都会の死角と言うか、区画整理の失敗部分と言うか……
土地の隆起と自然物の配置の妙が作ったその地域は、知らぬ者であれば存在に気づかぬまま通り過ぎてしまう程度には目立たぬ環境であり、結果番地すら振られなかったある種の穴場。
更に目立たぬを幸い集まった不法投棄物の山が、その隠れ里っぷりに磨きをかけ……

やがて集まる、はみ出者に変人に脛に傷持つ者にボッチにマイペースマンに何か変なのｅｔｃ．．


かくて出来上がったはイリーガルコミューン。誰が呼んだかがらくた番外地。
色んな人が住んだり出てったり勝手に店をしたり畳んだり片づけたり散らかしたり。
何が何だか誰がどれだかソレがアレだか分からんが、取り敢えず無闇と賑やか。

入り口にある診療所の主はどうしてこうなったと途方に暮れてこう呟く。

「ま、いっか」

良いんかい。



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