騒乱の三ツ池公園に平静の時は無い。 余りにも激しい戦いを幾つも越え――仲間と顔を合わせた時には、流石のリベリスタも人心地をついたものだ。 六人が顔を合わせたのは展開のあやに過ぎないが、知った顔が無事だった事を確認出来たのは何よりである。 「状況は――どうなっている?」 だが、そう問い掛けた熾竜 ”Seraph” 伊吹(BNE004197)の表情はかなり厳しいものだった。 「此方は――厳しい情勢だ。戦いの結果、戦乙女(ゲルヒルデ)は止められた。 彼女を迂回すれば今後の被害は抑えられるものと推測出来るのは幸いだが」 「チコの所も、敵さんが滅茶苦茶強かったのだ。危ない所だったのだ」 「同上だ。此方も何とか――一矢を報いるので精一杯だった」 チコーリア・プンタレッラ(BNE004832)、不動峰 杏樹(BNE000062)が言葉に倣う。しかし、苦戦ながらにも踏み止まったのも事実であろう。チコ―リアの活躍により被害は軽減していたし、特に杏樹の起こした奇跡は直接的に多くの仲間を救う一手となっていた。彼女が「一矢報いた」と称した奮闘により――この戦場のキーマンである『ジョン・ドゥ』が退く動きを見せた事も大きい。 「アムドゥシアスも無事だったようだし」 杏樹の脳裏に念話で「乙女! 無事ですか!」と呼びかけてきた馬面が蘇った。 案外元気な所を見るに、『乙女』に頼られれば彼も或いは本望だったという事か。 杏樹の判断の中で最も優秀だったのは不死性を持つ彼を絶望の殿に残してきた事だ。 成る程、彼は死なないのだからこれ以上の適役は無い。 「――ま、強ェのは分かってるケドよ! 負けてばっかりじゃねェだろォ!」 「まおは――まおも、そう思います。きっと全体は押していると、そう思います」 コヨーテ・バッドフェロー(BNE004561)の勇壮な言葉に必死で荒苦那・まお(BNE003202)が頷いてみせた。 各地での戦闘は極めて熾烈なものとなっていたが、そう信じたい想いは強い。事実、一進一退の攻防は『負けてはいない』。 問題はアシュレイの目的が勝つ事では無く、時間を稼ぐ事である部分なのだが―― 「すずきさんも、そう思うよ。だって、皆――『素敵』な仲間達じゃない」 文珠四郎 寿々貴(BNE003936)の言葉には忌憚が無い。 「勝つよ、きっと。今回も、この先も」 赤く、軋みを上げる夜に集ったのは過去最大最強の戦力達だ。 アークのリベリスタにせよ、今夜以上に力を振るう場は無かろう。 「――だって、こんな『ステキ』な舞台には、勿体無い位」 言った寿々貴に今度ばかりは幽かな皮肉が混ざっていた。 リベリスタ達の進撃は続く――全てを終わらせるのはどちらか、『最後の審判』を果たす、その為に。 |