≪聖夜2015≫聖夜杯 五麟バトルロワイヤル!
≪聖夜2015≫聖夜杯 五麟バトルロワイヤル!


●バトルロワイヤルだ!
「聖夜杯、五麟バトルロワイヤルを開催する! ルールは簡単、最後まで残っていた奴が優勝だ!」


■シナリオ詳細
種別:イベント
難易度:楽
担当ST:八重紅友禅
■成功条件
1.戦って!
2.戦って!
3.戦い抜け!
 八重紅友禅でございます
 クリスマス? いいからバトルだ!

●バトルロワイヤルのルール
 五麟大学の地下に作られた闘技場で行なわれる模擬戦試合です。
 途中離脱や途中参加は不可。最後の一人になるまで戦います。
 このシナリオではセミオートルールと模擬戦ルールが適用されます。
・セミオートルール
 キャラクターはその場において適切なスキルとポジショニングを自動で使用します。
 そのためプレイングに細かい戦闘アルゴリズムを書く必要がありません。
 プレイングに使用したいスキル、ないしは特別に愛着のある装備を書き込むことで指向性をもたせることができます。
 また、バトルスタイルへの拘りや武器の拘りをプレイングに書くことで、乱数判定を上方補正できます。
・模擬戦ルール
 命数を使用せず、戦闘不能になったらリタイア扱いとなります。
 そのため重軽傷を負うこと無く、命数減少も起きません。

●聖夜杯特別追加ルール
 期間限定アイテム『クリスマスケーキ(4号、6号、20号)』を装備して参加すると、体力減少時にケーキの大きさに応じて体力回復が可能です。使用する際はプレイングに『クリスマスケーキ(○号)使用』と括弧つきで書いてください。
 ※記入が無いと使いそびれることがあります。
 ※発動は一人一回までです。

●優勝賞品
 今大会の優勝者には特別にサンタさんから専用武器をプレゼントします。
 EXプレイングにベースアイテム、名前(希望があれば)、設定(希望があれば)を書き込んでください。それがサンタさんへの手紙となります。
 希望がない場合は真っ赤なスーツのサンタさんが自分で考えて作りますので、『おまかせ』と書いて頂いても結構です。

●その他補足事項
・チームを組みたいPCがいる場合はフルネームとIDを『ユアワ・ナビ子(nCL2000122)』のようにプレイング冒頭に記入してください。記入がないとはぐれるおそれがあります。
・裏方や観客の枠はありません。そういった場合は白紙扱いになるおそれがあります。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:1枚
(0モルげっと♪)
相談日数
10日
参加費
50LP
参加人数
49/100
公開日
2015年12月27日

■メイン参加者 49人■

『希望を照らす灯』
七海 灯(CL2000579)
『使命を持った少年』
御白 小唄(CL2001173)
『独善者』
月歌 浅葱(CL2000915)
『突撃巫女』
神室・祇澄(CL2000017)
『かわいいは無敵』
小石・ころん(CL2000993)
『デアデビル』
天城 聖(CL2001170)
『雷麒麟』
天明 両慈(CL2000603)
『風に舞う花』
風織 紡(CL2000764)
『ママは小学六年生(仮)』
迷家・唯音(CL2001093)
『天を翔ぶ雷霆の龍』
成瀬 翔(CL2000063)
『正義のヒーロー』
天楼院・聖華(CL2000348)
『アフェッツオーソは触れられない』
御巫・夜一(CL2000867)
『偽弱者(はすらー)』
橡・槐(CL2000732)
『凡庸な男』
成瀬 基(CL2001216)
『可愛いものが好き』
真庭 冬月(CL2000134)
『花守人』
三島 柾(CL2001148)
『ハルモニアの幻想旗衛』
守衛野 鈴鳴(CL2000222)
『アグニフィスト』
陽渡・守夜(CL2000528)
『影を断つ刃』
御影・きせき(CL2001110)
『Максимум』
巻島・務(CL2000929)
『ブラッドオレンジ』
渡慶次・駆(CL2000350)
『菊花羅刹』
九鬼 菊(CL2000999)
『想い重ねて』
蘇我島 燐花(CL2000695)
『ホワイトガーベラ』
明石 ミュエル(CL2000172)
『月々紅花』
環 大和(CL2000477)
『桔梗を背負わず』
明智 之光(CL2000542)
『感情探究の道化師』
葛野 泰葉(CL2001242)
『『恋路の守護者』』
リーネ・ブルツェンスカ(CL2000862)
『見守り続ける者』
魂行 輪廻(CL2000534)
『瞑目の剣士』
真堂・アキラ(CL2001268)

●バトルロワイヤル序盤『運命の100秒間』
 天城 聖(CL2001170)はF.i.V.Eに所属うる覚者の数を正確に把握したことは無い。正規所属一時所属非所属仮所属待遇などなど全て合わせればどれだけの数になるか、恐らく誰も把握していないだろう。
 とはいえ。
「これだけそろうと壮観だねー、セーゴ」
 どこからともなく雷を纏った杖を取り出し、水蓮寺 静護(CL2000471)と背中合わせに立った。
 全員が全員の敵となるバトルロワイヤル制において、タッグチームはそれだけで驚異。戦力的に有利になる反面、狙われやすいという欠点も抱えている。本当の優位性を発揮できるのは多くの参加者が脱落して一旦安定する頃。つまり開始100秒ごろとなる。それまで頼りに出来るのは、やはり運だ。
 陽渡・守夜(CL2000528)の火炎弾を刀で弾き、静護は周囲を注視した。
 守夜を含めて六人にターゲッティングされている。
「どこを見ている。見ろ、この筋肉を!」
 静護のブロックを越えて突っ込んでくる巻島・務(CL2000929)。聖は杖でガードするが、務のショルダータックルによって激しく吹き飛ばされた。
「ヒャッハー! 大人も子供も関係ねえや、俺の熱くて! 硬くて! クソでかいブツをぶっ込んでやんよぉ!」
 空中の聖に機関銃の射撃を加える藤倉 隆明(CL2001245)。
 弾幕をまるごとあびることになったが、痛覚をキャンセルしてぎらりと笑う聖。
「聖!」
 振り向きざまに水気の斬撃を飛ばし、隆明をはねのける静護。
 聖へ駆け寄ろうとするが、間に渡慶次・駆(CL2000350)が瞬間移動のごとき速さで割り込んだ。
 儀礼具のような剣を水平に構え、文字通りの仁王立ちである。
「おっと、遊ばせてもらうぜぃ!」
 下段回し蹴りからの流れるような斬撃。
 静護は足をとられ、斬撃を浴びせられる。反撃のために刀を繰り出すが、御巫・夜一(CL2000867)が割り込んでナイフで強制ガード。
 もう一本のナイフを懐のホルダーから抜き、静護の脇腹に突き刺した。
「余所見は厳禁……と言いたいが、これじゃあどこを見ても『余所見』だな」
「くう!」
 歯を食いしばり、夜一の腕を掴んで回転。ねじり落とすように体勢を破壊する。
 うつぶせ姿勢から転がりながら水礫を乱射。駆をはねのけると、素早くスタート姿勢に入って聖へと駆けた。
「聖! 撃て!」
「いわれなくてもー、っと!」
 ごろごろと転がった聖は杖を握りしめて雷撃を発射。周囲の務たちを一斉に薙ぎ払った。
「ぐふっ……!」
 どさりと膝を突く白枝 遥(CL2000500)。
「よく、僕を倒したね……」
「いやお前にはまだ攻撃してないが」
「けれど僕は、四天王の中でも最弱……」
「最低でも四十人以上いるが」
「言ってみたかった、だけ」
 遥はそこまで言うと、地面に『ぼくメディック』とダイイングメッセージ(?)を残して倒れた。
 一方の聖たちは追撃を警戒して急いでその場から離脱していた。そうなってくると誰に向けたメッセージなんだこれはという有様だが、ちゃんと見ていた人はいる。
「死亡確認!」
 明智 之光(CL2000542)が手首をとってそう言った。
「おっと、そこまでですよ」
 柳 燐花(CL2000695)がクナイを構えて之光の前に立ち塞がった。
 刀を抜いて背後に立つ一色・満月(CL2000044)。
「そうだ。その者は死んでない」
「そういうことを言いたいんじゃありません」
「なんだ? この審判さんに一体どんな不義があるんだ」
「審判とか居ませんよ、この競技」
 帽子を脱いで刀を抜く之光。
「フ、バレましたか」
「むしろなぜバレないと?」
「不肖ながらこの明智之光……」
 眼鏡をぎらりと光らせ、堂に入った構えをとった。
「実力に自信はございませグハァ!?」
「オラアアアアアアアアアアアア!」
 目をギラギラ光らせた満月のフルスイング大袈裟斬りが炸裂。之光は血を吐いてぶっ倒れた。
 思わず手を翳す燐花。
「せっ、せめて最後まで言わせてあげ――」
「俺がいつまでも老成した顔で穏やかに笑っていると思うなオラァ!」
 プライベートで何か嫌なことでもあったんだろうか。
 満月は修羅の顔で暴れていた。本能寺に火つけたら自分まで火にまかれてた明智光秀みたいな顔(見たこと無いけど)でされるがままの之光。
 そこへ。
「そこまでだー」
「グハァ!?」
 スピンドロップキックが炸裂。満月は吹き飛んだ。
「誰だ!」
「魂めっちゃ減らすマンだよ」
「誰だよ!」
「じゃぜぞなもし星からやってっきたじゃぜぞなもし星人じゃぜぞなもし!」
「誰だよ!!」
「誰でもいい、くらえっ」
 幽霊男はカトラスによる乱れ斬撃を繰り出しつつ、中距離からの射撃を織り交ぜていく。
 覚者戦闘に長けた七星剣絶対殺すマンこと満月でも流石にしのぎずらい。
 加勢に入ろうとした燐花だが、横合いから指崎 まこと(CL2000087)が突撃してきた。
 空中からの垂直突撃だが、バク転で回避する燐花。
 まことは接地寸前で翼で制動をかけ、地面を蹴ることに寄る直角カーブで燐花へ再び接近。
「ストレスがたまってるんだ。この気に発散させてもらうよ」
「っ!」
 反撃に斬撃を放つ燐花だが、まことの強引なまでのシールドバッシュおしきられてしまう。攻撃すればするほど不利になる相手だ。スピード型の燐花にとって相手が悪い。
 そして、この時点で相手の狙いを察した。
「どうやら彼ら……『十天』の集合を警戒しているようですね」

 十天の集合が何を意味するかについて述べるには、もう暫くお待ち頂きたい。
 先にお見せするべき戦闘があるのだ。
「巫女! フルスイング!」
 杖を本来の用途から大きく外れた持ち方をし、全力で叩き込む熊守・小梅(CL2000512)。
 覚醒してGurley modeになった真庭 冬月(CL2000134)はそれを跳躍で回避。空中で上下反転すると小梅めがけて全力射撃。カワイイスマイルも忘れない。
 振り抜いた勢いのまま回転して銃撃を回避する小梅。
 着地した冬月はマガジンを排出。ペンギンバッグに手を突っ込んでマガジンを取り出すと、素早く装填、からの再射撃。スマイルと横ピースも完備だ。
 対する小梅は杖を回転させて弾を打ち弾いた。
「しつこくロックオンしてくるわね!」
「タゲ外しをし続けてるの、気づいたからね」
「どうやらここまでみたいね。けどタダじゃ終わらないわ!」
 小梅は跳躍からの飛び込み前転をかけた。
「巫女マイティキック!」
「ぺんぎんフルスイング!」
 飛んできた小梅を、植物のツタでコーティングしたバッグで打ち返した。あべしとかいって吹き飛んでいく小梅。
 冬月は額をぬぐい、細く息を吐いた。

●バトルロワイヤル中盤『宿命の100秒間』
 中央で大暴れする者、端に逃げたがカチあってしまった者、チームを組んだが狙われてしまった者。そういった様々な戦いにある程度の決着がついたころ。
 そこかしこで生き残った参加者たちによる次なるバトルが始まっていた。
「リーネくん! ここで会ったのも何かの縁、共闘しないかい!」
「ヤッター! 私も心細かったのデス! 嬉しいデース!」
 葛野 泰葉(CL2001242)とリーネ・ブルツェンスカ(CL2000862)が抱き合ってキャッキャしていた。というかリーネから一方的に抱きついて振り回していたようなものだが。
「ところで両慈君は一緒じゃ無いのかい」
「ハッ、両慈! 私には両慈という人ガー! キャー!」
 顔を押さえてくねくねするリーネ。
 と、二人の脳裏に電流が走った。
 泰葉はシックスセンスで、リーネは泰葉の眼球に映った光を見て咄嗟に回避行動。
 二人のいた場所を刀による斬撃が通り抜けていく。
 振り向けばそこには鳴神 零(CL2000669)。
「うへへ、避けられちゃった。でもいいいの、もっとやるから、あたるまでやるから。だって私! 頼りにされてる!」
 仮面の裏で狂気的に目を見開く零。
 ライフルを構えるリーネ。泰葉は不思議な格闘の構えをとるが、横目でリーネに警戒を促していた。
「よくごらん、相手は二人だ」
「二人? ハッ!」
 アイアンサイトごしに目を見張るリーネ。
 零の後ろからゆっくりと歩み出たのは、天明 両慈(CL2000603)だった。
「リーネか。誰だ、その人は」
「両慈……誰デス? その人?」
 同じことを言っているのになんだろうこのテンションの差。
「まあ誰でもいい。俺は約束したからな。鳴神に優勝賞品をやって、見返りに彼女の喜ぶ顔を見ると」
「○○○○○!!(とてもじゃないけど表記できません)」
 リーネは(あの)泰葉が引くくらいの迫力で銃を乱射。
 その全てが両慈の額(とあともう一箇所)へ集中的に着弾した。
「フ、相変わらずいい射撃の腕だ」
 デコに当たってるっつーのに表情を崩さず書物を開いて術式発動。
 猛烈な雷撃を発射。その中をぐねぐねと回避しながら接近していく泰葉。
 強引に繰り出される零の斬撃をクナイで受け止め、泰葉は薄く笑った。
「ハハッ、楽しい戦いになりそうだね」
「おおっと、楽しいだけで終わって貰っちゃこまるんよ」
 鍔迫り合いする零と泰葉から重力バランスが失われる。より具体的に述べるなら、榊原 時雨(CL2000418)の放った薙刀による足払いによって二人同時に強制転倒させられたのだ。
 足払いといっても、常人なら足首がとれて無くなるような威力である。転ばなければむしろ危ない。
 時雨の頭上に飛び上がる楠瀬 ことこ(CL2000498)。
「ことこちゃん、いっきまーす!」
 シュシュに挟んでいたピックを引き抜き、ぐるんと回したギターに押し当てることこ。
「時雨ぴょん、じゃんじゃんいくよ!」
「おうおうやったれ!」
 ことこはジェフ・ベックさながらの早弾きをはじめ、音波を空圧に変えて乱射。
 一方の時雨は目にもとまらぬ連続技で零たちに攻め込んだ。
 下段上段鐺打ちを絶え間なくつなげた薙刀特有の動きである。中距離武器のコツはリーチの維持。ことこのテンション任せの牽制射撃とは相性がいいのだ。勿論押し切られなければの話だが。
「しっかしうちら……」
 半眼になる時雨。
「女子中学生がクリスマスになにやっとるんやろなあ。今頃F.i.V.Eじゅうのカップルはプレゼント交換してから『終電なくなっちゃった☆』とか言っとるんやろなあ……」
「『私がプレゼント☆』」
「言うなァ!」
 時雨はやけになって斬りかかった。

 乱戦を運良く切り抜けた参加者たちが次にあたるのは、やはり宿命の相手だろう。勿論偶然に左右される所も大きいが、限られた選択肢の中から彼らは無意識に自分に近い相手と戦うようになる。
「御狐様のっ、おとーりだい!」
 獣じみたナックルガードを装備した御白 小唄(CL2001173)が、地面をランダムにはねる雷撃をジグザグによけながら走っていた。
 右へ左へ転がるように回避した結果、途中からほぼ四足走法になっている。
「いい動きだ。相手になろう」
 進行方向上。三島 柾(CL2001148)がオーソドックスなファイティングポーズで構えた。
「へへっ、えんりょなく行くからね!」
 小唄は前転からの逆立ちジャンプをかけると、鋭い回転踵落としを繰り出した。
 柾は掲げた両腕でクロスガード。身体のバネではねのける。
 身軽に着地する小唄に高速のすり足で近づき、目にもとまらぬラッシュパンチを叩き込む。
 ガード姿勢なんて知ったことでは無いとばかりに力任せのテレフォンパンチを乱打する小唄。
「うりゃりゃー!」
「つっ!」
 顔面にくらって血を吹く柾。しかしにやりと笑ってラッシュを継続した。
 フットワークの軽いものどうし、ヒットアウンドアウェイは意味が無いと察したのだろう。二人は『足を動かしての殴り合い』に発展した。
 ある意味の隔離状態である。
 隔離状態と言えば、こちらもそうだ。
「どうぞ? そちらから」
 橘 誠二郎(CL2000665)は言った。直立姿勢。手持ちの武器は棒一本。マジシャンのような堂々としたたたずまいだが、どこからどう接近しても打ち払われるような隙のなさがあった。宮本武蔵の最終形態が『武器を捨てて両手を挙げる』であるように、いわゆる達人の戦闘姿勢である。
 対するは守衛野 鈴鳴(CL2000222)。膝を上げた力強い足踏みを続け、手に持ったカラーガード(軍旗)をたえまなくぐるぐると回している。お祭り行列の先頭を行くような、一見して隙だらけの動きだが、近づこうものなら旗と軸棒で絡め取られて中距離まで放り出される。マーシャルアーツの一形態だ。
 個の頂点が達人拳法なら、群の頂点が軍隊格闘だ。更に琉球に寄った誠二郎は和式棒術。鈴鳴は英式軍隊棒術。同じ棒術ながら対極にあることになる。
「悪いですが僕は棒術では負けませんよ。橘流杖術の妙、ご覧に入れましょう?」
「私にだって、負けられない理由があるんです!」
 あえて背中をさらすように回転しながら接近する鈴鳴。誠二郎の突きを軸棒で受け止めながら、転がるように零距離へ接近。誠二郎は棒を返して胴体を防御。顔にかかる旗にもひるむこと無く、鈴鳴の肘打ちを打ち返した。
 身体を反転。脇腹と旗ごしに後ろ突きを繰り出す。
 遮られた視界から正確に打ち込まれた突きをくらうが、鈴鳴は強く足踏みして衝撃を逃がした。
 離脱しながら強烈に振り込む。奇しくも誠二郎もさらなる反転からの打ち込みをかけていた。
 二人の間でぶつかり合う棒撃。が、二人は勢いよくその場から飛び退くことになる。
 なぜなら暴力的な魔術が二人の間を駆け抜けていったからだ。
「メリークリスマース!」
 キリエ・E・トロープス(CL2000372)による魔術である。
 なお。キリエに言わせればこれは神の奇跡であり、聖なる火であり、聖ニコラウスにならった金貨を詰めた靴下の奇跡であり、傍目に見た者に言わせれば『ブラックジャックスイング』である。
 要するに鈍器による打撃だった。
 魔術じゃねえ。
「ああ皆様! カミサマの聖誕祭にこのように集まって頂き大変嬉しくおもうところあります! みんなみいんな、主のもとへゆくのでございますです!」
「宗旨替えした覚えはないの。あとクリスマスは殉教記念日じゃないの」
 掲げた『まほうのおかし』でキリエの魔術を打ち払う小石・ころん(CL2000993)。
 魔法というより巨大なキャンディケインだったし、お菓子というより鈍器そのものである。
 まほうでもなんでもねえ。
 キャンディがとろりと溶け出し、ころんの周囲にベールのごとくコーティングされていく。
 叩き付けられた靴下がころんに直撃するが、跳ね上がったキャンディドロップが営利なトゲとなりキリエの露出した腹や腕に突き刺さっていく。
 が、キリエは目を大きく大きく見開いたまま、ころんめがけて殴打を繰り返す。
「く、くどいのっ!」
「カミサマの愛を届けるには、痛みがともなうのでございますです!」
 キャンディコートが砕け、ころんがなぎ倒される。
 地面を転がり、覚醒状態を解くころん。
「うう……ころんが倒れても、『かわいい』は不滅なの……がくっ」
「カミサマと同じですね?」
 わかりますです。キリエはそう言って、奇跡の靴下を振りかざした。

 乱戦状態となれば一対一のバトルばかりではない。こう言うときに必ず起きるのが、みつどもえ状態だ。
「めいっぱい、やりましょうか!」
 両手で幾重にも数珠を握った神室・祇澄(CL2000017)が、勢いよくダッシュパンチを繰り出した。
 拳の下を潜るように抜ける魂行 輪廻(CL2000534)。
「あらかわいい。からかいたくなっちゃうわねん♪」
 膝をとり、軸足を払うかたちで振り上げる。
 スカートの中がまるごと晒される形になるが、祇澄は思わずスカートを押さえつけて隙を晒――しかけて素早く転身。両手を地面につけ、足で輪廻を掴んで放り投げにかかる。
 輪廻も輪廻で投げを受け身で流し、両足から着地してさらなる投げを放った。
 今度は逆スカートめくりなどという小技は使わない。相手の足を掴んでフルスイングでぶん投げる力業である。
「オトコノコには強いけど、オンナノコにはやっぱり力業になるわねん」
 胸元をつまんで上げ――ようとして、咄嗟に横っ飛びに回避。それまでいた地面に雷撃がほとばしった。
 彼女の頭上には円環を描いて御札が飛んでいる。
 環 大和(CL2000477)の御札だ。
 大和はガーターリングから新たな御札を抜くと、小さく口づけをした。
「あら、まとめて漁夫の利をと思ったけど、随分勘が鋭いのね」
「勘じゃないのよん、地獄耳♪」
 言いながら大和へ突撃。
 飛び込みからの回し蹴り。大和、バックステップ。鼻先を通過する輪廻の靴底。一斉展開する御札。
 雷撃によって輪廻をはじき飛ばすが、直後に横合いから祇澄のエルボータックルが炸裂した。
 ただの肘打ちではない。握った数珠によって格段に硬化した肘である。衝撃が垂直な波紋として走り、大和と輪廻をまとめて撥ね飛ばしていく。
 が、靴底ブレーキによって停止した祇澄の背中には大和の御札が張り付いていた。
 はっとして振り返る祇澄。
 口元だけで笑う大和。
 ほとばしる雷撃。

 十天について漸く語ることが出来る。
「随分数が減ってしまいましたね」
 九鬼 菊(CL2000999)は術符だらけの大鎌をかついで立っていた。
 周囲では多くの参加者が倒れ、次々にリタイアしていく。その中には十天のメンバーも多く混じっていた。
 タッグチームが目じゃないくらいの人数でチームを組んでいた菊率いる十天メンバーだが、集合を警戒した他の参加者たちからの分断をうけていた。人数が多いと分断されやすいという欠点も、どうやらあったようだ。
「これは、今後の作戦行動の参考になりそうですね。ですがこれだけ残れば充分です、仲間内でも遠慮無く、やってしまいなさい」
「うん! 最後は十天の最強を決めるんだー!」
 御影・きせき(CL2001110)がきらきらした目で菊を見ていた。
 サッカーをして遊ぶ少年の目だったが。
 相手選手でも味方選手でもなく、サッカーボールに向ける目をしていた。しかもそれを、敵味方全員に向けている。
 間違っても人間に向ける目では無い。覚醒時の彼の眼球色素の変異もそれを如実に表わしていた。
 小太刀二本を振り上げ、とびかかるきせき。
 飛びかかられたのは真堂・アキラ(CL2001268)だった。剣でうけとめるアキラ。
 ソードブレイカーの凹凸がきせきの小太刀を噛み、容赦なく眼球めがけて繰り出された二本目の小太刀を防刃のガントレットグローブで握り込む。
「おいおい子供のやることじゃねえな! こりゃ、街をブラつくよりよっぽど楽しめそうじゃねえか!」
 膝蹴りできせきをはじき飛ばすと、今度は菊が隙を突くように切り込んでくる。
 ガントレットの甲で受けるが、力任せになぎ倒される。
「やべっ!」
 転がって膝立ち姿勢に移行。しかしその腕にぐるぐると鞭が巻き付いた。
 鞭と言うより組紐のような質感だったが、よくしなって尚且つ硬い。蛇のように絡みついて離れない。
「つーかまえた」
 ジル・シフォン(CL2001234)が首を傾げ、鞭を引いた。きせきたちにウィンクする。
「協力するわよ。彼を倒した後でまた戦いましょ」
「うん、いいよー! いっしょにやっつけようね!」
 満面の笑顔でアキラへ斬りかかるきせき――の横顔に、ジルの扇子がそっと押し当てられた。
 途端、激しい炎が奇跡を包んで吹き飛ばす。
「なんて、ごめんなさいね。ワタシの武器は鞭と度胸と――だまし討ち」
 が、そんなジルの肩に付着していたきせきの種が炸裂。
 ノックバックするジル。
 菊はゆだんなく構え、アキラとジルをそれぞれ同ラインに納め、鎌を振り込む。生まれたかまいたちが丸鋸のように飛び、ジルたちを切り裂いて飛んでいく。
「分かっていますよ。だまし討ち。卑怯卑劣も技のうち。どこからでもかかってきなさい」
 菊は片手でくいくいと手招きした。

●バトルロワイヤル終盤『革命の100秒間』
 やはりというべきか、最後まで残ったのは大型のケーキ効果を味方につけた参加者ばかりだった。もちろんそれだけのコストを払っても序盤にリタイアしてしまった者もいれば、少ないコストでもここまで残った者もいる。
 そんな彼らの最終局面。一発逆転が狙えるラストチャンスが訪れた。
「とうとうここまで来ちゃったね。こうなったらてっぺんとろーね、浅葱ちゃん!」
「当然ですよっ、ポーズでもとりましょうかっ!」
 正拳突きのポーズをとる月歌 浅葱(CL2000915)。寄り添って横ピースする迷家・唯音(CL2001093)。
「天が知る地が知る人も知る! 魔法少女と正義の味方っ!」
「無敵のコンビでみんなをめろめろにしちゃーうぞっ!」
 いっぽう。
「み、三島さん……」
「何も言わないで。無理だからね、ああいうのは」
 七海 灯(CL2000579)と三島 椿(CL2000061)は軽く気圧されていた。
 が、この手の相手に気合いで負けたら押し切られる。
 灯は鎖分銅をぐるぐると回し、防御の構えをとった。日本弓道の構えをとり、弓に架空の矢をつがえる椿。
「互いの弱点を補いあった私たちのコンビだって負けていません。ここまで残ったのがその証拠です」
「そうね。楽しく、頑張りましょう!」
 椿が水の矢を連続発射。
 唯音はマジカルステッキをくるくる回して炎の渦を発現。水の矢にぶつけていく。その中を真っ向から駆け抜ける浅葱。
「ハートに、ずどんっ!」
「正面から来るから!」
 灯は大きく飛び退きながら鎖分銅を発射。浅葱の腕に巻きつき、引っ張り合いになる。
 しかし鎖の緊張は一瞬だった。まるでゴム仕掛けのようにお互いは急速に接近し合い、互いの攻撃を叩き込み会う。
 浅葱はボディブロー。灯は加熱した鎌によるフックアタックである。
 目的は攻撃、ではなく固定だ。
 円周移動で脇をとった椿が空圧の矢を一気に三本つがえて発射。
 その全てが浅葱に突き刺さる。
 直後、マジカルステッキから激しい炎の翼をはやした唯音が椿へそれを叩き付けた。
 爆発がおき、光につつまれる四人。

 一方で別の場所では、工藤・奏空(CL2000955)と天楼院・聖華(CL2000348)のタッグチームが別のタッグチームと戦っていた。
「奏空にぃ併せて!」
「任せろ!」
 聖華の斬撃が成瀬 基(CL2001216)に浴びせられ、その隙間を埋めるように跳躍した奏空が逆手に握ったクナイを繰り出す。
 パズルのように隙間を埋め合う二人のコンビネーションに基は防戦一方だ。
「叔父さん、大丈夫か!」
 成瀬 翔(CL2000063)陰陽服の裾から滑らせるようにスマートホンを露出させ、握り込んだ。
 あらゆる電波の殺されたこの日本においてスマートホンほど使いづらいアイテムもないが、彼にとってこれは機能の多い携帯電話ではない。
 アプリを起動。親指で素早く画面をなぞり、陰陽陣をクイック形成。奏空たちめがけて召雷の術を放った。
 咄嗟に飛び退く奏空たち。
「奏空にぃ!」
「大丈夫だ、タイミングさえ読めれば避けられる。この勝負、貰ったぜ!」
 キリッと構える奏空。
 一方で基は眼鏡を指で押し、瞑目した。
「仕方ありませんね」
「降参か!?」
「問題です。鎌倉幕府が成立した年は?」
「いっ、イイハコ(1185)つくろ――」
「1185年ですがそうなる前まで教科書で提唱されていた年号はいくつでしょうか」
「ぬわあああああああああああああ!」
「奏空にぃいいいいいいいい!」
 勇者の断末魔みたいな声をあげて頭をわしゃわしゃする奏空。
「トカゲとヤモリ、両生類はどっち?」
「ぐあわあああああああああああ!」
 耳を押さえて頭をふる奏空だが、同時に送心もされているので逃れようがなかった。
 送心はキャンセル(着信拒否)しようと思えばできるっていう説があるが、今はそれどころじゃねえ。
 基は戦闘行為をおろそかにしてまで送心でのささやき戦術に集中しているのだ。そう簡単に逃れられては困る。
「せっ」
 翔、召雷ボタンをタップ。
 デジタル陰陽術が発動し、夏休み最終日に宿題かたづける人みたいなテンションの奏空に直撃させた。
「ぎゃふん」
 頭からぷすぷす煙だして倒れる奏空。
「せ、聖華ちゃん……せめてきみだけでも……ケーキは君にあげるから」
「ごめん奏空にぃ! そんなに食べられねえ!」
「ぐふっ」
「奏空にいいいいいいいいいいいい!」

 さて。
 乱戦も乱戦。あらゆる所でバトルが繰り広げられ、漁夫の利を狙う者やスルーを狙う者までもがラストチャンスを狙いそこねて倒れる中。
「こ……今回は、負けねえ……!」
 ぜーぜー肩で息をして、鹿ノ島・遥(CL2000227)が立ち上がった。周囲にはリタイアした参加者たちが次々と離脱し、遥はと言えば擦り傷に切り傷にアザだらけの顔だった。片目も負傷によって瞑っている。しかし闘志は衰えてないようで、腕からはばちばちとスパークが走っていた。
 彼も十天のメンバーだが、菊を中心として一度は集合した彼らは集中攻撃を受けて再び分散。そこかしこで交戦状態に陥り、多くはリタイアしてしまっている。
 遥もそうして交戦状態に入った一人だ。相手は……。
「まだ行けますよ。さあ、お願いします!」
 納屋 タヱ子(CL2000019)。
 巨大な革盾を両腕に装備し、防御姿勢をとっている。
 ボクシングのスパーリング相手のようなフォームだが、今の彼女の盾はパンチどころか大砲だって耐えてみせるだろう。
「やりにくい相手が残っちまったなあ」
 口元の血をぬぐって笑う遥。それこそスパーリングである。
 苦手な理由はそれだけではない。
「試合に勝って、お養父さんとお養母さんに商品券をプレゼントするんです。きっと、喜んでくれるはずです……」
「ぐうっ!」
 胸を押さえる遥。
 快活喧嘩野郎の遥にとって、健気な少女は天敵だった。
 重たい正義とかには疎いぶん、こういう身近な善意に弱いともいう。
「いやだめだ! 今回は勝つって決めたんだからな!」
 術式の籠もった白布をもう一度拳にまき直し、正拳突きの構えをとった。
「いくぜ!」
「はい!」
 タヱ子、重防御姿勢。
 遥、全力正拳突き。
 威力たるや凄まじく、タヱ子は思い切り吹き飛ばされて会場フェンスに激突した。
 ノックダウン寸前のところでこらえ、まなじりを上げるタヱ子。
 会場の壁を蹴って遥へシールドバッシュを仕掛けた。
 正面からぶつかる遥。
 と、そこへ。
「ごめん、ね……」
 二人の足首に植物のつるが巻き付き、転倒させた。
 頭と頭をごっつんさせる二人。
 何事かと振り向くと、タイヤシューズをアイススケートのように走らせた明石 ミュエル(CL2000172)が突っ込んでくる所だった。
 ノートを開いてチラ見するミュエル。
「ここから……えいっ!」
 無数の種子を通りすがりに放っていく。
 追いかけようとした遥たちに急成長したツタがからみつき、更に転倒。
「うおおお負けるかー!」
 ツタを千切って立ち上がる遥。
 すると、ターンしてきたミュエルが槍によるチャージアタックを仕掛けてくる所だった。
 槍を手のひらで受ける遥。
 裏拳をミュエルに叩き込み、薙ぎ払う。
 そんな遥を背後からのシールドバッシュで撥ね飛ばすタヱ子。
 遥は空中で、ミュエルは倒れながら、タヱ子は走りながら追撃を繰りだそう――として、身体がブレた。
 正確には脳がショックを受け、感覚器官が一時的に狂ったのだ。
 身体が思うように動かなくなり、意識が思うようにつながらなくなる。
 衝動的に振り返ると。
「むくり」
 橡・槐(CL2000732)が仰向け姿勢から起き上がってきた。
 全身血まみれ泥まみれで死んでないほうがおかしい状態だったが。
「死んだフリは得意なんですよ」
 顔に突いた血糊をぬぐって捨て、ゆっくりと浮かび上がる槐。
 とはいえ浮いたままでは戦えないので、裸足で地面に降り立った。
「へいへい、みつどもえなんでしてんじゃねーですよ。かかってこい」
「――!」
 タヱ子とはまた違う、シンバルパンチのようなシールドバッシュでタヱ子を殴り倒した。挑発しておいて先に殴るあたりが槐らしいところだった。
 振り向きざまにナイフを投擲し、ミュエルの胸に直撃させる。背後から殴りかかろうとした遥には後ろ出に回した盾でガード。と共に電気ショックを放った。
 びくんとけいれんして倒れる遥。
「ふう」
 槐はため息をついて腰を下ろした。
 そうした時には既に車いすが出現していて、槐をしっかりと支えた。
 顎肘をついて背にもたれる。
「これで全員かな? そういえば十天がどうとか言ってたけど、一人しかいなかったような……?」
「一人じゃねーですよ」
 じゃり、と裸足で何かを踏む音がした。
 車いすのまま振り返る槐。
 後ろに立っていた存在を、一言で表わすのは難しい。
 鉄仮面。
 裸足。
 白いワンピース。
 歴史上こんなコスチュームの人間がいれば普通の生き方はできないものだが、彼女は……風織 紡(CL2000764)はまるで当たり前のように、今こうして立っている。覚醒後の状態だからというのもあるがそれにしたって、である。
「おっと、やめてください。この通り足が不自由なんです」
「うるせーですよ。陸上選手かってくらい走ってたじゃねーですか」
「見られちゃしかたねーですね」
「しょーがねーですよ」
 ぬらりとナイフを抜く紡。
 人を殺す構えでナイフを握り、槐へまっすぐに突っ込んだ。
 槐は車いす片輪を急速に回し、車体ごと傾けてスピン。紡の突きを回避すると、虚空から取り出した円形シールドを投擲した。
 振り向きざまに剣を振り込み、シールドを弾く紡。
 一方で槐は車体を高速でバックさせる。距離をとりながら空圧弾を乱射。
 紡はナイフを振り回して空圧弾を切り裂いていく。
「殺しはしねーですよ。ちょっと首筋に蹴りを入れるだけにしてやりますから、大人しく首を差し出しやがってくださいよ」
「よくぞ言ってくれました。とか言って差し出すわけねーでしょーが!」
 槐は足に力を込めて素早く跳躍。車いすから緊急離脱した。
 高速で突っ込んできた紡によって真っ二つになる車いすの背もたれ。
 空中の槐へ向けてナイフを投擲。対する槐は回転しながら戻ってきたシールドでそれを防御。
 殺しきれなかった衝撃を逃がそうと身体全体で回転しつつ着地。裸足で闘技場の地面を削る。
 そこへ予告通りの蹴りを繰り出す紡。だが、『首にちょっと当てるだけ』の蹴りではない。常人の首が飛んで無くなるのではないかという程の強烈な回し蹴りだった。
 シールドでそれを防御――しようとして狙いが鈍る。肘関節にナイフが押し当てられていた。
 引く動作で動脈ラインをぱっくり開かれる。
 反撃が必要だ。槐は盾の裏から抜いたナイフを繰り出した。
 紡の胸に一文字が刻まれる。吹き出す血。吹き出す血。吹き上がる血。
「悪いけど、そちらさんにとって私は天敵みたいなモンですよ。防御も硬い、搦め手もうまい」
「……」
 紡が二歩三歩と後じさりした。身体の軸がブレてぐらつく。
 急速な眠気が彼女を襲っているのだ。槐はこれまで無駄口を叩いていたわけでは無い。空気を操作して紡の精神を侵食していたのだ。
「おまけにタフ。根気比べをしたなら、勝つのはこっちなんですよ」
「……でしょーね」
 紡は血の混じったつばを吐き捨て、ナイフを逆手に握った。
 剣を放り投げ、捨てる。
「でもひとつ」
 指を立て、紡は言った。
「あたしに血を見せたのは、良くなかったんじゃねーですかねェ」
「は?」
 首を傾げる槐。
 その刹那、紡は身体を回転させ、遠心力と腕のバネをのせてナイフを投擲した。
 傾げて露わになった槐の白い首筋に深々と刺さる。
 目を見開く槐。
 口を開くも何も言うこと無く、仰向けに倒れた。
 死んだフリではない。むろん死んでもいないが。
 血の広がった地面を裸足で歩いて行き、ナイフを引き抜く紡。
 そして、仮面を脱ぎ、天井を見上げ。
「ちょっと頭に、血ぃのぼりす……ぎ……」
 胸とこめかみから血を吹き出し、紡はぶっ倒れた。
 優勝者決定の、瞬間である。

 以上。参加者49名。
 2015年クリスマス杯・バトルロワイヤルは終了した。
 優勝者の名は、風織紡。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし



■あとがき■

『≪聖夜2015≫聖夜杯 五麟バトルロワイヤル!』優勝商品
取得キャラクター(ID):風織 紡(CL2000764)
取得アイテム名:RED RUM
取得アイテム種別:ナイフ




 
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