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軍事情報を防衛せよ!

「諸君、お集まりいただき恐悦である」
階差演算室の前に集められた自由騎士達に向かって、『長』クラウス・フォン・プラテス(nCL3000003)は神妙な面持ちで今回の依頼について説明を始める。
「我が国に潜入していたヴィスマルクの偵察兵が、帰還途中のイ・ラプセル兵を襲撃し軍事情報を入手。我が国領土の元シャンバラ領の森から国境を越え、ヴィスマルクへと帰還。という予知が成された。諸君らにはルートへ先回りして帰還を阻止してもらいたい」
現在交戦中の一国ヴィスマルク。我が国イ・ラプセルとしても情報不足であることは明白であったが、情報が欲しいのは向こうも同じか。兎に角、軍事情報を敵国に持ち帰られてしまうのは何としても阻止しなければならない。
「予知された情報では偵察兵は現在2組に分かれていて、途中で合流するようだ。水鏡の情報をもとに諸君らで対策を練り、対処してもらいたい。生死は問わないが、我々としても敵国の情報は少しでも欲しいところだ。少なくとも何人かを捕縛できると良いのだが、諸君らの状況判断に任せる」
クラウスに送り出された騎士達は海を渡り、敵国ヴィスマルクと地続きの大陸へと上陸する。
階差演算室の前に集められた自由騎士達に向かって、『長』クラウス・フォン・プラテス(nCL3000003)は神妙な面持ちで今回の依頼について説明を始める。
「我が国に潜入していたヴィスマルクの偵察兵が、帰還途中のイ・ラプセル兵を襲撃し軍事情報を入手。我が国領土の元シャンバラ領の森から国境を越え、ヴィスマルクへと帰還。という予知が成された。諸君らにはルートへ先回りして帰還を阻止してもらいたい」
現在交戦中の一国ヴィスマルク。我が国イ・ラプセルとしても情報不足であることは明白であったが、情報が欲しいのは向こうも同じか。兎に角、軍事情報を敵国に持ち帰られてしまうのは何としても阻止しなければならない。
「予知された情報では偵察兵は現在2組に分かれていて、途中で合流するようだ。水鏡の情報をもとに諸君らで対策を練り、対処してもらいたい。生死は問わないが、我々としても敵国の情報は少しでも欲しいところだ。少なくとも何人かを捕縛できると良いのだが、諸君らの状況判断に任せる」
クラウスに送り出された騎士達は海を渡り、敵国ヴィスマルクと地続きの大陸へと上陸する。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.ヴィスマルクの偵察兵の帰還を阻止する(生死問わず)
シリアス寄りの戦闘を書きたい気分です。どうも、リクヲです。
早速依頼の詳細にいきましょう。
【敵】
・ヴィスマルク偵察兵(オラクル)6人
3人ずつで2組に分かれています。説明の便宜上ここではA班、B班と名付けておきます。どちらの班も構成は同じで、軽戦士2人、呪術師1人です。偵察兵として選抜されているだけあって、全員AGIは高めです。技能として『ステルス』は持っているみたいですが、オラクル同士の戦闘なので特に効果は無いです。
軽戦士は〈ラピッドジーン Lv2〉〈デュアルストライク Lv3〉〈コンフュージョンセル Lv2〉辺りが活性化されています。
呪術師は〈スペルカット Lv2〉〈スワンプ Lv3〉〈ケイオスゲイト Lv2〉辺りが活性化されています。
【場所と時間】
水鏡の予知では、騎士達の潜伏が間に合う範囲からの偵察兵の移動過程は
A班:岩場→街→森に入って中盤くらいでB班と合流して国境、ヴィスマルクへ
B班:森林を移動し、途中でA班と合流して国境、ヴィスマルクへ
といった感じです。
また、偵察兵たちは昼は目立たないこと、軍人・オラクル含めイ・ラプセル国民に怪しまれないことを重視し、夜は大きく移動することを重視します。別々に叩くか、合流してからまとめて叩くか、どこで待ち伏せするか等々、作戦は皆様におまかせします。
【目的とプレイングについて】
目的は書いてある通りです。生死は問いません。私が思いつくのは捕縛して連れて帰るか、殺すか、でしょうか。別の解決策があればそれを狙っていただいても構いません。一応何人か捕縛して帰るとクラウスさんは嬉しいそうです。
プレイングを書いていただく際に、依頼への心情、敵国ヴィスマルクに対する感情なども併せて書いていただけるととても嬉しいです。
皆様のアイデア溢れるプレイングをお待ちしております~~
早速依頼の詳細にいきましょう。
【敵】
・ヴィスマルク偵察兵(オラクル)6人
3人ずつで2組に分かれています。説明の便宜上ここではA班、B班と名付けておきます。どちらの班も構成は同じで、軽戦士2人、呪術師1人です。偵察兵として選抜されているだけあって、全員AGIは高めです。技能として『ステルス』は持っているみたいですが、オラクル同士の戦闘なので特に効果は無いです。
軽戦士は〈ラピッドジーン Lv2〉〈デュアルストライク Lv3〉〈コンフュージョンセル Lv2〉辺りが活性化されています。
呪術師は〈スペルカット Lv2〉〈スワンプ Lv3〉〈ケイオスゲイト Lv2〉辺りが活性化されています。
【場所と時間】
水鏡の予知では、騎士達の潜伏が間に合う範囲からの偵察兵の移動過程は
A班:岩場→街→森に入って中盤くらいでB班と合流して国境、ヴィスマルクへ
B班:森林を移動し、途中でA班と合流して国境、ヴィスマルクへ
といった感じです。
また、偵察兵たちは昼は目立たないこと、軍人・オラクル含めイ・ラプセル国民に怪しまれないことを重視し、夜は大きく移動することを重視します。別々に叩くか、合流してからまとめて叩くか、どこで待ち伏せするか等々、作戦は皆様におまかせします。
【目的とプレイングについて】
目的は書いてある通りです。生死は問いません。私が思いつくのは捕縛して連れて帰るか、殺すか、でしょうか。別の解決策があればそれを狙っていただいても構いません。一応何人か捕縛して帰るとクラウスさんは嬉しいそうです。
プレイングを書いていただく際に、依頼への心情、敵国ヴィスマルクに対する感情なども併せて書いていただけるととても嬉しいです。
皆様のアイデア溢れるプレイングをお待ちしております~~
状態
完了
完了
報酬マテリア
2個
6個
2個
2個




参加費
100LP [予約時+50LP]
100LP [予約時+50LP]
相談日数
7日
7日
参加人数
7/8
7/8
公開日
2020年05月20日
2020年05月20日
†メイン参加者 7人†

●
敵兵が合流すると予知された昼、自由騎士達は諜報員を捕らえるべく旧シャンバラ領の森手前、敵兵が通過する街とは別の一街にて行動開始を待っていた。
「……にしても、諜報戦か。前々から思ってたけど、うちはほんとこの方面弱いよな。水鏡頼りでスパイも碌に送れてない感じだし」
「それでも、水鏡で予知できたのは幸いでしたね。先日はアレイスター様がイ・ラプセルを訪問されておりましたが、その裏でヴィスマルクは諜報活動を続けていたのですね。何にせよ、敵の間諜に情報を持ち帰らせるわけにはいきませんわ」
『機神殺し』ザルク・ミステル(CL3000067)は諜報戦に関するイ・ラプセルの脆さに疑問を抱いていた。我が国の人々は知らず知らずのうちに、強力な予知能力を持つ水鏡に頼りがちになってしまっているのかもしれない。水鏡の予知範囲には限りがある。今後敵国と渡り合っていく上で、こちらから諜報に打って出ることもまた必要となってくるだろう。『てへぺろ』レオンティーナ・ロマーノ(CL3000583)の言葉には全員が同意見だった。当然、情報をそう易々と持ち帰らせるわけにはいかない。その為に自分達は今集まっているのだから。
「もちろん逃がしてやる理由にはならんが、今回の敵兵には同情するねぇ。大国ヴィスマルクからすれば、イ・ラプセルに関して一番欲しい情報は水鏡の情報だろう。だから任務が成功すれば情報が得られてよし。失敗してもその事実が水鏡の精度を示す情報になる、ってわけだ。こいつらは偵察兵でありながら同時に“生贄”なんだろうな。ヴィスマルクのお偉いさんにとっちゃ」
ヴィスマルクとしては諜報員を送りこめた時点で何らかの情報は必ず得られるため、もう彼らの身の上はどうでもいいのだ。そう推測する『クマの捜査官』ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)は、敵国から送り出された諜報員たちを“生贄”と形容し皮肉ってみせる。
「しかし少人数での潜入偵察は難易度の高い任務だ。相応の練度を持つ兵士が採用されている筈」
「……だとしても、出し抜かれるのは大嫌いなんだよねぇ。あたしの目が黒いうちは情報なんてあげないよ……逆に知りうる情報、全部教えてもらおうじゃん?」
かつてヴィスマルク軍配下の傭兵部隊に所属していた『装攻機兵』アデル・ハビッツ(CL3000496)には、ヴィスマルク軍師の意図もある程度推測できるのかもしれない。やはり例え生贄であっても相手は手練れ。練度ならこちらが上だろうが、油断はできない。それでも、いや、だからこそ情報・潜入捜査はお手の物だと豪語する『特級尋問官』クイニィー・アルジェント(CL3000178)からすれば同族嫌悪のようなものがあるのだろう。タダでは返さん。どうせ情報を得られてしまうのなら、お前らからも引き抜けるだけ情報を引き抜いてやる、と不敵な笑みを浮かべる。
「……そろそろ合流地点を確認して動き出した方が良いだろうな」
「そうですね。どなたか地図を持っている方は?」
「私、持っておりますわ。水鏡の予知ですと確か……この辺りですね」
あと1時間で夕暮れ時、夜に待ち伏せするなら動く頃合いとみた『重縛公』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)、『ヤバイ、このシスター超ヤバイ』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)に続いて、レオンティーナが持ってきた地図を取り出し敵兵合流地点の確認をする。森に入ったら素早く合流地点まで移動し敵兵が合流するまで潜伏したい。その為のルート確認を手早に済ませ、騎士一行は街を出る。
●
目の前に広がるは鬱蒼とした森林。一行が森の入り口へ着く頃には、太陽は西の空へと沈もうとしていた。完全に沈むにはまだ時間があるものの、潜伏中には極力動きを減らしたい。持参した者は暗視用のゴーグル、兎耳のセンサーをあらかじめ起動。暗闇を見通す“眼の力”を持つ者たちも力を発動させる。
「……まったく、徹夜は可愛い娘ちゃんと遊ぶときだけにして貰いたいな。やつら、情報料に加えて、俺の残業代も請求してやろうか。今日はさっさと終わらせて娼館に遊びに行きたいもんだ」
騎士達が森へと入り偵察兵の合流地点へと向かっていく最中、誰にともなくウェルスがぼやいた。もっとも、自ら引き受けた依頼を怠りはしないのだが。
合流地点へと着いた一行は、索敵網を張るアデルを中心にしてその周辺に身を潜める。日はとっくに沈み、夜の闇が辺りを包んでいた。アデルは周辺の枯れ葉、枝を身に纏いつつ、仲間の隠蔽状態を確認しマキナギアを介して様子を伝える。不意打ちの初撃を任されたザルク、ヒーラーのレオンティーナは木の上で待機。残りの4人は合流地点を囲うように大木の影に潜伏する。
「……!来るぞ。南東、西から3人ずつだ」
「私も感知しました。戦闘に備えます」
索敵網にて敵兵を感知したアデルにアンジェリカが呼応。遠視の力を持つ者達も敵を確認し、持たない者達もアデルの通信で気を引き締める。ここでスキルを使うと光などで潜伏を見破られる可能性があるため、全員がザルクの不意打ちまではじっと息を殺す。
敵兵はアデルの感知通り3人ずつ、極力木の陰を利用しながらも移動を優先して向かってきた。合流した6人は木陰で一旦止まり、互いの状況を確認しているのか。纏まったまま動かない。水鏡の情報は完璧だ。クイニィー、ウェルス、テオドール、アンジェリカはちょうど彼らを取り囲んで潜伏しており、彼らの側にはアデルが。そして目立たないように木陰で止まっているのだろうが、木の上にいるザルクからすれば――
「……丸見えなんだよな。そこは」
敵兵たちはこの状況確認が終わったらすぐにまた分散して動き出すところ。ならばここが最適解。ザルクの〈パラライズショット〉が空を裂く。魔弾飛翔を合図にホムンクルスを生成するクイニィーは敵の一団が先ほど通過した木陰で待機。もう一方の敵兵が通過した側に潜伏していたアンジェリカは〈セプテントリオン〉を発動しつつ敵の逃走経路の逆を塞ぐ。
だが、動き出せるのは味方だけではなかった。
「離れろ!」
クイニィーやアンジェリカが動き出したのと同時に、一瞬木の上で何かが光った事に気付いた敵兵の一人が叫び跳躍。瞬時に反応できた偵察兵らも間一髪で近くの別の木陰へ。束縛結界の餌食となったのは反応の遅れた剣士と術師それぞれ一人ずつだけだった。
「ちぇっ……まあいい。俺はここから一人ずつ狙わせてもらうとするか」
「私も、ここから仕事をした方が良さそうですね」
思ったより獲物を引っ掛けられずザルクは軽く舌打ちをするが、すぐに気を取り直す。敵兵はこちらに攻撃する余裕はないだろう。ならば一方的に狙わせてもらうまで。レオンティーナも狙われないに越したことは無い。木の上から仕事ができるなら、と彼女も待機を選ぶ。敵の回避を見て、中心に潜伏していたアデルは姿を現し、逃走経路で待ち構えるウェルスとテオドールの方へ向かう。
「こんなところに潜伏だと!?」
「これが水鏡の力だ。よもや知らなかったわけではあるまい……帰らせはせぬよ。全員ここで終いだ」
水鏡の存在こそ知っているだろうに。その範囲の未知数さや、危険性については知らされなかったのだろうか。これからの戦争において情報というのは重大な意味を持つ、とテオドールは考えている。もちろん、このような作戦においても情報というのは作戦成功の鍵を握るものだ。お互いに。
「さぁ、全力で行きますよ!」
〈セプテントリオン〉の力を付与した身体に、権能の力で更に〈ブラックブラッド〉を重ねるアンジェリカ。先手必勝。それは彼女の為にある言葉なのかもしれない。まずは一発、デカいのを叩き込んだ者勝ち。
「最初から自身に毒と不運属性とは……アンジェリカさん、大胆ですわね」
私が居るからすぐに対処できるものを……と、レオンティーナは純粋たる癒しの魔導を木の上からアンジェリカへと放つ。
「助かります!それぇ!!」
種々の反作用から解き放たれたアンジェリカはその身を大きく振るう。大渦を思わせる魔導の踊りはあまり応えてこそいないものの、巻き込まれた敵兵から逃走能力を奪う。
「クソがっ!あんなところにヒーラーが!」
ザルクの初弾を躱せた術師は木の上で回復支援をするレオンティーナの存在に気付き、〈ケイオスゲイト〉の詠唱を始める。重力でザルクごと地面に叩き落とそうという魂胆だ、が
「そうはさせぬよ」
テオドールの〈トロメーア〉が術師へと割り込む。純白の荊に縛られたが最後、得意の魔法はもう唱えられない。術の使えない術師など恐るるに足らず。まずは一人の無力化に成功。しかし逃走には警戒しなければならない。
「あたしはか弱いから直接戦闘は苦手なの。下手に出て足引っ張っても逆に迷惑だし、適材適所ってね。というわけで、よろしくね」
クイニィーはホムンクルスに術式を付与し、地上で戦う騎士達と共に敵を囲わせる。本人は相変わらず木陰に隠れているが、どうやら敵兵を倒すまでここでじっとしているつもりはないようだ。何かの好機を窺うように目をギラつかせる。
まだ術の使える術師は一人居るが、一人の剣士共々麻痺結界の餌食。残りの剣士3人は陣形の手薄なホムンクルス方面から一点突破を狙い剣を振るう。
ギイイイィィィン!!!
派手な音の正体は敵兵の計三本の剣とアデルとウェルス、二人の武器が高速で激突した音だ。敵兵の移動能力が削がれていたからこそ、対角線上から走り込んでも間に合えたというもの。しかし2対3での押し合いは徐々にアデルとウェルスを押し込む。
パァン……
乾いた銃声。ぐっ……と、押し合いをしていた敵兵の一人から漏れる鈍い声。そして先程まで押されていた二人が敵兵たちを押し返す。アデルとウェルスが急に力を得たのではない。ザルクが木の上から敵兵の足を正確に撃ち抜いたのだ。2対2になれば純粋な力勝負。剣士たちを激しく押し戻した隙にウェルスは〈バレッジファイヤ〉を打ち込む。今跳ね返した敵も、麻痺で動けない敵も見境なく高速の弾道が襲い掛かる。
「ザルク、助かった。一人ずつなら俺とウェルスで何とかできそうだ」
「礼には及ばない。俺もここから一方的に狙わせてもらうさ」
やり取りは最低限に、後ろの言葉は半ば独り言のように。アデルとザルクは言葉を交わし再び武器を構える。逃がさず全員倒すまで気は抜けない。
●
敵側の術師があまり自由に動けないこともあり、自由騎士達は順調に敵兵を気絶させることに成功していた。残すは剣士が三人、術師が一人。近接戦闘を続けるアデル、ウェルス、アンジェリカには特に疲労が見られるが、レオンティーナが常に回復支援を続けているお陰で大きな損害は発生していなかった。
「畜生……こうなったら一人でもいいから逃走しろ!我が国に情報を届けることが我らの使命!!」
ばたり、と剣士がまた一人倒れる。実に半分が倒れてしまった今、ヒーラーもまだまだ余裕があり、敵兵としてはもう勝ち目が無いと判断したのだろう。一人だけでも国へ、と逃走を図る。
「このまま逃がすわけにはいかないな」
アデルの〈零元〉が逃げる剣士の一人を強制的に引き付ける。引き付けられる敵兵の背後からアンジェリカが重たげな十字架を足へと振り下ろす。
もう一方では、ここで全滅してたまるか、と術師が最後の足掻きを効かせようとしていた。〈ラピッドジーン〉で逃走を図る剣士の直線状にいるホムンクルスを、生成した底なし沼で阻んで足止め。この剣士の突破に全てを掛けてきたのだ。
「情報持って逃がすのだけは絶対許さない。さぁ、まな板の上の魚の気分を味わって」
ホムンクルス側は一番突破を狙われやすい。クイニィーの企みはここにあった。ならば、突破されるのを待ち構えていればいい。〈象形寓意の書〉は術師をも巻き込み、ただ純粋な“痛み”を与え続ける。
「女神サマの権能ってホント便利〜。これだけやっても死なないんだもんなぁ。でもそれって、延々と恐怖が続くって事だよね。そう考えると残酷〜」
言葉とは裏腹にけらけらと笑うクイニィー。戦闘終了と判断したザルクとレオンティーナは木から下りてくる。意識こそまだ残っているが徐々に動けなくなる敵兵を優先してロープで縛り、残りの気絶している兵も捕縛する。
「戦場の掟だ、悪く思うなよ。情報を持つお前たちは、解放するにしてもしばらく先になるだろう」
アデルも戦闘を終え、目の前に横たわる敵兵に縄を掛ける。
「うちの国から情報を盗もうとするからこうなるの。キミ達可哀想に。捕虜として国に返されたらどんな仕打ちを受けるかなぁ〜?キミ達の所の皇后サマ怖いんでしょ?持ってる情報全部吐いてくれたら、うちの国で面倒見てあげられなくもない、かな?」
戦闘後、レオンティーナが敵味方問わず応急処置をして回る最中、クイニィーは意識の残っていた敵兵を脅し続けていた。やっと本業だ!と言わんばかりに。そしてまるで遊ぶかのように無邪気で、楽しそうに。そこへ〈目星〉で情報収集に行っていたテオドールが戻ってきた。
「皆よ待たせたな。念入りに調べたつもりだが、特に情報を残した痕跡は無かった。通常、偵察で情報を入手した場合は、万が一全滅した時の保険もかけておく筈だが……」
「おーおー。てことは完全に“生贄扱い”だったってことか?つくづく同情するぜ」
気絶している捕虜の荷物を漁っていたウェルスは、さすがは狂犬国家さまだな、と肩をすくめる。ちなみに彼にとって面白そうな物は特になかったようだが。
「ですが、水鏡の範囲を調べるのが主目的であったとしても、彼等は何らかの情報を得たから帰還しようとした筈です。一体どんな情報を得たのでしょうね……」
一先ず漏洩から護られた情報ではあるが、アンジェリカも気に掛けるように、彼等がどのような情報を欲しがったのかは今後のイ・ラプセルの作戦立案の為にも知っておいた方が良い情報だ。しかし現状クイニィーが尋問している限りだと、吐く気配はない。
「尋問の続きは、帰還してからだな」
「あら、せっかく捕らえたのに舌を噛み切られては困りますわ」
アデルはクイニィーが尋問していた敵兵を含め、全ての捕虜に目隠しと耳栓をし、レオンティーナがそれに猿轡を付け加える。拘束は厳重に越したことは無い。
「ところでクイニィ―嬢。彼らに襲った兵をどうしたかは聞いてくれたのか?」
「聞いたけど、それも吐いてくれなかったね。ちぇ、めぼしい情報は今は手に入らないか。帰ったら宰相サマ、あたしも尋問に加えてくれるかな〜」
テオドールは痕跡捜索に行く前にクイニィーに襲われた兵の情報収集を頼んでいたらしい。殺されたのなら弔わなければならないし、拘束されているなら救助しなければならない。その情報もまだ得られていない。今後の尋問にスキルが要求されるのであれば、クイニィーが尋問に加えられる可能性も十分あるのかもしれない。
「しかしヴィスマルクは、仮に人質解放の文書送りつけたところで確実にしらばっくれるだろうな。まあ、それも尋問の一環に混ぜて折れる方向に傾けば万々歳か」
捕虜となった敵兵もまた、国側がどういった待遇を取ってくるかなど分かっているだろう。切り捨てられるのが分かっているからこそ、尋問の材料として使えるものだ。と、ザルクもまた尋問のことを考えていた。拘束した敵兵を連れた一行は乗ってきた船のある港街へと歩みを進める。
「今度は俺達がヴィスマルクに偵察に出てみるのも、いいかもしれんな。そろそろこちらも情報が欲しい頃合いだ」
帰路につく中、アデルがそう呟いた。護ってばかりもいられない。戦乱の世は続く。
敵兵が合流すると予知された昼、自由騎士達は諜報員を捕らえるべく旧シャンバラ領の森手前、敵兵が通過する街とは別の一街にて行動開始を待っていた。
「……にしても、諜報戦か。前々から思ってたけど、うちはほんとこの方面弱いよな。水鏡頼りでスパイも碌に送れてない感じだし」
「それでも、水鏡で予知できたのは幸いでしたね。先日はアレイスター様がイ・ラプセルを訪問されておりましたが、その裏でヴィスマルクは諜報活動を続けていたのですね。何にせよ、敵の間諜に情報を持ち帰らせるわけにはいきませんわ」
『機神殺し』ザルク・ミステル(CL3000067)は諜報戦に関するイ・ラプセルの脆さに疑問を抱いていた。我が国の人々は知らず知らずのうちに、強力な予知能力を持つ水鏡に頼りがちになってしまっているのかもしれない。水鏡の予知範囲には限りがある。今後敵国と渡り合っていく上で、こちらから諜報に打って出ることもまた必要となってくるだろう。『てへぺろ』レオンティーナ・ロマーノ(CL3000583)の言葉には全員が同意見だった。当然、情報をそう易々と持ち帰らせるわけにはいかない。その為に自分達は今集まっているのだから。
「もちろん逃がしてやる理由にはならんが、今回の敵兵には同情するねぇ。大国ヴィスマルクからすれば、イ・ラプセルに関して一番欲しい情報は水鏡の情報だろう。だから任務が成功すれば情報が得られてよし。失敗してもその事実が水鏡の精度を示す情報になる、ってわけだ。こいつらは偵察兵でありながら同時に“生贄”なんだろうな。ヴィスマルクのお偉いさんにとっちゃ」
ヴィスマルクとしては諜報員を送りこめた時点で何らかの情報は必ず得られるため、もう彼らの身の上はどうでもいいのだ。そう推測する『クマの捜査官』ウェルス ライヒトゥーム(CL3000033)は、敵国から送り出された諜報員たちを“生贄”と形容し皮肉ってみせる。
「しかし少人数での潜入偵察は難易度の高い任務だ。相応の練度を持つ兵士が採用されている筈」
「……だとしても、出し抜かれるのは大嫌いなんだよねぇ。あたしの目が黒いうちは情報なんてあげないよ……逆に知りうる情報、全部教えてもらおうじゃん?」
かつてヴィスマルク軍配下の傭兵部隊に所属していた『装攻機兵』アデル・ハビッツ(CL3000496)には、ヴィスマルク軍師の意図もある程度推測できるのかもしれない。やはり例え生贄であっても相手は手練れ。練度ならこちらが上だろうが、油断はできない。それでも、いや、だからこそ情報・潜入捜査はお手の物だと豪語する『特級尋問官』クイニィー・アルジェント(CL3000178)からすれば同族嫌悪のようなものがあるのだろう。タダでは返さん。どうせ情報を得られてしまうのなら、お前らからも引き抜けるだけ情報を引き抜いてやる、と不敵な笑みを浮かべる。
「……そろそろ合流地点を確認して動き出した方が良いだろうな」
「そうですね。どなたか地図を持っている方は?」
「私、持っておりますわ。水鏡の予知ですと確か……この辺りですね」
あと1時間で夕暮れ時、夜に待ち伏せするなら動く頃合いとみた『重縛公』テオドール・ベルヴァルド(CL3000375)、『ヤバイ、このシスター超ヤバイ』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)に続いて、レオンティーナが持ってきた地図を取り出し敵兵合流地点の確認をする。森に入ったら素早く合流地点まで移動し敵兵が合流するまで潜伏したい。その為のルート確認を手早に済ませ、騎士一行は街を出る。
●
目の前に広がるは鬱蒼とした森林。一行が森の入り口へ着く頃には、太陽は西の空へと沈もうとしていた。完全に沈むにはまだ時間があるものの、潜伏中には極力動きを減らしたい。持参した者は暗視用のゴーグル、兎耳のセンサーをあらかじめ起動。暗闇を見通す“眼の力”を持つ者たちも力を発動させる。
「……まったく、徹夜は可愛い娘ちゃんと遊ぶときだけにして貰いたいな。やつら、情報料に加えて、俺の残業代も請求してやろうか。今日はさっさと終わらせて娼館に遊びに行きたいもんだ」
騎士達が森へと入り偵察兵の合流地点へと向かっていく最中、誰にともなくウェルスがぼやいた。もっとも、自ら引き受けた依頼を怠りはしないのだが。
合流地点へと着いた一行は、索敵網を張るアデルを中心にしてその周辺に身を潜める。日はとっくに沈み、夜の闇が辺りを包んでいた。アデルは周辺の枯れ葉、枝を身に纏いつつ、仲間の隠蔽状態を確認しマキナギアを介して様子を伝える。不意打ちの初撃を任されたザルク、ヒーラーのレオンティーナは木の上で待機。残りの4人は合流地点を囲うように大木の影に潜伏する。
「……!来るぞ。南東、西から3人ずつだ」
「私も感知しました。戦闘に備えます」
索敵網にて敵兵を感知したアデルにアンジェリカが呼応。遠視の力を持つ者達も敵を確認し、持たない者達もアデルの通信で気を引き締める。ここでスキルを使うと光などで潜伏を見破られる可能性があるため、全員がザルクの不意打ちまではじっと息を殺す。
敵兵はアデルの感知通り3人ずつ、極力木の陰を利用しながらも移動を優先して向かってきた。合流した6人は木陰で一旦止まり、互いの状況を確認しているのか。纏まったまま動かない。水鏡の情報は完璧だ。クイニィー、ウェルス、テオドール、アンジェリカはちょうど彼らを取り囲んで潜伏しており、彼らの側にはアデルが。そして目立たないように木陰で止まっているのだろうが、木の上にいるザルクからすれば――
「……丸見えなんだよな。そこは」
敵兵たちはこの状況確認が終わったらすぐにまた分散して動き出すところ。ならばここが最適解。ザルクの〈パラライズショット〉が空を裂く。魔弾飛翔を合図にホムンクルスを生成するクイニィーは敵の一団が先ほど通過した木陰で待機。もう一方の敵兵が通過した側に潜伏していたアンジェリカは〈セプテントリオン〉を発動しつつ敵の逃走経路の逆を塞ぐ。
だが、動き出せるのは味方だけではなかった。
「離れろ!」
クイニィーやアンジェリカが動き出したのと同時に、一瞬木の上で何かが光った事に気付いた敵兵の一人が叫び跳躍。瞬時に反応できた偵察兵らも間一髪で近くの別の木陰へ。束縛結界の餌食となったのは反応の遅れた剣士と術師それぞれ一人ずつだけだった。
「ちぇっ……まあいい。俺はここから一人ずつ狙わせてもらうとするか」
「私も、ここから仕事をした方が良さそうですね」
思ったより獲物を引っ掛けられずザルクは軽く舌打ちをするが、すぐに気を取り直す。敵兵はこちらに攻撃する余裕はないだろう。ならば一方的に狙わせてもらうまで。レオンティーナも狙われないに越したことは無い。木の上から仕事ができるなら、と彼女も待機を選ぶ。敵の回避を見て、中心に潜伏していたアデルは姿を現し、逃走経路で待ち構えるウェルスとテオドールの方へ向かう。
「こんなところに潜伏だと!?」
「これが水鏡の力だ。よもや知らなかったわけではあるまい……帰らせはせぬよ。全員ここで終いだ」
水鏡の存在こそ知っているだろうに。その範囲の未知数さや、危険性については知らされなかったのだろうか。これからの戦争において情報というのは重大な意味を持つ、とテオドールは考えている。もちろん、このような作戦においても情報というのは作戦成功の鍵を握るものだ。お互いに。
「さぁ、全力で行きますよ!」
〈セプテントリオン〉の力を付与した身体に、権能の力で更に〈ブラックブラッド〉を重ねるアンジェリカ。先手必勝。それは彼女の為にある言葉なのかもしれない。まずは一発、デカいのを叩き込んだ者勝ち。
「最初から自身に毒と不運属性とは……アンジェリカさん、大胆ですわね」
私が居るからすぐに対処できるものを……と、レオンティーナは純粋たる癒しの魔導を木の上からアンジェリカへと放つ。
「助かります!それぇ!!」
種々の反作用から解き放たれたアンジェリカはその身を大きく振るう。大渦を思わせる魔導の踊りはあまり応えてこそいないものの、巻き込まれた敵兵から逃走能力を奪う。
「クソがっ!あんなところにヒーラーが!」
ザルクの初弾を躱せた術師は木の上で回復支援をするレオンティーナの存在に気付き、〈ケイオスゲイト〉の詠唱を始める。重力でザルクごと地面に叩き落とそうという魂胆だ、が
「そうはさせぬよ」
テオドールの〈トロメーア〉が術師へと割り込む。純白の荊に縛られたが最後、得意の魔法はもう唱えられない。術の使えない術師など恐るるに足らず。まずは一人の無力化に成功。しかし逃走には警戒しなければならない。
「あたしはか弱いから直接戦闘は苦手なの。下手に出て足引っ張っても逆に迷惑だし、適材適所ってね。というわけで、よろしくね」
クイニィーはホムンクルスに術式を付与し、地上で戦う騎士達と共に敵を囲わせる。本人は相変わらず木陰に隠れているが、どうやら敵兵を倒すまでここでじっとしているつもりはないようだ。何かの好機を窺うように目をギラつかせる。
まだ術の使える術師は一人居るが、一人の剣士共々麻痺結界の餌食。残りの剣士3人は陣形の手薄なホムンクルス方面から一点突破を狙い剣を振るう。
ギイイイィィィン!!!
派手な音の正体は敵兵の計三本の剣とアデルとウェルス、二人の武器が高速で激突した音だ。敵兵の移動能力が削がれていたからこそ、対角線上から走り込んでも間に合えたというもの。しかし2対3での押し合いは徐々にアデルとウェルスを押し込む。
パァン……
乾いた銃声。ぐっ……と、押し合いをしていた敵兵の一人から漏れる鈍い声。そして先程まで押されていた二人が敵兵たちを押し返す。アデルとウェルスが急に力を得たのではない。ザルクが木の上から敵兵の足を正確に撃ち抜いたのだ。2対2になれば純粋な力勝負。剣士たちを激しく押し戻した隙にウェルスは〈バレッジファイヤ〉を打ち込む。今跳ね返した敵も、麻痺で動けない敵も見境なく高速の弾道が襲い掛かる。
「ザルク、助かった。一人ずつなら俺とウェルスで何とかできそうだ」
「礼には及ばない。俺もここから一方的に狙わせてもらうさ」
やり取りは最低限に、後ろの言葉は半ば独り言のように。アデルとザルクは言葉を交わし再び武器を構える。逃がさず全員倒すまで気は抜けない。
●
敵側の術師があまり自由に動けないこともあり、自由騎士達は順調に敵兵を気絶させることに成功していた。残すは剣士が三人、術師が一人。近接戦闘を続けるアデル、ウェルス、アンジェリカには特に疲労が見られるが、レオンティーナが常に回復支援を続けているお陰で大きな損害は発生していなかった。
「畜生……こうなったら一人でもいいから逃走しろ!我が国に情報を届けることが我らの使命!!」
ばたり、と剣士がまた一人倒れる。実に半分が倒れてしまった今、ヒーラーもまだまだ余裕があり、敵兵としてはもう勝ち目が無いと判断したのだろう。一人だけでも国へ、と逃走を図る。
「このまま逃がすわけにはいかないな」
アデルの〈零元〉が逃げる剣士の一人を強制的に引き付ける。引き付けられる敵兵の背後からアンジェリカが重たげな十字架を足へと振り下ろす。
もう一方では、ここで全滅してたまるか、と術師が最後の足掻きを効かせようとしていた。〈ラピッドジーン〉で逃走を図る剣士の直線状にいるホムンクルスを、生成した底なし沼で阻んで足止め。この剣士の突破に全てを掛けてきたのだ。
「情報持って逃がすのだけは絶対許さない。さぁ、まな板の上の魚の気分を味わって」
ホムンクルス側は一番突破を狙われやすい。クイニィーの企みはここにあった。ならば、突破されるのを待ち構えていればいい。〈象形寓意の書〉は術師をも巻き込み、ただ純粋な“痛み”を与え続ける。
「女神サマの権能ってホント便利〜。これだけやっても死なないんだもんなぁ。でもそれって、延々と恐怖が続くって事だよね。そう考えると残酷〜」
言葉とは裏腹にけらけらと笑うクイニィー。戦闘終了と判断したザルクとレオンティーナは木から下りてくる。意識こそまだ残っているが徐々に動けなくなる敵兵を優先してロープで縛り、残りの気絶している兵も捕縛する。
「戦場の掟だ、悪く思うなよ。情報を持つお前たちは、解放するにしてもしばらく先になるだろう」
アデルも戦闘を終え、目の前に横たわる敵兵に縄を掛ける。
「うちの国から情報を盗もうとするからこうなるの。キミ達可哀想に。捕虜として国に返されたらどんな仕打ちを受けるかなぁ〜?キミ達の所の皇后サマ怖いんでしょ?持ってる情報全部吐いてくれたら、うちの国で面倒見てあげられなくもない、かな?」
戦闘後、レオンティーナが敵味方問わず応急処置をして回る最中、クイニィーは意識の残っていた敵兵を脅し続けていた。やっと本業だ!と言わんばかりに。そしてまるで遊ぶかのように無邪気で、楽しそうに。そこへ〈目星〉で情報収集に行っていたテオドールが戻ってきた。
「皆よ待たせたな。念入りに調べたつもりだが、特に情報を残した痕跡は無かった。通常、偵察で情報を入手した場合は、万が一全滅した時の保険もかけておく筈だが……」
「おーおー。てことは完全に“生贄扱い”だったってことか?つくづく同情するぜ」
気絶している捕虜の荷物を漁っていたウェルスは、さすがは狂犬国家さまだな、と肩をすくめる。ちなみに彼にとって面白そうな物は特になかったようだが。
「ですが、水鏡の範囲を調べるのが主目的であったとしても、彼等は何らかの情報を得たから帰還しようとした筈です。一体どんな情報を得たのでしょうね……」
一先ず漏洩から護られた情報ではあるが、アンジェリカも気に掛けるように、彼等がどのような情報を欲しがったのかは今後のイ・ラプセルの作戦立案の為にも知っておいた方が良い情報だ。しかし現状クイニィーが尋問している限りだと、吐く気配はない。
「尋問の続きは、帰還してからだな」
「あら、せっかく捕らえたのに舌を噛み切られては困りますわ」
アデルはクイニィーが尋問していた敵兵を含め、全ての捕虜に目隠しと耳栓をし、レオンティーナがそれに猿轡を付け加える。拘束は厳重に越したことは無い。
「ところでクイニィ―嬢。彼らに襲った兵をどうしたかは聞いてくれたのか?」
「聞いたけど、それも吐いてくれなかったね。ちぇ、めぼしい情報は今は手に入らないか。帰ったら宰相サマ、あたしも尋問に加えてくれるかな〜」
テオドールは痕跡捜索に行く前にクイニィーに襲われた兵の情報収集を頼んでいたらしい。殺されたのなら弔わなければならないし、拘束されているなら救助しなければならない。その情報もまだ得られていない。今後の尋問にスキルが要求されるのであれば、クイニィーが尋問に加えられる可能性も十分あるのかもしれない。
「しかしヴィスマルクは、仮に人質解放の文書送りつけたところで確実にしらばっくれるだろうな。まあ、それも尋問の一環に混ぜて折れる方向に傾けば万々歳か」
捕虜となった敵兵もまた、国側がどういった待遇を取ってくるかなど分かっているだろう。切り捨てられるのが分かっているからこそ、尋問の材料として使えるものだ。と、ザルクもまた尋問のことを考えていた。拘束した敵兵を連れた一行は乗ってきた船のある港街へと歩みを進める。
「今度は俺達がヴィスマルクに偵察に出てみるのも、いいかもしれんな。そろそろこちらも情報が欲しい頃合いだ」
帰路につく中、アデルがそう呟いた。護ってばかりもいられない。戦乱の世は続く。
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
称号付与
†あとがき†
お疲れ様でした。皆さん戦闘初手からBS付与祭りで、スムーズな戦闘でしたね。
……というか皆さん偵察とか尋問とか人質の拘束とかお詳しくないですか??
僕が疎いだけ???
MVPは人数に応じた丁寧な作戦立案と、仲間たちのスキルを考慮した役割選択をしてくれたあなたへ
……というか皆さん偵察とか尋問とか人質の拘束とかお詳しくないですか??
僕が疎いだけ???
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FL送付済