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シャンバラ炭鉱制圧作戦

●神よあなたは眠っているのか
――神よ、おお、我が神よ。
何ゆえに我らがこのような目に遭わなければならないのか。
「チンタラしてるんじゃねぇ! きびきび働かんか、異端めが!」
嗚呼、光も差さぬこの地下深くで、また今日も鞭の音が冷たく響く。
何ゆえに、何ゆえにこの身は異端と呼ばれるのか。
マザリモノならば仕方がないだろう。
彼らは生まれたときから異端なのだから、仕方がない。
だが私は違う。
私達は違うのだ。私達は人間なのだ。
ギギギと、私の右腕が軋む。この忌まわしき鋼の両腕が。
かつて栄えある聖堂騎士であった私は、しかしヴィスマルクとの交戦によって腕を二本とも失い、捕虜となり、そして異端となった。
ああ、何度、何度この忌まわしき腕をもごうと思ったことか。
だがそれは人としての死を意味する。
そして私は、自らの死を受け入れるつもりはない。
私は問わねばならないのだ。神に、主であるはずのミトラースに。
あなたは、何故――
「いつまでチンタラやってやがる!」
「ぐぁ!」
背中に激痛が走った。
白い頭巾をかぶった男が、私の背中を鞭で打ったのだ。
「さっさと働きやがれ、異端風情が! 主の役に立つんだよ!」
鞭が幾度も私を打つ。
だが私以外の連中は、私を見はすれども興味なさそうにすぐに作業に戻った。
おのれ。
おのれ。
おのれ。
魔女狩り如きが、この聖堂騎士である私を――
「働けっつってんだろうが!」
倒れ伏した私の頭を、魔女狩りの男が踏みつけた。口に血の味が広がる。
おお、神よ。主ミトラースよ、あなたは眠っているのか。
私はあなたのために戦い、そして異端へと落ちた。
なのにどうして私は救われないのだ。何故、何故、ミトラースよ!
●強制労働所攻略作戦
「ここに、異端って呼ばれてる人たちが働かされてる場所があるの」
階差演算室にて、『元気印』クラウディア・フォン・プラテス(nCL3000004)がシャンバラの地図を広げていた。
示されたのはニルヴァン小管区から南西の位置にある森の外れ。山のふもと。
「ここは小さい炭鉱みたい。キジンとマザリモノが働かされているわ」
聖櫃の燃料であるヨウセイと共に、それらはシャンバラでは迫害対象である。
今回の任務は、炭鉱にいるキジン達を解放し、こちらの味方に付けることだ。
異端と呼ばれる者達の中には、その扱いに不満を抱くものが多い。
事実、ウィッチクラフト内にもそのような事情からシャンバラを離れたキジンやマザリモノがいる。
つまりは、他にも仲間になる異端がいるかもしれないということだ。
「他にも、炭鉱を潰せばシャンバラの国力を多少なりとも削げるはずだよ」
クラウディアの言葉に、やはりこれは戦争なのだと自由騎士達は知る。
こちらの力を増し、敵の力を削ぐ。
それはまさに戦争としては正しいやり方、なのだろう。
「この炭鉱は小さいから、警備もあんまり強くないと思うの。お願いね!」
クラウディアの言葉に自由騎士達はうなずいた。
――神よ、おお、我が神よ。
何ゆえに我らがこのような目に遭わなければならないのか。
「チンタラしてるんじゃねぇ! きびきび働かんか、異端めが!」
嗚呼、光も差さぬこの地下深くで、また今日も鞭の音が冷たく響く。
何ゆえに、何ゆえにこの身は異端と呼ばれるのか。
マザリモノならば仕方がないだろう。
彼らは生まれたときから異端なのだから、仕方がない。
だが私は違う。
私達は違うのだ。私達は人間なのだ。
ギギギと、私の右腕が軋む。この忌まわしき鋼の両腕が。
かつて栄えある聖堂騎士であった私は、しかしヴィスマルクとの交戦によって腕を二本とも失い、捕虜となり、そして異端となった。
ああ、何度、何度この忌まわしき腕をもごうと思ったことか。
だがそれは人としての死を意味する。
そして私は、自らの死を受け入れるつもりはない。
私は問わねばならないのだ。神に、主であるはずのミトラースに。
あなたは、何故――
「いつまでチンタラやってやがる!」
「ぐぁ!」
背中に激痛が走った。
白い頭巾をかぶった男が、私の背中を鞭で打ったのだ。
「さっさと働きやがれ、異端風情が! 主の役に立つんだよ!」
鞭が幾度も私を打つ。
だが私以外の連中は、私を見はすれども興味なさそうにすぐに作業に戻った。
おのれ。
おのれ。
おのれ。
魔女狩り如きが、この聖堂騎士である私を――
「働けっつってんだろうが!」
倒れ伏した私の頭を、魔女狩りの男が踏みつけた。口に血の味が広がる。
おお、神よ。主ミトラースよ、あなたは眠っているのか。
私はあなたのために戦い、そして異端へと落ちた。
なのにどうして私は救われないのだ。何故、何故、ミトラースよ!
●強制労働所攻略作戦
「ここに、異端って呼ばれてる人たちが働かされてる場所があるの」
階差演算室にて、『元気印』クラウディア・フォン・プラテス(nCL3000004)がシャンバラの地図を広げていた。
示されたのはニルヴァン小管区から南西の位置にある森の外れ。山のふもと。
「ここは小さい炭鉱みたい。キジンとマザリモノが働かされているわ」
聖櫃の燃料であるヨウセイと共に、それらはシャンバラでは迫害対象である。
今回の任務は、炭鉱にいるキジン達を解放し、こちらの味方に付けることだ。
異端と呼ばれる者達の中には、その扱いに不満を抱くものが多い。
事実、ウィッチクラフト内にもそのような事情からシャンバラを離れたキジンやマザリモノがいる。
つまりは、他にも仲間になる異端がいるかもしれないということだ。
「他にも、炭鉱を潰せばシャンバラの国力を多少なりとも削げるはずだよ」
クラウディアの言葉に、やはりこれは戦争なのだと自由騎士達は知る。
こちらの力を増し、敵の力を削ぐ。
それはまさに戦争としては正しいやり方、なのだろう。
「この炭鉱は小さいから、警備もあんまり強くないと思うの。お願いね!」
クラウディアの言葉に自由騎士達はうなずいた。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.炭鉱の制圧
2.異端達(キジン・マザリモノ)の解放
2.異端達(キジン・マザリモノ)の解放
どもー、毎度おなじみの吾語です。
それではシナリオの概要説明にいきまっしょい!
◆敵
・正規兵×4
炭鉱を警備している兵士です。レベルは魔女狩りよりも上です。
ヒーラー×2
ネクロマンサー×2
・魔女狩り×8
よくある強制労働所で奴隷に鞭を振るってる悪いヤツ役のアレです。
レベルはそんな高くいないですが数がいるので注意してください。
魔導×3
軽戦士×3
重戦士×3
◆戦場
森に隣している山のふもとに炭鉱が存在しています。
炭鉱入り口付近は広く、戦うならばそこがよいでしょう。
または敵を森におびき寄せるなどすることもできます。
これは参加者の皆さんの作戦次第となるでしょう。
襲撃の時間帯は自由に選択可能とします。
解放するべき異端は炭鉱内部にいますが、基本的に疲労困憊状態です。
それではシナリオの概要説明にいきまっしょい!
◆敵
・正規兵×4
炭鉱を警備している兵士です。レベルは魔女狩りよりも上です。
ヒーラー×2
ネクロマンサー×2
・魔女狩り×8
よくある強制労働所で奴隷に鞭を振るってる悪いヤツ役のアレです。
レベルはそんな高くいないですが数がいるので注意してください。
魔導×3
軽戦士×3
重戦士×3
◆戦場
森に隣している山のふもとに炭鉱が存在しています。
炭鉱入り口付近は広く、戦うならばそこがよいでしょう。
または敵を森におびき寄せるなどすることもできます。
これは参加者の皆さんの作戦次第となるでしょう。
襲撃の時間帯は自由に選択可能とします。
解放するべき異端は炭鉱内部にいますが、基本的に疲労困憊状態です。
状態
完了
完了
報酬マテリア
2個
6個
2個
2個




参加費
100LP [予約時+50LP]
100LP [予約時+50LP]
相談日数
7日
7日
参加人数
7/8
7/8
公開日
2019年02月03日
2019年02月03日
†メイン参加者 7人†

●真夜中の奇襲
シャンバラであろうとも、陽が暮れて夜は来る。
生き物は寝静まり、いっときの静寂に全てが満たされるこの真夜中。
「し、襲撃、襲撃だー!」
その静寂はたった今、破られた。
「悪いが、あまり騒がせるわけにはいかないのだよ」
空気が軋む音がして、警備に回っていた兵の一人が凍てついた。
『達観者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)が放った氷の魔導である。
「ぐっ!」
身を蝕む冷たさに、兵がくぐもった声を上げる。
そこにできた隙を突き、『実直剛拳』アリスタルフ・ヴィノクロフ(CL3000392)が間合いを潰して接近した。
「――一撃」
お見舞いしたのは、体内にまで衝撃を浸透させる一発であった。
拳はみぞおちに直撃、兵は吐しゃ物を散らしながらその場に倒れた。
「お……、おのれ……!」
別の兵が手にした杖を振るわんとする。
だが、この場合の不運は、警備兵に前衛職がいなかったことだろう。
敵が魔導を使う前にアデル・ハビッツ(CL3000496)の一打が飛んできた。
「ぐあっ!」
痛みに兵は数歩後退、そこにはすでにアリスタルフが待ち構えている。
「少し、眠っていてくれ」
降り下ろした拳が、兵の首筋に深く食い込んだ。意識がそこで途切れる。
「こ、こいつら……!?」
杖を構えながら、だが残る兵の間には明らかな動揺が広がっていた。
それを見て、『静かなる天眼』リュリュ・ロジェ(CL3000117)が小さな声で兵達へと告げた。
「すでにお前達は囲まれている。逃がすつもりはないぞ」
「黙れ、侵入者風情が!」
と、敵ネクロマンサーが魔導を行使。
リュリュの足元が泥化し、いっとき動けなくなるも――
「別に、私が動けなくなっても大きな影響はない」
その言葉通り、攻撃をしたのは彼ではなくテオドールだった。
リュリュは癒し手。この場で前に出てきたのは、単に敵の注意をひくためだ。
成就された氷の魔導に、敵は手を凍らされて悲鳴をあげた。
「お、おい!」
もう一人、こちらはヒーラーだろう。
戸惑いながらも仲間を癒そうとするものの、
「そんな隙は、与えねぇって!」
アデルが突っ込んで、勢いのままにぶちかましを敢行。
敵ヒーラーが怯んだところに、最後はアリスタルフ。
「そこだ!」
そして振るわれた拳が、ヒーラーを昏倒させた。
「う、ひぃ……!」
残るネクロマンサーも、完全に腰が引けている。
シャンバラの正規兵にありながら何とも情けない体たらくだが、強制労働所に回される程度の人員ならばたかが知れているということだろう。
持ってきたロープで兵士達の手足を縛り、目立たないところに放置しておく。
少なくとも、朝まで見つかることはないだろう。
「……終わったみたい、だね」
そこに、『湖岸のウィルオウィスプ』ウダ・グラ(CL3000379)がやってきた。
「ああ、終わった。……まぁ、本番はここからだが」
言ってリュリュはその場にホムンクルスを一体生み出す。
「そうね。本番はこれから、なのよね」
『ピースメーカー』アンネリーザ・バーリフェルト(CL3000017)も姿を現し、手にしたライフルの銃身を確かめるように撫でた。
「これからどうすればいいのかな?」
「炭坑の入り口近くで俺達はしばし待機。そして――」
リムリィ・アルカナム(CL3000500)の問いに応じたアリスタルフが、アデルの方を向いた。
「頼んだぞ、アデル」
「任せてくれ。役目は果たして見せる」
一同はうなずきあって、炭坑の入口へと向かって進み始めた。
●祈り届かぬ場所
「ホムンクルスは一定の距離までしか進めない。そこに注意してくれ」
「何とかやってみよう」
リュリュから説明を受けてアベルはうなずく。
その彼に、ウダが継続治癒の魔導をかけて危険に備えた。
「注意するんだよ」
「分かっている。では、行ってくる」
そしてキジンのアデルが炭坑へと入っていく。
まだ朝も遠い時間、炭坑内部は壁にかけられた松明しか光源がない。
それでもアデルは関係なく、すいすい中を進んでいった。
昼も夜も関係なく、彼の目には内部の様子がはっきりと見えていた。
「……む」
途中、角を曲がろうとしたときにホムンクルスが動きを止めた。
移動できる限界距離に来てしまったようだ。
「ならば、ここでやるのみ、か」
アデルが槍を高く掲げ、その穂先を地面に勢いよく突き立てた。
重い爆音が、炭坑内に響き渡る。
小さな地響きは、しかし奥まで伝わっただろう。
さして待つこともなく奥の方から反応が返ってきた。
「何だ!?」
「入口の方から音がしたぞ!」
続いて、いくつかの足音が重なって聞こえてきた。
この時間、奴隷達は寝ているに決まっている。ならば来るのは監視者だ。
タイミングを見計らって、アデルは堂々と名乗った。
「我こそはキジンにしてイ・ラプセルの自由騎士、ミトラースの敵なり!」
わだかまる闇の奥の人影から、確かな動揺の気配が伝わって来た。
頭に頭巾をかぶっているのが見えた。魔女狩りという連中だろうか。
「イ・ラプセルの自由騎士だと……!」
「しかもキジン……、異端の身で我らが神の敵を名乗るか!」
「不遜な!」
「殺せ、神敵を殺せ!」
声は確実に近づいてきている。
足音の数も考えると、おそらく三人ほど。
「――理想的だ」
アデルはほくそ笑むと、背を向けて入り口に向かって走り始めた。
程なく、仲間達の姿が見えてくる。
「釣れたかね」
「上々だ」
テオドールに応えて、アデルは彼が上げた手に自分の手を打ち合わせる。
それからすぐに、チラリチラリと揺れる松明の灯りが見えた。
重い足音。先頭に立っているのは重戦士だろう。
「見えた。――撃つわ!」
先制の一発は、アンネリーザの狙撃であった。
銃声ののち、放たれた弾丸は虚空に螺旋を描きながら重戦士の太ももに着弾。
焼けた弾頭が肉に突き刺さり、鈍い音を鳴らした。
「が! があああああ!?」
まさか闇の向こうから攻撃されるとはおもっていなかったのか、重戦士は絶叫をあげてその場に倒れ込んだ。
共に走って来ていた残る二人が、何事かと松明で当たりを照らす。
だがしかし、夜でも視界を保てるアンネリーザを見つけることはできない。
戦いが始まる前から、敵は崩れつつあった。
晒されているその隙を、自由騎士達が見逃すはずがなかった。
「くらえ、ひっさつの、いちげ――――きッ」
リムリィが敵へと躍りかかり、振り上げたメイスで地面を叩く。
巻き起こった衝撃が、未だ状況を掴めていない魔女狩りを吹き飛ばした。
「ぎゃあ!」
「あ、ごふっ!?」
体勢を崩したまま、二人の魔女狩りは炭坑入り口の壁に頭から激突。
「ぐ、あ……?」
それでも軽戦士らしき魔女狩りは何とか武器を構えようとする。
諦めようとしないのは、ミトラースへの信心の深さゆえか。
だが、この場での勝敗はすでに固まっていた。
「少しだけ眠っていてくれ」
とっくに背後に回っていたアリスタルフが軽戦士の首に腕を回し、一気に締め上げた。相手の体から力が抜けるまで、十秒もかからなかった。
「か、神よ……」
短い祈りを最後に、軽戦士は意識を失う。
その場に倒れた敵を見て、アリスタルフは呟いた。
「悪いが、その祈りは届かない」
そして炭坑の見張り小屋にあったロープで、魔女狩り三人は拘束された。
「見張りがこれだけということはないだろうな。……もう一度か」
炭坑入り口をジッと見つめて、アデルは小さく息をつく。
神の祈りの届かない場所。
ここがもしそうだというのならば、魔女狩り達の祈りを絶っていうのは間違いなく自分達だろう。
そして、異端達の祈りを絶っていたのは魔女狩り達だったのだろう。
入り口を見つめつつ、アデルはそんな益体もないことを考えていたのだった。
●偽りの信仰
「はぁっ! はぁっ! はぁっ!」
呼吸を激しく乱しながら、最後に残った魔女狩りは剣を振り回した。
「近づくな、近づくんじゃあねェェェェ!」
もう、技も何もあったものではない。
全身を汗に濡らし、目をひん剥いて、ただただ力任せに武器を振るう。
だがそんなもの、自由騎士に当たるはずもなく、リムリィが一歩近づいた。
「うおお、おおおおおおお!」
それだけで、魔女狩りの狂乱度合いが目に見えて増した。
魔女狩りにとって、脅威など現れるはずがなかった。
ここは神に祝福された豊穣の楽土。
異端を監視するという聖務を与えられた自分が、他の誰かに罰されるなど、そんなこと、そんなことあり得ない!
「何でだ、俺は正しいことをしているだけだ! 異端など、異端など……!」
「どれいをきずつけるのがただしいんだ」
「そうだ。そうとも! ここにいるのは異端だ! 生きてるだけで神の気分を損なう害虫のような連中だ! 俺達はただ、それを正しく運用してやってるだけだろうが! 何故こんなことをする! 貴様ら、貴様らは!」
「……もういいや」
リムリィがさらに近づいた。
「うああああああああああああああああああああ!」
重圧に耐えきれず、魔女狩りが一直線に突っ込んできた。
「もう、しゃべらないでいいよ」
だが先に、リムリィのハンマーが魔女狩りの腹を正面から捉えていた。
「ごっ、はぁ……!」
ハンマーを思い切り振り抜いて、彼女は息を吐く。
「きいてたくないから、もういいよ」
足元に倒れた魔女狩りから、リムリィは早々に目線を外した。
「よいしょ、っと。……これで全員かしらね」
倒れた敵をロープで縛り終えて、アンネリーザが汗を拭う。
「あとは、奴隷達の解放のみ、か。ある意味、ここからが本番だな」
テオドールが言うと、リュリュが軽く肩をすくめた。
「怖いのは奴隷となりながらもなおミトラースを信仰している場合だが、それについては出たとこ勝負で行くしかないだろう」
「……こっちは僕達が見ているよ。みんな、いってらっしゃい」
拘束した敵の監視にウダとアベルを残して他の面子は炭坑に入っていった。
アデルから聞いた通りに進むと、程なく人の息遣いが聞こえてくる。
「――異端と呼ばれしキジン、マザリモノ諸君!」
テオドールが思い切り声を張り上げた。
「我々はイ・ラプセルの自由騎士である! 我々は不当に貶められている諸兄らをこの場所から解放するためにやってきた!」
重ねて叫んで、彼は反応を待った。
すると少し間を置いて、
「た、助けが来たのか……?」
それは、あまりにも力ない声であった。
「お、おお、おおお……」
「助けてくれ……、出してくれ……」
「帰りたい、帰りたいよ……」
声が次々に帰ってくる。そのどれもが、弱り、疲れ切っていた。
ミトラースを称える声など一つもない。皆、ただただ助けを求めていた。
「こんな光景――」
アンネリーザが絶句する。
異端。
シャンバラにおける最下層の身分。
キジンとマザリモノがそれに分類されるというが、扱いが余りにも酷い。
「身分なんて、なければいいのに」
気が付けば彼女はそんなことを呟いていた。
「イ・ラプセルだと? ……神敵がこんなところにまで来たというのか!」
だが突然の怒声がアンネリーザの声を上から塗り潰した。
「あっちのようだな」
アリスタルフが声の主の方へと向かう。
奴隷達が入れられている牢屋の最も奥に、その男は繋がれていた。
松明の光に照らされて、鋼の両腕が光沢を返している。キジンの男だった。
「…………」
男は地べたに座りながら、敵愾心を隠すことなく自由騎士を睨んでいた。
「キミは……」
「私をただの奴隷と思うか神敵め。私は騎士だ。聖堂騎士だぞ!」
男は吼えるように言った。
聖堂騎士。シャンバラの、正規軍に所属する騎士の総称であるはずだ。
それがどうしてこんな場所に。自由騎士達は顔を見合わせた。
だがテオドールが指摘する。
「……そうか、貴公は神に見捨てられたクチか」
「何を……!」
その一言に、男は顔を真っ赤にした。憤怒によって目が血走っている。
「違うとは言わせんよ。聖堂騎士がこんなところにいるワケがないからな」
「ぐ……! 神敵め!」
まともに言い返せず、男は強がるのが精いっぱいだった。
「ふむ、貴公はあくまでもミトラースへの信仰を貫くのか」
「あ、当たり前だ! 私は、わ、私は我が主への……!」
「うそはだめだよ」
だがリムリィが突き刺した。
「……な、に?」
「だってこえがうそのこえだよ」
さらなるリムリィの言葉に、男の挙動が明らかに変わる。
それを見て、自由騎士達は気づいた。
「そうか、縋るしかないんだな」
この男は神に見捨てられたことを自覚しているのだ。
それでもこの国では神に縋る以外に何も寄る辺とするべきものがないから。
彼は、自身の没落を思い知りながらもなおも神に縋るしかなかった。
「いびつだな、この国は」
「黙れ。黙れ、黙れ……!」
ポツリとこぼしたテオドールに、男が激しく噛みついた。
ここで自由騎士がどう言おうとも、男はきっとそれを認めはしないだろう。
だが皆理解していた。
男の抱えている信仰は、もはや偽りのものでしかないのだと。
そして何より、男自身がそれを自覚していることも、皆が気づいていた。
「わ、私を……、俺を見下すなァァァァァァァ~~~~……!」
他の奴隷が解放を待つ中で、炭坑に元聖堂騎士の嘆きが響き渡った。
●そして
その後について簡単に述べる。
元聖堂騎士の男も、最終的には他の奴隷と共にまずはイ・ラプセルへ向かうこととなった。
捕らえた敵の警備兵と魔女狩りについては、トドメを刺すかどうかという話も出たが、積極的にそれをしようという者もいなかったため同じくイ・ラプセルへ送還されることとなった。
今後、彼らは捕虜として戦争が終わるまでイ・ラプセルに囚われることになるのだろう。
その際の扱いについては、自由騎士達が関わるところではない。
だがそれでも、異端と呼ばれた者達が受けていたそれよりは優しいのだろうということは、皆が理解していた。
最後に――
自由騎士達が炭坑を去ろうとする中、ふとアンネリーザは振り向いた。
そこには見張り小屋があって、ドアにはシャンバラで聖印とされる目と指を模した紋章が飾り付けられていた。
「――――ッ」
銃声。
そして、紋章は砕け散った。
「何をしているんだ、アンネリーザ」
アリスタルフが彼女を呼ぶ。アンネリーザは「何でもないわ」と答えた。
そして今度こそ背を向けて彼女は歩き出す。
もう、アンネリーザが振り返ることはなかった。
シャンバラであろうとも、陽が暮れて夜は来る。
生き物は寝静まり、いっときの静寂に全てが満たされるこの真夜中。
「し、襲撃、襲撃だー!」
その静寂はたった今、破られた。
「悪いが、あまり騒がせるわけにはいかないのだよ」
空気が軋む音がして、警備に回っていた兵の一人が凍てついた。
『達観者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)が放った氷の魔導である。
「ぐっ!」
身を蝕む冷たさに、兵がくぐもった声を上げる。
そこにできた隙を突き、『実直剛拳』アリスタルフ・ヴィノクロフ(CL3000392)が間合いを潰して接近した。
「――一撃」
お見舞いしたのは、体内にまで衝撃を浸透させる一発であった。
拳はみぞおちに直撃、兵は吐しゃ物を散らしながらその場に倒れた。
「お……、おのれ……!」
別の兵が手にした杖を振るわんとする。
だが、この場合の不運は、警備兵に前衛職がいなかったことだろう。
敵が魔導を使う前にアデル・ハビッツ(CL3000496)の一打が飛んできた。
「ぐあっ!」
痛みに兵は数歩後退、そこにはすでにアリスタルフが待ち構えている。
「少し、眠っていてくれ」
降り下ろした拳が、兵の首筋に深く食い込んだ。意識がそこで途切れる。
「こ、こいつら……!?」
杖を構えながら、だが残る兵の間には明らかな動揺が広がっていた。
それを見て、『静かなる天眼』リュリュ・ロジェ(CL3000117)が小さな声で兵達へと告げた。
「すでにお前達は囲まれている。逃がすつもりはないぞ」
「黙れ、侵入者風情が!」
と、敵ネクロマンサーが魔導を行使。
リュリュの足元が泥化し、いっとき動けなくなるも――
「別に、私が動けなくなっても大きな影響はない」
その言葉通り、攻撃をしたのは彼ではなくテオドールだった。
リュリュは癒し手。この場で前に出てきたのは、単に敵の注意をひくためだ。
成就された氷の魔導に、敵は手を凍らされて悲鳴をあげた。
「お、おい!」
もう一人、こちらはヒーラーだろう。
戸惑いながらも仲間を癒そうとするものの、
「そんな隙は、与えねぇって!」
アデルが突っ込んで、勢いのままにぶちかましを敢行。
敵ヒーラーが怯んだところに、最後はアリスタルフ。
「そこだ!」
そして振るわれた拳が、ヒーラーを昏倒させた。
「う、ひぃ……!」
残るネクロマンサーも、完全に腰が引けている。
シャンバラの正規兵にありながら何とも情けない体たらくだが、強制労働所に回される程度の人員ならばたかが知れているということだろう。
持ってきたロープで兵士達の手足を縛り、目立たないところに放置しておく。
少なくとも、朝まで見つかることはないだろう。
「……終わったみたい、だね」
そこに、『湖岸のウィルオウィスプ』ウダ・グラ(CL3000379)がやってきた。
「ああ、終わった。……まぁ、本番はここからだが」
言ってリュリュはその場にホムンクルスを一体生み出す。
「そうね。本番はこれから、なのよね」
『ピースメーカー』アンネリーザ・バーリフェルト(CL3000017)も姿を現し、手にしたライフルの銃身を確かめるように撫でた。
「これからどうすればいいのかな?」
「炭坑の入り口近くで俺達はしばし待機。そして――」
リムリィ・アルカナム(CL3000500)の問いに応じたアリスタルフが、アデルの方を向いた。
「頼んだぞ、アデル」
「任せてくれ。役目は果たして見せる」
一同はうなずきあって、炭坑の入口へと向かって進み始めた。
●祈り届かぬ場所
「ホムンクルスは一定の距離までしか進めない。そこに注意してくれ」
「何とかやってみよう」
リュリュから説明を受けてアベルはうなずく。
その彼に、ウダが継続治癒の魔導をかけて危険に備えた。
「注意するんだよ」
「分かっている。では、行ってくる」
そしてキジンのアデルが炭坑へと入っていく。
まだ朝も遠い時間、炭坑内部は壁にかけられた松明しか光源がない。
それでもアデルは関係なく、すいすい中を進んでいった。
昼も夜も関係なく、彼の目には内部の様子がはっきりと見えていた。
「……む」
途中、角を曲がろうとしたときにホムンクルスが動きを止めた。
移動できる限界距離に来てしまったようだ。
「ならば、ここでやるのみ、か」
アデルが槍を高く掲げ、その穂先を地面に勢いよく突き立てた。
重い爆音が、炭坑内に響き渡る。
小さな地響きは、しかし奥まで伝わっただろう。
さして待つこともなく奥の方から反応が返ってきた。
「何だ!?」
「入口の方から音がしたぞ!」
続いて、いくつかの足音が重なって聞こえてきた。
この時間、奴隷達は寝ているに決まっている。ならば来るのは監視者だ。
タイミングを見計らって、アデルは堂々と名乗った。
「我こそはキジンにしてイ・ラプセルの自由騎士、ミトラースの敵なり!」
わだかまる闇の奥の人影から、確かな動揺の気配が伝わって来た。
頭に頭巾をかぶっているのが見えた。魔女狩りという連中だろうか。
「イ・ラプセルの自由騎士だと……!」
「しかもキジン……、異端の身で我らが神の敵を名乗るか!」
「不遜な!」
「殺せ、神敵を殺せ!」
声は確実に近づいてきている。
足音の数も考えると、おそらく三人ほど。
「――理想的だ」
アデルはほくそ笑むと、背を向けて入り口に向かって走り始めた。
程なく、仲間達の姿が見えてくる。
「釣れたかね」
「上々だ」
テオドールに応えて、アデルは彼が上げた手に自分の手を打ち合わせる。
それからすぐに、チラリチラリと揺れる松明の灯りが見えた。
重い足音。先頭に立っているのは重戦士だろう。
「見えた。――撃つわ!」
先制の一発は、アンネリーザの狙撃であった。
銃声ののち、放たれた弾丸は虚空に螺旋を描きながら重戦士の太ももに着弾。
焼けた弾頭が肉に突き刺さり、鈍い音を鳴らした。
「が! があああああ!?」
まさか闇の向こうから攻撃されるとはおもっていなかったのか、重戦士は絶叫をあげてその場に倒れ込んだ。
共に走って来ていた残る二人が、何事かと松明で当たりを照らす。
だがしかし、夜でも視界を保てるアンネリーザを見つけることはできない。
戦いが始まる前から、敵は崩れつつあった。
晒されているその隙を、自由騎士達が見逃すはずがなかった。
「くらえ、ひっさつの、いちげ――――きッ」
リムリィが敵へと躍りかかり、振り上げたメイスで地面を叩く。
巻き起こった衝撃が、未だ状況を掴めていない魔女狩りを吹き飛ばした。
「ぎゃあ!」
「あ、ごふっ!?」
体勢を崩したまま、二人の魔女狩りは炭坑入り口の壁に頭から激突。
「ぐ、あ……?」
それでも軽戦士らしき魔女狩りは何とか武器を構えようとする。
諦めようとしないのは、ミトラースへの信心の深さゆえか。
だが、この場での勝敗はすでに固まっていた。
「少しだけ眠っていてくれ」
とっくに背後に回っていたアリスタルフが軽戦士の首に腕を回し、一気に締め上げた。相手の体から力が抜けるまで、十秒もかからなかった。
「か、神よ……」
短い祈りを最後に、軽戦士は意識を失う。
その場に倒れた敵を見て、アリスタルフは呟いた。
「悪いが、その祈りは届かない」
そして炭坑の見張り小屋にあったロープで、魔女狩り三人は拘束された。
「見張りがこれだけということはないだろうな。……もう一度か」
炭坑入り口をジッと見つめて、アデルは小さく息をつく。
神の祈りの届かない場所。
ここがもしそうだというのならば、魔女狩り達の祈りを絶っていうのは間違いなく自分達だろう。
そして、異端達の祈りを絶っていたのは魔女狩り達だったのだろう。
入り口を見つめつつ、アデルはそんな益体もないことを考えていたのだった。
●偽りの信仰
「はぁっ! はぁっ! はぁっ!」
呼吸を激しく乱しながら、最後に残った魔女狩りは剣を振り回した。
「近づくな、近づくんじゃあねェェェェ!」
もう、技も何もあったものではない。
全身を汗に濡らし、目をひん剥いて、ただただ力任せに武器を振るう。
だがそんなもの、自由騎士に当たるはずもなく、リムリィが一歩近づいた。
「うおお、おおおおおおお!」
それだけで、魔女狩りの狂乱度合いが目に見えて増した。
魔女狩りにとって、脅威など現れるはずがなかった。
ここは神に祝福された豊穣の楽土。
異端を監視するという聖務を与えられた自分が、他の誰かに罰されるなど、そんなこと、そんなことあり得ない!
「何でだ、俺は正しいことをしているだけだ! 異端など、異端など……!」
「どれいをきずつけるのがただしいんだ」
「そうだ。そうとも! ここにいるのは異端だ! 生きてるだけで神の気分を損なう害虫のような連中だ! 俺達はただ、それを正しく運用してやってるだけだろうが! 何故こんなことをする! 貴様ら、貴様らは!」
「……もういいや」
リムリィがさらに近づいた。
「うああああああああああああああああああああ!」
重圧に耐えきれず、魔女狩りが一直線に突っ込んできた。
「もう、しゃべらないでいいよ」
だが先に、リムリィのハンマーが魔女狩りの腹を正面から捉えていた。
「ごっ、はぁ……!」
ハンマーを思い切り振り抜いて、彼女は息を吐く。
「きいてたくないから、もういいよ」
足元に倒れた魔女狩りから、リムリィは早々に目線を外した。
「よいしょ、っと。……これで全員かしらね」
倒れた敵をロープで縛り終えて、アンネリーザが汗を拭う。
「あとは、奴隷達の解放のみ、か。ある意味、ここからが本番だな」
テオドールが言うと、リュリュが軽く肩をすくめた。
「怖いのは奴隷となりながらもなおミトラースを信仰している場合だが、それについては出たとこ勝負で行くしかないだろう」
「……こっちは僕達が見ているよ。みんな、いってらっしゃい」
拘束した敵の監視にウダとアベルを残して他の面子は炭坑に入っていった。
アデルから聞いた通りに進むと、程なく人の息遣いが聞こえてくる。
「――異端と呼ばれしキジン、マザリモノ諸君!」
テオドールが思い切り声を張り上げた。
「我々はイ・ラプセルの自由騎士である! 我々は不当に貶められている諸兄らをこの場所から解放するためにやってきた!」
重ねて叫んで、彼は反応を待った。
すると少し間を置いて、
「た、助けが来たのか……?」
それは、あまりにも力ない声であった。
「お、おお、おおお……」
「助けてくれ……、出してくれ……」
「帰りたい、帰りたいよ……」
声が次々に帰ってくる。そのどれもが、弱り、疲れ切っていた。
ミトラースを称える声など一つもない。皆、ただただ助けを求めていた。
「こんな光景――」
アンネリーザが絶句する。
異端。
シャンバラにおける最下層の身分。
キジンとマザリモノがそれに分類されるというが、扱いが余りにも酷い。
「身分なんて、なければいいのに」
気が付けば彼女はそんなことを呟いていた。
「イ・ラプセルだと? ……神敵がこんなところにまで来たというのか!」
だが突然の怒声がアンネリーザの声を上から塗り潰した。
「あっちのようだな」
アリスタルフが声の主の方へと向かう。
奴隷達が入れられている牢屋の最も奥に、その男は繋がれていた。
松明の光に照らされて、鋼の両腕が光沢を返している。キジンの男だった。
「…………」
男は地べたに座りながら、敵愾心を隠すことなく自由騎士を睨んでいた。
「キミは……」
「私をただの奴隷と思うか神敵め。私は騎士だ。聖堂騎士だぞ!」
男は吼えるように言った。
聖堂騎士。シャンバラの、正規軍に所属する騎士の総称であるはずだ。
それがどうしてこんな場所に。自由騎士達は顔を見合わせた。
だがテオドールが指摘する。
「……そうか、貴公は神に見捨てられたクチか」
「何を……!」
その一言に、男は顔を真っ赤にした。憤怒によって目が血走っている。
「違うとは言わせんよ。聖堂騎士がこんなところにいるワケがないからな」
「ぐ……! 神敵め!」
まともに言い返せず、男は強がるのが精いっぱいだった。
「ふむ、貴公はあくまでもミトラースへの信仰を貫くのか」
「あ、当たり前だ! 私は、わ、私は我が主への……!」
「うそはだめだよ」
だがリムリィが突き刺した。
「……な、に?」
「だってこえがうそのこえだよ」
さらなるリムリィの言葉に、男の挙動が明らかに変わる。
それを見て、自由騎士達は気づいた。
「そうか、縋るしかないんだな」
この男は神に見捨てられたことを自覚しているのだ。
それでもこの国では神に縋る以外に何も寄る辺とするべきものがないから。
彼は、自身の没落を思い知りながらもなおも神に縋るしかなかった。
「いびつだな、この国は」
「黙れ。黙れ、黙れ……!」
ポツリとこぼしたテオドールに、男が激しく噛みついた。
ここで自由騎士がどう言おうとも、男はきっとそれを認めはしないだろう。
だが皆理解していた。
男の抱えている信仰は、もはや偽りのものでしかないのだと。
そして何より、男自身がそれを自覚していることも、皆が気づいていた。
「わ、私を……、俺を見下すなァァァァァァァ~~~~……!」
他の奴隷が解放を待つ中で、炭坑に元聖堂騎士の嘆きが響き渡った。
●そして
その後について簡単に述べる。
元聖堂騎士の男も、最終的には他の奴隷と共にまずはイ・ラプセルへ向かうこととなった。
捕らえた敵の警備兵と魔女狩りについては、トドメを刺すかどうかという話も出たが、積極的にそれをしようという者もいなかったため同じくイ・ラプセルへ送還されることとなった。
今後、彼らは捕虜として戦争が終わるまでイ・ラプセルに囚われることになるのだろう。
その際の扱いについては、自由騎士達が関わるところではない。
だがそれでも、異端と呼ばれた者達が受けていたそれよりは優しいのだろうということは、皆が理解していた。
最後に――
自由騎士達が炭坑を去ろうとする中、ふとアンネリーザは振り向いた。
そこには見張り小屋があって、ドアにはシャンバラで聖印とされる目と指を模した紋章が飾り付けられていた。
「――――ッ」
銃声。
そして、紋章は砕け散った。
「何をしているんだ、アンネリーザ」
アリスタルフが彼女を呼ぶ。アンネリーザは「何でもないわ」と答えた。
そして今度こそ背を向けて彼女は歩き出す。
もう、アンネリーザが振り返ることはなかった。
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
†あとがき†
どうも、お疲れさまでした!
無事に奴隷を解放することができました。
今後、こうした活動も行なう必要が出てくるでしょう。
シャンバラという国のいびつさが描けていたら幸いです。
それでは、次の機会にお会いしましょう!
ありがとうございました!
無事に奴隷を解放することができました。
今後、こうした活動も行なう必要が出てくるでしょう。
シャンバラという国のいびつさが描けていたら幸いです。
それでは、次の機会にお会いしましょう!
ありがとうございました!
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