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《オラトリオ1818》書初めセピア・プレゼンターレ




「ごきげんよう。メリー・オラトリオですわね、皆様」
 マリオーネ・ミゼル・ブォージン(nCL3000033)を街中で見るとかすごい違和感がある。そうか。ちゃんと生活してるのか。
「セピア・プレゼンターレの準備はできまして?」
 あ。
 

 セピア・プレゼンターレ。
 イカ墨を贈る。近年では、オラトリオに文房具を贈り、返礼としてもらった文房具を使ったカードを贈る、イ・ラプセルの習慣。と辞書に載っている。
 はじめは、本当にイカ墨だったという。
 師匠が「来年はこれを使ってくださいね。一年間の研鑽の証を見せてください」と当時は高価だったイカ墨――インク――を貧乏な学徒に贈り、生徒は新年に「この通り上達いたしました。今年もよろしくお願いいたします」とカードをしたため、師匠に贈る。
 それが、色々変わった。
 学び舎から貴族へ。
 生臭いイカ墨はいかがなものか。と、インクに変わった。
 時代は進み、様々な染料が発明されて、インクがカラーインクに変わり、せっかくだからとペンなども贈られ、さらにペン軸やら羽ペンやらガラスペンやらご婦人向けの優美なものが出回り、さらに印刷技術の向上をうけ、より華美なカードなども出回る。
 そして、習慣は庶民にも広がって久しい。
 大抵は、身近な大人から子供に贈られるのが人生最初のセピア・プレゼンターレだ。
 この時期、贈り物のインクやペンを吟味する買い物はオラトリオの楽しみの一つ。
 年明けには、もらったインクの色に合わせたカードを用意する。文面を考えるのもまた楽しい。
 イ・ラプセルにおけるオラトリオの風物詩だ。
 自分の色はこれ。と、贈る場合も、受け取る相手に合わせて選ぶのもあり。
 色とりどりのショウウィンドウをのぞき込んで歩く季節がやってきた。


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
イベントシナリオ
シナリオカテゴリー
日常α
担当ST
田奈アガサ
■成功条件
1.オラトリオを楽しむ。
2.セピア・プレゼンターレを満喫する。
 田奈です。
 ようこそ、文房具沼へ。
 イ・ラプセルには書初め強要から、なんか甘酸っぱくなっちゃった習慣があるのです。
 先生に書くのはあれでも、大好きな人にかわいいものを贈ったり、それがどう使われるのかなとかドキドキしちゃったりするイベントですね。
 家族、お友達同士、デート、アプローチ、師匠から弟子、ビジネスってのもあります。
 ニュアンス的には、今後ともよろしく。という意味です。カードが返ってきたら嬉しいな。返ってこない時は「もったいなくて、とても使えません」という意味に受け取られます。(つまり、受け取ったら最後、バックレられないのです)
 最上級は「インクのレシピを教えて下さい」とカードに書きます。インクのレシピは教養なので直接聞く(=お会いできますか? という問いかけ)になります。

 インク
 調合屋さんがいるので、大抵の色は作ってもらえます。当然凝れば凝るほど高価。昨今の流行りは香り付き。
 
 筆記用具
 つけペンが主流です。羽ペンやガラスペン、かわいらしいペン先、ペン軸。「普段は使わないけど、ちょっとおしゃれ、ちょっと冒険」を選びます。

行動テンプレートは以下の通りです。
(1)インク(及び文房具)を贈る。
(2)インク(及び文房具)を売る。
(3)贈られたインクでカードをしたためる。何と書くかはあなた次第。
 
 おひとり様参加の方で他のおひとり様PCとのランダムからみNGの時は、【ソロ希望】。
 新たなご縁ご希望の方は、【フルーツバスケット】。
 記載のない方は、田奈に一任と判断します。念のため、【覚悟完了】のタグがあった場合、田奈が神妙な顔をして頷きます。
 後は、下記のルールをご参照ください。

●イベントシナリオのルール
・参加料金は50LPです。
・予約期間はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・獲得リソースは通常依頼難易度普通の1/3です。
・特定の誰かと行動をしたい場合は『クラウス・フォン・プラテス(nCL3000003)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。又、グループでの参加の場合、参加者全員が【グループ名】というタグをプレイングに記載する事で個別のフルネームをIDつきで書く必要がなくなります。
・NPCの場合も同様となりますがIDとフルネームは必要なく、名前のみでOKです。
・イベントシナリオでは参加キャラクター全員の描写が行なわれない可能性があります。
・内容を絞ったほうが良い描写が行われる可能性が高くなります。
・公序良俗にはご配慮ください。
・未成年の飲酒、タバコは禁止です。
状態
完了
報酬マテリア
1個  0個  0個  0個
9モル 
参加費
50LP
相談日数
12日
参加人数
6/∞
公開日
2019年01月08日

†メイン参加者 6人†




 この時期の文具屋さんは混んでいる。
 とりどりのマーブル軸。金銀のペン先。とりどりのインクは好みの形の瓶を選んで詰めてもらうのだ。
「へぇ、イ・ラプセルではそんな習慣があるのか」
 商魂たくましい『エレガントベア』ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)だが、今年はユーザーなのだ。消費者なのだ。というか、ぶっちゃけ、ピンクのもふもふマーチャントうさぎちゃんに差し上げたいのだ。
「狙うはお洒落と冒険しつつある程度実用性があるペンだな。ペン先は試し書きをして文字が書きやすい――使いやすい――やつだな」
 ぶつぶつ呟きながら、試し書きコーナーで色々試している。
「うむ。私にはこれだ」
 そう言って、満足げに顔を上げたのは『貫く正義』ラメッシュ・K・ジェイン(CL3000120)だ。
 ラメッシュは、今年一年自分の正義を遂行しきった自分にご褒美である。わが一年に一片の悔いなし。晴れやかだ。
「――ああ。今年は300ほど立てた目標の消化に難儀したので、来年はもう少し絞って一つ一つじっくり時間がかけられるようにしたいと思う」
今年のセピア・プレゼンターレは力強い筆跡を残してくれる頑強なペン先。それも今吟味し終えた、いい一年になることを確信した瞬間だった。
「両親は当然としてお世話になってる叔母さんにも送らなあかんな」
『イ・ラプセル自由騎士団』アリシア・フォン・フルシャンテ(CL3000227)は貴族御用達の文具店の前に来ていた。
アリシアの両親は愛娘からの贈り物を応接間の壁に額装して飾っているのだ。それを毎年来客に自慢される面映ゆさ、親もわかっていて棚に上げているに違いない。
「今年のうちは一味違うで」 
 自由騎士になってから、お小遣いが多い! というわけで高級店に突撃! と思ったら、ドアを開けてくれました。貴族は自分でドアを開けない。
 見たこともない最新式の筆記用具に30万の値がついている。目がかすむ。
 すでに買い物を済ませて、贈られるべき人達に手渡している者もいる。
「これで沢山練習できるね」
 両親と、とりわけ妹のために。
『書架のウテナ』サブロウタ リキュウイン(CL3000312)は、妹にたくさんのペンとインクをプレゼントした。
 文字を奇麗に書くことは重要です。とほほ笑む兄に、とりどりのインクに目移りしている妹は慌ててこくりと頷いた。
 オラトリオオデッセイが終わればまた忙しい日々が始まる。家族とゆっくり過ごす時間は貴重だ。
「ハッピーオラトリオ!」
 『教会の勇者!』サシャ・プニコフ(CL3000122)に、教会の子供たちの熱い視線が注がれている。
「サシャはね、こういう時の為にお小遣いをいっぱいためておいたんだぞ」
子供たちの目が期待にキラキラしている。 
「司祭様と教会の子供達にひとつずつ全部違う色でそろえたぞ!」
 手渡される色を見比べ、歓声を上げる子供たちに、サシャは言った。
「よし、日ごろの感謝をこめて皆で司祭様にお手紙を書くぞ! 字が書けない子は絵でもいいんだぞ! 司祭様喜んでくれると嬉しいんだぞ!」
 きっと司祭様は喜んで、サシャが贈った青のインクで返事を書いてくれるだろう。
「ハッピー・オラトリオですよ。この一年良い子にしていましたか?」
 孤児院でペンとインクを配るのが『道化の機械工』アルビノ・ストレージ(CL3000095)の年末の恒例行事だ。
「これ、お持ちになってくださいな。子供たちの練習の成果です」
 ありがとうとしたためられた色紙を贈られる。去年贈ったインクで書かれたものだ。
 研究資金のために自由騎士になった身ではあるけれど、そういうことができないほど困窮もしていない。ならば与えなくては。世界に対して義理堅いアルビノはまた日常に戻っていく。
 
「――今年は奮発やで!」
「深緑のインクで決まりだ。レシピを尋ねてくれるかな」
 贈る方も贈られる方も、その後も楽しいセピア・プレゼンターレ。あなたが私のインクで思い出をしたためてくれますように。

†シナリオ結果†

成功

†詳細†

FL送付済