MagiaSteam
実戦の前に



●実情
「流石に新人をいきなり戦いに向かわせるのは、心がけ痛みます」
 九重・蒼玉(nCL3000015)が銀色の瞳に、水鏡階差演算装置を写しながらため息を吐いた。
「ならば、私が訓練してやろうぞ」
 と、『軍事顧問』フレデリック・ミハイロフ(nCL3000005)が金属の音と共に来ると、蒼玉に言った。
「あぁ、フレデリック。娘さんはお元気でしょうか?」
「当たり前だ!俺の娘はなぁ……」
 蒼玉がハッとした表情をすると、フレデリックが嬉しそうに話すのを見て苦虫を噛んだ様な表情になった。
 娘の話になるとフレデリックの話は止まらない。
 本題である話をする前に、思わず聞いてしまった事に蒼玉は直ぐに話題を切り替える。
「今度、聞かせて下さい。それよりも、簡単な魔物討伐は兎も角、対人依頼は座学だけではどうにもならない事があります。それで、模擬戦をしては如何と思いまして」
 フレデリックの話を切り、蒼玉は一般的な常識からアカデミーで習う事だけでは限界があるのでは? と、思ったからだ。
「だから団員との模擬戦を、というワケか。良いだろう。負けたら、参加した皆の衆には私の娘の話を聞いて貰おう!」
 怪しく瞳を光らせると、フレデリックは豪快に笑いながら条件を提示した。
「良いでしょう。そちらが負けたら、食事代を全てフレデリック持ちで、よろしいですか?」
「無論、騎士に二言はない」
 腰に付けていた剣を取り、鞘に入れたまま剣を床に立てるとフレデリックは、団長として威厳のある表情になりハッキリと言った。
「では、闘技場を手配しますのでよろしいお願いします」
 蒼玉は、フレデリックに笑みを向けた。


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
通常シナリオ
シナリオカテゴリー
自国防衛強化
担当ST
鳥海きりう
■成功条件
1.イ・ラプセル騎士団と模擬戦をする
お久しぶりです。スチームパンクと聞いて、急いで大地から生えてきましたルビーの和名の方の紅玉です。
色んな戦い方、お友達との連携、独自の戦略等を試してみたい方、初めてでいきなり実戦に不安のある方向けになっております。
皆様の参加をお待ちしております。


【場所】
闘技場

【騎士団の団員】
重戦士スタイル  2名
軽戦士スタイル  1名
格闘スタイル   1名
ガンナースタイル 1名
魔導士スタイル  1名
ヒーラースタイル 2名
計8名
強さは皆さんと同じ位

怪我して倒れても、騎士団の医療関係者達が待機しておりますので、遠慮せずに戦って下さい。

【勝ち、負け】
負けたら、延々とフレデリックが娘の話をし続けます。

勝てば、蒼玉が選んだ美味しいビュッフェで料理が楽しめます。
※フレデリックが奢ってくれます。

【NPC】
九重 蒼玉
聞きたい事がありましたら、遠慮なく聞いて下さい。
状態
完了
報酬マテリア
1個  1個  5個  1個
18モル 
参加費
100LP [予約時+50LP]
相談日数
7日
参加人数
8/8
公開日
2018年08月17日

†メイン参加者 8人†

『やっぱりぷりけつまみー』
タマキ・アケチ(CL3000011)
『きらきら星の自鳴琴』
スイ 早緑(CL3000326)
『ゆるふわ鉄拳ガール』
パッフェル・ガブリエラ(CL3000299)
『おもてなしの和菓子職人』
シェリル・八千代・ミツハシ(CL3000311)



「遅ーな」
 正午過ぎ。サンクデイゼール市立闘技場内、イ・ラプセル騎士団チーム控室。今回の模擬戦相手として駆り出されたイ・ラプセル騎士団第七班に所属するルクタートルは、班長の戻りの遅さに待ちくたびれて呟いた。模擬戦の為に朝からこの闘技場に繰り出し、やってきた自由騎士団の連中との顔合わせも済んだ。しかし、その直後に班長が「腹が痛い」と言い出して離席したのである。そこから控え室で待つこと三十分。バスターの一人が様子を見に行き、そこからさらに一時間強。自由騎士団チームがランチを食べに一旦外出し、自分達も飯を済ませたところである。長い。トイレにしちゃ長すぎる。
 控え室のドアを開け、様子を見に行ったバスターがやっと戻ってきた。「お。どうだった?」ルクタートルが早速尋ねる。
「……ダメだった」
「あ? ダメだった?」
「班長は病院に行った。今日は戻ってこない」
「……じゃあ、どーすんだよ、今日」
「で、代わりの班長を呼んできた。第八班長が手伝ってくれる」
「第八班、って−−」


「お待たせしました! イ・ラプセル騎士団第七班、ご期待通りに只今到着です!」
「待ったよ〜……待ちすぎて溶けそうだよ〜……」
 いっそ空気読まないほどノリノリな口上で現れた第七班に、『神秘(ゆめ)への探求心』ジーニアス・レガーロ(CL3000319)は遮蔽物の無い闘技場の陽射しにへばり気味でそう返した。第七班を率いて現れたのは、十代くらいの少女軽戦士だった。
「お待たせして申し訳ありません! 第七班長が急病のため、本日一日班長を務める第八班長のシエル・ヘブンサンデーです! 不束者ですが、よろしくお願いします!」
「な、七だか八だかややこしいけどいい子っぽいわね。欲しい技は習得したし……後は上手く経験に昇華しないといけないわね。感想戦で助言貰ったり出したり出来る模擬戦にしたいわ!」
 シエルの自己紹介を聞き、『翠の魔焔師』猪市 きゐこ(CL3000048)はそう意気込みを語る。
「あたしって人間相手の実戦経験がまだ無いから良い機会だわ。イブリースや幻想種となら戦ったことあるんだけど、帝国との戦争の時は参加できなくてね……遠慮なく本気でいらしてね、かわいこちゃん?」
『血に染まる銃姫』ヒルダ・アークライト(CL3000279)はシエルにそう呼びかけた。シエルは「はーい」と手を振って応える。ちなみに大人の事情で称号は未来のものが適用されております。何卒ご了承ください。
「対人訓練か、いい機会だ。班長が名前も性格も能天気そうなのは気になるが……これからは他国の兵隊とやり合う事も増えるだろうからな。一丁気合入れて行こうかね」
「未熟ですゆえ、ぜひ訓練に参加させて頂きたいです。にしても麗しきは親子愛。勝っても負けてもぜひフレデリックさんの娘様のお話を伺いたいものです。ああしかし蒼玉さんや仲間の皆様とも仲良くなりたい心持ち、ぜひビュッフェに行きたいですね。好物はプリンです、どうしたものか迷ってしまいますよ、ふふ……!」
『白鱗のベラトール』グウェン・スケイリー(CL3000100)が冷静に語る傍で、『ノンストップ・アケチ』タマキ・アケチ(CL3000011)は通常運転だった。「ああ、それにしても長かった……! これほど焦らされたのは初めてです、最早タマちゃん暴発すんぜ」「駄目だ。暴発するなら敵の前でやってくれ」ビクビク震え出すタマキをグウェンがクールに制する。
「模擬戦だなんて、ありがたい機会ですね。わたくしも今回の戦いで対人戦の基礎をしっかり学んでいきたく思います」
『きらきら星の自鳴琴』スイ 早緑(CL3000326)はそう語り、「……それと、ビュッフェを楽しんで料理のレパートリーを増やしたいですしね。うふふ……」と笑った。戦う理由も人それぞれである。
「わたしはトリッキーな動きはできないので……守る、殴る、それだけです」
「わぁ〜! ビュッフェですか〜! おごり! 即ちタダ! フレデリック様は太っ腹やなぁ! 負けられへんで!!」
『ゆるふわ鉄拳ガール』パッフェル・ガブリエラ(CL3000299)が静かに語る傍で、『商売繁盛どどんこどん』シェリル・八千代・ミツハシ(CL3000311)が賑やかにそう意気込む。パッフェルが静かにシェリルを振り返り、小首を傾げる。シェリルと目が合う。「……あらぁ〜、うふふ、頑張りまぁす!」取り繕った。
 −−かくして、長い時を経て騎士達が集った。午後の日差しが闘技場を熱く照らしていた。


「それでは早速参りましょう! バスターのお二人を中心にルクタートルの方は右翼、左翼は私がやります! 残りの方は後方支援に! 総員抜剣≪オール・ガンズ・レディ≫!」
 戦闘開始。シエルの指示と共に第七班が布陣する。
「お、名前は能天気だけど指示は早いね! だったら!」
 ジニーが走る。抜刀し、スライディングでシエルに肉薄した。「下段!?」シエルはジャンプしてこれをかわす。空中で振り下ろした反撃の剣は届かず、ジニーは身を翻して起き上がる。
「神秘の力よ、我が手に……!」
「じゃあ、パーティーといきましょうか!」
 スイが霊活を使用し、ヒルダがジニーに続いて飛び込む。オーバーブラスト。「ぬ……!」「……!?」「ぬお!? やりやがったな!」至近距離で放たれた散弾が敵のバスター二人とルクタートルを襲う。反撃。バスターの大剣がヒルダを斬り裂く。「っと! 流石に鍛えてるわね!」
「……参ります」
 殺気。パッフェルから凄まじい殺気が放たれる。「……!?」「お、おい! なんか眠そうな美人が怒ってんぞ!?」「後にしろ。目の前の敵を叩け」
「では」
「来たし!」
 パッフェルが敵のルクタートルに踏み込み、震撃を放つ。命中。「っ−−んなろぉ!」反撃。敵の拳をパッフェルはガードするが、ダメージは小さくない。「……流石ですね」
「さぁて♪ 補給線を潰すのは戦闘の鉄則かしらね♪ 合わせて、シェリルさん! アイスエクステンション!」
「はいな! シュート〜!」
 きゐ子とシェリルは予定通り敵のヒーラーを狙った。アイスコフィン二連撃。敵のヒーラーは大ダメージを受けて凍結される。
「では、行くとするか」
 グウェンが大剣を構え、踏み込む。オーバーブラスト。敵のルクタートルとバスターが巻き込まれる。「クッソ……!」堪らず敵のルクタートルが倒れた。戦闘不能。
「防御重視なたまちゃんです、重戦士として皆様の壁となり、全てを受け止めたいですね……!」
 言って、タマキは前進する。狙いはシエルの隣に立つバスター。「く、ふふ、ふははははは!!」狂気的な笑いと共に大剣を振り下ろす。命中。敵のバスターは斬られた腕を庇い、タマキの気迫に圧されたか、反撃はしなかった。
「−−受けて立ちます! 右翼の敵を迎撃してください!」
 敵が動く。シエルの指示を受け、まずは敵のバスターが動いた。きゐ子がエネミースキャンでその動きを見切る。「皆、気をつけて! オーバーブラストが来るわ!」
「……!」
「むう……!」
「おおっと! きゐ子ありがと!」
 敵のバスターが放ったオーバーブラストを、パッフェルとヒルダはかわし、グウェンは大剣でガードした。「返そう!」反撃。グウェンの大剣がバスターの脇腹を斬り裂く。
 さらにもう一人のバスターが右翼へ斬り込んだ。オーバーブラスト。今度はグウェン、ヒルダ、タマキの三人が巻き込まれる。
「まだ来るか……!」
「ああ、心地良い痛み! しかし私を果てさせるにはまだ足りません!」
「やってくれるわね! お返しよ!」
 ヒルダが反撃する。ショットガンから放たれた散弾がバスターの鎧に風穴を開けた。
「とぁぁぁぁーっ!」
「何!?」
 シエルがジニーとタマキの脇をすり抜け、グウェンを狙った。ヒートアクセル。グウェンの二の腕が斬り裂かれる。「ここで俺を狙うか……能天気というより、博打打ちだな!」反撃。命中。シエルの肩口から鮮血が飛ぶ。「当てられた……!? でもこの程度ならまだいける!」
「!?」
 銃声。敵のガンナーがグウェンを狙い撃った。堪らずグウェンは片膝を突く。「ぐっ……中々に、歯ごたえがあるじゃないか……!」
 敵のマギアスがパッフェルを狙う。アイスコフィン。命中。「!? しまった……!」凍結。パッフェルの両足が凍りつき、動かなくなる。
「……ごめん!」
「(薄情者〜!)」
 敵のヒーラーはハーベストレインを使い、全員の傷を回復した。隣で凍りついているヒーラーを助けるのは諦めたらしい。
「追いかけっこか! よーし、負けないぞー!」
 ジニーも転進しシエルを追った。攻撃。命中。「くっ−−まだ!」ジニーの軽機械剣に腕を斬られながらも、シエルは剣で斬り返す。命中。ジニーの胸元から鮮血が飛ぶ。「わお! やるねー!」
「皆様、頑張って……!」
 スイがハーベストレインで全員の傷を癒す。
「いくわよ、かわいこちゃん!」
 ヒルダが弱ってきたシエルをヘッドショットで狙う。「それは、もらえない−−!」回避。シエルはすんでのところで避ける。
「シェリルさん! でっかいの頼むわ!」
「はいな! ダブルフリージングコフィン〜!」
 きゐ子とシェリルの合体攻撃がもう一人のヒーラーも凍らせる。これで敵の回復能力は死んだ。
「形振り構っていられんな……悪く思うな、シエル・ヘブンサンデー!」
「!?」
 振り向いたシエルの目の前で、グウェンが跳躍した。「チェストォォォォッ!」落下と同時に大剣を思い切り振り下ろす。命中。着地したグウェンは剣を払い、地に突き立てる。「頭蓋砕き・乙……!」
「ほ、本気過ぎません……?」
「本気でやらんと勝てんと見た。俺なりの敬意だ」
 シエルがばたりと地面に倒れた。戦闘不能。
「うふふ、そして、シエルさんや敵の皆さんが揃って右に寄ったという事は−−私の前が空いているという事です!」
 言って、タマキが敵陣に飛び込んだ。「さあ、焦らしに焦らされ熟しきった私の愛、どうぞ味わってください!」オーバーブラスト。敵のガンナー、マギアス、バスター二人が巻き込まれる。
「と、とりあえず凍ってて!」
 敵が動く。敵のマギアスがグウェンにアイスコフィンを放った。命中。凍結。「ちっ、厄介だな……」グウェンの四肢が凍りつき、行動を封じられる。
「転進するぞ。突出してきたバスターを潰す」
「……うむ」
「や、やるしかないか……!」
 残るガンナーとバスター二人はタマキを狙った。「ああ、さらなる快楽の予感……! 悦んでお相手致しましょう!」三人の攻撃がタマキを襲う。−−タマキは深手を負いながらも、持ち堪えた。笑顔で。
「さあ、次は私が皆さんを愛する番ですよ……!」
 反撃。狂気的な笑いと共に大剣が縦横に振るわれる。「ぐっ……!」「……!」「しまった……!」バスター二人にダメージを与え、ガンナーは血飛沫を上げて錐揉み倒れた。戦闘不能。
「うーん、あのバスターの人の蒸気鎧は気になるけど……先にこっちだね!」
 ジニーは跳躍し、敵のマギアスを狙った。命中。すれ違いざまに軽機械剣で斬りつける。「イェーイ! 終わり!」納刀して振り返り、マギアスの尻を思い切り叩いた。「は、腹立つお子……!」マギアスが倒れ、動かなくなる。戦闘不能。
「パッフェル様!」
「……ありがとうございます」
 スイがクリアカースでパッフェルの凍結を解いた。パッフェルは前進して敵のバスターを狙う。震撃。命中。「ぐっ−−!」バスターの体が大きく傾ぐ。
「グッドよパッフェル! デッド・エンド・シュート!」
 ナイアガラバックショット。跳躍したヒルダがバスターの頭上から散弾を見舞う。バスターは堪らず倒れ伏した。戦闘不能。着地。排莢。「楽しんで頂けたかしら?」言葉と共に、空薬莢が地面に落ちる。
「そろそろおしまいね! ロイヤル・スカーレット!」
「ブレイカーですわ〜」
 きゐ子とシェリルの緋文字が最後のバスターを灼く。「ぐおおお!」バスターは堪らずのたうち回った。
「うふふはははは! マァァァァベラスにときめいてしまいますよ!」
 タマキの一撃がバスターを地に沈める。タマキは剣を仕舞い、いつものバラを取り出した。「あぁ……ッ! ふ、ふふ、快ッ感です……!!」フェロモン。ヤバい言葉と共に無意味にいい匂いがした。
「−−それまで! 勝負あった!」
 声が響き、全員がそちらを見た。『軍事顧問』フレデリック・ミハイロフ(nCL3000005)と九重・蒼玉(nCL3000015)がこちらへ歩いてくるところだった。
「いい試合だったぞ、お前ら! 双方の健闘を讃えよう! 第七班は全員戦闘不能とし、今回の模擬戦は自由騎士団チームの勝利とする!」
「お疲れ様でした、皆さん。−−で、フレデリック」
 蒼玉が傍のフレデリックを見る。フレデリックはうむ、と頷いた。
「全員、後片付けと身支度を整えろ! それが終わったら晩飯だ!」


 夕刻。一同は蒼玉の選んだ店でディナービュッフェを楽しんでいた。割と流行っている店らしく、周囲には他の客も大勢いて賑やかである。
「さあさ、グウェン殿、こちらですぞ」
「ああ、大丈夫だ。あまり気を使わないでくれ」
 補佐に来ていた自由騎士が負傷した者の配膳を手伝う。甲斐甲斐しいが、逆の手にはちゃっかりチョコバナナが握られていた。
「はー楽しかった! おいら村の自警団のおじさんとか小さな野生動物とかしか戦ったこと無いから、こういうの初めてだよ! どうもありがとー!」
 席に着いたジニーは第七班チームにそう言った。トレイにはからあげハンバーグカレーシチューステーキビーフシチューやきとりオレンジジュースが山と盛られている。お子。いっそ清々しいほどにお子。「いえいえどういたまして」とシエルが応えた。
「出されたものは残さず頂く主義だわ♪」
 きゐ子のトレイには実際にビュッフェに出されていたものが全種類少しづつ載せられていた。結果としてかなりいい感じの見た目になっている。
「あたしの好物は肉料理と、かわいい女の子♡ でもこの卓はメニューが多すぎて目移りしちゃうわね♡」
 そう言うヒルダは肉料理をたっぷり盛ったトレイを持って、どの子の隣に座ろうかとうろうろしている。どこでもいいんで早く座ってください。
「賑やかなことだ。俺は普通に食わせてもらうぞ。いただきます」
 グウェンは自分のトレイに適当に料理を盛り、席に座って食べ始めた。食える時にさっさと食うのが傭兵の嗜みである。
「ぜひ、今後のためにアドバイスなどありましたらお伺いしたいです、ふふ……!」
 そう言って、タマキは仲間達や第七班と愉しげに話していた。狂喜的な笑みとトレイに盛られたプリンの山に若干引かれ気味だが、言ってる事は極めてマトモである。
「勝利のビュッフェを楽しめてとても嬉しいです。……えへへ、料理のレパートリーがまた増えました」
 スイのトレイには前菜、主菜、副菜とバランスよくたくさんの種類の料理が載っていた。もちろんデザートも。そしてちゃっかり気になった料理はメモを取っている。
「美味しいです……それに、冷めたり見た目が悪かったりしないように小まめにメンテされてる……いいお店ですね」
 パッフェルは食べながらもそう感想を述べた。飲食店に務めているだけあって店の評価は的確である。
「騎士団のみなさん、今日はありがとうございました〜! 戦いの後は甘い物でも如何ですか〜? うちの新商品、ゴールドティアーズをイメージした羊羹です〜! 食べてくださいね!」
 シェリルは自分が食べるのもそこそこに、自分の店の新商品を第七班の連中に振舞っていた。持って来てたらしい。「ありがとうございます!」「ヨーカンって何だよ?」「アマノホカリの菓子の一種だ」「ああ知ってる! フガシって言うんでしょ!」「和菓子よ。麩菓子はまた別のお菓子ね」「何!? フガシもあるのか!?」「……麩菓子の話はもういい」

 賑やかな食事会は閉店間際まで続いた。
 そしてその請求書は、当初の約定通りフレデリックに回った。
「お前らぁぁぁぁ〜〜〜〜!」

†シナリオ結果†

成功

†詳細†

称号付与
『翠氷の魔女』
取得者: 猪市 きゐこ(CL3000048)
『白き剛剣』
取得者: グウェン・スケイリー(CL3000100)
『翠氷の魔女』
取得者: シェリル・八千代・ミツハシ(CL3000311)

†あとがき†

皆様お疲れ様でした並びにご参加ありがとうございました。

 紅玉STに代わり代筆を務めさせていただきました。返却が遅くなり大変申し訳ありませんでした。

 MVPは猪市きゐ子様。前衛がバチバチやり合う傍で淡々と敵中枢を破壊していくというのは、DPSの鑑ではないでしょうか。もちろん彼女一人の力ではなく、仲間と協力して火力乗算を図っていた点も見逃せません。

 改めまして、皆様お疲れありがとうございました。
FL送付済