MagiaSteam
パイライトとオリオネスト




 イ・ラプセル山間部、オリオネスト村。そこから程近い鉱山。
「でたぞっ!! ……この輝きは……金だっ!!」
「やったぞ!! これでオリオネストは更に発展するぞ!!」
「おおーーーっ!!!」
 大きな成果に感嘆の声を上げる鉱夫達。ウヴァロヴァイトに続く村の特産物が生まれたその瞬間に男達は色めき立ったのだ。
「ん……でもこれは……」
 一人の鉱夫がある事に気づく。
「ギャハハハ!! 盛り上げってる所申し訳ねぇが……」
 そこに望まぬ声がした。
「その鉱石全部、俺達ラスカルズのモンだ」
 いかにもといった風貌の男達が10人ほど。手にはそれぞれ武器を持っている。
「せっかくお前達が見つけたんだ、掘り出すのはこのまま手伝わせてやるぜぇ。鉱石の変わりに埋められたくねぇならとっとと身体を動かしなぁ」

「くそっ……せっかく俺達が──」
 一人の鉱夫が呟き終える間も無く。その鉱夫の喉元にはナイフが突きつけられていた。
「なぁにか言ったのかぁ?? アァン??」
「い、いえ……」
「何もねぇんだな? それじゃぁ俺様のために働いてくれよぉ。ただ何もいわずにな。ギャハハハハハ!!」

 こうしてオリオネスト村に更なる繁栄をもたらすはずだった鉱山はラスカルズによって占拠された。


「ラスカルズの仕業と思われる事件が演算されたぜ」
『演算士』テンカイ・P・ホーンテン(nCL3000048)は集った自由騎士に説明する。
「ジョルジュ・R・ロベルトドーン。前にも採石場を占拠していたヤローだ。前回は逃げやがったみたいだが……今回はそうはいかねえ」
「今度こそ捕まえないとな」
 自由騎士は鉱石場へ向かう。もう取り逃しはしない。


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
通常シナリオ
シナリオカテゴリー
対人戦闘
担当ST
麺二郎
■成功条件
1.ジョルジュ・R・ロベルトドーンおよびラスカルズの捕縛
麺二郎です。2019年も張り切っていきましょう。

以前鉱石場を占拠し、自由騎士によってその企みを阻止された男ジョルジュがまた動き出しました。
国の産業を脅かす存在をこれ以上放置する訳には行きません。

●ロケーション

 イ・ラプセル山間部オリオネスト村ほど近くの採石場。
 村の更なる発展のために新たな鉱石を発見すべく掘り進められた新しい採石場。入り口は幅、高さ共に20mほどと広いが置くに行くほど少しずつ狭くなっている。
 入り口より緩く下りながら一直線に500mほど進んだ先で新しい鉱石が見つかりました。
 見つかった喜びに鉱夫が喜び抱き合っていたところにヤツラが現れます。
 自由騎士が現れるとすぐにすべての明かりが消させるため、真っ暗闇の中で、ある程度鉱夫を守りながら戦闘を行う必要があります。

 採石場最奥(鉱夫達)←(ラスカルズ)    ←(自由騎士)        採石場入り口

・パイライト
 金属光沢を持つ真鍮色の鉱石。
 その淡黄色の色調により金と間違えられることが多い事から、「愚者の黄金」とも呼ばれる。
 今回見つかったのは実はこれです。

●敵と登場人物

・ ジョルジュ・R・ロベルトドーン 23歳
 ラスカルズに多く在籍するロベルトドーン一族の一人。
 依然出てきた際には、幹部ではありませんでしたが自由騎士による幹部の捕縛などに伴い幹部へ昇格しました。その実力も上昇しています。
 マッチョで酒と女が大好き。男(ただしイケメンに限る)も好き。無頼漢。
 ギャンブルを好み、生死をかけるような博打に身を置く事もしばしば。一通りの悪事はこなしてきました。
 主に採掘現場からの強奪行為を行っており、特に暗闇や閉所での戦闘に非常に長けています。
 格闘スタイルのスキルを複数個所持。プラス影狼、ゲス、暗視所持。

 他構成員10人
 皆ナイフを所持しています。暗視とハイバランサーを所持。入り口に2人。残りはジョルジュと共に奥にいます。
 全員軽戦士系ですが、皆回復スキルと遠距離攻撃スキル(低威力)を所持しています。

・鉱夫達 25人
 みな戦闘経験などはありませんが日ごろより鍛えているためそれなりに頑丈です。ただ守られるだけの存在ではありません。
 うまくコントロールできれば構成員との戦いにも手に持ったツルハシで加勢してくれます。


皆様のご参加お待ちしております。
状態
完了
報酬マテリア
2個  6個  2個  2個
9モル 
参加費
100LP [予約時+50LP]
相談日数
6日
参加人数
6/6
公開日
2019年02月22日

†メイン参加者 6人†




「ジョセフから得た情報は不要でしたね……」
『慈悲の刃、葬送の剣』アリア・セレスティ(CL3000222)はため息を一つ。
 以前ジュルジュと戦い、追い詰めながらも逃してしまったアリア。その後ジュルジュの行方は知れず、アリアは雪辱を晴らす機会を伺う日々を過ごしてた。
 そんな中、その後の依頼にてジョルジュの兄であるジョセフの捕縛に成功。これを千載一遇のチャンスと捉えたアリアはジョセフへの尋問を行ったのだが──。
 ジョセフからはジョルジュの動向に付いての有益な情報を得る事は出来なかった。
 次こそは──そんなアリアにこの日プラロークが告げた未来。そこにジョルジュはいた。
「ふふふ……この間はよくもおちょくってくれたね……」
 静かに滾らせるのは『未知への探究心』クイニィー・アルジェント(CL3000178)。
 クイニィーもまたジョルジュには煮え湯を飲まされている。
(兄貴同様ブタ箱にぶち込んでやるから覚悟しろよ……)
 眼鏡の奥の瞳には決意が宿る。袋小路の鉱山は捕縛するには絶好のチャンスであることは間違いない。クイニィーは決める。そしてジョルジュにあのゾクゾクするような表情を向けるのだろう。
「ほんっと、ラスカルズの奴らもほんと懲りねえなあ」
 ふぅ、とため息をつくのは『RED77』ザルク・ミステル(CL3000067)。
 自由騎士が何度も取り逃がすわけにはいかない。今度こそ捕まえないとな──こと捕縛においてはザルクには奥の手がある。パラライズショット。ザルクの得た稀有の力は、見えない鎖が拘束するが如く敵の動きを封じるのだ。
「くくく……」
 含み笑いを見せるのは『黒道』ゼクス・アゾール(CL3000469)。
 そう簡単にはいかないって事だあねー。ゼクスが言うのは誰でもないラスカルズの事だ。掘り出す苦労はせずに出たお宝だけを奪い去る。これが成功すれば実に簡単な作業だっただろう。だがしかし。その行動はプラロークにより予知され、今まさに妨害されようとしている。ゼクスから思わず漏れた笑いはラスカルズへの軽い嘲笑を含んでいた。
「ま、一攫千金、なんて狙わずに日々地道に働くのが一番って事さあ」
(……だが俺たちのシマを荒らすコイツ等は此処で潰す)
 自由騎士たちにゼクスが見せるのは相変わらずの軽いノリと誰かが言ったような薄っぺらい言葉。
 だがその言葉と態度の裏側には全く別の野獣(いきもの)が潜んでいる。その表裏一体こそゼクスそのものなのだ。
「もうすぐ、鉱山の入り口が見えるはずっ。皆さん準備はいいですか」
『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)が皆に目を向けると誰もが頷く。
「金……というかまぁ、ともかくラスカルズとジョルジュを捕まえないとな」
 そういう『クマの捜査官』ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)が上着のポケットから取り出したのは以前ジョルジュによってつけられたと思われる3枚の羽。
「この羽の意味も聞きださねぇと」
 意味を聞くことに若干の悪寒は感じつつも、ウェルスは羽をポケットにしまう。
 そして自由騎士たちは鉱山の入り口にたどり着く。ターゲットはもう目の前だ。


 ドサッ。人が倒れる音がした。
 物陰から影狼で一気に見張り二人へ接近したアリアとエルシー。その剣撃と拳は一撃のもとに見張りの意識を奪ったのだ。
「ふぅ。これで大丈夫ね」
 気絶した見張りを手際よく持参したロープで縛り上げるエルシー。
「では一気に奥まで進みましょう。ジョルジュ……待ってなさい」
 アリアを先頭に自由騎士たちは鉱山へと潜入する。

「俺たちのためにしっかり働いてくれよぉ」
 自由騎士が入り口の見張りを倒した頃、ジョルジュ達は鉱夫に命令し、金の採掘を続けさせていた。
「それにしてもこの金脈はかなりのもんだな。これを持ち帰れば俺の地位とボスの信頼が一気に上がるぜぇ……帰ったら女でも攫って宴だな。ギャハハハハ!!!」
 下品な笑い声を上げるジョルジュと部下たち。
(くそっ!! あいつら言いたい放題いいやがって……!!)
 そんな言葉に憤りながらも作業を続ける鉱夫たち。納得できることは一つもない。だが、大人しく従っていれば命までは取られまい──帰りを待つ家族がいる鉱夫たちは何より生きて帰ることを選んだのだ。
「おいっ……作業をやめろ。音を出すな」
 最初に気づいたのはジョルジュ。静寂に包まれる中、静かに聞き耳を立てる。
「……足音の数からみて6人ってところか。どうやら呼んでねぇ客がきたみてぇだな」
 ジョルジュが手下に目で合図すると、その場の明かりがすべて消される。
「さぁていったい誰が来たのか、ツラぁ拝んでやらねぇとなぁ」
 ジョルジュとその手下が闇へと溶け込んでいく。暗闇。そこは彼らのテリトリー。

 ガキィィィィン!!!
 静寂の中に響き渡る金属音。それはアリアの接近しながらの攻撃をジョルジュが受けた音。
「お前……見えてるみてぇだな」
 アリアの迷いの無い攻撃にジョルジュは闇を味方にするのが自分達だけでないことを瞬時に悟る。
「今回は逃がしません」
 暗闇の中、アリアとジョルジュの攻撃を交える音が響く。
「ん~~~……今回? この剣の軌跡……思い出したぜぇ。お前、あの時の女か」
 ジョルジュはアリアの攻撃を受け流しながらにたりと笑う。その手がゆっくりと動く。それはまるで何かの感触を思い出すかのように。
「あの時はまだ青臭い感じだったが……俺様が熟れさせるってのも悪くないよなぁ……ギャハハハハ!!!」
 ジョルジュの言葉にアリアの中に思い起こされる雪辱と恥辱。
「く……っ」
 それでもアリアは真正面からジョルジュを睨み返したその時。ザルクの放った不可視の魔弾がラスカルズを蹂躙した。
「ぐわっ!? なんだ!?」
「動けねぇっ!?」
 ラスカルズの動きが止まる。
「一気に行くわよっ!!」
「雑魚は任せときなっ」
 ザルクの魔弾で行動を阻害された者から鎮めるべく、銃を構えるウェルスと竜の籠手で打撃を繰り出すエルシー。エルシーの腰にはカンテラがセットされ、やんわりとエルシーと周囲を照らしている。光を放ちながらラスカルズと戦うそんな姿が鉱夫たちの目に入る。
「手前らが手に持ってるもんはなんだ? それは掘り起こすだけのモンじゃねえぞ! よく考えろっ!! お前たちはこれまでもその身体一つですべてを守り、やり遂げ来たんだろうが!!」
 声の主はゼクス。鉱夫たちがどういう気持ちでラスカルズに従っているのか。わかったうえでの啖呵きりだった。
「う……うぉぉぉぉおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」
 鉱夫たちが吠えた。それは地震とも間違えるほどの大きな地響き。鉱夫たちの表情にはもはや諦めなど存在しない。
「やってやる! 俺たちも手伝うぜっ!!」
 大人しく従うだけだった鉱夫が攻撃に転ずる。
「いいか、勇気と無謀は違う。そこだけ違わないでくれ」
 混乱に乗じていつの間にか鉱夫の元へと一気に走り抜けたウェルス。その顔は真剣そのものだ。
「……だけど期待もしてるぜ」
 そういうと鉱夫に笑顔を見せるウェルス。
「さぁ反撃だぜっ!!」
 突然の状況変化に戸惑うラスカルズたち。
 鉱山の仕事は過酷を極める。常に命を脅かす危険の中で培われた精神と、鍛え上げられた肉体。本来そもそものポテンシャルが高いのだ。戦闘経験の無さは幾多の経験によってカバーされ、自由騎士にとって十分な戦力となっていた。
 自由騎士と鉱夫の強力タッグに挟まれる形となったラスカルズ。
 手下たちがザルクの魔弾で次々と行動を封じられる中、ジョルジュはその抜群の嗅覚で危険を察知し、紙一重で避けていた。
「おいおい、なんだこの技はよう。反則じゃねぇか。ん? なんだこの光は……」
 それはゼクスの放った光球。薄ぼんやりとした光がジョルジュを照らす。
 そこにいたのね──ジョルジュが誰かの声を聴いた瞬間。その身に浴びたのは強毒の炸薬。
「ぐあっ!?」
 その攻撃に合わせながらアリアの猛攻がジョルジュを責め立てる。
 アリアの攻撃を剣で受け止めながら、浴びせられた薬を掃い、声のした方を睨みつけるジョルジュ。そこにはまるで見下すようにジョルジュを見る小柄な少女。
「おめぇもあの時の……ククク……ギャハハハ!! そうかいそうかい。お前たちそんなに俺に可愛がられたかったにのかよおぉ。いいぜぇ……二人まとめて相手してやる。おまえらふたりとも俺なしじゃぁ生きられない体に仕込んでやるぜぇ……」
 そういうとクイニィーの身体を嘗め回すように見るジョルジュ。小柄だが思いのほか豊かに見えるクイニィーを胸のあたりに視線を移すとじゅるりと舌なめずりをした。
 すでにゼクスの光球は消え、その姿は闇に溶け込みクイニィーには見えていない。だが見えなくとも自身に向けられたねっとりと纏わりつくような視線はわかる。
「俺も今となってはラスカルズの幹部様だ。偉くなった俺様にその身をもってご奉仕したいってことだろう? いいぜぇ……」
「そんなわけないでしょ!!」
「戯言を!!!」
 クイニィーと声と同時にアリアの蛇腹剣がジョルジュを襲う。
「おおっと。あぶねぇあぶねぇ。だがじゃじゃ馬ならしは俺の得意分野でなぁ」
 何とは言わぬ部位をいきり立たせながら下品な笑みを浮かべるジョルジュだったのだが。すぐにその表情が変わる。
「何だこりゃぁ!?」
「細工は流々ってね」
 答えたのはゼクス。ぷはぁとキセルをふかした時、すでに準備は終わっていた。アリアとクイニィーにジョルジュが気を取られている間にゼクスが辺りに充満させたもの。それは纏わりつくように漂う紫の煙。
「……桃源郷夜来香」
 その煙はラスカルズ全体を包み込む。吸い込まれる事で体の内部からダメージを与え、吐き出す際にも更なるダメージを与えるというゼクスならでは技。
 準備に時間を要する技だがその効果範囲は広い。
 その時、急に場が明るくなる。自由騎士たちが近づいてくるのを察知し、消されていた篝火。その火がまた灯ったのだ。
「ふふふ。上手くいったみたい」
 クイニィーがくすくすと笑う。
 火を灯したのは鉱夫のひとり。──少し前に時間はさかのぼる。
 ラスカルズの元へたどり着いた際にクイニィーがまず行ったこと。それはホムンクルスの作成だった。鉱夫たちとの距離がホムンクルスの活動範囲内と踏んだクイニィーは、ホムンクルスにメモを持たせて鉱夫の元へ向かわせたのだ。
 メモにはこう書かれていた。「助けに来た。明かりを確保して」と。そしてメモを見た鉱夫によって一度は失われた明かりが復活したのだ。
「よし! これでさらに狙いやすくなったぜ!」
 銃で標準を合わせるウェルス。ウルサマヨルから放たれる弾丸は氷の矢となり、周辺に降り注ぐ。
 エルシーもまた明かりに恩恵を受ける。自身の持つカンテラのみが視界のすべてだったエルシー。明りが灯ったことでその攻撃はより精度を上げる。
「ハァーーーーっ!!!」
 ナイフを振りかざし襲い掛かかってくる手下の攻撃を籠手でいなし、そのまま攻撃へと転じる。緋色の衝撃──極至近距離から放たれたその一撃は当てた相手を貫き、後方の敵にまでその威力を届かせる。
「グ……ハッ」
 呻き声とともに二人の男が同時に倒れた。
 その後もウェルスとエルシー、そしてザルク。さらにはそれぞれのエモノを持った鉱夫たちによって手下たちは徐々に倒れていく。

(なんだこりゃぁ……なんでこうなった)

 アリアとクイニィーの息もつかさぬ遠近の連携攻撃を避けながらジョルジュは内心焦っていた。ただ脅して掘り出したものを奪うだけの簡単な仕事のはずだった。
 それが実際はどうだ。大人しく従っていた鉱夫にまで反旗を翻され、状況は劣勢。手下は次々倒される始末。さらには自身もどうだ。肉体強化を行おうにもアイツだ。炭夫を焚きつけたアイツが俺を狙ってやがる。強化がはがされちまう……!!
「クソどもがぁぁぁぁぁーーーーー!!!!」
 ジョルジュが吠えた。
「俺は幹部。ラスカルズの幹部のジョルジュ様だぞ!!!」
 ジョルジュにも自負するものがあった。それは己の強さ。幹部への昇進は自身の実力と当然のものと思っていた。だが。
「強くなったのはこちらも同じこと!」
「アンタの兄貴は私たちが捕まえたよ。アンアなんて所詮、兄貴がいなくなったから繰り上げ幹部になっただけの存在。そんなことにも気づかないなんて……わ・ら・え・る♪」
 以前捕らえ、その柔肌を堪能した小娘が自分の前に大きな壁となって立ちふさがる。
 その時は空気のように存在感すら感じていなかったリスの小娘にも嘲笑される始末。
「クソが、クソが…!!! お前ら覚えていろよ……絶対捕まえて地獄を見せてやる……俺のことしか考えられない肉欲だけの奴隷にしてやるぜぇ」
 ジョルジュが構えをとったそのときだった。
「逃がしはしませんよ」
 同じ構えを見せるアリア。影狼──攻撃と同時に移動を可能とする技。ジョルジュはその考えが甘かったことを痛感する。この場から逃げる術など元より存在していなかったのだ。
「ま、アリアがいなくとも俺が絶対逃がさないけどな」
 ザルクが銃を構える。先人から受け継いだ稀有の力。弱気を助け、悪に立ち向かうはこの力を持つ者の宿命。
 そこからは自由騎士とジョルジュの生死をかけた戦いとなる。
 全てを投げうち死に物狂いで自由騎士へ攻撃を仕掛けるジョルジュ。その捨て身の攻撃は接近戦を受けて立ったアリアとエルシーに深いダメージを与えていく。
「まってろ、回復する!」
 ウェルスが味方へ弾丸を放つ。特製回魔導弾──その弾丸はダメージを与えるものにあらず。味方を癒す慈悲なる弾丸。
「ふふふ。回復だってあたしにとったらお手の物」
 クイニィーもすぐに反応し、パナケアで体力回復を行っていた。
 それでもジョルジュの攻撃は回復量を上回り、着実にアリアとエルシーの体力を奪っていく。
 折れたほうが負ける。そんな戦いが続く中、とうとうジョルジュの足が止まる。
 己が速度を絶対と信じ、強者として君臨してきたジョルジュ。ザルクの弾丸が、ゼクスの追撃の矢が、エルシーの気迫こもる拳が、そしてアリアの雪辱を乗り越えた切っ先が。ジョルジュの足を止めたのだ。
「ク……ソ……がぁ」
 それでも悪態をつくジョルジュの目の前にはホムンクルスの姿が。
「……プークスクス。み・じ・め♪ これあーげるっ」
 クイニィーの放った炸薬はホムンクルスも巻き込みその威力を上げ、またもジョルジュを焦がす。
「グァァァァアアアアアアーーーーーー!!!!」
 ジョルジュは意識を失いその場に倒れた。さらに力をつけ幹部となっていたジョルジュ。しかし終わってみればその上をさらに行く鍛錬を積み、成長した自由騎士たちの圧勝だった。


「オリオネストは自由騎士が深くかかわる地。そこに手を出すなど私たちを甘く見すぎでは?」
 捕縛したラスカルズに問いかけるアリア。
「けっ。お前たちには関係ねぇ話だ。すっこんでやがれ」
「今吐かなくてもどうせお前たちは牢獄いきだ。そっちの尋問は厳しいぜ」
 ザルクが軽く脅しをいれるが、その態度は変わらない。
「どうやってお前たちは掘り当てるタイミングが分かったんだ。それとこの羽の意味……教えてもらうぜ」
 ウェルスが羽を取り出し、ジョルジュへ見せる。
「ククク……そうだなぁ。教えてやるぜ。その羽はなぁ……ロベルトドーン一族の誇りをかけてお前を狙うっていう証さ。お前はずっと狙われ続けるのさ。ギャハハハハハ!!」
「ねぇ……幹部なら色々知っているでしょう? このままじゃあなたも拷問の餌食よ。どれだけ痛い思いをするのかしら……それよりも私に話してみたらどう? 拷問されなくてすむかもよ?」
 エルシーがその豊満すぎる肢体を摺り寄せながら、ジョルジュにしだれかかる。
「ギャハハハ。じゃぁ今ここで全員の相手してくれよう。そうすりゃ話してやるぜぇ。脱げよ。ほら。俺たちはいいんだぜぇ……誰が見ててもよお」
 自らの興奮を隠すことなくジョルジュはそう言い放ち、その様子をにたぁと笑いながら見る手下たち。所詮は欲望に忠実な下衆の集団。色仕掛け程度では落とせそうもない。
「そっかぁ。じゃぁ拷問いってみちゃう?」
 嬉々としてそう話したのはゼクス。笑顔を見せてはいるもののその瞳の奥には違うものが潜んでいる。
「そういや、あんたらこれを金だと思ってるんだろうけど……」
 ウェルスの言葉にクイニィーが合わせる。
「これ違うから。人呼んで愚者の金。金とは全く別物。まぁ愚か者のアンタ達にはほんっとお似合いだよね~~~~♪」
 その場にはラスカルズたちの歯ぎしりとクイニィーの嘲笑が響いていた。

 ラスカルズを引き渡した自由騎士たち。
「あーせいせいした! ジョルジュのあの時の顔ったら……」
 クイニィーがジョルジュの様子を思い出しながらん~~と伸びをする。どうやらクイニィーはすっきりしたようだ。
「……」
 アリアもまた雪辱は果たしたのだが……恥辱に反応した事実は自身の中で燻り、消えることはない。
「なんつーか、差別やら種族差やら貧富やら……ラスカルズと関わると色々な問題を感じるな」
 すぐに解決できるものではないんだが。そう思いながらも考えてしまう。
「まぁどんな理由があろうともラスカルズの行いが許される訳じゃない」
 理由があれば奪うことが正当になる。そんなクソみたいな理論はザルクには度し難い。
 だがいずれラスカルズとの戦いにも決着の日は訪れる。果たしてその時にザルクにはその問題への答えが出ているのだろうか。

†シナリオ結果†

成功

†詳細†


†あとがき†

鉱夫の奮い立ちもあり、ラスカルズは一網打尽となりました。

MVPは鉱夫への発破功績を称えて貴方へ。

ご参加ありがとうございました。
FL送付済