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【逆天螺旋】おとぎ話の逆尖塔

●究極の魔導
「そんなものが存在するとは、にわかには信じがたいね」
話を聞いたパーヴァリ・オリヴェルは、まず、当然すぎる反応を返した。
イ・ラプセルとヴィスマルクの国境線へと向かうさなかのことだ。
数週間前、水鏡がその地点に関する予知を映し出した。
しかしどういうワケか、その予知は解読される前にノイズと化し、そして途切れた。
ほんの一瞬映し出されたのは辺りの風景。
それがどこなのかを調べた結果、ヴィスマルクとの国境付近であることが判明した。
当初、この予知はあまり重要視されていなかった。
水鏡は安定性を欠く道具である。
予知がノイズになったという事態も、そうした不安定性の現れの一つであると、そのように解釈され、違和感こそあれどそれを重く捉える者はいなかった。
だが、水鏡が反応した以上は、そこに何かがあるに違いない。
そう判断したイ・ラプセルは、いつものように自由騎士を集め、いつものように何かがあるであろうその場所へ向けて、自由騎士を派遣した。
そして、連絡は途切れた。
いつもと同じであれば入るであろう解決の一報はいつまで待っても入らず、派遣された自由騎士達が帰還することもなかった。
何があったのかもわからない。水鏡は沈黙したままで、情報があまりにも足りなすぎる。
イ・ラプセルは二度目の自由騎士の派遣を行なった。
だが、二度目の派遣もまた、自由騎士達の音信不通という形で失敗に終わった。
しかし一度目と違っている点もある。
一人の自由騎士が、消息を絶つ前に一度だけマキナ・ギアによる通信を寄越していたのだ。
その内容は、ただ一言――、
『……逆天螺旋の塔』
であった。
その名に反応する者は、最初は誰もいなかった。
しかし、パーヴァリがその名を知っていた。彼の故郷に残る伝承に出てくるのだという。
「逆天螺旋の塔というのは、森の英雄が悪い魔法使いを退治するおとぎ話に出てくる場所で、上にではなく下に伸びる逆さまの塔のことだよ。そこには、究極の魔導が眠ているらしい」
究極の魔導。
何とも陳腐な呼称である。子供受けはしそうだが。
いや、だからこそのおとぎ話なのだろう。そして、だからこそのパーヴァリの反応だ。
「おとぎ話の塔が実在するとして、自由騎士が勝てない何者かがそこにいる、と?」
道中、話を聞きながらパーヴァリは腕を組む。
「……そうだね、ひとまず塔についてはひとまず置こう。自由騎士が二度も退けられた。という事実の方がはるかに重要だ。それほどの脅威、果たして何があるというのだろう」
言いながら、すでにパーヴァリは、そして同道する自由騎士達はその答えについておぼろげながらも察していた。何せ、現場はヴィスマルクとの国境線だ。
「十中八九、ヴィスマルク軍だろうね」
言わずともわかっていることを、パーヴァリはあえて言う。
「今となっては、それ以外に考えられる可能性なんてほとんどない。そして――」
彼の声が、一段低くなる。
「これから向かう先には、ヴィスマルクの精鋭が待ち構えている、ということになる」
自由騎士を二度も退けたヴィスマルクの部隊。
当然それは、強力であるに違いない。
「憶測でしかないけど、それだけの精鋭を派遣するべき理由が、そこにあるのかもしれないね。……逆天螺旋の塔、もしかした、本当に?」
そろそろ、現場に到着しようという、そのとき、
「――いる。みんな、警戒を密に!」
何かを察知したパーヴァリの言葉に、自由騎士達がそれぞれ武器を構える。
そこは山中。周りには乱雑に生える木々があり、視界は決してよくはなく――、
「ヴィスマルク軍だ!」
敵が、襲いかかってきた。
「そんなものが存在するとは、にわかには信じがたいね」
話を聞いたパーヴァリ・オリヴェルは、まず、当然すぎる反応を返した。
イ・ラプセルとヴィスマルクの国境線へと向かうさなかのことだ。
数週間前、水鏡がその地点に関する予知を映し出した。
しかしどういうワケか、その予知は解読される前にノイズと化し、そして途切れた。
ほんの一瞬映し出されたのは辺りの風景。
それがどこなのかを調べた結果、ヴィスマルクとの国境付近であることが判明した。
当初、この予知はあまり重要視されていなかった。
水鏡は安定性を欠く道具である。
予知がノイズになったという事態も、そうした不安定性の現れの一つであると、そのように解釈され、違和感こそあれどそれを重く捉える者はいなかった。
だが、水鏡が反応した以上は、そこに何かがあるに違いない。
そう判断したイ・ラプセルは、いつものように自由騎士を集め、いつものように何かがあるであろうその場所へ向けて、自由騎士を派遣した。
そして、連絡は途切れた。
いつもと同じであれば入るであろう解決の一報はいつまで待っても入らず、派遣された自由騎士達が帰還することもなかった。
何があったのかもわからない。水鏡は沈黙したままで、情報があまりにも足りなすぎる。
イ・ラプセルは二度目の自由騎士の派遣を行なった。
だが、二度目の派遣もまた、自由騎士達の音信不通という形で失敗に終わった。
しかし一度目と違っている点もある。
一人の自由騎士が、消息を絶つ前に一度だけマキナ・ギアによる通信を寄越していたのだ。
その内容は、ただ一言――、
『……逆天螺旋の塔』
であった。
その名に反応する者は、最初は誰もいなかった。
しかし、パーヴァリがその名を知っていた。彼の故郷に残る伝承に出てくるのだという。
「逆天螺旋の塔というのは、森の英雄が悪い魔法使いを退治するおとぎ話に出てくる場所で、上にではなく下に伸びる逆さまの塔のことだよ。そこには、究極の魔導が眠ているらしい」
究極の魔導。
何とも陳腐な呼称である。子供受けはしそうだが。
いや、だからこそのおとぎ話なのだろう。そして、だからこそのパーヴァリの反応だ。
「おとぎ話の塔が実在するとして、自由騎士が勝てない何者かがそこにいる、と?」
道中、話を聞きながらパーヴァリは腕を組む。
「……そうだね、ひとまず塔についてはひとまず置こう。自由騎士が二度も退けられた。という事実の方がはるかに重要だ。それほどの脅威、果たして何があるというのだろう」
言いながら、すでにパーヴァリは、そして同道する自由騎士達はその答えについておぼろげながらも察していた。何せ、現場はヴィスマルクとの国境線だ。
「十中八九、ヴィスマルク軍だろうね」
言わずともわかっていることを、パーヴァリはあえて言う。
「今となっては、それ以外に考えられる可能性なんてほとんどない。そして――」
彼の声が、一段低くなる。
「これから向かう先には、ヴィスマルクの精鋭が待ち構えている、ということになる」
自由騎士を二度も退けたヴィスマルクの部隊。
当然それは、強力であるに違いない。
「憶測でしかないけど、それだけの精鋭を派遣するべき理由が、そこにあるのかもしれないね。……逆天螺旋の塔、もしかした、本当に?」
そろそろ、現場に到着しようという、そのとき、
「――いる。みんな、警戒を密に!」
何かを察知したパーヴァリの言葉に、自由騎士達がそれぞれ武器を構える。
そこは山中。周りには乱雑に生える木々があり、視界は決してよくはなく――、
「ヴィスマルク軍だ!」
敵が、襲いかかってきた。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.ヴィスマルク軍の撃破
新シリーズはじめました(冷やし中華のノリで)。
吾語です。
このシリーズは全4回でお届けする予定です。今回はその第1回となります。
ヴィスマルクとの国境線地帯に何かがあるようです。
うん、まぁ、ダンジョンなんですけどね!
そこを警護しているヴィスマルクの部隊が今回の敵となります。
総勢10名。ネームドはなしです。
ただし、次回からエルベ隊が登場します。
敵の内訳は、
ニンジャ×3、防御タンク×3、重戦士×2、ヒーラー×2となります。
忍者以外はスキルランク3までのスキルを用い、
ニンジャは2までのスキルを使用してきますので、ご注意ください。
戦場は山の中で、ほぼ森の中と同じと思ってください。
地面が緩やかに傾斜していますが、走るのに邪魔になることはありません。
それでは、皆さんのプレイングをお待ちしています。
吾語です。
このシリーズは全4回でお届けする予定です。今回はその第1回となります。
ヴィスマルクとの国境線地帯に何かがあるようです。
うん、まぁ、ダンジョンなんですけどね!
そこを警護しているヴィスマルクの部隊が今回の敵となります。
総勢10名。ネームドはなしです。
ただし、次回からエルベ隊が登場します。
敵の内訳は、
ニンジャ×3、防御タンク×3、重戦士×2、ヒーラー×2となります。
忍者以外はスキルランク3までのスキルを用い、
ニンジャは2までのスキルを使用してきますので、ご注意ください。
戦場は山の中で、ほぼ森の中と同じと思ってください。
地面が緩やかに傾斜していますが、走るのに邪魔になることはありません。
それでは、皆さんのプレイングをお待ちしています。

状態
完了
完了
報酬マテリア
2個
6個
2個
2個




参加費
100LP [予約時+50LP]
100LP [予約時+50LP]
相談日数
7日
7日
参加人数
7/8
7/8
公開日
2021年01月21日
2021年01月21日
†メイン参加者 7人†
●究極の魔導なるもの
場面は、襲撃直前から始まる。
「悪い魔法使いを退治する話で、その塔はどういう役割を果たすんだい?」
パーヴァリに対して『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)が問いかける。こういった話に興味があるマグノリアは、薄い表情のまま、しかし内心では興味津々に尋ねた。
「悪い魔法使いは塔に眠る究極の魔導を手に入れようとした。森の英雄はそれを追いかけて、最終的に悪い魔法使いを倒すんだ。シンプルな話だろう?」
「究極の魔導たぁ、いかにもシャンバラらしいが、所詮はおとぎ話だよなぁ?」
無粋にも水を差してくる『キセキの果て』ニコラス・モラル(CL3000453)に、パーヴァリは「まぁ、確かにね」と肩をすくめる。
彼の言う通り、塔の話も、究極の魔導なるものも、おとぎ話に過ぎない。
「究極の魔導、ですか……。おとぎ話とはいえそんなものがあるのでしたら、ミトラース様が手を出さないはずがないと思うのですけれど」
「オイオイ、おとぎ話を真に受けてどーすんだよ」
真面目に考える『SALVATORIUS』ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)に、ニコラスが苦笑するも、しかしミルトスは「あら」と顔をあげる。
「ドヴェルグの通り路の例だってあるでしょう?」
シャンバラとの戦いの際、人質に取られたヨウセイ達を救う作戦で使用された、地下洞窟のことである。それは、ヨウセイ達の間では伝承として語り継がれていたものだ。
「懐かしい話だ」
当時、ヨウセイの救出作戦に参加した『装攻機兵』アデル・ハビッツ(CL3000496)が話に加わる。同じく参加していたマグノリアも一緒になってうなずいた。
「ミトラースまで情報がいっていなかったのかもしれない。逆天螺旋の塔の話は、ヨウセイでもあまり知る者がいない、かなりマイナーなおとぎ話だから」
「――だが、ヴィスマルクはその情報重く見ているのかもしれないのだな」
アデルの言葉が、それまでの空気に僅かな重みを加える。
「二度の自由騎士派遣がすでに失敗していると推測されるこの状況。当然、それを阻んだ者がいる。地理的に見て、ヴィスマルクであると仮定するべきだ」
「それは……、当然の判断ですね」
同意する『未来を切り拓く祈り』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)の言葉は、他の自由騎士達の代弁でもあった。
「問題の場所には、何か、おとぎ話の元になった遺跡があるのかもしてないな。……うむ、浪漫ではある。ヨツカはそういうのは嫌いじゃないぞ」
「はい、本当に遺跡があるなら、私も興味があります。おとぎ話の方も聞いてみたいです」
徐々に緊張が高まる中で、『背水の鬼刀』月ノ輪・ヨツカ(CL3000575)とセアラ・ラングフォード(CL3000634)がおとぎ話の方に興味を示す。
「ああ、それなら別に構わないけれど――」
と、パーヴァリと雑談に興じつつ、だが自由騎士達は周囲への警戒を忘れない。
だからこそ、物静かな山中に鳴ったかすかな物音にも反応できた。
「――いる。みんな、警戒を密に!」
「わかっている。全員な」
武器を構え、アデルが応じた。
そして互いに敵を認知し、一気に間合いを詰める中で、ニコラスが叫ぶ。
「ヴィスマルク軍だ!」
戦闘、開始。
●激突
「敵、総勢十名! 盾3、剣2、杖2、それと――」
ヨツカがその優れた視力によって見えたヴィスマルク兵の装備を確認し、敵の陣形を瞬時に解析しようとする。だが、そこに見えたものに彼は驚きの声をあげた。
「……ニンジャが、3!」
「わかりました!」
応じ、アンジェリカが天高くへと咆哮を衝き上げる。
直後に自由騎士達がいる場所一帯が爆裂し、土砂が派手に巻き上げられた。
ニンジャ達が仕掛けた罠を起動させたのだ。
いずれも接敵前の行動。不意を突けるであろう唯一無二のタイミングである。
ヴィスマルク兵のうち、重戦士二名が突っ込んでいく。
が、土煙の向こうから自由騎士達が飛び出してきた。
「開戦の号砲にちょうどいい」
槍を構え、前へと出ていくアデルが、余裕をもってそう呟く。
ニンジャの罠については、すでに幾度か見ている。対処するのに時間が足りなくとも、来るとわかっている攻撃であれば受け止めること自体はそう難しくはない。
「――叩き潰せ!」
敵陣後方、指揮官とおぼしき杖を持った兵士が叫ぶ。
なだらかな斜面になっている戦場は、決して走りやすいとはいえないだろう。
それでも足を取られることなく駆ける敵兵は、少なからず実戦を経験している精鋭だ。
「油断はすんじゃねぇぞ!」
「しないさ。する余裕なんてないよ」
声を張り上げるニコラスに、マグノリアがクスリと笑う。
ヴィスマルク側も精鋭なら、自由騎士もまた強兵。
戦場における油断など、即効性の猛毒以上にあやういものだと熟知している。
「ウオオ!」
ファーストアタックは、ヨツカ。
絶叫と共に繰り出したタックルが、肉壁である敵のタンクを直撃。
タックル自体は受け止められはしたが、そこに生じた衝撃が壁を貫き、後方にまで及ぶ。
「ぐ、おお!?」
思わぬ攻撃に、後方の杖を持った兵士が大きく身を傾がせる。
司令塔と思われるその兵士が動きを鈍らせることで、敵陣に乱れが――、
「オラァ!」
生じない。
重戦士は後方に構わず、自由騎士を潰しに来ている。
「いい判断です!」
しかし、アンジェリカの速度が敵の攻撃を上回り、後手ながらも防御に成功する。
山中に刃と刃が交わり合い、剣戟の音は山彦となってその場にいる戦士達の耳に残響を覚えさせる。さなか、ニンジャが地面に向かって煙球を投げた。
「……毒の炎が来るぞ!」
アデルの警告に、自由騎士達が皆、顔を伏せるか口元を腕で覆うかする。
炎と呼ぶにはあまりにも毒々しい色をしたものが、自由騎士めがけて押し寄せる。煙玉によってまかれた薬物に反応し、それは一気に爆燃、炸裂した。
「こういうときの、俺らだからよ!」
しかし、自由騎士達の対処も早かった。
「数では劣っていても、質で劣った覚えはないね」
ニコラスとマグノリアが、立て続けに癒しの魔導を使って前衛の傷を癒していく。
「助かる。このまま、援護も頼む」
突撃用の槍で重戦士と刃を合わせながら、アデルが礼を言った。
重い金属音が幾度も響き、魔導が炸裂する音がそれを上から塗り潰す。
追い詰め、追い込まれ、癒しの魔導は敵も味方も惜しみなく使い続けた。魔力が削られていく。その最中、セアラが魔導の舞を披露する。
「動きを、縛ります!」
激しい魔力の流動が、ヴィスマルク兵数人の足に絡み付き、その動きを阻んだ。
杖を持った兵士が、舌を打って対処しようとする。
しかし、灼熱の魔弾が、その肩を直撃する。
「ぐ、おおおお!?」
「見えていないとでもお思いですか?」
巨大な重剣を両手に掴み、アンジェリカが灼熱の弾幕を敵陣めがけて解き放つ。
「ええい、こざかしい!」
敵陣、防御兵がそれを何とか防ごうとするも、さすがに全弾は防げない。
どうしても、流れ弾が後方へと飛んでいく。
移動しようにも、セアラの魔導気流が足に絡みついて思うように動けず、難儀する。
「こいつら……!」
ヴィスマルク兵達の間に危機感が高まる。
それを読み取って、マグノリアは軽く息をついた。
「役者が、不足しているんじゃないかな」
その言葉に慢心はない。ただ、彼我の戦力差を正しく認識した結果である。
とはいえ、敵もそんな言葉で戦いが止まろうはずもない。
「自由騎士如きが!」
「そこで正しく相手の戦力を評価できていない時点で、底が知れますよ」
ミルトスが告げて、きつく握った拳を構え、突き出すのだった。
●決着
戦場において、肌になじんだ感覚がある。
それは、勝利の予感である。
「追い詰めてるな」
流れる空気の中に、かすかなソレを感じながら、ニコラスがつぶやく。
発動した精霊召喚の魔導によって、敵陣ヒーラーの行動を封じることに成功した。
それは、言ってみれば敵から回復手段を奪ったに等しい。
「うん。追い詰めている」
次いで、マグノリアが言葉を継ぎながら魔力流動によって敵の動きを奪いにかかる。
セアラのときにもそうであったように、発生した魔力の渦は残っている敵兵数名の足へと絡み付き、その動きをしっかりと縛った。
戦いは優位に進んでいる。
自由騎士全員が、それを感じ取っていた。
「最後まで、警戒をし続けろ」
だからこそ、アデルのその一言である。
「うおお!」
残った防御兵に向けて、彼は渾身の一撃をお見舞いする。
いかに強固な壁であろうとも、歴戦のつわものであるアデルの全力の攻撃は受け止められない。金属が鈍くひしゃげる音がして、防御兵は派手に吹き飛んだ。
「これでまた、一人」
「さすがですね。では、私も続きましょうか」
「あら、一人だけでですか?」
踏み出すアンジェリカに、続こうとするミルトス。
見た目聖職者ながら、その中身は共にアデルにも劣らない猛者である。
ヴィスマルク兵が襲いかかってくる。
前に重戦士と防御兵、奥にはニンジャ。
アンジェリカとミルトスの視線が、一瞬だけ交わる。
「私は前を」
「私は奥を」
そして二人は、弾丸となって一気に前へ飛び出した。
「ぬおっ」
敵、重戦士と防御兵が対応する前に、アンジェリカの巨剣が唸りをあげる。
髄まで鍛え上げられた彼女の一閃が防御兵を巻き込んで、重戦士へと叩きつけられる。
さらにそこから、神速の六連撃。ド派手な激突音に、思わず後方のセアラが耳を塞いだ。
当然、そんなものの直撃を受けたヴィスマルク兵は無事でいられるはずもない。
「続けていきます」
今度は、ミルトス。
倭刀を逆手に構えるニンジャへと立ち向かい、彼女は一気に間合いを詰める。
肉迫する両者。
ニンジャが腕を翻して刀でミルトスを切りつける。
しかし、彼女は刃を籠手で受け止めて、そこから鋭くハイキックを繰り出す。
「シッ!」
「ちぃぃぃ!」
間一髪、ニンジャはそれをかわすも――、
「試合のつもりなら、他でやってくれ」
横合いから聞こえる、その声。
驚き向けば、そちらにはすでに刀を高く振り上げているヨツカの姿。
「あら、そんなつもりはありませんよ。ですので、存分にどうぞ」
笑って言うミルトスにうなずきもせず、彼は刀を振り下ろす。
速度に乗った刃はニンジャが反応するより早く、その身を上から切り裂いていた。
「――畳みかけましょう」
大きく体勢を崩したニンジャへと、ミルトスがさらに迫って、肩からブチ当たる。
生じた威力はその身を突き抜け、後方のヒーラーまでも餌食にする。
しかし――、
「浅い? ……いや、当たってすら」
その手応えに、ミルトスは違和感を覚えた。ブチ当たったはずのニンジャの体が、影と消える。それは分身と呼ばれる忍術の一端。ヒーラーこそ打ち倒したものの、ニンジャはまだ、仕留めるには至っていない。
「なるほど、興味深いですね!」
気配を敏感に察し、ミルトスは仕留め損ねたニンジャへと向き直ろうとする。
「隙ありぃ!」
しかし、さすがに攻撃直後、ミルトスも万全とはいかずニンジャの方が先手をとりそうになる。が、その動きが急に鈍った。
「口に出しちゃうのは、一流とは言えないのでは?」
セアラであった。
彼女が再度発生させた魔力流動が、ニンジャの足をしっかりと捕らえ、捕まえていた。
「ナイスです、セアラさん」
笑いながら、今度こそミルトスがニンジャにトドメを刺した。
ヒーラーが倒れ、ニンジャが倒れ、防御兵が倒れ、残るは重戦士のみとなるが――、
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
さすがに士気を保てなくなったか、最後の一人は一目散に逃げだした。
「……終わった、か」
そこから十秒ほど、辺りを警戒しつつ見回り、アデルが息をつく。
ヴィスマルクとの戦闘は、ひとまず、ここに決着を見たのであった。
●そして逆天の塔へ
「はぁ……」
誰かがため息をついた。
戦いが終わったのち、それはきっと自然と漏れ出たものだった。
「気を抜いちゃあ、ダメだぜ」
ニコラスが軽くウインクして告げる。
とはいえ、戦いは終わった。それは確かだ。
倒れたヴィスマルク兵から武器を奪い、近くの木にロープで括って無力化させた後で、自由騎士達の間で一つの話題が持ち上がる。
「……こいつら、ではないな」
「ですね」
アデルの言葉に、ミルトスが同意した。
「えっと、どういうことでしょうか?」
言外にある共通認識がまだわからず、セアラが問う。
「これまで、二度も自由騎士を打ち破ってきたのは彼らじゃない。ってことさ」
それを、マグノリアが説明する。
「弱くはなかったが、しかし、強敵と呼べるほどではなかった」
ヨツカも同意して、ゆえにその顔に剣呑な色が差す。
「――いるのか。自由騎士を下すほどの強者が、この先に」
「ああ、いるぜ」
彼の問いかけに即答したのは、誰あろう、ニコラス。
アンジェリカが、彼の方を見る。
「何か、情報が?」
「んにゃ、勘」
ニコラスが笑って肩をすくめる。
「ただよー、心当たりがあるんだよな。ヴィスマルク所属で、最前線に出張るヤベェの」
ため息とともにそれを言う彼に、何人かが気づく。
「――エルベ隊」
「だったらイヤだねぇ~。因縁なんてもんじゃねぇ。何度目だ?」
「何度相まみえようと、立ちはだかるなら打倒するのみだ」
再び山の中を進み始めながら、アデルが言う。
そして、山を越えたその先に――、
「あれ、か」
パーヴァリが指をさした。
そこに、古びた石造りの祭壇のようなものが見えた。
「階段になっていますね」
「地下への入り口……、逆天螺旋の塔、か」
「行きましょうか。放置できるものでもないでしょうし」
かくして、自由騎士達は究極の魔導が眠るとされるおとぎ話の塔の攻略に挑む。
場面は、襲撃直前から始まる。
「悪い魔法使いを退治する話で、その塔はどういう役割を果たすんだい?」
パーヴァリに対して『紅の傀儡師』マグノリア・ホワイト(CL3000242)が問いかける。こういった話に興味があるマグノリアは、薄い表情のまま、しかし内心では興味津々に尋ねた。
「悪い魔法使いは塔に眠る究極の魔導を手に入れようとした。森の英雄はそれを追いかけて、最終的に悪い魔法使いを倒すんだ。シンプルな話だろう?」
「究極の魔導たぁ、いかにもシャンバラらしいが、所詮はおとぎ話だよなぁ?」
無粋にも水を差してくる『キセキの果て』ニコラス・モラル(CL3000453)に、パーヴァリは「まぁ、確かにね」と肩をすくめる。
彼の言う通り、塔の話も、究極の魔導なるものも、おとぎ話に過ぎない。
「究極の魔導、ですか……。おとぎ話とはいえそんなものがあるのでしたら、ミトラース様が手を出さないはずがないと思うのですけれど」
「オイオイ、おとぎ話を真に受けてどーすんだよ」
真面目に考える『SALVATORIUS』ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)に、ニコラスが苦笑するも、しかしミルトスは「あら」と顔をあげる。
「ドヴェルグの通り路の例だってあるでしょう?」
シャンバラとの戦いの際、人質に取られたヨウセイ達を救う作戦で使用された、地下洞窟のことである。それは、ヨウセイ達の間では伝承として語り継がれていたものだ。
「懐かしい話だ」
当時、ヨウセイの救出作戦に参加した『装攻機兵』アデル・ハビッツ(CL3000496)が話に加わる。同じく参加していたマグノリアも一緒になってうなずいた。
「ミトラースまで情報がいっていなかったのかもしれない。逆天螺旋の塔の話は、ヨウセイでもあまり知る者がいない、かなりマイナーなおとぎ話だから」
「――だが、ヴィスマルクはその情報重く見ているのかもしれないのだな」
アデルの言葉が、それまでの空気に僅かな重みを加える。
「二度の自由騎士派遣がすでに失敗していると推測されるこの状況。当然、それを阻んだ者がいる。地理的に見て、ヴィスマルクであると仮定するべきだ」
「それは……、当然の判断ですね」
同意する『未来を切り拓く祈り』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)の言葉は、他の自由騎士達の代弁でもあった。
「問題の場所には、何か、おとぎ話の元になった遺跡があるのかもしてないな。……うむ、浪漫ではある。ヨツカはそういうのは嫌いじゃないぞ」
「はい、本当に遺跡があるなら、私も興味があります。おとぎ話の方も聞いてみたいです」
徐々に緊張が高まる中で、『背水の鬼刀』月ノ輪・ヨツカ(CL3000575)とセアラ・ラングフォード(CL3000634)がおとぎ話の方に興味を示す。
「ああ、それなら別に構わないけれど――」
と、パーヴァリと雑談に興じつつ、だが自由騎士達は周囲への警戒を忘れない。
だからこそ、物静かな山中に鳴ったかすかな物音にも反応できた。
「――いる。みんな、警戒を密に!」
「わかっている。全員な」
武器を構え、アデルが応じた。
そして互いに敵を認知し、一気に間合いを詰める中で、ニコラスが叫ぶ。
「ヴィスマルク軍だ!」
戦闘、開始。
●激突
「敵、総勢十名! 盾3、剣2、杖2、それと――」
ヨツカがその優れた視力によって見えたヴィスマルク兵の装備を確認し、敵の陣形を瞬時に解析しようとする。だが、そこに見えたものに彼は驚きの声をあげた。
「……ニンジャが、3!」
「わかりました!」
応じ、アンジェリカが天高くへと咆哮を衝き上げる。
直後に自由騎士達がいる場所一帯が爆裂し、土砂が派手に巻き上げられた。
ニンジャ達が仕掛けた罠を起動させたのだ。
いずれも接敵前の行動。不意を突けるであろう唯一無二のタイミングである。
ヴィスマルク兵のうち、重戦士二名が突っ込んでいく。
が、土煙の向こうから自由騎士達が飛び出してきた。
「開戦の号砲にちょうどいい」
槍を構え、前へと出ていくアデルが、余裕をもってそう呟く。
ニンジャの罠については、すでに幾度か見ている。対処するのに時間が足りなくとも、来るとわかっている攻撃であれば受け止めること自体はそう難しくはない。
「――叩き潰せ!」
敵陣後方、指揮官とおぼしき杖を持った兵士が叫ぶ。
なだらかな斜面になっている戦場は、決して走りやすいとはいえないだろう。
それでも足を取られることなく駆ける敵兵は、少なからず実戦を経験している精鋭だ。
「油断はすんじゃねぇぞ!」
「しないさ。する余裕なんてないよ」
声を張り上げるニコラスに、マグノリアがクスリと笑う。
ヴィスマルク側も精鋭なら、自由騎士もまた強兵。
戦場における油断など、即効性の猛毒以上にあやういものだと熟知している。
「ウオオ!」
ファーストアタックは、ヨツカ。
絶叫と共に繰り出したタックルが、肉壁である敵のタンクを直撃。
タックル自体は受け止められはしたが、そこに生じた衝撃が壁を貫き、後方にまで及ぶ。
「ぐ、おお!?」
思わぬ攻撃に、後方の杖を持った兵士が大きく身を傾がせる。
司令塔と思われるその兵士が動きを鈍らせることで、敵陣に乱れが――、
「オラァ!」
生じない。
重戦士は後方に構わず、自由騎士を潰しに来ている。
「いい判断です!」
しかし、アンジェリカの速度が敵の攻撃を上回り、後手ながらも防御に成功する。
山中に刃と刃が交わり合い、剣戟の音は山彦となってその場にいる戦士達の耳に残響を覚えさせる。さなか、ニンジャが地面に向かって煙球を投げた。
「……毒の炎が来るぞ!」
アデルの警告に、自由騎士達が皆、顔を伏せるか口元を腕で覆うかする。
炎と呼ぶにはあまりにも毒々しい色をしたものが、自由騎士めがけて押し寄せる。煙玉によってまかれた薬物に反応し、それは一気に爆燃、炸裂した。
「こういうときの、俺らだからよ!」
しかし、自由騎士達の対処も早かった。
「数では劣っていても、質で劣った覚えはないね」
ニコラスとマグノリアが、立て続けに癒しの魔導を使って前衛の傷を癒していく。
「助かる。このまま、援護も頼む」
突撃用の槍で重戦士と刃を合わせながら、アデルが礼を言った。
重い金属音が幾度も響き、魔導が炸裂する音がそれを上から塗り潰す。
追い詰め、追い込まれ、癒しの魔導は敵も味方も惜しみなく使い続けた。魔力が削られていく。その最中、セアラが魔導の舞を披露する。
「動きを、縛ります!」
激しい魔力の流動が、ヴィスマルク兵数人の足に絡み付き、その動きを阻んだ。
杖を持った兵士が、舌を打って対処しようとする。
しかし、灼熱の魔弾が、その肩を直撃する。
「ぐ、おおおお!?」
「見えていないとでもお思いですか?」
巨大な重剣を両手に掴み、アンジェリカが灼熱の弾幕を敵陣めがけて解き放つ。
「ええい、こざかしい!」
敵陣、防御兵がそれを何とか防ごうとするも、さすがに全弾は防げない。
どうしても、流れ弾が後方へと飛んでいく。
移動しようにも、セアラの魔導気流が足に絡みついて思うように動けず、難儀する。
「こいつら……!」
ヴィスマルク兵達の間に危機感が高まる。
それを読み取って、マグノリアは軽く息をついた。
「役者が、不足しているんじゃないかな」
その言葉に慢心はない。ただ、彼我の戦力差を正しく認識した結果である。
とはいえ、敵もそんな言葉で戦いが止まろうはずもない。
「自由騎士如きが!」
「そこで正しく相手の戦力を評価できていない時点で、底が知れますよ」
ミルトスが告げて、きつく握った拳を構え、突き出すのだった。
●決着
戦場において、肌になじんだ感覚がある。
それは、勝利の予感である。
「追い詰めてるな」
流れる空気の中に、かすかなソレを感じながら、ニコラスがつぶやく。
発動した精霊召喚の魔導によって、敵陣ヒーラーの行動を封じることに成功した。
それは、言ってみれば敵から回復手段を奪ったに等しい。
「うん。追い詰めている」
次いで、マグノリアが言葉を継ぎながら魔力流動によって敵の動きを奪いにかかる。
セアラのときにもそうであったように、発生した魔力の渦は残っている敵兵数名の足へと絡み付き、その動きをしっかりと縛った。
戦いは優位に進んでいる。
自由騎士全員が、それを感じ取っていた。
「最後まで、警戒をし続けろ」
だからこそ、アデルのその一言である。
「うおお!」
残った防御兵に向けて、彼は渾身の一撃をお見舞いする。
いかに強固な壁であろうとも、歴戦のつわものであるアデルの全力の攻撃は受け止められない。金属が鈍くひしゃげる音がして、防御兵は派手に吹き飛んだ。
「これでまた、一人」
「さすがですね。では、私も続きましょうか」
「あら、一人だけでですか?」
踏み出すアンジェリカに、続こうとするミルトス。
見た目聖職者ながら、その中身は共にアデルにも劣らない猛者である。
ヴィスマルク兵が襲いかかってくる。
前に重戦士と防御兵、奥にはニンジャ。
アンジェリカとミルトスの視線が、一瞬だけ交わる。
「私は前を」
「私は奥を」
そして二人は、弾丸となって一気に前へ飛び出した。
「ぬおっ」
敵、重戦士と防御兵が対応する前に、アンジェリカの巨剣が唸りをあげる。
髄まで鍛え上げられた彼女の一閃が防御兵を巻き込んで、重戦士へと叩きつけられる。
さらにそこから、神速の六連撃。ド派手な激突音に、思わず後方のセアラが耳を塞いだ。
当然、そんなものの直撃を受けたヴィスマルク兵は無事でいられるはずもない。
「続けていきます」
今度は、ミルトス。
倭刀を逆手に構えるニンジャへと立ち向かい、彼女は一気に間合いを詰める。
肉迫する両者。
ニンジャが腕を翻して刀でミルトスを切りつける。
しかし、彼女は刃を籠手で受け止めて、そこから鋭くハイキックを繰り出す。
「シッ!」
「ちぃぃぃ!」
間一髪、ニンジャはそれをかわすも――、
「試合のつもりなら、他でやってくれ」
横合いから聞こえる、その声。
驚き向けば、そちらにはすでに刀を高く振り上げているヨツカの姿。
「あら、そんなつもりはありませんよ。ですので、存分にどうぞ」
笑って言うミルトスにうなずきもせず、彼は刀を振り下ろす。
速度に乗った刃はニンジャが反応するより早く、その身を上から切り裂いていた。
「――畳みかけましょう」
大きく体勢を崩したニンジャへと、ミルトスがさらに迫って、肩からブチ当たる。
生じた威力はその身を突き抜け、後方のヒーラーまでも餌食にする。
しかし――、
「浅い? ……いや、当たってすら」
その手応えに、ミルトスは違和感を覚えた。ブチ当たったはずのニンジャの体が、影と消える。それは分身と呼ばれる忍術の一端。ヒーラーこそ打ち倒したものの、ニンジャはまだ、仕留めるには至っていない。
「なるほど、興味深いですね!」
気配を敏感に察し、ミルトスは仕留め損ねたニンジャへと向き直ろうとする。
「隙ありぃ!」
しかし、さすがに攻撃直後、ミルトスも万全とはいかずニンジャの方が先手をとりそうになる。が、その動きが急に鈍った。
「口に出しちゃうのは、一流とは言えないのでは?」
セアラであった。
彼女が再度発生させた魔力流動が、ニンジャの足をしっかりと捕らえ、捕まえていた。
「ナイスです、セアラさん」
笑いながら、今度こそミルトスがニンジャにトドメを刺した。
ヒーラーが倒れ、ニンジャが倒れ、防御兵が倒れ、残るは重戦士のみとなるが――、
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
さすがに士気を保てなくなったか、最後の一人は一目散に逃げだした。
「……終わった、か」
そこから十秒ほど、辺りを警戒しつつ見回り、アデルが息をつく。
ヴィスマルクとの戦闘は、ひとまず、ここに決着を見たのであった。
●そして逆天の塔へ
「はぁ……」
誰かがため息をついた。
戦いが終わったのち、それはきっと自然と漏れ出たものだった。
「気を抜いちゃあ、ダメだぜ」
ニコラスが軽くウインクして告げる。
とはいえ、戦いは終わった。それは確かだ。
倒れたヴィスマルク兵から武器を奪い、近くの木にロープで括って無力化させた後で、自由騎士達の間で一つの話題が持ち上がる。
「……こいつら、ではないな」
「ですね」
アデルの言葉に、ミルトスが同意した。
「えっと、どういうことでしょうか?」
言外にある共通認識がまだわからず、セアラが問う。
「これまで、二度も自由騎士を打ち破ってきたのは彼らじゃない。ってことさ」
それを、マグノリアが説明する。
「弱くはなかったが、しかし、強敵と呼べるほどではなかった」
ヨツカも同意して、ゆえにその顔に剣呑な色が差す。
「――いるのか。自由騎士を下すほどの強者が、この先に」
「ああ、いるぜ」
彼の問いかけに即答したのは、誰あろう、ニコラス。
アンジェリカが、彼の方を見る。
「何か、情報が?」
「んにゃ、勘」
ニコラスが笑って肩をすくめる。
「ただよー、心当たりがあるんだよな。ヴィスマルク所属で、最前線に出張るヤベェの」
ため息とともにそれを言う彼に、何人かが気づく。
「――エルベ隊」
「だったらイヤだねぇ~。因縁なんてもんじゃねぇ。何度目だ?」
「何度相まみえようと、立ちはだかるなら打倒するのみだ」
再び山の中を進み始めながら、アデルが言う。
そして、山を越えたその先に――、
「あれ、か」
パーヴァリが指をさした。
そこに、古びた石造りの祭壇のようなものが見えた。
「階段になっていますね」
「地下への入り口……、逆天螺旋の塔、か」
「行きましょうか。放置できるものでもないでしょうし」
かくして、自由騎士達は究極の魔導が眠るとされるおとぎ話の塔の攻略に挑む。
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
†あとがき†
まずは第一回、お疲れさまでした。
特に苦戦するようなことはなかったですね。
では、また次のシナリオでお会いしましょう!
特に苦戦するようなことはなかったですね。
では、また次のシナリオでお会いしましょう!
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