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<キッシェアカデミー>バトルスタイルを作ろう。

●
「さて、我が国特有のバトルスタイルの研究について、軍部からの要請があったのだよ」
キッシェアカデミー学長アルブレヒト・キッシェがそう切り出した。
近年、激化する戦争に対しての打開策として、イ・ラプセル軍部が新しく自由騎士のためのバトルスタイルの考案をキッシェアカデミーに要請したのだ。
研究中の魔導や、戦術などを組み合わせ体系立て、皆がスキルとして使えるように調整したものがバトルスタイルといわれるものである。
「我々で提案してもいいのだが、やはり前線で戦う君たちの意見も取り入れようとおもってね。
とはいえ、一つのバトルスタイルを構築するというのは、相当以上のコストというのは必要とされるのだよ」
君たちの前に、バトルスタイルとしての枠組みの概要がまとめられた書類が配られる。
「バトルスタイルを構築するにあたって、ある程度の国力は必要になるのだよ。
とにかく書類を読んでくれたまえ」
言ってアルブレヒトは微笑んだ。
「さて、我が国特有のバトルスタイルの研究について、軍部からの要請があったのだよ」
キッシェアカデミー学長アルブレヒト・キッシェがそう切り出した。
近年、激化する戦争に対しての打開策として、イ・ラプセル軍部が新しく自由騎士のためのバトルスタイルの考案をキッシェアカデミーに要請したのだ。
研究中の魔導や、戦術などを組み合わせ体系立て、皆がスキルとして使えるように調整したものがバトルスタイルといわれるものである。
「我々で提案してもいいのだが、やはり前線で戦う君たちの意見も取り入れようとおもってね。
とはいえ、一つのバトルスタイルを構築するというのは、相当以上のコストというのは必要とされるのだよ」
君たちの前に、バトルスタイルとしての枠組みの概要がまとめられた書類が配られる。
「バトルスタイルを構築するにあたって、ある程度の国力は必要になるのだよ。
とにかく書類を読んでくれたまえ」
言ってアルブレヒトは微笑んだ。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.必要事項の決定
2.スキルを8個以上作成する
2.スキルを8個以上作成する
ねこてんぢです。
皆様のちからでバトルスタイルをひとつ作りませんか?
とはいえ、一つのバトルスタイルの体系として構築することは簡単ではありませんので、ベリーハードとさせていただきます。
難易度相当の難しさがあると思います。特別に長い時間の相談期間を設けていますのでじっくり相談してください。
普通に失敗することはあります。その場合には以下特殊事項内国力は消費されません。
難易度的に文字数をしっかり埋めること(500文字以上)を推奨いたします。
またバトルスタイルとして構築できなかった場合でもみなさんのあげて頂いたスキルについては一般戦闘スキル内、戦闘スキルとして
最低3つは採用いたします。
場所はキッシェアカデミー内。
研究者の皆さんの協力や、国防騎士団の皆さんの協力を得ることはできます。
(訓練場を借りたり、スキルの練習相手になってもらうなど)
特殊すぎることはできません(戦争中の他の国の技術をもってこいなど)。常識の範囲でお願いします。
シャンバラの魔導研究者を呼ぶことはできます。
クローリーは呼んでもいいですけど、野次しか飛ばしません。
私とちょころっぷ担当の味方NPCのうち呼べそうな人を協力者に呼ぶのはかまいませんが、丸投げした場合にはスキルは作成できません。(王族とか神様は呼べません。他NPCは基本的に皆様よりレベルは高くありません。知っていることはみなさんと同じです)
幻想種の召喚などはできないです。炎が竜の形を取るなどは問題ないです。
版権ネタは控えていただけると嬉しいです。
※アニムス使用、宿業改竄は使っても今回は確定で成功はしません。
参加者のみなさんで、よく相談してプレイングの役割を分担してください。
必要な情報。
この1~4の情報が抜けていた場合には失敗という判定になります。
(一人のプレではなく8人全員のプレを参照します)
1バトルスタイル名(中級、上級を出していただく必要はありません)
2バトルスタイルの方向性(雑多にあれもこれもという形よりは方向性を定めた方が良いと思います。また、攻撃のみに偏る、魔導のみに偏るのは構いません)
(例:魔法剣士系、ファイター系、魔道士系などなど)
3スキル8個
4得意武器(3つまで)
スキルはランク1が4つ。ランク2が3つ。ランク3が3つ。
付与、他付与、攻撃は問いません。BS、追加効果は合わせて3つまで。
スキルひとつにつきどのように体系だてて、どのように修行(教導)して、どのようにして得るのかをプレイングに記入してください。
(この部分がリプレイになります)
どのように他の人の説明して、開発したかをわかりやすく説明してください。説得力が重要です。少し厳し目に判定します
1と2と4は必ず全員同じにしてください。ばらつきがあった場合には多い方を採用します。
1と2と4については一人が書くという形でも構いません。
採用できるスキルが7個以下だった場合は失敗となります。
たくさん作っても一つ一つが薄いとだめです。
PC一人一つでも構いませんし誰か一人が2~3作っても構いません。(文字数はきつくなると思います)
合計数が9つ以上だった場合には採用するスキルは厳選する形になります。。
全くスキル制作のプレをかかないPCがいても構いませんがその場合のプレイングは、スキルを作った人を支援するプレイングを書いてください。
その場合きちんと相談して誰の~~というスキルを手伝う具体的な方法ををプレイングにかいてください。具体案なくただ、スキルを作ってる人を手伝うと書いてあるだけのプレイングの場合は失敗という判定になります。
スキルの具体的な数値をきめることはできません。
スキル制作のテンプレ(必ず使用してください/2つの場合は同じように2回分書いてください)
■スキル名
■どのような攻撃方法であるか
■フレーバー(あれば)
■攻撃/魔導攻撃(どちらか)
■補助/強化/攻撃/回復(どれか)
■遠距離/近接(どちらか)
■単体/範囲/全体(どれか)
■BS/追加効果(合わせて3つまで)
(BSについてはランク1はBSランク1まで、ランク2はBSランク2まで、ランク3はBSランク3まで)
■ランク(1~3)
(ご相談の上ランクを付けてください。偏らせることは可能ですが、その場合ランク相当の数値になりますし、レベル制限もつきます
ランク3はまだ出ていませんので全部ランク3の場合には加入した時点のレベル状況によって取得するスキルがなくなります)
■攻撃力・命中などのステータス
(攻撃力超高め/命中低め/使用時HP減少中のような書き方で 現存スキルを参考に指定ください)
すべてアクティブスキル扱いになります。
またスキルについてあまりにもバランスが悪すぎると判断された場合にはBSのランクが下方修正のバランスが入ったり、調整されることをご了承くださいませ。
攻撃力高い/命中高い/BS3を2つ/全体/防御無視など、とにかく強すぎるスキルは下方調整されます。(反動や詠唱、ダメージゼロがついたり、使用時にHP減少などのデメリットが大きくつく可能性があります)
なおこのバトルスタイルのレベルは3までとなります。
使用コストゼロスキル(専用スキルはありません)
スキルの内容によってはレベル1のみという場合もあります。
説得力はありますが、仕様上スキルとして採用できない場合には大幅変更、もしくはシナリオ内のみでの使用(シナリオに1回まで)となります。
バトルスタイル専用スキルにしたい場合には明記お願いします。
完全にすべてバトルスタイル専用にして固有バトルスタイルにしてもいいですし、逆にすべて取得できるということで、他のバトルスタイルが補助的に取得するためのバトルスタイルにしても構いません。
パッシブ強化はスキル構成をみて運営で制作します。
■特殊事項。
レベル4を追加する場合には国力のうち軍事力を350消費、レベル5まで追加の場合には国力のうち軍事力を700消費して追加することができます。
追加する場合は全員が「レベル●を追加する」とプレイングに記入してください。(EXではだめです)
一人でも書いてなかった場合には使用いたしません。
以上十分な相談が必要かと思います。大変ですが頑張ってください。
なお、バトルスタイルの追加には入力のための時間がかかることをご了承くださいませ。
おまけ
決めることチェックシート
■バトルスタイル名
■バトルスタイル方向性
■得意武器
---------↑全員が記入or誰かが記入
■スキル8個
■スキル1(誰が記入するか)
■スキル2(誰が記入するか)
■スキル3(誰が記入するか)
■スキル4(誰が記入するか)
■スキル5(誰が記入するか)
■スキル6(誰が記入するか)
■スキル7(誰が記入するか)
■スキル8(誰が記入するか)
★追加スキルなど
------------------
■専用スキルにするかどうかなど
■国力を使ってレベルを上げるかどうか(上げる場合全員が記入)
まずはバトルスタイルの方向性をきめてスキルを決めるか、逆にスキルをきめてから方向性をまとめるかで相談するとやりやすいと思います。
皆様のちからでバトルスタイルをひとつ作りませんか?
とはいえ、一つのバトルスタイルの体系として構築することは簡単ではありませんので、ベリーハードとさせていただきます。
難易度相当の難しさがあると思います。特別に長い時間の相談期間を設けていますのでじっくり相談してください。
普通に失敗することはあります。その場合には以下特殊事項内国力は消費されません。
難易度的に文字数をしっかり埋めること(500文字以上)を推奨いたします。
またバトルスタイルとして構築できなかった場合でもみなさんのあげて頂いたスキルについては一般戦闘スキル内、戦闘スキルとして
最低3つは採用いたします。
場所はキッシェアカデミー内。
研究者の皆さんの協力や、国防騎士団の皆さんの協力を得ることはできます。
(訓練場を借りたり、スキルの練習相手になってもらうなど)
特殊すぎることはできません(戦争中の他の国の技術をもってこいなど)。常識の範囲でお願いします。
シャンバラの魔導研究者を呼ぶことはできます。
クローリーは呼んでもいいですけど、野次しか飛ばしません。
私とちょころっぷ担当の味方NPCのうち呼べそうな人を協力者に呼ぶのはかまいませんが、丸投げした場合にはスキルは作成できません。(王族とか神様は呼べません。他NPCは基本的に皆様よりレベルは高くありません。知っていることはみなさんと同じです)
幻想種の召喚などはできないです。炎が竜の形を取るなどは問題ないです。
版権ネタは控えていただけると嬉しいです。
※アニムス使用、宿業改竄は使っても今回は確定で成功はしません。
参加者のみなさんで、よく相談してプレイングの役割を分担してください。
必要な情報。
この1~4の情報が抜けていた場合には失敗という判定になります。
(一人のプレではなく8人全員のプレを参照します)
1バトルスタイル名(中級、上級を出していただく必要はありません)
2バトルスタイルの方向性(雑多にあれもこれもという形よりは方向性を定めた方が良いと思います。また、攻撃のみに偏る、魔導のみに偏るのは構いません)
(例:魔法剣士系、ファイター系、魔道士系などなど)
3スキル8個
4得意武器(3つまで)
スキルはランク1が4つ。ランク2が3つ。ランク3が3つ。
付与、他付与、攻撃は問いません。BS、追加効果は合わせて3つまで。
スキルひとつにつきどのように体系だてて、どのように修行(教導)して、どのようにして得るのかをプレイングに記入してください。
(この部分がリプレイになります)
どのように他の人の説明して、開発したかをわかりやすく説明してください。説得力が重要です。少し厳し目に判定します
1と2と4は必ず全員同じにしてください。ばらつきがあった場合には多い方を採用します。
1と2と4については一人が書くという形でも構いません。
採用できるスキルが7個以下だった場合は失敗となります。
たくさん作っても一つ一つが薄いとだめです。
PC一人一つでも構いませんし誰か一人が2~3作っても構いません。(文字数はきつくなると思います)
合計数が9つ以上だった場合には採用するスキルは厳選する形になります。。
全くスキル制作のプレをかかないPCがいても構いませんがその場合のプレイングは、スキルを作った人を支援するプレイングを書いてください。
その場合きちんと相談して誰の~~というスキルを手伝う具体的な方法ををプレイングにかいてください。具体案なくただ、スキルを作ってる人を手伝うと書いてあるだけのプレイングの場合は失敗という判定になります。
スキルの具体的な数値をきめることはできません。
スキル制作のテンプレ(必ず使用してください/2つの場合は同じように2回分書いてください)
■スキル名
■どのような攻撃方法であるか
■フレーバー(あれば)
■攻撃/魔導攻撃(どちらか)
■補助/強化/攻撃/回復(どれか)
■遠距離/近接(どちらか)
■単体/範囲/全体(どれか)
■BS/追加効果(合わせて3つまで)
(BSについてはランク1はBSランク1まで、ランク2はBSランク2まで、ランク3はBSランク3まで)
■ランク(1~3)
(ご相談の上ランクを付けてください。偏らせることは可能ですが、その場合ランク相当の数値になりますし、レベル制限もつきます
ランク3はまだ出ていませんので全部ランク3の場合には加入した時点のレベル状況によって取得するスキルがなくなります)
■攻撃力・命中などのステータス
(攻撃力超高め/命中低め/使用時HP減少中のような書き方で 現存スキルを参考に指定ください)
すべてアクティブスキル扱いになります。
またスキルについてあまりにもバランスが悪すぎると判断された場合にはBSのランクが下方修正のバランスが入ったり、調整されることをご了承くださいませ。
攻撃力高い/命中高い/BS3を2つ/全体/防御無視など、とにかく強すぎるスキルは下方調整されます。(反動や詠唱、ダメージゼロがついたり、使用時にHP減少などのデメリットが大きくつく可能性があります)
なおこのバトルスタイルのレベルは3までとなります。
使用コストゼロスキル(専用スキルはありません)
スキルの内容によってはレベル1のみという場合もあります。
説得力はありますが、仕様上スキルとして採用できない場合には大幅変更、もしくはシナリオ内のみでの使用(シナリオに1回まで)となります。
バトルスタイル専用スキルにしたい場合には明記お願いします。
完全にすべてバトルスタイル専用にして固有バトルスタイルにしてもいいですし、逆にすべて取得できるということで、他のバトルスタイルが補助的に取得するためのバトルスタイルにしても構いません。
パッシブ強化はスキル構成をみて運営で制作します。
■特殊事項。
レベル4を追加する場合には国力のうち軍事力を350消費、レベル5まで追加の場合には国力のうち軍事力を700消費して追加することができます。
追加する場合は全員が「レベル●を追加する」とプレイングに記入してください。(EXではだめです)
一人でも書いてなかった場合には使用いたしません。
以上十分な相談が必要かと思います。大変ですが頑張ってください。
なお、バトルスタイルの追加には入力のための時間がかかることをご了承くださいませ。
おまけ
決めることチェックシート
■バトルスタイル名
■バトルスタイル方向性
■得意武器
---------↑全員が記入or誰かが記入
■スキル8個
■スキル1(誰が記入するか)
■スキル2(誰が記入するか)
■スキル3(誰が記入するか)
■スキル4(誰が記入するか)
■スキル5(誰が記入するか)
■スキル6(誰が記入するか)
■スキル7(誰が記入するか)
■スキル8(誰が記入するか)
★追加スキルなど
------------------
■専用スキルにするかどうかなど
■国力を使ってレベルを上げるかどうか(上げる場合全員が記入)
まずはバトルスタイルの方向性をきめてスキルを決めるか、逆にスキルをきめてから方向性をまとめるかで相談するとやりやすいと思います。
状態
完了
完了
報酬マテリア
6個
6個
4個
4個




参加費
100LP [予約時+50LP]
100LP [予約時+50LP]
相談日数
10日
10日
参加人数
8/8
8/8
公開日
2019年08月21日
2019年08月21日
†メイン参加者 8人†
●
『薔薇の谷の騎士』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)は騎士団の訓練所で、深呼吸を重ねる。
目の前には打ち込み練習用の人形がいくつか。
「回天號砲の気弾を飛ばさないように、それをインパクトにかえて……」
カーミラはレオナルトの途絶えた拳の意志を継ぐものだ。拳で気の流れを絶つ事ができる自分ならできるとアイドルオーラを活性化し、気の流れを可視化する。
目に見えるその意志の色は燃ゆる朱。
練り上げた気をインパクトの瞬間に解き放つ。
彼女が求めるのはこの物理攻撃である攻撃を相手に魔導で受けさせるというものだ。
人形相手では役不足にすぎる。
カーミラはうまくいかないことに焦りを感じる。
ちゃんとヒトに頼むべきだったと思う。
「あの……」
そんなカーミラを見ていた国防騎士がおずおずと手をあげた。
「自分でよければ手伝いますよ」
「ほんと?!」
「では、防具を整えてきます」
言って国防騎士は少々大仰な鎧をまといカーミラの前に立つ。
「じゃあ、いくよ!」
練り上げた拳を国防騎士に向け、攻撃をしかける。うまく行った、と思う。だけどカーミラは首を捻って不思議そうな顔をする。
彼女の組み上げたスキルは物理攻撃を魔導防御で受けさせる、魔導攻撃を物理防御で受け止めるというコンセプトだ。
「あの」
国防騎士がカーミラの説明をうけ、申し訳なさそうに話しはじめる。
「カーミラさん、たぶんですが、それは思い込みによる瑕疵だと思います」
「思い込み?」
「物理攻撃の高いものは魔導防御は弱いもの……とは限りません。魔導攻撃に弱いという自覚があれば、魔導防御を強化して、均すというものもいます」
「あ、ううん、じゃあ逆もしかり、だよね? そっかー、逆にこっちにとって不利なほうで防御させちゃうって可能性もあるんだ」
「はい。なので考え方を変えたほうがいいのかもしれません。特にヘルメリアは魔導には秀でていません。故に魔導に対する防衛手段はそれなりに在るのではないかと思います」
「じゃあ、防御力と魔導防御、弱い方で受けさせるっていうのがいいのかな?」
カーミラはつぶやく。最初からもう一度スキルの理論を組み直すにはまだ少し時間が必要だろう。今回間に合わないことは否めない。
それでもカーミラは諦めることはない。今は無理でもいつか。きっといつか――。
「もう少しつきあってもらってもいいかな?」
「はい、もちろんです!」
●
「私を重傷に追い込んでくださいませ」
『救済の聖女』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)は騎士団の面々を見渡しながらそう切り出した。
「アンジェリカさん正気ですか?」
「はい」
そういって微笑む聖女に騎士たちは目を白黒させる。そんな彼らにアンジェリカは説明をしはじめる。
「重戦士のバーサークとウォークライ、そしてバッシュを一つにしたスキルを考案しております」
むちゃくちゃだ、と騎士たちは口々にそういう。
「そうでしょう。無茶でしょう。
でも私達はその無茶を押して、強国と戦う必要があります。そのためには何らかのブレイクスルーが必要ではありませんか?
怪我をすることは苦痛です。その先の生命の危機に瀕した時、本来セーブされている体のリミッターを外すことができれば、きっと」
「でも……」
「構いません。さあ。ヒーラーの方には来ていただいておりますので問題はありません」
意を決した騎士が前にでる。本当に大怪我をしてもしりませんよというその言葉にアンジェリカは頷く。もとよりそれは覚悟の上だ。
アンジェリカはさあ、と促す。
攻撃され、全身を止まらない痛みが襲う。
「手を抜かないでください! 本気でなければその境地には至ることができません!!!」
この痛みは、苦痛は――。
私達の未来への対価。その苦痛の向こうに何かがあると信じて。
アンジェリカはその在るか無いのかすら見えないそれに縋る。
「回復はまだいりません!!」
回復魔導を組み上げようとしたヒーラーに鋭くアンジェリカは叫ぶ。もうすぐなのだ。もうすぐ「それ」が見える瞬間がある。
痛みで意識が朦朧とするがアンジェリカは歯を食いしばり唇を噛みそのたった一筋の「それ」を求める。
「見えた……!」
アンジェリカは大剣を後ろに構え、苦痛と痛みを切り裂く。
その瞬間、前に進めた気がした。
「アンジェリカさん! そこまでです! そこまで! 死んじゃいます!!」
目の前には自分を攻撃していた騎士が血まみれで倒れている。急ぎヒーラーが数人がかりで彼に回復魔導を施している。
「騎士さま……!」
正気に戻ったアンジェリカが騎士を起こそうとするが体が動かない。反動が自らを縛り上げている。
「アンジェリカさんにも回復を」
騒然とする現場でアンジェリカは剣にしがみつきながらやっとのことで立っている状態であることに気づき、そのまま意識を失った。
●
「というわけでだ。ネクロフィリアや因果逆転といった生命力操作に詳しいやつをあつめた」
頭にコブのできている『クマの捜査官』ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)は訓練所で話はじめる。
隣には佐クラ・クラン・ヒラガ(nCL3000008)が頬をふくらませている。クマを倒す剛力などと軽口をウェルスが叩いた結果、佐クラがスパナを持ち出したのである。
うちか弱いんやから、なんて言うがあの一撃はか弱いからは程遠いと思う。
「コンセプトはデメリットは大きいが、超高火力の六連撃を放つというスキルだ。
消費した生命力を逆転したその『力』をリミッター解除して火力に置き換えることができないかというスタンスだな」
「デメリットはどんなもんやの?」
佐クラが手をあげる。
「最大体力の25%を流転する生命力として消費、まあこのスキルを使った直後は防御力も攻撃力も一旦下落する程に消耗するだろう。
それと、俺達の――英雄力(フラグンメント)も消費する。
この英雄力の消費が大きければ大きいほどにダメージも――」
そこまで説明して、佐クラも含めた皆が微妙な顔をしていることにウェルスは気づいた。
「ああ、安心してくれ。俺がその実験台になるから――」
「ちゃうよ」
「違うって?」
「あんな、うちらにはウェルスはんみたいに潤沢な英雄力なんてものはないんよ」
当然だ。ウェルスたち自由騎士は特別な存在だ。この世界に愛された、世界でもおおよそ一割しか存在しない『オラクル』であるのだ。
比較的オラクルが多いイ・ラプセルであっても騎士たちのその殆どは国防騎士であり自由騎士ではない。
そもオラクルは一般人にくらべて「死ににくい」。それは周知の事実だ。それを担う数値がいわゆる英雄力。フラグメンツである。
自由騎士たちはそのリソースを潤沢に所持している。しかし『彼ら』はそれを持ち得ていないのだ。
「うちらがそのスキル使うだけでしんでまうかもしれへんの」
ウェルスは言葉を失う。自分にとっての英雄力とオラクルでないものの英雄力の持つ意味を考えたことはなかった。仕方がない。自分はそれを当然に持ち合わせているのだから。
バトルスタイルを構築するということは自分たちだけではなくイ・ラプセルの兵士たちが使えるスキル系統を作るということだ。スキルを使うだけで命を削るようなものをあの優しい不殺の女神が認可するだろうか――?
「見損なわんといてほしいんやけどな……うちな、死ぬの怖いん。もちろんウェルスはんたち自由騎士の皆が死ぬのもこわいよ。
戦争やのに、こんなこというて、けどな――」
「それ以上いわなくていい。死にたくないなんて当たり前のことだ。俺はすこしそれを見誤っていたようだ」
ウェルスは泣きそうな佐クラを見つめる。そんな顔をさせたかったわけじゃない。
「もう一度、考え直すか」
●
「すまないな、忙しいところを」
『達観者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)はバーバラ・キュプカー(nCL3000007)とヨアヒム・マイヤー(nCL3000006)を呼び出しまずは詫びる。
「俺忙しいんだよね」
「かまわないわよ、そいつも私も暇してたところだから」
「では本題に移ろう。スキルを構築しようと思う。バーバラ嬢の持つアニマムンディとマイヤー卿のサテライトエイムを同時に発動し、魔導力と会心を強化するというコンセプトだ」
「なるほどね。でも両方強化だから、他付与である補助にするのは難しそうね」
「ふむ、そうか。森羅万象より魔力を取り込み、それを以って感覚を俯瞰視し標的を見極める。それを付与できればよいと思ったのだが」
「要は、自分自身の感覚の鋭敏化っしょ? 自分の感覚と他人の感覚を合わせるにはもっと違うなにかじゃないとだめじゃないかな? しらんけど」
ヨアヒムは言いながらもサテライトエイムを起動する。
「まずさ、自分は戦場を飛ぶ鳥と仮定して――鳥観を得るんだ。どこに敵がいるか、どこを狙うべきか。そんでBANG! したら敵は撃たれた後って寸法さ」
「アニマ・ムンディは……っていうかテオドールは魔道士でもあったから感覚は知ってるわよね。森羅万象にヨアヒムがいったように鳥観の概念を混ぜる?
簡単ではなさそうね」
「だろうな。修練が必要だ」
「まあ、いい的はあるものね」
テオドールはヨアヒムの言ったように鳥観を意識する。
「ちょっとまった! 俺のこと? 的って」
「なに、心配はいらない。メセグリンを代表とする癒しの力とて魔力で他者に介入するのだ」
「この文脈では意味がわからない!」
「安心したまえ」
「できるか!」
結果は――。強化された魔導のスキルしこたまくらいまくったヨアヒムは二度とテオドール卿の甘言には乗らない! と叫ぶのであった。
●
「えっとね、魔力を用いて自身と寸分違わぬ分身を作り出し敵を幻惑、翻弄する自付スキルを作りたいんだ」
『太陽の笑顔』カノン・イスルギ(CL3000025)はそう切り出す。
たとえ命中率の高い敵と出会っても命中率を下げることでその困難に打ち勝つことができるはずだ。
「具体的には?」
まずはテレキネシスを応用した訓練。
魔力の放出。その魔力に自分の姿を投影する。
役者であるカノンは『自分』という役柄を幻影に投影するという概念でそれはできると思う。その感覚は役者じゃないとわかりにくいかもだけれどきっと理論立てて説明すれば理解してもらえると思う。
「なるほど」
しかし相談をうけた魔道士は眉根を寄せている。
「なにか問題はある? 分身を生むのって難しい?」
「いえ、魔力塊に自分の姿を投影はそこまで難しくはありませんが――
カノンさんはこのスキルをどのようなスキルと考えていますか?」
「全体の補助スキルにしたいと思ってるよ。幻影をつくることで敵全体にアンコントロールが付けばいいなって」
「つまりは、そこです。補助、強化というものはあくまでも敵に効果を為すものではありません。敵にアンコントロールを付与するのであれば、それは攻撃スキルになります」
「あー……でもそういうスキルあるよね」
「付与であれば自身の回避力を上げるという形になります」
「それもたしか……あるよね。すごいのが」
最近加入したガジェッティアにもそのようなスキルは存在している。
「カノンさんの望むスキルであれば分身という付与効果の概念を構築するところからはじめないといけませんね。それは一朝一夕でできるものではありません。それに、他人の分身を投影するというのは相当難しいでしょう。できたとして、自分自身の強化というカテゴリになるでしょうね」
「うう~ん! かっこいいと思ったんだけどなぁ」
「今すぐには無理ですが、研究の価値はあるとおもいますよ」
●
「よしこい、クローリー」
『イ・ラプセル自由騎士団』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)は虚空に向かって叫べば、背後に現れるはアレイスター・クローリーその人だ。
「ハラキリの実験台になってほしいのじゃ」
「やだよ。そこになんか腹切得意そうなのもスキルを受けてくれそうなのもいるじゃん!」
シノピリカの要請にクローリーは手を振りながら背を向ける。
「まてまて、冗談じゃ!」
「いいや本気だったね」
「まあそうなんじゃけど、ともかく今時ヘルメリアとの戦いに有用なスキルがほしいのじゃ」
「ふうん。だったらなおさら自分を切り売りしないと、だめなんじゃない? そりゃ僕ならできるさ。でもそれでいいのかい?」
「けちんぼじゃの、まあ、クローリーの言ってることもそのとおりじゃな。もとよりそのつもりじゃったし」
「回復ならしてあげるよ。なんなら一生痛みを感じない魔法だって使ってやるぜ?」
「あえて自らを傷つけ痛みの中の隠された力を引きずりだすのに痛みなくてどうする!!」
クローリーは試行錯誤し始めたシノピリカがアマノホカリ出身のオニヒトに腹切りのレクチャーを受けているのを見て昏い笑みを向ける。
痛みの中に何かを見つける? なんとも――自己犠牲心あふれることだ。
「ヘルメリアにおいて、ノウブルは亜人を盾とした安寧を良しとしておる。我々は違う。心ある者は、みな須らく「前に立つ」べし! だとおもうのじゃ。
だからワシは傷ついても後悔などしない」
「シノピリカ・ゼッペロン。それは強者の言だぜ?」
「じゃろうな。弱者が弱者のままでいいとワシは思っておらん。弱者もまた強者に立ち向かうために強者にならねばならん。その一歩がノウブルと亜人の平等じゃ」
●
ファルスト陽動戦アリア中隊の面々は『慈葬のトリックスター』アリア・セレスティ(CL3000222)の要請を二つ返事で受ける。
まずは座学だ。終わったらとっておきのお弁当だって用意している。
「絶拳から着想を得たスキルなのですが――気を送り込むかわりに魔力を送り込みます」
アリアは黒板になんともファンシーな絵をかきながら説明を続ける。「絶拳、超痛い!」「攻撃! 魔力どーん! 技巧!」の文字にアリア中隊の面々は苦笑するが真面目に彼らはスキル構築に取り組む。
「大渦海域のタンゴの魔力の奔流を自らに押し留めて、接触と同時に堰を切る感じかな。魔力の収束、追従はエコーズをアレンジ。貫通してテンポよく。
リフレクトの魔力支配とか……こう技巧を活かしたいんですよね」
会議は喧々諤々と進む。次は実践だ。該当スキル所持者を呼び何度もアリアたちは試行錯誤する。
しかして、コンセプトである能力値によっての二段目の貫通に対するダメージの向上はみられることはなかった。DEXを意識すればするほどに出力にブレがでてしまうのだ。それでもスキルとしての形は成している。
誰もが使えるスキルにするためには安定感は必要なのだ。
「ううん、少し残念ではありますが、十分有用でしょう」
思った通りでは無いが個性は十分にあるスキルにはなった。
アリアは中隊を振り向くと、皆さんおつかれでしょうからご飯にしましょう! と微笑めば、中隊の面々は歓声をあげるのだった。
●
「『神』のパウワァを馬鹿にしちゃいけない。権能っていうのは君等がどうこうできる代物じゃないよ。もちろん僕も権能には太刀打ちできない」
『革命の』アダム・クランプトン(CL3000185)の所信表明を聞いたクローリーは開口一番そう答えた。
アダムには理想がある。この世界を今よりよくするために。それは神によるものではなくヒト自らの手によって。この戦争の発端は神だ。しかしそうではなくヒトの意志でそれを行わなくてはならないと思う。
そも権能とはなんだろうか。アダムはそれをテレパシー、ラヂオの様なものではないかと考える。祝福を授かった時点でパス、周波数が繋がるのではと推測をたてていた。
「まあ、遠からずとも近からず。いい線いってるよ。ねえ、アダム・クランプトン。オラクルってのはどこから来たんだと思う?」
突然の問にアダムは目を白黒させる。今はそんな話をしていたわけではない、権能についての意見のハズだ。
「神の意志……からだと思う」
「正解。『神』の齎すギフトがオラクルさ」
アダムにはクローリーのいう神が自分の思う神と乖離しているように思えた。
「そして権能は神からあいつらへの贈り物だ。神の上位存在に介入なんて無理だろうさ。とはいえ君たちは可能性<■■■■シス>だ。故に、奇跡に願えば一時的なら介入できるとおもうよ」
「奇跡――」
それが何をさすのか、アダムは知っている。しかしそこまでのリソースを費やす上に発動するかどうかも定かではないスキルなどスキルなどと言えないだろう。
「アレイスター、僕は――僕らはいつまでも神に庇護されたままで良いのだろうか? 僕らは神と並び合い未来を歩みたいんだ」
それは彼の心からの願い。
「そのためにはもっと僕は手を汚さないといけないのかもしれない――」
心優しき不殺の女神の権能の子。それがイ・ラプセルの民だ。殺さなくてもいい。戦争において心を傷つけない甘美なそれに自分は甘えているのではないかと少年は苦悩する。
「汚さなくていい手を汚したいなんて自傷癖でもあるのかい?」
『薔薇の谷の騎士』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)は騎士団の訓練所で、深呼吸を重ねる。
目の前には打ち込み練習用の人形がいくつか。
「回天號砲の気弾を飛ばさないように、それをインパクトにかえて……」
カーミラはレオナルトの途絶えた拳の意志を継ぐものだ。拳で気の流れを絶つ事ができる自分ならできるとアイドルオーラを活性化し、気の流れを可視化する。
目に見えるその意志の色は燃ゆる朱。
練り上げた気をインパクトの瞬間に解き放つ。
彼女が求めるのはこの物理攻撃である攻撃を相手に魔導で受けさせるというものだ。
人形相手では役不足にすぎる。
カーミラはうまくいかないことに焦りを感じる。
ちゃんとヒトに頼むべきだったと思う。
「あの……」
そんなカーミラを見ていた国防騎士がおずおずと手をあげた。
「自分でよければ手伝いますよ」
「ほんと?!」
「では、防具を整えてきます」
言って国防騎士は少々大仰な鎧をまといカーミラの前に立つ。
「じゃあ、いくよ!」
練り上げた拳を国防騎士に向け、攻撃をしかける。うまく行った、と思う。だけどカーミラは首を捻って不思議そうな顔をする。
彼女の組み上げたスキルは物理攻撃を魔導防御で受けさせる、魔導攻撃を物理防御で受け止めるというコンセプトだ。
「あの」
国防騎士がカーミラの説明をうけ、申し訳なさそうに話しはじめる。
「カーミラさん、たぶんですが、それは思い込みによる瑕疵だと思います」
「思い込み?」
「物理攻撃の高いものは魔導防御は弱いもの……とは限りません。魔導攻撃に弱いという自覚があれば、魔導防御を強化して、均すというものもいます」
「あ、ううん、じゃあ逆もしかり、だよね? そっかー、逆にこっちにとって不利なほうで防御させちゃうって可能性もあるんだ」
「はい。なので考え方を変えたほうがいいのかもしれません。特にヘルメリアは魔導には秀でていません。故に魔導に対する防衛手段はそれなりに在るのではないかと思います」
「じゃあ、防御力と魔導防御、弱い方で受けさせるっていうのがいいのかな?」
カーミラはつぶやく。最初からもう一度スキルの理論を組み直すにはまだ少し時間が必要だろう。今回間に合わないことは否めない。
それでもカーミラは諦めることはない。今は無理でもいつか。きっといつか――。
「もう少しつきあってもらってもいいかな?」
「はい、もちろんです!」
●
「私を重傷に追い込んでくださいませ」
『救済の聖女』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)は騎士団の面々を見渡しながらそう切り出した。
「アンジェリカさん正気ですか?」
「はい」
そういって微笑む聖女に騎士たちは目を白黒させる。そんな彼らにアンジェリカは説明をしはじめる。
「重戦士のバーサークとウォークライ、そしてバッシュを一つにしたスキルを考案しております」
むちゃくちゃだ、と騎士たちは口々にそういう。
「そうでしょう。無茶でしょう。
でも私達はその無茶を押して、強国と戦う必要があります。そのためには何らかのブレイクスルーが必要ではありませんか?
怪我をすることは苦痛です。その先の生命の危機に瀕した時、本来セーブされている体のリミッターを外すことができれば、きっと」
「でも……」
「構いません。さあ。ヒーラーの方には来ていただいておりますので問題はありません」
意を決した騎士が前にでる。本当に大怪我をしてもしりませんよというその言葉にアンジェリカは頷く。もとよりそれは覚悟の上だ。
アンジェリカはさあ、と促す。
攻撃され、全身を止まらない痛みが襲う。
「手を抜かないでください! 本気でなければその境地には至ることができません!!!」
この痛みは、苦痛は――。
私達の未来への対価。その苦痛の向こうに何かがあると信じて。
アンジェリカはその在るか無いのかすら見えないそれに縋る。
「回復はまだいりません!!」
回復魔導を組み上げようとしたヒーラーに鋭くアンジェリカは叫ぶ。もうすぐなのだ。もうすぐ「それ」が見える瞬間がある。
痛みで意識が朦朧とするがアンジェリカは歯を食いしばり唇を噛みそのたった一筋の「それ」を求める。
「見えた……!」
アンジェリカは大剣を後ろに構え、苦痛と痛みを切り裂く。
その瞬間、前に進めた気がした。
「アンジェリカさん! そこまでです! そこまで! 死んじゃいます!!」
目の前には自分を攻撃していた騎士が血まみれで倒れている。急ぎヒーラーが数人がかりで彼に回復魔導を施している。
「騎士さま……!」
正気に戻ったアンジェリカが騎士を起こそうとするが体が動かない。反動が自らを縛り上げている。
「アンジェリカさんにも回復を」
騒然とする現場でアンジェリカは剣にしがみつきながらやっとのことで立っている状態であることに気づき、そのまま意識を失った。
●
「というわけでだ。ネクロフィリアや因果逆転といった生命力操作に詳しいやつをあつめた」
頭にコブのできている『クマの捜査官』ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)は訓練所で話はじめる。
隣には佐クラ・クラン・ヒラガ(nCL3000008)が頬をふくらませている。クマを倒す剛力などと軽口をウェルスが叩いた結果、佐クラがスパナを持ち出したのである。
うちか弱いんやから、なんて言うがあの一撃はか弱いからは程遠いと思う。
「コンセプトはデメリットは大きいが、超高火力の六連撃を放つというスキルだ。
消費した生命力を逆転したその『力』をリミッター解除して火力に置き換えることができないかというスタンスだな」
「デメリットはどんなもんやの?」
佐クラが手をあげる。
「最大体力の25%を流転する生命力として消費、まあこのスキルを使った直後は防御力も攻撃力も一旦下落する程に消耗するだろう。
それと、俺達の――英雄力(フラグンメント)も消費する。
この英雄力の消費が大きければ大きいほどにダメージも――」
そこまで説明して、佐クラも含めた皆が微妙な顔をしていることにウェルスは気づいた。
「ああ、安心してくれ。俺がその実験台になるから――」
「ちゃうよ」
「違うって?」
「あんな、うちらにはウェルスはんみたいに潤沢な英雄力なんてものはないんよ」
当然だ。ウェルスたち自由騎士は特別な存在だ。この世界に愛された、世界でもおおよそ一割しか存在しない『オラクル』であるのだ。
比較的オラクルが多いイ・ラプセルであっても騎士たちのその殆どは国防騎士であり自由騎士ではない。
そもオラクルは一般人にくらべて「死ににくい」。それは周知の事実だ。それを担う数値がいわゆる英雄力。フラグメンツである。
自由騎士たちはそのリソースを潤沢に所持している。しかし『彼ら』はそれを持ち得ていないのだ。
「うちらがそのスキル使うだけでしんでまうかもしれへんの」
ウェルスは言葉を失う。自分にとっての英雄力とオラクルでないものの英雄力の持つ意味を考えたことはなかった。仕方がない。自分はそれを当然に持ち合わせているのだから。
バトルスタイルを構築するということは自分たちだけではなくイ・ラプセルの兵士たちが使えるスキル系統を作るということだ。スキルを使うだけで命を削るようなものをあの優しい不殺の女神が認可するだろうか――?
「見損なわんといてほしいんやけどな……うちな、死ぬの怖いん。もちろんウェルスはんたち自由騎士の皆が死ぬのもこわいよ。
戦争やのに、こんなこというて、けどな――」
「それ以上いわなくていい。死にたくないなんて当たり前のことだ。俺はすこしそれを見誤っていたようだ」
ウェルスは泣きそうな佐クラを見つめる。そんな顔をさせたかったわけじゃない。
「もう一度、考え直すか」
●
「すまないな、忙しいところを」
『達観者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)はバーバラ・キュプカー(nCL3000007)とヨアヒム・マイヤー(nCL3000006)を呼び出しまずは詫びる。
「俺忙しいんだよね」
「かまわないわよ、そいつも私も暇してたところだから」
「では本題に移ろう。スキルを構築しようと思う。バーバラ嬢の持つアニマムンディとマイヤー卿のサテライトエイムを同時に発動し、魔導力と会心を強化するというコンセプトだ」
「なるほどね。でも両方強化だから、他付与である補助にするのは難しそうね」
「ふむ、そうか。森羅万象より魔力を取り込み、それを以って感覚を俯瞰視し標的を見極める。それを付与できればよいと思ったのだが」
「要は、自分自身の感覚の鋭敏化っしょ? 自分の感覚と他人の感覚を合わせるにはもっと違うなにかじゃないとだめじゃないかな? しらんけど」
ヨアヒムは言いながらもサテライトエイムを起動する。
「まずさ、自分は戦場を飛ぶ鳥と仮定して――鳥観を得るんだ。どこに敵がいるか、どこを狙うべきか。そんでBANG! したら敵は撃たれた後って寸法さ」
「アニマ・ムンディは……っていうかテオドールは魔道士でもあったから感覚は知ってるわよね。森羅万象にヨアヒムがいったように鳥観の概念を混ぜる?
簡単ではなさそうね」
「だろうな。修練が必要だ」
「まあ、いい的はあるものね」
テオドールはヨアヒムの言ったように鳥観を意識する。
「ちょっとまった! 俺のこと? 的って」
「なに、心配はいらない。メセグリンを代表とする癒しの力とて魔力で他者に介入するのだ」
「この文脈では意味がわからない!」
「安心したまえ」
「できるか!」
結果は――。強化された魔導のスキルしこたまくらいまくったヨアヒムは二度とテオドール卿の甘言には乗らない! と叫ぶのであった。
●
「えっとね、魔力を用いて自身と寸分違わぬ分身を作り出し敵を幻惑、翻弄する自付スキルを作りたいんだ」
『太陽の笑顔』カノン・イスルギ(CL3000025)はそう切り出す。
たとえ命中率の高い敵と出会っても命中率を下げることでその困難に打ち勝つことができるはずだ。
「具体的には?」
まずはテレキネシスを応用した訓練。
魔力の放出。その魔力に自分の姿を投影する。
役者であるカノンは『自分』という役柄を幻影に投影するという概念でそれはできると思う。その感覚は役者じゃないとわかりにくいかもだけれどきっと理論立てて説明すれば理解してもらえると思う。
「なるほど」
しかし相談をうけた魔道士は眉根を寄せている。
「なにか問題はある? 分身を生むのって難しい?」
「いえ、魔力塊に自分の姿を投影はそこまで難しくはありませんが――
カノンさんはこのスキルをどのようなスキルと考えていますか?」
「全体の補助スキルにしたいと思ってるよ。幻影をつくることで敵全体にアンコントロールが付けばいいなって」
「つまりは、そこです。補助、強化というものはあくまでも敵に効果を為すものではありません。敵にアンコントロールを付与するのであれば、それは攻撃スキルになります」
「あー……でもそういうスキルあるよね」
「付与であれば自身の回避力を上げるという形になります」
「それもたしか……あるよね。すごいのが」
最近加入したガジェッティアにもそのようなスキルは存在している。
「カノンさんの望むスキルであれば分身という付与効果の概念を構築するところからはじめないといけませんね。それは一朝一夕でできるものではありません。それに、他人の分身を投影するというのは相当難しいでしょう。できたとして、自分自身の強化というカテゴリになるでしょうね」
「うう~ん! かっこいいと思ったんだけどなぁ」
「今すぐには無理ですが、研究の価値はあるとおもいますよ」
●
「よしこい、クローリー」
『イ・ラプセル自由騎士団』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)は虚空に向かって叫べば、背後に現れるはアレイスター・クローリーその人だ。
「ハラキリの実験台になってほしいのじゃ」
「やだよ。そこになんか腹切得意そうなのもスキルを受けてくれそうなのもいるじゃん!」
シノピリカの要請にクローリーは手を振りながら背を向ける。
「まてまて、冗談じゃ!」
「いいや本気だったね」
「まあそうなんじゃけど、ともかく今時ヘルメリアとの戦いに有用なスキルがほしいのじゃ」
「ふうん。だったらなおさら自分を切り売りしないと、だめなんじゃない? そりゃ僕ならできるさ。でもそれでいいのかい?」
「けちんぼじゃの、まあ、クローリーの言ってることもそのとおりじゃな。もとよりそのつもりじゃったし」
「回復ならしてあげるよ。なんなら一生痛みを感じない魔法だって使ってやるぜ?」
「あえて自らを傷つけ痛みの中の隠された力を引きずりだすのに痛みなくてどうする!!」
クローリーは試行錯誤し始めたシノピリカがアマノホカリ出身のオニヒトに腹切りのレクチャーを受けているのを見て昏い笑みを向ける。
痛みの中に何かを見つける? なんとも――自己犠牲心あふれることだ。
「ヘルメリアにおいて、ノウブルは亜人を盾とした安寧を良しとしておる。我々は違う。心ある者は、みな須らく「前に立つ」べし! だとおもうのじゃ。
だからワシは傷ついても後悔などしない」
「シノピリカ・ゼッペロン。それは強者の言だぜ?」
「じゃろうな。弱者が弱者のままでいいとワシは思っておらん。弱者もまた強者に立ち向かうために強者にならねばならん。その一歩がノウブルと亜人の平等じゃ」
●
ファルスト陽動戦アリア中隊の面々は『慈葬のトリックスター』アリア・セレスティ(CL3000222)の要請を二つ返事で受ける。
まずは座学だ。終わったらとっておきのお弁当だって用意している。
「絶拳から着想を得たスキルなのですが――気を送り込むかわりに魔力を送り込みます」
アリアは黒板になんともファンシーな絵をかきながら説明を続ける。「絶拳、超痛い!」「攻撃! 魔力どーん! 技巧!」の文字にアリア中隊の面々は苦笑するが真面目に彼らはスキル構築に取り組む。
「大渦海域のタンゴの魔力の奔流を自らに押し留めて、接触と同時に堰を切る感じかな。魔力の収束、追従はエコーズをアレンジ。貫通してテンポよく。
リフレクトの魔力支配とか……こう技巧を活かしたいんですよね」
会議は喧々諤々と進む。次は実践だ。該当スキル所持者を呼び何度もアリアたちは試行錯誤する。
しかして、コンセプトである能力値によっての二段目の貫通に対するダメージの向上はみられることはなかった。DEXを意識すればするほどに出力にブレがでてしまうのだ。それでもスキルとしての形は成している。
誰もが使えるスキルにするためには安定感は必要なのだ。
「ううん、少し残念ではありますが、十分有用でしょう」
思った通りでは無いが個性は十分にあるスキルにはなった。
アリアは中隊を振り向くと、皆さんおつかれでしょうからご飯にしましょう! と微笑めば、中隊の面々は歓声をあげるのだった。
●
「『神』のパウワァを馬鹿にしちゃいけない。権能っていうのは君等がどうこうできる代物じゃないよ。もちろん僕も権能には太刀打ちできない」
『革命の』アダム・クランプトン(CL3000185)の所信表明を聞いたクローリーは開口一番そう答えた。
アダムには理想がある。この世界を今よりよくするために。それは神によるものではなくヒト自らの手によって。この戦争の発端は神だ。しかしそうではなくヒトの意志でそれを行わなくてはならないと思う。
そも権能とはなんだろうか。アダムはそれをテレパシー、ラヂオの様なものではないかと考える。祝福を授かった時点でパス、周波数が繋がるのではと推測をたてていた。
「まあ、遠からずとも近からず。いい線いってるよ。ねえ、アダム・クランプトン。オラクルってのはどこから来たんだと思う?」
突然の問にアダムは目を白黒させる。今はそんな話をしていたわけではない、権能についての意見のハズだ。
「神の意志……からだと思う」
「正解。『神』の齎すギフトがオラクルさ」
アダムにはクローリーのいう神が自分の思う神と乖離しているように思えた。
「そして権能は神からあいつらへの贈り物だ。神の上位存在に介入なんて無理だろうさ。とはいえ君たちは可能性<■■■■シス>だ。故に、奇跡に願えば一時的なら介入できるとおもうよ」
「奇跡――」
それが何をさすのか、アダムは知っている。しかしそこまでのリソースを費やす上に発動するかどうかも定かではないスキルなどスキルなどと言えないだろう。
「アレイスター、僕は――僕らはいつまでも神に庇護されたままで良いのだろうか? 僕らは神と並び合い未来を歩みたいんだ」
それは彼の心からの願い。
「そのためにはもっと僕は手を汚さないといけないのかもしれない――」
心優しき不殺の女神の権能の子。それがイ・ラプセルの民だ。殺さなくてもいい。戦争において心を傷つけない甘美なそれに自分は甘えているのではないかと少年は苦悩する。
「汚さなくていい手を汚したいなんて自傷癖でもあるのかい?」
†シナリオ結果†
失敗
†詳細†
称号付与
『明日への架け橋』
取得者: カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)
『痛みのその果に』
取得者: アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)
『<<英雄>>』
取得者: ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)
『鳥観』
取得者: テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)
『幻想への未知標』
取得者: カノン・イスルギ(CL3000025)
『後悔せず』
取得者: シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)
『アリア中隊のおかあさん』
取得者: アリア・セレスティ(CL3000222)
『汚さずのその手』
取得者: アダム・クランプトン(CL3000185)
取得者: カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)
『痛みのその果に』
取得者: アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)
『<<英雄>>』
取得者: ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)
『鳥観』
取得者: テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)
『幻想への未知標』
取得者: カノン・イスルギ(CL3000025)
『後悔せず』
取得者: シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)
『アリア中隊のおかあさん』
取得者: アリア・セレスティ(CL3000222)
『汚さずのその手』
取得者: アダム・クランプトン(CL3000185)
†あとがき†
ご参加ありがとうございました。
以上の結果になりました。難易度相当の判定にさせていただきました。
今回は特別に、戦闘がなかったのでフラグメントの減少はなし。貢献についても失敗の場合には0になるのですが、頑張ってくださったのでプラス判定にしてあります。
アンジェリカさんについてはシナリオ内でそのスキル作成上ダメージを受けていますので重傷を。
国防騎士の彼も同じように重傷になっていますが、無事ですのでご安心ください。
採用スキルは
リベンジスマッシュ
シャープインスパイア
ノーリグレット
マナストリーム
の4つとなります。入力までに時間がかかるのと、システムに合致する形での実装となりますので、多少調整がはいります。
レベルは3までになります。(国力消費でのレベルアップはありません)
スキルテンプレにかかれていた属性を参照にしております。
以上の結果になりました。難易度相当の判定にさせていただきました。
今回は特別に、戦闘がなかったのでフラグメントの減少はなし。貢献についても失敗の場合には0になるのですが、頑張ってくださったのでプラス判定にしてあります。
アンジェリカさんについてはシナリオ内でそのスキル作成上ダメージを受けていますので重傷を。
国防騎士の彼も同じように重傷になっていますが、無事ですのでご安心ください。
採用スキルは
リベンジスマッシュ
シャープインスパイア
ノーリグレット
マナストリーム
の4つとなります。入力までに時間がかかるのと、システムに合致する形での実装となりますので、多少調整がはいります。
レベルは3までになります。(国力消費でのレベルアップはありません)
スキルテンプレにかかれていた属性を参照にしております。
FL送付済