MagiaSteam
拠点? とんでもない。キノコ狩りのための小屋ですよ




「皆様。ラ・イプセル北部の森は深いのですわ。茸取りに行くと迷子になって帰れなくなってしまいますの」
 マリオーネ・ミゼル・ブォージン(nCL3000033)は、大変なことですわ。と、付け加えた。
「今年もたくさんの方が森から帰れなくなってしまう悲劇は避けるべきだと思いますの。ですから、見張り小屋が入用ですわ。それと、そこで見張りをする方々のための設備もですわね。そう思われませんこと?」
 いつの間にか海を渡ってやってきて、勝手に生え散らかしてるようなのは狩るべきだ。そうだろう? キノコの話をしているんだよ、分かるね?
「お出ましになるなら、準備を怠らないでくださいませね。食料、弾薬、装備、井戸もあった方がいいでしょう。獣もいますのよ。何が現れても大丈夫なようにしなくては」
 森は危険だからいろいろ備えないとね! 調べなくちゃならないこともいっぱいだよね。あくまで、キノコ狩りのためだよ!? 何か思いついても口に出しちゃだめだよ!?
「森に入る方の手助けになるようにしなくてはいけませんもの。物見の塔も必要ですわよね。でも、現地に行ったことのないわたくしでは思いつかないものもきっとたくさんあるでしょう」
 プラロークは、ハンカチの下でゆっくり微笑んだ。
「現地で、みなさんの思う、北の森の「キノコ狩り」に必要な、素敵な見張り小屋の算段を付けてきてくださいな。小屋でなくとも全然かまいませんのよ。手が足りないようなら人は後ほど手配いたしますから。そうですわね。構想というか、方針を作ってきていただきたいの。もちろん、実際試しに建ててきてくださったりしてもかまいませんのよ?」
 それで。と、プラロークは、皆様、たとえ話はお得意でして? と、小首をかしげた。
「森のキノコの話なのですけれど、先日キノコが追いかけてきた蝶々さんがこちらにいらしてるのはご存知でしょうけど、我々がどのくらいの情報を持ち、どのくらいの規模で共有しているかはご存じないと思いますの。ですから、皆さんから向こうにばれてしまうのはとてもとても避けたい事態ですわ。キノコが作業中の皆様の様子を見に胞子を飛ばしてくるかもしれません。摘まれたらいやですものね」
 うぅふぅふぅぅ。と、プラロークはゆっくりと笑う。
「ですから、あくまで『キノコ狩り』ですわ。相手を警戒させるような言葉は相談して、全部符丁になさって下さいましね。とっさに思いついてしまったときは、頑張って伝わるように言い換えていただきたいのですわ。それでは、皆様、本当にキノコを摘むのをお忘れにならないで下さいね。キノコ狩りに来て、そのための小屋を建てて、キノコも狩らずに帰ってきたら、傍から見たら、ただのお間抜けさんですわ。そう思われませんこと?」
 物騒な顔をしているオラクルにプラロークはくぎを刺した。
「粘菌の方ですわよ。首を下げてこないでくださいましね」
 マリオーネさん。それを言うなら笠です。「森のキノコ」なのですから。


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
通常シナリオ
シナリオカテゴリー
自国防衛強化
担当ST
田奈アガサ
■成功条件
1.「キノコ狩りのための小屋」を立てる算段を付ける。
2.「森のキノコ」に警戒させない。言動に気を付ける。戦闘不可。
3.本物のキノコを狩ってくるのも忘れない。
 田奈です。
 ブレインストーミングで小耳に挟んじゃった。
 気になるところは守らなくてはならないんじゃないかなー。
 (今のところは)キノコ狩りのための小屋だよ。遭難したら大変だから見回るよ。備えあれば患いなしだよ。ねー。
 表向きはね。
 ぶっちゃけ、北部森林地帯の砦設置のための布石だからね。これ、相手に悟られちゃだめだからね。



 色々国防関係の調整が難しいので、便宜上「キノコ狩り用の拠点としての小屋」です。何を意味しているのかお分かりですね? お分かりじゃない方は、お分かりっぽい人にラウンジとかで聞くた、ブレストをのぞいてください。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥。
  
 特別ルール:国防に関わる単語は言ってはいけない。符丁でしゃべる。
 みなさんは、「キノコ狩りで遭難する人がいないように見張るための小屋を建てに来た」自由騎士団の方たちです。
 相手を警戒させるような言葉使ったら、ダメ。絶対。当然戦闘行為はありえない。
 具体的にはNGワード三つでたら失敗になります。
 ですので――。
(重要)使いそうな単語はみんなでキノコ狩りに使う言葉っぽく符丁を作ってください。
(重要)事前に何をしたいか、きちんと情報共有しておく。現地でずれが生じたら、それは面白おかしいことになります。やりたいことは符丁化しておく。キノコ狩り的に理由をつける。


 場所:北部森林地帯
「深い」としか情報がないことでお察しください。
 遮蔽物が多いので、索敵は難しいでしょう。
 しかし、皆さんはキノコ狩りの準備をしているので、「森の獣」に警戒はしても「侵入者」に警戒していたらおかしいのです。
 

 斧とかのこぎりとか加工済みの木材とか必要なものは必要なだけ用意されます。
 ですが、大砲設置するとか、「あからさまに軍事拠点」なアイテムはなしです。
状態
完了
報酬マテリア
1個  1個  5個  1個
16モル 
参加費
100LP [予約時+50LP]
相談日数
6日
参加人数
8/8
公開日
2018年10月04日

†メイン参加者 8人†




「エドワード様の改革はまあ、なんつうか強引だったのは否めないけど、それでも国家転覆まで狙うようなテロリストはこの国にはいないよ。できて、大規模な建築計画に反論するいやがらせくらいだろうな。あ、俺がそんなこと言ってたとか内緒な?」
――ヨアヒム・マイヤー。港にて。ただの噂さ。


 荷馬車でやってきたオラクル達は、目的の場所に到達した。
 騎士然とした男が二人。足が機甲の男に異国の軍服の男。それに、身分卑しからぬ令嬢に異国の娘、ウサギ頭の娘にウサギ耳の野伏。
 脈絡がなさそうな集まりだ。よその国では珍しいだろうが、イ・ラプセルではよくある。
「キノコ狩りの季節ですわー!!」
 パンパカパーン。
 晴れやかに朝の空気の中にこだまするファンファーレのごとき『ライバルは女海賊』ジュリエット・ゴールドスミス(CL3000357)の一声。
 そんなジュリエットをティラミス・グラスホイップ(CL3000385)が耳をピコピコさせつつ見ている。
(愛する人のために曲者ぞろいの自由騎士団を駆け上がっていく貴族令嬢)
 そんなジュリエットをティラミスは応援している。乙女は、現実で乙女している乙女が好きなのだ。
 足が機甲の男――『蒼影の銃士』ザルク・ミステル(CL3000067)に目的を尋ねたら、朗らかにこう返すだろう。
「そう。キノコ狩りだな。そのための拠点作り」
 これは砦ではない。と、プラロークは言っていた。
 あくまで産業基盤と国民の命を守るための安全策である。「後々キノコが狩りやすくなるし、どんなキノコが生えてるかも発見しやすくなるしな」
 笑顔がもう少しさわやかなら満点だった。
「キノコ狩りを見張るための小屋を建設するのだな、承知している」
 ランスロット・カースン(CL3000391)の表情がまだ国防騎士団の国家鎮護の意志くらい堅い。
「秋といえば食欲の秋。そして食欲の秋といえば勿論キノコさ」
 元々素養はあったかもしれない『挺身の』アダム・クランプトン(CL3000185)は、大分柔らかくなってきた。
「美味しいキノコをたくさん採る為にもしっかり小屋を建てようか」
 朝日に笑顔がまぶしい。甲冑でレフ板効果も上がっている。
「……少しでも役に立てるよう、がんばるよ」
 故郷を飛び出し、一念発起して自由騎士団入り。トット・ワーフ(CL3000396)も同じだ。
 『一刃にて天つ国迄斬り往くは』カスカ・セイリュウジ(CL3000019)に同行する予定なのだ。
「近頃この近辺に多い【外来種】のキノコがどうやら【生態系】を乱しているようですね」
 今日のカスカは、愛刀・逢瀬切は帯刀していない。
「よって、それらの【分布地帯】や【侵入経路】を推察する為に森中の捜索を行います」
 すでにカスカの発言の中に符丁が混じっている。
『近頃この近辺に多い魔女狩りが侵略行為をしているようですね。よって魔女狩りの侵入経路・潜伏地帯を推察する為に森中の捜索を行います』である。
カスカの持つ身の丈の倍以上ある棒は、庭師としてお務めしているためか苦にならないようだ。
 トットも田舎で何人いるんだか誰も把握していない兄弟にもまれつつ、野山を駆け回って育ったのだが、そんな長い棒が必要な局面にあったことはない。あったら便利だったろうなとは思うが。カスカの出身だというアマノホカリの山には一体何が住んでいるのだろう。
 そんなカスカを見つつ、同郷・同種族の『異邦のサムライ』サブロウ・カイトー(CL3000363)は何かを連想しかけて即消去した。ソレイジョウ、カンガエテハイケナイ。


「さて、【外来種】やその【胞子】も気になるが。足場を固めるためにまずは小屋作り」
 ザルクの言にみなそれぞれ得物を手にする。
(不法入国者やその諜報活動も気になるが――)と、オラクルは脳内変換する。ここに来るまで、符丁はみっちり相談のときからすりあわせしてきたのだ。
「見張り小屋の他、井戸、納屋、キノコタワーなどを建てるなら仕事は多い、協力し手分けして当たろう」
 ランスロットの意見は建設的だ。
「俺は肉体労働に注力しようと思う。資材運搬から整地、土台作り、実際の大工仕事等だな」
 頼りがいがありそうな意見。
「立地は奥へ入り込みすぎず、かつ木が生い茂ってすぐには判らん場所が良いだろう」
 隠蔽性は妥当だが、遭難した一般人が見つけにくいのは本末転倒。後に、『なんでそんなところに建てたんですか?』と、指摘が入った時に困る。
「――キノコ狩りの人々に幽玄な雰囲気を味わって貰う為だ」
 陽気で明るい雰囲気を好むイ・ラプセルにおいて、幽玄推しは割と苦しい。
「そこで、キノコタワーですわ!」
 ジュリエットの高らかな提案。
「キノコ狩りに興じる皆さんのためのランドマーク!!」
 森の中に建造物があれば目印になって遭難の危険性は減る。
「わたくしの細工師の技能をもとに、そびえたつキノコの如き建物を設計致しますわ! 何処からでも視認できるように天高く! そして、キノコの傘を思わせる屋根を付けましょう!」
 キノコのような塔を建てる気満々である。目がマジである。脈々と受け継がれたクリエイターの目である。
「ぜひこちらも作ってみませんこと?」
 時間が余るようでしたら。と、前置きされたが、これ、時間的に無理。と言ったら、確実に膝から崩れ落ちる案件だ。プラロークでなくてもわかる。
「【キノコ狩り】の観光客だとか、あるいは生態系に害を及ぼす【外来種】の繁殖具合とか。毒々しい色をするでしょうから、【胞子】の様子も見えるかもですね。何にせよ、高所からの観測は必要不可欠、というわけで……」
 サブロウは、キノコタワー建設賛成である。
「イチから建設するのも難儀ですから、いい感じの木を芯に使えませんかね。いわゆる「つりーはうす」と言うやつです」
 手ごろな木を支柱にして、それに付随する施設を付与していけば、土台作りと柱建てなどの作業は割愛できる。
「あるいは後日もっと立派な建造物を――という事になるかもですが、ひとまずはね」
【外来種】の【分布】によっては、そう手間もかけられない。
「監視員が腰を掛けるちょっとしたスペースと、遠目から【貴重な蝶】の目に留まる様な装飾。この2つを軸に、作業しましょう」
「提案なんだが……」
 ランスロットが言うと、厳かに聞こえる。
「いっそ全ての施設にキノコの絵を描くと良いのではないだろうか」
 これが紋章なら違うかもしれないが、キノコの絵。大分軍事施設から遠ざかることは間違いない。
「俺は絵心は無いのだが……言い出しっぺがやるべきという意見も一理ある。――但しその場合、仕上がりに文句は言うな」
 死地に赴くような顔をしたランスロットの様子から、ジュリエットとサブロウは、ランスロットに試しに地面に枝でキノコを書いてもらった。
「「――!」」
 この世におわす神が作り給うキノコの絵じゃなかった。
 絵は、ジュリエットがデザインすることになった。


 一方その頃。少し離れた森の中。
 木漏れ日が差し、赤茶色に染まった落ち葉が地面に敷き詰められている。
 夏場は明確だった高低差がわかりにくくなる。。
 実際、カスカの棒が目の前の落ち葉の山の中にずぶずぶと刺さっていくのを見ると、落ち葉に埋もれて窒息死と言う未来が水鏡もないのに脳裏に浮かぶ。
 なんとなく無言になるカスカとトットに、ランスロットの『キノコです。よろしくお願いします』な絵を見たショックから立ち直れないサブロウが追いついてきた。
「……そう言えば、食べられるキノコの見分け方って分からないんですけど」
 巷にはびこる俗説の全てはただの迷信であるとまで言われるキノコの鑑定は技能がなければ危険だ。
「あ、あの、ウサギに食べても大丈夫なキノコを教えてもらってきた――よ?」
 トットは、そろそろと発言した。ウサギさんが食べられるなら多分大丈夫。
 初依頼で緊張しているが、動物と話せる技能は今この場では値千金だ。
「故郷でも似たキノコがありました。歯ごたえと香りの良さ、健康食としても優秀。見つけたら踊ってしまうほど。地図に分布を書き込んでおきました」
 カスカの語尾に力が入っている。
 アマノホカリの薫陶を受けたヒトは郷愁と美食と旬の食材に巡り合うと高揚するのだ。


 時間は少々前後する。
「――俺は井戸掘りと行くかね」 
 ザルクはスコップを握った。
「まあ任せとけ。実はこう見えてサバイバルやスコップの扱いには自信があるんだ」
 掘ってよし、振り回してよし。打突によし。スコップは兵士の友だ。
 荷馬車に積まれたお道具箱から、直角に曲げられた金属棒が二本。
 ザルク以外の全員の顔が無言で言っている。『――その棒を何に使うんだ?』 集中する視線。
「水脈を探す」
 ザルクは断言した。若干ドヤ顔。ヘルメリアではそういうの使うの? おまじないなの?
 胸の前で針金棒を握り、辺りをうろうろしだすザルク。
「ぼ、僕は木を切ったりとか草刈りをしようかな!」
 斧と鎌を手に取ると、アダムは木を伐り、草を刈りだした。大男が長得物を振り回すのでリーチが長い。半径2メートルくらいある。
 風貌にうっかりするけど、18歳だ。
 やればやるほど結果が顕著な単純作業ほど楽しいものはない。(これまで日曜大工的なのはした事がなかったから、こう――なんだろうね)
 人目がなければジャイアントスイングよろしく鎌を振り回しながら旋回してしまいたい解放感。
(ワクワクしている僕がいるぞう!)
 思わぬところで自己発見。18才だもの。
「本格的な小屋を建てるのは難しいだろうが簡易的なモノなら建てられるだろう!?」
 やるよね? できるよね? 的な提案と言う名のおねだりである。
「小屋は天井を高めに取り四方を見渡せるよう中二階的な足場を造りたい――展望を良くする為だ」
 もとよりそのつもりだったランスロットが板を運んできた。後ろからふよふよ浮いている板の山はティラミスが念動力でやっている。
「だが窓は小さめにして数を多くするべきだろう」
 と、ランスロットは言う。けっして銃眼ではありません。
「――森は冷えるので大きな窓では寒いし、胞子が吹き込んでくるからな」
 そうです。ランスロットの言う通りです。
「何なら窓を二段にしても良い、窓の下には細長い物が置ける台も必要だ」 
 弓でも矢でも銃でもなくて、そう、置くのは森歩き用の棒だから!
 聞いているアダムのわくわくは止まらない。
「そうだね、小屋周辺にぐるっと穴を掘るのはどうだろう」
 ランスロットが一歩踏み出す。
「堀は必ずしも深い必要はないのだ、段差があるだけで充分足止めになる……野獣の、だぞ」
「万が一キノコの胞子が飛んできても穴があれば落ちて小屋まで飛んでこれなくなるかもしれない――穴の更に内側に柵を立てれば尚良しかな。他は所々に杭を設置して胞子の移動を制限して一網打尽にしやすくする、とかどうだろう!」
 アダムが熱弁を振るう。
 獣が怖いんです! ほら、命からがら逃げてくる人がいるかもしれないじゃないですか! 決して、塹壕とか、落とし穴とか、そんなことは考えてないです!
「鳴子、仕掛けてきたわよ――獣よけの」
 カスカとトットとサブロウがいい感じに森歩きを楽しんで帰ってきた。
 大まかだった地図には、正確な高低差やおいしいキノコの植生、【外来種】の痕跡やらが書き込まれている。鳴子を張った位置も。大きな【獣】が通った痕跡も。
 ジュリエットがこの木でなくてはならない。と目星をつけた木に梯子がかけられた。後日改めて職人が来るだろう。
 年相応に明るく笑う「王子様」をばっちりウォッチしながらジュリエットは家名にかけて華麗なキノコタワーのデザインを起こしていく。
 それに熱い視線をそそぐティラミスは、定期的に刊行されるロマンス小説をむさぼり読む乙女の顔をしている。やだこれ現実。尊いです。応援します。推せます。
「今噂になってるジュリエットさんとお会いできて嬉しいです、ふふ」
 ザルクは、スコップを小脇に抱えて、棒を掲げ持ちながらずっとうろうろしている。
 当のザルクは涼しい顔だ。丹念に歩き回り、針金の先に視線を集中させている。
 小屋から離れては意味がない。出来た井戸に【毒キノコ】の【胞子】が入ったら困る。程よい位置の程よい水源。妥協はしない。
 やがて、ぱかぁ。と、胸元に掲げられた針金が動いた。
「かなりてこずったが……よし、ここだな」
 ここが急所だと言わんばかりに、地面にスコップを突き立てる。
「ここを掘れば水が出るはずだ。きっと、な」
 ザルクは地面を掘り出した。特別動きが早くはないが、あっという間に姿が見えなくなった。動きに無駄がないのだ。
「……よっしゃ。いい感じだ」
 オラクル達が近づいていくと、ちょうどザルクが自分が掘った穴から這い出てきたところだった。
「あとはこれを汲めるようにつるべの仕掛けを置かないとな。井戸の加工も必須か。やることは多いな」
 足元が濡れている。のぞき込む穴の底でキラキラしているのは湧き出た水だ。
「とはいえ長期間の【キノコ狩り】には安定した水場が必要だ。上手いこと確保できてよかったぜ」
「ここが水源」と、立て看板が立てられた。
 

 一休み。
「せっかくだから、一足先に秋の味覚を堪能してしまいましょうか」
 板運びが一段落したところでティラミスが言い出した。
「料理得意ですよ、錬金術は台所からってよく言うでしょ? 」
 森にキノコを焼くいい匂いが漂う。ほっこり。
 いや、取り立てを食べなきゃ怪しいだろ。作戦の一環として。達成感と共に飲み込むキノコ。成程、遭難の危険を犯しても食べたい美味。
 プラロークに渡す本物のキノコもちゃんと採った。ジュリエットが「美味しいキノコを一番多く採るのはこのわたくしでしてよ!!!」と、張り切ったのだ。
「マリオーネさん笑うとちょっと怖いときがあるよね。これなら、叱られたりしないよね?」
「もちろんですわ!」
 乙女の熱い視線をスルーし、34歳未亡人の笑顔におびえるアダムは18歳。
 怖いと思ってるのマリオーネさんには内緒にしてほしい。という姿が場の笑いを誘う。
 彼の今後の成長が望まれる和やかな秋の初めの一日だった。思った通り。と、ランスロットは満足げだった。

†シナリオ結果†

成功

†詳細†

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