過去ログ

[2019/04/30]

「見事見事! あの混迷を極めた戦いを制したのはイ・ラプセルでしたか。実に爽快!
 これでヴィスマルク一強と思われた勢力図に波紋を産んでくれましたな」
 パノプティコン王都『地域1155』。その最奥ともいえる場所で、この国で唯一大陸区共通語を話すことを許可された男が笑うように頷いていた。
『ソ・ラ・ニ・ミ・ソ・ニ・シ・イ・ミ・ソ・イ! <イ・ラプセル> ソ・チ・ミ・ミ・ラ・カ・テ・ニ・ミ・チ・キ・チ・ニ・ミ!』
 その言葉に怒るように最奥に存在する神、アイドーネウスが胎動する。髑髏の形をしたその神が語る言葉は、人の理解を超えている。しかしそれを理解できるかのように男は頷いた。
「確かに。純粋な戦力でいえばイ・ラプセルはヴィスマルクとヘルメリアを出し抜くことはまず不可能。如何なる戦術眼があれば斯様な結果を導き出せるのか。興味がありますな。
 新生エドワード王の采配か、あるいは自由騎士と呼ばれるオラクル軍の働きか。いやはや、興味が尽きませぬ。一度お話がしたくありますな」
『<ヴィスマルク><ヘルメリア><イ・ラプセル>ノ・ニ・リ・リ・カ・ク・イ・モ・チ・リ・リ!』
「ええ、勿論ですとも。彼らは二年後の『虚』を知らない。このまま争っているうちに時間切れ。滅びを避けるために我らに首を垂れるしかないのです。『神の命を差し出せば、滅びから免れる事が出来る』……そう言えば彼らも喜んでアイドーネウス様に恭順するでしょう。我らが国民にならぬのなら、そのまま滅べばいい。
 滅びを避ける為に、今は『不死者』と『祈祷師』をより多く捕らえなくてはいけません。可能であれば水晶の神の技術も」
 王族1687は窓を開け、パノプティコンの国土を見る。いくつもの塔と、荒涼とした大地。国民の全ては塔の中で生活し、外敵から保護されている。
 しかし裏を返せばそれだけだ。この国は徹底管理された国民が住む塔の群れであり、その外に居る者は国民ではない。パノプティコンの軍隊はそういった者達を積極的に狩り続けていた。
『キ・ラ・シ・ソ・ラ・リ・リ・イ・ソ・カ・ニ・ラ・ミ・ニ・ト――』
「はい。蟲毒と謳った神の力の取り合いは前座。分かっておりますともアイドーネウス様、その為のアイドーネウス様の権能、その為のデウスギア『国民管理機構』。
 この二つある限り、最後に勝利するのはパノプティコンなのです!」
 鷹揚に叫ぶ王族1687。
 管理のみが存在する国の頂点は、はるか未来を見ていた。


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