバカだった! 返せ! あいつらを返せ!」
「カッツェ君! そうじゃない! 僕らは……ッ!!」
カッツェの言葉にアダムは君たちを愛することができると、家畜でななくヒトとして愛することができると伝えたかった。
しかして、自分の仲間を殺し雑に埋めたのが自由騎士だと明かされて、激高した彼らに愛しているの言葉など届くだろうか。
きっと拒まれるだろう。それでも――。
「アダム、お前の言いたいこともわかる。だがな、あいつらはあいつらの神に支配されている。それは魂に刻まれた神の権能だろうよ」
ツボミはそんなアダムが言葉の先を紡ごうとすることを止める。彼女は自由騎士のなかでも最もシャンバラ人と深く触れてきたうちの一人だ。うすうす、あのシャンバラ人の狂信が神の権能の強制力であるだろうとは感づいてきている。神の権能をオラクルとはいえ、他国のヒトの身でどうこうできるとは到底思えない。
「アイツらをどうにかしたいなら方法はあるぞ。腕をもいで足ももいでなんなら両目ともくり抜いて、当人の意志も無視して拘束して一生面倒をみてやればいい。そうしたらあいつらは動けまいよ。お前にその覚悟はあるのか?」
当人のミトラースへの信心を――もしかすると権能関係なしに感じている本当の信心すら無視しエゴイスティックにイ・ラプセルの神の祝福を受けさせることができるのであれば、彼らを改心させることは可能だろう。だというのにどうにも我が国の青いネコ様ときたら無理やりに祝福を書き換えることを好まない。まったく。自ら業責を背負おうとする道しか知らぬのか。
「それは――」
アダムは言いよどむ。
「できないだろう? できてたまるか。お前のような坊っちゃんが。無責任は不幸しか呼ばん。誰も彼もを助けようとしたいのであればその順番ってものはあるんだ。順番抜かししても拗れるだけだ」
だから、諦めろ。とはツボミには言えなかった。
ああ、本当にこの戦いの堺にあるのは価値観だ。戦争なんて地獄でしかない。その地獄に好き好んで突き進む我らはさながら悪魔だ。
だれも何も間違っていないというのに。
「やっぱり、やっぱり、やっぱりイ・ラプセルが犯人だったのよ。ねえ、レイノルズ。貴方の言うとおりよ」
傍らで回復の魔導を使うレイノルズの肩を掴んでジェラルドが嗤う。
「カッツェ、そいつを殺しなさい」
「おい、ジェラルド! 勝手なことを……!」
ジェラルドに対してエルネストが呼びかけるが、聞いてはいない。ジェラルドはリバースドレインをカッツエに施す。
「ええやん、その憎しみ?」
煽り言葉というものはときに大きく敵の心をひきつける。しかしてそれはすべてがすべてプラスに働くわけではない。狼華は魔女狩り部隊の集中攻撃を一人で受けることになる。
怒りに囚われているとはいえ、ジェラルドは格上の相手だ。本気で集中攻撃をうければ、仲間の必死の回復があったとしても間に合わない。
「ん、あっ……っ!」
欠片を燃やした狼華はそれでも一矢報いようとカッツエの首筋に牙を向ける。その瞬間を待っていたかのようにカッツェは狼華の胸に剣を突き立てる。その攻撃に狼華は膝をついた。
「勝った、おもた?」
狼華もまた反対の手に持っていた短刀でカッツェの胸を貫いていた。二人は折り重なるように倒れて動かなくなる。
「カッツェを!! あなた達、本当に、ゆるさない!!」
ジェラルドが瞳に涙を浮かべ太い声で唸る。
白銀騎士側の戦いもまた終盤へ向かって動きをみせる。ドクターが一人倒れた。
シノピリカのノックバックで徹底的に防御を邪魔しながらドクターを狙い、アダムが高い防御力を穿つウェッジショットでの攻撃でエルネストにもダメージを与えつつ、テオドールとエルの堅実な攻撃にくわえ、ジュリエットとツボミの遅延戦略での無駄のない回復が功を奏し、白銀騎士の数半数にまで削ったところで、突如魔力弾が周囲を照らした。
それは、表側で戦う『白銀旗』ナディア・ナバルの撤退の合図。
「ナバル殿が退いた……?!」
エルネストが苦渋の表情で戦況を見る。こちらは半数が倒れあちらも満身創痍とはいえまだ十分に戦えるようだ。なにより囮として使おうとしていた部隊が退いた以上、我が部隊の損耗戦にしかならない。しかも勝てるか否かは五分と五分か――それ以下だろう。功が欲しいとはいえ、これ以上の損耗には意味がない。
それに先に退いたのはナディアだ。ならばそれ以上に我が隊が粘ったということにほかならないだろう。十分な功績であるはずだ。
「我らも退くぞ!」
エルネストは倒れた味方を担ぎ上げ撤退を指示する。
「ジェラルド!! 退くぞ!」
その言葉にもジェラルドは耳を貸さずに自由騎士たちへの攻撃をやめない。エルネストは舌打ちをし、白銀騎士を連れ撤退していく。
残るのはジェラルドと自由騎士たち。ジェラルドが戦意を失わない限りは自由騎士とて対応せざるをえない。その結果はみえているというのに。
「――!」
エルが叫び憎き魔女狩りである彼らに攻撃をしかける。その攻撃をレイノルズが一身に受ける。
その姿にテオドールは少しだけ眉を顰めた。
(もう退けぬ、か。ならばあとは逝かせるだけだ。信ずる神に関係はなく、還る場所だけは等しく同じだ。だから――)
構わんだろう。それは誰に尋ねたのかテオドール本人もわからない。
せめてとエルシーは残る二人に降伏を勧告するが、彼らはそれを受け入れることはない。
なんでよ? 死にたくなんかないでしょうに……! そう思うが彼らの意志は変わらない。
たった二人の魔女狩りは戦うことをやめない。
「ジェラルド様、お退きください」
エルの猛攻を受け、血だらけのレイノルズが静かに伝えた。それは命をかけてでも、せめて主人だけは守るという意志。ジュリエットは目を瞑る。エルの顔をみればわかる。彼女は魔女狩りをレイノルズを殺すつもりだ。
ジュリエットとていつか絶対にヒトとヒトはわかりあえる、なんて甘いことは考えていない。
「もう、やめてください」
それでもジュリエットはその言葉を紡ぐ。それでエルが止まることはないと知っていても。
ややあって、ジェラルドはレイノルズの思いを受け唇を血がにじむ程に噛み締めて、愛しているわ、そうレイノルズに告げ翼をはためかせ、その場を後にした。命をかけて主人を守る少年をみていた彼らにはジェラルドを追撃することははできない。
「どうかご無事で」
そうつぶやいてレイノルズはなおもジェラルドを追おうとするエルにしがみついたまま動かなくなった。
アダムは二人の少年を抱きしめる。
アダムの体は鉄で温かいものではないけれど。それでも。
二人の少年の遺体は冷たいはずのアダムよりずっと、ずっと冷たかった。
「大丈夫! 絶対できるから! 期待してるわ!」
「え~、まじでござるかぁ? 拙者天才でござるかぁ?」
「もちろんよ! 天災……もとい天才よ!」
『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)は、投石機の使い方が難しい(決して使用法はそれほど難しいといえるものではない。むしろ簡略化されているくらいである)とゴネるムサシマル・ハセ倉(nCL3000011)の肩を叩いて褒め殺す。
単純なムサシマルはそれでご機嫌になり作戦は了解と自由騎士たちを送り出した。
「なんか、つかれたわ」
そう呟いたエルシーの肩を叩き、なかなかに太鼓持ちの才能があるな、と『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)が笑う。
「そんな才能より玉の輿の才能がほしいわ……」
●
ドォンと大音響をたて投石機が砦に向かいくる敵の白銀騎士達を狙い着弾する。
「よし! いい狙いじゃ! ムサシマル殿!」
思い通りの箇所への着弾に『終ノ彼方 鉄ノ貴女』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)が快哉をあげる。
このニルヴァンの砦は自由騎士たちの二ヶ月の苦労の結晶だ。その当事者であったシノピリカはなおさらそう思う。必ず守り抜いて見せると。
「なに?! この裏側からの侵攻が読まれていたというのか?!」
この場の司令官である白銀騎士、エルネスト・ランベールが投石機による攻撃にひるむがすぐに持ち直し、ドクターに解毒を指示し、目の前に立つ自由騎士に向かう。
「エルネスト様、これが彼らの水鏡の権能ということかもしれません」
ネクロマンサー、ジェラルド・オーキスが口添えする。
「なるほど……邪神の権能というものは厄介だな」
エルネストは目を細め柳凪の構えをとる。
ドォン!! とまた爆音が響き白銀騎士たちは周りを見回す。
「おーーっほっほっほっほ!!!
わたくしはイ・ラプセル自由騎士団のジュリエット・ゴールドスミス!
ここから先へは進ませませんわ! ぜぇっっったいに進ませませんわー!!」
『思いの先に』ジュリエット・ゴールドスミス(CL3000357)がきらびやかなオーラをまとい 聖剣「ロミオ」を構え名乗りをあげる。
「ほう……。邪神の使いとて礼儀は心得ているか。
白銀騎士、エルネスト・ランベール。我が白の神の騎士である。貴様らが不法占拠するニルヴァンを返してもらう!」
(ああ、そうさ、そのとおりだ。こっちの正義とあっちの正義。踏み躙り合い削り合いだ)
後衛でジェラルドをにらみつけるのはツボミだ。
戦争に解などは存在していない。どちらも等しく正解であり不正解だ。それを決めるのは自分の立場のみ。
その自分、ひいては自分の信じる神が最も正しいと悩まずに固く信じているものは何よりも――強い。
「やだやだ怖え、怖え」
つい、思考を超えて、口にでてしまう。それでも彼らは、『やる』しかないのだ。ならばヒトでなしで構わない。やっちまえ。
『達観者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)の目はそのジェラルドの手前、二人の隻眼の少年を見つめる。せっかくの拾った命を捨てにきたかとため息をつく。
それでも故国で滅びたいのであればそれを否定する道理もない。彼らには生きていて欲しかったが敵同士として出会った以上はその思いを抱くのは諦めるべきだ。その甘さは命取りになる。自分には守るべきものがある。
テオドールは言葉なく、緋文字を放つ。
(レイノルズ君、カッツェ君……僕は彼らに嘘をつき拒絶された。だが、その程度で諦めるものか!
僕の思いはその程度のモノだったのか! 違う、違うはずだ。彼らに伝えていない言葉がある!)
「アダム・クランプトン! イ・ラプセル自由騎士。神の意志ではなくヒトの意志でもって貴殿等を討たせていただく!!」
『挺身の』アダム・クランプトン(CL3000185)が朗々と名乗りをあげた。
アダムのその言葉でもって、彼らの戦いの幕が上がる。
(あのこらの飼い主きとるん? そりゃ挨拶せなあかんわぁ。なんせうちの玉の肌にきずつけよったし、落とし前つけてもらわな)
『艶師』蔡 狼華(CL3000451)は小太刀を構え、前衛に向かって踏み込んでいく。
まずはバスター。事前に決められた優先順位には従う。そのあとは自由にさせてもらうけど。
シノピリカは雄叫びをあげ、バスターを押し返すように前に進む。兎にも角にも絶対に一歩たりとて中に入れぬ!
その気迫はバスターにも伝わり、彼もまた同じく雄叫びをあげる。
(しかし「寛容な罰」で目を抉るとはのう。まこと「お優しい」神様である事よな……胸糞の悪い)
シノピリカはいつもよりよく見える自分の新調したばかりの鎧装(め)で彼らを見る。自分が目をなくしたときは名誉の負傷であるとはいえ、どれほど辛かったことか。
柳凪の構えをとるエルシーは自分が狙われないことに疑問符を出す。この中では最も防御力がなく対応しやすそうに見えるとおもうのに。
彼ら白銀騎士たちは自由騎士とは初対面である。畢竟、エルシーたちのバトルスタイルも誰がどのような力を持っているのかは、暫く戦ってからではないと認識することはできない。
初対面であるのに敵兵が何をするか、どんなバトルスタイルであるかを認識できること、それ自体が水鏡のアドバンテージであるのだ。
しかして狙われないのであれば自分は遊兵として自由に動くことができる。それはそれで問題はない。
同じく向こうから後衛に向かい飛び込んできたフェンサーをエルシーは慌ててブロックする。
「おお、いいぞ、エルシー、そのままおさえておいてくれ、そいつらが後衛(こっち)にきたら厄介だ!」
「ええっ、ふたりとも?」
「貴様の回避であればなんとかなるなんとかなる!」
「んもー、適当なこといって!」
そのエルシーにツボミが指示をかける。狙いはバスターではあるが、フェンサーが食い込んでくるのはありがたくはない。高い回避力を誇るエルシーは柳凪の使い手でもある。ダメージは最小限にできるだろう。
女の歌声とともにバスターに緋色の文字が着弾する。
『魔女』エル・エル(CL3000370)のものだ。彼女にとって足場の悪さはデメリットにはなりえない。
「イ・ラプセルがっ! 私の宝物を奪う悪魔っ!」
ジェラルドは憎しみに昏く染まる瞳でアダムとシノピリカ、エルシーにむけてペインリトゥスを放つ。痛みを継続的に与えるその魔導により吹き出した血は止まらずにダメージを与え続ける。
「憎きネクロマンサー! このアンチヒーラー! いやらしいですわ!」
きいきい、と叫び声をあげながらジュリエットが待機し、後手ながらも対処にヒュギエイアを使えば、同じく待機していたツボミが回復の魔導を齎す。二人のヒーラーは無駄なく戦場を支配する。
「でりゃー!」
「はっ……ッ!」
鋼鉄の前衛二人がタイミングを合わせバスターのノックバックを仕掛ける。
「押せー!」
シノピリカの声が高く響く。その直後に投石機による攻撃が白銀騎士たちに直撃する。
「卑怯な! またも援護射撃か!」
エルネストはパリィングでドクターたちを庇いながら鉄山靠を放つが攻めづらい状況には違いない。彼ら自由騎士に加え、ニルヴァン要塞からの援護射撃もあるのだ。
それにしても我がミトラースの美しき白き教会をここまでグロテスクな建物に改造したものだと思う。
戦況は暫くの間膠着状態が続く。なんとかバスターは倒すことができたが、ドクターに攻撃をしようとするも前衛はフェンサーに阻まれる。アダムがノックバックでパリィングを妨害するが、そうなれば代わりにフェンサーが下がりドクターの防御に回る。
主人が狙われていないとわかればカッツェは自由騎士たちに対し遊撃兵として行動し、ジェラルドはエルネストを支援するように範囲攻撃で邪魔をする。レイノルズはエルネストに守られるドクターと連携し白銀騎士前衛を支援する。
ジェラルドの狙いは決してこの要塞の陥落ではない。ただ自由騎士たち(かたき)に報いたい。その意志でここにいるのだ。イ・ラプセルが宝物(こぶた)たちの仇と思い込んでいる彼にとっては自由騎士と戦い殺すことができればそれでいい。カッツェの言っていたように鉄血が仇であれば鉄血の軍人たちも殺せばいい。ミトラース神は世界に選ばれた神。やがて世界を統一する。それは定められているのだから。その神の敵はイ・ラプセルであろうが鉄血であろうが、大差などないのだ。
「死になさい! 私の可愛い子を殺したお前たちなんて!」
「なあなあ、テキトーに埋めた死体を埋葬なんてゆう程シャンバラの葬式は粗末なんか?」
目を細めた狼華が、バスターにヒートアクセルを叩き込みながら口をひらく。
「そや、うちらが殺して埋めたんや! うちが憎いか? ほんなら、シよか。あんたのその残った瞳もくり抜いて左右対称にしたらバランス取れてええんちゃう?」
「貴様ぁああああ!」
横合いからカッツェが狼華に飛び込んでヒートアクセルを放つ。
「あいつは、あいつらはいいやつだった! それをお前が!!! 一瞬でも信じた僕がバカだった! 返せ! あいつらを返せ!」
「カッツェ君! そうじゃない! 僕らは……ッ!!」
カッツェの言葉にアダムは君たちを愛することができると、家畜でななくヒトとして愛することができると伝えたかった。
しかして、自分の仲間を殺し雑に埋めたのが自由騎士だと明かされて、激高した彼らに愛しているの言葉など届くだろうか。
きっと拒まれるだろう。それでも――。
「アダム、お前の言いたいこともわかる。だがな、あいつらはあいつらの神に支配されている。それは魂に刻まれた神の権能だろうよ」
ツボミはそんなアダムが言葉の先を紡ごうとすることを止める。彼女は自由騎士のなかでも最もシャンバラ人と深く触れてきたうちの一人だ。うすうす、あのシャンバラ人の狂信が神の権能の強制力であるだろうとは感づいてきている。神の権能をオラクルとはいえ、他国のヒトの身でどうこうできるとは到底思えない。
「アイツらをどうにかしたいなら方法はあるぞ。腕をもいで足ももいでなんなら両目ともくり抜いて、当人の意志も無視して拘束して一生面倒をみてやればいい。そうしたらあいつらは動けまいよ。お前にその覚悟はあるのか?」
当人のミトラースへの信心を――もしかすると権能関係なしに感じている本当の信心すら無視しエゴイスティックにイ・ラプセルの神の祝福を受けさせることができるのであれば、彼らを改心させることは可能だろう。だというのにどうにも我が国の青いネコ様ときたら無理やりに祝福を書き換えることを好まない。まったく。自ら業責を背負おうとする道しか知らぬのか。
「それは――」
アダムは言いよどむ。
「できないだろう? できてたまるか。お前のような坊っちゃんが。無責任は不幸しか呼ばん。誰も彼もを助けようとしたいのであればその順番ってものはあるんだ。順番抜かししても拗れるだけだ」
だから、諦めろ。とはツボミには言えなかった。
ああ、本当にこの戦いの堺にあるのは価値観だ。戦争なんて地獄でしかない。その地獄に好き好んで突き進む我らはさながら悪魔だ。
だれも何も間違っていないというのに。
「やっぱり、やっぱり、やっぱりイ・ラプセルが犯人だったのよ。ねえ、レイノルズ。貴方の言うとおりよ」
傍らで回復の魔導を使うレイノルズの肩を掴んでジェラルドが嗤う。
「カッツェ、そいつを殺しなさい」
「おい、ジェラルド! 勝手なことを……!」
ジェラルドに対してエルネストが呼びかけるが、聞いてはいない。ジェラルドはリバースドレインをカッツエに施す。
「ええやん、その憎しみ?」
煽り言葉というものはときに大きく敵の心をひきつける。しかしてそれはすべてがすべてプラスに働くわけではない。狼華は魔女狩り部隊の集中攻撃を一人で受けることになる。
怒りに囚われているとはいえ、ジェラルドは格上の相手だ。本気で集中攻撃をうければ、仲間の必死の回復があったとしても間に合わない。
「ん、あっ……っ!」
欠片を燃やした狼華はそれでも一矢報いようとカッツエの首筋に牙を向ける。その瞬間を待っていたかのようにカッツェは狼華の胸に剣を突き立てる。その攻撃に狼華は膝をついた。
「勝った、おもた?」
狼華もまた反対の手に持っていた短刀でカッツェの胸を貫いていた。二人は折り重なるように倒れて動かなくなる。
「カッツェを!! あなた達、本当に、ゆるさない!!」
ジェラルドが瞳に涙を浮かべ太い声で唸る。
白銀騎士側の戦いもまた終盤へ向かって動きをみせる。ドクターが一人倒れた。
シノピリカのノックバックで徹底的に防御を邪魔しながらドクターを狙い、アダムが高い防御力を穿つウェッジショットでの攻撃でエルネストにもダメージを与えつつ、テオドールとエルの堅実な攻撃にくわえ、ジュリエットとツボミの遅延戦略での無駄のない回復が功を奏し、白銀騎士の数半数にまで削ったところで、突如魔力弾が周囲を照らした。
それは、表側で戦う『白銀旗』ナディア・ナバルの撤退の合図。
「ナバル殿が退いた……?!」
エルネストが苦渋の表情で戦況を見る。こちらは半数が倒れあちらも満身創痍とはいえまだ十分に戦えるようだ。なにより囮として使おうとしていた部隊が退いた以上、我が部隊の損耗戦にしかならない。しかも勝てるか否かは五分と五分か――それ以下だろう。功が欲しいとはいえ、これ以上の損耗には意味がない。
それに先に退いたのはナディアだ。ならばそれ以上に我が隊が粘ったということにほかならないだろう。十分な功績であるはずだ。
「我らも退くぞ!」
エルネストは倒れた味方を担ぎ上げ撤退を指示する。
「ジェラルド!! 退くぞ!」
その言葉にもジェラルドは耳を貸さずに自由騎士たちへの攻撃をやめない。エルネストは舌打ちをし、白銀騎士を連れ撤退していく。
残るのはジェラルドと自由騎士たち。ジェラルドが戦意を失わない限りは自由騎士とて対応せざるをえない。その結果はみえているというのに。
「――!」
エルが叫び憎き魔女狩りである彼らに攻撃をしかける。その攻撃をレイノルズが一身に受ける。
その姿にテオドールは少しだけ眉を顰めた。
(もう退けぬ、か。ならばあとは逝かせるだけだ。信ずる神に関係はなく、還る場所だけは等しく同じだ。だから――)
構わんだろう。それは誰に尋ねたのかテオドール本人もわからない。
せめてとエルシーは残る二人に降伏を勧告するが、彼らはそれを受け入れることはない。
なんでよ? 死にたくなんかないでしょうに……! そう思うが彼らの意志は変わらない。
たった二人の魔女狩りは戦うことをやめない。
「ジェラルド様、お退きください」
エルの猛攻を受け、血だらけのレイノルズが静かに伝えた。それは命をかけてでも、せめて主人だけは守るという意志。ジュリエットは目を瞑る。エルの顔をみればわかる。彼女は魔女狩りをレイノルズを殺すつもりだ。
ジュリエットとていつか絶対にヒトとヒトはわかりあえる、なんて甘いことは考えていない。
「もう、やめてください」
それでもジュリエットはその言葉を紡ぐ。それでエルが止まることはないと知っていても。
ややあって、ジェラルドはレイノルズの思いを受け唇を血がにじむ程に噛み締めて、愛しているわ、そうレイノルズに告げ翼をはためかせ、その場を後にした。命をかけて主人を守る少年をみていた彼らにはジェラルドを追撃することははできない。
「どうかご無事で」
そうつぶやいてレイノルズはなおもジェラルドを追おうとするエルにしがみついたまま動かなくなった。
アダムは二人の少年を抱きしめる。
アダムの体は鉄で温かいものではないけれど。それでも。
二人の少年の遺体は冷たいはずのアダムよりずっと、ずっと冷たかった。
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
†あとがき†
ご参加ありがとうございました。
エルネストたち白銀騎士とジェラルドは撤退となっております。
多少の齟齬は見受けられましたが、そこまで大きいものではなかったので成功です。
MVPは戦況を見定めていたあなたに。
ムサシマルの指示も的確で文字数の問題ではしょってはありますが全弾命中しております。
本作では高難易度の依頼におけるプレイング未送付には追加ペナルティはありませんが、難易度にかかわらず貢献値が0になります。
プレイングを送信の後は、今一度、シナリオ参加履歴からプレイング確認をご確認ください。
未送信の場合は「プレイング未送信」と赤文字で表示されています。
エルネストたち白銀騎士とジェラルドは撤退となっております。
多少の齟齬は見受けられましたが、そこまで大きいものではなかったので成功です。
MVPは戦況を見定めていたあなたに。
ムサシマルの指示も的確で文字数の問題ではしょってはありますが全弾命中しております。
本作では高難易度の依頼におけるプレイング未送付には追加ペナルティはありませんが、難易度にかかわらず貢献値が0になります。
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