MagiaSteam
氷の洞窟




 アデレードの北の外れに、エフェリーズ洞窟という場所がある。
 別名、『氷の洞窟』。最奥に潜む伝承の怪物、ノーザンハグの魔力によって一年中氷に覆われている。
 伝承が真実かは分からない。だが、氷の洞窟は確かにそこにある。
 そして――怪物も、確かにいたらしい。


「で、そのエフェリーズ洞窟から、最近ゴブリンが出て近隣の村を襲ってるらしい。退治してきてくれ」
『軍事顧問』フレデリック・ミハイロフ(nCL3000005)はそう言った。
「以前はこんな事はなかったが、恐らくイブリース化して狂暴性を増したんだろう。説得も通じないから倒すしかない。洞窟へ侵入し、内部にいるゴブリンを全滅させてくれ。ただし」
 フレデリックはそこで言葉を切った。
「伝承では、この洞窟にはノーザンハグという怪物がいるそうだが、これは実在が確認されていない。これへの対処は依頼には含まれない。どうするかはお前達に任せる。ゴブリンの全滅が確認出来れば、それで撤収してもらって構わない」
 じゃあ、頼んだぞ、と言ってフレデリックは話を終えた。


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
通常シナリオ
シナリオカテゴリー
魔物討伐
担当ST
鳥海きりう
■成功条件
1.ゴブリンの全滅
 皆様こんにちは。鳥海きりうです。よろしくお願いします。
 ゴブリンたちとの戦闘シナリオです。彼らの全滅が成功条件となります。

 敵キャラクターのご紹介です。
・ノーザンハグ
 今回のボス敵。倒すかどうかは自由。
・フロストゴブリン×10
 洞窟に潜むゴブリン。冷気に強く、寒冷地でも難なく活動可能。
・フロストゴブリンメイジ×5
 氷結魔法を操るゴブリン。

 だいたいフレデリックの言った通りです。
 洞窟は主道といくつかの支道が入り組んでいます。主道をまっすぐ進めば最奥部まで辿り着けますが、支道に潜むゴブリンに奇襲を受ける虞があります。

 簡単ですが、説明は以上です。
 皆様のご参加をお待ちしております。
状態
完了
報酬マテリア
6個  2個  2個  2個
14モル 
参加費
100LP [予約時+50LP]
相談日数
7日
参加人数
8/8
公開日
2018年09月14日

†メイン参加者 8人†




 依頼を受けた自由騎士達は、陣形を組んでエフェリーズ洞窟へと侵入した。
「それまでは大人しかったゴブリンの凶暴化……何か裏があるようにも思えるが、まずは大人しくさせねばな」
「洞窟探検だー! 氷の洞窟って夏はひんやりしてて過ごしやすそう!」
 先頭を行くのは『いつかそう言える日まで』ボルカス・ギルトバーナー(CL3000092)と『全力全開!』カーミラ・ローゼンタール(CL3000069)。二人ともカンテラを用意して視界を確保している。
「ずっとここで静かに暮らしてたのかな……叶うなら、元の状態に戻してあげたいですね」
「寒い〜! アリア! ぬくもりをちょうだい!」
「ヒルダちゃん、けっこう元気だよね……?」
『白金の星』ヒルダ・アークライト(CL3000279)に抱きつかれ、『蒼の審問騎士』アリア・セレスティ(CL3000222)は糸目でため息を吐いた。
「確かに寒いわね。さすが氷の洞窟。でもあたしは通常運行よ!」
 二人の後方に位置するエル・エル(CL3000370)は確かに平気そうだった。寒冷適応。備えは万全である。
「まー、事情があろうとただの悪魔化だろうと、やる事は変わらん。全滅だ。一匹残らずの全滅だ。その様に仕事が注文され、そのオーダーを我々が己の意志で請け負ったのだからな。仕方が無い仕様が無い。……さ、仕事だ」
『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)はそう言いながらエルの隣を歩いていた。『軍事顧問』フレデリック・ミハイロフ(nCL3000005)との会話を思い出す。
「全滅というのは、殺せということか?」
「任せる」
「投げんな」
「いや、投げる。−−お前が国防騎士団の所属なら、その質問が出た時点で百点満点だ。だが違う。自由騎士団は裁量も大きく、しかし責任も大きい。現場を見て、自分で判断しろ。殺したくないなら殺さなくて構わんし、逆もまた然りだ」
「……それで何かあっても、組織ではなく個人の責任か」
「嫌なら降りろ」
「なめんな」
「だろ? ならいい」
『私ノ存在ハ神ノ意思ダ。ソウデモナケレバ説明ガツカヌ。オ前達ノヤリ方ヲ、神ハ肯定シテイナイ』
(……ならば、ゴブリン達は? 僕が守るべきは、民だけで良いのか?)
『挺身の』アダム・クランプトン(CL3000185)は、思索しながら後列を歩いていた。事前に立ち寄った村で得た情報によれば−−そもそもゴブリン達は滅多に人前に現れなかったらしい。実際に見るのは今回が初めてという者もいた。違和感があったかどうかといえば、強烈な強暴性と殺意−−これに尽きる。しかしその原因の確証までは得られなかった。
 どん。「ぶほ!?」
「暗い顔してないでよ、色男。頼りにしてるわよ!」
「……暗いつもりは無いよ。気になることがあるだけさ」
「それが暗いっていうの。近隣の村に被害が出ているなら、どのみち放っておけないわ。 気合い入れていくわよ!」
『緋色の拳』エルシー・スカーレット(CL3000368)はそう意気込んだ。「……は……はっくしょん!」そしてくしゃみした。彼女に至っては防寒対策どころか、信じ難いことに水着である。眼福だけど。


「……いるな」
 自由騎士達は洞窟の主道を進んでいたが、ボルカスが不意にそれを手で制した。正面は左右に支道が伸びた十字路になっている。サーモグラフィ。彼の熱量視界が支道に潜むゴブリンを捉えたのだ。
「−−アイスコフィン!」
「え」
 最初に動いたのはアリアだった。氷弾を十字路の中央に放つ。(私が氷を操れることが分かれば、浄化後に友好的になってくれたりしないかな?)通路の闇の向こうから、微かに唸り声のようなものが聞こえた。戸惑っているように聞こえる。
「来ないなら、こっちからいくぞー!」
「あ」
 カーミラが戦端を切った。十字路に飛び込み、支道に潜んでいたフロストゴブリンに震撃を放つ。命中。ゴブリンは悲鳴をあげながらも、手にした山刀で反撃した。命中。「っ! なんのなんの!」
「……イブリースだな。そこは取り越し苦労だったか」
 ツボミがエネミースキャンでゴブリンを解析する。まずは浄化が必要だ。その後は−−「ああ、一応回復な」「どーも!」メセグリンでカーミラの傷を癒す。
「ヒルダちゃん、あっちにも!」
「オーケー、アリア!」
 ダブルシェル。ヒルダの銃撃が正面の闇に潜んでいたフロストゴブリンメイジを撃ち抜く。反撃。凍結。敵の放った凍気がヒルダの身体を凍りつかせた。「うう、かなり寒い……!」
「続いていくわ! 焼き焦がしてあげる!」
 エルの緋文字がゴブリンメイジを襲う。命中。敵は苦しげにのたうちまわるが、ぎりぎり撃破には至らない。反撃。凍結。敵のアイスコフィンがエルもまた凍りつかせる。「くっ−−寒いのはいいけど、動けない……!」
「アダム、正面は任せる!」
 ボルカスは支道へ入り、カーミラと同じゴブリンを狙う。バッシュ。命中。渾身の槍がゴブリンに深傷を負わせるが、これも撃破には至らない。反撃。命中。「ふん。浅いな」
「イブリースならば……!」
 アダムは正面のゴブリンメイジにハチェットを投擲した。命中。敵が苦鳴を上げて倒れる。
 咆哮。四方の通路の闇の奥から無数の甲高い声が響いた。「来る……!」
 低く、人間のそれとは違う詠唱が聞こえた。魔法の凍気がカーミラ、ボルカス、アリアを襲う。「うわ! 寒……!」「ちっ……!」「しまった……!」ダメージはさほどでもないが、三人は四肢を凍らされて動きを止められる。
 ボルカス達が向かった支道の奥から二匹のゴブリンが現れる。深傷を負ったゴブリンと合流し、二匹はボルカス、一匹はカーミラを狙った。「いたいいたい! もーずるくない!?」「まあいいさ。ツケは払わせる……!」破砕。ボルカスは敵の攻撃によって凍結が解かれた。槍を構え直す。
 さらに反対側の支道から二匹のゴブリンが現れ、ボルカスとカーミラに向かう。攻撃。
「こんのー! さすがに怒ったよ!」
 破砕。手傷を追うが、カーミラの凍結も解けた。
「なめるな!」
 オーバーブラスト。反撃の槍が二匹のゴブリンを薙ぎ払う。
 主道の奥からは三匹のゴブリンが飛び出し、ヒルダとアリアを狙った。二匹がアリア、一匹がヒルダへ。「くっ! 好き勝手に……!」「ヒルダちゃん、任せて!」破砕。アリアの凍結は解けた。
「な、なかなかやるじゃないか……アダムとエルシー、上がれるか!?」
「ごめん、こっちも来た!」
「何!?」
 ツボミの驚愕の声と同時に、後方からも戦哮が響いた。「バカな! なんで後ろだ!?」「いいさ、こういう時のために僕達がいる!」アダムが言うと同時、氷塊が飛んだ。エルシーが被弾し、凍結される。「さ、寒い〜!」たまらず叫ぶ。
 さらに二匹のゴブリンが現れ、アダムとエルシーを襲う。「しかも痛い!」「ゴブリン達よ、来るなら僕のところに来い!」アダムは被弾しつつも震撃で反撃する。ゴブリンが悲鳴を上げて殴り倒された。
「寄られたなら、大きく動く必要は無いけど……!」
 デュアルストライク。アリアの双剣がゴブリンを斬り裂く。反撃。アリアは半身を開いてかわした。
「怒りの震撃・クラックシュートぉ!」
「下郎共! 下がれ!」
 カーミラの踵落としがゴブリンを地に叩きつけ、ボルカスのオーバーブラストが周囲の敵を薙ぎ払う。二匹のゴブリンが血の海に沈んだ。
「−−エル! 後方を援護してくれ!」
「いいわ! 任せて!」
 ツボミはクリアカースでエルの凍結を解いた。ヒルダとエルシーも凍っているが、まだ保つという判断だ。ここで全力を投入してくるのは予想外だったが、逆にチャンスでもある。−−ここを乗り切れば、あとは素通しだ。
「燃えなさい! 焔が如き私の歌で!」
 エルの緋文字がアダムが打ち倒したゴブリンを灼く。ゴブリンは半狂乱で悲鳴を上げた。
「エルシー、やっておしまいなさい!」
「任せて! 真紅の衝撃、スカーレット・ナックル!」
 補佐の自由騎士がエルシーの凍結を解き、エルシーが燃えるゴブリンにとどめを刺した。「スカーレットナックルが与えるのはほんの針穴ほどの傷。しかしその激痛は、喩えるならば蠍の猛毒……ってね」
「時間はかけられないね……装着ッ!」
 アダム・クランプトンはオールモストのキジンである。普段はどこにでもいる普通のイケメンだが、一度マントを脱ぎ捨て戦時用蒸気鎧装兜を装着すれば、人間の自由のために戦う正義の自由騎士となるのだ。その名も! −−その名も?
「撃ち貫け! 山吹色の掌撃≪サンライト・インパクト≫!」
 アダムの掌底がもう一体のゴブリンを捉え、流し込まれた魔導力が爆発する。撃破。排莢。背を向けると同時に空薬莢が地面に落ちる。「散滅すべし……!」
 後方のゴブリンメイジがアイスコフィンをアダムに放った。凍結。アダムの四肢が凍る。
 正面奥のゴブリンメイジが再びアリアを狙った。またも凍結。「くっ……そろそろ手足の感覚が……!」さらに三匹のゴブリンがアリアとヒルダに斬りかかる。「動けないアリアを好き勝手に……そういうのは私の仕事でしょうが!」破砕。ヒルダの凍結が解ける。
 支道に潜むゴブリンメイジがボルカスとカーミラを狙う。またまた凍結。「ちっ−−カーミラ、まだいけるか?」凍りながらもボルカスが声をかける。
「−−ぶえっくしょん!」
「……」
「ち、違うよ! 今のはちょっと鼻がかゆかっただけで、ちょっと寒気もするけど全然そういうんじゃ」
「風邪だ」
 残った三匹のゴブリンが二人に襲いかかる。二匹がボルカスに斬りつけ、一匹がカーミラを攻撃する。「ぶえっくし! あーでも氷割れたよ。がんばってこー!」「もういいから休んでろ」破砕。二人の凍結が解ける。
「アダム!」
「勿論だとも!」
 ツボミがクリアカースでアダムの凍結を解く。アダムは前進し、ゴブリンメイジに攻撃した。命中。反撃。敵に深手を負わせながらも、アダムは再び凍結された。「届かないのか、あと一撃が……!」
「私がいるでしょ、色男!」
 エルシーも前進し、ゴブリンメイジに攻撃する。命中。しかし撃破には至らない。
「なら届かせましょう、私の炎を!」
 エルの緋文字がゴブリンメイジを焼き焦がした。撃破。「さあ、次は誰が灼き払ってほしいのかしら?」
「あたしの前でダマになったのが運の尽きね!」
 ヒルダのオーバーブラストがゴブリン達を吹き飛ばす。
「超・震・撃・拳! ほあたー!」
「あくまで寄ってくるなら、薙ぎ払うだけだ!」
 カーミラの拳とボルカスの槍が振るわれ、また一匹のゴブリンが倒れる。
 敵が動く。支道に残るゴブリンメイジがボルカスとカーミラを凍らせ、二匹のゴブリンが斬りつける。「……ぶえっくし!」「あー! ボルカスも風邪だー!」「違う。これはたまたま鼻に塵が入っただけだ」風邪です。
 主道のゴブリンメイジはヒルダを凍らせ、三匹がまたアリアとヒルダに斬りかかった。「こっちも苦しいけど……!」「あたし達の粘り勝ちよ。仕留め損なったわね……!」破砕。ゴブリンの攻撃で二人の凍結は解ける。
「まずはあたしが撃ち崩す!」
 オーバーブラスト。三匹のゴブリンが散弾を受け、一匹が倒れる。
「行くわよ、色男!」
「この一撃に賭けるッ!」
 転進したエルシーとアダムの拳が二体のゴブリンを打ち倒す。
「あと一匹ね!」
「いきます!」
 エルの緋文字が主道のゴブリンメイジを灼き、そこへアリアが踏み込む。二連撃。ゴブリンメイジが倒れ、アリアは短剣を地面に突き立てて急制動をかけた。
「カーミラ、そいつは任せるぞ!」
「おっけー!」
 カーミラがゴブリンの一体を殴り倒し、ボルカスは前進してゴブリン達の中央に立った。オーバーブラスト。最後のゴブリンが倒れるが、ゴブリンメイジの魔法がボルカスをまた凍らせる。「ちっ、そろそろ潮時か……!?」
「まあそう遠慮するな。最後にもう一仕事していけ」
「−−ふん。人使いの荒い医者だ!」
 クリアカース。ツボミがボルカスの凍結を解き、ボルカスが最後のオーバーブラストを放った。二体のゴブリンメイジが倒れ、ボルカスは槍を地に突き立て、腕を組む。「やれやれ。手古摺らせてくれたな」
「……ぶえっくし!」
「風邪だな。心配するな。帰れとは言わんぞ?」
「……やな医者だな」


「どうも、お疲れ様です。奥の方にも敵はいませんでしたよ。これで全部です」
「ありがとー!」
 斥候に出ていた自由騎士が戻ってきた。こん、とカーミラの頭に色紙が降ってくる。エルが見上げると、もう一人の斥候が天井に張り付いていた。極彩色の自由騎士が洞窟の天井に張り付いている。中々にシュールな図である。
 ボルカスが色紙を拾い上げた。痩せぎすの鬼が描かれている。爪は長く伸び、殆どボロ布のようなマントを羽織っている。ちなみに隅の方にはこう書かれていた。「くっそ寒い。もう帰る」
「ほんとにいるのか。まずは交渉を試すべきだろうな」
 ツボミの言葉に、全員が同意した。奥へ進む。

 洞窟の最奥部は氷に覆われた広間になっていた。そしてその奥にボロ布を羽織った影がうずくまっていた。−−いや、微かに動いている。地面に向かって何かをしているようだった。
「……ごきげんよう、っと」
 ヒルダが慎重に近寄り、触れる。接触感応。ノーザンハグが振り返り、ヒルダと目が合った。ヒルダは一瞬ひるむが、耐える。すぐにノーザンハグは作業に戻った。
「……いけるかも。皆。あたしが翻訳機になるわ。言いたいこと言っちゃって」
「あたしはそういうの得意じゃないから、任せるわ」
「こんにちわ! 私はカーミラだよ! あなたがノーザンハグ? この洞窟のゴブリンたちがこの近くの村を襲ってるらしいんだけど、何か知らない? あなたが命令してるなら止めてほしいな」
 エルの後にカーミラがそう話しかけた。マイナスイオン。ノーザンハグはカーミラを振り返るが、また作業に戻る。とりあえず、敵意は出していない。「何とでも思え、庶民。だって」
「縄張りに勝手に入ったことは謝罪する。我々の目的は悪魔化…要は凶暴化したゴブリン達を元に戻す事だ。そちらに害成す意思はない。……故に、叶うなれば不干渉を願えないだろうか」
 ツボミがそう言い、ノーザンハグは作業を続行する。「よしなに、だって」
「さすがは女王様だな。……ノーザンハグ。それとも別の名前をお持ちかな? 我々は、貴女と共に歩める未来を探しに来たんだ」
「今回の件で注目を集めてしまうかもしれないけど、今後どうしたいですか? これまで通り静かに暮らすなら、洞窟は滑落の危険が……等々、不用意に人が近づかない様にはできると思うけど……」
 ボルカスとアリアの言葉に、ノーザンハグは振り返り、ふん、と声だか吐息だかを吐いた。作業に戻る。「それは無い。だって」
「取りつく島もないわね、女王」
「僕は貴女もゴブリンも、この世界に生きる仲間だと思っている。それでも共存の余地は無いかな?」
 エルシーとアダムがそう言う。ノーザンハグは作業を続ける。「−−マジで?」ヒルダが声を上げた。
「何? ヒルダちゃん」
「−−共存は出来ないし、人間はここには入れない。−−貴方達が来るのは分かってたから、『暖房』を効かせておいた。本来なら、貴方達は『卿ら』と戦う前に氷漬けだ−−だって」
 ノーザンハグが立ち上がる。その足元では呪≪ヘックス≫が暖かな光を放っていた。ノーザンハグの指が離れると同時に、その光が薄れる。
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
 同時に、急激に室温が下がった。凍気が内臓まで侵食し、氷が表皮から肉にまで根をはる。涙が凍りついて視界を奪う。
 ノーザンハグが蹲り、室温は再び元に戻った。「ざむ゛い゛〜〜〜〜!」「これが本気……というか、『常温』なのか……!?」
 ノーザンハグが、何かを投げてよこした。直径3cm程の、氷色の宝石。
「大儀であった。もう下がってよい。−−だって」
「やな女王ね」
「そうか? −−ありがたく頂いておくよ。陛下」
「そうだね。じきに『卿ら』も戻られます。どうぞ息災で」
 ツボミとアリアの言葉に、ノーザンハグは半分だけ振り返り、肩を竦めた。

†シナリオ結果†

成功

†詳細†

称号付与
『折れぬ傲槍』
取得者: ボルカス・ギルトバーナー(CL3000092)
特殊成果
『溶けない氷』
カテゴリ:アクセサリ
取得者:全員

†あとがき†

 皆様お疲れ様でしたならびにご参加ありがとうございました。

 少し早めの寒冷地戦はいかがでしたでしょうか。これからの季節、氷と風邪にはご注意ください。

 MVPはアダム・クランプトン様。遠距離への対応、後方の守り、撃つべき時に惜しまず必殺技を撃つ判断力。申し分無いと思います。お疲れ様でした。

 重ねまして、皆様お疲れありがとうございました。
FL送付済