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【円卓の騎士】NewGeneration!受け継がれる騎士物語!

●『永遠なれ、円卓の騎士』 作詞・作曲 トマス・マロリー
『悠久の草原~ 広がる青空~♪
人が作りし~ 栄華の都市~♪
歌は響き~ 人は笑う~♪
おお、これこそが~ 平和の証~♪
騎士は守る~♪ この営みを~♪
今日を守り~♪ 明日を迎える~♪
おお、円卓よ~♪ 円卓よ、永遠に~♪』
マロリー司祭が1分半ほど自前でエンディングソングを歌った後に、四体の蒸気騎士がせり上がってくる。
アーサー、ランスロット、ケイ、ベディヴィア。そう称された円卓蒸気騎士だ。
『騎士ベディヴィア。隻腕なれど我が一突きは九の突きに値します』
前に出たのは隻腕の蒸気騎士。左腕が欠けた騎士だが、槍を振るう動きには遜色ない。鋭い腕力で重い槍を振るい、自らをアピールする。円卓騎士団の最終戦を彩るにふさわしい武勇を感じさせる。
『騎士ケイ。口先と頑丈さだけが取り柄だ。ま、気軽にやろうぜ』
どちらかと言うと気さくな雰囲気で語りかけてくるケイ。褒めると体長が伸びたり、水中活動が可能だったりとウソかホントかわからない事を告げてくる。だが最後まで温存されてたという事は、それなりに強いはずだ。
『ランスロット』
短く、一言だけ告げるランスロット。手にした剣は刃こぼれ一つない綺麗なものだが、その手にはよく馴染んでいる。構えからして油断ならない相手のようだ。時折アーサーの方を見ては俯く動作に闇を感じる。
『余がアーサー王である。此度は我らとの試合に応じてくれて感謝する。騎士の精神にのっとり、最後まで正々堂々と戦う事を誓おう」
豪華な剣を持ち、王冠をかぶった騎士が歩み出る。騎士王アーサー。その名に恥じぬ出で立ちだ。優雅にして華麗、それでいて鋭い印象を与えている。正に威風堂々。王と言う立場であるにもかかわらず、退くことのない意志を感じる。
なお、声は全てマロリーが宛てています。わざわざ音の質まで変えるあたり、凝っているというかなんというか。
『彼らに勝てたら蒸気騎士は君達のものだよ。
それでは 円卓蒸気騎士三本勝負最終戦、開幕――!』
最後のゴングが、今鳴り響く。
『悠久の草原~ 広がる青空~♪
人が作りし~ 栄華の都市~♪
歌は響き~ 人は笑う~♪
おお、これこそが~ 平和の証~♪
騎士は守る~♪ この営みを~♪
今日を守り~♪ 明日を迎える~♪
おお、円卓よ~♪ 円卓よ、永遠に~♪』
マロリー司祭が1分半ほど自前でエンディングソングを歌った後に、四体の蒸気騎士がせり上がってくる。
アーサー、ランスロット、ケイ、ベディヴィア。そう称された円卓蒸気騎士だ。
『騎士ベディヴィア。隻腕なれど我が一突きは九の突きに値します』
前に出たのは隻腕の蒸気騎士。左腕が欠けた騎士だが、槍を振るう動きには遜色ない。鋭い腕力で重い槍を振るい、自らをアピールする。円卓騎士団の最終戦を彩るにふさわしい武勇を感じさせる。
『騎士ケイ。口先と頑丈さだけが取り柄だ。ま、気軽にやろうぜ』
どちらかと言うと気さくな雰囲気で語りかけてくるケイ。褒めると体長が伸びたり、水中活動が可能だったりとウソかホントかわからない事を告げてくる。だが最後まで温存されてたという事は、それなりに強いはずだ。
『ランスロット』
短く、一言だけ告げるランスロット。手にした剣は刃こぼれ一つない綺麗なものだが、その手にはよく馴染んでいる。構えからして油断ならない相手のようだ。時折アーサーの方を見ては俯く動作に闇を感じる。
『余がアーサー王である。此度は我らとの試合に応じてくれて感謝する。騎士の精神にのっとり、最後まで正々堂々と戦う事を誓おう」
豪華な剣を持ち、王冠をかぶった騎士が歩み出る。騎士王アーサー。その名に恥じぬ出で立ちだ。優雅にして華麗、それでいて鋭い印象を与えている。正に威風堂々。王と言う立場であるにもかかわらず、退くことのない意志を感じる。
なお、声は全てマロリーが宛てています。わざわざ音の質まで変えるあたり、凝っているというかなんというか。
『彼らに勝てたら蒸気騎士は君達のものだよ。
それでは 円卓蒸気騎士三本勝負最終戦、開幕――!』
最後のゴングが、今鳴り響く。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.円卓蒸気騎士4体の撃破
どくどくです。
最初はマーリンが入る予定でしたが、あいつ騎士じゃねーよという事でハブりました。
このシナリオは合計三回のシリーズシナリオ最終話となります。シリーズ終了後、蒸気騎士ジョブを会得することが出来ます。
●敵情報
・円卓蒸気騎士(×4)
自動で動く蒸気騎士です。正確には人機融合したマロリーがコントロールしています。分類は……イブリース化した器物が一番近いんじゃないですかね? 当然権能とか持ってません。バッドステータスも普通に効きます。
生物ではありませんのでフラグメンツ復活はしません。
・アーサー
金色の冠をかぶった騎士の王です。
エクスカリバー 攻近単 あらゆるものを両断する妖精の剣。【防無】【必殺】
聖剣の鞘 自付 聖剣の真価。持ち手に不老不死を約束する。【完攻防】持続1T
王の器 P 何物にも屈しない鋼の精神。【精無】
カムランの呪い P 最後は孤独に死ぬ運命。ベディヴィア、ケイ、ランスロットが戦闘不能になるたびに発動。HPが半減する。
・ランスロット
黒い鎧をまとった蒸気騎士です。
アロンダイト 魔近範 けして刃こぼれしないといわれた妖精に鍛えられた剣です。
湖の騎士 自付 湖の貴婦人の祝福。魔導力、速度上昇
罪深き騎士 P 円卓崩壊の要因となる運命。行動不能になるまで、アーサーのCT、回避が減少。
・ケイ
黄色の鎧を着た蒸気騎士です。
巨人殺しの機知 味遠全 適切な指示と助言による味方の誘導。攻撃力、魔導力、CT、速度上昇
俺、結構頑丈よ? P あらゆる状況でも生き残ります。HPが0になった時、一度だけ戦闘不能を解除してHP50%で復活します。
超人的肉体 P 九日九晩寝ずに働くことが出来、手から出る熱で洗濯物を乾かせます。【睡耐】。味方全体に【氷耐】
・ベディヴィア
左腕のない隻腕の騎士です。
忠義の鍛錬 P 長く王に仕えた騎士の鍛錬の果て。1Tに三回行動します。
高速突き 攻遠単 一突きが九に値するといわれた槍捌き。【三連】
円卓の終焉 P 王の死後、エクスカリバーを返却する役割。アーサーが戦闘不能になった時、自動で戦闘不能になります。
●NPC
メアリー・シェリー(nCL3000066)
工場への案内人としています。即席の人形を作り、参戦します。
指示は相談卓で【メアリー指示】と書かれたものに従います。複数ある場合は、最後に書かれたものを参考にします。指示がなければ適当に動きます。
人形の名前は『フランケンシュタイン三世』。メンタル高めの魔導力タイプです。
使用スキル
変形せよ、スチムマータ! Lv3(強化) 防御:-25 回避:+20 速度:+90 (持続6T)
燃やせ、スチムマータ! Lv3 魔遠範 【ブレ2】【バーン3】 魔導:+50 命中:+3
撃て、スチムマータ! Lv4 魔遠単 魔導:+65 命中:+4 CT:+16
●場所情報
元ヘルメリア首都、ロンディアナ。そこにある工場跡。そこに用意された闘技場で戦います。
戦闘開始時、敵前衛に『アーサー』『ランスロット』『ベディヴィア』が、敵後衛に『ケイ』がいます。
事前付与は不可。ゴングと同時に試合開始です。
皆様のプレイングをお待ちしています。
最初はマーリンが入る予定でしたが、あいつ騎士じゃねーよという事でハブりました。
このシナリオは合計三回のシリーズシナリオ最終話となります。シリーズ終了後、蒸気騎士ジョブを会得することが出来ます。
●敵情報
・円卓蒸気騎士(×4)
自動で動く蒸気騎士です。正確には人機融合したマロリーがコントロールしています。分類は……イブリース化した器物が一番近いんじゃないですかね? 当然権能とか持ってません。バッドステータスも普通に効きます。
生物ではありませんのでフラグメンツ復活はしません。
・アーサー
金色の冠をかぶった騎士の王です。
エクスカリバー 攻近単 あらゆるものを両断する妖精の剣。【防無】【必殺】
聖剣の鞘 自付 聖剣の真価。持ち手に不老不死を約束する。【完攻防】持続1T
王の器 P 何物にも屈しない鋼の精神。【精無】
カムランの呪い P 最後は孤独に死ぬ運命。ベディヴィア、ケイ、ランスロットが戦闘不能になるたびに発動。HPが半減する。
・ランスロット
黒い鎧をまとった蒸気騎士です。
アロンダイト 魔近範 けして刃こぼれしないといわれた妖精に鍛えられた剣です。
湖の騎士 自付 湖の貴婦人の祝福。魔導力、速度上昇
罪深き騎士 P 円卓崩壊の要因となる運命。行動不能になるまで、アーサーのCT、回避が減少。
・ケイ
黄色の鎧を着た蒸気騎士です。
巨人殺しの機知 味遠全 適切な指示と助言による味方の誘導。攻撃力、魔導力、CT、速度上昇
俺、結構頑丈よ? P あらゆる状況でも生き残ります。HPが0になった時、一度だけ戦闘不能を解除してHP50%で復活します。
超人的肉体 P 九日九晩寝ずに働くことが出来、手から出る熱で洗濯物を乾かせます。【睡耐】。味方全体に【氷耐】
・ベディヴィア
左腕のない隻腕の騎士です。
忠義の鍛錬 P 長く王に仕えた騎士の鍛錬の果て。1Tに三回行動します。
高速突き 攻遠単 一突きが九に値するといわれた槍捌き。【三連】
円卓の終焉 P 王の死後、エクスカリバーを返却する役割。アーサーが戦闘不能になった時、自動で戦闘不能になります。
●NPC
メアリー・シェリー(nCL3000066)
工場への案内人としています。即席の人形を作り、参戦します。
指示は相談卓で【メアリー指示】と書かれたものに従います。複数ある場合は、最後に書かれたものを参考にします。指示がなければ適当に動きます。
人形の名前は『フランケンシュタイン三世』。メンタル高めの魔導力タイプです。
使用スキル
変形せよ、スチムマータ! Lv3(強化) 防御:-25 回避:+20 速度:+90 (持続6T)
燃やせ、スチムマータ! Lv3 魔遠範 【ブレ2】【バーン3】 魔導:+50 命中:+3
撃て、スチムマータ! Lv4 魔遠単 魔導:+65 命中:+4 CT:+16
●場所情報
元ヘルメリア首都、ロンディアナ。そこにある工場跡。そこに用意された闘技場で戦います。
戦闘開始時、敵前衛に『アーサー』『ランスロット』『ベディヴィア』が、敵後衛に『ケイ』がいます。
事前付与は不可。ゴングと同時に試合開始です。
皆様のプレイングをお待ちしています。

状態
完了
完了
報酬マテリア
4個
4個
2個
2個




参加費
100LP [予約時+50LP]
100LP [予約時+50LP]
相談日数
6日
6日
参加人数
8/8
8/8
公開日
2020年05月19日
2020年05月19日
†メイン参加者 8人†
●
「長かった戦いも、これで終わりですね」
四体の蒸気騎士を見ながら『救済の聖女』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)は静かに口を開く。前の戦いで使ったパピヨンマスクをしまい、祈りを捧げるシスターとして戦いに挑む。
「長いようで短い……そんな騎士物語だ。さあ、最終戦を始めようじゃないか!」
最後の演目を前に『永遠のアクトゥール』コール・シュプレ(CL3000584)が興奮したように口を開く。三度にわたる蒸気騎士との戦い。それもこれで終わりだ。名残惜しくはあるがカーテンコールも役者の仕事。最後に恥じぬ働きを見せようではないか。
「本戦参加は、初めてになるね」
うん、と頷いて前に出る『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)。これまではサポートとして戦っていたが、最後の戦いで前に出る事となった。相手は最後の王とその従者。相手にとって不足はない。
「マロリーさんは、兵器開発者ですが……学べることは、多いと思います」
杖を手にして頷く『命を繋ぐ巫女』たまき 聖流(CL3000283)。癒し手であるたまきと、兵器開発者のマロリーの方向性は異なる。だが同じ技師として、世界を良くしようとしているのは確かだ。その技術を破壊ではなく、守る方に仕えれば。
「これに勝てば蒸気騎士の技術を提供してくれるんだよな! 行くぜ!」
斧を振るいながら『砂塵の戦鬼』ジーニー・レイン(CL3000647)が叫ぶ。蒸気機関自体にはあまり興味はないが、かっこいいものには興味がある。蒸気騎士やメアリーの人形を見ながらジーニーはワクワクしていた。
「殴りがいのありそうな相手だな」
獰猛に笑う『強者を求めて』ロンベル・バルバロイト(CL3000550)。国の事情や世界の流れよりも、ロンベルは強者と戦うことを望んでいる。相手が強いなら叩きのめし、己を示す。ただそれだけがロンベルの戦う理由だ。
「騎士王……騎士の王……! なんてことだ!」
戦う前から興奮している『朽ちぬ信念』アダム・クランプトン(CL3000185)。物語をモチーフにした兵器とはいえ、騎士としてそのような名前を持つ者と剣を交わすだなんて、光栄の至りだ。今すぐに試合を始めたくて、うずうずしている。
「ん。じゃあおじさんはいつも通り後ろでがんばるんで」
そして変わらずマイペースな『罰はその命を以って』ニコラス・モラル(CL3000453)。騎士道とか円卓とかには興味はないが、ヘルメリアの兵器事情には興味がある。戦争は終わっているが、年長として過去に何が起きたかを知らなくてはいけない。それは罪滅ぼしか、或いはただの興味か。
『それではいいかな? それではぁ、円卓Fightラストバトル……レディィィィィィィィゴォォォォォォォ!』
マロリーの声と同時に戦いが開始される。
開始の鐘と蒸気騎士の駆動音、そして自由騎士達の雄叫びが重なった。
●
「ギア全開! 常に全力で参ります!」
最初に動いたのはアンジェリカだ。鍛え抜かれた肉体をシスター服で覆い、使い慣れた武器を手にして一気に蒸気騎士に迫る。戦いの流れを初撃で生み出し、そのまま押し切るのが彼女の戦術。その為に体を鍛えてきたのだ。
踏み込みと同時に『断罪と救済の十字架』を振るうアンジェリカ。狙うはランスロット。祈りを込めた全力の攻撃は、相手の敵味方の認識を狂わせる。ベディヴィアではなくランスロットを狙ったのは……なんとなく女性に弱そうな気がしたからだ。
「ふう……いい仕事をしましたわ」
「相手の一人を無力化したんだから、確かにいい仕事だな」
魅了されてアーサー王に切りかかるランスロットを見て、ニコラスは何とも言えない表情と言葉を返す。あの時代の騎士物語は人妻への恋愛上等だからなぁ、と思いながら強い言及は避ける五十二歳子持ち男性であった。
苦笑しながら魔力を練り上げるニコラス。呼吸を整えて魔力を展開し、呪文と指の動きを重ねて癒しの力に返還する。呼気と共に放たれた魔力が癒しの力となり、蒸気騎士達に傷つけられた仲間達を鼓舞していく。
「はいはい。やばいと思ったら、素直に手上げな。手が空きそうなら集中して癒すぜ」
「戦いに夢中で忘れてなきゃな」
隻腕の蒸気騎士を前にして嬉しそうにロンベルが口を開く。相手が片腕だからと侮る事もなければ、弱者と見下すわけではない。ロンベルが見るのはその動きと強さのみ。一刀流が二刀流の半分の強さというわけではない。その真価を見極める。
展開する防御術式に魔剣士の呪法を重ねる。ロンベルに纏わりつく影が肉体を強化し、不沈の肉体となる。そのままロンベルは一気に敵に迫り、手にした斧で薙ぎ払うように蒸気石たちを攻める。豪快に、そして大胆に。この瞬間こそ生きていると実感できる。
「どうしたどうした。こんな程度で終わりじゃないよな!」
「コッチもいくぜ!」
ロンベルに合わせるようにジーニーもベディヴィアに迫る。巨大な斧を構え、隻腕の反対側に回り込むように足を運んだ。隙があるように見えて誘われている。或いはそう思わせるのが戦術なの? ジーニーは思わず笑みを浮かべていた。
イメージを強く持つ。無人の野で荒れ狂う竜巻。何もかもを飲み込み、そのまま突き進む天災。そのイメージを抱いたままジーニーは回転するように斧を振るった。巨大な斧が生み出す刃が、蒸気騎士を傷つけていく。
「手ごたえありだ! 声とか出さないから痛いかどうかはわからないけどな!」
「痛い、と思います……。あれを直すのは、大変そうだなぁ、と」
ジーニーが斧で傷つけた跡を見てたまきは頷いた。マシーナリーとして機械が傷ついているのは、痛々しく思ってしまう。勿論、機械が生きていないとか言う事は理解したうえでの話だ。その優しさこそが、たまきの原点なのかもしれない。
だからと言って、円卓蒸気騎士の傷をいやそうというつもりはない。これはれっきとした勝負で、同情は相手を侮辱する行為となる。癒しの力を放ちながら、たまきは円卓騎士達を見た。破壊の為に作られた騎士達の技術を、守るために活かそう。それが自分の役割だ。
「いつかは、多くの人を助け、守れる物を……」
「そうとも。それは人の心、人の理想が成し得る事なんだ!」
胸を叩きアダムが言い放つ。世界はけして優しくない。同時に厳しくもない。世界を作っているのは人間だから。人が変われば世界も変わる。技術も理想も世界を良くするためにあるのだ。それを信じ、歩いていこう。
蒸気騎士の前に立ち、守りの意思を示すアダム。世界が暴威を示すなら、その前に立って盾になるのがアダムの騎士道。正しい道を切り拓く為に戦う者達。彼らを守るために我が腕はあるのだ。全身全霊をもってアダムは立ちふさがる。
「さあ、円卓の騎士達よ! 自由騎士アダムがお相手しよう。我が護り、聖剣さえも止めて見せよう!」
「うん。その気概は大事、だね」
アダムの宣誓を聞いてマグノリアが頷く。どのような艱難辛苦であれ、そこに挑む気概は重要だ。精神が結果を左右するかはわからないが、精神が肉体を動かす要因となるのは確かだ。最後の最後で心を折れずに立つ為に、強い心を保つのは重要だ。
聖遺物を手にして、魔力を展開するマグノリア。蒸気騎士達の騎士道という存在。その概念にヒビを入れる様に魔力を解き放つ。強く堂々とした騎士像そのものに術は作用し、その力を削いでいく。
「やるからには、派手に行くよ。僕は貴方の心が知りたい」
「確かに心は重要だ。如何なる思いで円卓騎士を作り出したのか。そして如何なる現実がその心を揺さぶったのか!」
マグノリアの言葉にコールが言葉を重ねた。事実、ヘルメリアとの戦いでマロリーの円卓蒸気騎士は出てこなかった。兵装としては悪くはないのだが、円卓蒸気騎士は戦争には使われなかった。そこに如何なるドラマがあったのか。
それを聞くにしてもこの戦いを制しなければならない。コールは一礼した後にステップを踏んで、味方を鼓舞する。情熱のダンスとステップのリズム。それが味方に伝わり、その明るいリズムが仲間達の肉体を活性化していく。
「嗚呼、国の危機に赴けなかった騎士達よ。その忸怩たる思いや如何に! あるいは国を想ったからこその出陣拒否だったのかもしれない。うん」
『オーダーメイドの一品物は時代遅れと言われてね。『蒸気王』は人口増加を先読みして、大量生産できる兵器に目を向けていたみたいだから』
理由は意外と現実的なものだったらしい。まあ、戦争なんてそんなものだ。
自由騎士と円卓蒸気騎士。ヒトと機械。イ・ラプセルという国の気質から生まれた騎士達と、ヘルメリアという蒸気国家で生まれた円卓の騎士。その両者がぶつかり合う。
最後の王の戦い。それは少しずつ加速していく。
●
自由騎士達は集中攻撃で蒸気騎士を一体ずつ落としていく戦略をとっていた。先ずは攻撃回数の多いベディヴィアからだ。
『騎士王、貴方の最後を見れず残念です』
隻腕の蒸気騎士はそう言って膝をつき、蒸気を輩出して動かなくなる。
だが自由騎士も無傷ではない。
「騎士王の剣は僕が受ける! 皆は今のうちに!」
アダムがアーサーの剣を受けて膝をつきそうになるが、騎士の誇りをもって不屈の精神を見せる。
「やるじゃねぇか。滾ってきたぜ」
体中に走る激痛に笑みを浮かべて、ロンベルがフラグメンツを燃やして闘志を示した。
「何故……マロリーは、人型に拘るのかい? メアリーもそうだけど」
戦いながらマロリーとメアリーに問いかけるマグノリア。ジャンルこそ違えど同じ技術者。そこに至った経緯には興味がある。
『そりゃもう二足歩行ロボットは男の夢だよ! 鋼鉄の身体を持つ兵器が縦横無尽に戦場を走り、敵を駆逐していく。このロマンを言葉にしようとすればもう夜まで語りつくせるね。先ずは造形からだけど――』
長いんでカット。なおメアリーは『なんか難しくて面白そうだったんで』と対照的であったという。
「変形とかカッコいいよな! やってくれよメアリー!」
「『サンダーアーム、フォーメーション!』……説明しよう、サンダーアームフォーメーションとは――」
マロリーと同じように機械駆動にワクワクしているジーニー。そしてやれと言われるとやってしまうメアリー。どこかの自爆技術者に『Hi! ロボを扱う時はこうすべきなのだ!』と仕込まれ(だまされ?)た為、こういう時はそういうノリになるようだ。
「ヘルメリアに染まるとああなるのかねぇ」
メアリーを見ながらニコラスが苦笑する。技術者の拘りというか技術を突き詰めると常識のタガが外れていくというか。……少しだけ自分の娘が心配になってきた。メンテナンスの時に色々吹聴されてあんな風に育ったら……いやいや、ないない。
「纏めてぶっ飛ばすぜ! オラオラオラァ!」
獣のように咆哮し、ロンベルが斧を振るう。暴力を振るい、暴力を受ける。それこそが戦闘であり、それこそが自分の人生。一方的な蹂躙よりも、血の滾る戦いを。死線の中にこそ、己の生を実感できる。
「来るがいい騎士王よ。我が名はアダム・クランプトン! 騎士の誇りは崩れない!」
アーサーをブロックし、威風堂々と立ちながらアダムが吼える。騎士物語で有名なアーサー王。その名を冠した蒸気騎士。本物ではないとはいえ、本場ヘルメリアでその騎士に相対できることは騎士として光栄だ。騎士の誇りをもってその喜びに応えよう。
「騎士道とは、違いますけど」
仲間を癒しながら、たまきは口を開く。物語にある騎士道のような勇猛さこそないが、たまきも貫くべき思いがあった。何者も傷つかない事。傷ついてもすぐに癒す。その信念を胸に、たまきは戦場に立つ。
「巨人を殺した知恵、出来る事なら教授してほしいものだよ。いや、その物語を演じてみるのも悪くはないかもね」
ケイが円卓騎士に与える付与を解除していくコール。巨人殺しはドラゴンスレイヤーに匹敵するほどの物語だ。小さな身でありながら巨大な暴力に打ち勝つ。そんな知恵と勇気の物語が面白くないはずがない。
「円卓もこれで終焉です。その力、私達が役立てましょう!」
武器を振るいながら叫ぶアンジェリカ。イ・ラプセルの戦いは続く。蒸気騎士の強さは先のヘルメリア戦で十分に味わった。その力を受け継ぎ、今後の戦いに活かすのだ。そしていつかは、自分の知恵と技術も誰かに受け継がせて――
自由騎士達は各個撃破で円卓蒸気騎士を攻めていく。支援役のケイが倒れれば円卓側のダメージも蓄積し、自由騎士が押していく。
「私達がモードレッドとなりましょう!」
最後に残ったアーサーにアンジェリカが迫る。円卓を終わらせた騎士モードレッド。アーサーの槍に貫かれてもなお進んだ勇猛さを模すように、エクスカリバーをかいくぐって武器を振るう。
『見事た、自由騎士達。我らが騎士の力、受け取るがいい』
アーサーはその言葉を最後に沈黙し、駆動を止めた。
●
『さすがだねー。本当に全員倒しちゃうなんて。うん。文句なしだよ。
ガンガン作るから、好きなデザインを言ってね』
戦いが終わり、感動したマロリーは喜びの声をあげる。これで蒸気騎士の技術を正式に得ることが出来るようになった。
「戦いは終わりのようだな。じゃあ、俺は帰るぜ」
戦いが終わったと同時に背を向けて帰っていくロンベル。戦いのない場所に用はない。あとは勝手にやってくれ、とばかりに歩いていく。
「アロンダイトとかエクスカリバーは大量生産できねーのか? 出来たらすげー強いと思うんだけどさ!」
『それは作るのに苦労したからねぇ。炉の温度も調整してギア比やグリップのバランスを調節しながら研いでいき、さらにはアーサーの腕部分の長さと黄金比にあわせることで回転の力を――』
ジーニーの要望に長々と語りだすマロリー。うわー、変なスイッチはいったー。長くなりそうなので、面倒そうな顔をしながら理解した旨を告げる。
「まあそうですか。作れないのでしたらこれを頂いてしまいましょう。パスタの長さをそろえるのに使えそうです」
『やめてー。持ってかないでー。どーろーぼー』
顔があれば泣きだしていただろうマロリーの懇願を聞き、アンジェリカは渋々エクスカリバーを手放した。冷静に考えれば、立派な盗難である。
「その魔導回路は……どういう仕組みなんだい?」
「付与魔術の応用でマキナハートにマナを送り込んで、それをキーにしてギアを回すの。兵装関係もこの応用で――」
マグノリアはメアリーの人形に興味津々と言った顔で人形を分解してみていた。メアリーも手慣れた様子でエンジンをばらしながら説明をしている。
「ふむふむ、上手く使えば……自動で動く車椅子も、作れますね」
メアリーの説明を受けてメモを取るたまき。オートマタの動きを活用すれば、押す人がいなくても動く椅子が作れそうだ。あるいは階段を上るような椅子も。事故で足が動かなくなった人への助けになるかもしれない。
「そうか。古き時代の騎士とはそのような精神を抱いていたのか! ありがとう、マロリーさん!」
アダムはマロリーからアーサー王の話を聞いて感動していた。剣を抜いたことで王となる運命を背負い、そこから国と民を守るために戦った日々。そして愛と友情により悲しき最期を迎えた王。最後の最後まで騎士の模範として生きた一人の王の話。
「自由騎士と円卓蒸気騎士の戦いは終わり、新たな時代が築かれる。自由騎士から生まれる蒸気騎士は、どのような騎士物語を紡ぐのか。それの公演まで、しばしお待ちください」
芝居かかった口調でそう言い放ち、コールは一礼する。カーテンコールはしめやかに。拍手喝采こそないが、コールはこの三演目のすばらしさを良く知っている。この戦いと演技を今後どう生かすかは、コール次第だ。
そして幕は降り――その裏側。誰もいなくなった工場にニコラスが訪れる。
『おや、キミはさっきの。何か用かい』
「よぉ。みんなの前で聞くのは憚ったんで、今聞くぜ。
何で円卓の騎士なんだ? 解りやすい騎士のモチーフだろうけど、逆に言えば古臭くてヘルメリアらしくないぜ」
『人機融合装置』
マロリーの言葉に、ニコラスはハッとした。生物と無生物を融合させるデウスギア。今はヘルメスがいないからその力はないが、それを用いて人と蒸気騎士を融合させれば――
「全身機械の人間の誕生ってか。となると蒸気騎士の本当のコンセプトはそれで、円卓はその象徴的な役割になるはずだった、ってか」
『それも君達のおかげでなくなったけどね。どうも『蒸気王』はその計画を急いでいたようだ。来年までに全国民分の蒸気騎士を作り出すとか、そんな計画があったみたいだね』
「……来年か」
ニコラスは渋い顔をして口を閉じた。自由騎士にとって、その期限はある言葉を示している。
(神の蟲毒の制限時間。それまでにヘルメリア国民を全員機械人間にして、破滅の未来を乗り切ろうとしたって所か。そんなもんで乗り切れるもんかどうかはわからんが。
ま、今となってはどうでもいい話だな)
頓挫した計画に意味はない。じゃあな、とばかりにニコラスは手を振って背を向けた。
「長かった戦いも、これで終わりですね」
四体の蒸気騎士を見ながら『救済の聖女』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)は静かに口を開く。前の戦いで使ったパピヨンマスクをしまい、祈りを捧げるシスターとして戦いに挑む。
「長いようで短い……そんな騎士物語だ。さあ、最終戦を始めようじゃないか!」
最後の演目を前に『永遠のアクトゥール』コール・シュプレ(CL3000584)が興奮したように口を開く。三度にわたる蒸気騎士との戦い。それもこれで終わりだ。名残惜しくはあるがカーテンコールも役者の仕事。最後に恥じぬ働きを見せようではないか。
「本戦参加は、初めてになるね」
うん、と頷いて前に出る『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)。これまではサポートとして戦っていたが、最後の戦いで前に出る事となった。相手は最後の王とその従者。相手にとって不足はない。
「マロリーさんは、兵器開発者ですが……学べることは、多いと思います」
杖を手にして頷く『命を繋ぐ巫女』たまき 聖流(CL3000283)。癒し手であるたまきと、兵器開発者のマロリーの方向性は異なる。だが同じ技師として、世界を良くしようとしているのは確かだ。その技術を破壊ではなく、守る方に仕えれば。
「これに勝てば蒸気騎士の技術を提供してくれるんだよな! 行くぜ!」
斧を振るいながら『砂塵の戦鬼』ジーニー・レイン(CL3000647)が叫ぶ。蒸気機関自体にはあまり興味はないが、かっこいいものには興味がある。蒸気騎士やメアリーの人形を見ながらジーニーはワクワクしていた。
「殴りがいのありそうな相手だな」
獰猛に笑う『強者を求めて』ロンベル・バルバロイト(CL3000550)。国の事情や世界の流れよりも、ロンベルは強者と戦うことを望んでいる。相手が強いなら叩きのめし、己を示す。ただそれだけがロンベルの戦う理由だ。
「騎士王……騎士の王……! なんてことだ!」
戦う前から興奮している『朽ちぬ信念』アダム・クランプトン(CL3000185)。物語をモチーフにした兵器とはいえ、騎士としてそのような名前を持つ者と剣を交わすだなんて、光栄の至りだ。今すぐに試合を始めたくて、うずうずしている。
「ん。じゃあおじさんはいつも通り後ろでがんばるんで」
そして変わらずマイペースな『罰はその命を以って』ニコラス・モラル(CL3000453)。騎士道とか円卓とかには興味はないが、ヘルメリアの兵器事情には興味がある。戦争は終わっているが、年長として過去に何が起きたかを知らなくてはいけない。それは罪滅ぼしか、或いはただの興味か。
『それではいいかな? それではぁ、円卓Fightラストバトル……レディィィィィィィィゴォォォォォォォ!』
マロリーの声と同時に戦いが開始される。
開始の鐘と蒸気騎士の駆動音、そして自由騎士達の雄叫びが重なった。
●
「ギア全開! 常に全力で参ります!」
最初に動いたのはアンジェリカだ。鍛え抜かれた肉体をシスター服で覆い、使い慣れた武器を手にして一気に蒸気騎士に迫る。戦いの流れを初撃で生み出し、そのまま押し切るのが彼女の戦術。その為に体を鍛えてきたのだ。
踏み込みと同時に『断罪と救済の十字架』を振るうアンジェリカ。狙うはランスロット。祈りを込めた全力の攻撃は、相手の敵味方の認識を狂わせる。ベディヴィアではなくランスロットを狙ったのは……なんとなく女性に弱そうな気がしたからだ。
「ふう……いい仕事をしましたわ」
「相手の一人を無力化したんだから、確かにいい仕事だな」
魅了されてアーサー王に切りかかるランスロットを見て、ニコラスは何とも言えない表情と言葉を返す。あの時代の騎士物語は人妻への恋愛上等だからなぁ、と思いながら強い言及は避ける五十二歳子持ち男性であった。
苦笑しながら魔力を練り上げるニコラス。呼吸を整えて魔力を展開し、呪文と指の動きを重ねて癒しの力に返還する。呼気と共に放たれた魔力が癒しの力となり、蒸気騎士達に傷つけられた仲間達を鼓舞していく。
「はいはい。やばいと思ったら、素直に手上げな。手が空きそうなら集中して癒すぜ」
「戦いに夢中で忘れてなきゃな」
隻腕の蒸気騎士を前にして嬉しそうにロンベルが口を開く。相手が片腕だからと侮る事もなければ、弱者と見下すわけではない。ロンベルが見るのはその動きと強さのみ。一刀流が二刀流の半分の強さというわけではない。その真価を見極める。
展開する防御術式に魔剣士の呪法を重ねる。ロンベルに纏わりつく影が肉体を強化し、不沈の肉体となる。そのままロンベルは一気に敵に迫り、手にした斧で薙ぎ払うように蒸気石たちを攻める。豪快に、そして大胆に。この瞬間こそ生きていると実感できる。
「どうしたどうした。こんな程度で終わりじゃないよな!」
「コッチもいくぜ!」
ロンベルに合わせるようにジーニーもベディヴィアに迫る。巨大な斧を構え、隻腕の反対側に回り込むように足を運んだ。隙があるように見えて誘われている。或いはそう思わせるのが戦術なの? ジーニーは思わず笑みを浮かべていた。
イメージを強く持つ。無人の野で荒れ狂う竜巻。何もかもを飲み込み、そのまま突き進む天災。そのイメージを抱いたままジーニーは回転するように斧を振るった。巨大な斧が生み出す刃が、蒸気騎士を傷つけていく。
「手ごたえありだ! 声とか出さないから痛いかどうかはわからないけどな!」
「痛い、と思います……。あれを直すのは、大変そうだなぁ、と」
ジーニーが斧で傷つけた跡を見てたまきは頷いた。マシーナリーとして機械が傷ついているのは、痛々しく思ってしまう。勿論、機械が生きていないとか言う事は理解したうえでの話だ。その優しさこそが、たまきの原点なのかもしれない。
だからと言って、円卓蒸気騎士の傷をいやそうというつもりはない。これはれっきとした勝負で、同情は相手を侮辱する行為となる。癒しの力を放ちながら、たまきは円卓騎士達を見た。破壊の為に作られた騎士達の技術を、守るために活かそう。それが自分の役割だ。
「いつかは、多くの人を助け、守れる物を……」
「そうとも。それは人の心、人の理想が成し得る事なんだ!」
胸を叩きアダムが言い放つ。世界はけして優しくない。同時に厳しくもない。世界を作っているのは人間だから。人が変われば世界も変わる。技術も理想も世界を良くするためにあるのだ。それを信じ、歩いていこう。
蒸気騎士の前に立ち、守りの意思を示すアダム。世界が暴威を示すなら、その前に立って盾になるのがアダムの騎士道。正しい道を切り拓く為に戦う者達。彼らを守るために我が腕はあるのだ。全身全霊をもってアダムは立ちふさがる。
「さあ、円卓の騎士達よ! 自由騎士アダムがお相手しよう。我が護り、聖剣さえも止めて見せよう!」
「うん。その気概は大事、だね」
アダムの宣誓を聞いてマグノリアが頷く。どのような艱難辛苦であれ、そこに挑む気概は重要だ。精神が結果を左右するかはわからないが、精神が肉体を動かす要因となるのは確かだ。最後の最後で心を折れずに立つ為に、強い心を保つのは重要だ。
聖遺物を手にして、魔力を展開するマグノリア。蒸気騎士達の騎士道という存在。その概念にヒビを入れる様に魔力を解き放つ。強く堂々とした騎士像そのものに術は作用し、その力を削いでいく。
「やるからには、派手に行くよ。僕は貴方の心が知りたい」
「確かに心は重要だ。如何なる思いで円卓騎士を作り出したのか。そして如何なる現実がその心を揺さぶったのか!」
マグノリアの言葉にコールが言葉を重ねた。事実、ヘルメリアとの戦いでマロリーの円卓蒸気騎士は出てこなかった。兵装としては悪くはないのだが、円卓蒸気騎士は戦争には使われなかった。そこに如何なるドラマがあったのか。
それを聞くにしてもこの戦いを制しなければならない。コールは一礼した後にステップを踏んで、味方を鼓舞する。情熱のダンスとステップのリズム。それが味方に伝わり、その明るいリズムが仲間達の肉体を活性化していく。
「嗚呼、国の危機に赴けなかった騎士達よ。その忸怩たる思いや如何に! あるいは国を想ったからこその出陣拒否だったのかもしれない。うん」
『オーダーメイドの一品物は時代遅れと言われてね。『蒸気王』は人口増加を先読みして、大量生産できる兵器に目を向けていたみたいだから』
理由は意外と現実的なものだったらしい。まあ、戦争なんてそんなものだ。
自由騎士と円卓蒸気騎士。ヒトと機械。イ・ラプセルという国の気質から生まれた騎士達と、ヘルメリアという蒸気国家で生まれた円卓の騎士。その両者がぶつかり合う。
最後の王の戦い。それは少しずつ加速していく。
●
自由騎士達は集中攻撃で蒸気騎士を一体ずつ落としていく戦略をとっていた。先ずは攻撃回数の多いベディヴィアからだ。
『騎士王、貴方の最後を見れず残念です』
隻腕の蒸気騎士はそう言って膝をつき、蒸気を輩出して動かなくなる。
だが自由騎士も無傷ではない。
「騎士王の剣は僕が受ける! 皆は今のうちに!」
アダムがアーサーの剣を受けて膝をつきそうになるが、騎士の誇りをもって不屈の精神を見せる。
「やるじゃねぇか。滾ってきたぜ」
体中に走る激痛に笑みを浮かべて、ロンベルがフラグメンツを燃やして闘志を示した。
「何故……マロリーは、人型に拘るのかい? メアリーもそうだけど」
戦いながらマロリーとメアリーに問いかけるマグノリア。ジャンルこそ違えど同じ技術者。そこに至った経緯には興味がある。
『そりゃもう二足歩行ロボットは男の夢だよ! 鋼鉄の身体を持つ兵器が縦横無尽に戦場を走り、敵を駆逐していく。このロマンを言葉にしようとすればもう夜まで語りつくせるね。先ずは造形からだけど――』
長いんでカット。なおメアリーは『なんか難しくて面白そうだったんで』と対照的であったという。
「変形とかカッコいいよな! やってくれよメアリー!」
「『サンダーアーム、フォーメーション!』……説明しよう、サンダーアームフォーメーションとは――」
マロリーと同じように機械駆動にワクワクしているジーニー。そしてやれと言われるとやってしまうメアリー。どこかの自爆技術者に『Hi! ロボを扱う時はこうすべきなのだ!』と仕込まれ(だまされ?)た為、こういう時はそういうノリになるようだ。
「ヘルメリアに染まるとああなるのかねぇ」
メアリーを見ながらニコラスが苦笑する。技術者の拘りというか技術を突き詰めると常識のタガが外れていくというか。……少しだけ自分の娘が心配になってきた。メンテナンスの時に色々吹聴されてあんな風に育ったら……いやいや、ないない。
「纏めてぶっ飛ばすぜ! オラオラオラァ!」
獣のように咆哮し、ロンベルが斧を振るう。暴力を振るい、暴力を受ける。それこそが戦闘であり、それこそが自分の人生。一方的な蹂躙よりも、血の滾る戦いを。死線の中にこそ、己の生を実感できる。
「来るがいい騎士王よ。我が名はアダム・クランプトン! 騎士の誇りは崩れない!」
アーサーをブロックし、威風堂々と立ちながらアダムが吼える。騎士物語で有名なアーサー王。その名を冠した蒸気騎士。本物ではないとはいえ、本場ヘルメリアでその騎士に相対できることは騎士として光栄だ。騎士の誇りをもってその喜びに応えよう。
「騎士道とは、違いますけど」
仲間を癒しながら、たまきは口を開く。物語にある騎士道のような勇猛さこそないが、たまきも貫くべき思いがあった。何者も傷つかない事。傷ついてもすぐに癒す。その信念を胸に、たまきは戦場に立つ。
「巨人を殺した知恵、出来る事なら教授してほしいものだよ。いや、その物語を演じてみるのも悪くはないかもね」
ケイが円卓騎士に与える付与を解除していくコール。巨人殺しはドラゴンスレイヤーに匹敵するほどの物語だ。小さな身でありながら巨大な暴力に打ち勝つ。そんな知恵と勇気の物語が面白くないはずがない。
「円卓もこれで終焉です。その力、私達が役立てましょう!」
武器を振るいながら叫ぶアンジェリカ。イ・ラプセルの戦いは続く。蒸気騎士の強さは先のヘルメリア戦で十分に味わった。その力を受け継ぎ、今後の戦いに活かすのだ。そしていつかは、自分の知恵と技術も誰かに受け継がせて――
自由騎士達は各個撃破で円卓蒸気騎士を攻めていく。支援役のケイが倒れれば円卓側のダメージも蓄積し、自由騎士が押していく。
「私達がモードレッドとなりましょう!」
最後に残ったアーサーにアンジェリカが迫る。円卓を終わらせた騎士モードレッド。アーサーの槍に貫かれてもなお進んだ勇猛さを模すように、エクスカリバーをかいくぐって武器を振るう。
『見事た、自由騎士達。我らが騎士の力、受け取るがいい』
アーサーはその言葉を最後に沈黙し、駆動を止めた。
●
『さすがだねー。本当に全員倒しちゃうなんて。うん。文句なしだよ。
ガンガン作るから、好きなデザインを言ってね』
戦いが終わり、感動したマロリーは喜びの声をあげる。これで蒸気騎士の技術を正式に得ることが出来るようになった。
「戦いは終わりのようだな。じゃあ、俺は帰るぜ」
戦いが終わったと同時に背を向けて帰っていくロンベル。戦いのない場所に用はない。あとは勝手にやってくれ、とばかりに歩いていく。
「アロンダイトとかエクスカリバーは大量生産できねーのか? 出来たらすげー強いと思うんだけどさ!」
『それは作るのに苦労したからねぇ。炉の温度も調整してギア比やグリップのバランスを調節しながら研いでいき、さらにはアーサーの腕部分の長さと黄金比にあわせることで回転の力を――』
ジーニーの要望に長々と語りだすマロリー。うわー、変なスイッチはいったー。長くなりそうなので、面倒そうな顔をしながら理解した旨を告げる。
「まあそうですか。作れないのでしたらこれを頂いてしまいましょう。パスタの長さをそろえるのに使えそうです」
『やめてー。持ってかないでー。どーろーぼー』
顔があれば泣きだしていただろうマロリーの懇願を聞き、アンジェリカは渋々エクスカリバーを手放した。冷静に考えれば、立派な盗難である。
「その魔導回路は……どういう仕組みなんだい?」
「付与魔術の応用でマキナハートにマナを送り込んで、それをキーにしてギアを回すの。兵装関係もこの応用で――」
マグノリアはメアリーの人形に興味津々と言った顔で人形を分解してみていた。メアリーも手慣れた様子でエンジンをばらしながら説明をしている。
「ふむふむ、上手く使えば……自動で動く車椅子も、作れますね」
メアリーの説明を受けてメモを取るたまき。オートマタの動きを活用すれば、押す人がいなくても動く椅子が作れそうだ。あるいは階段を上るような椅子も。事故で足が動かなくなった人への助けになるかもしれない。
「そうか。古き時代の騎士とはそのような精神を抱いていたのか! ありがとう、マロリーさん!」
アダムはマロリーからアーサー王の話を聞いて感動していた。剣を抜いたことで王となる運命を背負い、そこから国と民を守るために戦った日々。そして愛と友情により悲しき最期を迎えた王。最後の最後まで騎士の模範として生きた一人の王の話。
「自由騎士と円卓蒸気騎士の戦いは終わり、新たな時代が築かれる。自由騎士から生まれる蒸気騎士は、どのような騎士物語を紡ぐのか。それの公演まで、しばしお待ちください」
芝居かかった口調でそう言い放ち、コールは一礼する。カーテンコールはしめやかに。拍手喝采こそないが、コールはこの三演目のすばらしさを良く知っている。この戦いと演技を今後どう生かすかは、コール次第だ。
そして幕は降り――その裏側。誰もいなくなった工場にニコラスが訪れる。
『おや、キミはさっきの。何か用かい』
「よぉ。みんなの前で聞くのは憚ったんで、今聞くぜ。
何で円卓の騎士なんだ? 解りやすい騎士のモチーフだろうけど、逆に言えば古臭くてヘルメリアらしくないぜ」
『人機融合装置』
マロリーの言葉に、ニコラスはハッとした。生物と無生物を融合させるデウスギア。今はヘルメスがいないからその力はないが、それを用いて人と蒸気騎士を融合させれば――
「全身機械の人間の誕生ってか。となると蒸気騎士の本当のコンセプトはそれで、円卓はその象徴的な役割になるはずだった、ってか」
『それも君達のおかげでなくなったけどね。どうも『蒸気王』はその計画を急いでいたようだ。来年までに全国民分の蒸気騎士を作り出すとか、そんな計画があったみたいだね』
「……来年か」
ニコラスは渋い顔をして口を閉じた。自由騎士にとって、その期限はある言葉を示している。
(神の蟲毒の制限時間。それまでにヘルメリア国民を全員機械人間にして、破滅の未来を乗り切ろうとしたって所か。そんなもんで乗り切れるもんかどうかはわからんが。
ま、今となってはどうでもいい話だな)
頓挫した計画に意味はない。じゃあな、とばかりにニコラスは手を振って背を向けた。
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
称号付与
『円卓を継ぐ騎士』
取得者: アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)
『円卓を継ぐ騎士』
取得者: たまき 聖流(CL3000283)
『円卓を継ぐ騎士』
取得者: コール・シュプレ(CL3000584)
『円卓を継ぐ騎士』
取得者: ニコラス・モラル(CL3000453)
『円卓を継ぐ騎士』
取得者: アダム・クランプトン(CL3000185)
取得者: アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)
『円卓を継ぐ騎士』
取得者: たまき 聖流(CL3000283)
『円卓を継ぐ騎士』
取得者: コール・シュプレ(CL3000584)
『円卓を継ぐ騎士』
取得者: ニコラス・モラル(CL3000453)
『円卓を継ぐ騎士』
取得者: アダム・クランプトン(CL3000185)
特殊成果
『円卓蒸気騎士との写真』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:アダム・クランプトン(CL3000185)
カテゴリ:アクセサリ
取得者:アダム・クランプトン(CL3000185)
†あとがき†
どくどくです。
シリーズ最終話にエンディング二番とか流したら怒られそうなので真面目に。
というわけでシリーズ【円卓の騎士】終焉です。先ずはお疲れさまでした。
トマス・マロリーは軍人+オタクな設計者という感じで作りました。個人的にはヘルメリアNPCの中で二番目に動かしやすいNPCです。なお一番はニコラ。
円卓蒸気騎士のメンバーは、むしろだれを外すかで難儀しました。最後はアーサーを横からぶん殴って倒した暴走モードレッドとかにしようかと思いつつ、いや王道は外せまいと涙を呑んでメンバーを選出していたとか。
MVPは遊びを忘れなかったヴァレンタイン様に。何を、とは言いませんが。
ともあれお疲れさまです。蒸気騎士は暫く後に皆様の元に届くと思います。
それではまた、イ・ラプセルで。
シリーズ最終話にエンディング二番とか流したら怒られそうなので真面目に。
というわけでシリーズ【円卓の騎士】終焉です。先ずはお疲れさまでした。
トマス・マロリーは軍人+オタクな設計者という感じで作りました。個人的にはヘルメリアNPCの中で二番目に動かしやすいNPCです。なお一番はニコラ。
円卓蒸気騎士のメンバーは、むしろだれを外すかで難儀しました。最後はアーサーを横からぶん殴って倒した暴走モードレッドとかにしようかと思いつつ、いや王道は外せまいと涙を呑んでメンバーを選出していたとか。
MVPは遊びを忘れなかったヴァレンタイン様に。何を、とは言いませんが。
ともあれお疲れさまです。蒸気騎士は暫く後に皆様の元に届くと思います。
それではまた、イ・ラプセルで。
FL送付済