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忘れられし雪狼




 戦いは終わった。
 そして、もう始まることも無い。敵も、味方も、全て死んだ。
 きっと、もう使命は終わったのだろう。あとはただ、朽ち果てるのを待つのみ。

 戦いが終わってなお、彼はそこに立ち続けた。
 光届かぬ石壁に囲まれ、夥しい白黒の狼の屍に埋め尽くされたその場所に−−


「サンクディゼールの北、アークヘイブン村から狼の退治依頼が届いた。行ってやってくれ」
『軍事顧問』フレデリック・ミハイロフ(nCL3000005)は集まった自由騎士たちにそう言った。「凶暴なんですか?」自由騎士の一人が尋ねる。
「それがな。襲いかかってきたりはしないそうだ。村の近くに群れで寄ってきて、じっと村の方を見てるらしい。正直実害は無いんだが、何しろ狼だからな。住民が不安がるのもわかる。何がしたいかは不明だが、追い払うしかないだろう」
「殺さなくても?」
「そりゃ、危険じゃなければな。ただ、実力行使が必要なら止むを得ないし、殺すしかないなら仕方が無い。どうするかはお前達に任せる。それから」
 フレデリックは言葉を切り、続けた。「そろそろ寒くなってきたな。北の村はもっとだろう。せいぜいあったかくしていけよ」


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
通常シナリオ
シナリオカテゴリー
魔物討伐
担当ST
鳥海きりう
■成功条件
1.白狼の撃退
 皆様こんにちは。鳥海きりうです。よろしくお願いします。
 白狼の群れを撃退する戦闘シナリオです。白狼がアークヘイブン村に出没しなくなれば成功となります。

 敵及びサブキャラクターのご紹介です。
・狼竜ベイオドラグ
 どこかの遺跡に佇む巨大な存在。全高5m前後、全長15m前後。四足歩行型で翼は無く、全身に黒い鱗を備えている。ボス敵らしく強い。
・白狼 ×15
 アークヘイブン村周辺に出没する狼。今のところ凶暴性は無い。近接攻撃のみだが、戦闘力はそれなりに高い。

 この依頼を成功させるにはいくつかのパターンが考えられます。
 1.ベイオドラグを倒す
 2.白狼とベイオドラグの両方を全滅させる
 3.白狼のみを撃退し、ベイオドラグには会わない

 3を選んだ場合、難易度はそこまで高くありません。2を選んだ場合は表記通りの難易度となります。1は……別ベクトルで表記通りかも知れません。集まった戦力と相談して自由に作戦を立ててみてください。プランは皆様にお任せします。

 簡単ですが、説明は以上です。
 皆様のご参加をお待ちしております。
状態
完了
報酬マテリア
7個  3個  3個  3個
11モル 
参加費
100LP [予約時+50LP]
相談日数
7日
参加人数
10/10
公開日
2018年12月21日

†メイン参加者 10人†

『慈悲の刃、葬送の剣』
アリア・セレスティ(CL3000222)
『我戦う、故に我あり』
リンネ・スズカ(CL3000361)
『おもてなすもふもふ』
雪・鈴(CL3000447)


●近郊
「どうにもピンとこない依頼ですね。裏……と言うよりは隠れた何かがあるような」
 イ・ラプセル北部、アークヘイブン村近郊。『慈愛の剣姫』アリア・セレスティ(CL3000222)は、防寒着の前をかき合わせながらそう呟いた。
「人を襲わない狼ねぇ……やっぱりこの村に何かあるのかしら。近付きたくても近付けない……もしくは何か異変が起こらないように見張ってるとかかしらね」
『水の国の騎士』ライカ・リンドヴルム(CL3000405)は件の狼についてそんな予想を立てる。
「襲ってくる様子のない狼達ですか……何か事情があるのでしょうか? ただ村を見にくるだけ、というのも流石におかしいですし。村に何か狼が気にする理由がある、って事ですよね」
『荒ぶる好奇心』フーリィン・アルカナム(CL3000403)もそう予想する。狼達が村を目当てにしているのは間違いない。問題は、村の何を求めているのか、だ。「うぅ……さ、寒ぅ〜。防寒着を借りてきて本当に良かった……」いつもの布の上はどてらにマフラー。いかにもあったかそうである。
「狼は群れをなす習性があるから害獣になりやすいのよね。あまり認識がないみたいだけれど……一匹狼っていう言葉が独り歩きしてるせいかしら?」
『ヘヴィガンナー』ヒルダ・アークライト(CL3000279)はそんな知識を披露する。確かに、北方の村なら多少なりと狼への備えはしていそうなものである。それがわざわざ本土に応援を求めるというのは、見方によっては大袈裟で、見方によっては鈍重とも言える。ところで彼女はいつもの微妙に露出の多いドレス姿である。「寒い〜! というわけでアリア!」「……マフラーいる?」糸目ながらもアリアはくっついてきたヒルダにマフラーを巻いてやる。
「群で行動する者なら村という縄張りを侵す大事さぐらい分かりそうな物。馬鹿でないのならそのリスクを侵す理由があるはずです。……少し話をしてみます」
『飢えた白狼』リンネ・スズカ(CL3000361)は静かにそう言った。「万が一唯の馬鹿ならそれはそれで私は損はしません。実戦は良い修行になる故に」そしてにやりと笑った。通常運転である。
(狼さん……わるいことしてないのに、退治されてしまうのはかわいそう、です……どんなひと、なんでしょうか……)
『おもてなすもふもふ』雪・鈴(CL3000447)はそう思いながら皆の後について来ていた。寒冷適応。特に防寒着の類は無かったが、心配しなくてもなんか見るからにあったかそうである。
「村を見ているだけで、害のない狼か……何が狙いだ?」
『静かなる天眼』リュリュ・ロジェ(CL3000117)はそう訝しんだ。「とにかく、何をするにしても情報が欲しい。具体的な行動を起こすのは、それからでいいだろう」
「とりあえず狼が出なくなればいいんだよね? 戦わなくて済むならそっちのがいいよね!」
『全力全開!』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)も調査を優先することには同意のようだった。ダークグリーンの軍服の上に煤色のマフラーを巻いている。
「アークヘイブン村か……まずは調査をしたいところだが、どうなるかな……」
『ラスボス(HP50)』ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)はそう呟いた。商人仲間に聞いたところによれば−−アークヘイブン村は古い村だ。差別や迫害があるわけではないが、昨今の情勢やケモノビトの事情には疎い人間が多い。ちょっとびっくりされるかもな、ということだった。
 やがて、彼等の視界に背の低い集落が見えてきた。アークヘイブン村。
 そして、そう遠くない何処かから、狼の遠吠えも聞こえていた−−。

●村
 自由騎士達は、村の調査をする者と狼の群れの調査をする者の二手に分かれ、村に入った者はまず村長の家を訪れた。
「早速だが……これは私の推測だが、白狼達はこちらに友好的なのではないか? そうでなければ襲いかかってくるはずだ」
『達観者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)は村長にそう問いかける。村長はううむ、と少し唸り、答えた。
「そう−−白い狼は、最近この辺りを縄張りにしております。ですが、なかなか頭は良いようで、人間との付き合い方を心得ておるようです。縄張りに入ったり、こちらが敵意を示さなければ、何もされません」
「最近って、具体的にはいつ頃? 前後して変わったことはなかった?」
 ヒルダの問いに、村長は答える。
「秋口頃からでございます。その時は特に問題は起きませんでしたが−−一週間ほど前、死体がいくつか見つかりまして」
「死体? 狼の?」
「はい。白いのと、いくつか黒い狼のも−−」
「黒−−白狼の縄張りはどの辺り?」
「北の森の中でございます」
「率直に聞くけど、何か隠してない? 首都からこれだけ遠い土地だし、まずは地元の駐在軍人や役人に相談するのが普通じゃない?」
「遠いからでございます。中央のお役人はたまにしか来ません。基本的に自分のことは自分でやるしかないのです。それに−−」
「それに?」
「率直に言うと、下手に手を出して村に犠牲が出るのは避けたいのです。あの狼達は頭が良い。中央の方にやって頂ければ、もし失敗しても切り抜けようはあると思うのです」
「……あいつらが勝手にやったことだ、ワシらは知らん、って?」
「どのみち我々だけではあの狼達には勝てません。救援を呼ぶのは同じこと。ワシは村長として正しい判断をしただけですじゃ」
「……わかった。村の安全を守ることは、自由騎士の誇りにかけて誓うわ」
「狼について、何か伝承のようなものはありませんか?」
 アリアの問いに村長は答える。
「白い狼については、何も−−ただ」
「ただ?」
「黒い狼は、昔からおります。森のもっと奥に棲んでおりまして、こちらは縄張り意識が非常に強いのです。不用意に縄張りに近づいて、食い殺された者もおります」
「……それについて、何か言い伝えが?」
「『黒狼は守り人。争うべからず』−−この村の、最も古いしきたりですじゃ」
「守り人−−」
「それについて、詩歌、昔話−−何でもいい。それらしい話があれば、教えてもらいたい。文献などの資料は残ってないか?」
 ロジェの問いに、村長は答える。
「この村の名は、この土地の古くからの有り様から取られておるそうです。アークヘイブン−−大きな避難所、あるいは聖域」
「聖域−−? 聖堂でもあったのか?」
「さあ−−少なくとも、この村にはございません。昔あったが取り壊されたということも。それはワシが請け合いますじゃ」
「……村の外なら、どうだ」
「……森の奥とか、かね?」
 ロジェの呟きに、テオドールがそう返した。

 ライカは静かに歩きながら、村を観察していた。リュンケウスの瞳。超直感。
(十分に開拓され、開かれた地形。地下や周囲に見るべき物も無し。一見何の変哲もない村……変哲が無さすぎる。普通避難所って言ったら、遮蔽物が多い場所を指すんじゃない?)
 何の手がかりも無い、というのも一つの手がかりである。少なくとも、そこは無関係であるという潰し込みは出来る。そこから得られる結論は−−(ここは、アークヘイブンじゃない。本当の『聖域』は、別の場所にある)
「ねえ、大人の人に近づくのが禁止された場所とか、ありませんかー? あとは、大人には内緒の遊び場とか」
 フーリィンは村の子供達に聞き込みをしていた。「もりー!」「もりはね、まようからダメだって。おくにはおおかみもいるし」
「狼? −−その狼って、白いですかー?」
「くろいー!」
「くろいおおかみはね、こわいの。キッカがたべられそうになったの」
「しろいおおかみはね、いいひとなんだよ。くろいおおかみとけんかしてた」
「……喧嘩……」
『もりのなかで、たてものとか、みたことないですか?』
 と書いたスケッチブックを雪が掲げる。「……」子供達が言い淀む。雪も小首を傾げた。
「おくにね、おしろがあるの」
「お城?」
 フーリィンが訊き返す。「キッカがね、おおかみからにげるのにおくにいっちゃったの。おいかけたらおしろがあって、おおかみがいっぱいいたの。すごくこわかった」
「おこられたきがしたんだって。ここからさきにはいったら、こどもでもゆるさないぞって」
 子供達の言葉に、フーリィンと雪は顔を見合わせた。

●白狼
 リンネとカーミラ、ウェルスは村の外で白狼の群れと対峙していた。ウェルスはやや後方に位置し、周囲に睨みを利かせている。
「こんにちは。イ・ラプセル自由騎士団のリンネ・スズカです」
 まずリンネが自己紹介した。白狼の数体が唸りを上げる。驚くような、笑うような。『面白い』
『もっと難儀するかと思ったが、都合のいい奴が現れたな。会話が通じるとは』
「人間の縄張りにここまで近づくには、それなりの理由があるのでしょう? 襲うのでないなら−−何か、話があるのでは?」
『そうだ。お互いにとって、とても重要な話がある』
「なんでこの村を見てるの? 村の人たちが迷惑かけたり、なんか悪いことしちゃった?」
 続いてカーミラが問いかける。白狼は答えた。
『いや。頼み事だ』
「どんな頼みだ? 何故俺達に?」
 ウェルスが問い、白狼は続ける。
『我々は北の白狼旅団。越冬の為に秋から南下し、この近くの森の奥の遺跡に宿を求めた。−−そこで、黒狼の群れと衝突が起きた』
「……要するに、縄張り争いですか」
『敵もさるものだったが、我々も歴戦の勇士揃い。多少の犠牲は出たが勝利し、黒狼を最後の一匹というところまで追い詰めた。−−そこで、その黒狼が竜になった』
「え、竜? 竜って言った? 狼が?」
『恐るべき大きさに巨大化し、全身に鱗が生え、その牙と爪はより鋭く長くなった。あの力と禍々しさは竜と呼ぶ以外にない。これ以上の交戦は危険と判断し、我々は一時撤退した。−−お前達にあの竜を倒してほしい』
「頼みは分かった。で、何故俺達に?」
『古来より、竜を狩れるのは同じ竜か人間のみ。この仕事を頼めるような竜はもう生き残っていない。あとは人間−−お前達が頼りだ』
 三人は顔を見合わせる。「どうしたもんかね」
「その、狼竜とやらに会ってみましょう。そちらの話も聞く必要があります」
「そうだね! お話できたら、村や狼の事を伝えてみよう!」
「平和的無血解決、といけばいいがな……」
 三人の背後から声が聞こえた。振り返ると、村の調査を終えた自由騎士達が歩いてくるところだった。

●狼竜
「こっちだ。森の奥に大昔の廃墟みたいのがある。ホーリーシンボルみたいのが壁に書いてあったから、たぶん聖堂か神殿とかだな」
 合流した自由騎士達の元に、森へ斥候に出ていた自由騎士も戻ってきた。「流石だね。大丈夫だった? 黒狼に襲われたりしなかった?」アリアが尋ねる。
「−−見れば分かる。森の中は安全だ。請け合うぜ。少なくとも、遺跡に入るまではな」
「? −−ありがとう」
 自由騎士達は森の多くへと進み、やがてその遺跡を発見した。風雨に浸食され、草木に覆われたそれは小山に開いた洞窟にも見える。しかし、舗装された形跡のある道、壁や柱の残骸と思われる周囲の石が、そうではないことを匂わせていた。「大きい……子供達には、お城に見えたのかもしれませんねー……」
 そして、その周囲に散乱する、大量の黒い狼の死体。「……派手にやったわね」「白狼のものはほんの少し……白狼旅団の旦那方、口だけじゃなかったみたいだな」
 自由騎士達は遺跡の中へ踏み込む。内部は広いホールのような空間になっていた。そこにも、夥しい白黒の狼の屍が倒れている。
 そしてその中央に、黒い鱗に身を包んだ巨大な獣が佇んでいた。翼こそないが、確かにその威容は−−竜と呼ぶ以外にない。「いたな……さて、どうする……?」
「話してみますね。−−聖域の守り人よ。アークヘイブンの村から参りました」
 アリアがテレパスを送る。狼竜が振り向いた。『去レ』
「……貴方は何を望んでますか?」
 リンネが問い、狼竜が答える。『去レ。他ニ望ムモノナド無イ』
「……」
 ヒルダが歩み寄り、狼竜に触れた。接触感応。「私達の目的は村の防衛。村を襲わないなら、敵対する気は無いわ」
 狼竜はヒルダを見下ろし、答える。
『去ラヌナラ−−侵入者ノ排除ヲ実行スル!』
 狼竜の爪がヒルダに振り下ろされる。ヒルダはすんでのところで避けた。「この感じ−−すでに正気を失ってる!」撃鉄を起こす。
「突如怪物化し、正気を失う−−イブリースね」
 ライカは呟き、疾った。ヒートアクセル。命中。狼竜の脚を打ち据え、狼竜がその巨大な顎を開いてで襲いかかる。回避。ライカはバックステップで避けた。
「翼持たぬ竜の脅威は、前面の牙と爪、後方の尾−−即ち、狙うべきは側面! だって!」
 竜の神話。カーミラは狼竜の側面に回り込んだ。震撃。カーミラの蹴りが狼竜の腹に打ち込まれる。反撃。狼竜の爪をカーミラはサイドステップでかわす。
「もしやとは思っていたが……イブリース化したのは憎悪のためか? それとも−−」
 アイスコフィン。テオドールの放った氷塊が狼竜に撃ち込まれる。フリーズ。狼竜の動きが大きく鈍った。
「ならば……狼竜よ、お手合わせ願いましょうか」
 無間白撃。リンネの寸勁が狼竜に打ち込まれる。凍結を受けた狼竜からの反撃は無い。
「説得の通じないイブリースか……やるしかないな」
 エコーズ。ロジェが薬瓶を投擲する。命中。瓶が魔力の爆発を起こし、狼竜が苦悶の呻きを上げた。
「嬢達の攻撃、旦那方の攻撃を見るに……魔法攻撃が有効か!」
 ウェルスはエコーズを選択した。魔法弾を装填し、放つ。命中。破砕。魔力の弾丸が狼竜の肩口と、その身に纏わり付いた氷を破砕した。
 敵が動く。狼竜は手近にいたリンネを狙った。攻撃。命中。狼竜の爪がリンネを斬り裂く。「っ! ……そうでしょうね。白狼でもあり、人間でもある……さぞかし気にくわないでしょう……!」
「なればこそ!」
 反撃。リンネの針が狼竜に撃ち込まれる。
「リンネさん、回復しますねー」
「ぼ、ぼくも……」
 フーリィンと雪のハーベストレインがリンネの傷を癒す。「これはどうも」
「異形と化しても、護り続ける……ならば、私も−−!」
 影狼。アリアの剣が狼竜を斬り抜ける。反撃。回避。振り上げられた狼竜の尾をアリアはサイドステップでかわす。
「イブリースなら−−手加減はしないわ!」
 ゼロレンジバースト。ヒルダの二丁拳銃が火を吹き、狼竜を吹き飛ばす。直撃を受けて狼竜は大きくバランスを崩した。
「そこ!」
 ライカが踏み込む。ヒートアクセル。関節を狙ったライカの拳は狼竜の前脚を砕いた。反撃。狼竜の牙をバックロールで避ける。
「もらったー! 我流・神・獣・撃!」
 さらにカーミラの渾身の拳が狼竜を打ち据える。しかしまだ狼竜は倒れない。反撃。命中。狼竜の爪がカーミラを斬り裂く。「っ! このくらい!」
「凍結は有効か……援護しよう」
 テオドールのアイスコフィンが再び命中し、狼竜の動きを止める。
「……一旦休憩です。カーミラさん」
 動きが止まったのを見て、リンネはカーミラを回復した。「ありがとー!」
「このままいけるか……?」
 ロジェが再びエコーズを投擲する。魔力の爆発で狼竜が片肘をついた。
「もらった−−悪く思うなよ、黒狼の旦那!」
 エコーズ。ウェルスの放った魔力の弾丸が狼竜を撃ち抜く。重苦しい呻きを上げ、狼竜の巨体が地に倒れた。「もういいんだ……ゆっくり眠りな」狼竜の巨体が黒い霧となって消える。
 後には、最後の黒狼の死体だけが残った。

 戦いの後、雪が遺跡の周りに狼達の墓標を立て、彼らを埋葬した。ライカはその周囲に花の種を蒔いた。いつか命が芽吹くように。ちなみに蒔いたのは持参した南国フルーツの種である。
「−−あ、雪」
 粉雪が降る中、依頼を終えた自由騎士達は森道を帰路に着いた。
 もはや人間も寄り付かない。獣達も眠り、白雪が全てを覆い尽くす。−−聖域の静寂は、暫くは破られないだろう。

†シナリオ結果†

成功

†詳細†

特殊成果
『白狼の牙』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
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