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闇鍋る

●
「寒くなってきましたなぁ……」
『ヌードルサバイバー』ジロー・R・ミタホーンテン(nCL3000027)は買い出しの荷物を抱えながらふるふると体を震わせていた。上、着れば? という突込みはできれば無しにしていただきたい。
「そういえば……ワタシがまだ若かったころはこんな寒い日にはよく鍋を囲んでおりましたなぁ」
遠い日を思い出すように懐かし気な表情を見せるジロー。
「そういえばこの間仕込んだ熟成麺がそろそろ食べごろ。これは……ひとつ催しますか」
ほどなく自由騎士たちに届いたのはジローからの招待状。
そこには「Let's enjoy YAMINABE」という謎の言葉。
混沌渦巻く阿鼻叫喚の宴が今始まる──。
「寒くなってきましたなぁ……」
『ヌードルサバイバー』ジロー・R・ミタホーンテン(nCL3000027)は買い出しの荷物を抱えながらふるふると体を震わせていた。上、着れば? という突込みはできれば無しにしていただきたい。
「そういえば……ワタシがまだ若かったころはこんな寒い日にはよく鍋を囲んでおりましたなぁ」
遠い日を思い出すように懐かし気な表情を見せるジロー。
「そういえばこの間仕込んだ熟成麺がそろそろ食べごろ。これは……ひとつ催しますか」
ほどなく自由騎士たちに届いたのはジローからの招待状。
そこには「Let's enjoy YAMINABE」という謎の言葉。
混沌渦巻く阿鼻叫喚の宴が今始まる──。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.闇鍋を楽しむ
ご無沙汰しております。麺です。
お鍋の季節がやってまいりました。
実際のところ闇鍋ってやったことがある方はどのくらいいるのでしょうか。
麺の経験は……2度。どちらも〆ができる状態ではありませんでした。
●ロケーション
ジロー宅。夕方集まり朝までコース。
●このシナリオの楽しみ方
みなで闇鍋を囲みます。人をダメにする魔道具コタツにセットされた鍋の卓がたくさん用意されており、それを一卓4人で囲みます。
持ち込む鍋の材料は一人3つまで。最低一つは普通は鍋に入れないものを持参していただければと思います。 〆の麺がおいしく頂けるかは参加された皆様次第。
鍋は各自持ち寄った食材+ジローがランダムで一品投入します。
同じ鍋をつつきたいメンバー(NPC含む)がいる場合は指定をお願いします。
複数の鍋(卓)を掛け持ちすることは可能ですが、一つに集中されたほうが描写は多くなります。
人数が足りない場合はNPCが参加します。
あ、あと闇鍋を最大限楽しんでいただくために暗視などを使うのは禁止ですよ。ズルした場合は……ふふふ。
より混とんをお望みであれば覚悟完了とそっとご記載ください。
●同行NPC (各自鍋に入れる予定の食材記載)
ジロー・R・ミタホーンテン(nCL3000027)
・鶏肉 ・白菜 ・バナナケチャップ
テンカイ・P・ホーンテン(nCL3000048)
・鴨肉 ・ネギ ・梅干し
ジョアンナ・R・ロベルトドーン(nCL3000052)
・ロース ・カルビ ・骨
エミル・T・デルモンテ(nCL3000062)
・謎の粉 ・謎の液体 ・謎の固形
様々な常識が変わった2020年も残すところあと少し。
みなさまの参加お待ちしております。
お鍋の季節がやってまいりました。
実際のところ闇鍋ってやったことがある方はどのくらいいるのでしょうか。
麺の経験は……2度。どちらも〆ができる状態ではありませんでした。
●ロケーション
ジロー宅。夕方集まり朝までコース。
●このシナリオの楽しみ方
みなで闇鍋を囲みます。人をダメにする魔道具コタツにセットされた鍋の卓がたくさん用意されており、それを一卓4人で囲みます。
持ち込む鍋の材料は一人3つまで。最低一つは普通は鍋に入れないものを持参していただければと思います。 〆の麺がおいしく頂けるかは参加された皆様次第。
鍋は各自持ち寄った食材+ジローがランダムで一品投入します。
同じ鍋をつつきたいメンバー(NPC含む)がいる場合は指定をお願いします。
複数の鍋(卓)を掛け持ちすることは可能ですが、一つに集中されたほうが描写は多くなります。
人数が足りない場合はNPCが参加します。
あ、あと闇鍋を最大限楽しんでいただくために暗視などを使うのは禁止ですよ。ズルした場合は……ふふふ。
より混とんをお望みであれば覚悟完了とそっとご記載ください。
●同行NPC (各自鍋に入れる予定の食材記載)
ジロー・R・ミタホーンテン(nCL3000027)
・鶏肉 ・白菜 ・バナナケチャップ
テンカイ・P・ホーンテン(nCL3000048)
・鴨肉 ・ネギ ・梅干し
ジョアンナ・R・ロベルトドーン(nCL3000052)
・ロース ・カルビ ・骨
エミル・T・デルモンテ(nCL3000062)
・謎の粉 ・謎の液体 ・謎の固形
様々な常識が変わった2020年も残すところあと少し。
みなさまの参加お待ちしております。

状態
完了
完了
報酬マテリア
0個
0個
0個
1個




参加費
50LP
50LP
相談日数
7日
7日
参加人数
10/∞
10/∞
公開日
2021年01月02日
2021年01月02日
†メイン参加者 10人†
●
「いや、これダメだろ」
こんな時代だし、食材を無駄にはしたくない──始める前はそんな事を考えていたウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)だったのだが。
目の前のたぶん鍋であろうもの。それを感じてしまってはこう言わざるをえなかった。
「何故こんなことに……」
頭を抱えたのは『智の実践者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)も同じだった。
闇鍋を知らず、従者に渡されるがままの材料を持ち寄ったテオドールだったのだが、誘われるがままこの卓についてしまった事を後悔していた。
「あら……具が……全部溶けてしまいましたね」
そんな鍋の状況にもエミルはいつもと変わらぬ様子。ウェルスの油揚げも、海苔も、麦茶も。テオドールのラム肉も、エリンギも、ドライフルーツも。もちろんジローの具材も。エミルが謎の何かを入れるたびに珍妙な変化を起こし、すべて入れ終わる頃には具材のほとんどが出汁と一体化していた。
「なんだか……固形の手触りが全くないんだが……」
「うむ。それに……鍋のだし汁に粘度を感じる……」
暗闇の中、頼れるのは鍋に突き刺した箸から感じる感触と匂いのみ。だがその感触と匂いは明らかな危険信号を発している。
だがそれでも進まねばならぬ。行きつく先が分かっていても進むしかないのだ。
無様なところは見せられぬ。貴族としての振る舞いを重んじるテオドールがとった行動。それは顔を青くしながらも、少々用事ができたと席を立つことのみであった。取り分けた器にはまだ半分ほど「ナニカ」が残っていた。
「お嬢にも今年一年世話になったな。来年もまだいろいろあるだろうけど、よろしく頼むぜ」
すべてが溶け込んだ汁を一気に飲み干したウェルス。遠のく意識の中、エミルに笑顔でそう伝えるとそのまま気を失った。その様子を見ていたある者はのちにこう語る。穏やかな表情を浮かべるウェルスの顔には一片の悔いも感じられなかった、と。
そして途中で席を立ったテオドール。こちらは意識を失うことはなかったものの、その後数日間謎の腹痛に苦しめられたという。
●
「やみなべやみなべー! 楽しみなのだっ!」
『ひまわりの約束』ナナン・皐月(CL3000240)はどんな鍋かは知らないけれども、楽しみでしょうがない。
「ナナンがが持ってきたのはねぇ! 全部食べられる物だよぉ! ひとつ目はぁ──」
そう言うと元気に具材紹介を始めるナナン。暗くなる前に言ってしまっては面白さも半減……なのだが、そおれそれもまたナナンらしさ、といったところであろう。持ってきた具材もキムチ、大根、牛乳。……うん。なんとかなる。なんとかなるさ。そして食べられないものは入れちゃダメ。よい子の約束だ。
「本当はイクラも持ってこようと思ったんだよぉ? でもお小遣いが……」
少ししょんぼりなナナン。
「まぁ、それはしょうがないな。それにしてもなんだか緑の服を着てこないといけない気がしたんだが……」
まぁそんなことはともかく、と次に具材を入れたのは『帰ってきた工作兵』ニコラス・モラル(CL3000453)。
豚肉も春菊も鍋には定番ともいえる具材。もう一つは……見ようによっては鶏肉に見えなくもない。味も近いと聞く。どれも出汁の味わいを壊さない、ニコラスの配慮が垣間見えるラインナップだった。
しかしこの配慮は残念ながら成就されないのである。……誠に残念ながら。
「それでは美味しい鍋にしましょうね」
『空飛ぶナポリタンの使徒』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)の目標は完食。大地の恵みへの感謝はその行動で自ら示さんとする……のだが。
その具材は「1:ペペロンチーノ」「2:カルボナーラ」「3:ジェノベーゼ」
気のせいだろうか。行き着く先に地獄の業火が見える。
(……そのまま食べた方が美味しい? 鍋に入れるのは勿体ない? いいえ。パスタを入れた鍋は即ちパスタ。つまり今は鍋こそがパスタなのです、おわかりですね?)
アンジェリカ曰く、美味しいものはたくさん入れれば入れるほど美味しくなる。そこに一切の減算は無く、それどころか全ては乗算で増していく、という。
先生! まったくわかりません!! 我々には理解不能です!!
いえ、一品一品はアンジェリカが誠心誠意、丹精込めて作ったもの。味は保証できる。だが……だがしかし悪食持ってるやん……。ニコラスといえば何より身体があったまるといいながらもしっかり生に執着している。こうなると危険なのはナナン……なのか。
「んー? 真っ暗になったのだ?? ワクワクドキドキ! 食べたらきっとホクホクなのだ!」
どこまでも純粋なナナンの笑顔がまぶしい。
「食べねば」
●
「ご一緒できて光栄です!」
『戦姫』デボラ・ディートヘルム(CL3000511)の正面にはテンカイ。闇鍋故にはっきりと見えるわけではないが、それでもデボラにとっては同じ鍋を食べられることが喜びにつながっている。
一方の対角線。こちらには『ウインドウィーバー』リュエル・ステラ・ギャレイ(CL3000683)とジョアンナ。
面識がないのになぜかジョアンナを誘ったリュエル。当然初対面なので会話も弾みようがない。居心地が悪いのかジョアンナの表情も怪訝そうだ。ただのその雰囲気もいざ鍋を食べ始めると変わり始める。
この卓には奇跡が起こっていた。そう、鍋が美味いのである。
それもそのはず皆が肉を持ち寄り、稀にみる肉まみれの鍋。その少々野性味あふれる肉たちもリュエルの生姜が臭みを取り、デボラの蜂蜜によりさらに柔らかさを増す。さらにはジョンアンナの骨が出汁の旨味をさらに深いものにし、テンカイの梅干しが脂分の強い鍋に酸味のアクセントを与える。抜群にうまい鍋に仕上がっていた。
「闇鍋って初めてかんだけどな……こんなにうまいのか!!」
「食べきる……というかこれほんっとに美味しいです。いくらでも食べられますっ」
何をとっても美味い。自ずと箸は進み、会話も弾む。
「折角、皆さまで集まったのですから今年の振り返りなど聞きたいですね。私はといえば……」
デボラが思い出話に花を咲かせれば、ジョアンナは一心不乱に食べている。
この鍋は当たりだ。誰もがそう思った時。そうは問屋が卸さないとばかりに闇鍋の神が降臨する。
「……うっ!?」
リュエルの箸がつかんでしまったものは……骨。出汁を取るという意味では最高の素材である骨。だが食材としてみるとそれは全く異質のもの。
その後、リュエルの骨を砕く音はいつまでも響いていたという。これは後々暗闇に響く謎の破砕音として後々語り継がれることに……?
申し訳ないデボラ。君の覚悟はまた別の機会に。
●
(……みんな、信じているわよ?)
『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)は暗闇の中で祈るように呟いた。
皆が常識的な具材を持ち込めば何の問題もないはず。ジローが作った〆の熟成麺。そこにたどり着く事こそがエルシーの目的であった。用意した具材も蟹に大根と鍋にはぴったりだ。しかしパイナップルは……どうだろう?
(ほら、央華料理にパイナップルが入ったものがあるじゃない?)
エルシーが小声で答えた。──え。これ聞こえてるの? マジで。
「YAMINABEか……試した事は無いが、噂には聞いていたよ。悪魔を召喚する儀式なんだろう?」
若干の勘違いは『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)。しかしこの認識あながち間違いでもない。ただその悪魔は鍋ではなく、炬燵のほうではあるのだが。
「YAMINABEって何でしょう……?」
理解せぬまま参加したものがここにも一人。セアラ・ラングフォード(CL3000634)である。食材を持参する事から料理である事は理解しつつも、それ以外は未知の領域。セアラの期待度は思いのほか高い。所持した具材も主役とは違うものの、出汁に良いアクセントを与えそうなものばかり。
こうして出来上がった鍋は……持ち寄った肉や野菜を果物の甘みがまろやかに包んだなかなかの鍋。暗闇の中で具材を選ぶという行為もまた楽しい。
「はぁ~~~もう働きたくない。もう一歩も動きたくないわぁ」
すっかり炬燵の魔力に吸い寄せられたエルシー。完璧に緩んでいる。
「あぁぁ……僕は目の前の悪魔に、いつの間にか魂を売ってしまったみたいだ……。もう、何もしたくない……」
身の回りのことは全てホムンクルスにまかせ、普段の姿からは信じられないくらいダラダラゴロゴロしているマグノリア。普段隙のない人がふとした時に見せる緩み、こういうギャップっていいよね。
「皆さん、回復は……必要なさそうですね」
もしもの時は、と考えていたセアラもすかり緊張が解け、鍋と炬燵を楽しんでいる。
「さぁ、朝まで飲むぞー! ジローさんもほらっ」
「おお、では一献。いただきますぞ」
こうして宴は朝まで続く。皆の楽しげな声(一卓除く)とともに。
「いや、これダメだろ」
こんな時代だし、食材を無駄にはしたくない──始める前はそんな事を考えていたウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)だったのだが。
目の前のたぶん鍋であろうもの。それを感じてしまってはこう言わざるをえなかった。
「何故こんなことに……」
頭を抱えたのは『智の実践者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)も同じだった。
闇鍋を知らず、従者に渡されるがままの材料を持ち寄ったテオドールだったのだが、誘われるがままこの卓についてしまった事を後悔していた。
「あら……具が……全部溶けてしまいましたね」
そんな鍋の状況にもエミルはいつもと変わらぬ様子。ウェルスの油揚げも、海苔も、麦茶も。テオドールのラム肉も、エリンギも、ドライフルーツも。もちろんジローの具材も。エミルが謎の何かを入れるたびに珍妙な変化を起こし、すべて入れ終わる頃には具材のほとんどが出汁と一体化していた。
「なんだか……固形の手触りが全くないんだが……」
「うむ。それに……鍋のだし汁に粘度を感じる……」
暗闇の中、頼れるのは鍋に突き刺した箸から感じる感触と匂いのみ。だがその感触と匂いは明らかな危険信号を発している。
だがそれでも進まねばならぬ。行きつく先が分かっていても進むしかないのだ。
無様なところは見せられぬ。貴族としての振る舞いを重んじるテオドールがとった行動。それは顔を青くしながらも、少々用事ができたと席を立つことのみであった。取り分けた器にはまだ半分ほど「ナニカ」が残っていた。
「お嬢にも今年一年世話になったな。来年もまだいろいろあるだろうけど、よろしく頼むぜ」
すべてが溶け込んだ汁を一気に飲み干したウェルス。遠のく意識の中、エミルに笑顔でそう伝えるとそのまま気を失った。その様子を見ていたある者はのちにこう語る。穏やかな表情を浮かべるウェルスの顔には一片の悔いも感じられなかった、と。
そして途中で席を立ったテオドール。こちらは意識を失うことはなかったものの、その後数日間謎の腹痛に苦しめられたという。
●
「やみなべやみなべー! 楽しみなのだっ!」
『ひまわりの約束』ナナン・皐月(CL3000240)はどんな鍋かは知らないけれども、楽しみでしょうがない。
「ナナンがが持ってきたのはねぇ! 全部食べられる物だよぉ! ひとつ目はぁ──」
そう言うと元気に具材紹介を始めるナナン。暗くなる前に言ってしまっては面白さも半減……なのだが、そおれそれもまたナナンらしさ、といったところであろう。持ってきた具材もキムチ、大根、牛乳。……うん。なんとかなる。なんとかなるさ。そして食べられないものは入れちゃダメ。よい子の約束だ。
「本当はイクラも持ってこようと思ったんだよぉ? でもお小遣いが……」
少ししょんぼりなナナン。
「まぁ、それはしょうがないな。それにしてもなんだか緑の服を着てこないといけない気がしたんだが……」
まぁそんなことはともかく、と次に具材を入れたのは『帰ってきた工作兵』ニコラス・モラル(CL3000453)。
豚肉も春菊も鍋には定番ともいえる具材。もう一つは……見ようによっては鶏肉に見えなくもない。味も近いと聞く。どれも出汁の味わいを壊さない、ニコラスの配慮が垣間見えるラインナップだった。
しかしこの配慮は残念ながら成就されないのである。……誠に残念ながら。
「それでは美味しい鍋にしましょうね」
『空飛ぶナポリタンの使徒』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)の目標は完食。大地の恵みへの感謝はその行動で自ら示さんとする……のだが。
その具材は「1:ペペロンチーノ」「2:カルボナーラ」「3:ジェノベーゼ」
気のせいだろうか。行き着く先に地獄の業火が見える。
(……そのまま食べた方が美味しい? 鍋に入れるのは勿体ない? いいえ。パスタを入れた鍋は即ちパスタ。つまり今は鍋こそがパスタなのです、おわかりですね?)
アンジェリカ曰く、美味しいものはたくさん入れれば入れるほど美味しくなる。そこに一切の減算は無く、それどころか全ては乗算で増していく、という。
先生! まったくわかりません!! 我々には理解不能です!!
いえ、一品一品はアンジェリカが誠心誠意、丹精込めて作ったもの。味は保証できる。だが……だがしかし悪食持ってるやん……。ニコラスといえば何より身体があったまるといいながらもしっかり生に執着している。こうなると危険なのはナナン……なのか。
「んー? 真っ暗になったのだ?? ワクワクドキドキ! 食べたらきっとホクホクなのだ!」
どこまでも純粋なナナンの笑顔がまぶしい。
「食べねば」
●
「ご一緒できて光栄です!」
『戦姫』デボラ・ディートヘルム(CL3000511)の正面にはテンカイ。闇鍋故にはっきりと見えるわけではないが、それでもデボラにとっては同じ鍋を食べられることが喜びにつながっている。
一方の対角線。こちらには『ウインドウィーバー』リュエル・ステラ・ギャレイ(CL3000683)とジョアンナ。
面識がないのになぜかジョアンナを誘ったリュエル。当然初対面なので会話も弾みようがない。居心地が悪いのかジョアンナの表情も怪訝そうだ。ただのその雰囲気もいざ鍋を食べ始めると変わり始める。
この卓には奇跡が起こっていた。そう、鍋が美味いのである。
それもそのはず皆が肉を持ち寄り、稀にみる肉まみれの鍋。その少々野性味あふれる肉たちもリュエルの生姜が臭みを取り、デボラの蜂蜜によりさらに柔らかさを増す。さらにはジョンアンナの骨が出汁の旨味をさらに深いものにし、テンカイの梅干しが脂分の強い鍋に酸味のアクセントを与える。抜群にうまい鍋に仕上がっていた。
「闇鍋って初めてかんだけどな……こんなにうまいのか!!」
「食べきる……というかこれほんっとに美味しいです。いくらでも食べられますっ」
何をとっても美味い。自ずと箸は進み、会話も弾む。
「折角、皆さまで集まったのですから今年の振り返りなど聞きたいですね。私はといえば……」
デボラが思い出話に花を咲かせれば、ジョアンナは一心不乱に食べている。
この鍋は当たりだ。誰もがそう思った時。そうは問屋が卸さないとばかりに闇鍋の神が降臨する。
「……うっ!?」
リュエルの箸がつかんでしまったものは……骨。出汁を取るという意味では最高の素材である骨。だが食材としてみるとそれは全く異質のもの。
その後、リュエルの骨を砕く音はいつまでも響いていたという。これは後々暗闇に響く謎の破砕音として後々語り継がれることに……?
申し訳ないデボラ。君の覚悟はまた別の機会に。
●
(……みんな、信じているわよ?)
『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)は暗闇の中で祈るように呟いた。
皆が常識的な具材を持ち込めば何の問題もないはず。ジローが作った〆の熟成麺。そこにたどり着く事こそがエルシーの目的であった。用意した具材も蟹に大根と鍋にはぴったりだ。しかしパイナップルは……どうだろう?
(ほら、央華料理にパイナップルが入ったものがあるじゃない?)
エルシーが小声で答えた。──え。これ聞こえてるの? マジで。
「YAMINABEか……試した事は無いが、噂には聞いていたよ。悪魔を召喚する儀式なんだろう?」
若干の勘違いは『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)。しかしこの認識あながち間違いでもない。ただその悪魔は鍋ではなく、炬燵のほうではあるのだが。
「YAMINABEって何でしょう……?」
理解せぬまま参加したものがここにも一人。セアラ・ラングフォード(CL3000634)である。食材を持参する事から料理である事は理解しつつも、それ以外は未知の領域。セアラの期待度は思いのほか高い。所持した具材も主役とは違うものの、出汁に良いアクセントを与えそうなものばかり。
こうして出来上がった鍋は……持ち寄った肉や野菜を果物の甘みがまろやかに包んだなかなかの鍋。暗闇の中で具材を選ぶという行為もまた楽しい。
「はぁ~~~もう働きたくない。もう一歩も動きたくないわぁ」
すっかり炬燵の魔力に吸い寄せられたエルシー。完璧に緩んでいる。
「あぁぁ……僕は目の前の悪魔に、いつの間にか魂を売ってしまったみたいだ……。もう、何もしたくない……」
身の回りのことは全てホムンクルスにまかせ、普段の姿からは信じられないくらいダラダラゴロゴロしているマグノリア。普段隙のない人がふとした時に見せる緩み、こういうギャップっていいよね。
「皆さん、回復は……必要なさそうですね」
もしもの時は、と考えていたセアラもすかり緊張が解け、鍋と炬燵を楽しんでいる。
「さぁ、朝まで飲むぞー! ジローさんもほらっ」
「おお、では一献。いただきますぞ」
こうして宴は朝まで続く。皆の楽しげな声(一卓除く)とともに。
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
称号付与
特殊成果
『熟成麺』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
†あとがき†
闇鍋って本当にいいものですね。
ご参加ありがとうございました。
ご参加ありがとうございました。
FL送付済