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Barジョセフへようこそ



●Barジョセフへようこそ
「いらっしゃい、お晩様で」
 あなたが戸を開けると、カウンターの向こうでグラスを磨いているジョセフ・クラーマー(nCL3000059) がすさまじい仏頂面でそんな挨拶をしてきた。
 挨拶には抑揚がなかった。とても平たい、いわゆる棒読みである。
 本来、こんな場末のバーにいるはずのない顔が、しかもウェイターっぽい格好をして几帳面にグラスをキュッキュと磨いている。
 キュッキュッキュッキュッキュッキュッキュッキュ。
 いや、それにしてもグラスを磨く音が凄い。
 そのグラス、いったいどれだけ磨いているのか。
 ふとあなたが見てみれば、並んでいるグラス全てがピッカピカだ。
「――ふむ、よし」
 やっとグラスを磨き終えたらしいジョセフが、次のグラスを取ろうとする。
 だが汚れているグラスがない。どうやら、全て磨ききってしまったようである。
「…………」
「待て。だからって酒瓶を磨こうとするな」
 近くにあったワインの瓶を掴もうとするジョセフを、あなたは呼び止める。
「そうか、酒は磨くべきではないのだな」
「何でそういう発想になるんだ?」
 あなたは小さく息をつき、続いて布でカウンターを磨き始めたジョセフに尋ねた。
「何でお前がマスターやってるの?」
「うむ、まぁ、それほど大した話ではないのだが――」
 ジョセフが語り始める。
「この店のあるじは最近代わったばかりで、新しい店主は実は元々私の部下でシャンバラの聖堂騎士であった男なのだが、熱心な信仰者に見えて神ミトラースが死して権能の効果が解かれた際にいの一番にシャンバラからイ・ラプセルに鞍替えしてこの王都にやってきたらしい。私としては別に信仰についてどうこう言うつもりはないし、言う資格もない。だがそのような速やかな陣変えは果たして一般論として周りに受け入れられるのだろうか。そのような疑問を覚えて尋ねてみたのだが答えはこうだった。即ち『自分の信仰は間違っていた。間違っていた自分はその間違いを償うべくこの国にやってきた。だからこの国でやり直す機会を与えてほしい。って訴えたら機会もらえました。ここ最高の国ですね!』と……。なるほどと私は思ったが、だが果たしてそれは正しいやさしさと言えるのだろうか。いや、単にイ・ラプセルが甘いだけで、この店のあるじである私の元部下はその甘さにつけこんだだけではないのか。そのようにも感じてしまうのだ。だが、だからと言ってそれが何かの罪につながるのかと言えばそうではなかった。実際に元部下はこの国で真っ当にやっていくつもりだったらしく、先代の店主が老いて、後継者がいなかったこのバーを買い取り、新たな店主となったワケだからな。いや、しかし同時に元部下はやはり狡猾だったようでな、この店を買い取る際も先代の店主の世話などをして巧みに近づき、懐に入り込んで好印象を与えつつかなりの安値でこのバーを買い取ったという話だ。まぁ、これも罪にはつながるまいが、しかし人の善意につけこむやり方はやはり褒められたものではない。その辺りをこの間その元部下に少しばかり説いてやって――」
「待て、待って、お願い待って」
「どうした」
「何でお前がマスターやってるの?」
「元部下が夏風邪をひいたらしく、一晩だけ頼まれた」
「最初からそう言えよ!」
「……うむ、そういえばそうだったな」
 あなたの指摘に、ジョセフは少し考えてからうなずいた。
「まぁいいや、とにかく酒と何かツマミを――」
「だが夜になれば酒を飲むというのもどうなのだろうな。酒は趣味。酒は嗜み。そのように語る輩は確かに多かろうが、うむ、別に認めぬわけではない。世の中がこのような情勢ではいっときなりとも酒に逃げたくなるのが人情というもの。それは私も理解しよう。そして酒を飲むことを否とは言うまい。されど常に抑える心を持たねば人はどこまでも溺れていくのもまた事実。そう考えれば、酒を飲みながらも心のどこかにそれを厭う気持ちもまた持ち合わせるべきなのだろう。過ぎたるは及ばざるがごとし。これは何事にも言えることだが――」
「説教はいいから酒をくれ!」
 ジョセフの言葉を遮って、あなたは力いっぱい叫ぶのだった。


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
イベントシナリオ
シナリオカテゴリー
日常α
担当ST
吾語
■成功条件
1.酒を楽しむ
説教魔 in The Bar
そんな感じでなぜかジョセフが店番をしている場末のバーで酒を飲むシナリオです。

店はそれほど大きくありませんが酒とツマミは揃ってます。
開店時間は夕方から朝までってところで、その間であればいつ来てもOKです。

もしどなたかと一緒に参加する場合はプレイング中にIDと名前を記載してください。
単独参加者は別の単独参加者と一緒にランダムで組み合わせて描写することになります。
俺は一人酒がしてぇんだ、という方はその旨の記載もお願いします。

なお、ジョセフは酒を飲もうとしません。
しかし上手いこと口説けば酒を飲んでくれるでしょう。
彼が飲んだ場合、『ジョセフ酒乱判定』が発生し、判定に応じた被害が発生します。

彼に酒を勧める場合、勧めた方のキャラが崩壊する恐れがあります。
ですので、酒を勧める場合は覚悟を胸に刻み込んでから勧めてください。
(EXかプレイングに覚悟完了と表記してあれば覚悟をしたものとみなします)

以上です! ではでは、夏の楽しい夜を楽しんでくださいませ!


●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の1/3です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『クラウス・フォン・プラテス(nCL3000003)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】というタグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。
・公序良俗にはご配慮ください。
・未成年の飲酒、タバコは禁止です。
状態
完了
報酬マテリア
1個  0個  0個  0個
11モル 
参加費
50LP
相談日数
8日
参加人数
24/30
公開日
2019年08月08日

†メイン参加者 24人†

『イ・ラプセル自由騎士団』
シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)
『蒼光の癒し手(病弱)』
フーリィン・アルカナム(CL3000403)
『水銀を伝えし者』
リュリュ・ロジェ(CL3000117)
『望郷のミンネザング』
キリ・カーレント(CL3000547)
『困った時のウィリアムおじさん』
ウィリアム・H・ウォルターズ(CL3000276)


●そして朝がやってきた
 『鋼壁の』アデル・ハビッツ(CL3000496)が酒場に来たのは明け方頃だった。
 モップや雑巾など、掃除用具一式を手に、彼はまずドアの前に立った。
 音がない。静かだ。そこにあるのは完全な静寂だけだ。
「……静かだな」
 言う彼の脳裏には、すでに酒場内部の惨状が描き出されていた。
 転がる空の酒瓶。
 床を汚す零れた酒とまき散らされたゲロ。
 戦場に転がる死体とほぼ同じ程度の価値しかない酔い潰れた客共。
 空気は腐ったような臭気を帯び、いかなる生命の生存も許さない極限環境。
 それが、乱痴気騒ぎが終わった後の酒場というものだ。
 アデルは未成年だが、酒飲みの末路はよく知っていた。何せ戦場育ちである。戦場と酒は切っても切り離せない関係にあった。
「行くか」
 逡巡は一秒にも満たず、アデルはドアを開けて中に入った。
 ランタンに照らされた朝の酒場が、彼の前にその惨状を曝け出す。
 床から素足が生えていた。
「…………」
 さすがにこれは予想していなかった。アデルの動きが固まった。
 よく見ればそれは、逆立ちになって木製の床を突き破った誰かの足だった。
 何故床に埋まっているのだ。
 何故完全に裸の素足なのだ。
 何故それが放置されたままなのだ。
 無数の疑問が浮かぶが、まず確かめなければならないのは――、
「これは誰の足だ。マスター、オイ」
 呼びかけても、だが、返事をするべき人物から言葉が返ることはなく。
 そのとき、アデルは最悪の想像をしてしまった。
「まさか――」
 彼の視線が、墓標のごとくそそり立つ何者かの足に注がれる。
 アデルの想像は当たっていた。
 その足は、ジョセフ・クラーマー(nCL3000059) のものだった。

●時遡り、夜の始まり
 夕刻を過ぎ、陽は落ちて月、星は瞬き薄い雲が流れゆく。
 夏の夜は、それでもまだ幾分過ごしやすい。ここが水の国であるからか。
「皆の衆、ジョッキは持ったな!」
 さほど広くない店内に、『イ・ラプセル自由騎士団』シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)の声が響き渡る。
 彼女が座る卓には他に四人の姿があった。
 主賓は彼女ではない。
 真ん中に座る『達観者』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)である。
 このたびは彼の、ニルヴァン領主就任と結婚を祝う宴席だった。
「よーし、それじゃあ始めるわよ!」
 今回の酒宴の提案者でもある『ピースメーカー』アンネリーザ・バーリフェルト(CL3000017)が、言って立ち上がった。
 皆、液体がなみなみと注がれたジョッキを持っている。
「テオドールの領主就任と結婚を祝して――」
「「乾杯ッ!」」
 ガシャン、と、ジョッキがぶつかる音がする。
 そして一斉にジョッキをあおって、アッという間に中身が空になった。
「うむ、美味い!」
「本当に、この果実のジュースも甘すぎずすっぱすぎず、美味しいですね」
 未成年であるため酒ではなくジュースを飲んでいるのは『救済の聖女』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)だ。
 彼女もまた、テオドールを祝いたいがために同席していた。
「いや、しかし何とも光栄なことだ。皆にこうして祝ってもらえるとは」
 本日の主役であるテオドールが、顔に照れ笑いを浮かべながらまた酒を一口。
 そこに、菓子が盛られた皿を持ってジョセフがやってくる。
「そちらの青年の手を借りたものだ。ゆっくりと味わうといい」
「ああ、私の自作の菓子だ。皆の口に合うといいのだ」
 菓子を提供した『隠し槍の学徒』ウィリアム・H・ウォルターズ(CL3000276)が言いつつ、チビリチビリと自分もやり始める。
 宴席は始まって早々賑々しく、薄暗い酒場にあってもその陽気なやり取りは場の空気を明るいものへと変えていた。
「……あー、カタリーナは、だな。芯が強く年相応に可愛らしくてな。娘程に歳は離れているが今は気にしてはいないな。偶に私を可愛いと評してくるのは何とかしてもらいたいところだが」
 そして、こういった席での定番というべきか、周りにねだられてテオドールが自分の妻となった女性のことを語り始める。
「夜はどうなんじゃ、夜は! ん? ん?」
 そこに、シノピリカが下世話なツッコミを入れてきた。
「ゼッペロン嬢、何を言うのだね!?」
「何って、結婚にはほれ、アレが必要じゃろ。アレ。袋。乳袋」
「さてはすでに酔っているな!」
「アハハハハハハハ、シノピリカ、酔うの早いわね~」
 と、アンネリーザが笑うが、そういう彼女もすでに顔が赤かった。
「あらあら、もう出来上がっていますの?」
 アンジェリカが水の入ったコップを卓に持ってくる。
「いやいや、ワシはまだまだ酔っておらんよ! なぁ、アンネリーザ殿!」
「そうよ私だって酔ってないわよ! 全然酔ってないわよ! 彼氏ほしー!」
 酔ってた。
「う、うむ……、バーリフェルト嬢も魅力的な女性だとは思うぞ、うむ」
「テオドールさん、たぶんそれ逆効果……」
「何……?」
 言うウィリアムにテオドールは不安げな声を出すが、しかし、遅かった。
「へ~、私がみりきてきなじょせい、へ~……」
「な、何だねバーリフェルト嬢、そのヌラヌラした蛇のような目つきは」
「ておど~る~、じゃあ教えてよ。私のみりきってどこなのよ~」
「そうじゃそうじゃ! ついでにワシのみりきもおしえてくれぃ!」
「何故そこにゼッペロン嬢まで加わるのだ!?」
 女性二人に気圧されるテオドールをよそに、いち早く距離を取っていたウィリアムは自作の菓子をつまんで高みの見物を決め込んでいた。
「あ~、酒が美味い」
「こちらのお菓子、美味しいですね」
 隣にちゃっかりアンジェリカが座っていた。彼女も退避に成功したようだ。
 一方、卓の端にまで追い詰められた、今回の主役のはずのテオドールは、新しく酒を持ってきたジョセフに助力を請うていた。
「クラーマー卿! ど、どうだろうか! このような場で顔を合わせたのも何かの縁だ、一杯くらいは付き合ってくれまいか?(意訳:一人にしないで)」
「む。私が酒を、か? いや、しかしだな……」
「ジョセフ殿ー! 聞いてくれィ! 実はワシは悩みがあってな、そう、ヘルメリア兵のことじゃ。……連中にしてみれば、戦争行為も勤めを果たしているにすぎぬ。だがそこにデカイ女が何か説教しながら突っ込んでいっていいのかのう? 大丈夫かのう? この道を行くしかないとはいえ、ワシらに彼らの在り方や文化を否定するだけの正しさはあるのじゃろうか? それを思うと、ワシは、ワシは……、はぁ~、酒うっま!」
「あら、ジョセフじゃない。ジョセフもほら、飲みなさいよ! 何よ、私の酒が飲めないっての!? まさか、下戸だなんて言わないわよね? 言わないでよね? 言わないわね? よーし。……それにしても結婚かあ、憧れるけど縁がないのよね~……。ところでジョセフはどうなのよ? 結婚はしてないの? いい人いないの? イケメン何だしどうなのよ? どうなの? ふぅ~。お酒美味しい」
「うむ。そうだな、人の在り方は千差万別にして十人十色。例えば我らは自由騎士という一括りでまとめることもできるが、その実、各々別の個人であるワケだ。そこのところから考えるに――」
 左右からグイグイ来る女性二人を前に、ジョセフはいたって真面目に対応する。その彼をスケープゴートにして、テオドールは見事脱出に成功していた。
「ありがとう、クラーマー卿。この恩はいずれ必ず返そう!」
 そして彼はウィリアムのところへと避難していった。
「店主を売って飲む酒は美味いか」
「美味しいですか」
 だが待っていたのはウィリアムとアンジェリカによる辛辣な一刺しであった。
「今日くらい私に優しくしてくれたっていいのではないかね!?」
 店内に、主役であるはずの男の悲鳴がこだまする。
 なお、ジョセフは未婚であるとのことだった。


 少しして、二人の少女が店にやってきた。
「こんばんはー」
「こんばんは」
 『新緑の歌姫(ディーヴァ)』秋篠 モカ(CL3000531)と『まだ炎は消えないけど』キリ・カーレント(CL3000547)であった。
「ようこそ。何にするかね」
 愛想笑いの一つもなく尋ねてくるジョセフに、キリは「えっと……」と頼むものに迷うような様子を見せる。
「オリジナルカクテルで!」
 だが隣に座ったモカが、きっぱりとそう言った。
「あ、じ、じゃあキリも!」
「ふむ、オリジナルのカクテル、か。酒はなしだが、異論はないな?」
「分かってます! ね、キリさん」
「はい、大丈夫です。……さすがに、お酒はまだ早いわ」
 場の雰囲気を楽しんでいるモカと若干の緊張に身を固くしているキリ。
 分かりやすく対照的な二人だが、誘ったのはキリの方からなのだという。
「本当は演奏でも、って思っていましたがせっかくのお誘いだったので」
「その……、キリはモカさんのファンなので……」
 緊張している理由が判明した。
 要するにキリは憧れのモカを前に、限界化しているだけなのだった。
 二人は、年齢的には子供である。
 少なくとも夜の酒場にいていいような人間ではない。
 だがジョセフはそれを叱ることなどはせず、二人のリクエスト通りにカクテルを作り、注いだグラスを彼女達の前に置いた。
 モカの前に置かれたのは白みを帯びた半透明のカクテル。
 キリのグラスに注がれたのは、見事なオレンジ色のカクテルであった。
「あの、ジョセフさん、これはどんなカクテルですか?」
「うむ、分からぬ」
「え……?」
 まさかの返答に、モカが固まる。
「いや、汝らの要望通り、汝らのイメージを優先して作ったカクテルではあるが、専門ではないのでな、使ったジュースの名を知らぬ。味は知っているが」
「はぁ、そうなんですね……」
「そちらのオレンジ色のカクテルはキャロットのジュースをベースに作った。くらいか。私から言えるのは」
「わぁ……、嬉しいです!」
 大好きな人参のジュースがべースと聞いて、キリは途端に瞳を輝かせた。
「あ、ジョセフさん、お料理もお願いします!」
「適当に持ってこよう」
「じゃあ、持ってきたらジョセフさんも一緒に乾杯しませんか」
「乾杯? 私もかね?」
「はい。……あ、でも何に乾杯しようかしら」
「ふむ。まぁ、考えておきたまえ」
 言って、ジョセフは厨房へ。残ったモカとキリが乾杯について話し合う。
「大切なお友達に、なんてどうです?」
「ああ、素敵、です。……お友達って言ってもらっちゃったわ」
「キリさんは、何かありますか?」
「じゃあ、あの、この佳き夜に乾杯。なんて生意気でしょうか……」
「あ、そういう大人っぽいのも素敵です!」
 子供達の夜は、どうやらそれなりに素敵な思い出になりそうだった。


 夜の酒場は、いうなれば真っ暗闇にかすかに灯る篝火のようなものだ。
 様々な事情を持った人間が、様々な理由をもってこの場を訪れる。
 単純に酒を飲む者が大半であろうが、そうでない者も当然いた。
 例えば、この二人のように――
「荷物は?」
「こいつのことか」
 カウンター席の端っこ、隣あって座っている『私立探偵』ルーク・H・アルカナム(CL3000490)と『炎の踊り子』カーシー・ロマ(CL3000569)の二人が、他人には聞こえない程度の声で何やら話し合っていた。
 カーシーは片手に収まる程度の包みをカウンターに置き、ルークがそれを受け取る。中身を確認するようなことはしなかった。
「いいのかい?」
「別に構わない。ガセを掴まされるようなことはないだろう」
「ま、それならそれで。俺は仲介しただけだ。深入りするつもりはないさ」
 肩をすくめるカーシーに、ルークの口元がかすかに綻んだ。
 仲介しただけなどと、よく言う。
 こうして自分と接触している以上、危ない橋であることに変わりはないのに。
「ついでに例の件、だが」
 だがそんな内心はおくびにも出さず、彼は話題を次に移した。
「例の件。……ああ、はいはい」
 カーシーも心当たりがあって、すぐに話題に食いついてきた。
「……何か出たか?」
「そいつぁ……、っと、待った」
 途中で話を遮り、彼はルークに意味ありげな視線を向ける。
「何だ?」
「先に報酬くれ」
「……報酬、だと?」
「そうそう。こんなガラでもねぇバーに呼び出してさ、ちゃんとお仕事してやってんじゃん? 荷物だって持ってきたし。先に報酬くれてもバチ当たらないと思うんだよねー。いや、よく働いてるよ、俺」
 途端に饒舌になるカーシーに、ルークは長いため息を一つ。
「いいだろう。払ってやる」
「お、マジで? いやいや、言ってみるモンだ。で、額はいかほどで?」
「そこにあるグラスだ」
 ルークの目は、カーシーの前に置かれたウィスキーが注がれたグラスを見る。
「……えー、これだけー?」
 いかにも不満そうにカーシーは言うが、直後にルークは席を立とうとした。
「イヤならば、いい。もうあんたに頼ることがなくなるだけだ。情報を売ってくれるアテも他にないワケじゃない」
「待って待って。ウソ。報酬これで手を打つから帰らないで、ね?」
 カーシーがルークの腕を掴んで懇願してきた。
 ルークは座りなおして、
「そうか。では改めて教えてもらおうか。例の件について」
「おっと、その前に乾杯しようぜ、乾杯。グラスほっといたら氷とけて味が薄くなっちゃうだろ。だから先に乾杯な!」
「……有能優秀な助手で喜ばしい限りだ」
 言いつつ、先ほどよりもやや深い笑みを作って、ルークがグラスを手に取る。
 男同士がグラスを小さく合わせる音が、ジョセフの耳に届いた。

●時過ぎて、夜は深まり
 月が空の中天を超えた。
 すっかり夜も満ちて、街のほとんどは眠りに落ちる時間帯。
 だがそれでも、むしろ今からこそが騒がしくなるところもないでもない。
 例えばそれは場末の酒場であったりとか――

「来る場所を間違ってしまったかもしれないな……」
 酒場に入って数分、『静かなる天眼』リュリュ・ロジェ(CL3000117)は静かに、そして深い声音で、そんなことをのたまうのだった。
 彼は夕食ののち、散歩に出た。
 それが今からもう三時間以上前のことだ。
 最近は夜になってもなかなかに空気が暑苦しい。
 水の国といえどもそれは変わらず、酒場で時間を潰していたのだが――
「……何でこんなにツマミが美味いんだ」
 そう、ロジェがたまたま頼んだツマミが美味かったのだ。
 気が付けば何皿も頼み、しかも、すっかり居着いてしまっていた。
 おかしい。散歩で立ち寄っただけのはずなのに。
「私は臨時の店主でしかないが、そう言ってもらえるのならば喜ばしい」
「このツマミは、ジョセフが作っているのか?」
「いや、元の店主の作り置きだ。私にあの味を出すのは無理だ」
「そうか。……レシピを教えて欲しかったが」
「ふむ。そう考えるのもよいが――」
 と、そこでロジェの第六感が働いた。
 ここから、ジョセフの説教が始まろうとしている!
 時間を潰しにきたロジェであったが、ジョセフの説教に付き合ったのでは時間がどれだけあっても足りない。すさまじい危機感が彼を襲う。
 そのとき、ロジェの視界の片隅に見えたのは、まさに突破口!
「アダム! アダム、そろそろ起きろ!」
 カウンター席で豪快に顔を突っ伏して寝ている『革命の』アダム・クランプトン(CL3000185)に向かって、彼は大声で呼びかけた。
「……ハッ!? ここは!」
 デカイ図体をビクッと震わせて、アダムは勢いよく顔を上げた。
「酒場だ」
「酒場ッ!? 何故、酒場に僕が……!」
「知らんよ」
 オーバーリアクションをカマすアダムに、ジョセフは短く答えた。
 一方、ロジェはといえばツマミの乗った皿を手に、別の席へと移っていた。
 彼は見事、ジョセフの説教という地獄から逃れることができていた。
「いやぁ、しかしバーというのは快眠できるものだったんだね!」
「そのような感想を抱くのは汝だけだろう」
「間違えて入店してしまったが、そうか、ここが大人の社交場……!」
「その社交場で豪快に寝入っていたのが汝だ」
「照れるなぁ」
「褒めたつもりは毛頭ないが」
 二人の会話は一切噛み合っていなかった。
「さて、ここはまだ僕が来るには早い場所だ。そろそろお暇しようと思う」
「そうかね」
「でもその前にやってみたいことがあるんだ」
 アダムは言うと、パチンと指を鳴らしてジョセフを見据えた。
「へいますたー、おすすめをたのむよ!」
 店内全域に響き渡る、アダム会心の注文であった。
「…………」
「…………」
 そして余韻が消えるまで、無言で見つめあう二人。
「なかなか楽しい!」
「楽しそうで何よりだ」
 その後、アダムはジョセフに「何か楽しい話でも」とせがむのだが、ジョセフはそれにこう返した。
「鏡を見たまえ。そこになかなかに面白い生物がいるぞ」
 辛辣だった。


「シャンバラはいびつだったが、それでも間違ってはいなかった」
 『現実的論点』ライモンド・ウィンリーフ(CL3000534)はグラスを軽く傾けながら、酒瓶を並び替えているジョセフにそんなことを語った。
「だがイ・ラプセルはどうだ」
 ジョセフが答えないでいるうちに、彼はさらに言葉を続けた。
「一年。たった一年だ」
 グラスの中の氷がカランと鳴る。
「自由騎士団の結成以来、この国は常に激動の渦中にあった。平等という大義名分のもと、人々は価値観の変化を強いられ、今の人々が持つそれはもはや一年前とは別物と呼んでもいいのではないだろうか」
 そして酒を一口。そこから、彼は、また続けた。
「だが人は、上に立ちたがる生き物だ」
 それは、ライモンドの思想の一端を表す一言。
「平等を謳おうとも、人は心のどこかで下位の存在を作りたがる。そしてそれを様々な名分で包み隠し、キレイゴトを並べて核心にある欲望を否定する。だが人の暮らしとはそれだけで成り立つものではない。醜い内側を隠したまま理想だけを見続けても、待っているのは瓦解だけ。そう思わないか?」
 そして彼は、ジョセフを見た。
「ふむ」
 しっかりと視線を感じながら、ジョセフは磨いていたグラスを置いて告げる。
「今この場で語ることはないな」
「……それは、どういう?」
「シャンバラは間違っていなかった。イ・ラプセルは急激な変化の末に瓦解するかもしれない。なるほど、そのような意見もあるのだろうな。だが全て、汝一人の感じるところ、思うところ、考えるところに過ぎぬよ。私に何を求めているのかはわからぬが、一介の酒場の店主にそれを求められたところで、私の知るところではない。としか答えようがないな。この場は議する場ではなく、ただ酒を楽しむための場であるのだからな」
「長い説明だ」
「性分だ。仕方があるまい」
 その返答にライモンドが何を思ったのか、それはジョセフには分からない。
「だが、そちらの言い分も理はあるか。……もう一杯、もらえるか?」
「すぐに用意しよう」
 しかしライモンドはそれ以上思想を語ることはなく、ただ静かに酒を楽しみ続け、そしてやがて店を去っていった。


「思うニ、アナタ、面白い方向性でこっちに溶け込もうとしてなイ?」
 カウンターにて、『有美玉』ルー・シェーファー(CL3000101)がジョセフへとそんなことを言ってくる。
「ふむ、そう思うかね」
「思うネ。普通、元大司教がバーテンなんてしないヨ」
「そういうものか。……だがまずは国の中をあまねく見聞せねば、この国がどのような場であるかもわかるまい? 必要だからそうしているだけだ」
「フフ、そういう精神、嫌いじゃないワ。大好きヨ。ヨッ、元大司教!」
「私も感心するよ。汝の口の速さと軽さにな。適当に喋ればそうもなろうが」
「アチャ~、バレてたネ」
 軽く舌を出しつつも、だがルーは悪びれる様子もなく、
「この店、いろんな酒置いてあるネ」
「む。どうやら元の店主の趣味らしくてな。思いのほか種類が多いようだ」
「でもこういう酒は置いてないネ!」
 言ってルーが取り出したのは、陶器製の入れ物に入った酒だった。
「この薬草酒なんかは珍しい上ニ、身体にもいいヨ。今、文化人に大人気ネ」
「ほぉ、それで?」
「どう? 本来なら10000GPのところを今なら1000GPネ!」
 商魂逞しいルーに、ジョセフもかすかながら苦笑する。
「悪いが、厳しいな。私は所詮、今宵限りの店番だ」
「あ、ソ。残念ネ~」
 ルーはそう言ってあっさりと引き下がった。
 そして薬草酒をしまおうとした彼女は、近くにいた男にぶつかってしまう。
「おっとごめんなさいネ、って、オヤ?」
「ん?」
 ぶつかった男が、彼女の声に気づいて振り返った。
 『落とした財布は闇の中』ルガトルシュ・フォルガ(CL3000577)であった。
「よ~、ルーちゃんじゃん。お晩~」
「今日のお財布ゲットだヨ」
「え、何それ怖い」
「いいからいいかラ。きゃ~、今日は奢ってくれるのネ、ありがとだヨ~」
 ルー・シェーファー、会心の猫なで声!
 もはや交通事故に等しいこの流れに、ルガトルシュはジョセフの方を見た。
「マスター、俺ってば今日ぁもーしょっぺくてさぁ、さげぽよすよ~」
「大変だったようだな」
「現在進行形で」
 話すルガトルシュの傍らで、ルーが持ってきた薬草酒を空のグラスに注いだ。
「ルガトルシュ、ルガトルシュ、かんぱーい!」
「うぇーい、かんぺーい!」
 ルーの威勢のいい声に、ルガトルシュは反射的に乾杯してしまった。
「もーマジ最悪ってーか、マスター聞いてよー」
「うむ、なかなか難儀なようだな」
「ギャンブルでスッちまってさ~、他にもいろいろ。マジさがりっすわ」
「うぇ~い、もひとつかんぱーい!」
「おっけー、かんぺーい!」
 ルーの威勢のいい以下同文、ルガトルシュは反射的に以下同文。
「ルーちゃんちょっと押し強くね? グイグイ来すぎじゃね?」
「別にそんなことないネー。気のせいヨー」
「まぁじでぇ?」
「まぁじでぇ」
「って、うっま。この酒うっま。なにこれイケてんじゃん」
 飲んだ薬草酒に気づき言うルガトルシュに、ルーの瞳がキラリと光る。
「アタシが持ってきた特製の薬草酒ネ。身体にもいいヨー」
「へぇ、そんなんあるんか」
「一瓶1000GPネ」
「たっか!?」
 なお、最終的に両者合意の上、ルガトルシュは十回の分割払いで薬草酒を購入したとのことだった。


「うお、つまんねぇ顔」
 店に入ってきてジョセフの顔を見るなり、『血濡れの咎人』ロンベル・バルバロイト(CL3000550)が言ったのがそのセリフであった。
「そちらも随分といかつい顔をしているではないか。おあいこだ」
「ンだァ、それが客に向ける言葉か、オイ」
「別に。私は番を任されているだけだ。一夜一人の客程度、逃がしたところでさしたる失態でもなかろうさ。去るも去らぬも自由にしたまえ。店の門戸は朝までならば開きっぱなしであるからな」
「チッ、よく回る舌だなァ、コラ。まぁいいや。酒くれ、酒」
「どれにするかね」
「適当に選んでくれや。美味い酒限定でな」
 などと二人がやり取りをしていたところで、再び店のドアが開く。
「あの、すいません。道を――」
 まだイ・ラプセルに慣れておらず、道に迷ってしまった『叶わぬ願いと一つの希望』ティルダ・クシュ・サルメンハーラ(CL3000580)が入ってきた。
 ジョセフが彼女の方を見る。
「む? 道に迷ったのか。この辺りは少し入り組んでいるからな」
「はい、その……、って」
 困った様子を見せていたティルダだが、ジョセフの顔を見るなり可愛らしいその瞳をいっぱいに見開いて驚愕の表情を浮かべた。
「ジョ、ジョセフ・クラーマー!? 魔女狩り将軍の、弟の……!」
 ヨウセイであるティルダは、ジョセフのことを知っているようだった。
「え、酒場の? マスター? え? あれ、大司教……? え!?」
 傍から見てわかるレベルの、すさまじい混乱っぷりだった。
「落ち着きたまえよ、少女。確かに私はかつてシャンバラの大司教の座にあったが、今は見ての通りだ。そう警戒することもあるまい」
「見ての通りっつったって、今の旦那の何を見て何を察してどう落ち着けばいいんだよ、俺から見たってわかんねぇぞ」
 そこに口を挟んできたのは第三の人物。
 近くのカウンターでチビチビ飲んでいた『クマの捜査官』ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)だ。ジョセフは彼を見て、首をかしげる。
「そこで疑問符浮かべてんじゃねーよ。見ろよあの子、完全に固まってるぞ」
「え、あ、あの……」
 水を向けられたティルダがあわあわを目線を右往左往させる。
 それがおかしかったのか、ロンベルが豪快に笑いだした。
「グハハハハハ! かつての大司教も今じゃ立派なコメディリリーフってか? 時の流れってのは残酷じゃねぇか、なぁ!」
「コメディアンになった覚えはないのだがね」
「いや、それに限りなく近い何かだよ、今の旦那は」
「ご、ごめんなさい!」
 男三人が言いあっている中、ティルダがいきなり頭を下げた。
「ジョセフさんも、今はアクアディーネ様の祝福を授かったのですよね……。それなのに、わたし……」
「真面目だな、汝は」
「え?」
 ジョセフは顔を上げたティルダの前に、葡萄のジュースを置いた。
「まぁ、飲んでいけ。夜とはいえ気温は高い。のども乾いているだろう」
「えっと、ありがとうございます」
「おーい、マスターさんよぉ、こっちの酒はいつになったら出てくんだよ」
「あ、旦那~、ついでに俺にもツマミのお代わりくれ~」
 恐縮するティルダの横で、ケモノビト二人がやいのやいのと騒ぎ出す。
 そうして、偶然の流れから集まった四人はしばし歓談を楽しんで、数分後、
「フン、しかしまぁ、奇妙な縁だな」
 ロンベルが、そんなことを言い出した。
「おう、何だい、ロンベルの旦那。藪から棒に」
「見れば分かンだろうがよ。元大司教に、自由騎士に、魔女と呼ばれた女に、魔女狩りだった俺だ。クック、笑えるぜ。変な偶然もあったもんだ」
「あー、なるほど、確かにね」
 ロンベルの言葉を受けてウェルスが場のメンツを見る。そして納得した。
「え、ロンベルさんは魔女狩りだったんですか?」
「ああ。まぁ、トラブって収容所送りになってたがな」
「そう、なんですね……」
 ティルダがジュースを飲みつつ、チラリチラリとジョセフを見る。
「何かね、少女よ」
 もちろんジョセフは、それにバッチリ気づいていた。
「あ、す、すみません!」
「謝ることでもなかろう。気になることがあるのならば、言うがいい」
「はい、では……」
 ティルダが意を決した様子で、ジョセフに尋ねた。
「今のジョセフさんは、ヨウセイをどう思っていますか?」
「ヨウセイを、かね」
「はい。あの、わたしは、ミトラースもシャンバラも、嫌いです。でも、シャンバラの人たちがヨウセイを迫害したのは権能のせいだから、決してシャンバラの人たちが悪いとは思ってなくて……」
「汝の考えは立派だが、私も素直に答えよう。ヨウセイは好きではない」
「え……」
 その答えに、ティルダはショックを受ける。ジョセフは言葉を続けた。
「だがそれは当然なのだ、少女よ。私は幼き頃より魔女――ヨウセイは罪深きものであると教えられ、育ってきた。権能の影響もあろう。しかし、生まれてよりずっと、それを是とする社会の中で生きてきたのだ。……権能が消えようとも、これまでの人生で培ってきた価値観はなかなか変えられんさ」
「それは……」
 言われて、ティルダは考える。
 彼女自身言ったことだ。ミトラースもシャンバラも好きではない、と。
 それは、彼女がヨウセイに生まれ、迫害されてきた経験があるからこその価値観であることに違いはない。ジョセフの言葉が示すのは、それだ。
「ゆえに、ここから変えていかねばならないのだろうな」
「ここから?」
「そうだ。汝は私に歩み寄ろうとしているではないか。私はそれを評価する。そして、私もまた汝に歩み寄れるよう、己を変えることに努めねばならぬ」
「…………」
 ジョセフの言葉に、果たしてティルダは何を感じたのか。
 彼女が何か反応を示そうとする前に、だが、デカイヤツがまた笑い出した。
「っかー! 小難しいこと言いやがってよぉ! そんなもん殴りあって蹴りあって、負けた奴が悪い! でいいだろうが。聞いててかゆくなってくるぜ!」
「単純明快。それもまたよし、だな」
 ジョセフが小さく笑って、グラスを磨きだす。
 すると今度は、ウェルスが彼へと質問を飛ばしてきた。
「なぁ、ジョセフの旦那よぉ」
「何かね」
「シャンバラとの戦いで出てきた聖獣っていただろ。アレの――」
「やめておけ」
 言葉の途中だが、ジョセフがピシャリと遮った。
「……何でだよ」
「汝の考えは透けて見えるぞ。確かに聖獣はうまく扱えれば強力な戦力となろうが、何故シャンバラだけがそれを扱えたのか。それを考えたまえ。汝の期待するところについては、はっきりと断言してやろう。ハズレだ」
「けどよ……」
「誰かの命を守るために、他の何かの命を費やすのは、あまり好ましくない」
「そうは言うが――」
「やめとけやめとけ!」
 食い下がろうとするウェルスだが、その背中をロンベルが叩いた。
「いってぇ!」
「ケンカってのはよぉ、やる気になってるヤツだけがやりゃいいんだよ。何も知らねぇヤツまで利用するなんてのはな、三流以下の以下の以下よ!」
「ぐ……。分かったよ……」
 同胞にまで言われては仕方がないと思ったのか、ウェルスも引き下がる。
「ま、過去は色々あったがよ、今は楽しく一緒にバトる仲だ! 乾杯しようぜ、乾杯! これからも一緒に仲良く楽しく戦っていこうってな!」
「汝は魔女狩りには向いていないな」
「ったりめーだろうが! ガハハハハハハハハ!」
 笑う虎のケモノビトを見ながら、ジョセフは乾杯するためのグラスを新たに用意するのだった。


●時終わり、もうちょっとだけ続くんじゃよ
 夜が終わりかけている。
 まだ空は白み始めていないものの、かはたれどきは確実に近づいていた。
 そんな時間帯になって店に顔を出したのが、ジョセフの知己数名。
「うわ、似合わない」
 まず、彼に向ってそれを言ったのは『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)であった。
「本当に……、本当に似合わないわね」
 そして、それに次いでしみじみと同じことを言ったのが『浮世うきよの胡蝶』エル・エル(CL3000370)である。
「ワハハハハハハハハ! ワハハハハハハハハハハハハハ!」
 『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)に至っては大爆笑も大爆笑だった。
 普段、分厚いローブを身にまとっているジョセフが、今はバーテンダーの格好をしているのだから違和感はあろうが、それにしたってこの反応だ。
「あ、あの、皆さん? その反応は、あんまりでは?」
 『わりとべろんべろんだった』フーリィン・アルカナム(CL3000403)が汗しつつやんわり窘めようとするが、
「いやだってな、あの堅物大司教閣下がこれって、これって! ぶっふ! ブハハハハハハハハハハ! 痛い! 片腹が本気で痛い!」
「そこまで笑われればいっそ諦めもつくというものだな」
「だって貴様、だってな! くっは、ワハハハハハハハハハハハハハ!」
 表情を一切変えず言うジョセフを見て、ツボミはまた派手に笑った。
「あーあー、楽しそうですねぇ……」
「おかしい。ヨツカは道を尋ねようとしただけなのだが、何故ここにいる」
 腹筋崩壊真っ最中のツボミを、『花より──』デボラ・ディートヘルム(CL3000511)が遠巻きに眺めていた。
 その隣では、たまたま店に立ち寄っただけなのに何故か巻き込まれている『誰ガタメの願イ』月ノ輪・ヨツカ(CL3000575)がしきりに首をかしげていた。
「ねぇ、お酒出してよ、お酒。客としてきたんだから」
 エルシーが気さくに話しかける。
「無論、構わんが。何を飲むかね」
「そうね、お任せで。ジョセフさんのバーテンダーとしての実力が見たいわ」
「別に、お披露目を要するようなものでもあるまい」
「甘い。甘いわジョセフさん! カクテルだって水割りだって、麦酒を注ぐだけでもプロと素人じゃおいしさに雲泥の差が出るのよ!」
「めんどくさい客ね、エルシーは」
 握りこぶしを作るエルシーに、エルの評価が突き刺さる。
「まぁ別にいいではないか。実際に今はこの仏頂面包帯マンが店番をしているのだ。こやつには我々に美味い酒を出す義務がある!」
「ないぞ」
「乗れよ。つまらんヤツめ……」
 そうして話している間にも、ジョセフはテキパキと酒の準備をしていく。
「お手伝いしますね」
「む、ありがたく」
 見ておいたフーリィンがそれを手伝った。
 そして、場にいる皆に酒が行き渡ったところでエルシーがグラスを掲げた。
「じゃ、乾杯を――」
「待て待て、ジョセフがグラスを持ってないじゃないか」
 しかしツボミが待ったをかける。
「私が、かね」
「そうだ。酒を呑む者に酒を厭う心があるべきと言うならば、酒を厭う事を語った貴様が酒を呑まぬのは帳尻が合わぬ。……違うか?」
「む……」
 ツボミの言い分は筋が通っていた。皆が、ジョセフの方を見る。
 とはいえ実のところすでにここまで何度か誘われて客と共に飲んでいる彼であったが、どうやら断れる雰囲気でもなさそうだ。
「店番がある。程々にしておくぞ」
「構わん。貴様も酒を楽しめ」
 そして乾杯の輪に、ジョセフのグラスが加わった。
「「カンパーイ!」」
 ガシャンとグラスが重なって、そこからはもはや無礼講の空気だ。
「なかなかおいしいカクテルじゃない。この組み合わせはアレかしら――」
「ハズレだ」
「ええええええええええ!?」
「……うるさいわね。これから歌おうっていうときに」
「よ! 歌姫エル! 待ってました!」
「わー、どんな歌でしょう。気になります~」
「ツボミもフーリィンも、余計歌いにくくしてくれてありがとう」
「え? え? 何で睨まれてるんでしょう……?」
 こんな感じである。
 やがてエルが歌い始めれば、その美しい歌声に騒々しさも幾分落ち着いた。
 歌を聴くデボラがポツリとつぶやく。
「とてもお上手ですね」
「うむ、美しい歌だ」
 ヨツカもそれに同意した。
「ツマミだ」
 そこへ、ジョセフがツマミの乗った皿を持ってきた。
「あら、ありがとうございます。お酒は飲めないので、助かります」
「ヨツカもだ。腹が減っていたのでちょうどよかった」
「ならば、幸いだ」
「で、おまえは何者なんだ?」
 ヨツカが彼に尋ねた。
「たまたまこの店に来てみたが、皆がおまえのことを知っている。だがヨツカはおまえのことを知らない。気になるぞ」
「私など、ただの破戒僧に過ぎんよ」
「ふぅん、破戒僧、ねぇ」
 彼の言葉を聞きつけたエルが、酒を飲まないはずなのに酒が注がれたジョッキを持って近づいてくる。彼女はそれをジョセフに差し出した。
「ツボミからよ。酒がまずくなるから陰気なツラを明るくしろ、ですって」
「暴君か、アレは」
「酔っ払いなんてどれも変わらないわよ」
 肩をすくめて、エルはヨツカを見る。
「こいつはね、あたしに焼かれた男よ」
「焼かれた?」
「そ。物理的にね」
 流し見てくる彼女の視線を感じながら、ジョセフは左手に意識を向けた。
「そのようなことも、あったな」
「その火傷、まだ痛むことはあるの?」
「ふむ。汝がそれを気にするか。あの、苛烈ながらも自らを貫き通した汝が」
「気にしてるわ。悪いことしたな、程度にはね。もっとあたしに火力があれば、あんたを苦しませずに焼き尽くせたでしょうし」
 かつて魔女を名乗った女は、物騒なことを口にする。
 それに対してジョセフが見せた反応は、小さな苦笑であった。
「ああ、うむ。汝はそのような女であったな」
「おかげ様でね、色々区切りはついたけど、あたし自身は変われないわよ」
「むむむ、何やら様々あったのだな」
 話を聞いていたヨツカがうなずく。ますます興味が出てきたらしい。
「あの、あの! 私もお話に入れてください!」
 そこへ、前々からジョセフと話したいと思っていたフーリィンが加わる。
「ちょっろ~、りょせふはん、あらしのおらけあららひいの~」
 そしてついでに現れたエルシーは、どう見ても出来上がってます。
「ウハハハハハハ! 何だ、ジョセフを囲む会か! いいな、面白いな! よし酒だ! 酒を飲め! どんどん飲んでどんどん話せ!」
 ツボミまでがやってきて、こうしてジョセフ包囲網は完成した。
「……やれやれ」
 ただ一人、エルだけが興味をなくしたように肩をすくめて場を離れる。
 そもそも酒を飲みに来たのではない彼女は、歌も歌っておひねりももらったので、一足早く酒場を出ていくことにした。
 後にして思えば、その判断はまさに英断であったのだろう。
 これから起こる惨劇に、巻き込まれずに済んだのだから。
「「カンパァァァァァァイ!」」
 もう何度目かになる乾杯。
 そこにはずっと酒場で飲んでいたテオドールやシノピリカも加わっていた。
 アダムも何故かいたが、彼は未成年なのでデボラやヨツカと共にジュースで乾杯に加わっていた。そして話題は、何故かジョセフに集中する。
「これだけは聞いておかないと!」
 強い決意を胸に、デボラが右腕を大きく振り上げて挙手した。
「何かね」
「ジョセフ様はご結婚されてますか!?」
 ド直球な質問だった。
「だってジョセフ様ってば見た目はイケメンですし、家柄も相当高い家柄とお聞きします。でしたらお家の存続なども考えなければいけないお立場では?」
「おお、なるほど、確かに!」
 聞いていたツボミが手を打った。
 だが、尋ねられたジョセフの表情は一切変わらない。
「先刻も話題に出たが、私は未だ独身だ。妻を娶るつもりもない」
 彼が酒を飲みながらそう答えると「おおー」というどよめきが起きる。
「ではでは婚約者などもおりませんの?」
「うむ、ヨツカも気になる。恋人もいないのか」
「そのようなもの、生涯一度も持ったことがないな」
 二度目のどよめき。ジョセフの彼女いない歴=年齢であることが判明した瞬間だった。そして場の空気は加速し、追求はさらに続く。
「つまりDTか! ジョセフ、貴様、DTか!」
「うむ。未経験だが、それが何かね」
 三度目のどよめき。
「クラーマー卿、そちら方面での欲求はないのかね? ああ、いや、破廉恥なこととは思わないでただきたい。これは純粋な知的好奇心なのだがね、私も妻を持つ身となったからこそ言えることだが、隣に好ましい異性がいる。それは大変すばらしいことだ。だからこそ、クラーマー卿の認識に興味があるのだ」
 身を乗り出し、テオドールが尋ねる。
 ジョセフは「ふむ……」と考えこみながら、その間にジョッキを二つ空け三つ目のジョッキに酒を注いで考えこんだ。
「興味がないとは言わぬが、しかし――」
「「しかし?」」
「……うむ、乾杯しよう」
「「カンパーイ!」」
 完全にノリだけで進んでいる場となっていた。
「女性に興味がないワケではないがそれを優先できる状況かといえばそうではなく他に考えるべきことが様々無数に存在するならば私はそれらを優先するべきだと己に対して判断するワケだが女性に興味がないワケではない」
 ジョセフの口数が多くなってきたし、言葉も早くなってきた。
「うむ! よし! 分かった! 乾杯じゃ!」
「「カンパーイ!」」
 シノピリカの提案によって、またしても乾杯。もう何度目だろうか。
「ウハハハハハハハ! 何だ堅物! 飲めば飲めるではないか!」
「りょせふ~、おしゃけ~、あらひのおしゃけ~」
「ジョセフさん! ジョセフさん! あの! あの!」
「フフフ、楽しいですね~」
「ヨツカは今、とてもいい気持ちになっている気がする」
「やぁ、君もかい? 僕もだよ!」
「では乾杯しよう」
「「カンパーイ!」」
 酒を飲んでいないはずのデボラ達未成年組も、完全に場の空気に酔っていた。
 もはや店内はどんちゃん騒ぎ。
 次々に酒瓶の蓋が開けられて、中身が器に注がれていく。
 実のところ、店にある酒の消費量はここまでで全体の三割程度だったのだ。
 だが朝、アデルがやってきた際には店の酒は全て空となっていた。
 つまりはそういうことだった。
「……とっても、楽しいです」
 そんな、魑魅魍魎の巣窟と化した宴会の最中にフーリィンが小さく呟いた。
 酒に弱い彼女は、他に比べて飲むペースがかなり遅かった。それもあってまだ彼女は場の空気に流されきっていなかった。
 ハメを外しすぎていることは自覚していたが、それでも皆とこうして何も考えずに騒げるのは、間違いなく楽しいことだ。
「戦争なんてなくなって、こんな毎日ならいいのに……」
 たゆたう酒に面を映し、彼女は続ける。
 常識、非常識、譲れないもの、守るべきもの、尊重するもの、壊すもの。
 仕方がないとはいえ、やはり戦いは好きになれない。傷つけるのは苦しい。
「どうして、神様は手の届くところにいるのでしょうか」
 手が届かないところにいるのなら、最初から殺せない存在だったなら、それを心の拠り所にする誰かを傷つけずに済んだだろうに。
「……そうだな」
 いつの間にか、皆がフーリィンの言葉に耳を傾けていた。
 場の空気がしんみりとしたものになる。
「あ、ごめんなさい! あの、私……!」
 我に返ったフーリィンが、顔を赤くして両手をパタパタさせた。
 慌てふためく彼女を、だが、ジョセフが真っすぐに見つめている。
「――フーリィン・アルカナムよ」
 これまでになく低く重い声。元大司教の威厳が、その顔には確かにあった。
 見つめられたフーリィンだけでなく、皆が、息をのんで彼の言葉を待つ。
 そして彼は言った。

「汝、肌を晒し土に埋まれ」

「………………………………はい?」
 さて。
 ここでジョセフについて記さなければならないことがある。
 彼には、シャンバラの枢機卿を務めた“魔女狩り将軍”ゲオルグ・クラーマーという兄がいた。
 ゲオルグはその狂信的な信仰心と臆病ともいうべき慎重さ、その反面の大胆さ、そして何より執念深さによって、イ・ラプセルを幾度にも渡って苦しめ続けた強敵であった。
 その、怖いもの知らずにも見えるゲオルグをして『絶対に、絶対に、絶対に、絶対に、絶対に』同席したくないと断言せしめるものがあった。

 ――ジョセフとの酒盛りであった。

「今ここに光は満ちた。まず初めに便器がありて神は申された『あたしゃ神じゃないよ蒸気仮面だよ』何たることか一日目にして大地にきのこタワーが量産された。だが量産計画が杜撰であったため代わって枕が大量生産された。これが二日目である。三日目にまず行われたのは値切り交渉であった。何たることか元々原価が高すぎたのだ。相場で言えば今の三倍、いや五倍、いや七倍。まだ行くのか。行くというのか。それこそ英雄の所業。だが女湯に突入する彼の心意気をどう否定しろというのか。我らは混浴よりそれを眺めながら西に上る太陽を打ち落とし、ついに地表には寸胴鍋が転がった。シチューの具材にアマノホカリ。アクアディーネ神の大好物。ミトラース神の額から発射されたツルピカ光線が世界の全てを焼き尽くす。ピッカーン。ドドーン。世界は滅びた」
 ジョセフが壊れた。
「え、あの……?」
「深い青に満たされた赤き光の金色の白銀世界よ。グリーンに染まって俺に抱かれろ。だがいいのか、苛まれるとしても俺は構わない。覚悟はいいか私はしない。しかし心配することはない。世の中に必要なものをこれすなわち■■■。しかし結婚とはすなわち人生の墓場と呼ぶ者もいるが私に言わせれば人生の上腕二頭筋、いやさ大腿骨から仙骨にかけてのアンビバレンツに頭痛すらする美しさ。これこそまさに世の無常。永遠の虚無よ、我が胸に帰れ。Aカップ!」
 ジョセフが壊れた。
 そして彼の赤く輝く左目が、キュインと場にいる皆を捉える。
((あ、ヤバイ))
 自由騎士の本能が直感する。急ぎ、ここから離れなければならないと。
 ジョセフの身がユラリと揺らめく。
 彼とて、決して酒に弱いワケではない。
 ただ、一定以上の飲酒量になるとこのようにバグるのだ。
 身も心も、言動も行動も。
「汝、肌を晒して土に埋まれ。肌を晒して土に埋まれ! 土に埋まって叫ぶのだ、私の客はよく客喰う客だ! これぞ信仰! 汝らに幸あれ! 我に幸あれ! 海の幸あれ! 山の幸あれ! さーちあんどですとろいやー!」
「「逃げろォォォォォォォォォォ!」」
 自由騎士達が店の入り口に向かおうとする。
 だが、踏みしめた床が突如ぬめり、足に絡みついてきた。
「おっま! マギアスじゃなかったのか、コラー!!?」
 ツボミが叫ぶが、残念ながら彼はついこの間スワンプを覚え直したところだった。そして、狂乱のよっぱらいと化したジョセフが牙を剥く。
「神は申された。『わー、すごーい、たーのしー』。これぞつまりは毛もフレンズ。頭皮が寂しい者の嘆きである。さぁ今こそ捨てよ羞恥心。悪しきは布! すなわち服! 肌を晒して土に埋まれ、さすれば報復は訪れるであろう!」
「せめて訪れるなら幸福にしてくれェェェェェェェェェェェ!」
 誰かの絶叫が、まだ目覚め切らない街角に小さく響いて儚く消えた。

●そして戻って、朝
 アデルが見た店には、総勢九人の全裸の男女が転がっていた。
 もちろん、ジョセフ含めである。
 しかもただ転がっているのではなく――、
 カウンターに頭を突き刺している者。
 トイレに顔を突っ込んでいる者。
 鼻の穴を細長い揚げポテトで満たしている者。
 店の壁にめり込んでいる者。
 テーブルの上で皿に盛られた形で気絶している者。
 ゲロまみれのバケツに顔を突っ込んでいる者。
 倒れた棚の下敷きになっている者。
 一人だけ意識を保っていたが空の浴槽で身を丸めガタガタ震えていたフーリィン。
 と、そのような惨状があったのだった。
 店は半壊状態だったがこれはのちにジョセフが弁償することになった。
 その後、アデルはそこにいた者に話を聞こうとしたが、しかし、ほとんど誰も何も覚えていなかった。もちろん、ジョセフも含めて。
 フーリィンだけは何かを知っているようだったが、それを尋ねてみても彼女は顔色を真っ青にして小さく震えるばかりで、何も語ろうとはしなかった。
 ただアデルは、彼女が顔面蒼白のまま繰り返していた、
「お酒って怖い、お酒って怖い……」
 という呟きだけははっきりと覚えていた。
 総じて、彼が出した結論は次のようなものである。
「アホか」
 酒は飲んでも飲まれるな。

 最後に、新婚ホヤホヤのテオドール氏が何らかの過ちを犯した、ということは一切ないので、それだけはご安心いただきたい。
 多分嫁にドチャクソ叱られるだろうが、それはまた別の話である。

†シナリオ結果†

成功

†詳細†

称号付与
『やっちまった新婚』
取得者: テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)
『やっちまった重装胸部装甲』
取得者: シノピリカ・ゼッペロン(CL3000201)
『やっちまったシスター』
取得者: エルシー・スカーレット(CL3000368)
『やっちまった渋オジスキー』
取得者: デボラ・ディートヘルム(CL3000511)
『やっちまった惨劇の目撃者』
取得者: フーリィン・アルカナム(CL3000403)
『その瞳は前を見つめて』
取得者: ティルダ・クシュ・サルメンハーラ(CL3000580)
『必殺掃除人』
取得者: アデル・ハビッツ(CL3000496)
『やっちまった不養生な医者』
取得者: 非時香・ツボミ(CL3000086)
『奇跡の生還者』
取得者: エル・エル(CL3000370)
『やっちまった革命の』
取得者: アダム・クランプトン(CL3000185)
『やっちまった流れ者』
取得者: 月ノ輪・ヨツカ(CL3000575)

†あとがき†

お疲れさまでした。
実に楽しい酒宴であったと思いますがいかがでしたでしょうか。

最後の辺りに少しだけはっちゃけた方がいらっしゃいましたが、
覚悟完了した皆さまですから何のことはないと思っています。

それにしても、いったい何があったのか。
みんな覚えてないんじゃ仕方がない。
覚えてないんじゃ仕方がないですねー!

それでは、次のシナリオでお会いしましょう!
ありがとうございました!
FL送付済