MagiaSteam
【アクアフェスタ】食べて、飲んで騒ごう。ついでにはっきよい。




「今日はあくあふぇすたという祭りだそうだな」
 そういって祭りに参加すべく水着姿となった自由騎士達の元へと現れたのは、独特の体躯のヨコヅナと名乗る男。
 一見太っているように見えるが、そうではない。アマノホカリのスモウレスラー特有の超低重心の鍛え上げられた肉体なのである。その力はすさまじく小指一本で数百キロの相手さえも持ち上げるとも言われている。
 そしてこの男ヨコヅナ。元々は悪事に身を染めていた。しかし自由騎士との死闘の末に改心し、今はイ・ラプセル国内の様々な力仕事を手伝っているのだという。

「水。そうか、水の祭りなのか。水に絡めばいいのだな。そういえば以前の礼もまだきちんと出来て無かったしな。ちょうどいい。一つ鍋をご馳走させてはくれまいか。何? 鍋のどこに水が関係するだって? それがな。今回ご馳走する鍋の一つは『水炊き』といってな。ほおら、水が入ってるだろう? それに……約束したちゃんこ鍋もご馳走せなばならん。ガハハハッ」

 こうして晴れ渡る空に響き渡る豪快な笑い声と共に、真夏の鍋パーティが始まった。


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
イベントシナリオ
シナリオカテゴリー
日常β
担当ST
麺二郎
■成功条件
1.鍋を楽しみ、飲んで騒ぐ
麺です。

この依頼はブレインストーミングスペース
エルシー・スカーレット(CL3000368) 2019年05月14日(火) 19:11:19
の発言等を元にアクアフェスタのイベントとして作成されていますが、参加の強制はありません。

アマノホカリのスモウレスラー直伝のちゃんこ鍋と水炊きを皆で頂きながら飲んで騒ぐ簡単なお仕事。飲んだ勢いで相撲も一戦どうですか。


●ロケーション
ヨコヅナが貸しきった宴会場。
そこに自由騎士が集った時にはすでに美味しそうな鍋と各種飲み物が用意されています。
鍋は2種類あり、「特製ちゃんこ鍋」と「水炊き」が用意されています。
直伝だけあってかなり美味しいようです。
飲み物もジュースからアルコール類まで豊富に揃っているためのんべぇの方も安心です。

希望者がいればヨコヅナが相撲の稽古を付けてくれるようです。
水といえば河童。河童といえば相撲。ヨコヅナの頭の中では相撲はアクアフェスタそのものです。
でも皆さん水着なので気をつけて。


●参加NPC
 ヨコヅナ
 元地下闘技場闘士。現在は改心し、せめてもの罪滅ぼしにと持ち前の怪力を活かし、活動中。
 鍋を作っていたのか、全く似合わないひらひらのレースのエプロンをつけている。

『ヌードルサバイバー』 ジロー・R・ミタホーンテン(nCL3000027)
 鍋の〆の麺をただならぬ熱意で打っています。

『演算士』テンカイ・P・ホーンテン(nCL3000048)
 すでに酔っ払っています。どうやら誰かに振られた?ようです。

『竜の落とし子』ジョアンナ・R・ロベルトドーン(nCL3000052)
 どこで聞きつけたかちゃっかり参加。鍋は初体験。スモーにも興味があるようです。

・アン・デュナーク
 ジョアンナのお目付け役。ゴシックメイド服。毒舌。ジョアンナのそばを離れません。


●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『クラウス・フォン・プラテス(nCL3000003)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】というタグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。
・公序良俗にはご配慮ください。
・未成年の飲酒、タバコは禁止です。

ご参加お待ちしております。
状態
完了
報酬マテリア
0個  1個  0個  0個
9モル 
参加費
50LP
相談日数
9日
参加人数
16/30
公開日
2019年09月16日

†メイン参加者 16人†

『ゴーアヘッド』
李 飛龍(CL3000545)
『戦場に咲く向日葵』
カノン・イスルギ(CL3000025)
『キセキの果て』
ニコラス・モラル(CL3000453)
『蒼光の癒し手(病弱)』
フーリィン・アルカナム(CL3000403)
『望郷のミンネザング』
キリ・カーレント(CL3000547)
『ナニしてたんすか?』
ティラミス・グラスホイップ(CL3000385)
『困った時のウィリアムおじさん』
ウィリアム・H・ウォルターズ(CL3000276)



(待ってたわ~このときをよ~)
 思わず心の声がミュージカル調になっているのは『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)だ。
 ヨコヅナからのちゃんこの誘いを心待ちにしていたエルシー。ついに来たこの日に心は躍っていた。いや、アクアフェスの名の下に水着で参加しているエルシー。心以外もいろいろ揺れているぞ。←伏線
「ヨコヅナさん!今日はよろしくね!」
「おお、エルシー殿。来てくださったか。楽しんでいってくだされ」
 なんとも不釣合いな可愛らしいフリフリのエプロンを身につけ忙しそうに動き回るエコヅナを見て、エルシーは思わず顔をほころばせる。
(鍋を楽しむ前に少しスモーを教えてもらおうと思ったのだけれど……)
 エルシーは大人しく鍋が出来るのを待つ事にしたようだ。
(「ちゃんこ」という言葉には、どんな意味があるのだろう……?)
 そんな事に思いをめぐらせていたのは『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)。
 最初に気になったのはその音の響き。しっくり来るようで、それでいて意味の連想が難しい。軽く調べてみたものの諸説あるようだった。
「まぁ、一般的にはスモウレスラーが作る料理全般を指すみたいだね」
「へーそうなんだ。それにしても格闘技の闘士が作る鍋かー、どんな鍋か楽しみだな!」
 格闘家の作る鍋に興味津々なのは『ゴーアヘッド』李 飛龍(CL3000545)。
「まだかーさまが生きてた頃、水炊きは良く作ってくれたんだけど、食べるの久しぶりだなー。それにちゃんこは初めてだし、楽しみだな♪」
『太陽の笑顔』カノン・イスルギ(CL3000025)にとって水炊きは母を偲ぶ思い出の味。更には初体験となるちゃんこ鍋の登場を待ちわびていた。
「そうですよね! 本場のちゃんこ鍋と水炊き、気になります! ぜひ作り方を覚えて、うちの子達にも食べさせてあげたいですねー♪」
 孤児院の子達が美味しく頬張る様子が浮かんでいるのであろうか。『混世魔王』フーリィン・アルカナム(CL3000403)はレシピを教えてもらう気満々だ。ん、その手に持っているものはお酒かい?←伏線
「今日はご馳走になりにきました」
 そういって水着姿でちょこんと座って待っているのはティラミス・グラスホイップ(CL3000385)。水着故いつも以上にもふもふしている。想像以上のもふもふ感はぜひ彼女のギャラリーを確認して欲しい。世に5万といるケモナーの気持ちがわかる。かもしれない。あとこの水着紐で結ぶタイプですか? ですよね。←伏線
「さぁ、できたぞ。みな腹いっぱい食っていってくれ! ガハハハ!」
 ヨコヅナとその弟子と思われる体格の良い若者が熱々出来立ての鍋を運んでくる。
「「「いっただっきーます!!」」」

 こうして『ドキッ! 水着だらけの鍋パーティ。スモーもあるよv』は幕を開けるのであった。


「ほう。これが噂に聞く東方の『ちゃんこ』と『水炊き』か……。沢山の具材が入っているのだな。栄養豊富で美味しそうだ」
 そういって鍋に箸を伸ばしたのは『隠し槍の学徒』ウィリアム・H・ウォルターズ(CL3000276)。
 これから寒くなるし、こういった料理はぜひ覚えて帰らないとな。じっくりと味わいながらイ・ラプセルの煮込み料理とはまた違った鍋に舌鼓を打つ。
「ミズタキってのも鍋料理だったんですね」
 驚いているのはティラミス。よもや両方とも鍋料理とは思っていなかったようだ。9月とはいえまだ暑い日も多く、今日もまさにそれ。全身体毛に覆われたティラミスは少し大変そうだ。
「僕は、チキンが入っているのなら、其方を食べてみたいな」
 見るからに熱そうな鍋を前に長い髪をまとめ戦う(食べる)姿勢を見せるマグノリア。
「鶏肉もお野菜も新鮮だねー。それにこのポン酢とっても美味しいよ♪」
 かーさまが作るのとはちょっと味が違うけど──少しそんな事を思いながら食べていたカノン。初体験のちゃんこ鍋もまた水炊きとは違った味付けでこっちも美味しい。
「スモウレスラーはこんな美味しいのを食べるからそんなに大きくなるんだね!」
 そう言うとヨコヅナに微笑みかける。
「ガッハッハ。相撲はまず体を作ること。それは何より食べることが大事じゃからの」
 ヨコヅナもまた笑顔で返す。
(ふぅん、所謂煮込み料理の一種か)
 所見の料理を見ながら『ニコにー』ニコラス・モラル(CL3000453)が声を掛けたのはジョアンナだった。
「よ、嬢ちゃんヨロシクやってっか?」
「嬢ちゃん?」
 ジョアンナの傍で常に周囲を警戒しているアンの鋭い目がニコラスを睨む。
「アン。気にしなくていい。ここではジョーたちはゲストなんだから。アンタは……ジローの誕生日の時にも見たね。なんだよ、ジョーがいちゃダメなのか?」
「いや、そんな事は言わねぇよ。折角なんだし食っとけ食っとけ。俺は止めねぇよ」
「そう? ならいいけど」
 しばらく鍋をつまむジョアンアの様子を一緒に食べながら見ていたニコラスだったのだが。
(好き嫌いでもあるもののなら……と思ったがこりゃ無さそうだな。しかしよくこの状況で平気でいられるよな)
 その食べっぷりの良さと度胸に半ばあきれたような表情をみせるニコラス。何せ回りは皆自由騎士。本来であれば敵地のど真ん中ともいえる場所で、のんきに鍋を食べているのだ。
 米使った特上の酒を飲みながらニコラスはジョアンナに話しかける。
「そういや、聞いたか? 鍋の〆に麺が出るらしいが、どんな料理か当ててみないか?」
「なんでそんなことしなきゃいけないのよ」
「まぁいいじゃないか。そういわずやろうぜ。俺はうどんかなって思ってるんだが嬢ちゃんはどうよ?」
「大体うどんって何よ。こないだ食べたどれか? ジョーが名前知ってる麺料理なんてパスタくらいだし」
「じゃ、うどんとパスタな!」
「ちょっ! だからうどんの説明をしないさいってば!」
 ジョアンナと自由騎士達の奇妙な関係はこれからも続くのであろう。
「美味しいですね、このお鍋」
『救済の聖女』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)は鍋をつまみながらほっと一息。
「海で沢山遊ぶのも良いですが…こういった行事もまた良い物ですね」
 そういうアンジェリカに周りの自由騎士達も頷く。戦いの最中である事は皆分かっている。だからこそこんな時間を大事にしたい。みなの気持ちは同じだった。
「ところで相撲ってどういう格闘技なんだ? おれっち格闘好きなんで体験もしてみたいんだぜ! いっぱい動いた後のほうが鍋ももっと美味く食えるだろうし、いっちょよろしく頼むぜ!」
 飛龍が鍋を食べながらヨコヅナに話しかける。やはり興味は格闘技としての相撲だったようだ。
「おお。興味を持っておられるか。では少し稽古をしてみないかね?」
 にこやかに応えつつも、ヨコヅナの目がきらりと光った気がした。


「どうかされましたか? 元気が無さそうですが」
 1人酒を飲み続けているテンカイの傍に寄り添ったのは『文字数たりなかった』デボラ・ディートヘルム(CL3000511)。
「ああ、アンタか。全く男ってのは……」
 テンカイの話を聞くデボラ。どうやらつい最近酒場で声を掛けた男に相手にされなかったらしい。
「テンカイ様の魅力を理解出来ない殿方が悪いです」
 そうきっぱりと断言するデボラに少し驚いた表情のテンカイ。
「あ、ああ。そうだよな」
「という事で飲みましょう食べましょう! 私はお酒はまだダメですが」
 そう言うと甲斐甲斐しくテンカイをお世話し始めるデボラ。
「私も食べますよ!折角のおもてなし、しっかりと食べなければ!」
「お邪魔していいかな」
 そこに現れたのはマグノリア。マグノリアもまた、テンカイの様子が気になったようだ。
「話せる事があるなら、僕も聞くよ」
 そういえばテンカイとこんな感じで普通に話すのは初めてかな──そんな事を思いながら2人の近くに腰を下ろす。
「そういやさ、お前達は……気になるヤツとかいるのかい?」
 唐突にテンカイが話を振る。
「あ、えっと……私ですか? 気になる方は色々いますが、その……そんな事より食べましょう! 食べましょう!」
 にやりと笑うテンカイに焦るデボラ。そしてそんな様子を見ているマグノリアの時間はまだまだ続くようだ。

「ジローさん!」
「おやおや、どうされましたかな。もうすぐできますぞ」
 厨房で鍋の〆に入れるおうどんを精魂こめて打っていたジローの元に現れたのは『悪の尖兵『未来なき絶壁』の』キリ・カーレント(CL3000547)。
 実はキリはずいぶん前からその場所には居たのだが、ジローの麺打ちの熱気に気圧され声を掛けられずにいたのだが。ジローが最後の工程に入る前に一息つこうとした瞬間に、声を掛けたのであった。
「ジローさん、この間はお誕生日会だというのにこちらが麺をご馳走になって、お土産まで頂いてしまって、どうも有難う御座いました」
 ペコリとお辞儀すると感謝の意を伝えるキリ。
「それはそれは。喜んでもらえて何よりですぞー」
 にこりと笑うジロー。
「キリも何かお手伝いしますね」
「おお、助かりますぞ。ではあちらの粉をこの容器に入れて並べてもらえますかな」
「はいっ!」
 キリのお手伝いによってジローの作業スピードがあがる。これで〆の準備もばっちりだ。

「そういえば……聞いた話では、鍋は奉行や将軍等の偉い人が取り仕切るものだとか? 偉そうな感じで良いなら簡単なんですけどね……!」
 そういってフーリィンは手に持ったお酒を一気に飲み干した。
 ぐびり。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ──

《ふ は は !》

 酒の力を借りて――鍋魔王フーリィン、またもやここに爆誕!

《鍋 の 仕 切 り は 余 に 任 せ る が 良 い !》

 ん? そういえばちょっと前にそんな芸人さんがいたなぁ。いってみてぇ~だっけ。それはさておき突如光臨した魔王にざわつく会場。いや、知ってるって顔もちらほら。

《それはまだ早いわ! エリアを分けるのだ、火の通り易さでな……。そうだ。それは食べ頃だ、さぁ味わうが良い!!》

《肉ばかりでは味がぼやけるぞ……。野菜を食べよ。そう野菜を味わうのだ……そして肉を食らえ……くらい尽くせ。大事なのはバランス。バランスなのだ……。ふふ、どうだ? さっぱりした口の中に肉の旨味が溢れよう》

 うわぁめんどくさい。命令口調で鍋奉行してる。うわぁ。
 そんなフーリィンの恐怖を一番味わうのは次の章で最初に出てくる男であった。


 テン、テテン、テテテン!
「ニィィ~シィ~♪ ヨォォ~コォォ~ヅゥゥゥナァ~~♪ ヒガァ~シィ~♪ 戦う人の名前を~呼ぶぅぅよぉ~~♪」
 賑やかに場を盛り上げるのは『飲めや歌えの大騒ぎ』カーシー・ロマ(CL3000569)。タダ飯の気配につられてふらりと来たといいつつも、気づけば誰よりもノリノリである。
「え、戦ってる間は叩かないの? それに戦う人誰ぇ?」
 本来の形式とはだいぶ違うであろう状況は明らかだが、それもまた一つの形。
「ま、イ・ラプセル流スモウってことで、細かいことはいーじゃんいーじゃん!」
 伝統や形式ももちろん大事だ。でも楽しむことだって重要に違いない。まさにカーシーはそれを体現しているのだ。
「おー。これがアマノホカリ流の闘技場かぁ! 観客席の種類が沢山あるわね! 折角だからあのボックス席にしましょ!」
『ピースメーカー』アンネリーザ・バーリフェルト(CL3000017)は良さげな席を陣取ると早速アルコールを手に取る。
「スポーツ観戦しながら飲むエールって何だか最高に優雅な感じしない?」
 そこへ鍋が運ばれてくる。
「おっきたきたー! スープは……ちょっと色が薄そうね、ちゃんと味がするのかしら?」
 初めて見る鍋料理。アンネリーザは若干訝しげな表情を見せる。
「……でもすごくいい匂いだわ! 早く食べましょ!」
 においに誘われるまま一口ぱくり。
「わぁー!! 味がちゃんとしみてる〜! 鶏肉もホロホロだわ! 美味しい!」
 近くで食べている皆も一様に同じ表情。アマノホカリ独自ともいえる味覚。UMAMIを堪能している。
 そしていそいそと取り出したのは米の酒。
「この米のお酒はね。この木で出来た枡?ってのに入れて飲むんですって!」
「ぷは~~。美味しい~~~」
 鍋とお酒を堪能する自由騎士達。そこに音楽が聞こえ始める。
「あら、そろそろはじまるわね」
 最初の一番が始まろうとしていた。
「騎士カイトー、相撲を一番取りに参りました! いざ、尋常に!」
 軍服を脱ぎ捨てふんどし一丁になったのは『おちゃがこわい』サブロウ・カイトー(CL3000363)。その潔い脱ぎぷりに歓声が起こる。
「見ての通りの小兵ではありますが……なに、柔能く剛を制すと申します。動きまわる相撲にてつかまつる!!」
「なんのなんの、体を見れば鍛えている事は明白。このヨコヅナ油断などしませんぞ」
 にやりと笑うヨコヅナ。
「ふふ、お怪我はなさらない程度に、お2人とも頑張って下さいまし」
 アンジェリカの応援も聞こえる。
「それでは見合って……はっきよい!!」

 隣の土俵では別の対戦が始まろうとしていた。
『元気爆発!』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)とエルシーだ。2人とも先ずは、とヨコヅナに稽古を頼んだもののさすがにその格好の女性と組み合うのは……と断られ、断られたもの同士で取り組む事になったらしい。
「それじゃいくわよ」
「いいよー! 待ったなし!」
 相撲のルールを知らないまま始まる一戦。開始直後にカーミラがパンチを放ったところでものいいがつき、簡単なルール説明が行われた。ふぅ……危ない危ない、ただの格闘になるところだった。
 仕切り直しからの試合開始。
 見様見真似ねつっぱりを繰り出すカーミラ。
「いっくぞー! つっぱりだー!」
「えっ!? えっ!?」
 さぁ皆さん想像してみて欲しい。エルシーとカーミラの身長差を。カーミラがそのままつっぱるとどこに当たる? 正解。おっぱいです。カーミラの容赦ないつっぱりで縦横自由自在に翻弄されるエルシーのそれ。それだけじゃないぞ! カーミラ自身も真っ赤な水着。いつも以上に良く揺れる。右も左もたゆんたゆんのばるんばるんだ。
「あ……っ。ちょ……んっ……」
 なんかこう違うものを見ている気分の観客。これって……相撲?
「ふわああぁぁぁ……」
 つっぱりをその身に受けまくったエルシーの腰が砕けて勝敗はついた。
「ねぇ、ジョアンナもやろうよ?」
 カーミラが指名したのはジョアンナ。敵対組織であるラスカルズの構成員でありながらなぜか気付けば現れる自称竜人の女の子だ。きょうもしっかり水着を着て参加している。アクアフェスも鍋も楽しむ気満々だ。
「……いいけど。怪我してもしらないよ」
「ジョアンナ様。誘いに乗る必要は無いかと」
 ジョアンナを静止しようとするアン。
「スキルも殺しもなしの完全お遊び、ならいいでしょ、アン?」
「ああいってるんだし。遊びよ遊び。いいでしょ」
「全くしょうがありませんね……」
 こうしてジョアンナとカーミラの一戦が始まった。ばるんばるんVSぺったん。
 勝敗はといえば……目の前で豪快に揺れるそれに少しイラっとしたジョアンナが、おもいっきりそれをはたき、痛ったぁああーー!! となったカーミラをとん。と押し出して決着。ジョアンナ曰くそんなものジョーの目の前で揺らすほうが悪い、だそうだ。

 一方のヨコヅナ。土俵内を変幻自在に動き回るサブローをどうにか捕まえると豪快に投げ飛ばす。
「ガハハ。捕まえたぞ! どっせーーーい!!」
「う、うわぁぁぁああああ」
「きゃぁ!?」 
 宙を舞ったサブロウが飛んでいった先にはティラミス。さぁ伏線回収の時間だ。
「てて……ん? なんだこの紐は……」
 サブロウの手になにやら紐が絡み付いている。
 一通り鍋を食べ終え、相撲の観戦をしていたところ、その場に居合わしてしまたウィリアム。咄嗟に目をそらす。
(わたしは何も見てない。見てない)
 いやたぶん見たと思う。もふっとしたふくらみを。
(か、返してください……)
 ティラミスが細い声を上げる。
「返してください!!」
 両胸を手で書くし、顔を真っ赤にしてプルプルと震えるうさぎちゃん。
「これは……その……不可抗力でありまして──」
「ばかぁーーーー!!!」
 サブロウがまたも宙を舞った。南無。

「ヨコヅナ、一番頼めるか。稽古ではなく、真剣勝負で」
 一番とり終えたヨコヅナに次に挑むは『装攻機兵』アデル・ハビッツ(CL3000496)。ヘルメットと手足こそそのままだが、しっかりとマワシを締めている。
「なかなか堂に入ってるじゃないか」
 ヨコヅナがほうと顎に手をやる。
(スモウ。アマノカホリに伝わる、裸一貫に廻しだけを締めた屈強な男たちが組み合う、無差別級の格闘技。足裏以外を地面に付ければ死を意味する、バランスの芸術。噂には聞いていた。一度、戦ってみたいと思っていた)
 アデルが塩を撒くとヨコヅナがあわせる。
(立会い前の空気でわかる……相手は元とはいえヨコヅナ。神の頂に迫った競技者だ。実力は遥かに上だろう)
 それでもアデルはひくことは無い。自ら真剣勝負を申し出たのだ。自らの武器である勇気と度胸を持ってヨコヅナに胸を借りる。
「はっきよい……のこったのこった!!!」
 立会い低姿勢で突っ込んだアデルの渾身の当たりをしっかりと受け止めるとがっぷり四つの体勢。
 いっきににじり寄るとアデルを土俵際へと追い詰める。
「おおおおーーーー!! 俺はヨコヅナを投げて、更に高みを目指すッ!」
「うっちゃれ!」
「うっちゃれ!」
「うっちゃれ!」
 場内にうっちゃれコールが飛びかう。
 咄嗟によつの体勢を崩すとアデルは最後の一瞬にすべてを掛ける。
「もらうぞ、金星!」
 ドォォォォーーーンと大きな音がした。倒れていたのはアデル。ヨコヅナはその場に仁王立っていた。
「くっ、倒れないからヨコヅナ、という訳か……!」
 悔しさを滲ませるアデル。勝負はヨコヅナの圧勝に見えた。
 だが、ただ1人そうは思っていなかった者がいた。それは誰でもないヨコヅナ本人。
(最後の判断がもし一瞬でも遅れていれば……地面に転がっていたのはワシだったかもしれん……)
 ヨコヅナは改めて自由騎士の力を感じる結果となったのだった。
「よっし! じゃぁ次はおれっちの番だぜ!!」
 腕をぐるぐると回し、準備万端といった飛龍。
「はっきよい!!」
 その後も取り組みは続き。自由騎士達は遥か遠方の国アマノホカリの国技を余すところなく楽しんだのであった。


「もうお腹ペコペコよ! いただきまーす!」
 相撲で汗を流したエルシーも鍋を手に取り、ひとすすり。
「!! こ……これは……鍋に入った様々な具が織り成すハーモニー。そして、見事なダシ」
 すごいわ──改めて鍋という一見簡単そうな料理の奥深さを知るエルシー。
「はい。ジローさんも食べてくださいね」
 キリがジローによそった鍋を渡す。
「おお、すみませんな。いただきますぞ」
「食べながらでいいのでキリに麺のこといろいろ教えてください」
「むむむ、麺に興味をお持ちですか。それは嬉しいことですな。いいですかな、そもそも麺料理の起源とは──」
 ジローの麺講座が始まる。ちょっと聞きたい事と違うかも? と思いながらも嬉々として話すジローの言葉を微笑みながら聞き入っているキリ。この日、キリはジローの飽くなき探究心の一端を垣間見る事になった。それは美味しいものに興味あるキリにとってもとても有意義な時間となったのであった。
 鍋の〆はジローのうったうどんと、雑炊の両方が振舞われた。
「〆はカノンの家はうどんと雑炊まちまちだったけど、ジローさんの麺も食べたいし雑炊も食べたいし。うん、両方作ればいいよね!」
 元々はうどんのみの予定だった〆はカノンのこの言葉によって両方用意することになったのだ。
「ふいー、相撲ってのは思ったより奥が深いな、巨漢の体格を活かした動きっての? 力押しが通じにくそうだし、実戦であたったらやりづらそうだぜ」
 相撲を体験した飛龍。その貴重な体験はきっと彼のこれからに役立つだろう。
「いやー、いい経験ができたぜ! さーて、動いて腹も減ったし鍋を腹いっぱいくわせてもらうぜ!」
 サァ食べるぞと息巻く飛龍の横。
「も、もう無理です……ごめんなさいゴメンナサイゴメ……(ばたっ)」
 そこには鍋奉行との戦いに破れんばかりにおなかを膨らし、白目を剝いたカーシーの姿。何故こうなったのか──理由は明白。肉ばかりを狙うカーシーの所業に業を煮やした鍋奉行改め鍋魔王フーリィン。彼女は嫌がるカーシーに野菜を捻じ込み一切肉を食べさせずこの状態にまで至らせたのだ。さすがは魔王。悪魔の所業である。

 後日フ-リィンは語る。あれは本当の私ではない、と。
 そんな自由騎士の一日は今日も今日とて過ぎていくのでありました。

†シナリオ結果†

成功

†詳細†

称号付与
『そういう枠担当』
取得者: サブロウ・カイトー(CL3000363)
『相撲見酒』
取得者: アンネリーザ・バーリフェルト(CL3000017)
『凶器所持(ある意味で)』
取得者: カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)
『もう食えません……』
取得者: カーシー・ロマ(CL3000569)
『鍋魔王』
取得者: フーリィン・アルカナム(CL3000403)
『うっちゃれアデ瓦』
取得者: アデル・ハビッツ(CL3000496)
『そういう枠担当』
取得者: ティラミス・グラスホイップ(CL3000385)
『見てない、いや、見えた。』
取得者: ウィリアム・H・ウォルターズ(CL3000276)
特殊成果
『ちゃんこの出汁』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員

†あとがき†

鍋魔王……。

MVPはビビっと来たお3方へ。

ご参加ありがとうございました。
FL送付済