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【ゴールドティアーズ】星夜の水鏡

●
――星降るその夜に。
毎年7月の上旬、イ・ラプセルの上空では流星群を観測できる。
尾を引いて落ちる黄金の雫(りゅうせい)。それがゴールドティアーズである。
スペリール湖の水鏡の星空と、満天の星空に挟まれて臨む光景は美しくも儚い。
天の星は掴めない。しかし水鏡の星は手を伸ばせば捕まえることができる。
故に、人々はその捕まえた天の星に祈る。
――願いが叶いますようにと。
「……♪」
エルル・オーネスト(nCL3000034)は夜のスペリール湖をひとり散策していた。鼻歌を歌いながら楽しげに歩き、湖の岸辺で足を止める。全天と、足元に拡がる星夜≪ほしづくよ≫。
エルルはしゃがみ込み、足元の星を一つ手に取る。掌を開くと、水だけが静かに零れ落ちた。立ち上がり、湖を遠く見つめる。
「……また、皆、来ますよ」
呟き、エルルはまた散策を始めた。−−子供は早く寝なさい。
●
「というわけで、ゴールドティアーズ夜の部だよー!」
『元気印』クラウディア・フォン・プラテス(nCL3000004)が、いつも通りの元気さで自由騎士達に呼びかけた。
「スペリール湖は透明度がすごく高いから、星空を鏡みたいにそのまま水面に映すの! カヌーでその上にいると、まるで星空の真ん中に浮かんでるみたいな気分になるんだよ! ロマンチックでしょ?」
星空の真ん中。−−願いを叶える者が、そこにいるのだろうか。
「でね、そこで願いを言うと、スペリール湖の神様が願いを叶えてくれるんだって! カヌーはこっちから貸し出すからね! 一人とか二人用の小さいカヌーもあるし、五人とか十人用の大型カヌーもあるよ!」
自由騎士達は頷いた。たまには戦いを離れて、星空で一休みもいいだろう。
――星降るその夜に。
毎年7月の上旬、イ・ラプセルの上空では流星群を観測できる。
尾を引いて落ちる黄金の雫(りゅうせい)。それがゴールドティアーズである。
スペリール湖の水鏡の星空と、満天の星空に挟まれて臨む光景は美しくも儚い。
天の星は掴めない。しかし水鏡の星は手を伸ばせば捕まえることができる。
故に、人々はその捕まえた天の星に祈る。
――願いが叶いますようにと。
「……♪」
エルル・オーネスト(nCL3000034)は夜のスペリール湖をひとり散策していた。鼻歌を歌いながら楽しげに歩き、湖の岸辺で足を止める。全天と、足元に拡がる星夜≪ほしづくよ≫。
エルルはしゃがみ込み、足元の星を一つ手に取る。掌を開くと、水だけが静かに零れ落ちた。立ち上がり、湖を遠く見つめる。
「……また、皆、来ますよ」
呟き、エルルはまた散策を始めた。−−子供は早く寝なさい。
●
「というわけで、ゴールドティアーズ夜の部だよー!」
『元気印』クラウディア・フォン・プラテス(nCL3000004)が、いつも通りの元気さで自由騎士達に呼びかけた。
「スペリール湖は透明度がすごく高いから、星空を鏡みたいにそのまま水面に映すの! カヌーでその上にいると、まるで星空の真ん中に浮かんでるみたいな気分になるんだよ! ロマンチックでしょ?」
星空の真ん中。−−願いを叶える者が、そこにいるのだろうか。
「でね、そこで願いを言うと、スペリール湖の神様が願いを叶えてくれるんだって! カヌーはこっちから貸し出すからね! 一人とか二人用の小さいカヌーもあるし、五人とか十人用の大型カヌーもあるよ!」
自由騎士達は頷いた。たまには戦いを離れて、星空で一休みもいいだろう。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.スペリール湖での夜の星祭に参加する
皆様こんにちは。鳥海きりうです。よろしくお願いします。
夜のスペリール湖でのイベントシナリオです。ゆっくり休んだり遊んだりしてください。
カヌーは運営が貸し出してくれますので、好きな大きさをリクエストしてください。一人二人はもちろん、十人とかの大型カヌーも用意してございます。
カヌーで湖に漕ぎだしたら、後は自由にお楽しみください。星を眺めてクールに決めるもよし、願い事や今後の抱負を願に掛けるもよし、皆でわいわい騒ぐもよしです。
●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『エドワード・イ・ラプセル(nCL2000002)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】という タグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。
簡単ですが、説明は以上です。
皆様のご参加をお待ちしております。
夜のスペリール湖でのイベントシナリオです。ゆっくり休んだり遊んだりしてください。
カヌーは運営が貸し出してくれますので、好きな大きさをリクエストしてください。一人二人はもちろん、十人とかの大型カヌーも用意してございます。
カヌーで湖に漕ぎだしたら、後は自由にお楽しみください。星を眺めてクールに決めるもよし、願い事や今後の抱負を願に掛けるもよし、皆でわいわい騒ぐもよしです。
●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の33%です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『エドワード・イ・ラプセル(nCL2000002)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】という タグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。
簡単ですが、説明は以上です。
皆様のご参加をお待ちしております。

状態
完了
完了
報酬マテリア
0個
0個
1個
0個




参加費
50LP
50LP
相談日数
7日
7日
参加人数
25/∞
25/∞
公開日
2018年07月21日
2018年07月21日
†メイン参加者 25人†

●星呑み
「わぁー、やっぱり夜は星が綺麗ね。−−それじゃ、ゴールドティアーズの開催を祝して、乾杯!」
『梟の帽子屋』アンネリーザ・バーリフェルト(CL3000017)が音頭を取り、大型カヌーに集まった仲間もそれに合わせて杯を掲げた。
「この国に来て2年近く経ちますけど、この手の祭りに参加したのはそういえば初めてですね……友人、或いは仲間と酒でも飲みながら過ごす時間もなかなか良いものです」
『天辰』カスカ・セイリュウジ(CL3000019)はそう言って杯を傾ける。
「今夜は本当にいい夜だね。程々に食べて、星を見ながら飲んで……」
『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)がそう言い、グラスにカクテルを注ぐ。カヌーにはマグノリアが用意した数種類のカクテルの瓶が置かれていた。
「騒ぎ立てるよりは静かに飲みたいものだな。満天の星がなによりのつまみだ」
『女傑』グローリア・アンヘル(CL3000214)もそう言って杯を傾け、持参したチョコレートを口に放る。
「こうやってゆっくりお酒を呑みながらカヌーで湖に出るなんて贅沢よね……上も下も星が満天でロマンチックだし……そうだ、折角のゴールドティアーズなんだもの。皆の願い事聞かせてよ」
アンネリーザの言葉にカスカが応える。「願いは……とりあえず、それなりに愉快なこの国の生活が少しでも長く続けばと」
言って、カスカは夜空を見上げる。(来年もこの星空を見られるか分かりませんし……それはこの国を捨てることになるからかもしれませんし、或いはこの世から居なくなるからかもしれません)
「子供は未来を望み、大人は過去を望むといいますが……どちらにも成りきれない私は、間を取って現在を満喫することにします」
カスカに続けて、グローリアも口を開く。
「願いは自力で叶えたい性分でな、あまりこういったことはしないのだが……そうだな、こういった何気ない平和が、続けばいいとは願うよ。戦いは激化するだろうが、誰も欠けてくれるなと、祈るよ」
「僕には星に願う程の願い事は無いから……この星呑みの会に集まった皆の願い事が叶う様にと、願いをかけようかな……」
マグノリアがそう言い、アンネリーザを振り返る。「アンネリーザは?」
「私は……そうだなぁ……またこうやって楽しくお酒が飲めるような平和が続きますように……かな」
言って、アンネリーザはその手に湖の水を掬う。
掌の中を、小さな星が一つ流れた。
●カヌーでおやつ。
「おっきめのカヌー借りてよかったね! 広々で快適〜!」
『豪拳猛蹴』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)はそう言って、チーズケーキを口に放り込んだ。大きめのカヌーには彼女が持ってきたフルーツをはじめ、様々な食べ物が並んでいる。「おーいしー! 形も星になっててきれいだね!」
「お口に合ってよかったです……お茶をお淹れしますね」
たまき 聖流(CL3000283)が持ってきた茶器で紅茶を準備し始める。
「露店で買ってきた焼きそばとかもあるよ! あとこれ! すごく美味しいらしいから買ってきた!」
言って、シアはやたら色の濃い煮物を差し出す。相変わらず中身は確認できない。「煮物……ですか?」「匂いは美味しそー! 丁度汁物が欲しかったんだよね! いただきまーす!」カーミラが迷わず口に運び、聖流も不思議そうな顔ながらも箸を取る。シアも箸を取り、煮物を一つ取った。「いただきまーす!」
「……」「……」「……これって」
「おーいしー!」
「綺麗な煮物ですね……人参も大根も、すごく美味しく煮込まれてます……」
「え、え……? あれ、普通の煮物……?」
困惑するシアは、ふと『それ』に気づいた。自分の器の下に挟まっている紙切れ。一旦器を置いて開く。−−こう書かれていた。
『こいつは『綺麗な』煮物だよ。約束する。−−こういうとこで問題を起こすとお上がうるせえんだ。悪いな。『本物』が食いたきゃ『本店』に来てくれ』
「……!?」
「シアー、食べないの?」
「え!? た、食べるよ!? うん!」
言って、シアは煮物を口に運ぶ。−−普通に美味かった。
ひとしきり食べた後、三人はカヌーに仰向けになって星を眺めた。視界が星に包まれ、カヌーが流れるに従ってゆっくりと回る。カーミラが笑いながらばたばたと足を動かした。
「綺麗……吸い込まれそうだね」
「ええ……まるで、宝石の河みたい……」
三人はそのまま星空を漂いながら、一晩中取り留めのない話をした。−−いつか星座になった後も、きっと彼女達は、こんなふうに話をするのだろう。
●二人の星祭
『深窓のガンスリンガー』ヒルダ・アークライト(CL3000279)は、『ゆるふわ鉄拳ガール』パッフェル・ガブリエラ(CL3000299)を誘って湖に出ていた。
「こんなに可愛らしいお嬢さんが独りきりだなんて放っておけないのよね。あたしでよろしければ、喜んでエスコートさせて頂くわ……なんてね♪」
ヒルダの言葉に、パッフェルは頷く。
「お祭りというものはいつも提供する側にいたので、いざ自分が楽しむ側になると何をしてよいのか分からないものです。誘ってくださったヒルダ様には感謝しかありません」
パッフェルの言葉に、ヒルダも微笑んでただ頷く。二人とも、星は見ていなかった。ただお互いだけをじっと見ていた。
(天を見上げれば夜空を覆う満点の星空、湖を見渡せば水面に映し出される星々の湖……何よりも美しい光景のはずなのに、そう思わないのはどうしてかしら?)
(……星は、確かにきれいなのですが、手の届かないお星さまよりも目の前の女性のほうがよほど美しく目に映ってしまいますね。髪も、瞳も、素肌も、どうしてこんなにきれいなのでしょうか……わたしの目には、この方のほうがよっぽどきらきらして見えます)
こうなる事は、最初から決まっていたのかも知れない。やがてヒルダがパッフェルの腰を抱き寄せた。もう片方の手で彼女の頰のラインをなぞる。パッフェルは静かに目を閉じた。
どこからか流れてきた薄雲が星を隠す。空と水面の星が消えた。深淵の闇。しかし二人はそれも見ていなかった。二人の姿も見えなくなる。
こういう時は電気を消さなければ、レディに恥をかかせるというものだろう。
皇 弥悠(CL3000075)と『イ・ラプセル自由騎士団』ハルト・スメラギ(CL3000083)は二人だけでカヌーに乗っていた。例年なら家族皆で出かけるのだが、今回は弥悠のたっての希望で、二人きりである。ハルトは訝しみながらも、断る理由も無く応じていた。
「……静かだな」
本当に静かだったので、ハルトはやっとそう言った。例年なら兄や妹がいて、もっと賑やかになる。
「内緒、でね? お祝いしたいなって……」
言って、弥悠は銀のゴブレットと葡萄酒を取り出した。ハルトは目を丸くする。瓶詰めキャンドルをカヌーに置き、火を灯す。
「ハルト、のね……? 生まれた年の白葡萄で作ったお酒、なんだよ。ほら……みて? お星さまのお酒、だよ?」
言って、弥悠はゴブレットに注いだ葡萄酒を差し出す。葡萄酒に星が映る。はにかんだ笑顔。ハルトは数瞬置いて目の淵を真っ赤に染める。
「……あり、がとう」
小声で呟き、そっと弥悠の小さな手ごと杯を握る。
「ミユに祝われるのが、一番嬉しい」
囁くように呟いて彼女の瞳を見つめ、照れたように笑った。
●それぞれの星祭
「昼間はパトロールして回ったし……夜はちょっとのんびりさせてもらおかな?」
アリシア・フォン・フルシャンテ(CL3000227)はカヌーの上に寝そべって休息を取っていた。頭上の星を見つめ、手を伸ばす。
「星ってなんでこんなにキラキラ光ってるんやろね……手を伸ばすと届きそうやのに……全然届かへんし、どれくらい遠くにあるんやろか」
言って、欠伸を一つ。そろそろ睡魔が襲ってきた。星を見ながら寝るのも悪くない。「うちはのんびり楽しくできるんならなんでもええわ……最近はよその国の神が襲ってきたり国内でも事件が増えてきてるけど、のんびりできるようにうちの力が少しでも役に立つとええなぁって思うわ……」
誰にともなく言って、アリシアは寝息を立て始めた。−−今は休むのが一番だ。しばらくのんびりはできなくなる。
「風が気持ちいわね~♪ 私はこのままのんびりのほほんと一人酒♪」
『翠の魔焔師』猪市 きゐこ(CL3000048)は少し早めに湖に到着し、一人で静かに呑めそうな場所を陣取っていた。日本酒を杯に注ぎ、飲み干す。「優雅に風流に一人酒といきましょ……暗い方が星もよく見えるし」言って、きゐこは灯を消した。闇が訪れ、ただ天上に星だけが輝く。
十分暗いのを確認して、きゐこはフードを外した。風が髪を梳く様だけが星影に浮かんだ。
「ああ、いい夜ですね……深淵の闇と、輝く星……まるで宇宙の真ん中にいるような……」
言いながら、『改竄の願』エミリオ・ミハイエル(CL3000054)は湖畔をうろついていた。ふと立ち止まり、振り返る。
「ところで……私はなぜこんなところにいるんでしょう? 昼間に露店巡りをしたのは憶えているんですが……」
こっちが訊きたい。
「さあ皆! 今日はスペリール湖の神様に商売繁盛祈願しよー!」
『ちみっこマーチャント』ナナン・皐月(CL3000240)は、通商連の職員達を連れてスペリール湖にやって来ていた。「でね! 今日は新商品の提案もしたいんだ! ウタクジラのメモリアちゃんの歌を再現してみたオルゴールと、お星様の模様の地球儀型の優しい音の出るキーホルダー! たくさんたーくさん売れると思うんだ!」
言って、ナナンは職員達に資料を回す。熱心な事だ。アイデアも悪くない。商機も読めている。彼女はきっと、湖の神などに頼らなくても自力で夢を掴んでいくだろう。
ただ−−オルゴールはともかく、音の出るキーホルダーというのは当代の技術で作れるものだろうか?
海・西園寺(CL3000241)は湖畔に立ち、星に願いをかけていた。
「星の神様……湖の女神様……どうか、西園寺の願い事を叶えて下さい。お友達……そして、相棒と呼べる人が出来ますように……。何人でも良いです。西園寺は今、そういう人達に出会いたい……」
「こんにちは」
「」
いきなり声をかけられ、西園寺は声も出ないほど驚いた。振り返る。「だ、誰ですか……?」
「エルル・オーネストです」
「さ、西園寺は、海・西園寺です……」
自己紹介を終え、エルル・オーネスト(nCL3000034)は微笑み、言った。
「おともだちがほしいなら、必要なのは祈りじゃなくて、行動だとおもいます」
「え……?」
「またきてください。きっと、できます」
言って、エルルは踵を返し、走り去った。「……行動……」
丁度いいところに全力全開で行動しまくっている方がいるのでご紹介しよう。
「綺麗な星空が映し出される湖……ロマンティックなシチュエーションだよね。せっかくこんなに素敵な夜なのに独りきりはちょっと寂しいよね? ローラもなんだか人恋しくなってきちゃった。だ・か・らぁ……どこかにステキな男の人がいないか探してみちゃったり♪」
『もてかわハーレム♡マスター』ローラ・オルグレン(CL3000210)は、言いながら湖畔を歩いていた。良さげな感じで言っているが、要するにナンパらしい。「お、早速第一イケメン発見♡」警備に来ていた騎士鎧の男に近寄る。
「きゃー♡」
「うわ!?」
壁ドン急。というかもはやタックル。転んだフリをして男にぶつかり、押し倒す。「ごめんなさい、暗くて前がよく見えなくて……♡」男の上に乗ったまま言う。
「いえ、それは気をつけてくれれば……あの、どいてくれませんか?」
「ステキな一夜の思い出、ローラと一緒に作りましょ……♡」
「え、えええ−−?」
ローラは男の上に上体を重ねた。−−対比としては素晴らしいが、参考にすべきではないかもしれない。
「美しい星空に凪いだ湖面。戦闘も交渉も無い、穏やかな時間を過ごしても良い。自由とはつまり、そういう事なのじゃなあ……ふっ」
『ビッグ・ヴィーナス』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)は、そんな感じでカヌーの上で独りカッコ良く浸っていた。−−実際の所は酒とつまみを過積載のカヌーで孤独に飲んだくれている図である。
「何だか芋と芋で食材がかぶりまくったりしておるが……まあ腹に入れば良いのじゃ。昼間は警備で忙しかったからのう。志願しての任務とは言え、屋台の美味そうな匂いを横に炎天下立ちっぱなし……やはり辛い!」
言って、杯に注いだ酒を一息に飲み干す。「っかぁ〜、美味い! 願いの短冊には真面目な事も書いてみたが、さて……星空を前に、したたか酔いながら改めて願うとすれば!」
「……そろそろシメにつべたいバナナが食べたいのう」
この酔っ払いは、ゴールドティアーズの夜におやつのバナナを願うらしい。−−バナナでいいんですね? 分かりました。
「うん、ここまで高いと夜風も気持ちいいからのんびりできるね!」
『神秘(ゆめ)への探求心』ジーニアス・レガーロ(CL3000319)は、湖畔で一番高い木の上にいた。適当な太さの枝に寝転がる。
(……昔、お父さんとお母さんにつれてきてもらった事があるみたいだけど、おいらは殆ど覚えてないや。おばあちゃんは体が弱かったから連れてきてもらったことないし……おいら一人でこの時間までお祭りを楽しむなんて初めてだ!)
持ってきたジュースとお菓子をもぐもぐやりながら、ジニーは飽く事なく星を眺めた。孤独が彼の口から語られることは無い。彼が強く生きる限り、おそらく今後も無いのだろう。きっと、それでいいのだ。
「っと……眠くなってきたらもうお帰りの時間だね!」
言って、ジニーはてきぱきと帰り支度を始めた。よく出来たお子である。
『安らぎへの導き手』アリア・セレスティ(CL3000222)はカヌーの上で、星空に願いをかけていた。
(世界が少しでも早く、平和になりますように。これからの事は、私たち一人一人の想いと努力で変えられるはず。きっとそれが人の尊さ。だからこれは願いではなく、今は届かぬ未来への祈りと決意。まだ終わらない悲嘆もあるけれど、手にした力で、少しでも良い未来を勝ち取ろう)
願いを掛け、湖面に映る星を手に掬う。
「終わってしまった事は変えられないから、これは願い。今宵、この水鏡で手の届く星たちのように、想いも届くのなら……先の戦火で喪われた命に、魂の安らぎがありますように」
−−極めて異例だが、断言しよう。その願いは叶わない。
『彼等』に安息は訪れない。死者は墓場から蘇り、現界に破壊と混乱を齎す。そして彼等を止めるには、再び冥府へ叩き返すより他に無い。
願いを叶えるためには、それでも進むしかないだろう。
「お昼のにぎやかさとはまた別ですね。しっとり、ゆっくりとした雰囲気を楽しみたいと思います」
『書架のウテナ』サブロウタ リキュウイン(CL3000312)はのんびりと湖畔を歩いていた。夜もそろそろ更けてきた。飲み会をしていた者達も一段落つけ、穏やかな静寂が訪れつつある。
「それにしても素敵な星空です。一緒に見る方が居ればもっと素敵なのかな・・・って、何を考えてるんだ僕は……!」
言って、あせあせと両手を振る。いずれその相手は見つかるだろう。今すぐ……とはいかないが。
「ふわぁぁぁ、綺麗だにゃぁ……こんなロマンティックな星空の下で踊ったら、きっとミケは誰よりも素敵に踊れるのにゃっ!」
『踊り子』ミケ・テンリュウイン(CL3000238)は満天の星空を見上げ、やがてそう言って踊り出した。星の下でただ踊る彼女は、まるで妖精のようにも見える。飛び散る汗が銀の流星となって流れた。
「無事星祭を開催する事が出来てひと安心だね。ここまで来ればもう問題が起こる事もそうはないだろうけど……念の為だ、湖をひと回りして来ようか」
『罪。』アダム・クランプトン(CL3000185)は昼間に引き続き湖周辺の警戒に当たっていた。(……本音を言えばッ! 他の自由騎士達に混ざって遊びたかったッ! しかしッ! 僕は未成年だしッ! 何よりッ! 女性多数の場に行くなんて狂気の沙汰で僕には無理だ恥ずか死ぬッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)
折角普通のイケメンなのにえらくモダンアートな画風で懊悩しながら湖畔を歩く。「……おや」ふと行く手に小さな人影を発見し、歩み寄った。
「こんばんは。迷子かな? お嬢さん」
声をかけられ、エルルは振り返り、微笑む。「おさんぽです」
「そうか。だが、自由騎士でもない少女がこの時間に一人というのはあまり関心しないな。せっかくの祭りだからすぐに帰りなさいとは言わないけど、あまり遅くならない内に帰るんだよ」
「ごしんせつに、ありがとうございます」
頭を下げるエルルにアダムは微笑む。「君が無事帰れる事を星に願うよ」
アダムの言葉に、エルルは笑顔で小首を傾げる。
「……そこまでしなくて大丈夫です。願いは、自分のために使ってください」
「……なら、君の願いは?」
アダムの言葉にエルルはふと笑みを消し、湖を振り返った。「もっと、遠くへ行きたい」
サシャ・プニコフ(CL3000122)は教会の子供達と一緒に大型カヌーに乗っていた。
「あまり騒ぐと他の人の迷惑になるんだぞ! 暴れると湖におっこちるんだぞ! みんな仲良くしないとお願い事が叶わなくなるぞ!」
サシャが必死に世話を焼くが、子供達はあっちでドタバタこっちでわんこらとまるで落ち着きがない。元気なお子達である。しかし声を張り上げるサシャも笑顔だった。
「ねー、せんせいのおねがいはー?」
お子達の一人に聞かれ、サシャは答える。
「サシャのお願い事は教会の皆が幸せになることなんだぞ! あとはお肉が美味しく食べられますように! ご飯が美味しいとみーんな幸せになれるんだぞ!」
「あっそー!」
「あっそーって……こらだからそっちはダメだぞ! そっちに皆行ったら!」
ぐらり。荷重が偏ってカヌーが大きく傾き、ちょっと浸水する。しかし響いたのは悲鳴ではなく爆笑だった。
『1000億GP欲しい』ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)は自分の出店の撤収を終え、一人カヌーで漕ぎ出していた。
(ボートの上や湖岸付近、茂みでいちゃつくカップルが多いな。後、どんちゃん騒ぎしてる奴とか。俺も可愛い子ちゃんときゃっきゃうふふしたかったぜ。仕方ない、もう少し静かな場所を探すか……)
称号は面白いのにいつになくブルーが入っている。ウェルスはカヌーを漕いで人気のない位置から湖を見た。「おお、本当に星空に浮かんでるみたいだ。これ写真は……光源が足りなくて難しそうか? なら念写して……」
ウェルスは念写を使い、一枚の写真を作った。満天の星空に自由騎士達が浮かんでいる。ウェルスは写真を確認し、ふっと笑った。
夜が明ける前には帰った者、結果朝までそこにいた者、皆それぞれだった。
星祭は終わり、願いは星に飛んだ。
そしていつか、流星となって降り注ぐだろう。
来年の星祭と言わず、そう遠くない未来で−−
「わぁー、やっぱり夜は星が綺麗ね。−−それじゃ、ゴールドティアーズの開催を祝して、乾杯!」
『梟の帽子屋』アンネリーザ・バーリフェルト(CL3000017)が音頭を取り、大型カヌーに集まった仲間もそれに合わせて杯を掲げた。
「この国に来て2年近く経ちますけど、この手の祭りに参加したのはそういえば初めてですね……友人、或いは仲間と酒でも飲みながら過ごす時間もなかなか良いものです」
『天辰』カスカ・セイリュウジ(CL3000019)はそう言って杯を傾ける。
「今夜は本当にいい夜だね。程々に食べて、星を見ながら飲んで……」
『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)がそう言い、グラスにカクテルを注ぐ。カヌーにはマグノリアが用意した数種類のカクテルの瓶が置かれていた。
「騒ぎ立てるよりは静かに飲みたいものだな。満天の星がなによりのつまみだ」
『女傑』グローリア・アンヘル(CL3000214)もそう言って杯を傾け、持参したチョコレートを口に放る。
「こうやってゆっくりお酒を呑みながらカヌーで湖に出るなんて贅沢よね……上も下も星が満天でロマンチックだし……そうだ、折角のゴールドティアーズなんだもの。皆の願い事聞かせてよ」
アンネリーザの言葉にカスカが応える。「願いは……とりあえず、それなりに愉快なこの国の生活が少しでも長く続けばと」
言って、カスカは夜空を見上げる。(来年もこの星空を見られるか分かりませんし……それはこの国を捨てることになるからかもしれませんし、或いはこの世から居なくなるからかもしれません)
「子供は未来を望み、大人は過去を望むといいますが……どちらにも成りきれない私は、間を取って現在を満喫することにします」
カスカに続けて、グローリアも口を開く。
「願いは自力で叶えたい性分でな、あまりこういったことはしないのだが……そうだな、こういった何気ない平和が、続けばいいとは願うよ。戦いは激化するだろうが、誰も欠けてくれるなと、祈るよ」
「僕には星に願う程の願い事は無いから……この星呑みの会に集まった皆の願い事が叶う様にと、願いをかけようかな……」
マグノリアがそう言い、アンネリーザを振り返る。「アンネリーザは?」
「私は……そうだなぁ……またこうやって楽しくお酒が飲めるような平和が続きますように……かな」
言って、アンネリーザはその手に湖の水を掬う。
掌の中を、小さな星が一つ流れた。
●カヌーでおやつ。
「おっきめのカヌー借りてよかったね! 広々で快適〜!」
『豪拳猛蹴』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)はそう言って、チーズケーキを口に放り込んだ。大きめのカヌーには彼女が持ってきたフルーツをはじめ、様々な食べ物が並んでいる。「おーいしー! 形も星になっててきれいだね!」
「お口に合ってよかったです……お茶をお淹れしますね」
たまき 聖流(CL3000283)が持ってきた茶器で紅茶を準備し始める。
「露店で買ってきた焼きそばとかもあるよ! あとこれ! すごく美味しいらしいから買ってきた!」
言って、シアはやたら色の濃い煮物を差し出す。相変わらず中身は確認できない。「煮物……ですか?」「匂いは美味しそー! 丁度汁物が欲しかったんだよね! いただきまーす!」カーミラが迷わず口に運び、聖流も不思議そうな顔ながらも箸を取る。シアも箸を取り、煮物を一つ取った。「いただきまーす!」
「……」「……」「……これって」
「おーいしー!」
「綺麗な煮物ですね……人参も大根も、すごく美味しく煮込まれてます……」
「え、え……? あれ、普通の煮物……?」
困惑するシアは、ふと『それ』に気づいた。自分の器の下に挟まっている紙切れ。一旦器を置いて開く。−−こう書かれていた。
『こいつは『綺麗な』煮物だよ。約束する。−−こういうとこで問題を起こすとお上がうるせえんだ。悪いな。『本物』が食いたきゃ『本店』に来てくれ』
「……!?」
「シアー、食べないの?」
「え!? た、食べるよ!? うん!」
言って、シアは煮物を口に運ぶ。−−普通に美味かった。
ひとしきり食べた後、三人はカヌーに仰向けになって星を眺めた。視界が星に包まれ、カヌーが流れるに従ってゆっくりと回る。カーミラが笑いながらばたばたと足を動かした。
「綺麗……吸い込まれそうだね」
「ええ……まるで、宝石の河みたい……」
三人はそのまま星空を漂いながら、一晩中取り留めのない話をした。−−いつか星座になった後も、きっと彼女達は、こんなふうに話をするのだろう。
●二人の星祭
『深窓のガンスリンガー』ヒルダ・アークライト(CL3000279)は、『ゆるふわ鉄拳ガール』パッフェル・ガブリエラ(CL3000299)を誘って湖に出ていた。
「こんなに可愛らしいお嬢さんが独りきりだなんて放っておけないのよね。あたしでよろしければ、喜んでエスコートさせて頂くわ……なんてね♪」
ヒルダの言葉に、パッフェルは頷く。
「お祭りというものはいつも提供する側にいたので、いざ自分が楽しむ側になると何をしてよいのか分からないものです。誘ってくださったヒルダ様には感謝しかありません」
パッフェルの言葉に、ヒルダも微笑んでただ頷く。二人とも、星は見ていなかった。ただお互いだけをじっと見ていた。
(天を見上げれば夜空を覆う満点の星空、湖を見渡せば水面に映し出される星々の湖……何よりも美しい光景のはずなのに、そう思わないのはどうしてかしら?)
(……星は、確かにきれいなのですが、手の届かないお星さまよりも目の前の女性のほうがよほど美しく目に映ってしまいますね。髪も、瞳も、素肌も、どうしてこんなにきれいなのでしょうか……わたしの目には、この方のほうがよっぽどきらきらして見えます)
こうなる事は、最初から決まっていたのかも知れない。やがてヒルダがパッフェルの腰を抱き寄せた。もう片方の手で彼女の頰のラインをなぞる。パッフェルは静かに目を閉じた。
どこからか流れてきた薄雲が星を隠す。空と水面の星が消えた。深淵の闇。しかし二人はそれも見ていなかった。二人の姿も見えなくなる。
こういう時は電気を消さなければ、レディに恥をかかせるというものだろう。
皇 弥悠(CL3000075)と『イ・ラプセル自由騎士団』ハルト・スメラギ(CL3000083)は二人だけでカヌーに乗っていた。例年なら家族皆で出かけるのだが、今回は弥悠のたっての希望で、二人きりである。ハルトは訝しみながらも、断る理由も無く応じていた。
「……静かだな」
本当に静かだったので、ハルトはやっとそう言った。例年なら兄や妹がいて、もっと賑やかになる。
「内緒、でね? お祝いしたいなって……」
言って、弥悠は銀のゴブレットと葡萄酒を取り出した。ハルトは目を丸くする。瓶詰めキャンドルをカヌーに置き、火を灯す。
「ハルト、のね……? 生まれた年の白葡萄で作ったお酒、なんだよ。ほら……みて? お星さまのお酒、だよ?」
言って、弥悠はゴブレットに注いだ葡萄酒を差し出す。葡萄酒に星が映る。はにかんだ笑顔。ハルトは数瞬置いて目の淵を真っ赤に染める。
「……あり、がとう」
小声で呟き、そっと弥悠の小さな手ごと杯を握る。
「ミユに祝われるのが、一番嬉しい」
囁くように呟いて彼女の瞳を見つめ、照れたように笑った。
●それぞれの星祭
「昼間はパトロールして回ったし……夜はちょっとのんびりさせてもらおかな?」
アリシア・フォン・フルシャンテ(CL3000227)はカヌーの上に寝そべって休息を取っていた。頭上の星を見つめ、手を伸ばす。
「星ってなんでこんなにキラキラ光ってるんやろね……手を伸ばすと届きそうやのに……全然届かへんし、どれくらい遠くにあるんやろか」
言って、欠伸を一つ。そろそろ睡魔が襲ってきた。星を見ながら寝るのも悪くない。「うちはのんびり楽しくできるんならなんでもええわ……最近はよその国の神が襲ってきたり国内でも事件が増えてきてるけど、のんびりできるようにうちの力が少しでも役に立つとええなぁって思うわ……」
誰にともなく言って、アリシアは寝息を立て始めた。−−今は休むのが一番だ。しばらくのんびりはできなくなる。
「風が気持ちいわね~♪ 私はこのままのんびりのほほんと一人酒♪」
『翠の魔焔師』猪市 きゐこ(CL3000048)は少し早めに湖に到着し、一人で静かに呑めそうな場所を陣取っていた。日本酒を杯に注ぎ、飲み干す。「優雅に風流に一人酒といきましょ……暗い方が星もよく見えるし」言って、きゐこは灯を消した。闇が訪れ、ただ天上に星だけが輝く。
十分暗いのを確認して、きゐこはフードを外した。風が髪を梳く様だけが星影に浮かんだ。
「ああ、いい夜ですね……深淵の闇と、輝く星……まるで宇宙の真ん中にいるような……」
言いながら、『改竄の願』エミリオ・ミハイエル(CL3000054)は湖畔をうろついていた。ふと立ち止まり、振り返る。
「ところで……私はなぜこんなところにいるんでしょう? 昼間に露店巡りをしたのは憶えているんですが……」
こっちが訊きたい。
「さあ皆! 今日はスペリール湖の神様に商売繁盛祈願しよー!」
『ちみっこマーチャント』ナナン・皐月(CL3000240)は、通商連の職員達を連れてスペリール湖にやって来ていた。「でね! 今日は新商品の提案もしたいんだ! ウタクジラのメモリアちゃんの歌を再現してみたオルゴールと、お星様の模様の地球儀型の優しい音の出るキーホルダー! たくさんたーくさん売れると思うんだ!」
言って、ナナンは職員達に資料を回す。熱心な事だ。アイデアも悪くない。商機も読めている。彼女はきっと、湖の神などに頼らなくても自力で夢を掴んでいくだろう。
ただ−−オルゴールはともかく、音の出るキーホルダーというのは当代の技術で作れるものだろうか?
海・西園寺(CL3000241)は湖畔に立ち、星に願いをかけていた。
「星の神様……湖の女神様……どうか、西園寺の願い事を叶えて下さい。お友達……そして、相棒と呼べる人が出来ますように……。何人でも良いです。西園寺は今、そういう人達に出会いたい……」
「こんにちは」
「」
いきなり声をかけられ、西園寺は声も出ないほど驚いた。振り返る。「だ、誰ですか……?」
「エルル・オーネストです」
「さ、西園寺は、海・西園寺です……」
自己紹介を終え、エルル・オーネスト(nCL3000034)は微笑み、言った。
「おともだちがほしいなら、必要なのは祈りじゃなくて、行動だとおもいます」
「え……?」
「またきてください。きっと、できます」
言って、エルルは踵を返し、走り去った。「……行動……」
丁度いいところに全力全開で行動しまくっている方がいるのでご紹介しよう。
「綺麗な星空が映し出される湖……ロマンティックなシチュエーションだよね。せっかくこんなに素敵な夜なのに独りきりはちょっと寂しいよね? ローラもなんだか人恋しくなってきちゃった。だ・か・らぁ……どこかにステキな男の人がいないか探してみちゃったり♪」
『もてかわハーレム♡マスター』ローラ・オルグレン(CL3000210)は、言いながら湖畔を歩いていた。良さげな感じで言っているが、要するにナンパらしい。「お、早速第一イケメン発見♡」警備に来ていた騎士鎧の男に近寄る。
「きゃー♡」
「うわ!?」
壁ドン急。というかもはやタックル。転んだフリをして男にぶつかり、押し倒す。「ごめんなさい、暗くて前がよく見えなくて……♡」男の上に乗ったまま言う。
「いえ、それは気をつけてくれれば……あの、どいてくれませんか?」
「ステキな一夜の思い出、ローラと一緒に作りましょ……♡」
「え、えええ−−?」
ローラは男の上に上体を重ねた。−−対比としては素晴らしいが、参考にすべきではないかもしれない。
「美しい星空に凪いだ湖面。戦闘も交渉も無い、穏やかな時間を過ごしても良い。自由とはつまり、そういう事なのじゃなあ……ふっ」
『ビッグ・ヴィーナス』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)は、そんな感じでカヌーの上で独りカッコ良く浸っていた。−−実際の所は酒とつまみを過積載のカヌーで孤独に飲んだくれている図である。
「何だか芋と芋で食材がかぶりまくったりしておるが……まあ腹に入れば良いのじゃ。昼間は警備で忙しかったからのう。志願しての任務とは言え、屋台の美味そうな匂いを横に炎天下立ちっぱなし……やはり辛い!」
言って、杯に注いだ酒を一息に飲み干す。「っかぁ〜、美味い! 願いの短冊には真面目な事も書いてみたが、さて……星空を前に、したたか酔いながら改めて願うとすれば!」
「……そろそろシメにつべたいバナナが食べたいのう」
この酔っ払いは、ゴールドティアーズの夜におやつのバナナを願うらしい。−−バナナでいいんですね? 分かりました。
「うん、ここまで高いと夜風も気持ちいいからのんびりできるね!」
『神秘(ゆめ)への探求心』ジーニアス・レガーロ(CL3000319)は、湖畔で一番高い木の上にいた。適当な太さの枝に寝転がる。
(……昔、お父さんとお母さんにつれてきてもらった事があるみたいだけど、おいらは殆ど覚えてないや。おばあちゃんは体が弱かったから連れてきてもらったことないし……おいら一人でこの時間までお祭りを楽しむなんて初めてだ!)
持ってきたジュースとお菓子をもぐもぐやりながら、ジニーは飽く事なく星を眺めた。孤独が彼の口から語られることは無い。彼が強く生きる限り、おそらく今後も無いのだろう。きっと、それでいいのだ。
「っと……眠くなってきたらもうお帰りの時間だね!」
言って、ジニーはてきぱきと帰り支度を始めた。よく出来たお子である。
『安らぎへの導き手』アリア・セレスティ(CL3000222)はカヌーの上で、星空に願いをかけていた。
(世界が少しでも早く、平和になりますように。これからの事は、私たち一人一人の想いと努力で変えられるはず。きっとそれが人の尊さ。だからこれは願いではなく、今は届かぬ未来への祈りと決意。まだ終わらない悲嘆もあるけれど、手にした力で、少しでも良い未来を勝ち取ろう)
願いを掛け、湖面に映る星を手に掬う。
「終わってしまった事は変えられないから、これは願い。今宵、この水鏡で手の届く星たちのように、想いも届くのなら……先の戦火で喪われた命に、魂の安らぎがありますように」
−−極めて異例だが、断言しよう。その願いは叶わない。
『彼等』に安息は訪れない。死者は墓場から蘇り、現界に破壊と混乱を齎す。そして彼等を止めるには、再び冥府へ叩き返すより他に無い。
願いを叶えるためには、それでも進むしかないだろう。
「お昼のにぎやかさとはまた別ですね。しっとり、ゆっくりとした雰囲気を楽しみたいと思います」
『書架のウテナ』サブロウタ リキュウイン(CL3000312)はのんびりと湖畔を歩いていた。夜もそろそろ更けてきた。飲み会をしていた者達も一段落つけ、穏やかな静寂が訪れつつある。
「それにしても素敵な星空です。一緒に見る方が居ればもっと素敵なのかな・・・って、何を考えてるんだ僕は……!」
言って、あせあせと両手を振る。いずれその相手は見つかるだろう。今すぐ……とはいかないが。
「ふわぁぁぁ、綺麗だにゃぁ……こんなロマンティックな星空の下で踊ったら、きっとミケは誰よりも素敵に踊れるのにゃっ!」
『踊り子』ミケ・テンリュウイン(CL3000238)は満天の星空を見上げ、やがてそう言って踊り出した。星の下でただ踊る彼女は、まるで妖精のようにも見える。飛び散る汗が銀の流星となって流れた。
「無事星祭を開催する事が出来てひと安心だね。ここまで来ればもう問題が起こる事もそうはないだろうけど……念の為だ、湖をひと回りして来ようか」
『罪。』アダム・クランプトン(CL3000185)は昼間に引き続き湖周辺の警戒に当たっていた。(……本音を言えばッ! 他の自由騎士達に混ざって遊びたかったッ! しかしッ! 僕は未成年だしッ! 何よりッ! 女性多数の場に行くなんて狂気の沙汰で僕には無理だ恥ずか死ぬッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)
折角普通のイケメンなのにえらくモダンアートな画風で懊悩しながら湖畔を歩く。「……おや」ふと行く手に小さな人影を発見し、歩み寄った。
「こんばんは。迷子かな? お嬢さん」
声をかけられ、エルルは振り返り、微笑む。「おさんぽです」
「そうか。だが、自由騎士でもない少女がこの時間に一人というのはあまり関心しないな。せっかくの祭りだからすぐに帰りなさいとは言わないけど、あまり遅くならない内に帰るんだよ」
「ごしんせつに、ありがとうございます」
頭を下げるエルルにアダムは微笑む。「君が無事帰れる事を星に願うよ」
アダムの言葉に、エルルは笑顔で小首を傾げる。
「……そこまでしなくて大丈夫です。願いは、自分のために使ってください」
「……なら、君の願いは?」
アダムの言葉にエルルはふと笑みを消し、湖を振り返った。「もっと、遠くへ行きたい」
サシャ・プニコフ(CL3000122)は教会の子供達と一緒に大型カヌーに乗っていた。
「あまり騒ぐと他の人の迷惑になるんだぞ! 暴れると湖におっこちるんだぞ! みんな仲良くしないとお願い事が叶わなくなるぞ!」
サシャが必死に世話を焼くが、子供達はあっちでドタバタこっちでわんこらとまるで落ち着きがない。元気なお子達である。しかし声を張り上げるサシャも笑顔だった。
「ねー、せんせいのおねがいはー?」
お子達の一人に聞かれ、サシャは答える。
「サシャのお願い事は教会の皆が幸せになることなんだぞ! あとはお肉が美味しく食べられますように! ご飯が美味しいとみーんな幸せになれるんだぞ!」
「あっそー!」
「あっそーって……こらだからそっちはダメだぞ! そっちに皆行ったら!」
ぐらり。荷重が偏ってカヌーが大きく傾き、ちょっと浸水する。しかし響いたのは悲鳴ではなく爆笑だった。
『1000億GP欲しい』ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)は自分の出店の撤収を終え、一人カヌーで漕ぎ出していた。
(ボートの上や湖岸付近、茂みでいちゃつくカップルが多いな。後、どんちゃん騒ぎしてる奴とか。俺も可愛い子ちゃんときゃっきゃうふふしたかったぜ。仕方ない、もう少し静かな場所を探すか……)
称号は面白いのにいつになくブルーが入っている。ウェルスはカヌーを漕いで人気のない位置から湖を見た。「おお、本当に星空に浮かんでるみたいだ。これ写真は……光源が足りなくて難しそうか? なら念写して……」
ウェルスは念写を使い、一枚の写真を作った。満天の星空に自由騎士達が浮かんでいる。ウェルスは写真を確認し、ふっと笑った。
夜が明ける前には帰った者、結果朝までそこにいた者、皆それぞれだった。
星祭は終わり、願いは星に飛んだ。
そしていつか、流星となって降り注ぐだろう。
来年の星祭と言わず、そう遠くない未来で−−
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
称号付与
『星を肴に』
取得者: カスカ・セイリュウジ(CL3000019)
『眠れるキジン』
取得者: アリシア・フォン・フルシャンテ(CL3000227)
『星影の美少女』
取得者: 猪市 きゐこ(CL3000048)
『白金の星』
取得者: ヒルダ・アークライト(CL3000279)
『星座の三乙女』
取得者: カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)
『星を目指す者』
取得者: ナナン・皐月(CL3000240)
『星座の三乙女』
取得者: たまき 聖流(CL3000283)
『星を肴に』
取得者: マグノリア・ホワイト(CL3000242)
『星を肴に』
取得者: アンネリーザ・バーリフェルト(CL3000017)
『今夜もローラさんは通常運転です』
取得者: ローラ・オルグレン(CL3000210)
『星座の三乙女』
取得者: シア・ウィルナーグ(CL3000028)
『紫銀の星』
取得者: パッフェル・ガブリエラ(CL3000299)
『星にバナナを』
取得者: シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)
『星を肴に』
取得者: グローリア・アンヘル(CL3000214)
『慈悲の刃、葬送の剣』
取得者: アリア・セレスティ(CL3000222)
『奥手ッ!!!!!!!!!!!!』
取得者: アダム・クランプトン(CL3000185)
『皇の薬師』
取得者: 皇 弥悠(CL3000075)
『皇の剣』
取得者: ハルト・スメラギ(CL3000083)
『教会の小さな母』
取得者: サシャ・プニコフ(CL3000122)
『星達の記録者』
取得者: ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)
取得者: カスカ・セイリュウジ(CL3000019)
『眠れるキジン』
取得者: アリシア・フォン・フルシャンテ(CL3000227)
『星影の美少女』
取得者: 猪市 きゐこ(CL3000048)
『白金の星』
取得者: ヒルダ・アークライト(CL3000279)
『星座の三乙女』
取得者: カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)
『星を目指す者』
取得者: ナナン・皐月(CL3000240)
『星座の三乙女』
取得者: たまき 聖流(CL3000283)
『星を肴に』
取得者: マグノリア・ホワイト(CL3000242)
『星を肴に』
取得者: アンネリーザ・バーリフェルト(CL3000017)
『今夜もローラさんは通常運転です』
取得者: ローラ・オルグレン(CL3000210)
『星座の三乙女』
取得者: シア・ウィルナーグ(CL3000028)
『紫銀の星』
取得者: パッフェル・ガブリエラ(CL3000299)
『星にバナナを』
取得者: シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)
『星を肴に』
取得者: グローリア・アンヘル(CL3000214)
『慈悲の刃、葬送の剣』
取得者: アリア・セレスティ(CL3000222)
『奥手ッ!!!!!!!!!!!!』
取得者: アダム・クランプトン(CL3000185)
『皇の薬師』
取得者: 皇 弥悠(CL3000075)
『皇の剣』
取得者: ハルト・スメラギ(CL3000083)
『教会の小さな母』
取得者: サシャ・プニコフ(CL3000122)
『星達の記録者』
取得者: ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)
特殊成果
『小さな星見盤』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員
†あとがき†
皆様お疲れ様でした並びにご参加ありがとうございました。
MVPはシア様とパッフェル様とナナン様。理由はそれぞれですが、共通して言えるのは『挑戦』していたことです。トライアンドエラーを恐れない心があれば、湖の神などに頼らなくてもこの後の激戦を征する事が出来るでしょう。
改めまして、皆様お疲れありがとうございました。
MVPはシア様とパッフェル様とナナン様。理由はそれぞれですが、共通して言えるのは『挑戦』していたことです。トライアンドエラーを恐れない心があれば、湖の神などに頼らなくてもこの後の激戦を征する事が出来るでしょう。
改めまして、皆様お疲れありがとうございました。
FL送付済