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《オラトリオ1819》Q-1 Fight!

●女王に捧げし闘技場
『レディィィィィィィス! アンド、ジェントルメェェェェン!
1819年の終わりを告げる鐘がなる前に、熱いバトルをお届けするぜええええええ!』
拡声器により広げられた声が、討議城内に響き渡る。
「ウオオオオオオオオオオオオ!」
そしてそれに呼応するように、観客席からの声が響き渡る。
ここはヘルメリア南部の都市、サウスポート。そこにある競技場。
ここでは毎年年末に女王に捧げる戦い『Q-1Fight』が行われている。オラトリオ・オデッセイの催しとして長年続けられてきた祭りだ。今となっては『女王』はいないのだが、それを気にするものはない。
『まずは選手セレモニーだ!
荒々しい海の戦士! 荒波を割く豪斧は海の男の魂か! ディルス・ヴァイキーング!』
「ガーッハッハッハ! 俺のパワーに勝てる者はいるか!」
斧を手にした髭男が、大笑いする。
『その速度、正に音速! 刃の貴公子此処に現る! ミスター・スライス!』
「君のハートを、ピン止めしてやるぜ! アッハァ!」
針のようなダガーを口に加え、ポーズを決める優男。
『騎士の誓いは破れない! 女王に捧げし剣をここに! セイブ・ザ・クイーン!』
「女王への戦いを金にするなど不埒な! だがこれも騎士の務め、女王の名にかけて勝利を誓おう!」
鎧を着こんだキジンが剣を掲げる
『なんとぉ! あのマスクドインヤンの正体はケモノビトだった! 白黒熊の格闘家、インヤン!』
「パフォー!」
8割獣化したパンダのケモノビトが、央華大陸っぽい格闘ポーズを取る。
『小さな体に機械の腕! はたしてネズミは巨人を噛むのか!? 謎のガジェット使い、チューチューボクサー!』
「ひーん、がんばりまーす」
顔の上半身を隠したマスクをつけて、ネズミのケモノビト少女がポーズを取る。
『ヘルメリア紳士此処に在り! あのコーリナー剣術伝承者がここに! ジョン・コーリナー!』
「はっはっは。恥をさらさない程度にがんばりますよ」
モノクルをつけた紳士風の男が軽く手をあげる。
『あの女が帰ってきたぁ! シャーロッテホームズの相方にして親友! ジェーン・ワトソン!』
「まあ、ホームズの事だから何か意味があるんだろうが……解せぬ」
拳銃を手にした女性が不服そうに手をあげる。
『そして更に更に更にィ! 今回は特別ゲストォォォ! イ・ラプセルの自由騎士達も参戦だぁ!
二国の勇士が混じり合う、正に掟破りのQ-1Fight! 今宵はどのような戦いになるのか予測不能! 伝説の女王の武器は、誰の手に渡るのでしょうか!?』
「ワアアアアアアアアアア!」
湧き上がる闘技場。その歓声を聞きながら、控室で貴方達は闘志を滾らせる。
陰謀も策略もない。国による差別もない。ここにあるのはただ戦いのみ。勝者が勝ち残り、敗者が脱落する。ただそれだけのバトルロワイヤル。最後まで立っていた者だけが、栄光を得る。
「エール、エールは如何っすかー!」
「各選手のサイン入り恥骨はこっちだよー」
そして商魂逞しい者達はここぞとばかりに商品を売り込む。中にはあからさまに詐欺なものもあるが。
年に一度の巨大イベント、Q-1Fight。貴方はこの大会に――
『レディィィィィィィス! アンド、ジェントルメェェェェン!
1819年の終わりを告げる鐘がなる前に、熱いバトルをお届けするぜええええええ!』
拡声器により広げられた声が、討議城内に響き渡る。
「ウオオオオオオオオオオオオ!」
そしてそれに呼応するように、観客席からの声が響き渡る。
ここはヘルメリア南部の都市、サウスポート。そこにある競技場。
ここでは毎年年末に女王に捧げる戦い『Q-1Fight』が行われている。オラトリオ・オデッセイの催しとして長年続けられてきた祭りだ。今となっては『女王』はいないのだが、それを気にするものはない。
『まずは選手セレモニーだ!
荒々しい海の戦士! 荒波を割く豪斧は海の男の魂か! ディルス・ヴァイキーング!』
「ガーッハッハッハ! 俺のパワーに勝てる者はいるか!」
斧を手にした髭男が、大笑いする。
『その速度、正に音速! 刃の貴公子此処に現る! ミスター・スライス!』
「君のハートを、ピン止めしてやるぜ! アッハァ!」
針のようなダガーを口に加え、ポーズを決める優男。
『騎士の誓いは破れない! 女王に捧げし剣をここに! セイブ・ザ・クイーン!』
「女王への戦いを金にするなど不埒な! だがこれも騎士の務め、女王の名にかけて勝利を誓おう!」
鎧を着こんだキジンが剣を掲げる
『なんとぉ! あのマスクドインヤンの正体はケモノビトだった! 白黒熊の格闘家、インヤン!』
「パフォー!」
8割獣化したパンダのケモノビトが、央華大陸っぽい格闘ポーズを取る。
『小さな体に機械の腕! はたしてネズミは巨人を噛むのか!? 謎のガジェット使い、チューチューボクサー!』
「ひーん、がんばりまーす」
顔の上半身を隠したマスクをつけて、ネズミのケモノビト少女がポーズを取る。
『ヘルメリア紳士此処に在り! あのコーリナー剣術伝承者がここに! ジョン・コーリナー!』
「はっはっは。恥をさらさない程度にがんばりますよ」
モノクルをつけた紳士風の男が軽く手をあげる。
『あの女が帰ってきたぁ! シャーロッテホームズの相方にして親友! ジェーン・ワトソン!』
「まあ、ホームズの事だから何か意味があるんだろうが……解せぬ」
拳銃を手にした女性が不服そうに手をあげる。
『そして更に更に更にィ! 今回は特別ゲストォォォ! イ・ラプセルの自由騎士達も参戦だぁ!
二国の勇士が混じり合う、正に掟破りのQ-1Fight! 今宵はどのような戦いになるのか予測不能! 伝説の女王の武器は、誰の手に渡るのでしょうか!?』
「ワアアアアアアアアアア!」
湧き上がる闘技場。その歓声を聞きながら、控室で貴方達は闘志を滾らせる。
陰謀も策略もない。国による差別もない。ここにあるのはただ戦いのみ。勝者が勝ち残り、敗者が脱落する。ただそれだけのバトルロワイヤル。最後まで立っていた者だけが、栄光を得る。
「エール、エールは如何っすかー!」
「各選手のサイン入り恥骨はこっちだよー」
そして商魂逞しい者達はここぞとばかりに商品を売り込む。中にはあからさまに詐欺なものもあるが。
年に一度の巨大イベント、Q-1Fight。貴方はこの大会に――
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.Q-1Fightを盛り上げろ!
どくどくです。
トーナメント形式の通常戦闘でやるかどうか迷ったけど、こっちで。
●説明!
ヘルメリアで年末に行われるQ-1Fight。それに参加します。
去年まではノウブルのみの参加でしたが、イ・ラプセルが開催する町を占拠したことで急遽参加枠が人間種族全般へと広がりました。大会運営者も結構ノリノリのようです。
大会形式はバトルロワイヤル。全員で殴り合い、最後まで立っていた者の勝利です。戦闘不能者への攻撃など、あからさまな殺人行為は反則負け。
勝者には『女王の武器庫』から一つ武器が贈呈されます。
そして熱をあげるのは戦いに赴く闘士だけではありません。これを機会にお金を稼ごうとする商人や詐欺師もいます。詐欺師に関しては大会運営者も被害届は聞いていますが、手が回らないのが実情です。
行動は四種類。プレイング、或いはEXプレイング内に番号を記載してください。それ以外を選択したい場合は【5】でお願いします。
【1】選手として参加:大会に選手として参加します。
【2】商人として参加:観客席および闘技場周囲で商売します。
【3】警邏として参加:闘技場周りを警邏し、不埒なものを捕らえます。
【4】医者として参加:怪我をする参加者を癒すため、スタッフ入りします。
●NPCズ
NPCは絡まれなければ基本空気です。気が付けば倒されています。
自ジョブのランク2までを使用します。
・ディルス・ヴァイキング
ノウブル。30代男性。髭を生やしたヴァイキング。斧を持った重戦士です。ガハハと笑うパワーファイター。試合が終わると礼儀正しく頭を下げてきます。
・ミスター・スライス
ノウブル。20代男性。イケメンを装った軽戦士。複数の刃を持ち、用途に応じて刃を切り替えながら切りかかってきます。スピードファイター。チャラく見えるけど愛妻家。
・セイブ・ザ・クイーン
キジン(オールモスト)。20代女性。剣と盾を持つ防御タンク。騎士道を重んじる発言をしてますが騎士称号とか持ってないコスプレ騎士です。キャラ立てって大変。
・インヤン
パンダのケモノビト。40歳男性。徒手空拳の格闘スタイル。今までは大会委員会に賄賂渡してノウブルと偽って参加してましたが、今年からはケモノビトとして参加です。
・チューチューボクサー
マスクで顔を隠した耳に六つの穴が開いているネズミのケモノビト。10代女性。ガジェットスタイル。ドリルアームとか使います。レティーナ、って言うと必死に否定します。
・ジョン・コーリナー
ノウブル。30代男性。何やってんの先生? 軽戦士スキルのみで戦います。
・ジェーン・ワトソン
ノウブル。20代女性。元軍医のガンナー。シャーロッテホームズの相棒。相方の命令で不承不承参加しているとか。
・アミナ・ミゼット
ノウブル。褐色肌の南国ギャル。ダンサースタイル。しれっと参加しています。
・サイラス・オーニッツ
ペストマスクの医者。医療スタッフとして参加しています。
●場所情報
ヘルメリアにある闘技場。イ・ラプセル占領下にある街なので、身バレとか気にしなくていいです。
闘技場の広さや足場などは戦闘に支障なし。皆が敵であるバトルロワイヤルなので、ブロックの概念などはありません。……が、誰かを意図して守る事は可能です。試合開始の号砲と共に全員で殴り合います。
闘技場での商売や警邏、医療の申し出は快く受け入れられます。過剰でなければ道具なども貸してもらえるでしょう。
皆様のプレイングをお待ちしています。
トーナメント形式の通常戦闘でやるかどうか迷ったけど、こっちで。
●説明!
ヘルメリアで年末に行われるQ-1Fight。それに参加します。
去年まではノウブルのみの参加でしたが、イ・ラプセルが開催する町を占拠したことで急遽参加枠が人間種族全般へと広がりました。大会運営者も結構ノリノリのようです。
大会形式はバトルロワイヤル。全員で殴り合い、最後まで立っていた者の勝利です。戦闘不能者への攻撃など、あからさまな殺人行為は反則負け。
勝者には『女王の武器庫』から一つ武器が贈呈されます。
そして熱をあげるのは戦いに赴く闘士だけではありません。これを機会にお金を稼ごうとする商人や詐欺師もいます。詐欺師に関しては大会運営者も被害届は聞いていますが、手が回らないのが実情です。
行動は四種類。プレイング、或いはEXプレイング内に番号を記載してください。それ以外を選択したい場合は【5】でお願いします。
【1】選手として参加:大会に選手として参加します。
【2】商人として参加:観客席および闘技場周囲で商売します。
【3】警邏として参加:闘技場周りを警邏し、不埒なものを捕らえます。
【4】医者として参加:怪我をする参加者を癒すため、スタッフ入りします。
●NPCズ
NPCは絡まれなければ基本空気です。気が付けば倒されています。
自ジョブのランク2までを使用します。
・ディルス・ヴァイキング
ノウブル。30代男性。髭を生やしたヴァイキング。斧を持った重戦士です。ガハハと笑うパワーファイター。試合が終わると礼儀正しく頭を下げてきます。
・ミスター・スライス
ノウブル。20代男性。イケメンを装った軽戦士。複数の刃を持ち、用途に応じて刃を切り替えながら切りかかってきます。スピードファイター。チャラく見えるけど愛妻家。
・セイブ・ザ・クイーン
キジン(オールモスト)。20代女性。剣と盾を持つ防御タンク。騎士道を重んじる発言をしてますが騎士称号とか持ってないコスプレ騎士です。キャラ立てって大変。
・インヤン
パンダのケモノビト。40歳男性。徒手空拳の格闘スタイル。今までは大会委員会に賄賂渡してノウブルと偽って参加してましたが、今年からはケモノビトとして参加です。
・チューチューボクサー
マスクで顔を隠した耳に六つの穴が開いているネズミのケモノビト。10代女性。ガジェットスタイル。ドリルアームとか使います。レティーナ、って言うと必死に否定します。
・ジョン・コーリナー
ノウブル。30代男性。何やってんの先生? 軽戦士スキルのみで戦います。
・ジェーン・ワトソン
ノウブル。20代女性。元軍医のガンナー。シャーロッテホームズの相棒。相方の命令で不承不承参加しているとか。
・アミナ・ミゼット
ノウブル。褐色肌の南国ギャル。ダンサースタイル。しれっと参加しています。
・サイラス・オーニッツ
ペストマスクの医者。医療スタッフとして参加しています。
●場所情報
ヘルメリアにある闘技場。イ・ラプセル占領下にある街なので、身バレとか気にしなくていいです。
闘技場の広さや足場などは戦闘に支障なし。皆が敵であるバトルロワイヤルなので、ブロックの概念などはありません。……が、誰かを意図して守る事は可能です。試合開始の号砲と共に全員で殴り合います。
闘技場での商売や警邏、医療の申し出は快く受け入れられます。過剰でなければ道具なども貸してもらえるでしょう。
皆様のプレイングをお待ちしています。
状態
完了
完了
報酬マテリア
0個
0個
0個
1個




参加費
50LP
50LP
相談日数
12日
12日
参加人数
17/∞
17/∞
公開日
2020年01月09日
2020年01月09日
†メイン参加者 17人†

●開幕ッ!
「さあ、やってきました! Q-1Fight1819! 司会はあなたの心にスリップダメージ! トゥワイスポイズンです!
そして先ほどイ・ラプセルの国歌斉唱を行ってくれた――」
「カノンがお送りしまーす!」
大会開始前に闘技場で国歌斉唱をした『戦場に咲く向日葵』カノン・イスルギ(CL3000025)が手を振った。
「見事な歌声でしたね、カノンさん! イ・ラプセルでは歌手か何かを?」
「劇団をやってるよ。良かった見に来てね!」
「はい。それではさっそく選手の方に目を向けていきましょう。今年の大会はまさにカオス一色! イ・ラプセルの参戦により予想つかずでオッズが荒れております!
武器の使用も許される本大会、何が起きるか全くわかりません!」
「ずるしたら、カノンがレッドカード出すからね!」
瞳に魔力を宿し、闘技場を注視するカノン。格闘動作を知っているカノンの目を誤魔化すことは難しいだろう。
「それでは、そろそろ司会開始です! キュウ! ワン! ファァァァァァァイト!」
開始のゴングが、高らかと鳴る――
●ファイトッ!
「お祭りだけど、手は抜かないからね!」
ナックルを手にして『黒砂糖はたからもの』リサ・スターリング(CL3000343)が拳を握る。相手の攻撃を受け流す構えを取って、防御優先で戦いに挑む。大事なのは多くを倒すことではない。最後まで立っていることだ。
「守ってばかりじゃないからね!」
防御の構えを維持しながら、リサは近くににいる選手に挑みかかる。これはお祭りだ。だから守ってばかりじゃ意味はない。見る人を楽しませるために、そして自分も楽しむために。怨恨なく、しかし勝ちを狙って。リサは真っ直ぐに戦いに挑む。
「不殺の権能があるから、加減なくいくよ!」
「アンタ……強そうだね」
『竜弾』アン・J・ハインケル(CL3000015)は銃を構えて選手の一人とにらみ合う。相手との距離の取り方。構え方。そしてあふれ出る闘志。静かでいてそれでいて堅牢な砦の門。相手もアンの動きを見て、構えを取る。
「先に抜きな」
実際ににらみ合ったのはおそらく数秒程度。二人のガンマンは同時に銃を抜き、そして撃ち放っていた。先に引き金を引いたのは相手の方。アンはそれに合わせる様に体を半身逸らし、引き金を引く。深い吐息と共に、アンは相手が倒れたのを確認した。
「充実した時間だったよ。感謝するぜ」
「幾多の勇士が武を競い合う。そこに立てるなど感激の極みです」
祈るように手を組み合わせ、『ヤバイ、このシスター超ヤバイ』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)。なんでこの称号選んだんですかね? ともあれやる気は充分に感じられた。
「幾らでもかかってきなさい」
迫る選手を『断罪と救済の十字架』で打ち払う。その一撃、正に豪風。一切の加減なく、一切の躊躇ない。同じ自由騎士であっても顔色一つ変えずに攻撃する。致命的なダメージを与えないよう配慮しながら、しかし容赦なくアンジェリカは武器を振るっていた。
「楽しいお祭りにしましょうね」
それらは全て、このQ-1Fightを盛り上げる為。
――事実、その容赦のなさが観客の心を強くつかんでいた。
●会場の平和を守れッ!
「ほんま、こういうお祭りやと喧嘩する人も多いなぁ」
会場の見回りをしていた『カタクラフトダンサー』アリシア・フォン・フルシャンテ(CL3000227)は呆れたようにため息をついた。どの選手が勝つか、それが理由で興奮した客同士が喧嘩していた。
「関係ない人に迷惑かかってるから大人しくせなあかんよ。おとなしく、せい!」
言葉で説得しても収まらない客を、トレイではたいて大人しくさせるアリシア。ぱかーん、という小気味い音と僅かな痛み。それが興奮した頭を軽くシェイクし、落ち着かせる。「楽しむのはええけど、おいたが過ぎるのはあかんで。ほならな!」
笑顔で言って手を振るアリシア。その笑顔に毒を抜かれた者達は、ラジヲから聞こえる会場の戦況にのめり込んでいく。
●ファイトッッ!
「なんですかっ、コーナリー剣術って! あ、そういう事ですね!」
「ええ、そういう事です」
『戦姫』デボラ・ディートヘルム(CL3000511)の言葉に頷くジョン。デボラが何が分かったかは他人にはわからないし、ジョンもなにを納得したかはわからない。二人だけに分かる何かがあったのだろう。多分。
「分かりました、援護します!」
「背中は任せましたよ」
「はいっ!」
言ってデボラは剣と盾を構えてジョンを守るように戦う。迫る者達からジョンを守り、そして攻めていく。背中越しのジョンの存在を感じながら力の限り武器を振るう。このシチュエーションだけで、この大会に参加してよかったとデボラは興奮していた。
「コーリナー剣術の後継者はいるんですか? いなければ私が! ……いいえ、私の子供と言うのも捨てがたい!」
「愛ってすごいわねー」
『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)はデボラの様子を見てそんなことを呟く。目立たず且つ動きやすさを重視して、貫頭衣を着て戦いに挑んでいた。バトルロワイアルで重要なのは目立たない事。突出すれば集団で狙われてしまうのだ
「ああ、でも殿方の注目を集めてしまう困った魅惑のボディーのせいで狙われてしまうわ!」
言いながら敵の攻撃をかわすエルシー。本気でそう思っているわけではないが、それでも数が減ってくれば狙われるのも仕方ない。拳を繰り出し、近寄る者を打ち倒していく。動きは最小限に。長期戦を考慮した戦術だ。
「賞金を孤児院に寄付しないといけないから、負けるわけにはいかないの」
「やああああ!」
言って蹴りを放つ『ラビットレディ!』ティラミス・グラスホイップ(CL3000385)。回転の勢いを殺さぬように体を捻り、次の攻撃に移行していく。相手はパンダのケモノビト。安定したその立ち様は、まるで岩のようだった。
「流石です! 今までノウブルとして大会に出ていただけのことはあります!」
「ぱふぉー!」
パンダのケモノビト――インヤンは敢えて人語を喋らずにティラミスに言葉を返す。実際に喋れないのではなく『そういうキャラ』を演じているのだろう。
「どうしてそこまでして大会に? いいえ、答えは戦いが終わった後に聞かせてもらいますね!
一緒に食事しながら聞かせてもらいましょう。何だったらその後も!」
インヤンにウィンク一つするティラミス。熱い戦いはまだまだ終わらない。
「できる事ならホームズ女史本人と話をしたかったのですが」
『マギアの導き』マリア・カゲ山(CL3000337)は炎を放ちながらワトソンと相対していた。
「ラジヲのニュースで流れているアレ、本当のことなんですか?」
「信じられないのも無理はないが、真実だ。そう言ったら信じるかね?」
マリアの問いに、肩をすくめて返すワトソン。正直ラジヲで流れてくる内容は信じられない事ばかりだ。そういう創作なのだ、と言われても納得はできる。
「ちなみにワトソン女史はホームズ氏のことをどう思っているのですか?」
「麻薬と謎中毒推理馬鹿の人間のクズ」
「そ、そうですか……」
迷うことなく帰ってきたワトソンの言葉に、マリアは苦笑していた。ワトソンの表情からその苦労が見て取れる。
シャーロッテホームズ。如何なる人物なのか――
●怪我人を癒せッ!
「わーん、にこらすさんのばかー!」
『帰ってきた工作兵』ニコラス・モラル(CL3000453)は負けて医務室に運ばれてきたチューチューマスクに『何やってんのレティーナ』『うんうん、別人だねレティーナ』と散々繰り返し、泣かせていた。
「ねえいまどんな気持ちレティーナ? いい服着て遠出したら、そこに知り合いがいたレベルで恥ずかしくないレティーナ?」
「えぐえぐ。しかもその知り合いが意地悪で容赦ないです」
やりすぎたかな、と思いながら癒しの術を行使するニコラス。
「ま、弄りはともかく本当に何やってるの? 女王の武器とか興味あるの?」
「先生は『あの時代のメイド服はもう武器庫にしかないので』とか言ってました」
ジョン・コーリナーのメイド嗜好は、当人は認めないがそれなりに有名であった。
「……いや、それが本命じゃないだろうが。ともあれ、その辺狙ってるのな。おそらくはホームズも」
以外と根深くね、と思い潜入しようと立ち上がるニコラス。
「行かせるか貴様! 人手が足りんのだ!」
その腰を掴み座らせる『魔女狩り将軍の友人』非時香・ツボミ(CL3000086)。武道大会でこれまでにない盛り上がりとなれば、当然の如く怪我人が多くなる。ニコラスのようなヒーラーは一人でも多いに越したことはない。逃がせばその分怪我人への対応が遅れるのだ。
「この程度の怪我で叫ぶな! 次! 意識混濁? 水かけて落ち着かせろ! 次!」
運ばれてきた怪我人を流れるように捌いていくツボミ。怪我の度合いによって優先順位を定め、緊急性の高いモノから順番に診ていく。魔術よりも医療を重視し、どうしようもない時に魔術で一時的な回復を図っていた。
「さあ行くぞ! 我等にはこちらこそが大一番だ!」
年の暮れまで医者は休むことなく働き続けていた。
●商人達のバトルッ!
「舞台の上だけが戦いじゃないですよぉ~。ここでどれだけ稼げるかが商売人の戦いです~」
瞳を光らせ『食のおもてなし』シェリル・八千代・ミツハシ(CL3000311)が笑みを浮かべる。本来は和……アマノホカリ産の菓子屋だが、そこに拘るシェリルではない。伝手を使ってイ・ラプセルの商品を取り寄せていた。
「塩と飲み物は基本中の基本! アルコールもありますよ~」
塩分高めの物を食べれば、喉も乾く。塩分高めの揚げ物とアルコールを一緒に売り、シェリルは一気にお金を稼いでいた。イ・ラプセルかもってきたエールは物珍しさもあって爆発的に売れている。売り子形式で闘技場内を走り回って商売していた。
「まいど~。次はあちらですね~。今行きますよ~」
「ナバっち、こっちも負けてられないネ!」
「いや……これ、重い……!」
バニーガール姿の『有美玉』ルー・シェーファー(CL3000101)と樽をたくさん運んでいる『たとえ神様ができなくとも』ナバル・ジーロン(CL3000441)。樽の多さに悲鳴を上げるナバルだが、ルーの姿を見て元気になっていく。
「ナバっち、農作業で鍛えた足腰に期待してるからネ!」
「農民の体力なめんなよ! 重いもの運ぶとか日常茶飯事だよ!」
自らに気合を入れるナバル。元気の源泉がルーのバニーガール姿なのはご愛敬。
(えっちなおねえさんが嫌いな男の子なんていません! ぽよんとした胸! 柔らかそうなお尻! すらりとした太もも! それを全て見せてくれるバニースーツ! ああ、もう! 通商連商売上手いなぁ!)
通商連から流通されたバニースーツ。年頃の男の子には刺激が強すぎたようだ。
「さっすがー! オネーサン、オトコノコの頼れる姿に弱いのヨ」
ルーもそれを知ってか知らずか声をかける……いや、知ってるだろ、これ。ともあれルー&ナバルの二人三脚エール興業が始まった。ルーが客引きをしてエールを注いで、ナバルが商品を補充する形である。
「おにーさん、観戦のお供にエールはいかが?」
「おおっ、イ・ラプセルの商人はすごい格好してるね。一杯貰おうか」
「ドーモ! ナバっち、樽、交換お願いネ」
「あいよ! ……あとどれだけ売るつもりなの?」
「勿論全部ヨ!」
「これ全部かぁ……」
ハイになっていくルーのテンション。ローになっていくナバルのやる気。
しかし二人の脚は止まることなく、客席でエールを売り続けるのであった。
●ファイトッッッ!
戦いは佳境に向かっていた。
「ナナンは絶対負けないんだから!」
『ひまわりの約束』ナナン・皐月(CL3000240)は巨大な剣を振り回して戦っていた。普段はほのぼのとした無邪気な子供だが、動く時は元気一杯だ。周りに強い戦士がいるからこそ、それに負けないように頑張っていく。
「頑張って負けない気持ちで絶対王者になってみせるのだ!」
負けるものかと気合を入れて剣を振るう。周りの戦士を侮るつもりはない。むしろその強さが分かっているからこそ、負けないようにと心を奮い立たせる。夢を大きく持つ持ち、その夢に追いつくように歩き続ける。それがナナンの強さだった。
「皆もすっごく強いけど…… ナナンだって負けないんだからぁ!」
「戦時中の事ではありますが、このようなお祭りに招かれるとは僥倖というものです」
Q-1Fightの誘いを受けた時は、礼儀正しく答えて参加した『SALVATORIUS』ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)。清楚なシスター服に身を包み、厳かに入場したのである。さてその戦略はというと、
「て・あ・た・り・し・だ・い」
参加直前まではペース配分を考えていたが、会場の熱気に当てられたのか、それともこちらが素なのか。攻めっ気全開でガンガン攻めていた。その戦いっぷりが会場を沸かせたのか、ミルトスの活躍に多くの声援が飛んでくる。
「わーい、ミルトスさん強そうなヒトにつっかけちゃうぞー!」
「私も負けないぞー!」
『元気爆発!』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)も負けじと戦いに挑む。獣のように吠えたてながら、鍛え上げた肉体を相手にぶつける。その強さとトランジスタグラマな容貌から目立ってしまうが、むしろ堂々とそれを受け入れていた。
「まだまだ! どっせーい!」
一人倒すたびに央華拳法の構えを取ってアピールし、そのアピールが新たな敵を呼ぶ。カーミラは目立ちながらしかしそれらに対し的確な動きを返し、次々と相手を打ち倒していた。戦争とは関係なく何の気兼ねもなく拳を振るえる。それが楽しかった。
「行くぞひっさーつ! がおおおおおおお!」
「こちらも負けてられるかぁ!」
「ヘルメリア魂、見せたれやぁ!」
「エールもう一杯!」
「いけえええええ!」
白熱する闘技場。湧き上がる歓声。そして戦いの末に最後まで立っていたのは――
●女王の栄冠をここにッ!
「Q-1Fightイチハチイチキュウ! 最後まで勝ち残ったのは、カーミラ・ローゼンタールだぁぁぁぁぁぁぁ!」
「おめでとー! 観客の皆もチャンピオンに盛大な拍手をー!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
全身ボロボロのカーミラは、レフリーに支えられるようにしてこぶしを突き上げ、勝利を表現していた。他の選手も似たり寄ったりで、満身創痍かその一歩手前だった。
「やったああああああああ!」
残った力全て使って、喜びの声をあげるカーミラ。そのカーミラに獅子の紋様が刻まれた拳を強化する武具が渡される。
「かつてヘルメリアに住んでいたヘルハウンド『ジェヴォーダン』を討ったとされる武具『ライオンハート』です。貴方の戦いに敬意を表し、これを授けましょう。
これからも良き戦いを。異国の勇士よ」
勝者を称える歓声が上がり、会場は最高の興奮を迎える。その盛り上がりのまま、闘技場の人達は神の誕生する日を迎えるのであった――
「さあ、やってきました! Q-1Fight1819! 司会はあなたの心にスリップダメージ! トゥワイスポイズンです!
そして先ほどイ・ラプセルの国歌斉唱を行ってくれた――」
「カノンがお送りしまーす!」
大会開始前に闘技場で国歌斉唱をした『戦場に咲く向日葵』カノン・イスルギ(CL3000025)が手を振った。
「見事な歌声でしたね、カノンさん! イ・ラプセルでは歌手か何かを?」
「劇団をやってるよ。良かった見に来てね!」
「はい。それではさっそく選手の方に目を向けていきましょう。今年の大会はまさにカオス一色! イ・ラプセルの参戦により予想つかずでオッズが荒れております!
武器の使用も許される本大会、何が起きるか全くわかりません!」
「ずるしたら、カノンがレッドカード出すからね!」
瞳に魔力を宿し、闘技場を注視するカノン。格闘動作を知っているカノンの目を誤魔化すことは難しいだろう。
「それでは、そろそろ司会開始です! キュウ! ワン! ファァァァァァァイト!」
開始のゴングが、高らかと鳴る――
●ファイトッ!
「お祭りだけど、手は抜かないからね!」
ナックルを手にして『黒砂糖はたからもの』リサ・スターリング(CL3000343)が拳を握る。相手の攻撃を受け流す構えを取って、防御優先で戦いに挑む。大事なのは多くを倒すことではない。最後まで立っていることだ。
「守ってばかりじゃないからね!」
防御の構えを維持しながら、リサは近くににいる選手に挑みかかる。これはお祭りだ。だから守ってばかりじゃ意味はない。見る人を楽しませるために、そして自分も楽しむために。怨恨なく、しかし勝ちを狙って。リサは真っ直ぐに戦いに挑む。
「不殺の権能があるから、加減なくいくよ!」
「アンタ……強そうだね」
『竜弾』アン・J・ハインケル(CL3000015)は銃を構えて選手の一人とにらみ合う。相手との距離の取り方。構え方。そしてあふれ出る闘志。静かでいてそれでいて堅牢な砦の門。相手もアンの動きを見て、構えを取る。
「先に抜きな」
実際ににらみ合ったのはおそらく数秒程度。二人のガンマンは同時に銃を抜き、そして撃ち放っていた。先に引き金を引いたのは相手の方。アンはそれに合わせる様に体を半身逸らし、引き金を引く。深い吐息と共に、アンは相手が倒れたのを確認した。
「充実した時間だったよ。感謝するぜ」
「幾多の勇士が武を競い合う。そこに立てるなど感激の極みです」
祈るように手を組み合わせ、『ヤバイ、このシスター超ヤバイ』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)。なんでこの称号選んだんですかね? ともあれやる気は充分に感じられた。
「幾らでもかかってきなさい」
迫る選手を『断罪と救済の十字架』で打ち払う。その一撃、正に豪風。一切の加減なく、一切の躊躇ない。同じ自由騎士であっても顔色一つ変えずに攻撃する。致命的なダメージを与えないよう配慮しながら、しかし容赦なくアンジェリカは武器を振るっていた。
「楽しいお祭りにしましょうね」
それらは全て、このQ-1Fightを盛り上げる為。
――事実、その容赦のなさが観客の心を強くつかんでいた。
●会場の平和を守れッ!
「ほんま、こういうお祭りやと喧嘩する人も多いなぁ」
会場の見回りをしていた『カタクラフトダンサー』アリシア・フォン・フルシャンテ(CL3000227)は呆れたようにため息をついた。どの選手が勝つか、それが理由で興奮した客同士が喧嘩していた。
「関係ない人に迷惑かかってるから大人しくせなあかんよ。おとなしく、せい!」
言葉で説得しても収まらない客を、トレイではたいて大人しくさせるアリシア。ぱかーん、という小気味い音と僅かな痛み。それが興奮した頭を軽くシェイクし、落ち着かせる。「楽しむのはええけど、おいたが過ぎるのはあかんで。ほならな!」
笑顔で言って手を振るアリシア。その笑顔に毒を抜かれた者達は、ラジヲから聞こえる会場の戦況にのめり込んでいく。
●ファイトッッ!
「なんですかっ、コーナリー剣術って! あ、そういう事ですね!」
「ええ、そういう事です」
『戦姫』デボラ・ディートヘルム(CL3000511)の言葉に頷くジョン。デボラが何が分かったかは他人にはわからないし、ジョンもなにを納得したかはわからない。二人だけに分かる何かがあったのだろう。多分。
「分かりました、援護します!」
「背中は任せましたよ」
「はいっ!」
言ってデボラは剣と盾を構えてジョンを守るように戦う。迫る者達からジョンを守り、そして攻めていく。背中越しのジョンの存在を感じながら力の限り武器を振るう。このシチュエーションだけで、この大会に参加してよかったとデボラは興奮していた。
「コーリナー剣術の後継者はいるんですか? いなければ私が! ……いいえ、私の子供と言うのも捨てがたい!」
「愛ってすごいわねー」
『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)はデボラの様子を見てそんなことを呟く。目立たず且つ動きやすさを重視して、貫頭衣を着て戦いに挑んでいた。バトルロワイアルで重要なのは目立たない事。突出すれば集団で狙われてしまうのだ
「ああ、でも殿方の注目を集めてしまう困った魅惑のボディーのせいで狙われてしまうわ!」
言いながら敵の攻撃をかわすエルシー。本気でそう思っているわけではないが、それでも数が減ってくれば狙われるのも仕方ない。拳を繰り出し、近寄る者を打ち倒していく。動きは最小限に。長期戦を考慮した戦術だ。
「賞金を孤児院に寄付しないといけないから、負けるわけにはいかないの」
「やああああ!」
言って蹴りを放つ『ラビットレディ!』ティラミス・グラスホイップ(CL3000385)。回転の勢いを殺さぬように体を捻り、次の攻撃に移行していく。相手はパンダのケモノビト。安定したその立ち様は、まるで岩のようだった。
「流石です! 今までノウブルとして大会に出ていただけのことはあります!」
「ぱふぉー!」
パンダのケモノビト――インヤンは敢えて人語を喋らずにティラミスに言葉を返す。実際に喋れないのではなく『そういうキャラ』を演じているのだろう。
「どうしてそこまでして大会に? いいえ、答えは戦いが終わった後に聞かせてもらいますね!
一緒に食事しながら聞かせてもらいましょう。何だったらその後も!」
インヤンにウィンク一つするティラミス。熱い戦いはまだまだ終わらない。
「できる事ならホームズ女史本人と話をしたかったのですが」
『マギアの導き』マリア・カゲ山(CL3000337)は炎を放ちながらワトソンと相対していた。
「ラジヲのニュースで流れているアレ、本当のことなんですか?」
「信じられないのも無理はないが、真実だ。そう言ったら信じるかね?」
マリアの問いに、肩をすくめて返すワトソン。正直ラジヲで流れてくる内容は信じられない事ばかりだ。そういう創作なのだ、と言われても納得はできる。
「ちなみにワトソン女史はホームズ氏のことをどう思っているのですか?」
「麻薬と謎中毒推理馬鹿の人間のクズ」
「そ、そうですか……」
迷うことなく帰ってきたワトソンの言葉に、マリアは苦笑していた。ワトソンの表情からその苦労が見て取れる。
シャーロッテホームズ。如何なる人物なのか――
●怪我人を癒せッ!
「わーん、にこらすさんのばかー!」
『帰ってきた工作兵』ニコラス・モラル(CL3000453)は負けて医務室に運ばれてきたチューチューマスクに『何やってんのレティーナ』『うんうん、別人だねレティーナ』と散々繰り返し、泣かせていた。
「ねえいまどんな気持ちレティーナ? いい服着て遠出したら、そこに知り合いがいたレベルで恥ずかしくないレティーナ?」
「えぐえぐ。しかもその知り合いが意地悪で容赦ないです」
やりすぎたかな、と思いながら癒しの術を行使するニコラス。
「ま、弄りはともかく本当に何やってるの? 女王の武器とか興味あるの?」
「先生は『あの時代のメイド服はもう武器庫にしかないので』とか言ってました」
ジョン・コーリナーのメイド嗜好は、当人は認めないがそれなりに有名であった。
「……いや、それが本命じゃないだろうが。ともあれ、その辺狙ってるのな。おそらくはホームズも」
以外と根深くね、と思い潜入しようと立ち上がるニコラス。
「行かせるか貴様! 人手が足りんのだ!」
その腰を掴み座らせる『魔女狩り将軍の友人』非時香・ツボミ(CL3000086)。武道大会でこれまでにない盛り上がりとなれば、当然の如く怪我人が多くなる。ニコラスのようなヒーラーは一人でも多いに越したことはない。逃がせばその分怪我人への対応が遅れるのだ。
「この程度の怪我で叫ぶな! 次! 意識混濁? 水かけて落ち着かせろ! 次!」
運ばれてきた怪我人を流れるように捌いていくツボミ。怪我の度合いによって優先順位を定め、緊急性の高いモノから順番に診ていく。魔術よりも医療を重視し、どうしようもない時に魔術で一時的な回復を図っていた。
「さあ行くぞ! 我等にはこちらこそが大一番だ!」
年の暮れまで医者は休むことなく働き続けていた。
●商人達のバトルッ!
「舞台の上だけが戦いじゃないですよぉ~。ここでどれだけ稼げるかが商売人の戦いです~」
瞳を光らせ『食のおもてなし』シェリル・八千代・ミツハシ(CL3000311)が笑みを浮かべる。本来は和……アマノホカリ産の菓子屋だが、そこに拘るシェリルではない。伝手を使ってイ・ラプセルの商品を取り寄せていた。
「塩と飲み物は基本中の基本! アルコールもありますよ~」
塩分高めの物を食べれば、喉も乾く。塩分高めの揚げ物とアルコールを一緒に売り、シェリルは一気にお金を稼いでいた。イ・ラプセルかもってきたエールは物珍しさもあって爆発的に売れている。売り子形式で闘技場内を走り回って商売していた。
「まいど~。次はあちらですね~。今行きますよ~」
「ナバっち、こっちも負けてられないネ!」
「いや……これ、重い……!」
バニーガール姿の『有美玉』ルー・シェーファー(CL3000101)と樽をたくさん運んでいる『たとえ神様ができなくとも』ナバル・ジーロン(CL3000441)。樽の多さに悲鳴を上げるナバルだが、ルーの姿を見て元気になっていく。
「ナバっち、農作業で鍛えた足腰に期待してるからネ!」
「農民の体力なめんなよ! 重いもの運ぶとか日常茶飯事だよ!」
自らに気合を入れるナバル。元気の源泉がルーのバニーガール姿なのはご愛敬。
(えっちなおねえさんが嫌いな男の子なんていません! ぽよんとした胸! 柔らかそうなお尻! すらりとした太もも! それを全て見せてくれるバニースーツ! ああ、もう! 通商連商売上手いなぁ!)
通商連から流通されたバニースーツ。年頃の男の子には刺激が強すぎたようだ。
「さっすがー! オネーサン、オトコノコの頼れる姿に弱いのヨ」
ルーもそれを知ってか知らずか声をかける……いや、知ってるだろ、これ。ともあれルー&ナバルの二人三脚エール興業が始まった。ルーが客引きをしてエールを注いで、ナバルが商品を補充する形である。
「おにーさん、観戦のお供にエールはいかが?」
「おおっ、イ・ラプセルの商人はすごい格好してるね。一杯貰おうか」
「ドーモ! ナバっち、樽、交換お願いネ」
「あいよ! ……あとどれだけ売るつもりなの?」
「勿論全部ヨ!」
「これ全部かぁ……」
ハイになっていくルーのテンション。ローになっていくナバルのやる気。
しかし二人の脚は止まることなく、客席でエールを売り続けるのであった。
●ファイトッッッ!
戦いは佳境に向かっていた。
「ナナンは絶対負けないんだから!」
『ひまわりの約束』ナナン・皐月(CL3000240)は巨大な剣を振り回して戦っていた。普段はほのぼのとした無邪気な子供だが、動く時は元気一杯だ。周りに強い戦士がいるからこそ、それに負けないように頑張っていく。
「頑張って負けない気持ちで絶対王者になってみせるのだ!」
負けるものかと気合を入れて剣を振るう。周りの戦士を侮るつもりはない。むしろその強さが分かっているからこそ、負けないようにと心を奮い立たせる。夢を大きく持つ持ち、その夢に追いつくように歩き続ける。それがナナンの強さだった。
「皆もすっごく強いけど…… ナナンだって負けないんだからぁ!」
「戦時中の事ではありますが、このようなお祭りに招かれるとは僥倖というものです」
Q-1Fightの誘いを受けた時は、礼儀正しく答えて参加した『SALVATORIUS』ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)。清楚なシスター服に身を包み、厳かに入場したのである。さてその戦略はというと、
「て・あ・た・り・し・だ・い」
参加直前まではペース配分を考えていたが、会場の熱気に当てられたのか、それともこちらが素なのか。攻めっ気全開でガンガン攻めていた。その戦いっぷりが会場を沸かせたのか、ミルトスの活躍に多くの声援が飛んでくる。
「わーい、ミルトスさん強そうなヒトにつっかけちゃうぞー!」
「私も負けないぞー!」
『元気爆発!』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)も負けじと戦いに挑む。獣のように吠えたてながら、鍛え上げた肉体を相手にぶつける。その強さとトランジスタグラマな容貌から目立ってしまうが、むしろ堂々とそれを受け入れていた。
「まだまだ! どっせーい!」
一人倒すたびに央華拳法の構えを取ってアピールし、そのアピールが新たな敵を呼ぶ。カーミラは目立ちながらしかしそれらに対し的確な動きを返し、次々と相手を打ち倒していた。戦争とは関係なく何の気兼ねもなく拳を振るえる。それが楽しかった。
「行くぞひっさーつ! がおおおおおおお!」
「こちらも負けてられるかぁ!」
「ヘルメリア魂、見せたれやぁ!」
「エールもう一杯!」
「いけえええええ!」
白熱する闘技場。湧き上がる歓声。そして戦いの末に最後まで立っていたのは――
●女王の栄冠をここにッ!
「Q-1Fightイチハチイチキュウ! 最後まで勝ち残ったのは、カーミラ・ローゼンタールだぁぁぁぁぁぁぁ!」
「おめでとー! 観客の皆もチャンピオンに盛大な拍手をー!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
全身ボロボロのカーミラは、レフリーに支えられるようにしてこぶしを突き上げ、勝利を表現していた。他の選手も似たり寄ったりで、満身創痍かその一歩手前だった。
「やったああああああああ!」
残った力全て使って、喜びの声をあげるカーミラ。そのカーミラに獅子の紋様が刻まれた拳を強化する武具が渡される。
「かつてヘルメリアに住んでいたヘルハウンド『ジェヴォーダン』を討ったとされる武具『ライオンハート』です。貴方の戦いに敬意を表し、これを授けましょう。
これからも良き戦いを。異国の勇士よ」
勝者を称える歓声が上がり、会場は最高の興奮を迎える。その盛り上がりのまま、闘技場の人達は神の誕生する日を迎えるのであった――
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
称号付与
『Q-1Fight実況者』
取得者: カノン・イスルギ(CL3000025)
『小さな重戦車』
取得者: ナナン・皐月(CL3000240)
『闘技場の天使』
取得者: 非時香・ツボミ(CL3000086)
『愛の盾』
取得者: デボラ・ディートヘルム(CL3000511)
『バニーなエール販売員』
取得者: ルー・シェーファー(CL3000101)
『ライオンハート』
取得者: カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)
『狐の十字架』
取得者: アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)
『強き物を求めて』
取得者: アン・J・ハインケル(CL3000015)
『苛めてないで仕事してください』
取得者: ニコラス・モラル(CL3000453)
『ローリングラビットキック』
取得者: ティラミス・グラスホイップ(CL3000385)
『て・あ・た・り・し・だ・い』
取得者: ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)
『機械足の警備員』
取得者: アリシア・フォン・フルシャンテ(CL3000227)
『たんたんたぬきのエール売り』
取得者: シェリル・八千代・ミツハシ(CL3000311)
『おとこのこはがんばるっ』
取得者: ナバル・ジーロン(CL3000441)
『負けない心が最大の武器』
取得者: リサ・スターリング(CL3000343)
『麗しい紅華には拳がある』
取得者: エルシー・スカーレット(CL3000368)
『謎に一歩近づきました』
取得者: マリア・カゲ山(CL3000337)
取得者: カノン・イスルギ(CL3000025)
『小さな重戦車』
取得者: ナナン・皐月(CL3000240)
『闘技場の天使』
取得者: 非時香・ツボミ(CL3000086)
『愛の盾』
取得者: デボラ・ディートヘルム(CL3000511)
『バニーなエール販売員』
取得者: ルー・シェーファー(CL3000101)
『ライオンハート』
取得者: カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)
『狐の十字架』
取得者: アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)
『強き物を求めて』
取得者: アン・J・ハインケル(CL3000015)
『苛めてないで仕事してください』
取得者: ニコラス・モラル(CL3000453)
『ローリングラビットキック』
取得者: ティラミス・グラスホイップ(CL3000385)
『て・あ・た・り・し・だ・い』
取得者: ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)
『機械足の警備員』
取得者: アリシア・フォン・フルシャンテ(CL3000227)
『たんたんたぬきのエール売り』
取得者: シェリル・八千代・ミツハシ(CL3000311)
『おとこのこはがんばるっ』
取得者: ナバル・ジーロン(CL3000441)
『負けない心が最大の武器』
取得者: リサ・スターリング(CL3000343)
『麗しい紅華には拳がある』
取得者: エルシー・スカーレット(CL3000368)
『謎に一歩近づきました』
取得者: マリア・カゲ山(CL3000337)
†あとがき†
どくどくです。
今年もよろしくお願いします。
以上のような結果になりました。
皆様の熱いプレイングあってのリプレイです。本当にありがとうございました。
それではまた、イ・ラプセルで。
今年もよろしくお願いします。
以上のような結果になりました。
皆様の熱いプレイングあってのリプレイです。本当にありがとうございました。
それではまた、イ・ラプセルで。
FL送付済