MagiaSteam
【機神抹殺】トリックスタァと神の火



●別れ。
 状況はまあ、面白いが最悪だ。
 思っていたより早く終焉がきたといったところだろうか。
「で、ドクターはいくんだろう?」
 先の「ロンディアナ」からギリギリ逃げることのできた二人の男は語り合う。
「まぁね。僕ちゃんは別に研究さえできれば満足だしね! 
 それがヘルメリアでも、ヴィスマルクでもどっちでもいいのさ!
 機械は大好きだけど、合一することは求めてないからね! キチキチキチ。
 んでチミは?」
「俺かぁ~~~! せっかく直してもらったベインちゃんもあるしなあ。それに結構「蒸気王」が好きなんだよな~~~!」
 それはもう二度と会うことのない二人の別れの言葉。
「じゃあ、ドクター!! 死ね!!!!!!!!!!!!!」
 目に止まらぬファニングでもって、プロメテウス/ベインパイロットであるレイ・ブラッドベリの銃口が煌めいた。
「しってた~~~~やるとおもってた~~~~~~」
 だからこそ準備はしてあった。蒸気開発局『セヴァリの火』機関長ウィリアム・ギブソンの白衣の下には防弾衣。
 まあ、ヘッドショットを狙われたら、死んでいただろうがウィリアムはレイという男を知っている。
「武運をね、レイ」
「じゃあな、ドクター! もっかい死ね~~~~~~~」
 知っているから伏せてヘッドショット狙いの銃弾を避ける。
「お前も死ね~~~~~!!!!!」
 カウンターでウィリアムの持つ重火器から放たれた爆炎がレイに降りかかる。
 爆炎が二人の姿をかすませる。
 ややあって煙が晴れるがそこにはもうウィリアムの姿はない。
「ぺっ、ぺっ、くっそ~~~、ドクター逃したか~~~~~。
 さぁてと。あの機械野郎をぶっ殺して、そんで、ヘルメス様んとこに支援にでもでもいくか~~~~」
 今日はいい戦争日和だと、レイは思う。
 灰色の空、油臭い空気、硝煙のけぶるかおり。
 それがヘルメリアという国だ。
 灰色の機神に支配され、差別が横行し、貧富の差が激しく、到底理想郷とは呼べないこの国。
 それでもこの狂気の男にとっては故郷であり守るべき国だ。
「さぁて、ベインちゃん、今日もがんばりまっしょい!!!!!!!」

●階差演算室
「諸君の部隊にはプロメテウスの撃破をしてもらう」
 『長』クラウス・フォン・プラテス(nCL3000003)は要点をまず最初に述べる。
「ヘルメリア最後に残ったプロメテウス/ベイン。パイロットはレイ・ブラッドベリ二等。
 諸君の中には戦ったものもいるだろう。彼と、プロメテウスの無力化をしてくれたまえ」
 簡単に言うがそうも易くはないオーダーだ。
「彼のいる場所はここだ」
 簡易的な「ロンディアナ」の地図の一点をクラウスは指す。
 通常であればロンディアナの城の前の大きな広場だった場所だ。
「諸君が敗北すれば、彼はヘルメス神のもとに向かうことになるだろうな。それは止めてもらいたい」


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
EXシナリオ
シナリオカテゴリー
対人戦闘
■成功条件
1.プロメテウスベインの60%以上の破壊
2.レイ・ブラッドベリの撃破
 たぢてんです。
 ヘルメリアラストバトルです。
 プロメテウス/ベインの破壊をお願いします。
 
 ◆ロケーション
  もと城前の噴水広場です。時間は夜ですがあかりはあります。
  あちこちが隆起して足元はあまりよくありません。真正面からレイはあなた達を待っています。
  序盤自由騎士との距離は40mほど。
  
  
 ◆エネミー
  レイ・ブラッドベリ二等 キジン・ガンナー・ガンナースキルのランク3まで使います。
  火力、CTは高めです。プロメテウス/ベインのパイロット。
  プロメテウスに乗っている間はガンナースキルは使いません。
  気まぐれですが今回は殺意ましましです。右腕は自由騎士に吹き飛ばされ、カタフラクトを装着しています。
  プロメテウス/ベインの破壊率が60%を超え、なおかつ近接していればコクピットから引っ張り出せます。
  
  EX(P)トリガーハピネス
   誰かを倒すたびに攻撃力があがっていきます。
    
  EX  13階段
   貫通(25・125)・二連撃・【??】【??】
   その銃弾は刑吏の足音。じゅうとみっつでジ・エンド(さあ、おわり)
   ベインから引っ張り出されたら使用すると思います。カタフラクトに装着された杭打ち機。
   貫通したその先で炸薬入りの杭打ちの弾丸が二度炸裂します。1回しか使えません。
   火力は高いです。
  
  歯車騎士団(蒸気騎士)6名
    後衛から攻撃してきます。ベインに向かうには兵站軍が邪魔をします。
    騎士鎧風の蒸気兵器を身に纏った存在です。大きさは人間大程度。
   『クイーンオブハート』と呼ばれる魔術を遮るコーティングと、『マーチラビット』と呼ばれる多段炸裂弾(遠距離範囲・三連撃・バーン2)を持つことが分かっています。
  
  兵站軍10名
    前衛です。雑多なバトルスタイルです。彼らにはあとがありません。
    
  プロメテウス/ベイン
  移動は1ターンに5m程度。
  完全密封構造で外から内部は狙えません。
  BSを回復するリペアシステムがあります。
  関節部分は強化されています。防御力がめちゃくちゃ高いです。
  クイーンランサーは連続稼働には向いていないという情報が出ています。
  撃つごとに20%の確率で暴発します。
  
  クイーンランサー
  蒸気レールガンで長距離砲を撃つことができます。21m以上離れていたら命中率はかなり低いですが絶対に当たらないわけではありません。
 戦闘開始に1回。その後は2ターンに1度、遠距離範囲攻撃の蒸気レール砲を敵味方ランダムに打ち込んできます。
 景気よくどっかんどっかん撃ってきます。兵站も巻き込まれます。高火力なのでモブは当たれば死にます。トリガーハピネスの対象です。

  Jabberwock
  全体砲撃攻撃(高火力/グラヴィティ2/バーン2/アンコントロール2)
  
  ライオンとユニコーン
  一撃でHPの半分を奪うような近接単体攻撃(致命)

◆支援
フィールド効果:守れ、フランケン!
『ティダルト』からの支援です。メアリーが作った蒸気人形が皆を守ってくれます。
この戦いの間キャラのレベル×10点の追加HPが付与されます。この追加HPは回復できません。ダメージは追加HPから減少され、0になれば破壊されます。オーバーしたダメージはキャラが受けます。

■エピとムサシ■
 指示があれば【アーウィン/ムサシマル指示】の最新発言を参照します。
 なければないで適当に一生懸命戦います。
 ふたりともランク2スキルつかえます。

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「この共通タグ【機神抹殺】依頼は、連動イベントのものになります。依頼が失敗した場合、『【機神抹殺】Dawn! 時代の夜明けの鐘が鳴る!』に軍勢が雪崩れ込みます」
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状態
完了
報酬マテリア
3個  7個  3個  3個
11モル 
参加費
150LP [予約時+50LP]
相談日数
7日
参加人数
8/8
公開日
2020年03月26日

†メイン参加者 8人†




 ドォン、ドォンとそこらかしこで戦闘音が煙る首都に響く。
 陰鬱で、心が淀む音。しかして感覚は鋭くなっていく。
 そんな風に思えるのは傭兵である『二人の誓い』ザルク・ミステル(CL3000067)と『装攻機兵』アデル・ハビッツ(CL3000496)の二人くらいのものだろう。
 常人にとっては恐怖を想起する爆発音も彼らにとっては戦場を把握するためのファクターに過ぎない。
「あっちから変な蒸気音がする」
 二人のソナー役に徹していたアーウィン・エピ(nCL3000022)は羽角を震わせ告げた。
「あの建物の向こうが、水鏡が示した「広場」ってわけだな」
 ザルクが吐息とともにタバコの煙を肺から追い出す。紫煙はくゆり、灰色の空に消える。
 ヘルメリア生まれの彼にとって首都ロンディアナはある意味憧れの都である。ついぞ踏み入れたこの今がこんな状態であることに笑いが漏れる。
「ざまあねえな」
 こんな無様を晒して今なお存在するヘルメリア。だがそれももう終わりだ。
「油断するなよ」
 短くアデルがつぶやく。
「もちろんなのだわ! ふふふ、プロメテウスとやるのは初めてかしら? 腕がなるわね♪」
 緊張感なく闘志を燃やすのは『真理を見通す瞳』猪市 きゐこ(CL3000048)。
「きゐこ殿、やる気がからまわりしてこけるなでござるよ~~、そのローブ自分で踏むことあるでござろう?」
 どや顔がローブの下にかくされていると察知したムサシマル・ハセ倉(nCL3000011)はここぞとばかりにきゐこを誂う。
「失礼なのだわ! そんなことないのだわ!」
「ほらほら、そんな大声だしちゃ向こうにばれちゃうわよ!」
 『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)が念の為の灯りの用意をしながら嗜める。
「構わないだろう。レイもきっと僕らの存在に気づいているよ、その上で待っている。……んだろうね」
 『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)がまるで建物の向こうにいるだろう、敵将レイ・ブラッドベリを想像しながら瞳を閉じる。
 ――瞳。
 マグノリアは彼の瞳の色が見たかった。正確にいうのであれば彼の魂の色、だろうか。
 レイと言葉は交わした。ちぐはぐなそれだったけれども。
 歯車の国で育った彼は軽くない命などないと言った。なぜならば人の命は歯車だから。歯車一つ狂えば機械は動かない。だから大事だと。
 しかし同時に彼は言った。そんな壊れた歯車は直せばいい。矛盾にもすぎるその信念はマグノリアの心の歯車を一つずらした。
 だから、マグノリアはもう一度一言でいいから彼と言葉を交わしたくなった。それによって心の歯車は更にずれるかもしれない。それでも。
「くそ、肥溜め野郎め!」
 口汚くつま先で地面を蹴るのは『たとえ神様ができなくとも』ナバル・ジーロン(CL3000441)だ。
 彼にとって神は「慈愛」に満ちた存在だ。優しくて、人を守って――。アクアディーネはその見本だとも思う。少し頼りないところはあるけれど、だからこそそんな神様ができないことは自分で成そうと思った。
 ミトラースだって形はどうあれ、民への愛はあった。だからまだ理解はできる。しかしヘルメスはどうだ?
 アレは違う。神の愛なんてない。冷たくて、まるで機械そのものに思える。人間離れしている。
 もちろん神は神であってヒトではない。けれど、ナバルという少年は神の中に「人間性」を感じている。すべての神に会ったわけではない。それでも彼らには「ヒトらしさ」があると本能的に感じているのだ。
 それがないヘルメスは存在してはいけない神だと思う。あいつがもし神の孤独に勝利したら、この世界はめちゃくちゃにされてしまう。
「絶対に――ここで叩かなきゃ」
「ああ」
 つい最近少年から成人へと成長した『真なる騎士の路』アダム・クランプトン(CL3000185)が頷く。
 アダムはこの戦争ばかりの悲しい世界が間違っていると思っていた。ヒトが憎しみ合い、そして殺し合う。
 けれどそれは違った。他国への侵略者となったことで知った。
 数々の戦いを経て世界のあり方を知った。
 世界は間違ってなどいなかった。世界はそこにあるだけだ。世界に存在するすべての誰もが信念をもち、その信念のもとに「生きている」だけだったのだ。
 だから青年は少年の頃から大事にしてきた信念を自信をもって掲げるのだ。
 『全てを守り、全てを救う』
 それがアダム・クランプトンなのだ。
「ブラッドベリなぁ……絡んでない故詳しくは知らんが、頭がトび気味の陽気な殺戮者もしくは狂戦士ってところか?」
 『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)は上着の内側に着たいつもとは違う真新しい白衣の袖をやけに気にしながらそう敵を分析する。
「で、アデルにモテ期がきたと! そりゃあ薄い本の出版が捗るな!」
「意味のわからんことを。あのクソ野郎はそれだけじゃない。ああ見えて状況判断ができるタイプだ。侮るなよ」
「へいへい、だってよ、アーウィン、陽気に行こう、な!」
 言ってツボミは緊張の見えるアーウィンの尻を蹴り上げた。
「いてぇ!! なにすんだバカ医者……あれ? 新しい白衣か。こんなときに着てこなくても。汚れるぞ」
「バカモン! こんなときだから着るのだ!」
「ふぅん、まあ似合ってんじゃねーの?」
「なっ?!」
 思っても居なかったアーウィンの言葉にツボミは言葉につまって――。
「いてぇ!」
 もういちどアーウィンの尻を蹴り上げた。
「ふふ、仲良しなのはいいけど、気合をいれるわよ」
「そうね、妥当プロメテウス! ついでに拿捕も狙うのだわ!」
 いい感じに弛緩した空気は死戦の前には不釣り合いではあるが、緊張しきっているよりはいい。
 エルシーときゐこの気合に皆が応えた。
 
 ●
「待ち構えてたぜ!!! BANG!!」
 彼ら自由騎士たちが建物の影に近づいたと同時にクイーンランサーが出迎え数件の建物を破壊し尽くす。
 その予測はとうにたてている。爆煙がはれたその向こう。誰一人クイーンランサーに貫かれたものはいない。
「これだからオラクルってのは厄介だ! あたりゃあしねー!!」
 クイーンランサーをぶっ放した本人であるレイ・ブラッドベリは大きな声で愚痴を吐く。
「当然だ、このクソ野郎!」
 アデルが爆撃された自由騎士たちとは違う建物の屋根の上から大声を上げ飛び降りる。
「おっと、機械野郎! デートの誘いに乗ってくれるわけか」
 クイーンランサーの射出口が90度旋回する。
「乗ったね」
 アデルのそばに控えるアダムが頷く。
「近づくぞ」
「了解だ、その前に――
 騎士アダム・クランプトン! 我が信念を貫く為戦場へ参った!
 貴君らにも貫く信念があるならば立ち向かってくるが良い!」
 正々堂々の名乗りをアダムはあげた。アデルにはそういった騎士なり戦士なりの作法や誇りは理解できないがそれこそが彼の戦闘におけるマインドセットであれば、それでいいのだろうと思う。

「アデルさんやるう! それにしてもあれなによ。あたったらそりゃしんじゃうわよ!」
 エルシーが揺れ動く柳に構えながら破壊された家屋を見てゾッとする。
「射角は向こうに向かったな。油断はできないが行くぞ」
「そこをどいてもらうぞヘルメリアの人たち! オレたちはここを突破し、神を殺す! そして、この国に住む人たちを助ける!」
「ここにも騎士道を嗜むのがいた」
 同じくそういった作法が理解できないザルクがナバルの口上に苦笑する。若いってのはいいもんだ、なんてうっかり口にすれば愛する女に笑われるかもしれない。
 とは言え、蒸気騎士はプロメテウスの周辺に、兵站軍はこちらに向かってくるという布陣になったことはベストではなくともベターだ。
 兵站軍にとってもレイの銃口がこちらを向いてないことに安堵している様子もある。
「じゃあ、行くわよ、固定砲台作戦ね!」
 きゐこが鷹の目を起動する。
「少々距離があるな。回復に支障がでる、さり気なく回り込むようにアデルたちの近くに向かうぞ」
「なら……」
 マグノリアは当初の予定を変更してまずはツボミにアンチトキシスの呪法を展開する。
「お守り程度だけれどね」
「いいや、助かる」
 会敵した双方は己が技を敵に叩き込む。こちらへの攻撃はフランケンが守ってくれる。
 なんのも蒸気機械は味方だと心強いものだとツボミは思う。
「さあ、空よ、星辰の煌めきよ、堕ちよ! ……ってね!」
 きゐこの掲げた両手に魔力で編み上げた極小の燃え盛る母なる星が組み上がっていく。
 ザルクの火の追尾弾が兵站軍を追い詰める。
 マグノリアのデ・レ・メタリカが敵の鎧を剥ぎ取っていく。
 兵站軍にとってはこれほど苛烈な攻撃は見たことがなかっただろう。泣きわめきながら後のない彼らは自由騎士たちに向かってくる。
 これでいいのか? とナバルは自問自答する。
 彼らは自分たちを殺そうとその矛先を向けてくる。戦場に置いての油断は死だ。
 彼ら兵站軍が反乱などと思いきった行動に出ることができないこともわかる。当然だ。彼らはメンテナンスを行われなければ死ぬ。
 ここで自由騎士を撃退したところで、この国には先がない。
 ヘルメスが生み出した「ロンディアナ」はこのまま生物も街も取り込みどんどん大きくなっていく。
 縦しんばここで生き残れても彼らはロンディアナになってしまうだろう。どん詰まり、だ。
 彼らは泣いている。怖いのだ。
 ナバル・ジーロンはノウブルだ。羽もはえていなければ、動物とも話せない。水の中で呼吸もできないし、木々と言葉を交わすこともできない。
 しかし、それでもナバルは亜人種である彼らが怖くて泣いていると理解できる。心があることを知っている。つまりそれは意思疎通できるということにほかならない。
 羽があったって、角がはえていたって、しっぽがはえていたって意思疎通ができるなら「ヒト」なのだ。
「攻撃を待ってくれ! みんな! それとヘルメリアのひと!
 ヘルメスを倒せば、その権能はアクアディーネ様に移る。
 ならば、人機融合した人たちを救う力も、きっと手に入る!
 ミトラースの力だってアクアディーネ様がもっている
 アクアディーネ様は浄化の権能だ! だからそれと人機融合が組み合わされば! きっとあんたたちにも未来がある!」
 だからナバルは傷だらけの彼らに「道」を示した。
 それはただの思いつきだ。そんなことはないかもしれないし、ほんとうにそうなるかもしれない。彼らを無駄に期待させることになる可能性だってある。
 それでも少年は叫ぶ。
 希望観測に過ぎないそれは甘い毒だ。しかしきっとそうなるとナバルは信じる。
「おい、ナバルっ!」
 呆れた口調でザルクが咎めるがその指先はトリガーから離れている。エルシーもワルツのステップが止まってやれやれと、ナバルを見つめる。
 マグノリアとツボミははこの動きが止まった瞬間を見計らい回復を密にする。
「おいおい、あのガキは適当なことを……」
「そういいながらツボミの顔は笑ってるようにみえるよ?」
 マグノリアもまた軽く口角が上がってしまってることに気づいてはいない。
「さあて、どうかな? なるほど、希望の道か。考えたことはなかったな」
 そうであればマザリモノであるツボミにとっても好ましいことに思える。

「オレは、この国に住む『ヒト』、他の国の『ヒト』、それからオレたちみんなが笑顔になれるようにするんだ!!」

 なんの保証さえない言葉。それでもその言葉は兵站軍に届く。
「信じて、いいのか? 俺たちは」
 ボロボロの彼らはまるで神様を見るような目でナバルを見る。
「信じてくれ!!!」
 ナバルは叫ぶ。ほころぶ兵站軍の顔。
「避けるのだわ!!!」
 きゐこが声を張り上げて10秒先の未来の危険に声を張り上げた。
 彼女の未来視に重なる光景では、兵站兵の頭上に――。
 
 ●
「ツボミさんの回復はいまいち届きづらいけどやるかい?」
「当然だ、暫くはフランケンの守りがある」
「ならば、僕は君を守り抜くと誓う」
「頼んだぞ」
 アデルはアダムとプロメテウスに向かって走り、零元を展開。十分に興味を引いてはいるがダメ押しだ。
「待ってたぜ~~~~~機械野郎!」
「機械野郎なのはお互い様だろう? どうだ? 右腕の調子は? お前の大好きな兵站軍とお揃いで嬉しいだろう!」
「もいでやるぜ、お前の腕を! 両方ともな! 足もだ! だるま野郎にしてやる!」
「下品だな、聞くに耐えない」
 蒸気騎士たちが構えアデルとアダムに火砲を向ける。爆炎がフランケンをあっという間に消し炭にしてしまう。
「キミたちにも自らの命や家族、守るべき大事なモノがあるだろう
 その為に僕達が障害になるのならば僕達を討て!」
 アダムは敵をも鼓舞する。
「そうしてアダム、お前は処置なしだな」
 敵もクレイジーなら、こちらも似たようなものだ。
「僕の信念だからね」
「ああ、それでいい」
 信念の強さが戦場で力になることはアデルもまた知っている。
 彼らは蒸気騎士を抜けてプロメテウスに向かおうと回り込もうとするが逆にブロックをされる。
 2対6。
 人数の差は埋まらない。
「死ねや~~~~~~~~~~~~~~~」
 クイーンランサーが射出される。アデルは咄嗟に組み付いてきた蒸気騎士を盾にする。
ドォン……!
 蒸気レールガンが蒸気騎士もろともアデルとアダムに炸裂する。
「……!」
「流石に、きついな」
 アダムは、腕を焦げ付かせながら、盾にした蒸気騎士ごとアデルを守りぬき、いちど膝をつくがインデュアの守りが彼をもう一度戦場に立たせる。
「貴様……!」
 守られた蒸気騎士は呆然とした声を漏らした。
 アダムは信念を貫くと誓ってこの場に立っている。
 『すべて』を守るために。
 周囲にはアデルの足止めをしようとして、巻き込まれた蒸気騎士が2人黒焦げになって事切れている。
「彼らまでは守れなかった……」
 アダムが歯噛みする。しかしその手の届く範囲には限界もある。それがアダムにとっては口惜しくてしかたない。
「まったくお前は」 
 バカだという言葉をアデルは飲み込む。その代わりにトリガーハピネスに二人分の命が乗ったことに舌打ちした。しかして2人だ。3人分のらなかったことは作戦目的には合致している。彼の行動に間違いはない。
 アデルとともに守られた蒸気騎士は混乱し、戦意を喪失している。
 残りの蒸気騎士は3人。
 彼らは悟る。自分の上官であるレイが部下である自分たちの命など見えていないことを。
 その動揺は動きに現れる。
 クイーンランサーは再度蒸気充填をはじめる。もう一度撃つつもりだ。自由騎士ごと自分たち歯車騎士を。
 その隙を見逃すほどアデルは無能ではない。アダムに目配せをしてプロメテウスに近接する。
 
「オレは、この国に住む『ヒト』、他の国の『ヒト』、それからオレたちみんなが笑顔になれるようにするんだ!!」

 その瞬間響くナバルの声。
「おいおいおい、なにいっちゃってくれてんだ~~~~~~?
 あのガキ! そんなこといっちゃ使い物になんなくなるじゃねえか!!! くっそ~~~~~なんだよあいつ!!
 まあいいっか~~~~~~~、糞どもを殺す~~~~~~~~~~~~~」
 レイは蒸気充填を中断し、プロメテウスに内蔵されている銃口を全部解放する。多数の銃口から無差別に放たれる砲撃。――Jabberwock。
「っ!!」
「やめろっ!!!」
 アデルは舌打ちし、アダムは静止の叫び声をあげる。

 
「避けるのだわ!」
 その言葉に反応したナバルは息を吐く。そして自らの身体に眠る力。魂の力を解放する。
 ズドドドドドッ!
 爆音を轟かせ、Jabberwockの銃弾の雨が戦場に叩きつけられ、哀れな兵站、蒸気騎士、そして自由騎士たちはその身を穿たれる――
 ――はずだった。
 砲撃がおわり土煙ががはれたその場で倒れているものは居ない。
 みな、白い防護膜のようなもので覆われていたのだ。
「あれ? 無事?」
 エルシーが手をぐっぱぐっぱしてみるが何の不具合もない。
「みんなみんな笑う世界にするんだ」
 そうつぶやくナバルの顔は蒼白だ。
「お前が守ってくれたのか? キセキ、だ」
 兵站軍の一人が涙を流しながらつぶやく。蒸気騎士にも兵站軍にも今や敵意はない。
「おい、お前ら、感動している暇があれば逃げろ。戦う気のない兵士は邪魔だ」
 ツボミが医療バッグを構え直し、前に進みながら兵站軍とすれ違う。
「そうだね。僕らの国の医療班が向こうにいるはずだから……その気があれば行ってみるといいよ」
 マグノリアがナバルの肩を支えながらパナケアを施しながら、つぶやく。
「もっとフォーマルハウト撃ちたいのだわ。巻き込まれたくないならさっさと逃げることね」
 きゐこがにやりと笑えば、兵站軍たちは這うように戦場から逃げていく。彼らは見た。キセキを。
 ならば、あの少年の言っていたそれは嘘ではないかもしれない。
 それは彼らにとって、キセキの道。
「はぁ、なんつうかな」
 ザルクが呆れ顔でため息をついた。この戦いがおわればタバコを吸いまくってやると思う。たしなめられたってくそくらえだ。
「まあ、いい。まだあいつが残ってる。やるぞ」
「そうね! やっつけないと!」
 ザルクの促しに、エルシーが応え、ツボミを追い越しプロメテウスのもとに向かう。

「何が、なにがキセキだ!! ふざけんなよ!!! 死ねっ! 死ねっ! 蒸気王を裏切るのかよ!!!」
 戦意喪失した兵站軍に向かってレイは口汚く罵る。
 自業自得という言葉をレイに投げつけたいと自由騎士の数人が思う。
 蒸気騎士たちは任務と置かれた立場とで暫く逡巡して、結果、戦場を去ることに決める。
「礼をいう、アダム・クランプトン」
 レイの攻撃から庇った蒸気騎士がすれ違いざまにアダムに礼を言って去っていく。
 そうだ、ナバル君のいってたようにヒトは敵同士であっても意思疎通はできる。
 アダムは口元をほころばせ、そして気合を入れ直す。
 あの狂った男も自分の信念を貫き救うのだと。
 
 ●
「ほらほら、蒸気騎士とか兵站軍を気にしてる場合じゃないでしょ!」
 飛び込んだエルシーが、プロメテウスの関節を狙って鉄山靠を放つが手応えはない。
「そっちよりクイーンランサーを狙え!」
 ザルクが叫ぶ。関節部が強靭に作られていることは知っている。前回狙ったこともあり更に強化されているのは予想できる。
 しかし蒸気レールガンなどという無茶な性能であるクイーンランサーの砲台自体は弾丸を射出することによって歪みが生じるという弱点がある。
「中央よりあたりに歪みがでてるのだわ!」
 きゐこが目星によって、僅かな歪みを見つける。
「じゃあ、痛いのぶっ放すわよ♪」
「わわ、きゐこ! 確かに思いっきりぶちかましたほうがいいけど、私にあてないでね!」
 きゐこの両手に極小の太陽が浮かびあがったのを見てエルシーが焦りをみせた。
「ふふ、うち足りないからねっ!」
「こっちも、トリガーハッピーがいるのか! いいぞ! もっとやれ!」
「ツボミも煽らないで!」
 まったく、と騒ぎ立てる少女(じゃないのもいるかもしれないが見た目で判断する)たちにザルクはため息をつく。
「至近距離、取ったぞ! この距離でクイーンランサーを撃てるものなら、撃ってみろ!」
 アデルがアダムとともに足元にたどり着き叫びウェッジショットを撃ち込んだ。
「クソ機械野郎が!!! ネズミかよ!」
 クイーンランサーがアデルを角度を変えようとするが足元に潜り込まれてしまえば当てるのは不可能だ。
 プロメテウスの腕部が大きく振り上げられる。
 ――くる。
「アレをする、アダム!」
「アレ……? わかった。倒されないでくれよ、アデル君」
 アデルは振りかぶられた腕部を見据える。やけに時間がゆっくりと感じられる。兜の視力矯正装置が危険を察知し赤いランプが明滅する。 
 ッガガガガガガガガッ!!!
 高火力の斬撃がアデルの体で火花を上げる。膝が折れそうになる。だが受けきった。
「……っ、ふぅ、こちらも、切り札を出す」
 十分に引き込んだ。
 破壊された胸部装甲のベアリング弾はまだ生きている。
 突撃槍をプロメテウスに向ける。一つ呼吸。
「スタンドオフ・アサルトッ!!」
 ベアリング弾の射出と同時にジョルトランサーをプロメテウスに炸裂させる。
「うぉっ!!」
 プロメテウスコクピット内でデンジャーサインが鳴り響いた。レイが思わず声を上げる。倒れるとまではいかないが少なくはないダメージが蓄積していることを計器が知らせてくる。
 受けたダメージを倍にして返すそのスキルの反動はアデルとて無事ではいられない。胸部装甲はもう使い物にならない。露出した肌からはとめどなく血液が流れていく。
「医者をこき使い過ぎだな。マグノリア、手伝え!」
「わかった、大丈夫……にはみえないかな、アデル」
 ツボミは高位術式を展開し、マグノリアはそのサポートにはいる。
 アダムは無茶をする少年にこれ以上ダメージを与えるものかと構えた。
「アデル! むちゃすんな!」
 ナバルが心配そうに叫ぶが、それはお互い様だ。お前だって青い顔をしているのにと言いたいが言葉にならない。
「とりあえず手をとめるな!」
 ザルクが、動きの鈍くなったプロメテウスにウェッジショットを重ねる。
「わかってるわよ!」
 エルシーときゐこも攻撃を重ねていく。
「てめえら邪魔だっ!!」
「Jabberwockがくるのだわ!」
 ズドドドドドドドッ!
 プロメテウスを中心に砲撃が土煙をあげる。
「ぐっ…!」
 味方を庇い、大きくダメージをうけたアダムとナバルは膝をつくが、英雄の欠片に願い、インデュアで耐え、闘志を燃やす。
「よくやった。倒れても私の右腕が貴様らを起こすゆえ、安心しろ!」
「それって、安心、できるの……かな?」
 叫び回復を続けるツボミとマグノリア。
 土煙がはれるがプロメテウスはノイジーな警告音を上げ続け動かない。
「避けるのだわ! エルシーさん!」
 きゐこの目に重なる10秒先の未来。エルシーはその言葉を信じ転がりながら避けたその場にはウェッジショットの弾丸。
「避けやがったか」
 プロメテウスのコクピットから飛び降りたレイが土煙に紛れうがった一撃は当たらない。
 ザルクは走りだす。レイを通り過ぎ地面を蹴り、プロメテウスのコクピットに飛び乗るとEXTERMINATEをコクピットに撃ち込んだ。
 騒がしかった警告音が止まる。
 プロメテウスが完全に沈黙した。
 レイは振り向きプロメテウスの破壊工作に呆然とする。
「んだ? てめ、ベインちゃんを……つってももう直すやつはいねえんだぞ! 壊れて終わりだ、くそっ、くそっ!!!!!!」
 壊れたプロメテウスを蹴りながらレイが地団駄を踏む。
 
 エピメテウスはこの手で倒した。
 ベインも俺のこの手で沈黙させた。
 状況としては余計な行動ではあっただろう。それでもザルクにとっては必要な行動だ。
 プロメテウスの破壊。それはザルク・ミステル。いや、ジュリアン・スミスの復讐の区切りだ。
 ああああ、ぷろめてうすがああ、なんてきゐこがレイより悲痛な悲鳴をあげているが、きにしないことにする。
 クロックワークスの技師よりきゐこに恨まれてしまいそうだがあとで謝れば許してくれるだろうか?
「許さないのだわ~~~!」
「きゐこ、ほら、さっききゐこのおかげで助かったわ~! まだ終わってないしね?」
 ぷんすこするきゐこをエルシーがなだめる。
 そのとおりだ。レイ・ブラッドベリは地団駄を踏んで悔しがったあと、やけに静かになっているが倒したわけではない。
「よ~~し、きめた。俺ちゃん裁判! 判決~~~~!! お前ら全員死刑! 罪状はベインちゃん可愛そう罪だ!!」
レイの持つ銃口が空にむけられるとグレネイド弾の雨が降り注ぐ。
「くそ! 今日はどれだけ銃弾をくらうんだ!」
 ナバルが盾を構え毒づく。
「ほんとにね、だが、守りがいがある!」
 アダムがそれに同意し、仲間を守るため動く。
「ほんとにクレイジー!」
 エルシーもまた毒づく。
 狂っていようが、クズだろうが、人殺しを好んでいようが――。
 スーサイドフィーバー。それほどよく見るスキルでもないそれは自らをも傷つける。プロメテウスをなくし、自分を傷つけてまで未だ戦いをやめず、退きもしないレイは、なるほど。
 国を守らんとするその意思は紛れもなく護国の兵だ。
「それを軽んじることは出来ん、やつも私達と同じだ」
 ツボミは回復を繰り返しながら敵をそう評価する。
「で、あればこちらを殺しにかかってくるがいいさな。できるものならな」
 皆満身創痍。フラグメントという切り札を切っているものもいる。それでも自軍の勝利を疑わない。
「……彼がこの国を守るのは「故郷」だからなんだろう……」
 マグノリアにはそれが眩しい。故郷を持たないマグノリアにとってそれは羨望すら覚える。
 体が重い。けれど混乱している仲間をクリアカースで回復する。
 ――彼の歯車発言は自分をも含めた言葉だろう。自身の命も自分だけのものも彼の中の世界が替えがきくもの。
 他者と自身への極端な肯定力の低さ――。
 そんな彼の大切なものは故郷であるのだ。それが彼の空虚を埋めるピースなのだろう。
「ここからは殴り合いだ! クソ野郎!」
「おう、来いよ、機械野郎!! ぶっころしてやる」
 言霊に零元をアデルは乗せれば、レイもそれに応える。
「ダンスに付き合ってもらうわよ!」
 華麗なステップ。
 突き出される妖艶なエルシーの腕はダンス・マカブルの誘い。
「君は死なせないよ
 生かしてこの戦場から連れ出すよ。それが嫌なら僕を撃て!」
 アダムが叫ぶ。
「ああ、どいつもこいつもムカつく!!!!」
「ヘルメスをぶっ倒すためにお前は邪魔なんだ!
 オレはナバル・ジーロン。イ・ラプセルの自由騎士で、本業は農家! 芋や玉ねぎがメインだ! でも、今は盾を構えて戦う! この国の人たちに、オレの作った野菜を食べてもらって、美味しいって言ってほしいから!」
 後衛を守るナバルも叫ぶ。この国の料理は本当にまずかった。だから本当に美味しいものを教えてやればきっと笑顔が戻るはずだ。
 そのための障害は打ち払う。
「うるせえ! 本当にうるせえ!!」
「うるせえのはお前だ!」
 ピンポイントシュートでザルクが右腕のカタフラクトを狙う。外装部が剥がれ落ち、仕込まれた杭撃ち機が露出する。
 あともう少しなのだ。ザルクの復讐が完了するのは。
「蒼き水のマナ、呪い呪われ凍れ魂、ふふ、ガス欠とおもったかしら? まだいけるのだわ!」
 正直ギリギリなのは否めない。それでもきゐこは水のマナを練り上げる。ギリギリの一撃を皆の攻撃に連携させ、放出する。
「ぐあっ!」
 レイが凍てつく氷に動きを阻害される。
「畜生、畜生!!」
 杭打ちがかしゃん、かしゃん、と空打ちされる。
「……俺もお前も、どこまでいっても所詮は兵隊だ。
 一つ違うことは仲間を信じることができるか否か、だ。最後はどちらかがこうなる他は無かった」
 アデルがレイの前に立つ。
「アデル君!」
 アダムが彼をも救おうとするが、ザルクが止め首を振る。
 男には決着をつけなくてはいけない状況がある。ザルクにはそれが痛いほどにわかるのだ。
 アデルにとってそれは今。
「では、さらばだ」
 心臓を狙いアームバンカーを押し付ける。
 奇しくもレイと同じ杭打ち。
「お前が俺ちゃんの十三階段だったってオチかよ」
 アダムは答えない。表情も見えない。
「糞が、地獄に落ちろ、機械野郎!」
 杭がレイの心臓を貫いた。
 
 目が霞んでいく。
 その霞む世界の端で、誰かがこちらに走ってくる。死体蹴りかよ糞が。
 倒れる体。冷たい地面に叩きつけられるはずだったのに――。なぜだか温かい。
「君はこの世界から消える」
「だろうな」
 声が出せたかどうか自信はない。優しく髪がかきあげられる。硝煙でばさばさになった髪は金色だったはずだ。
「君の瞳の色が見たかった。僕はマグノリア、マザリビトだ」
 くそ、マザリモノがノウブル様にさわんじゃねえ、毒づくが声にならない。思考もまとまらない。
「君に望みはある? ヘルメリアではなく、君の、だ」
 はぁ? 今それをいってどうするんだよ。
「相容れない立場だけど……でも想いや心を知ることは、敵同士でもできるはずだから」
 意味がわからない。だけど、これだけは言ってやる。
「んな、もん、クソくらえ、だ」
「そう」
 そう言ったマザリモノ――マグノリアと名乗ったかの瞳が陰る。寂しそうに。
 本当に意味がわからない。敵を倒したんだ、何が願いだ!
 畜生、言葉も思考もまとまらない。
 まとまらない。
 昏い。世界が昏くなる。痛みはもうない。
 昏い、くらい、くら……。
 
「おやすみ、レイ。やすらかに」
 マグノリアが静かに膝で冷たくなっていく死者に弔いの言葉をかけた。
 
「ああああ! やっぱり、計器がめちゃくちゃなのだわ!」
「はいはい、すみませんね」
 騒ぐきゐこの悲鳴を指で耳を塞ぎながらザルクが謝罪する。
 重要なコアが破壊されているのでは修理などはそれこそ製作者でないと無理だろう。
 きゐこの悲痛な叫びが粉塵の向こうでぼやけて光る月に溶けた。
 
 まだ戦いは終わらない。
「ヘルメスを倒すんだ」
 包帯をぐるぐるにまかれながらナバルがそう誓った。

†シナリオ結果†

大成功

†詳細†

称号付与
『瞳の向こうに』
取得者: マグノリア・ホワイト(CL3000242)
『十三階段』
取得者: アデル・ハビッツ(CL3000496)
『朽ちぬ信念』
取得者: アダム・クランプトン(CL3000185)

†あとがき†

参加ありがとうございました。
結果はこうなりました。

MVPはなやみましたが守りを貫いたナバルさんへ。

貴方の言葉が兵站兵を救いました。結果、トリガーハピネスの対象者が最小限になりました。

あと、敵は分断されるわ、回復は文句ないわ、火力はぼこぼこぶっこまれるわ、ベインちゃんがやけに効率的にこわされるわ、囲まれるから十三階段使えないわ。
ある程度はダメージは食らってはいますが、文句のない作戦でした。
だいたいいろいろ封殺されてました。ぐぬぬ。

ていうかランク3スキルつよすぎない????
FL送付済