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新たな力、その活躍の時

●
「きゅおおおお」
「きゅうぅぅぅぅ」
首都近郊の小さな森。そこに魔物の群れが確認されるようになったのはつい最近の事だった。
今はまだ魔物は森から出る事は無いようで、近隣の集落への被害は無い。
だが森林に多く生っている高品質の果物は魔物が出た事により、取りに行く事が出来なくなっていた。
人の近寄らなくなった森。魔物は着々とその群れを大きくしつつある。
「まずいな……対応を急がねば」
調査に来ていた者は踵を返して首都へ戻る。
そして状況は自由騎士団へと報告され、討伐チームが組まれることになった。
●
「近くの森に比較的小規模な魔物の群れが確認された。人を襲う事もわかっているが……それ以上にあの森の豊かな果樹が食い荒らされているのだ」
『軍事顧問』フレデリック・ミハイロフ(nCL3000005)は集った自由騎士達に告げる。
今日集められたのは比較的最近自由騎士となった者。所謂新人自由騎士達だ。
「調査の者が確認したところ、魔物の数は人と同じほどの大きさの中型10匹程度。数は多いが君達でも十分に対応できるはずだ」
大丈夫、自信を持て、と発破を掛けるフレデリック。
「それとこれは魔物討伐のあとで構わないのだが……実はあの森で取れる果物はとても美味い。いくつか持って帰ってきてくれないか。ああ、もちろん君達も食べてもらって構わないぞ。それも依頼報酬みたいなものだ」
そう言うフレデリックはまるで子供のような笑顔を見せた。
「ああ、あともしかしたら君達の先輩達も参加するかもしれない。その場合は彼らの戦い方も良く参考にするといい。きっと得るモノも多いはずだ」
これは新人自由騎士が自らを奮い立たせ、獅子奮迅する物語。
「きゅおおおお」
「きゅうぅぅぅぅ」
首都近郊の小さな森。そこに魔物の群れが確認されるようになったのはつい最近の事だった。
今はまだ魔物は森から出る事は無いようで、近隣の集落への被害は無い。
だが森林に多く生っている高品質の果物は魔物が出た事により、取りに行く事が出来なくなっていた。
人の近寄らなくなった森。魔物は着々とその群れを大きくしつつある。
「まずいな……対応を急がねば」
調査に来ていた者は踵を返して首都へ戻る。
そして状況は自由騎士団へと報告され、討伐チームが組まれることになった。
●
「近くの森に比較的小規模な魔物の群れが確認された。人を襲う事もわかっているが……それ以上にあの森の豊かな果樹が食い荒らされているのだ」
『軍事顧問』フレデリック・ミハイロフ(nCL3000005)は集った自由騎士達に告げる。
今日集められたのは比較的最近自由騎士となった者。所謂新人自由騎士達だ。
「調査の者が確認したところ、魔物の数は人と同じほどの大きさの中型10匹程度。数は多いが君達でも十分に対応できるはずだ」
大丈夫、自信を持て、と発破を掛けるフレデリック。
「それとこれは魔物討伐のあとで構わないのだが……実はあの森で取れる果物はとても美味い。いくつか持って帰ってきてくれないか。ああ、もちろん君達も食べてもらって構わないぞ。それも依頼報酬みたいなものだ」
そう言うフレデリックはまるで子供のような笑顔を見せた。
「ああ、あともしかしたら君達の先輩達も参加するかもしれない。その場合は彼らの戦い方も良く参考にするといい。きっと得るモノも多いはずだ」
これは新人自由騎士が自らを奮い立たせ、獅子奮迅する物語。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.森に住み着いた魔物の討伐
2.森の果物を堪能する
2.森の果物を堪能する
麺です。食べられません。いえ、食べられなくはありません。
破竹の勢いで活躍を見せる自由騎士団。その栄誉と名声は他国でも広まりつつあり、自由騎士団への入団も増えている状況にあります。
そんな新人自由騎士の方の経験積みとして、フレデリックが用意したのは近郊の森への魔物討伐でした。
魔物を討伐し、ついでに森で取れる極上の果物を楽しんでしまいましょう。
●ロケーション
首都近郊の森。小さな森ですが、沢山の果樹が生い茂り豊かな森を形成をしています。
そこへゲシュペンストが現れ、一部動物がイブリース化。人を襲うようになりました。
この森の果樹は近隣の集落にとって無くてはならない貴重な資源。
魔物から森を取り戻していただければと思います。
潤いの森
たくさんの種類の果樹が生い茂り、周辺集落からは潤いの森と呼ばれている。
この森の果樹は品質も良く、首都にも多くが運ばれ、沢山の人々に楽しまれています。
不思議とこの森は温暖な気候が保たれており、ドリアン、マンゴー、パッションフルーツ、バナナ等の所謂南国フルーツが豊富に自生しています。
(新人自由騎士)
必ずしもレベルなどで判断される訳ではございません。ご自身でまだ新人だと思えば新人なのです。です。
(自由騎士パイセン)
新人自由騎士の方達を見守り、ピンチなどがあれば手伝うなど、新人騎士達のお手伝いをお願いします。
●敵
マダラアリクイ x10
イブリース化し、凶暴になったアリクイ。果物も好物でイブリース化で増長された食欲に任せて果物を食べあさっています。
爪 攻近単 鋭い爪で攻撃します。【スクラッチ1】
舌 攻近単 長い舌で嘗め回します。【ダメージ0】【フリーズ1】
体当たり 攻遠単 身体を丸め体当りをしてきます。
イブリース化が解ければ元の大人しいアリクイに戻ります。またイブリース化により大幅に増長していた食欲も元に戻ればアリクイを森から追い出す必要もありません。
EXプレイングには書く事が無ければ今後の目標などがあると、どこを目指す方なのか麺が把握できますのでとても嬉しいです。それも無ければお勧めの麺処を書いて頂くと小躍りします。
皆様のご参加お待ちしております。
破竹の勢いで活躍を見せる自由騎士団。その栄誉と名声は他国でも広まりつつあり、自由騎士団への入団も増えている状況にあります。
そんな新人自由騎士の方の経験積みとして、フレデリックが用意したのは近郊の森への魔物討伐でした。
魔物を討伐し、ついでに森で取れる極上の果物を楽しんでしまいましょう。
●ロケーション
首都近郊の森。小さな森ですが、沢山の果樹が生い茂り豊かな森を形成をしています。
そこへゲシュペンストが現れ、一部動物がイブリース化。人を襲うようになりました。
この森の果樹は近隣の集落にとって無くてはならない貴重な資源。
魔物から森を取り戻していただければと思います。
潤いの森
たくさんの種類の果樹が生い茂り、周辺集落からは潤いの森と呼ばれている。
この森の果樹は品質も良く、首都にも多くが運ばれ、沢山の人々に楽しまれています。
不思議とこの森は温暖な気候が保たれており、ドリアン、マンゴー、パッションフルーツ、バナナ等の所謂南国フルーツが豊富に自生しています。
(新人自由騎士)
必ずしもレベルなどで判断される訳ではございません。ご自身でまだ新人だと思えば新人なのです。です。
(自由騎士パイセン)
新人自由騎士の方達を見守り、ピンチなどがあれば手伝うなど、新人騎士達のお手伝いをお願いします。
●敵
マダラアリクイ x10
イブリース化し、凶暴になったアリクイ。果物も好物でイブリース化で増長された食欲に任せて果物を食べあさっています。
爪 攻近単 鋭い爪で攻撃します。【スクラッチ1】
舌 攻近単 長い舌で嘗め回します。【ダメージ0】【フリーズ1】
体当たり 攻遠単 身体を丸め体当りをしてきます。
イブリース化が解ければ元の大人しいアリクイに戻ります。またイブリース化により大幅に増長していた食欲も元に戻ればアリクイを森から追い出す必要もありません。
EXプレイングには書く事が無ければ今後の目標などがあると、どこを目指す方なのか麺が把握できますのでとても嬉しいです。それも無ければお勧めの麺処を書いて頂くと小躍りします。
皆様のご参加お待ちしております。
状態
完了
完了
報酬マテリア
5個
1個
1個
1個




参加費
100LP [予約時+50LP]
100LP [予約時+50LP]
相談日数
6日
6日
参加人数
6/6
6/6
公開日
2019年07月04日
2019年07月04日
†メイン参加者 6人†
●
「キリはまだ勉強不足でした」
キリ・カーレント(CL3000547)は改めてイブリース化という現象について考えていた。
確かにイブリース化したものは他国では滅する以外に方法は無い。だがイ・ラプセルには浄化の権能がある。浄化さえ出来ればイブリース化したモノは元に戻せるのだ。
(イブリースはただ倒すべき存在だと思っていました……でも私達なら元に戻せる。なら尚のこと、迷わず浄化します……!)
キリが浄化を固く誓う横で難しい顔をしているのは『てへぺろ』レオンティーナ・ロマーノ(CL3000583)。
(アリクイさん達もイブリース化なんてきっと迷惑なはずです。すぐに浄化してあげますからね)
キッシュで学んだ事を実践する──それは翼人でありながらも貴族として迎え入れられた偉大なる父の背を追う決意。レオンティーナが目指すは更なる亜人の地位向上。そして世界一のメセグリン使いだ。
「し、新人でも対処出来るって聞きましたので来ました!」
桃色のヨウセイの羽根を揺らしながら少々緊張気味なのはティルダ・クシュ・サルメンハーラ(CL3000580)。彼女もまた将来が有望な新人自由騎士の1人だ。
彼女が自由騎士になった理由。それは魔女狩りにより失った親友の無念を晴らすこと。その方法を考えに考え抜いた結果、導き出された結論。それこそがシャンバラが擁していた呪術師の力を会得して自由騎士となり、イ・ラプセルに協力する事だった。そしてそれを忠実に実践し、晴れて自由騎士となった。
「人を襲うのはいけませんし、果物も守らなきゃです。頑張りますっ」
そういって愛用のマジックスタッフを握り締めるティルダ。その瞳は今は無き親友と同じ桃と藍に輝いていた。
「おいしい、くだもの!!」
(……はっ、まちがえましたのです)
思わず口に出してしまったのは『餓鬼』リグ・ティッカ(CL3000556)。討伐後のお楽しみ。頭の中はすでに完熟フルーツで一杯になっているようだ。
(まずはイブリース化したアリクイさんたちに、めっ!ってしに行くのでした)
本来の目的を思い出したリグ。働かざる者なんとやら。食べてばかりだと怒られる事はリグもしっかり経験済み。そしてそれはイブリース化した動物だって同じ事。食べすぎアリクイにはしっかりとお仕置きをしなければいけないのだ。
「食べすぎは、めっ!なのです」
「確かに美味いモノは分けあって食べるべき。それはアリクイとて例外ではない」
リグの言葉に相槌を打つのは月ノ輪・ヨツカ(CL3000575)。アマノホカリ出身の彼。慣れないイ・ラプセルの暮らしだが、今はとある人の勧めにより自由騎士として活動を行っている。ヨツカが求めるは己が強さ。そしてもう一つ、それ以上にヨツカが手に入れたいもの──それは不可解な失踪を遂げた命の恩人でもある師の行方。日々様々な場所で活躍する自由騎士として名を上げれば、いつか師の耳にも届くかもしれない。もしそれが叶わないとしても何らかの情報を得る事は出来るかもしれないのだ。
(怖くないと言えば嘘になるけど……)
自由騎士としてこなす初めての依頼にコール・シュプレ(CL3000584)は少々緊張の面持ちだった。
(……なに、一人で戦う訳じゃない。虚勢を張るのはいつもの事、ならばいつも通り振る舞えば良いさ!)
奥底にある怯えを振り払うように顔を左右に振るコール。
(しっかり浄化してやろうじゃないか!)
覚悟を決めたコールの凛とした表情は、紛れも無く自由騎士のそれだった。
●
「いましたわ!」
リュンケウスの瞳で周囲を索敵するレオンティーナがいち早く果物を貪るアリクイたちを発見する。
「そこまでだ、哀れなアリクイども」
ヨツカが声を変えると同時に全員が戦闘体勢へ。戦闘自体が初めてのものも
「きゅぉぉぉおお!!」
威嚇してくるアリクイに対し、野太刀を構えながら威嚇で返すヨツカ。
「リズムに乗らないと始まらない、それがダンサーの戦いさ!」
同じく前に出たコールがサンシャインダンスを踊る。その踊りはコールを強化し、なお一層彼女を輝かせる。
「悪いアリクイさんはお仕置きなのですっ」
舞い踊るコールの横ではリグが柳凪で自己の耐久力を高めている。
「ではわたしは後方から皆さんを援護しますね」
ティルダはマジックスタッフに魔導を込め、アリクイの群れへ焼けるような痛みを与える。
「好機っ」
突如与えられた痛みに動揺するアリクイたちへオーバーブラストを放つヨツカ。その攻撃はアリクイたちの芯を捉え、食い荒らしていた果物からイブリース化した魔物達を引き剥がす。
「きゅぉぉぉおおっ!!」
だがもちろんアリクイ達もやられるばかりではない。攻撃を逃れたアリクイはその鋭い爪で自由騎士に襲い掛かる。元は大人しい動物といえど、イブリース化で巨大化、凶暴化したその爪は脅威。
「きゃぁっ!?」
振り下ろされた爪に僅かに反応が遅れたリグ。避けきれないと咄嗟に防御したその時。
「危ないっ!!」
放たれたのは魔導の矢。それは後方で回復に備えるレオンティーナが放ったもの。
「ありがとっ!」
リグは笑顔を見せるとすぐに体勢を立て直す。目の前には沢山のアリクイたち。勝負はこれからだ。
「アリクイさん達、食欲に任せて果物を食べ漁らないでくださいますか」
レオンティーナは静かに弓を構える。回復役を担う彼女だが、それだけではない。必要に応じて攻撃に転じる用意も備えている。紛れもなく彼女は戦う乙女なのだ。
その後も皆一丸となってアリクイに挑む自由騎士達。
コールが味方を巻き込まぬよう少し離れたい地のアリクイにツイスタータップで混乱を付与すれば、そこを目掛けてティルダはパインリトゥスで更なる痛みを見舞う。
「気をつけてっ!! 横からも突進して来るわっ」
キリは声を出す。まだまだ自由騎士としては未熟さもある自分達。歴戦の友であれば何も言わずにお互いを感じ、連携する事も可能であろう。でも今のキリ達にはそこまでの経験は無い。だからこそキリは声を出す。
「キリは目の前のアリクイを止めるっ! リグさんとヨツカさんはあっちをお願いっ」
1人で足りないなら皆で補えばいい。そのためにキリ達は一緒に行動しているのだから。
「一匹回り込もうとしてるわ! 後ろの人、お願いっ!」
キリの声が戦場に響く。お互いがフォローし、そしてフォローされる。自由騎士として大事な仲間同士の連携が確実にそこには生まれようとしていた。
(切磋琢磨し、お互いがお互いを向上させていく。これが自由騎士団なのですわね)
レオンティーナが戦闘の中で改めて意識したのは自由騎士としての矜持。それは仲間達への尊敬の念であり、自身が自由騎士である事の誇り。やはり私が進む道は間違っていない。レオンティーナはそう強く感じていたのだった。
そして自由騎士達の連携が時を追うごとにその精度を上げていく中、その動きを止めるべく長い舌を伸ばしたアリクイだったのだが。
「危ないっ!」
ティルダが唱えたスキルにより、アリクイの周囲は泥沼と化す。足をとられたアリクイの舌はヨツカのほんの数センチ前で止まる。
(舐められるのはあまりいい気分はしない。……ぶっ倒す!!)
更に舌を伸ばそうとするアリクイ。その時ヨツカが吼えた。
「うぉぉぉおおおお!!!」
その大気をも震わすような咆哮は物理的なダメージを与えるに留まらない。狩るものと狩られるもの──それは弱肉強食の自然界における絶対的な力関係。アリクイはヨツカの中にある獣性を本能で感じ、自身が狩られる側であった事を思い出すのだ。
「私も負けていられませんわ」
そんなヨツカを後方から見ていたレオンティーナ。仲間が勇敢に戦うその姿に自身もまた触発され、弓を引く腕には一層力が漲っていく。そしてその矢はアリクイを正確に打ち抜いていくのであった。
ルーキー達の全力を尽くした戦闘は続く。
キリは変わらず勝利に対する貪欲さを見せる。どれだけ攻撃を受けようとキリの心が折れることは無い。味方を守る際は全身で敵の攻撃を受け止める。そこに自らの保身は無い。
そしてその攻撃の方法も特殊極まりない。盾代わりのロープを自在に使い、その場にあるものは何でも使う。いわば環境利用闘法とでも言うべきか。勝利の前にはだまし討ちもなんのそのだ。
キリのこの戦法は決して万人の参考に出来るものではない。泥臭く、人間臭い戦い方。だがそれこそが今のキリそのものなのだ。
「回復は任せてくださいませ」
レオンティーナは魔力温存をしつつも、効率的に味方を回復していく。回復は常に早めに行い味方の戦線を崩させない。アリクイに舐められた者はすかさずクリアカースでフリーズ効果を解除する。回復を任せられる味方がいる。それは全体の士気に大きく作用する。まさに縁の下の力持ちとしてこのチームを支えている。
「いくよっ!」
己が速度をその刃に乗せ、アリクイたちに攻撃を放つのはコール。
今、この時の全力を。もう自分にありもしない限界なんて作らない──。
自身の心の奥底にある臆病さ。大事な場面で一歩前に出れない自身の不甲斐なさ。それを頭では理解しながらもずっと前へ進み出せなかったコール。だがある時そっと伝えられた一言はコールの心に深く響き、それは踏み出す勇気へと彼女を変えた。
(一歩ずつでいい。自分の力で少しずつでも前に進むんだ)
コールの中には未だ様々な葛藤が渦巻いている。けれども今この瞬間、自由騎士として敵と対峙するコールには迷いは無い。心を決め前へ進む気持ちにはもう揺らぎなど無いのだ。
(だいぶ数も減りましたね)
数を減らす事を第一に考え、動いていたティルダ。味方が攻撃している個体にあわせるようにアイスコフィンを打ち込みダメージを集中させる。そしてこの作戦は見事に功を奏し、気付けば半数以上のアリクイがすでに浄化されている。
「もう一息だな」
ウォーモンガーで自らを奮起させたヨツカが太刀に今一度力を込める。そこから渾身の力で叩き込まれた一撃は一匹、また一匹とアリクイ達を倒していく。
「あと少し!」
「もう少しですわ!」
「終わったらご褒美!」
「まだまだ踊り足りないよっ!!」
「この呪術の力、イ・ラプセルのためにっ」
「もっと……もっと強く!!」
フレデリックが敢えてルーキーたちを組ませ、討伐に向かわせた意図は様々ある。
それぞれがそれぞれの目的や理想のため、全力を尽くす。お互いを認めあい、協力し、そして高めあう。
戦闘を通じて様々な事を学び、考え、そして実践した6人の精鋭たちは今まさに自由騎士団の新たな力としての存在感を醸し出そうとしてた。
「これで最後だっ!」
コールの放った風の刃が最後のアリクイを打ち倒す。
「きゅぉぉ……ぉ……」
こうして豊かな森のイブリース騒動は高き志を持った自由騎士達によって鎮静化したのであった。
●
今回参加した自由騎士達にとって待ちに待った時間。
食べ隊としての活動──そう、ヘイガル島で独特の存在感を放ったはらぺこ集団のもぐもぐタイムが今、始まる。
「今回は皆さんで食べ隊、ですね!」
そういって笑顔を見せるのはキリ。
「ご褒美タイム! なのです!」
わぁわぁくだものくだもの、とリグも興奮気味だ。
「採りすぎなければすきなの食べていいのでしょうか、いいのですよね?」
そう言うとリグは豊かに実った果物たちを見渡す。
(高いところでお日さまの光をたっぷり浴びてるやつが、きっとすごくおいしいはずなのです)
リグは背の高い自由騎士の手を借りて、目星をつけた果物をゲットしていく。みるみるリグの前に山となる果物たち。
(色とりどりで、見た目も楽しいですね。どれから食べようか迷っちゃいます)
ティルダもまた目の前に広がるフルーツの楽園に目を輝かせる。
「おいしい!」
「本当にねっ」
先だって食べた者達は皆その甘美な味わいに舌鼓を打つ。
「よろしくお願い致します!」
そこへ食べ隊に混ぜてもらおうと、冗談めかしながらもしっかりとした敬礼で皆に挨拶をしたのはコール。その翼を使い、高い位置の果物を集めて回ると皆に配っていく。
「皆で採ったものを分け合うのも良いね……うん、どれも濃厚で、凄く甘みが強い!」
皆で果物をシェアしながら頬張る自由騎士達の周りには、気付けば浄化され元に戻ったアリクイが集ってきていた。
「あっ、もぐ……アリクイさんたちも……もぐ……お目覚めでしょうか。お届け用以外の……もぐ……だったらいっしょに……もぐ……食べてもだいじょうぶです?」
口いっぱいに果物を頬張りながら、リグは丁寧に皮を剝いた果物をアリクイにも分ける。
「アリクイさん、さっきは痛かったですか? ごめんなさいね!」
キリもまたアリクイを優しく撫でながら、手に持った果物を差し出す。戦闘中の鬼気迫る雰囲気はすっかりなりを潜め、その表情は穏やかで優しい。
「あはははっ。くすぐったいってばっ」
突然リグが笑い出す。どうやら口の周りにたっぷりついた果汁をアリクイが舐めているようだ。
「はー! くすぐったかった。でもこれで、アリクイさんも食べ隊のおなかまなのです」
どうやら食べ隊の入隊資格は人に限らないらしい。美味しいものを食べる仲間に人も動物も無いのだ。
「正気に戻ったか?」
ヨツカもまた大人しくなったアリクイを撫でながら果物に手を伸ばす。果物にはあまり詳しくないヨツカだったが、バナナだけその美味しさを知っている。
「そっちのは何という果物なんだ?」
ヨツカが興味を持った一際大きな果物。その果実を割ってみると独特の匂いが辺りを包む。
「とげとげの、これはどりあんといいましたか。なかなかの臭いですがはたして……」
あまりの匂いに鼻をつまむ者もいる中、リグは掬ったドリアンを躊躇無く口に入れる。果たしてその味は……見守る自由騎士達。
「……!!!!!!」
言葉にならない声を上げるリグ。だがその表情を見る限りは相当に美味しいようだ。
女子に囲まれその勢いに若干圧倒されていたヨツカだったが、リグの満足そうな表情を見て覚悟を決め、ドリアンを恐る恐る口に入れる。
「……確かにうまい」
でしょー、といわんばかりの表情のリグ。そこに我も我もとキリやティルダ、コールも加わり更に賑やかになる。
飽くなき美味の探求。それもまた食べ隊の醍醐味なのだ。
「これが、食べ隊……か」
幸せそうに果物を頬張る皆を見ながらヨツカは依頼を無事達成した事を再認識するのであった。
「すみません。ちょっと教えてくださるかしら?」
レオンティーナはアリクイ討伐の報告を受け、様子を見に来た周辺の村人にオススメの果物を聞いていた。
「……ふむ。つまり全部オ味見して気に入ったものをフレデリック様へのお土産にする、だった。
レオンティーナは果物を一つずつ試食していく。一口頬張るたびに笑みがこぼれる。
(……はっ!? いえ、これもあくまで任務の一環としてですよ)
自分に言い聞かせるようにそう呟くと、更に一口。
「あら、おいしい!」
「ねー? どれもおいしいよね」
その時リグが食していたのは戦いの影響で、地面に落ちてしまった果物。地面に落ちて傷ついたものは売り物には出来ないし、足も早い。
(何より元々熟して落ちる直前だったのなら、完熟のじゅくじゅくであまあまなのでは!)
きっとこれは今、ここでしか食べられないもの。そしてリグの予想は見事に当たったのであった。
「こちらもおいしいですわね!」
気付けばレオンティーナの持つカゴは果物で一杯に。
「これだけあれば……きっとフレデリック様も満足なされるはずですわ。……あとこれは──」
そっとカゴに自分用の果物を増やしたのはあえて触れまい、頑張った自分へのご褒美はいつだって必要なのだ。
ティルダとコールのバッグの中もフレデリックへの果物(おみやげ)で一杯だ。
その後、すっかりアリクイたちと仲良くなった自由騎士達はアリクイ達とも楽しく時を過ごした。特にキリは背に乗せてもらったり、もふもふを堪能したりと大満喫。すっかりアリクイの可愛さに魅了されたようだった。
(かわいいよぉ……!!)
こうして新人自由騎士達の長い一日は幕を閉じたのであった。
「キリはまだ勉強不足でした」
キリ・カーレント(CL3000547)は改めてイブリース化という現象について考えていた。
確かにイブリース化したものは他国では滅する以外に方法は無い。だがイ・ラプセルには浄化の権能がある。浄化さえ出来ればイブリース化したモノは元に戻せるのだ。
(イブリースはただ倒すべき存在だと思っていました……でも私達なら元に戻せる。なら尚のこと、迷わず浄化します……!)
キリが浄化を固く誓う横で難しい顔をしているのは『てへぺろ』レオンティーナ・ロマーノ(CL3000583)。
(アリクイさん達もイブリース化なんてきっと迷惑なはずです。すぐに浄化してあげますからね)
キッシュで学んだ事を実践する──それは翼人でありながらも貴族として迎え入れられた偉大なる父の背を追う決意。レオンティーナが目指すは更なる亜人の地位向上。そして世界一のメセグリン使いだ。
「し、新人でも対処出来るって聞きましたので来ました!」
桃色のヨウセイの羽根を揺らしながら少々緊張気味なのはティルダ・クシュ・サルメンハーラ(CL3000580)。彼女もまた将来が有望な新人自由騎士の1人だ。
彼女が自由騎士になった理由。それは魔女狩りにより失った親友の無念を晴らすこと。その方法を考えに考え抜いた結果、導き出された結論。それこそがシャンバラが擁していた呪術師の力を会得して自由騎士となり、イ・ラプセルに協力する事だった。そしてそれを忠実に実践し、晴れて自由騎士となった。
「人を襲うのはいけませんし、果物も守らなきゃです。頑張りますっ」
そういって愛用のマジックスタッフを握り締めるティルダ。その瞳は今は無き親友と同じ桃と藍に輝いていた。
「おいしい、くだもの!!」
(……はっ、まちがえましたのです)
思わず口に出してしまったのは『餓鬼』リグ・ティッカ(CL3000556)。討伐後のお楽しみ。頭の中はすでに完熟フルーツで一杯になっているようだ。
(まずはイブリース化したアリクイさんたちに、めっ!ってしに行くのでした)
本来の目的を思い出したリグ。働かざる者なんとやら。食べてばかりだと怒られる事はリグもしっかり経験済み。そしてそれはイブリース化した動物だって同じ事。食べすぎアリクイにはしっかりとお仕置きをしなければいけないのだ。
「食べすぎは、めっ!なのです」
「確かに美味いモノは分けあって食べるべき。それはアリクイとて例外ではない」
リグの言葉に相槌を打つのは月ノ輪・ヨツカ(CL3000575)。アマノホカリ出身の彼。慣れないイ・ラプセルの暮らしだが、今はとある人の勧めにより自由騎士として活動を行っている。ヨツカが求めるは己が強さ。そしてもう一つ、それ以上にヨツカが手に入れたいもの──それは不可解な失踪を遂げた命の恩人でもある師の行方。日々様々な場所で活躍する自由騎士として名を上げれば、いつか師の耳にも届くかもしれない。もしそれが叶わないとしても何らかの情報を得る事は出来るかもしれないのだ。
(怖くないと言えば嘘になるけど……)
自由騎士としてこなす初めての依頼にコール・シュプレ(CL3000584)は少々緊張の面持ちだった。
(……なに、一人で戦う訳じゃない。虚勢を張るのはいつもの事、ならばいつも通り振る舞えば良いさ!)
奥底にある怯えを振り払うように顔を左右に振るコール。
(しっかり浄化してやろうじゃないか!)
覚悟を決めたコールの凛とした表情は、紛れも無く自由騎士のそれだった。
●
「いましたわ!」
リュンケウスの瞳で周囲を索敵するレオンティーナがいち早く果物を貪るアリクイたちを発見する。
「そこまでだ、哀れなアリクイども」
ヨツカが声を変えると同時に全員が戦闘体勢へ。戦闘自体が初めてのものも
「きゅぉぉぉおお!!」
威嚇してくるアリクイに対し、野太刀を構えながら威嚇で返すヨツカ。
「リズムに乗らないと始まらない、それがダンサーの戦いさ!」
同じく前に出たコールがサンシャインダンスを踊る。その踊りはコールを強化し、なお一層彼女を輝かせる。
「悪いアリクイさんはお仕置きなのですっ」
舞い踊るコールの横ではリグが柳凪で自己の耐久力を高めている。
「ではわたしは後方から皆さんを援護しますね」
ティルダはマジックスタッフに魔導を込め、アリクイの群れへ焼けるような痛みを与える。
「好機っ」
突如与えられた痛みに動揺するアリクイたちへオーバーブラストを放つヨツカ。その攻撃はアリクイたちの芯を捉え、食い荒らしていた果物からイブリース化した魔物達を引き剥がす。
「きゅぉぉぉおおっ!!」
だがもちろんアリクイ達もやられるばかりではない。攻撃を逃れたアリクイはその鋭い爪で自由騎士に襲い掛かる。元は大人しい動物といえど、イブリース化で巨大化、凶暴化したその爪は脅威。
「きゃぁっ!?」
振り下ろされた爪に僅かに反応が遅れたリグ。避けきれないと咄嗟に防御したその時。
「危ないっ!!」
放たれたのは魔導の矢。それは後方で回復に備えるレオンティーナが放ったもの。
「ありがとっ!」
リグは笑顔を見せるとすぐに体勢を立て直す。目の前には沢山のアリクイたち。勝負はこれからだ。
「アリクイさん達、食欲に任せて果物を食べ漁らないでくださいますか」
レオンティーナは静かに弓を構える。回復役を担う彼女だが、それだけではない。必要に応じて攻撃に転じる用意も備えている。紛れもなく彼女は戦う乙女なのだ。
その後も皆一丸となってアリクイに挑む自由騎士達。
コールが味方を巻き込まぬよう少し離れたい地のアリクイにツイスタータップで混乱を付与すれば、そこを目掛けてティルダはパインリトゥスで更なる痛みを見舞う。
「気をつけてっ!! 横からも突進して来るわっ」
キリは声を出す。まだまだ自由騎士としては未熟さもある自分達。歴戦の友であれば何も言わずにお互いを感じ、連携する事も可能であろう。でも今のキリ達にはそこまでの経験は無い。だからこそキリは声を出す。
「キリは目の前のアリクイを止めるっ! リグさんとヨツカさんはあっちをお願いっ」
1人で足りないなら皆で補えばいい。そのためにキリ達は一緒に行動しているのだから。
「一匹回り込もうとしてるわ! 後ろの人、お願いっ!」
キリの声が戦場に響く。お互いがフォローし、そしてフォローされる。自由騎士として大事な仲間同士の連携が確実にそこには生まれようとしていた。
(切磋琢磨し、お互いがお互いを向上させていく。これが自由騎士団なのですわね)
レオンティーナが戦闘の中で改めて意識したのは自由騎士としての矜持。それは仲間達への尊敬の念であり、自身が自由騎士である事の誇り。やはり私が進む道は間違っていない。レオンティーナはそう強く感じていたのだった。
そして自由騎士達の連携が時を追うごとにその精度を上げていく中、その動きを止めるべく長い舌を伸ばしたアリクイだったのだが。
「危ないっ!」
ティルダが唱えたスキルにより、アリクイの周囲は泥沼と化す。足をとられたアリクイの舌はヨツカのほんの数センチ前で止まる。
(舐められるのはあまりいい気分はしない。……ぶっ倒す!!)
更に舌を伸ばそうとするアリクイ。その時ヨツカが吼えた。
「うぉぉぉおおおお!!!」
その大気をも震わすような咆哮は物理的なダメージを与えるに留まらない。狩るものと狩られるもの──それは弱肉強食の自然界における絶対的な力関係。アリクイはヨツカの中にある獣性を本能で感じ、自身が狩られる側であった事を思い出すのだ。
「私も負けていられませんわ」
そんなヨツカを後方から見ていたレオンティーナ。仲間が勇敢に戦うその姿に自身もまた触発され、弓を引く腕には一層力が漲っていく。そしてその矢はアリクイを正確に打ち抜いていくのであった。
ルーキー達の全力を尽くした戦闘は続く。
キリは変わらず勝利に対する貪欲さを見せる。どれだけ攻撃を受けようとキリの心が折れることは無い。味方を守る際は全身で敵の攻撃を受け止める。そこに自らの保身は無い。
そしてその攻撃の方法も特殊極まりない。盾代わりのロープを自在に使い、その場にあるものは何でも使う。いわば環境利用闘法とでも言うべきか。勝利の前にはだまし討ちもなんのそのだ。
キリのこの戦法は決して万人の参考に出来るものではない。泥臭く、人間臭い戦い方。だがそれこそが今のキリそのものなのだ。
「回復は任せてくださいませ」
レオンティーナは魔力温存をしつつも、効率的に味方を回復していく。回復は常に早めに行い味方の戦線を崩させない。アリクイに舐められた者はすかさずクリアカースでフリーズ効果を解除する。回復を任せられる味方がいる。それは全体の士気に大きく作用する。まさに縁の下の力持ちとしてこのチームを支えている。
「いくよっ!」
己が速度をその刃に乗せ、アリクイたちに攻撃を放つのはコール。
今、この時の全力を。もう自分にありもしない限界なんて作らない──。
自身の心の奥底にある臆病さ。大事な場面で一歩前に出れない自身の不甲斐なさ。それを頭では理解しながらもずっと前へ進み出せなかったコール。だがある時そっと伝えられた一言はコールの心に深く響き、それは踏み出す勇気へと彼女を変えた。
(一歩ずつでいい。自分の力で少しずつでも前に進むんだ)
コールの中には未だ様々な葛藤が渦巻いている。けれども今この瞬間、自由騎士として敵と対峙するコールには迷いは無い。心を決め前へ進む気持ちにはもう揺らぎなど無いのだ。
(だいぶ数も減りましたね)
数を減らす事を第一に考え、動いていたティルダ。味方が攻撃している個体にあわせるようにアイスコフィンを打ち込みダメージを集中させる。そしてこの作戦は見事に功を奏し、気付けば半数以上のアリクイがすでに浄化されている。
「もう一息だな」
ウォーモンガーで自らを奮起させたヨツカが太刀に今一度力を込める。そこから渾身の力で叩き込まれた一撃は一匹、また一匹とアリクイ達を倒していく。
「あと少し!」
「もう少しですわ!」
「終わったらご褒美!」
「まだまだ踊り足りないよっ!!」
「この呪術の力、イ・ラプセルのためにっ」
「もっと……もっと強く!!」
フレデリックが敢えてルーキーたちを組ませ、討伐に向かわせた意図は様々ある。
それぞれがそれぞれの目的や理想のため、全力を尽くす。お互いを認めあい、協力し、そして高めあう。
戦闘を通じて様々な事を学び、考え、そして実践した6人の精鋭たちは今まさに自由騎士団の新たな力としての存在感を醸し出そうとしてた。
「これで最後だっ!」
コールの放った風の刃が最後のアリクイを打ち倒す。
「きゅぉぉ……ぉ……」
こうして豊かな森のイブリース騒動は高き志を持った自由騎士達によって鎮静化したのであった。
●
今回参加した自由騎士達にとって待ちに待った時間。
食べ隊としての活動──そう、ヘイガル島で独特の存在感を放ったはらぺこ集団のもぐもぐタイムが今、始まる。
「今回は皆さんで食べ隊、ですね!」
そういって笑顔を見せるのはキリ。
「ご褒美タイム! なのです!」
わぁわぁくだものくだもの、とリグも興奮気味だ。
「採りすぎなければすきなの食べていいのでしょうか、いいのですよね?」
そう言うとリグは豊かに実った果物たちを見渡す。
(高いところでお日さまの光をたっぷり浴びてるやつが、きっとすごくおいしいはずなのです)
リグは背の高い自由騎士の手を借りて、目星をつけた果物をゲットしていく。みるみるリグの前に山となる果物たち。
(色とりどりで、見た目も楽しいですね。どれから食べようか迷っちゃいます)
ティルダもまた目の前に広がるフルーツの楽園に目を輝かせる。
「おいしい!」
「本当にねっ」
先だって食べた者達は皆その甘美な味わいに舌鼓を打つ。
「よろしくお願い致します!」
そこへ食べ隊に混ぜてもらおうと、冗談めかしながらもしっかりとした敬礼で皆に挨拶をしたのはコール。その翼を使い、高い位置の果物を集めて回ると皆に配っていく。
「皆で採ったものを分け合うのも良いね……うん、どれも濃厚で、凄く甘みが強い!」
皆で果物をシェアしながら頬張る自由騎士達の周りには、気付けば浄化され元に戻ったアリクイが集ってきていた。
「あっ、もぐ……アリクイさんたちも……もぐ……お目覚めでしょうか。お届け用以外の……もぐ……だったらいっしょに……もぐ……食べてもだいじょうぶです?」
口いっぱいに果物を頬張りながら、リグは丁寧に皮を剝いた果物をアリクイにも分ける。
「アリクイさん、さっきは痛かったですか? ごめんなさいね!」
キリもまたアリクイを優しく撫でながら、手に持った果物を差し出す。戦闘中の鬼気迫る雰囲気はすっかりなりを潜め、その表情は穏やかで優しい。
「あはははっ。くすぐったいってばっ」
突然リグが笑い出す。どうやら口の周りにたっぷりついた果汁をアリクイが舐めているようだ。
「はー! くすぐったかった。でもこれで、アリクイさんも食べ隊のおなかまなのです」
どうやら食べ隊の入隊資格は人に限らないらしい。美味しいものを食べる仲間に人も動物も無いのだ。
「正気に戻ったか?」
ヨツカもまた大人しくなったアリクイを撫でながら果物に手を伸ばす。果物にはあまり詳しくないヨツカだったが、バナナだけその美味しさを知っている。
「そっちのは何という果物なんだ?」
ヨツカが興味を持った一際大きな果物。その果実を割ってみると独特の匂いが辺りを包む。
「とげとげの、これはどりあんといいましたか。なかなかの臭いですがはたして……」
あまりの匂いに鼻をつまむ者もいる中、リグは掬ったドリアンを躊躇無く口に入れる。果たしてその味は……見守る自由騎士達。
「……!!!!!!」
言葉にならない声を上げるリグ。だがその表情を見る限りは相当に美味しいようだ。
女子に囲まれその勢いに若干圧倒されていたヨツカだったが、リグの満足そうな表情を見て覚悟を決め、ドリアンを恐る恐る口に入れる。
「……確かにうまい」
でしょー、といわんばかりの表情のリグ。そこに我も我もとキリやティルダ、コールも加わり更に賑やかになる。
飽くなき美味の探求。それもまた食べ隊の醍醐味なのだ。
「これが、食べ隊……か」
幸せそうに果物を頬張る皆を見ながらヨツカは依頼を無事達成した事を再認識するのであった。
「すみません。ちょっと教えてくださるかしら?」
レオンティーナはアリクイ討伐の報告を受け、様子を見に来た周辺の村人にオススメの果物を聞いていた。
「……ふむ。つまり全部オ味見して気に入ったものをフレデリック様へのお土産にする、だった。
レオンティーナは果物を一つずつ試食していく。一口頬張るたびに笑みがこぼれる。
(……はっ!? いえ、これもあくまで任務の一環としてですよ)
自分に言い聞かせるようにそう呟くと、更に一口。
「あら、おいしい!」
「ねー? どれもおいしいよね」
その時リグが食していたのは戦いの影響で、地面に落ちてしまった果物。地面に落ちて傷ついたものは売り物には出来ないし、足も早い。
(何より元々熟して落ちる直前だったのなら、完熟のじゅくじゅくであまあまなのでは!)
きっとこれは今、ここでしか食べられないもの。そしてリグの予想は見事に当たったのであった。
「こちらもおいしいですわね!」
気付けばレオンティーナの持つカゴは果物で一杯に。
「これだけあれば……きっとフレデリック様も満足なされるはずですわ。……あとこれは──」
そっとカゴに自分用の果物を増やしたのはあえて触れまい、頑張った自分へのご褒美はいつだって必要なのだ。
ティルダとコールのバッグの中もフレデリックへの果物(おみやげ)で一杯だ。
その後、すっかりアリクイたちと仲良くなった自由騎士達はアリクイ達とも楽しく時を過ごした。特にキリは背に乗せてもらったり、もふもふを堪能したりと大満喫。すっかりアリクイの可愛さに魅了されたようだった。
(かわいいよぉ……!!)
こうして新人自由騎士達の長い一日は幕を閉じたのであった。
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
称号付与
『真打!?食べ隊』
取得者: キリ・カーレント(CL3000547)
『任務!?食べ隊』
取得者: レオンティーナ・ロマーノ(CL3000583)
『本家!?食べ隊』
取得者: リグ・ティッカ(CL3000556)
『新参!?食べ隊』
取得者: コール・シュプレ(CL3000584)
『元祖!?食べ隊』
取得者: ティルダ・クシュ・サルメンハーラ(CL3000580)
『驚愕!?食べ隊』
取得者: 月ノ輪・ヨツカ(CL3000575)
取得者: キリ・カーレント(CL3000547)
『任務!?食べ隊』
取得者: レオンティーナ・ロマーノ(CL3000583)
『本家!?食べ隊』
取得者: リグ・ティッカ(CL3000556)
『新参!?食べ隊』
取得者: コール・シュプレ(CL3000584)
『元祖!?食べ隊』
取得者: ティルダ・クシュ・サルメンハーラ(CL3000580)
『驚愕!?食べ隊』
取得者: 月ノ輪・ヨツカ(CL3000575)
特殊成果
『果物詰め合わせ』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
†あとがき†
自由騎士新人としてのお仕事は無事達成。この森の極上の果実は守られました。
MVPは浄化されたアリクイ達を温かく食べ隊に迎え入れてくれた貴女へ。
ご参加ありがとうございました。
MVPは浄化されたアリクイ達を温かく食べ隊に迎え入れてくれた貴女へ。
ご参加ありがとうございました。
FL送付済