MagiaSteam
汚れた沼




「ちょっと前に、ガスティール大工廠ってとこで事件があったんだけど」
『あたしにお任せ』バーバラ・キュプカー(nCL3000007)は、自由騎士達にそんな話を切り出した。
「そこの近くに昔から沼があるんだけど、そこがまあ酷いんですって。ゴミは多いし水は汚いし。昔は綺麗な泉で魚も取れてたらしいんだけど、今は誰も近づかないらしいわ。それに−−出るんですって」
 絶対面倒事だ。関わりたくない。−−結構な間を置いて、やっと誰かが「何が」と尋ねた。焦らされたバーバラは弾かれたように話を続ける。
「魚人。サハギンが住み着いたんですって。近くの村の人達はすっかり怖がっちゃって、大工廠の方に文句言いに行く人もいて、なんかもう大変みたいよ。正義のヒーローの出番じゃない?」
「俺達はヒーローじゃない」
「その答えがすでにヒーローよ。はい合格♡ 頑張ってね♡」
 言って、バーバラは笑顔でひらひらと手を振った。自由騎士達は顔を見合わせ、ため息を吐いた。


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
通常シナリオ
シナリオカテゴリー
魔物討伐
担当ST
鳥海きりう
■成功条件
1.魚人の全滅
2.沼の清掃
 皆様こんにちは。鳥海きりうです。よろしくお願いします。
 ガスティール大工廠近くの沼に住み着いた魚人との戦闘シナリオです。魚人の全滅が成功条件ですが、沼の方も出来る限り綺麗にしてあげてください。

 敵キャラクターのご紹介です。
・スワンプサハギン ×5
 魚人。水中戦闘に長けるが、陸上でも難なく活動する。武器は長銛。

 魚人を全滅させるだけなら難しい依頼ではありません。注意点としては周囲は鬱蒼とした森で障害物が多く、地面も濡れた泥と落葉で形成され、結構滑りやすいです。また、有効な作戦無く水中戦を挑むのも危険でしょう。

 沼を綺麗にするにはいくつか方法が考えられます。
・ゴミ拾い
 大工廠を始めとして人間の捨てたゴミが大量にあります。これを片付けてあげるだけでもだいぶ違うでしょう。
・水中探索及び片付け
 かなり嫌とは思いますが、水中にもゴミが溜まっています。よかったら片付けてあげてください。−−え? 釣る? 投網?
・大工廠へ陳情
 今汚れていることもそうですが、この先汚れないことも重要でしょう。我こそはと思う方は交渉に赴いてください。

 また、近くの村の住民の話を聞いてあげるのもいいでしょう。話せば少しは溜飲も下がりますし、有用な情報が手に入るかもしれません。

 簡単ですが、説明は以上です。
 皆様のご参加をお待ちしております。
状態
完了
報酬マテリア
6個  2個  2個  2個
16モル 
参加費
100LP [予約時+50LP]
相談日数
7日
参加人数
8/8
公開日
2018年10月18日

†メイン参加者 8人†




 ガスティール大工廠にほど近いスウォン村は、昔から裕福な村ではなかった。湿地の集落であるこの村では、食物を手に入れるには決して広くない田畑を耕すか、危険を冒して山を登るか−−あるいは、沼に入って探すしかない。
「確認だけど、誰が沼にゴミ捨ててるの? 実は別の誰かが……って事無い?」
『裏街の夜の妖精』ローラ・オルグレン(CL3000210)は、情報収集のために沼の前にまず村を訪れていた。訊かれた村長は首を横に振る。
「見れば判るよ。ああいうの、産業廃棄物っていうのか? わけのわからない金属や機械の切れ端、それに油に薬だ。他から運んできてるやつがいたら、誰かが見るさ。毎日誰かが沼には行くんだ」
「サハギンが来たのはいつ頃?」
「ゴミが増え始めた、少し後ぐらいだな……しかし、何が目当てできたのかねえ」
「沼のお掃除に使えそうな釣竿とか、投げ網とかない?」
「ある。この辺りには硬い水草が鬱陶しいほど生える。食えたもんじゃないが、道具を作るにはもってこいだ。やってくれるなら貸してもいい」
「ついでに若くてかっこいい男の子も貸してくれない?」
「……はい?」
「自由騎士団のアリア・セレスティです。サハギンの調査と討伐に参りました。こんな事件を他にも聞いたことはありませんか? 別の村でもサハギンが出てるとか」
『慈悲の刃、葬送の剣』アリア・セレスティ(CL3000222)も、別の村人に聞き込みを行なっていた。村人はアリアの問いに首を傾げる。他では似たような事件は聞いたことはないらしい。(最近、沼絡みの異変が多いよね……大工廠付近の沼にサハギンが住み着いたのは最近よね? と言うことは、何処かから流れて来た……ミナンダのリザードマンも近くの沼から追い出されてきてたみたい。何処かの沼に何らかの異変か化物が発生して、連鎖的に生態系を狂わせてたりしないかしら? もしかしたら、これってけっこう大事なのかも……)アリアは思案しながら聞き込みを続ける。
「あたし本来はこうゆう人の話聞く方が楽しいんだよねー。というわけで! 何か不便なこととか、大工廠に対する不満とかない? どんな些細なことでもいいよ。あたし達が大工廠にガツーンと言ってやるからね!」
『子リスの大冒険』クイニィー・アルジェント(CL3000178)も、楽しそうに情報収集を行なっていた。周りに集まっていた村人は口々に言う。この村は決して裕福ではない。沼も決して豊かではないが、食物や素材を集めるには欠かせない場所だ。畑、山、沼、どれ一つ欠けても生活が成り立たない。−−ゴミを捨てるのを今すぐやめろ。
「ふふ、成程……大工廠って割と嫌われ者かも」
「だいたい分かりましたね。そろそろ沼の皆と合流しましょうか」
「そーね。若いのは皆都会とか大工廠とかに出稼ぎに行ったってさ。用事ないから早くいこ」
「「……え?」」「え?」


「しかし、ヒーローでなければワシら一体なんじゃろ。官憲? 宮仕え? それともやっぱり、正義の味方?」
 スウォンの沼。『ビッグ・ヴィーナス』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)は沼を臨む林道で待機しながら首を傾げていた。
「戦士です。私がここに来たのは戦いのためです。実戦もしないと腕が鈍ります故。ついでに言うなら味方の皆様が強いので、戦闘の参考にもなりそうです」
『飢えた白狼』リンネ・スズカ(CL3000361)が、シノピリカの呟きにそう答えた。ここまで断言されるといっそ清々しい。
「いるいる……二体は岸に上がってる。残りは水中ね。これは誘い出したほうがいいかしら?」
『ヘヴィガンナー』ヒルダ・アークライト(CL3000279)は早速リュンケウスの瞳で沼の索敵を行なっていた。
「にしても……これは酷い沼だな。此処に住んでいるという魚人に感心してしまうくらいだ」
 ランスロット・カースン(CL3000391)は沼を遠目に見てそんな感想を漏らした。名家の騎士として生きてきた彼は、これほどの僻地を目にするのは初めてなのかもしれない。ましてや、産業廃棄物で汚れた沼など。
「……皆。彼女達が戻ってきた。そろそろ始めよう」
 アリスタルフ・ヴィノクロフ(CL3000392)がそう言い、全員が後方を振り返る。情報収集に出ていた三人が後方から追いついてきたところだった。


「さーぁ、どんどん片付けちゃおう。行っといで、ホムスパルトイ!」
 まずクイニィーがホムンクルスとスパルトイを形成した。リス型ホムンクルスが人形兵士に飛び乗り、沼へ突撃する。命中。人形兵士がサハギンの一匹に斬りかかった。反撃。サハギンの銛が振り上げ、突き立てられる。人形兵士は破壊され、ホムンクルスは飛び降りてかわした。
「(微力だが、俺も手伝っておくか……)」
 アリスタルフは周辺に潜み、地面から小石を拾って沼に投げ入れた。石とスパルトイに反応してか、沼から三匹のサハギンが姿を見せる。
「出てきたわね……! 吹っ飛べぇぇぇぇっ!」
 F.G.S.。ヒルダの一斉射撃が沼に撃ち込まれる。辺りが爆炎に包まれ、サハギン達の悲鳴が響いた。
「うわー、派手……」
 ローラは爆風に片手で髪を押さえ、炎と煙の向こうに目を凝らす。ちなみにもう片方の手でスカートを押さえたりはしていない。
「あ」「あらら」
 黒煙の向こうから魚人達が飛び出した。五体。四体がヒルダを取り囲み、攻撃する。「くっ、しぶといわね……いいわ、乱れ撃ちといきましょうか!」オーバーブラスト。ヒルダが四方へブランダーバスを乱射する。魚人達はよろめくが、まだ倒れない。
 残り一体は後方のローラへ向いた。「おおう、近くで見るとキモい」「ローラ様、私が引き受けます。後ろへ」スズカが前に立ち、魚人が銛を振り下ろす。命中。「やりますね……」
(ヒルダ様も手傷を負ってらっしゃる。こちらの火力は十分、次で巻き返せる。ここで私が踏み込むよりは、回復に注力して堅く守るのが得策……)
 考えながら反撃する。命中。スズカの暗殺針が魚人に突き立つ。抜針。魚人が悲鳴を上げ、鮮血が細く吹き上がる。
「二人とも、がんばってねー♡」
「そうします」
「オッケー任せて!」
 ローラがハーベストレインでヒルダとスズカの傷を癒す。「そして私からも」「ありがと!」さらにスズカがヒルダの傷を癒した。
「出てきたのからやっつけとこうか! スパルトイ!」
 クイニィーが人形兵を生成し、ローラを狙った魚人を攻撃する。さらにホムンクルスも戻ってきて攻撃に加わった。命中。反撃不能。魚人は遠距離にいるクイニィーに反撃できない。
「仕掛ける……!」
 アリスタルフが飛び出し、さらに追い討ちをかけた。命中。警棒の一撃を受け、ついに魚人が地に倒れる。「ふう。やっと大人しくなったか……」
「ワシも参るぞ! 我が鉄拳を受けてみよ!」
 後方へ回り込んだシノピリカがヒルダを囲む魚人に奇襲をかけた。バッシュ。命中。鎧装拳の一撃を受けた魚人が堪らず倒れる。残心。「ふん! これではバナナ半分にも足りんのう!」
「ランスロット・カースン、推して参る!」
 続いてランスロットが仕掛ける。バッシュ。これも命中。大剣の一撃が魚人を斬り捨て、ランスロットは剣を払い、両手を柄にかけて剣を地面に立てる。「こちらの作戦勝ちだな。余計な被害は出ずに済みそうだ」
「開いたわね−−一歩下がって、一回撃つ!」
 ヒルダが包囲を抜け出し、さらにオーバーブラストを撃ち込む。残っていた二体に命中し、一体が沈んだ。最後の一体がスズカに向いた。銛を振り上げ襲いかかる。
「抜けると思いましたか? −−笑止」
 飛狼双牙。放たれた暗殺針が魚人に突き立つ。魚人は悲鳴も無く倒れた。「よし……及第点ですかね。いつもこうだと良いのですが」
「お疲れ様です。−−大丈夫でしたね」
 隠れて援護の機会を伺っていたアリアが出てきた。
「それじゃ、お片づけといきましょうか。汚れ仕事はあたしも好きじゃないけど……どんな行いであっても国の為に行動ならば模範的に率先して行う者こそが貴族、っていうのがアークライトの教えだものね。まあ、人間は自然と違ってどれほど汚れてもお風呂と香水さえあればすぐ綺麗になれるんだから安いものよね?」
 ヒルダはそう言い、率先してゴミ拾いを始めた。−−ちなみに、幸か不幸か半端に大きいゴミや滑った感じのゴミは少ない。誰かさんが全力全開で灼き払ったせいである。
「交渉は皆様にお任せします。足場の悪い場所でのゴミ拾い、実に鍛えられるかと」
 スズカもそう言い、どこか楽しげにゴミ拾いを始める。
「女性にこの沼へ入らせる訳にはいかんな。沼の中は俺がやろう」
 ランスロットはそう言って持参した長棒を持って沼に向かった。真に誇り高き騎士は戦場を選ばない。
「俺も手伝おう。男手が二人いるんだ、大型のゴミを中心に始末していこう」
 アリスタルフもランスロットに続いて沼へ向かう。ランスロットが沼からゴミを引き上げ、アリスタルフがそれを運び、まとめる。
「どうやら任せてよさそうじゃの−−ワシらは先に行くとするかの」
「そうですね。ヒルダちゃーん、大工廠行ってくるねー」
「バキっと言ってくるから、こっちもよろしくー♡」
「後で差し入れ持ってくるねー!」
 言って、四人はその場を後にした。沼に残る仲間達は手を振ってそれを見送った。


 ガスティール大工廠、第一工場最上階、執務室。かつての事件の功労者でありネームド・ゲスト・タグを持っていたことで、彼女達は丁重にこの部屋に通された。
 執務室の応接ソファに座った四人の前には、背が低く痩身の初老と思われる男が座っていた。にやにやと不気味な笑みを浮かべ、目の前の四人を矯めつ眇めつしている。
「第一工場長のガフ・トンプソンでございます。先日は『スモーカー』を退治していただきありがとうございました。謹んでお礼を申し上げます」
「んー? 第一工場長、って言った?」
 クイニィーが声を上げる。ガフは不気味な笑みを深くした。
「左様でございます。『長』は只今出張中でして−−その間は、私が大工廠の留守を任されております」
「長と話したいんだけどなー」
「まあいーよどっちでも。で、早速なんだけどぉ。とりあえずあの沼に不法投棄するのはもうやめよ? ねっ? ローラからのお・ね・が・い♡」
 ローラがしなを作って本題を切り出す。ガフは笑みを崩さない。
「沼ですか? はて……なんのお話ですかな?」
「あのねえ。はっきり言ってあの村は貧乏なんだよ。沼だって決して豊かじゃないけど、食物や素材を集めるには欠かせない場所なの。畑、山、沼、どれ一つ欠けても生活が成り立たないわけ。−−ゴミ捨てるの今すぐやめて」
 クイニィーが言い、ガフがああ、と頷く。
「そういえば来てましたなあ。近所の村人が」
「ローラってばこう見えてれっきとした軍人さんだからね? えっちぃコトに興味なくたってローラのお願いは聞いておいたほうがいいと思うよー。これが騒ぎになったらどっちが困るんだろう? −−自分の立場ぐらい弁えようね♡」
 ローラが言い、ガフがむう、と唸る。
「分かりました。分かりますし、私も自分の立場は弁えております。長が帰り次第協議して、善処させて頂きます」
「……あれ。あっさり通っちゃった」
「ゴミが出ない様にしろ、と言うだけならば簡単なのじゃ。しかし、現場の創意工夫に丸投げでは悪い意味でお役所仕事。−−むしろ『ゴミは出る物』と言う前提に基づき、ゴミの量を減らしたり作業効率アップさせた者に報酬を出すとかはどうでしょうかの」
 シノピリカの提案に、ガフは頷く。
「素晴らしいご提案です。それも長に伝えます」
「……実際のところどうなのですかな? よもやこれだけの工廠で正式なゴミ捨て場所とか回収が確立されてないとかは……」
 シノピリカの言葉に、ガフはやや困ったような顔をした。
「沼については、昔からそうだった、としか言えませんな……このガスティール大工廠、一夜にしてこの規模の大工廠になったわけではございません。それなりに歴史がございます。最初は田舎の小さな工場でした。村の者達ともそれなりに付き合ってきたのです。−−正直、今になって文句を言われる理由が分かりません」
「……ほう」
「サハギンが出たから、じゃないでしょうか。で、それは私達が退治しました」
 アリアが言い、ガフがそちらを見る。「大工廠が人々の生活を支えていることは事実だと思います。ですが、沼を放置すると魔物が住み着きます。そうして生態系が狂うと、近隣の村に被害が及びます。ミナンダという村でもそれで酷いことが起きました。労働力に損害が出てしまうかも知れません」
「……ううむ」
 ガフは座っていたソファから立ち上がり、四人に深々と頭を下げた。
「貴重なお話をありがとうございました。皆様のお言葉は我らが大工廠の長、ガスティール・オーネストに伝えまして、対処させて頂きます。本日はありがとうございました」
「よろしくお願いします」
「やんなかったら、また来るからね。怒りに♡」
「ガスティールって、ファーストネームだったんだねえ……」
「……オーネスト……オーネスト? はて……」


「……何だこれは」
 ランスロットの棒が沼底の何かを突き止めた。引き上げる。「何かあった?」ヒルダが聞きつけて近づいてくる。
「……長靴ね」
「……見つけるたびに思うんだが、こういうの誰が捨てるんだ? これは普通にゴミ箱でいいだろう」
 ランスロットは汚れを払い、ヒルダに渡す。「頼む」「はいはい」ヒルダは村から借りてきた作業手袋でそれを掴み、同じく借りてきた手押し車に乗せる。
「……何だこれは」
 再びランスロットの棒が沼底の何かを突き止めた。引き上げる。「何かあった?」ヒルダが聞きつけて近づいてくる。
「……板切れね」
「これは……んん? ちょっと待て……」
 ランスロットは板切れをよく見る。長方形の板。いくつかの木板が金具で組み合わされている。中央に取っ手がついていた。
「これは……盾だ」
「え? 盾?」
「しかも、ご丁寧に防腐処理まで施してある。……乾かせば使えるぞ」
「でも、何で盾が捨ててあるわけ? しかも、たかが木の盾にどうして防腐処理まで?」
「そういう敵と戦っていた奴が、ここにいた、か……?」
 ランスロットは呟きながら、木の盾を傍に置く。
「……何だこれは」
 再びランスロットの棒が沼底の何かを突き止めた。引き上げる。「何かあった?」ヒルダが聞きつけてry。
「……重い……! ちょっと待て」
「手伝おうか?」
「いや。汚れる。ここで待て」
 ランスロットは沼に入っていき、重く大きいそれを両手で掴み、引き上げてきた。「……これは……」
「わーお! 私は好きよ! 特に二つの球体がね!」
「だ、だからなんでこんなものが……産業廃棄物はどうした……」
 ヒルダは目の色を変え、ランスロットはがくりと項垂れる。彼が引き上げてきたのは−−僻沼に棄てられてなお美しい、半裸の女神像だった。


「サハギンは俺達が退治した。沼の清掃もな。大工廠にも仲間が陳情に行っている。これで少しはマシになるはずだ」
 アリスタルフは事後報告のためにスウォン村を訪れていた。村長はアリスタルフの言葉に頷く。
「やっぱり、見知った風景が変わっていくと、寂しいもんだ」
「……ぱっと見た感じ、必ずしも産業廃棄物、というわけでもなさそうだったが……他に何か、思い当たる節は無いか?」
 アリスタルフの問いに、村長は首を横に振る。「分からんが−−一つだけ、自信を持って言えることがある」
「……何だ?」
「さっきも言ったように、この村にとってあの沼は重要なもんだ。自分の飯の上にわざわざゴミを捨てるやつはいないだろ? −−絶対に、この村の人間じゃない。余所者だ。請け合うよ」
「……だろうな」
「さて……私は医学の心得があります。折角ですし、村の住人に健康被害が出てないか診ておきます」
 スズカはそう言い、周囲を見回す。ちょうど近くにいた子供達に声をかけた。「こんにちは」
「こんにちはー!」
「……キツネさん……?」
「もふもふだー」
「狼です。違う。ケモノビトを見るのは初めてですか? 私はお医者さんができます。誰か、怪我してる人とか、病気の人はいませんか?」
「……んー」
「いないー!」
「でも、お腹すいた……最近、お魚が食べられないの。沼はもうダメだっていうから……」
「必要なのは、薬ではなく魚ですか……でも、食欲があるなら大丈夫。魚もすぐに出てきますよ」
 言って、スズカは微笑んだ。「キツネさんのー」「もふもふー」「狼です。ちょっと。やめて。ああもう」

†シナリオ結果†

成功

†詳細†

称号付与
『スウォンの退魔騎士』
取得者: ランスロット・カースン(CL3000391)
特殊成果
『女神像』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:ヒルダ・アークライト(CL3000279)
『木の盾』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:ランスロット・カースン(CL3000391)

†あとがき†

皆様お疲れ様でしたならびにご参加ありがとうございました。

 MVPはランスロット・カースン様。王道のプレイングだったとおもいます。ありがとうございました。

 重ねまして、皆様お疲れありがとうございました。
FL送付済