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ブラックアゲートと仮面の少女

●
「~~~♪」
峠を1人歩く少女。アマノホカリから姉を追ってやってきたこの少女は、イ・ラプセルでの洗礼を受けず、観光客という立場で街街を見て回っている。
「あら、こんなところに……」
少女が拾ったのは綺麗な宝石が埋め込まれた仮面。
誰かの落し物かしら……そう思い仮面を手に取り裏返した時、心臓がドクンと大きく鳴った。
『つけろ~~つけろ~~仮面をつけろ~~』
どこからとも無く怪しげな声が聞こえてくる。この仮面は……いけない。早く手放さなければ。
しかしその言葉とは裏腹に少女の手は仮面に添えられ、ゆっくりとその仮面は少女の顔へ近づいてゆく。──抗えない……っ。
「いやぁぁぁぁぁっぁああああああああーーーーー!!!」
少女の叫び声が夜の峠に木霊した。
●
「なぁ、お前あの噂を聞いたか」
「ああ、峠に仮面をつけたアマノホカリ風の衣装を着た少女が現れるって話だろ。しかも魔物をつれて」
「ああ、結構被害が出てるらしい」
「その峠は隣町との行き来で使うからなぁ……自分が通るときに出ない事を祈るしかなねぇな」
「そうなんだが……実はな」
男は指をちょいちょいと動かし耳を貸せというポーズをとる。
「……すっごいナイスバディらしいぞ。襲ってるときもすごいらしい。ぷるんぷるんのぼいんぼいんらしいぞ。それにみとれて戦えないヤツもいたって話だ」
「えっ。マジで!!!」
酒場での一幕。峠に現れるという謎の仮面の少女の噂話。その話に割って入ったのは『君のハートを撃ち抜くぜ』ヨアヒム・マイヤー(nCL3000006)。
確実に6セリフ目のキーワードに反応したであろうヨアヒムが突然耳元での会話に入ってきた事に戸惑いながらも、ヨアヒムにも詳細を話す男達。
「……これはちょっと放っておけない案件じゃない?」
ヨアヒムは飲んでいたエールのお代を机に置くと酒場を飛び出す。
どこに行く? 決まってる! そう、自由騎士達の詰め所だ。
こうして目を輝かせながら、詰め所で「一大事だ!」と触れ回るヨアヒムの話を聞くことになってしまった自由騎士の面々。
さてはて降って沸いたようなこの事件。一体どのような顛末を迎えるのでしょうか。
「~~~♪」
峠を1人歩く少女。アマノホカリから姉を追ってやってきたこの少女は、イ・ラプセルでの洗礼を受けず、観光客という立場で街街を見て回っている。
「あら、こんなところに……」
少女が拾ったのは綺麗な宝石が埋め込まれた仮面。
誰かの落し物かしら……そう思い仮面を手に取り裏返した時、心臓がドクンと大きく鳴った。
『つけろ~~つけろ~~仮面をつけろ~~』
どこからとも無く怪しげな声が聞こえてくる。この仮面は……いけない。早く手放さなければ。
しかしその言葉とは裏腹に少女の手は仮面に添えられ、ゆっくりとその仮面は少女の顔へ近づいてゆく。──抗えない……っ。
「いやぁぁぁぁぁっぁああああああああーーーーー!!!」
少女の叫び声が夜の峠に木霊した。
●
「なぁ、お前あの噂を聞いたか」
「ああ、峠に仮面をつけたアマノホカリ風の衣装を着た少女が現れるって話だろ。しかも魔物をつれて」
「ああ、結構被害が出てるらしい」
「その峠は隣町との行き来で使うからなぁ……自分が通るときに出ない事を祈るしかなねぇな」
「そうなんだが……実はな」
男は指をちょいちょいと動かし耳を貸せというポーズをとる。
「……すっごいナイスバディらしいぞ。襲ってるときもすごいらしい。ぷるんぷるんのぼいんぼいんらしいぞ。それにみとれて戦えないヤツもいたって話だ」
「えっ。マジで!!!」
酒場での一幕。峠に現れるという謎の仮面の少女の噂話。その話に割って入ったのは『君のハートを撃ち抜くぜ』ヨアヒム・マイヤー(nCL3000006)。
確実に6セリフ目のキーワードに反応したであろうヨアヒムが突然耳元での会話に入ってきた事に戸惑いながらも、ヨアヒムにも詳細を話す男達。
「……これはちょっと放っておけない案件じゃない?」
ヨアヒムは飲んでいたエールのお代を机に置くと酒場を飛び出す。
どこに行く? 決まってる! そう、自由騎士達の詰め所だ。
こうして目を輝かせながら、詰め所で「一大事だ!」と触れ回るヨアヒムの話を聞くことになってしまった自由騎士の面々。
さてはて降って沸いたようなこの事件。一体どのような顛末を迎えるのでしょうか。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.仮面の少女および取り巻く魔物の討伐
2.仮面の破壊
2.仮面の破壊
麺です。アナザー全身説明スレッドをわくわくしながら見ています。
今回、カスカ・セイリュウジ(CL3000019) 2018年12月28日(金) 07:01:30さんの書き込みより、
清瀧寺 彩葉(せいりゅうじ いろは)さんをお借りしました。
オープニングにおいては謎の仮面の少女として登場しています。
(正体に付いてはもしかしたら……等で、PCの皆さんは知らない体でご参加ください)
仮面を破壊する事で彼女の呪縛は解けます。
●ロケーション
峠の一本道。夜。月明かりが照らしているのでそれなりの明るさはあります。
●登場人物&敵
・仮面の少女
アマノホカリ風の衣装を来た少女。額にブラックアゲートの宝石が埋め込まれた仮面を身につけています。言葉を発する事も無く、その動きはどこか操られているようにみえます。あとおっぱい。
種族;オニヒト。あとおっぱい。
特徴:長巻使いの重戦士。あとおっぱい。
・謎の仮面
古い道具が長き年月を経て意思を持つに至ったツクモガミという幻想種です。
その仮面をつけたものを意識を奪い、身体を自由に操る術を身につけています。
一定のダメージを与えると少女から剥がれ落ちます。
また仮面の少女は仮面以外の部分を攻撃すると少女へのダメージとなるため、注意が必要です。
・コブリンズ 30匹
少女と同じような仮面を被ったゴブリンの集団です。個体としては弱いですが、集団になると恐ろしい程の連携力を発揮する事があります。女性(♀)の匂いがするものが大好きで、とにかく奪い取り巣に持ち帰ろうとするため注意が必要です。
皆様のご参加お待ちしております。
今回、カスカ・セイリュウジ(CL3000019) 2018年12月28日(金) 07:01:30さんの書き込みより、
清瀧寺 彩葉(せいりゅうじ いろは)さんをお借りしました。
オープニングにおいては謎の仮面の少女として登場しています。
(正体に付いてはもしかしたら……等で、PCの皆さんは知らない体でご参加ください)
仮面を破壊する事で彼女の呪縛は解けます。
●ロケーション
峠の一本道。夜。月明かりが照らしているのでそれなりの明るさはあります。
●登場人物&敵
・仮面の少女
アマノホカリ風の衣装を来た少女。額にブラックアゲートの宝石が埋め込まれた仮面を身につけています。言葉を発する事も無く、その動きはどこか操られているようにみえます。あとおっぱい。
種族;オニヒト。あとおっぱい。
特徴:長巻使いの重戦士。あとおっぱい。
・謎の仮面
古い道具が長き年月を経て意思を持つに至ったツクモガミという幻想種です。
その仮面をつけたものを意識を奪い、身体を自由に操る術を身につけています。
一定のダメージを与えると少女から剥がれ落ちます。
また仮面の少女は仮面以外の部分を攻撃すると少女へのダメージとなるため、注意が必要です。
・コブリンズ 30匹
少女と同じような仮面を被ったゴブリンの集団です。個体としては弱いですが、集団になると恐ろしい程の連携力を発揮する事があります。女性(♀)の匂いがするものが大好きで、とにかく奪い取り巣に持ち帰ろうとするため注意が必要です。
皆様のご参加お待ちしております。
状態
完了
完了
報酬マテリア
6個
2個
2個
2個




参加費
100LP [予約時+50LP]
100LP [予約時+50LP]
相談日数
6日
6日
参加人数
6/6
6/6
公開日
2019年03月19日
2019年03月19日
†メイン参加者 6人†
●
「ツクモガミなんて随分と久しぶりに耳にしましたよ。それにしても仮面といえば……生き別れの兄弟姉妹がその正体、というのが演劇なんかでよくある定番ですよね」
唐突にそんな事を言い出した『天辰』カスカ・セイリュウジ(CL3000019)には予感があった。いや、予感というより確信だったのかもしれない。ヨアヒムの言葉を聞くや否や、いの一番に討伐へと名乗り出たのがカスカだった。
(峠の一本道に現れる追いはぎ? まぁ……放っておけないわね)
『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)もまた何か予感のようなものを感じながらひた走る。
「さあ、この新たな力、どこまでできるか……」
この依頼を受ける少し前、『慈愛の剣姫』アリア・セレスティ(CL3000222)は戦闘スタイルをより自身にあったものへと変える決断をした。そしてその後の初陣が今日。新しく得た力がどのように自身を更なる高みに導いてくれるのか──その期待がアリアの心を躍らせる。
そして自由騎士たちは遭遇する。峠の一本道で待ち構える仮面をつけた1人の少女と数多くのゴブリンたちの集団に──。
●
「何とも異様な光景ですね……」
夜の街道に突如現れた仮面の集団。なんだか怖いわね。その異様ないでたちにアリアが感じた感情はごく自然なものだろう。
「あらあらまぁまぁ……これはこれは奇妙な」
アリアの言葉に同意するように『歩く懺悔室』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)もその光景を見る。
「なるほど。ヨアヒムさんが言っていたのはこういう事ね……」
エルシーはヨアヒムの様子を思い出しながらひとつため息。全てに納得する。
おっぱい……。(揺れている)たしかにね……。(なおも揺れている)
「でも、年頃の女の子なら少しは慎みを持たなきゃいけないわよ」
慎みというのは主張しすぎるそれを横目にエルシーは構えた。
「ほうほう……あれが。いいおっぱいのネーチャンだよなぁ。こういう状況じゃなきゃじっくりと……コホン、何でもない」
女性陣の冷ややかな目を察知したのか、咳払いを一つしてごまかしたのは『密着王』ニコラス・モラル(CL3000453)。
……またこのおっちゃんはとんでもない称号をセットしてきたものだ。誰だこんな称号つけたの。……麺だった。麺は頭を抱えた。だがすぐにこう思った。活用されている事に胸を張ろう、と。←開き直った
一方、リュンケウスの瞳で確実にターゲットを捉え、着々と戦闘準備を整えるのはアデル・ハビッツ(CL3000496)。
自由騎士の中でも傭兵色の強い彼は多くを語らず、与えられた役目を着々とこなしていた。その実直かつ無駄のない行動の結果は、自由騎士となってまだ日は浅いにも拘らず重ねた武勲(MVP)の数が示していた。
「……本当に劇的でも何でもないしょーもないオチでしたね」
カスカはその少女の姿を見て、全て悟ったようだった。
その手にはしっかりと逢瀬切が握られている……間違いなくヤる気だ!
(とりあえず……久々にブン殴るか。相変わらずイラつかせてくれるし)
カスカのイラつきの原因はその言動なのか、それとも体型か。そこはあえて語るまい。麺だって殴られるのは避けたいのだ。痛いのはイヤなのだ。
自身が仮面の少女を相手する事をみなに告げると、一直線に仮面の少女の元へ向かう。
少女を守るように囲っているゴブリン達を二段飛びで軽々と飛び越え、カスカは少女の前に立つ。
覚悟しなさいよ──カスカの目はまるで親の敵が目の前にいるが如く鋭いものだった。
「さてと、じゃぁ仮面の嬢ちゃんの相手はカスカに任せて、おじさん達はゴブリンでも相手にするかね」
皆にそう言いうとニコラスは後ろに下がり、仲間の回復支援の準備に入る。
「な……何か嫌な予感がするので、気勢を崩します!」
アリアは開始早々双剣に蒼と白のマナを纏わせる。天羽の剣舞・宵星──アリアが新たに手にした必殺。
さながら流麗な天女の舞の如きその技はゴブリンたちの心を射止め、強制的に歩を止めさせる。
「好機!! ハァァァァーー!!」
エルシーの拳がゴブリンの中心を捕らえる。
「グギョエェェェ!!」
おぞましい声を上げてゴブリンが倒れる。その傍らにはゴブリンから剥がれ落ちた仮面。
『つけろ~つけろ~仮面をつけろ~』
何か聞こえた気がした。だがエルシーは安易に仮面に近づきはしない。それはこの依頼の話を聞いたときから感じていた妙な胸騒ぎ。エルシーのセフィラは最初から反応していたのだ。
一方アデルはゴブリンの群れに突撃してはオーバーブラストで複数のゴブリンを巻き込みなぎ払っていた。
範囲攻撃は味方との距離感が非常に重要になる。言うまでもなく巻き込んでしまう可能性があるためだ。だがアデルは最前で共に戦うエルシーやアンジェリカの動きを音で感じ、しっかりと一定の距離感を保つ。
それでも数の差は脅威だ。いつの間にか取り囲むように隊列を組むゴブリンたちは休む事無く攻撃を仕掛けてくる。無論その目的は女(メス)の匂いを求めて、だ。
エルシー、アリア、アンジェリカ。戦いにより上気し、汗ばむ彼女達が発する匂いにゴブリン達は息を荒げる。
「クケケケケケケッ!!」
エルシーが拳をめり込ませる。その瞬間、複数のゴブリンがエルシーに襲い掛かる。
攻撃する訳ではない。エルシーの全身にしがみつき、ありとあらゆる所へ腕を這い回らせる。持ち帰れる獲物を探しているのだ。
「くっ!?」
その感触に一瞬背筋を凍らせるエルシー。だが──
「……まさに今……ね。魅せてあげるわ、私の新必殺技!」
エルシーが見せたのは美しき舞。踊るようにステップを踏みながら引き剥がしたコブリンに二連の斬撃を放つ。
「ゴギャァァッ!?」
コブリンに深い傷を負わせたエルシー。熱くも優雅なる殺戮円舞。これこそがエルシーの得た新たな力であった。
「あらあら、困りました」
困り顔で周囲のコブリンを蹴散らしているのはアンジェリカ。その華奢な体つきから想像もできないほど大きな武器を振り回し、1匹ずつ確実にコブリンを屠っていた。
自らに纏わりつくゴブリン達をものともしないアンジェリカ。すでに身に着けているシスター服はぼろぼろだ。
「仮面だけ弾ければ良いのですが……器用では無いうえに如何せん武器が大きいので……申し訳ありませんが首ごと逝かせて貰いますね? コブリンズの皆様」
アンジェリカが見せた冷めた笑顔の奥には、彼女本来の直情が今にも燃え上がらんと燻っていた。
「ん~~~やっぱり本物には敵わないかぁ」
ニコラスが忍ばせていたものはとあるクッキー。殺人兵器だ。……え、ちょっとこっち来い? え、え? アーーーーーッ!!
(文章に誤りがございました。お詫びと共に訂正させていただきます)
ニコラスが忍ばせていたものはほんの少し焦げ目のついたクッキー。とある美少女が作った超絶美味しい代物だ。
これに釣られてくれれば……なおかつ巣に持ち帰って全滅してくれないかな……とか考えていたニコラスおじさんだったが、淡い期待は儚く散ってしまった。やはり女性そのものには敵わなかったようだ。
ニコラスに襲い掛かるゴブリンはおらず、ひたすら味方の回復を続けるニコラス。ちらちらとカスカと戦う仮面の少女の揺れるナニカに気をとられる程度には余裕。このおじさん本能に忠実。でもそれは男のサガだと偉い人が言ってた。
「こっちこないでー!!」
ゴブリンの攻撃に一番反応したのはアリアだった。そして反応が良いからだろうか……誰よりもゴブリンたちが群がる。
アリアは警戒を怠ってはいない。数の差は圧倒的。囲まれる事は出来るだけ避けたい。だがアリアがどう位置取りしても、その先にはゴブリンが待ち構えていた。ダンサーになったアリアの攻撃は多くのゴブリンへの攻撃を可能にしている。が、範囲外のゴブリンはアリアの攻撃後の隙を狙い、襲い掛かってくる。そしてアリアにしがみつき、その身体をまさぐり散らしていた。
「は……ぁんっ!?」
魔物に体中を弄られる感覚──肉体的ダメージ以上に精神的ダメージが大きい。
「こっの……いい加減にっ!!」
纏わりつくゴブリンにアリアが新たな踊りを披露する。双剣の軌跡を描きながら刻まれるそのリズムは大きな渦となりゴブリンたちを巻き込んでいく。
「グゴッ!?」
その場から動けなくなるゴブリンたち。
「……覚悟っ!!」
アリアの構える剣が月夜に輝く。そこから放たれた流れるような所作の剣舞はゴブリンたちの仮面を次々と破壊していく。そしてアリアの決断は大きな成果となり、誰よりも多くのゴブリンを地に伏させるのだった。
一方のアデル。ゴブリンの性質を見抜き、着実にゴブリンを仕留めていく。その行動に無駄がないのにはもう一つ理由がある。
それはその抜きん出た鋭聴力。アデルは味方の動きを音で感じると同時に、ゴブリンたちの放つ僅かな声も聞き逃してはいなかった。無論ゴブリンの言葉を理解できる訳では無い。だが、口調の強さや言葉を放つ向きとゴブリンたちの動きを注意深く観察し続けた結果、ある程度の予測を可能にしていた。
そしてその恩恵を誰よりも受けたのはカスカ。全てとまでは行かなくとも仮面の少女に加勢せんとする幾多のゴブリンをアデルは屠り続けていたのだ。
ゴブリンの返り血で鎧を染めるアデル。重厚な鎧兜の下──誰も見た事のないアデルの素顔。戦いの最中の黙々と剣を振り続けるアデルの表情は如何なるものであろうか。それは誰にもわからない。
「ひっ……ひいっっ!」
仮面の少女の悲鳴にも似た声が夜の峠に響く。
カスカと仮面の少女の大きな差。それは──あ、違います違います、見た目じゃないです。ええ。
それは反応速度。軽戦士として速度を磨いてきたカスカと仮面の少女の反応の差は、カスカの行動回数に如実に表れる。
仮面の少女の攻撃に対して、ほぼ毎回のようにカスカは2度の行動。それほどの速度差がこの2人の間にはあったのだ。
「わっ!? ちょ!?」
仮面の少女は意識は奪われているはずなのだが──あまりに一方的な状況に何かが崩れようとしている……のだろうか。
その様子にカスカは更に攻撃を強める。
(なんだその反応? ちょっとは見せ場が欲しい? うるせぇよ! そのまま死ね!!)
カスカの攻撃は止まらない。簡潔に説明するとこうだ。
仮面の少女の攻撃⇒カスカ殴る⇒カスカ殴る⇒仮面の少女ピヨる⇒カスカ殴る⇒カスカ仮面の少女の乳にビンタ⇒最初に戻る。
仮面の少女にとってはまさに生き地獄である。
ピシッ。繰り返される攻撃の中で少女の仮面にひびが入る。
「もういい加減殴るのも疲れました。そろそろ終わりにしますかね」
カスカが低く体勢を落とし、刀を鞘へ納める。そして──
「天理真剣流・風之衝!!」
カスカの放った刀撃は幾多に重ねられ少女の仮面を打ち砕いた。
「全く、世話の焼ける……」
砕けた仮面と気絶した少女を見下ろすカスカ。その顔は……紛れもなく妹を気遣う姉の顔だった。
「おーい。そっちも終わったかー?」
ニコラスだ。ゴブリンズを相手していた面々もその多くのゴブリンを撃破。一部には逃げられたものの十分な成果であった。
「ふぅ。それにしても嫌な相手だったわ」
エルシーはゴブリンにしがみつかれた時の感触を思い出して身震いをする。アリアもまた同じだ。体中をさまぐられた感触は肉体的ダメージ以上にアリアの記憶に残るのであろう。
「あらあら……服が……」
困った顔をしているのはアンジェリカだ。エルシーやアリアのように振り払う事よりも目の前の敵に対する攻撃を優先した彼女の服はゴブリンのツメでぼろぼろになっていた。少しセクシーさの増したその姿に男子諸君は眼を背ける。
「まぁ……とにかくこれでこの依頼は完了、と。みんなお疲れさんっ」
ニコラスが笑いながらいう。
「ああ、終わった。あとは少女の意識が戻るのを待つとしよう」
アデルが少女に目を向ける。カスカの容赦ない怒涛の攻撃に少し肝を冷やしたのは事実。だがその実しっかりと仮面だけが狙われていたようだ。
もしゴブリン達の対処が先に終わり、カスカが苦戦しているようであれば、アデルは少女に突撃しその身もろともカスカに攻撃させる覚悟であった。だがその覚悟は杞憂に終わる。それは悪いことではない。
アデルは改めて少女に目立った外傷が無い事を確認し、胸をなでおろす。そしてアデルは1人思う。また今回も生き残ったのだと。
●
戦いを終え、討伐したゴブリン達へ祈りを捧げているアンジェリカ。
その横では仮面を砕かれた衝撃で気を失った少女。その傍らには少し不機嫌そうなカスカがいた。
「こいつの名前は清瀧寺 彩葉(せいりゅうじ いろは)。何の因果か、誰の嫌がらせかは知りませんが私の実妹です」
カスカは改めて、皆に気絶している少女の素性を明かす。
「えっ!? 姉妹!?」
驚きの声を上げたのはアリア。目を丸くしながらも思わず2人の様々な部分を見比べる。
「ど……(っちが姉?)」
「ど?」
カスカの少し怖い笑顔。黙り込むアリア。その場にえも知れぬ緊張感が漂う。
「ふぁっ!?」
すると絶妙のタイミングで気絶していた少女が目を覚ます。
「うー……頭がガンガンします……」
「はあ? 頭痛いって?」
どこがとばかりに更に頭を小突くカスカ。
「ふわっ!? あ、姉上!? い、痛いです……くすん」
涙目の妹(巨乳)と不機嫌な姉(貧乳)。
「姉上、痛いです……くすん。じゃないっ!! 頭の中身全部その乳に行ってるんだから少々叩かれた程度で問題ないだろ! ……つーか無駄に乳揺らすな目障りだから!」
この姉妹はいつもこんな調子なのだろうか──皆がそう思いながら見守っていたところに、あのおじさんが音もなく忍び寄る。
「はいはいはい。2人とも回復するよ~」
なぜかもみ手で近寄ってきたニコラス。2人を心配する言葉を発しながらもその視線は一点に注がれている。
その視線に気付いたカスカの顔がなんだか怖い。
「え、視線が乳にいってる? 気のせい! 気のせいデス!」
その後、刀を抜きかけたカスカをエルシーとアリアがなんとか諌め、ニコラスはなぜか目隠しをされた状態で回復をするという世にも奇妙な状態が続いたという。
「そうだったのですね……皆様には大変ご迷惑をお掛けいたしました」
自由騎士によって事の経緯を説明された彩葉は、深々と頭を下げた。そして頭を下げればぷるんと揺れる。
それがまたカスカには癪に障ったのか、刀の柄でべちんとソレを叩くと一言。
「アリアとエルシーは許すけど……お前だけは許さんからな!」
突然名が出たエルシーとアリアはびくりと身体を震わせ、それとなく胸を隠す素振り。
(麺です……私は貴方の心に直接語りかけています……大丈夫ですよ……カスカさん……思い出してみてください……あの時の事を……そう、あの時感じた自らの重みを……あの愉悦に浸った素晴らしき時間を……。ま、そうじゃなくてもニッチな需要がきっとありますって。胸を張って生きていこうぜ!)
「ほっとけーーーーー!!」
そこには月夜の晩、空に向かって叫びながら刀を振りまわす1人の少女の姿。
これが新たな噂にならない事を皆、祈っていた。
「ツクモガミなんて随分と久しぶりに耳にしましたよ。それにしても仮面といえば……生き別れの兄弟姉妹がその正体、というのが演劇なんかでよくある定番ですよね」
唐突にそんな事を言い出した『天辰』カスカ・セイリュウジ(CL3000019)には予感があった。いや、予感というより確信だったのかもしれない。ヨアヒムの言葉を聞くや否や、いの一番に討伐へと名乗り出たのがカスカだった。
(峠の一本道に現れる追いはぎ? まぁ……放っておけないわね)
『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)もまた何か予感のようなものを感じながらひた走る。
「さあ、この新たな力、どこまでできるか……」
この依頼を受ける少し前、『慈愛の剣姫』アリア・セレスティ(CL3000222)は戦闘スタイルをより自身にあったものへと変える決断をした。そしてその後の初陣が今日。新しく得た力がどのように自身を更なる高みに導いてくれるのか──その期待がアリアの心を躍らせる。
そして自由騎士たちは遭遇する。峠の一本道で待ち構える仮面をつけた1人の少女と数多くのゴブリンたちの集団に──。
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「何とも異様な光景ですね……」
夜の街道に突如現れた仮面の集団。なんだか怖いわね。その異様ないでたちにアリアが感じた感情はごく自然なものだろう。
「あらあらまぁまぁ……これはこれは奇妙な」
アリアの言葉に同意するように『歩く懺悔室』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)もその光景を見る。
「なるほど。ヨアヒムさんが言っていたのはこういう事ね……」
エルシーはヨアヒムの様子を思い出しながらひとつため息。全てに納得する。
おっぱい……。(揺れている)たしかにね……。(なおも揺れている)
「でも、年頃の女の子なら少しは慎みを持たなきゃいけないわよ」
慎みというのは主張しすぎるそれを横目にエルシーは構えた。
「ほうほう……あれが。いいおっぱいのネーチャンだよなぁ。こういう状況じゃなきゃじっくりと……コホン、何でもない」
女性陣の冷ややかな目を察知したのか、咳払いを一つしてごまかしたのは『密着王』ニコラス・モラル(CL3000453)。
……またこのおっちゃんはとんでもない称号をセットしてきたものだ。誰だこんな称号つけたの。……麺だった。麺は頭を抱えた。だがすぐにこう思った。活用されている事に胸を張ろう、と。←開き直った
一方、リュンケウスの瞳で確実にターゲットを捉え、着々と戦闘準備を整えるのはアデル・ハビッツ(CL3000496)。
自由騎士の中でも傭兵色の強い彼は多くを語らず、与えられた役目を着々とこなしていた。その実直かつ無駄のない行動の結果は、自由騎士となってまだ日は浅いにも拘らず重ねた武勲(MVP)の数が示していた。
「……本当に劇的でも何でもないしょーもないオチでしたね」
カスカはその少女の姿を見て、全て悟ったようだった。
その手にはしっかりと逢瀬切が握られている……間違いなくヤる気だ!
(とりあえず……久々にブン殴るか。相変わらずイラつかせてくれるし)
カスカのイラつきの原因はその言動なのか、それとも体型か。そこはあえて語るまい。麺だって殴られるのは避けたいのだ。痛いのはイヤなのだ。
自身が仮面の少女を相手する事をみなに告げると、一直線に仮面の少女の元へ向かう。
少女を守るように囲っているゴブリン達を二段飛びで軽々と飛び越え、カスカは少女の前に立つ。
覚悟しなさいよ──カスカの目はまるで親の敵が目の前にいるが如く鋭いものだった。
「さてと、じゃぁ仮面の嬢ちゃんの相手はカスカに任せて、おじさん達はゴブリンでも相手にするかね」
皆にそう言いうとニコラスは後ろに下がり、仲間の回復支援の準備に入る。
「な……何か嫌な予感がするので、気勢を崩します!」
アリアは開始早々双剣に蒼と白のマナを纏わせる。天羽の剣舞・宵星──アリアが新たに手にした必殺。
さながら流麗な天女の舞の如きその技はゴブリンたちの心を射止め、強制的に歩を止めさせる。
「好機!! ハァァァァーー!!」
エルシーの拳がゴブリンの中心を捕らえる。
「グギョエェェェ!!」
おぞましい声を上げてゴブリンが倒れる。その傍らにはゴブリンから剥がれ落ちた仮面。
『つけろ~つけろ~仮面をつけろ~』
何か聞こえた気がした。だがエルシーは安易に仮面に近づきはしない。それはこの依頼の話を聞いたときから感じていた妙な胸騒ぎ。エルシーのセフィラは最初から反応していたのだ。
一方アデルはゴブリンの群れに突撃してはオーバーブラストで複数のゴブリンを巻き込みなぎ払っていた。
範囲攻撃は味方との距離感が非常に重要になる。言うまでもなく巻き込んでしまう可能性があるためだ。だがアデルは最前で共に戦うエルシーやアンジェリカの動きを音で感じ、しっかりと一定の距離感を保つ。
それでも数の差は脅威だ。いつの間にか取り囲むように隊列を組むゴブリンたちは休む事無く攻撃を仕掛けてくる。無論その目的は女(メス)の匂いを求めて、だ。
エルシー、アリア、アンジェリカ。戦いにより上気し、汗ばむ彼女達が発する匂いにゴブリン達は息を荒げる。
「クケケケケケケッ!!」
エルシーが拳をめり込ませる。その瞬間、複数のゴブリンがエルシーに襲い掛かる。
攻撃する訳ではない。エルシーの全身にしがみつき、ありとあらゆる所へ腕を這い回らせる。持ち帰れる獲物を探しているのだ。
「くっ!?」
その感触に一瞬背筋を凍らせるエルシー。だが──
「……まさに今……ね。魅せてあげるわ、私の新必殺技!」
エルシーが見せたのは美しき舞。踊るようにステップを踏みながら引き剥がしたコブリンに二連の斬撃を放つ。
「ゴギャァァッ!?」
コブリンに深い傷を負わせたエルシー。熱くも優雅なる殺戮円舞。これこそがエルシーの得た新たな力であった。
「あらあら、困りました」
困り顔で周囲のコブリンを蹴散らしているのはアンジェリカ。その華奢な体つきから想像もできないほど大きな武器を振り回し、1匹ずつ確実にコブリンを屠っていた。
自らに纏わりつくゴブリン達をものともしないアンジェリカ。すでに身に着けているシスター服はぼろぼろだ。
「仮面だけ弾ければ良いのですが……器用では無いうえに如何せん武器が大きいので……申し訳ありませんが首ごと逝かせて貰いますね? コブリンズの皆様」
アンジェリカが見せた冷めた笑顔の奥には、彼女本来の直情が今にも燃え上がらんと燻っていた。
「ん~~~やっぱり本物には敵わないかぁ」
ニコラスが忍ばせていたものはとあるクッキー。殺人兵器だ。……え、ちょっとこっち来い? え、え? アーーーーーッ!!
(文章に誤りがございました。お詫びと共に訂正させていただきます)
ニコラスが忍ばせていたものはほんの少し焦げ目のついたクッキー。とある美少女が作った超絶美味しい代物だ。
これに釣られてくれれば……なおかつ巣に持ち帰って全滅してくれないかな……とか考えていたニコラスおじさんだったが、淡い期待は儚く散ってしまった。やはり女性そのものには敵わなかったようだ。
ニコラスに襲い掛かるゴブリンはおらず、ひたすら味方の回復を続けるニコラス。ちらちらとカスカと戦う仮面の少女の揺れるナニカに気をとられる程度には余裕。このおじさん本能に忠実。でもそれは男のサガだと偉い人が言ってた。
「こっちこないでー!!」
ゴブリンの攻撃に一番反応したのはアリアだった。そして反応が良いからだろうか……誰よりもゴブリンたちが群がる。
アリアは警戒を怠ってはいない。数の差は圧倒的。囲まれる事は出来るだけ避けたい。だがアリアがどう位置取りしても、その先にはゴブリンが待ち構えていた。ダンサーになったアリアの攻撃は多くのゴブリンへの攻撃を可能にしている。が、範囲外のゴブリンはアリアの攻撃後の隙を狙い、襲い掛かってくる。そしてアリアにしがみつき、その身体をまさぐり散らしていた。
「は……ぁんっ!?」
魔物に体中を弄られる感覚──肉体的ダメージ以上に精神的ダメージが大きい。
「こっの……いい加減にっ!!」
纏わりつくゴブリンにアリアが新たな踊りを披露する。双剣の軌跡を描きながら刻まれるそのリズムは大きな渦となりゴブリンたちを巻き込んでいく。
「グゴッ!?」
その場から動けなくなるゴブリンたち。
「……覚悟っ!!」
アリアの構える剣が月夜に輝く。そこから放たれた流れるような所作の剣舞はゴブリンたちの仮面を次々と破壊していく。そしてアリアの決断は大きな成果となり、誰よりも多くのゴブリンを地に伏させるのだった。
一方のアデル。ゴブリンの性質を見抜き、着実にゴブリンを仕留めていく。その行動に無駄がないのにはもう一つ理由がある。
それはその抜きん出た鋭聴力。アデルは味方の動きを音で感じると同時に、ゴブリンたちの放つ僅かな声も聞き逃してはいなかった。無論ゴブリンの言葉を理解できる訳では無い。だが、口調の強さや言葉を放つ向きとゴブリンたちの動きを注意深く観察し続けた結果、ある程度の予測を可能にしていた。
そしてその恩恵を誰よりも受けたのはカスカ。全てとまでは行かなくとも仮面の少女に加勢せんとする幾多のゴブリンをアデルは屠り続けていたのだ。
ゴブリンの返り血で鎧を染めるアデル。重厚な鎧兜の下──誰も見た事のないアデルの素顔。戦いの最中の黙々と剣を振り続けるアデルの表情は如何なるものであろうか。それは誰にもわからない。
「ひっ……ひいっっ!」
仮面の少女の悲鳴にも似た声が夜の峠に響く。
カスカと仮面の少女の大きな差。それは──あ、違います違います、見た目じゃないです。ええ。
それは反応速度。軽戦士として速度を磨いてきたカスカと仮面の少女の反応の差は、カスカの行動回数に如実に表れる。
仮面の少女の攻撃に対して、ほぼ毎回のようにカスカは2度の行動。それほどの速度差がこの2人の間にはあったのだ。
「わっ!? ちょ!?」
仮面の少女は意識は奪われているはずなのだが──あまりに一方的な状況に何かが崩れようとしている……のだろうか。
その様子にカスカは更に攻撃を強める。
(なんだその反応? ちょっとは見せ場が欲しい? うるせぇよ! そのまま死ね!!)
カスカの攻撃は止まらない。簡潔に説明するとこうだ。
仮面の少女の攻撃⇒カスカ殴る⇒カスカ殴る⇒仮面の少女ピヨる⇒カスカ殴る⇒カスカ仮面の少女の乳にビンタ⇒最初に戻る。
仮面の少女にとってはまさに生き地獄である。
ピシッ。繰り返される攻撃の中で少女の仮面にひびが入る。
「もういい加減殴るのも疲れました。そろそろ終わりにしますかね」
カスカが低く体勢を落とし、刀を鞘へ納める。そして──
「天理真剣流・風之衝!!」
カスカの放った刀撃は幾多に重ねられ少女の仮面を打ち砕いた。
「全く、世話の焼ける……」
砕けた仮面と気絶した少女を見下ろすカスカ。その顔は……紛れもなく妹を気遣う姉の顔だった。
「おーい。そっちも終わったかー?」
ニコラスだ。ゴブリンズを相手していた面々もその多くのゴブリンを撃破。一部には逃げられたものの十分な成果であった。
「ふぅ。それにしても嫌な相手だったわ」
エルシーはゴブリンにしがみつかれた時の感触を思い出して身震いをする。アリアもまた同じだ。体中をさまぐられた感触は肉体的ダメージ以上にアリアの記憶に残るのであろう。
「あらあら……服が……」
困った顔をしているのはアンジェリカだ。エルシーやアリアのように振り払う事よりも目の前の敵に対する攻撃を優先した彼女の服はゴブリンのツメでぼろぼろになっていた。少しセクシーさの増したその姿に男子諸君は眼を背ける。
「まぁ……とにかくこれでこの依頼は完了、と。みんなお疲れさんっ」
ニコラスが笑いながらいう。
「ああ、終わった。あとは少女の意識が戻るのを待つとしよう」
アデルが少女に目を向ける。カスカの容赦ない怒涛の攻撃に少し肝を冷やしたのは事実。だがその実しっかりと仮面だけが狙われていたようだ。
もしゴブリン達の対処が先に終わり、カスカが苦戦しているようであれば、アデルは少女に突撃しその身もろともカスカに攻撃させる覚悟であった。だがその覚悟は杞憂に終わる。それは悪いことではない。
アデルは改めて少女に目立った外傷が無い事を確認し、胸をなでおろす。そしてアデルは1人思う。また今回も生き残ったのだと。
●
戦いを終え、討伐したゴブリン達へ祈りを捧げているアンジェリカ。
その横では仮面を砕かれた衝撃で気を失った少女。その傍らには少し不機嫌そうなカスカがいた。
「こいつの名前は清瀧寺 彩葉(せいりゅうじ いろは)。何の因果か、誰の嫌がらせかは知りませんが私の実妹です」
カスカは改めて、皆に気絶している少女の素性を明かす。
「えっ!? 姉妹!?」
驚きの声を上げたのはアリア。目を丸くしながらも思わず2人の様々な部分を見比べる。
「ど……(っちが姉?)」
「ど?」
カスカの少し怖い笑顔。黙り込むアリア。その場にえも知れぬ緊張感が漂う。
「ふぁっ!?」
すると絶妙のタイミングで気絶していた少女が目を覚ます。
「うー……頭がガンガンします……」
「はあ? 頭痛いって?」
どこがとばかりに更に頭を小突くカスカ。
「ふわっ!? あ、姉上!? い、痛いです……くすん」
涙目の妹(巨乳)と不機嫌な姉(貧乳)。
「姉上、痛いです……くすん。じゃないっ!! 頭の中身全部その乳に行ってるんだから少々叩かれた程度で問題ないだろ! ……つーか無駄に乳揺らすな目障りだから!」
この姉妹はいつもこんな調子なのだろうか──皆がそう思いながら見守っていたところに、あのおじさんが音もなく忍び寄る。
「はいはいはい。2人とも回復するよ~」
なぜかもみ手で近寄ってきたニコラス。2人を心配する言葉を発しながらもその視線は一点に注がれている。
その視線に気付いたカスカの顔がなんだか怖い。
「え、視線が乳にいってる? 気のせい! 気のせいデス!」
その後、刀を抜きかけたカスカをエルシーとアリアがなんとか諌め、ニコラスはなぜか目隠しをされた状態で回復をするという世にも奇妙な状態が続いたという。
「そうだったのですね……皆様には大変ご迷惑をお掛けいたしました」
自由騎士によって事の経緯を説明された彩葉は、深々と頭を下げた。そして頭を下げればぷるんと揺れる。
それがまたカスカには癪に障ったのか、刀の柄でべちんとソレを叩くと一言。
「アリアとエルシーは許すけど……お前だけは許さんからな!」
突然名が出たエルシーとアリアはびくりと身体を震わせ、それとなく胸を隠す素振り。
(麺です……私は貴方の心に直接語りかけています……大丈夫ですよ……カスカさん……思い出してみてください……あの時の事を……そう、あの時感じた自らの重みを……あの愉悦に浸った素晴らしき時間を……。ま、そうじゃなくてもニッチな需要がきっとありますって。胸を張って生きていこうぜ!)
「ほっとけーーーーー!!」
そこには月夜の晩、空に向かって叫びながら刀を振りまわす1人の少女の姿。
これが新たな噂にならない事を皆、祈っていた。
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
称号付与
特殊成果
『ブラックアゲート』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
†あとがき†
意識を奪われ人々を襲っていた謎の仮面の少女は無事保護されました。
今後は姉妹仲良く? 過ごすのでしょうか。
MVPは妹のピンチを圧倒的な力でなぎ払った貴方へ。
ご参加ありがとうございました。
今後は姉妹仲良く? 過ごすのでしょうか。
MVPは妹のピンチを圧倒的な力でなぎ払った貴方へ。
ご参加ありがとうございました。
FL送付済