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【機国開戦】真一正義は此処に在り

●マァァァイネェェェムイズ正義の味方ァァァァァッッ!
「なぁにぃぃぃぃぃぃ! イ・ラプセルが攻めてきぃぃぃたぁぁぁだぁぁぁとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉう!」
ここに、暑苦しい男がいた。
場所はヘルメリアのファルスト区近郊。
そこに駐留している『歯車騎士団(ギア・ナイツ)』を狙って、イ・ラプセルの軍が攻めてきたというのだ。
「何たる!」
男は叫んだ。
「何たる!」
男は再び叫んだ。
「何たる!」
男はみたび叫んだ。
「何たる卑怯! 何たる狡猾! ここに駐留する我ら『歯車騎士団』を狙おうとは、それが異国のやり方か! 卑怯! 卑怯千万! いやさ千万で済むものか! おのれイ・ラプセル! まさしく卑怯一十百千万億兆京垓穣溝澗正載極恒河沙阿僧祇那由他不可思議無量大数ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
男は暑苦しかった。
「で、隊長、どうするんですか?」
「そんなことはァァァァァァ、決まっているゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
男のテンションにすっかり慣れきっている部下の一人に問われ、男はそう言い返した。そして近くに置かれているものに手を伸ばした。
それは頭をすっぽりと覆うフルフェイス型の兜だった。
いや、形状的にはヘルメットと呼ぶべきか。
通常の鉄仮面と違って、こちらはつるりとしたとがりのない形をしていた。
その前面には、大きくヘルメリアの国の紋章が描かれている。
「ついに出番が来たようだな」
「あ、本気でやるんですね、隊長」
「あぁぁぁぁぁたりまえだ! 敵国が攻めてきたならば、それはつまり正義のヘルメリア危急のとき! なぁぁぁぁぁらば、今こそ正義のヘルメリアの正義を悪の異国の悪しきイ・ラプセルに叩きつけ! 叩きつけ!! 叩きつけ!!! そして叩きつけるとぉぉぉぉぉぉぉき!」
男は暑苦しかった。
「じゃあ普通に戦えばいいじゃないですか」
「馬鹿者ォォォォォォォォォ!」
両手に強く拳を握り、男は部下に向かって叫ぶ。
その頃、部下はコーヒーを淹れていた。
「普通に戦ったのではただの戦争ではないかァァァァァァァァァ!」
「だって戦争じゃないですか、これ」
「違ァァァァァう! 我々『歯車騎士団』はァァァァァ! ヘルメリアの正義をォォォォォ! 体現する者であらねばならぬぅぅぅぅぅぅぅ!」
男は暑苦しかった。
「で、それですか?」
「で、これだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
男は部下達にもハッキリわかるように手に持ったヘルメットを高く掲げた。
「行くぞ諸君! 私に率いられし正義を愛するヘルメリアの正義の諸君! 私はいつだって諸君の味方だ! つまり正義である諸君の味方である私は正義の味方なのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「いや、隊長だから味方どころか身内でしょ、あなた」
「そうとも言うゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
キレッキレの部下の返答に対しても、男はやはり、暑苦しかった。
●正義のヒーロー、彼の名は!
「あっちも始まったころかしら……」
ファルスト近くで、もうそろそろ自由騎士団が歯車騎士団に攻撃を仕掛けたはずだ。マリアンナ・オリヴェル(nCL3000042)は支給されたばかりのマキナ・ギアを使ってそれを確認する。
「こっちも、行きましょう」
戦いが始まっている場所とは街を挟んで反対方向。
そこに、マリアンナが参加する別の自由騎士の一団がいた。
陽動作戦をより確かなものにするための別働舞台である。
「作戦は、皆覚えてるわよね?」
彼女は近くにいる自由騎士達に問う。
「これはあくまでも陽動。戦い抜く必要はないわ。数分間、この場で歯車騎士団と戦って時間を稼げればそれでいい。こっちには、プロメテウス、ですっけ? それはいないみたいだけど、それでも重要な任務だわ」
緊張を見せる彼女に、自由騎士の一人が問う。
「今度はこっちが攻める側だが、いいんだよな?」
マリアンナの出自を気にしての問いかけだったのだろう。
しかし、彼女は微笑んでうなずく。
「ええ、だって今は私も自由騎士だもの。だから、みんなと一緒に戦うわ」
その言葉に、決意はあれど気負いはなかった。
「そ の 意 気 や よ ォォォォォォォォォォォォォォ し !!!!」
「えっ!?」
いきなり上から聞こえた声に、マリアンナは驚く。
見ると、近くにある丘の上に誰かが立っていた。
「だ、誰!」
「私はァァァァァ! ヘルメリア歯車騎士団所属ゥゥゥゥゥ! エイドリアン・カーティス・マルソー三等であるゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
「そんな! 私達の行動が見透かされていたの!?」
「違ァァァァァァう! 敵が来たというので特に考えず出撃したら、偶然見つけただけだァァァァァァァァ!」
「あ、えっと、そう、なのね……」
反応に困るマリアンナであった。
「だが貴様らが自由騎士団ならば! 悪! ゆえに私は正義を執行する!」
そしてエイドリアンと名乗った男が、ビシッとポーズをとって腰に装着したベルトのスイッチを入れた。
コンパクトタイプの蒸気機関であるそれは、動作を開始すると露わになっている歯車が回って派手に音を奏でた。
ピロリピロリピロリ。
キュインキュインキュインキュイン。
ギュワ~ンギュワ~ンギュワ~ン。
「変――身ッ!」
そしてエイドリアンは変身ポーズを取り終えると、足元に置いておいたヘルメリア紋章ヘルメットをカポっと装着する。
「ヘルメリアの平和を守る正義の人、マスクド・エイダァァァァァァ!」
ドカァァァァァァァァァァァァァン!
背後で起きた爆発は部下がタイミングを見計らって起こしたものだ。
「…………」
マリアンナ含め、自由騎士団はとりあえず反応に困った。
「ゆくぞ悪のイ・ラプセル! 我が正義の拳を受けてみるがいい!」
「開戦~、開戦だよ~」
だが、そんなことはお構いなしにエイドリアンは丘の上からジャンプして、隊長が号令を下してくれないことを知っている部下は、代わりに背後の兵士達に号令を下してあげるのだった。
「なぁにぃぃぃぃぃぃ! イ・ラプセルが攻めてきぃぃぃたぁぁぁだぁぁぁとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉぉう!」
ここに、暑苦しい男がいた。
場所はヘルメリアのファルスト区近郊。
そこに駐留している『歯車騎士団(ギア・ナイツ)』を狙って、イ・ラプセルの軍が攻めてきたというのだ。
「何たる!」
男は叫んだ。
「何たる!」
男は再び叫んだ。
「何たる!」
男はみたび叫んだ。
「何たる卑怯! 何たる狡猾! ここに駐留する我ら『歯車騎士団』を狙おうとは、それが異国のやり方か! 卑怯! 卑怯千万! いやさ千万で済むものか! おのれイ・ラプセル! まさしく卑怯一十百千万億兆京垓穣溝澗正載極恒河沙阿僧祇那由他不可思議無量大数ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
男は暑苦しかった。
「で、隊長、どうするんですか?」
「そんなことはァァァァァァ、決まっているゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
男のテンションにすっかり慣れきっている部下の一人に問われ、男はそう言い返した。そして近くに置かれているものに手を伸ばした。
それは頭をすっぽりと覆うフルフェイス型の兜だった。
いや、形状的にはヘルメットと呼ぶべきか。
通常の鉄仮面と違って、こちらはつるりとしたとがりのない形をしていた。
その前面には、大きくヘルメリアの国の紋章が描かれている。
「ついに出番が来たようだな」
「あ、本気でやるんですね、隊長」
「あぁぁぁぁぁたりまえだ! 敵国が攻めてきたならば、それはつまり正義のヘルメリア危急のとき! なぁぁぁぁぁらば、今こそ正義のヘルメリアの正義を悪の異国の悪しきイ・ラプセルに叩きつけ! 叩きつけ!! 叩きつけ!!! そして叩きつけるとぉぉぉぉぉぉぉき!」
男は暑苦しかった。
「じゃあ普通に戦えばいいじゃないですか」
「馬鹿者ォォォォォォォォォ!」
両手に強く拳を握り、男は部下に向かって叫ぶ。
その頃、部下はコーヒーを淹れていた。
「普通に戦ったのではただの戦争ではないかァァァァァァァァァ!」
「だって戦争じゃないですか、これ」
「違ァァァァァう! 我々『歯車騎士団』はァァァァァ! ヘルメリアの正義をォォォォォ! 体現する者であらねばならぬぅぅぅぅぅぅぅ!」
男は暑苦しかった。
「で、それですか?」
「で、これだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
男は部下達にもハッキリわかるように手に持ったヘルメットを高く掲げた。
「行くぞ諸君! 私に率いられし正義を愛するヘルメリアの正義の諸君! 私はいつだって諸君の味方だ! つまり正義である諸君の味方である私は正義の味方なのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「いや、隊長だから味方どころか身内でしょ、あなた」
「そうとも言うゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
キレッキレの部下の返答に対しても、男はやはり、暑苦しかった。
●正義のヒーロー、彼の名は!
「あっちも始まったころかしら……」
ファルスト近くで、もうそろそろ自由騎士団が歯車騎士団に攻撃を仕掛けたはずだ。マリアンナ・オリヴェル(nCL3000042)は支給されたばかりのマキナ・ギアを使ってそれを確認する。
「こっちも、行きましょう」
戦いが始まっている場所とは街を挟んで反対方向。
そこに、マリアンナが参加する別の自由騎士の一団がいた。
陽動作戦をより確かなものにするための別働舞台である。
「作戦は、皆覚えてるわよね?」
彼女は近くにいる自由騎士達に問う。
「これはあくまでも陽動。戦い抜く必要はないわ。数分間、この場で歯車騎士団と戦って時間を稼げればそれでいい。こっちには、プロメテウス、ですっけ? それはいないみたいだけど、それでも重要な任務だわ」
緊張を見せる彼女に、自由騎士の一人が問う。
「今度はこっちが攻める側だが、いいんだよな?」
マリアンナの出自を気にしての問いかけだったのだろう。
しかし、彼女は微笑んでうなずく。
「ええ、だって今は私も自由騎士だもの。だから、みんなと一緒に戦うわ」
その言葉に、決意はあれど気負いはなかった。
「そ の 意 気 や よ ォォォォォォォォォォォォォォ し !!!!」
「えっ!?」
いきなり上から聞こえた声に、マリアンナは驚く。
見ると、近くにある丘の上に誰かが立っていた。
「だ、誰!」
「私はァァァァァ! ヘルメリア歯車騎士団所属ゥゥゥゥゥ! エイドリアン・カーティス・マルソー三等であるゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
「そんな! 私達の行動が見透かされていたの!?」
「違ァァァァァァう! 敵が来たというので特に考えず出撃したら、偶然見つけただけだァァァァァァァァ!」
「あ、えっと、そう、なのね……」
反応に困るマリアンナであった。
「だが貴様らが自由騎士団ならば! 悪! ゆえに私は正義を執行する!」
そしてエイドリアンと名乗った男が、ビシッとポーズをとって腰に装着したベルトのスイッチを入れた。
コンパクトタイプの蒸気機関であるそれは、動作を開始すると露わになっている歯車が回って派手に音を奏でた。
ピロリピロリピロリ。
キュインキュインキュインキュイン。
ギュワ~ンギュワ~ンギュワ~ン。
「変――身ッ!」
そしてエイドリアンは変身ポーズを取り終えると、足元に置いておいたヘルメリア紋章ヘルメットをカポっと装着する。
「ヘルメリアの平和を守る正義の人、マスクド・エイダァァァァァァ!」
ドカァァァァァァァァァァァァァン!
背後で起きた爆発は部下がタイミングを見計らって起こしたものだ。
「…………」
マリアンナ含め、自由騎士団はとりあえず反応に困った。
「ゆくぞ悪のイ・ラプセル! 我が正義の拳を受けてみるがいい!」
「開戦~、開戦だよ~」
だが、そんなことはお構いなしにエイドリアンは丘の上からジャンプして、隊長が号令を下してくれないことを知っている部下は、代わりに背後の兵士達に号令を下してあげるのだった。
†シナリオ詳細†
■成功条件
1.5分程度時間を稼ぐ
はいどーもー、吾語です。
決戦の準備のための陽動作戦らしいのですよ。
では以下、シナリオ情報でーす。
●戦場
ファルスト周辺にある平たんな場所での戦闘となります。
大きな規模の戦闘ができる場所となっております。
参加PCは5人1組の部隊の指揮官となっていただきます。
こちらは別働隊ということで、モブ兵士は全員オラクルです。
指揮される側のモブ兵士たちの生き死には気にしなくていいですが、
指揮がない場合は兵士たちの死亡率がガン上がりするのでご注意ください。
5人のモブ部隊の構成は皆さんにお任せします。
例えばマリアンナは弓×3、医×2の支援型の部隊を構成しています。
ただしモブ兵士はPCのような強さはなく、フラグメント復活もできません。
兵士たちは基本的に皆さんの言うことをそのまま聞いてくれます。
戦闘開始時点で敵軍との距離は30m開いていますが、敵の方から突撃してきます。
●敵
・マスクド・エイダー(エイドリアン・カーティス・マルソー)
クソうるさく暑苦しい自称ヘルメリアの正義のヒーロー。
これでも士官学校をかなりいい成績で出ています。
キジンではなくノウブルで高レベルのルクタートルでもあります。
こいつが敵部隊全体の指揮官なのですが、先頭に立って殴り込んできます。
・敵部隊A
ヘルメリアが生み出した「蒸気騎士」×8からなる部隊です。
魔導に強いコーティングを張ったり、多段式炸裂弾を撃ったりします。
他にも武装があるかもしれません。前衛で行動します。
エイドリアンの後ろに続いて突撃してきます。
・敵部隊B
部隊構成は敵部隊Aと同じです。ここも前衛で行動します。
エイドリアンの後ろに続いて突撃してきます。
・敵部隊C
歯車騎士団の兵士で構成された30人程度の部隊です。
オラクル多めでお送りいたします。
重25%、防25%、格25%、軽25%、
というガッチガチの前衛具合で突っ込んできます。
エイドリアンの後ろに続いて突撃してきます。
・敵部隊D
兵站軍に属する亜人奴隷の舞台です。40人ほど。
亜人奴隷の中でもヒーラーが多めに配属されています。基本後衛。
エイドリアン達を「冗談だろこいつら」という目で見ています。
●特殊ルール
名声が100以下の場合、マスクド・エイダーに接触しやすくなります。
名声が100以上の場合、敵に狙われやすくなります。
名声が300以上の場合、敵にめちゃめちゃ狙われやすくなります。
味方の損耗率が50%を超えたら時間の経過に関係なく撤退となります。
5分経過前にそうなった場合、陽動失敗となり決戦シナリオの敵側戦力が向上してしまいます。
兵士の戦闘不能か死亡で損耗率が上がります。
なお、このシナリオはたぢまCWのシナリオと同時刻に起きていますが、
何をどうやってもたぢまCW側とは合流できません。ご注意ください。
★『【機国開戦】ファルスト陽動作戦』と『【機国開戦】真一正義は此処に在り』は同時系列で起こっている為、合流できません。
その為、同一キャラクターにて両方に参加することができません。
両方の参加を確認した場合、参加を取り消し、其の費用は返却されません。(タイムスタンプの遅い方を取消致します)
予めご了承下さい。
※またこの依頼に参加されたPCは決戦に同時参加することができますが、累積ダメージはそのままに、回復されずに遅れて参戦することになります。戦闘不能判定であった場合は、HPが1/4の状態での参加になります。ご了承くださいませ。
決戦の準備のための陽動作戦らしいのですよ。
では以下、シナリオ情報でーす。
●戦場
ファルスト周辺にある平たんな場所での戦闘となります。
大きな規模の戦闘ができる場所となっております。
参加PCは5人1組の部隊の指揮官となっていただきます。
こちらは別働隊ということで、モブ兵士は全員オラクルです。
指揮される側のモブ兵士たちの生き死には気にしなくていいですが、
指揮がない場合は兵士たちの死亡率がガン上がりするのでご注意ください。
5人のモブ部隊の構成は皆さんにお任せします。
例えばマリアンナは弓×3、医×2の支援型の部隊を構成しています。
ただしモブ兵士はPCのような強さはなく、フラグメント復活もできません。
兵士たちは基本的に皆さんの言うことをそのまま聞いてくれます。
戦闘開始時点で敵軍との距離は30m開いていますが、敵の方から突撃してきます。
●敵
・マスクド・エイダー(エイドリアン・カーティス・マルソー)
クソうるさく暑苦しい自称ヘルメリアの正義のヒーロー。
これでも士官学校をかなりいい成績で出ています。
キジンではなくノウブルで高レベルのルクタートルでもあります。
こいつが敵部隊全体の指揮官なのですが、先頭に立って殴り込んできます。
・敵部隊A
ヘルメリアが生み出した「蒸気騎士」×8からなる部隊です。
魔導に強いコーティングを張ったり、多段式炸裂弾を撃ったりします。
他にも武装があるかもしれません。前衛で行動します。
エイドリアンの後ろに続いて突撃してきます。
・敵部隊B
部隊構成は敵部隊Aと同じです。ここも前衛で行動します。
エイドリアンの後ろに続いて突撃してきます。
・敵部隊C
歯車騎士団の兵士で構成された30人程度の部隊です。
オラクル多めでお送りいたします。
重25%、防25%、格25%、軽25%、
というガッチガチの前衛具合で突っ込んできます。
エイドリアンの後ろに続いて突撃してきます。
・敵部隊D
兵站軍に属する亜人奴隷の舞台です。40人ほど。
亜人奴隷の中でもヒーラーが多めに配属されています。基本後衛。
エイドリアン達を「冗談だろこいつら」という目で見ています。
●特殊ルール
名声が100以下の場合、マスクド・エイダーに接触しやすくなります。
名声が100以上の場合、敵に狙われやすくなります。
名声が300以上の場合、敵にめちゃめちゃ狙われやすくなります。
味方の損耗率が50%を超えたら時間の経過に関係なく撤退となります。
5分経過前にそうなった場合、陽動失敗となり決戦シナリオの敵側戦力が向上してしまいます。
兵士の戦闘不能か死亡で損耗率が上がります。
なお、このシナリオはたぢまCWのシナリオと同時刻に起きていますが、
何をどうやってもたぢまCW側とは合流できません。ご注意ください。
★『【機国開戦】ファルスト陽動作戦』と『【機国開戦】真一正義は此処に在り』は同時系列で起こっている為、合流できません。
その為、同一キャラクターにて両方に参加することができません。
両方の参加を確認した場合、参加を取り消し、其の費用は返却されません。(タイムスタンプの遅い方を取消致します)
予めご了承下さい。
※またこの依頼に参加されたPCは決戦に同時参加することができますが、累積ダメージはそのままに、回復されずに遅れて参戦することになります。戦闘不能判定であった場合は、HPが1/4の状態での参加になります。ご了承くださいませ。

状態
完了
完了
報酬マテリア
3個
7個
3個
3個




参加費
150LP [予約時+50LP]
150LP [予約時+50LP]
相談日数
7日
7日
参加人数
8/8
8/8
公開日
2019年06月26日
2019年06月26日
†メイン参加者 8人†
●悪のイ・ラプセル帝国大幹部・悪鬼羅刹虚無修羅魔人が一人
「うおおおおおおお、行くぞ悪のイ・ラプセルゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
敵は突っ込んでくるので、割と対策を打つのは簡単だった。
「よし、囲んで棒で叩くぞ」
自称マスクド・エイダーの勢いに囚われることもなく、『鋼壁の』アデル・ハビッツ(CL3000496)は冷静にそう言った。
「囲むと言っても、隊列はどうするのだ? ん~?」
『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)が迫らんとする敵を眺めていると、
「全隊、止まれェェェェェェェェェェェ!」
先頭を走っていたエイドリアン・カーティス・マルソーがいきなり足を止めて大声でそう叫んだ。
「はいはい、停止~。全部隊、停止~」
後ろにいる副官が手にした鐘を鳴らして知らせる。
すると、あれだけ勢いづいていたヘルメリアの部隊がピタリと止まった。
「……む、勢いのみかと思ったが、教練が行き届いているようであるな」
隊列を乱すことなく停止する敵軍に、『信念の盾』ランスロット・カースン(CL3000391)などはちょっと感心してしまった。
しかし、何故敵は止まったのか。
「……頭おかしそうでもヘルメリアの士官、ということかしら」
『機刃の竜乙女』ライカ・リンドヴルム(CL3000405)が警戒しつつ、だがその口から洩れた評価は辛辣そのものだった。
隣に立つ『RE:LIGARE』ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)も、敵軍先頭に立つエイドリアンを凝視する。
「勢いしかないように見えますが……」
と、自由騎士達から注目を集めるエイドリアンは、いきなり両手をあげた。
「き、き、き、き、貴様はァァァァァァァァァァァァァァァァ!!?」
「え、私か?」
彼はツボミを見て、大層驚いているようであった。
「そう! 貴様! そこの貴様だァァァァァァァァァァ! 貴様、まさかまさか、名前はツの次にボが来るアレじゃあるまいなァァァ!!?」
「いや、そうだが?」
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
答えるツボミに、エイドリアンは地面に膝を突いて両手で頭を抱えた。
いちいちリアクションがデカイ。
「そこまで名が知られていたということか、ツボミは」
アデルが言う。
だがそれは十分ありそうだった。
自由騎士団の立ち上げ当初より最前線にて活躍を続けてきたツボミだ。
シャンバラとの戦いを経て、その名は大きく轟いていてもおかしくはない。
「お、何だ? イ・ラプセルの癒しの天使、美人女医とでも伝わって――」
「皆の者、気をつけろォォォォォ! あれが“イ・ラプセルの自称医者なのに自分を殺し敵は巻き込み自爆する鬼の三つ目究極爆裂最強爆弾魔”ツ・ボマーだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「おい」
究極爆裂最強爆弾魔ツ・ボマーは浮かべていた笑みを凍てつかせた。
「ツ・ボマー!」
「あ、あれが……」
「ヤツの額を見ろ! あんなに広いぞ! まるで砲弾の表面のようだ!」
恐れおののくヘルメリア兵達。
「額は関係ないだろう、額は!」
髪をあげているだけなのにこの仕打ち。さすがにツボミも納得がいかない。
いや、確かに自爆はした。
シャンバラとの戦いの終わりに、彼女はそれをなした。
が、何故その話がヘルメリアに伝わっているのか。しかも、どうして爆弾魔なんつー不名誉な称号にまで成長してしまっているのか。
「……ツボミ様、怖い方だったんですね」
「ツ、ツボミさん! 私は信じてますから!」
同行している『柔和と重厚』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)と『新緑の歌姫(ディーヴァ)』秋篠 モカ(CL3000531)の反応もこんな感じで、ツボミは二人を「ウソだろ」という目で見た。
「待て。いいか? 私は医者だ。人を治す側だ。爆弾魔なんかじゃない」
「でもじばくしたんでしょ」
『黒炎獣』リムリィ・アルカナム(CL3000500)がトドメを刺した。
「…………」
ツボミの動きが止まる。
そして、エイドリアン達が見ている前で、砲弾の表面の如き彼女の額にそれはそれは見事な青筋が浮かび上がった。
「よ――――し! 貴様らがそこまで私を悪役扱いしたいならいいぞ、やってやろうじゃないか、悪役! はーっはっはー! そうだ、私こそがイ・ラプセルのヒーラー爆弾魔、プロフェッサー・ツ・ボマーである! マスクド・エイダーか! 先陣を切る生身のままの英雄! 大した物だ。良い素材だ。なあ貴様、私の爆弾の『材料』にならんか? 見事な花火にしてやるぞ!」
威風堂々、ツボミがヤケクソになった。
幸か不幸か、彼女の率いる部隊の装備は黒を基調としており、見た目はかなり悪役臭い。おかげでヘルメリア兵達の反応がさらに大きくなる。
「うおおおおおおおお、やはりそうかぁぁぁぁぁぁぁ――――ッッ!」
「ツ・ボマーだ! 自爆されるぞ!」
「バカヤロウ、自爆したらツ・ボマーだって死ぬだろうが!」
「バカはそっちだ! ツ・ボマーだぞ、自爆しても死なないんだよ!」
「不死身の爆弾魔、ツ・ボマー……!?」
風評被害がリアルタイムで加速していく。
名が知れるとこういうこともあるんだなー、と、ツボミはどこか他人事のようにヘルメリア兵達の反応を眺めていた。
その後方では、
「よし、いいぞツボミ。そのまま連中の注意を引き付けておいてくれ。……さて、隊列を変えるぞ。アンジェリカ、リムリィは左翼に展開。ミルトス、ランスロットは右だ。敵を挟むようにして部隊を動かしてくれ。マリアンナは俺の背に。後方からの支援を頼む」
アデルが自分が考えた作戦に従って、テキパキと編成を進めていた。
「オイ、アデル。私は今、人生屈指の屈辱を味わっている最中なんだが……」
「敵自ら狙いを教えてくれているようなものだな。利用しない手はない」
「貴様、絶対許さんからな。私を利用する貴様を私は許さんからな」
「いいから恐れられててくれ」
にべもなかった。
「何たること! 何ンンンンンンンたること! まさかこの戦場に、悪のイ・ラプセル帝国大幹部・悪鬼羅刹虚無修羅魔人(貢献度300以上の皆さんのこと)の一人であるツ・ボマーがいようとは! ……しかし、しかししかし、しかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁし!」
そこでズダン、と、エイドリアンが地面を踏みしめた。
「恐れども危ぶむことなかれ、ヘルメリアの勇者達よ! 今ここにツ・ボマーがいることはむしろ僥倖! いいか諸君、諸君には『所属・正義! 任務・正義! 目的・正義!』のこのマスクド・エイダーがついているのだァァァァァ! ツ・ボマーはむしろここで敗れるさだめが宿命!」
「所属・ヘルメリア。任務・敵倒せ。目的・敵倒せ。ですけどね」
「そうとも言うゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
訂正する副官に、エイドリアンは熱く何度もうなずいた。
「行くぞ我らが正義の軍団! このマスクド・エイダーに続けェェェェ!」
「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」」
そして再び、エイドリアンを先頭にしてヘルメリア軍が突っ込んできた。
「あれで士気が上がるなんて、ヘルメリア軍は愉快痛快軍団なのかしら?」
「愉快・痛快・片腹痛い、ってところね……」
呆気にとられて呟くミルトスに、ライカはやはり辛辣そのものの答えを返す。
「お遊戯は好きなだけやってくれて構わない。おかげで、編成は終わった」
部隊の陣列を組み直したアデルが、そこで皆に向かって告げる。
「イ・ラプセルの勇者達よ、正義の在処など考える必要なし! 我々はただ、己に与えられた仕事を全うするだけだ! ――行くぞ!」
「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」」
数では劣れども、しかし士気の高さはこちらも決して劣っておらず。
アデルの号令によって、イ・ラプセル軍も一斉に動き出す。
「後ろは任せるぞ、マリアンナ!」
「ええ、行きましょう、アデル」
ヘルメリア軍とイ・ラプセル軍、ここに激突。
●突っ込め、囲え、叩き潰せ!
さて、アデルが提案した作戦は王道にして正道たる迎撃である。
突っ込んでくる敵の左右に部隊を展開し、前方と左右の三方から攻撃するという、シンプルながらも確かな効果を見込むことのできる戦術だ。
そしてそれは――
「来るぞォォォォォォォ! 蒸気騎士隊、攻撃開始ィィィィィィィィイ!」
エイドリアンも当然のごとく、見抜いていた。
敵陣前方、エイドリアンのすぐ後ろについている部隊が、立て続けに空に向かって何かを打ち上げた。
一発一発がコルク栓程度の大きさしかないそれは、内部に強力な炸薬が仕込まれた炸裂弾頭であった。自由騎士に向かって、弾頭が雨と降り注ぐ。
「なるほど、単なるバカではない、と!」
ミルトスが炸裂弾頭の一発を防御の構えによって受けきり、自分が指揮する部隊の隊員達に向かって告げた。
「このまま進みます。各自、今作戦の目的を復唱!」
「「時間稼ぎと生還です!」」
「よろしい、では行きましょう!」
「「応ッ!」」
ミルトスを先頭にして、部隊は一気に戦場を駆けた。
弾頭が炸裂し、そこかしこに爆裂の華が咲く。
だが、その中においても彼らは臆することなくまっすぐ進んでいった。
目指す先にはツボミの部隊。敵の多くが、名の知れた彼女を狙おうとしている。それを防衛するのが、ミルトス隊の役割であった。
「むぅ! 来たな、悪の手先イ・ラプセルめェェェェェェェ!」
「あれに惑わされないで、役目を果たすことだけを考えてください!」
エイドリアンの絶叫の中、彼女は的確に指示を出した。
部隊員達は再びうなずいてツボミ隊の前に盾のようにして展開する。
「おぉぉぉぉぉぉぉのれ、ツ・ボマァァァァァァァ! もう仲間を巻き込んで自爆をする準備か! させはせん! させはせんぞぉぉぉぉぉぉ!」
「凄いな。私は何もしていないのに敵の中でどんどん私の悪評が積まれていくぞ。何だこれ、いくら有名税っつっても税率高過ぎだろ」
「名が知れるっていうのも、本当に良し悪しですね」
ボヤくツボミに、ミルトスが苦笑した。
「でも、ツボミさんが敵の注意をひいてくれてるから、やりやすいですよ?」
言いつつ、ミルトスが見る先では敵部隊の真ん中辺りを攻めるアデルの姿があった。標的は、炸裂弾の雨を降らせている蒸気騎士だ。
「聞こえているのなら合わせろ、リムリィ!」
「きこえてるー」
アデルの部隊とは敵を挟んで向こう側、そちらにはリムリィの部隊。
「つっこんで、つぶす。いつもどおり。いくぞー」
「「了解!」」
リムリィとアデル、両者が率いる部隊は元々攻撃力を重視した編成となっている。その二つの部隊が、左右からほぼ同じタイミングで攻撃を仕掛けた。
「チィ! させたりするかよ!」
蒸気騎士数名が即座に対応しようとする。
しかし、そこにエイドリアンが危険を察知した。
「いかァァァァァァァァァンン! 待つのだ、我らがヘルメリアの勇者――」
だがその叫びは、蒸気騎士達には届かない。アデルが抑音の技術によって、エイドリアンの声を小さく抑えつけてしまったからだ。
「R926-M・多段式炸裂弾頭、一斉発射!」
蒸気騎士達が、再び炸裂弾頭を打ち上げる。
標的はもちろんアデルとリムリィの部隊である、が、しかし、焦りが先走っていた蒸気騎士達はここで大きなミスを犯した。
すでに、アデル達との距離はかなり詰まっていたのだ。
「し、しま――ッ!?」
気づいた時にはもう遅い。
自らが発射した炸裂弾が自らのもとに降り注ぐ。
「う、わあああああああああ!」
鮮やかに瞬く爆光が、混乱を生み出した。
アデルとリムリィがわざわざ声掛けしながら攻撃に出たのは、これを目的としていたからだ。即ち、同士討ちが発生しかねない混戦状態。
狙いは見事にハマり、蒸気騎士達の動きが大きく乱れた。
「おっと、こりゃあいけないな~」
エイドリアンの副官が鐘を鳴らして蒸気騎士に呼びかけようとするが、それもアデルの抑音技巧によって抑えられてしまい届かない。
そして、リムリィ部隊の攻勢が一気に敵騎士に突き刺さった。
「どーん」
「うぐおォ!」
彼女の一撃に蒸気騎士の一人がのけ反る。
さらに部隊員が畳みかけ、敵蒸気騎士部隊はさらに混乱を大きくした。
「おォのれェ!」
一方で、アデルの方にも敵が迫る。
しかし後方のマリアンナ隊が牽制の一射を敵に仕掛けた。
「アデル、危ないわ!」
魔力の弓が敵を撃つ。しかしダメージは軽微。魔導の効きが悪かった。
「なるほど、敵は魔導に強いらしい」
それを確認しながら、槍を構えたアデルが肩越しに後ろを見る。
「また一つ、敵のことが知れた。感謝するぞ、マリアンナ」
彼もまた前に出て、敵に攻め込んでいく。
戦いのさなか、マリアンナに答えを返す余裕はなかったが、しかし彼女はその胸中でアデルの背中に向かって「頑張って」と告げるのだった。
●マスクド・エイダー、その実力!
二つの軍の激突は、やがて両陣営入り乱れる混戦の模様を呈してきた。
自由騎士側にしてみれば、元より分かり切っていたことだ。
時間を稼ぐために、まずは自陣の隊列を崩してでも敵陣の隊列を崩し、派手に戦いにくい状況を作る必要があった。しかし――
「時間は?」
「一分半、過ぎました!」
答えを返してきた部下に、ランスロットは「そうであるか」とうなずいた。
長い。
やはり、戦争は長い。
刹那のうちに数度の死が瞬くであろう戦場は、時の流れが最も遅い場所だ。
そこで、自由騎士達は五分を稼がなければならない。
戦場における五分。一体、それは平時の何年分にあたるのか。
「敵、来ます!」
「見えているのである。陣形は崩しても構わん。だが耐えろ!」
「「承知!」」
彼の左右に立つガンナーが、立て続けに銃弾をぶっ放した。
敵からの攻撃は、ランスロット自身が立ちはだかって受け止める。
ガキンガキンと重い音が響く中、彼は地面を踏みしめて新たに襲い来た敵重戦士の大鎚による一撃を愛用の大盾で阻んでみせた。
「邪魔をするな! ツ・ボマーを打倒できん!」
「やらせるワケがないのであるが?」
盾を挟んで睨み合う両者。しかし、敵が動く前にランスロットが踏み込んで、敵を跳ね飛ばして体勢を崩させた。
「攻めよ!」
「ウオオオオオオオオ!」
命令に、部下のガンナーは雄叫びを以て応えた。
銃声。銃声。銃声。トドメとばかりに、
「そこ、お願い!」
「はい!」
マリアンナ隊の弓手による一矢が、敵銃戦士の右肩を深くえぐった。
それを見たランスロットが確かな手応えを得るも、
「勇者よ、倒れることなかれェェェェェェェェェェェェェ!」
エイドリアンであった。
「諸君は正義であり、正道であり、敵は邪悪であり、邪道である! 戦士よ、勇者よ、邪悪に屈してはならない! 立て、勝て、攻めろ! そして我らが背にある祖国ヘルメリアを守るのだァァァァァァァァァァァァァ!」
「う、おお! おおおおおおおおおおお!」
倒れると思われた敵重戦士が、エイドリアンの言葉に奮起して踏み留まる。
「うそ……」
「何と!」
これにはマリアンナもランスロットも、そろって目を瞠った。
ゆえに生じてしまう、一瞬の間隙。
「エイダァァァァァァァァ、キィィィィィィィィィィィィィィック!」
エイドリアンが頭突きしてきた。
「ぐ、う!?」
ふざけているとしか思えない技のクセに、強い。
盾を襲った強烈な衝撃に、ランスロットがくぐもった声を漏らして後退する。
「どうした怪人なのであるマンよ、貴様の力はその程度かァァァァァァァァァ!」
「エイドリアン三等が頑張ってるよー、みんなも続いてやっちゃいなー」
そして副官がガランガランと鐘を鳴らして、その活躍を味方に告げた。
包囲され、混戦状態に陥って士気が挫かれかけていたヘルメリア軍が、これで一気に息を吹き返す。守勢から攻勢へ、敵からの圧が増した。
「そうだ! 忘れるなヘルメリアの勇者達よ! 真たるべきたった一つの正義は、我らの背にこそ輝くのだアアアアアアァァァァァァァァァァ!」
「あらあら、それは素晴らしいことですね」
「ぬぅ!?」
エイドリアンが声に気付き、その場を飛びのく。
直後、真上からデカイ何かが降ってきて地面を叩き砕いた。
「あら、避けられてしまいました」
エイドリアンを狙ったのは、手にどデカイ十字架に、背に分厚い大剣をそれぞれ装備したケモノビトのシスター、アンジェリカであった。
「むむ、貴様はァァァァァァァァァァ!?」
「血圧の高い方ですね。もう少し、力を抜いて生きてもいいでしょうに」
「そのような甘言に騙される私ではないぞ! イ・ラプセル怪人アラアラウフフ女めがァァァァァァァァァァ!」
「どうとでも。そちらから見ればこちらは確かに悪なのでしょうから。――ええ、ですから主義思想に関係なく、この手にある断罪と贖罪を、あなたに」
アンジェリカが地を蹴った。
彼女は見事なバランス取りで両手に掴む超重武器を振り回す。
しかし、さすがに動きが大振りになるのは否めない。エイドリアンはギリギリの距離でその一撃をかわし、拳を握った。
「ヴァカめ! 隙ありだ、怪人アラアラウフフ女ァァァァァァァァ!」
「――知っていますよ?」
アンジェリカがニコリと微笑む。
巨大な武器で攻めかけたアンジェリカ。その実、彼女は囮。
本命は反対側から迫る、もう一人のシスター。
「マスクド・エイダー、覚悟ッ」
軍服姿のミルトスが腰だめに拳を構えて突進する。
「ぬぁにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
アンジェリカに向かって攻撃しかけのエイドリアンが、驚愕に目を剥いた。
拳はすでに放っている。体は伸び切って、動こうにも動き切れない。
その状況で、ミルトスが死角より間合いを詰めてきた。
まさに致命的タイミング。
このままでは、ミルトスの拳は確実に自分の急所を捉えるだろう。
「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! エイダァァァァァ、ディフェェェェェェンス!」
アンジェリカに向かって放ったストレートを、エイドリアンは思いっきり捻じ曲げてフックに変えた。それによって直線軌道だった力の働きは円運動へと変化して、エイドリアンは身体ごと回転した。
「そんな、強引な!?」
これにミルトスは驚くが、しかし、攻撃はやめない。
「せェェい!」
一方で、ミルトスを視界に収めたエイドリアンが肩を突き出して踏み込んだ。
「ぬぅぅん!」
拳と肩とがぶつかって、肉が出すとは思えない硬い音を響かせる。
「「ぐあッ!」」
そこに生まれた衝撃に、二人は反発した強磁石のように反対方向へ弾かれた。
「チャーンス、ですね」
尻もちをついたエイドリアンへ、すかさずアンジェリカが攻めかかる。
「おーっとやばいやばい、誰かフォロー入ってー」
副官がガランガランと鐘を鳴らすと、蒸気騎士数人が彼女の前に壁を作り、巨大十字架をしっかりと受け止める。
「隊長、生きてますかー? 隊長~」
「心配無用ォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」
副官に呼びかけられて、エイドリアンが跳ね起きる。
それはミルトスが起き上がるのとほぼ同時、仮面のヒーローは彼女を見た。
「フ、やるではないか。イ・ラプセル怪人イノシシパワーパンチ女よ!」
「その名前で呼ばれることには異議を唱えますが」
「イノシシでは不満だと!? ならばクマ、いやさゴリラパワーパンチ女と呼ばせていただこう! どうやら、己の腕力にプライドがありそうだからな!」
「いえ、そういうことでは……、あ、いいです。多分言っても無駄なので、ええ、それでいいです。ブチのめして言えなくすればいいだけですし」
早々に会話を諦めて、ミルトスは呼吸を整え直した。
拳が鈍く疼いている。
先刻の激突、有利なのは彼女の方であったはずだ。
エイドリアンの体当たりは、いわば苦し紛れの攻撃。腰も入っていなかった。
なのに、充分に勢いをつけた自分の一撃と互角とは――
「さすがに一団を任されるだけのことはある、ということだな」
身体に残る痛みが消えていく。
ツボミが、範囲に働く癒しの魔導を施してくれたらしい。
「……ツ・ボマー様」
「おい、私は仲間からまでそう呼ばれるのか? しかも様付けて」
「ぬおおおおおおおお! 聞いたかヘルメリアの勇者達よ! 今、ゴリラパワーパンチ女がツ・ボマーを様と呼んだぞ! やはりヤツこそが悪のイ・ラプセル軍団の大幹部なのだ! 正義の諸君よ、悪を討てェェェェェェェ!」
事態が悪化した。
ツボミが死にそうな顔になってミルトスを見る。
「頑張りましょう、ツ・ボマー様!」
「フハハハハハハ! こうなりゃヤケオブヤケよ! 兵共よ、私を守れ! そして奴らを押し留めよ! 頼むぞホント! なぁ!」
こうして、敵の多くが前に出てツボミを狙っているさなか、後方では、また別の戦いが展開されているのだった。
●兵站軍と蒸気騎士
そろそろ三分半が過ぎようとしていた。
「クソ、やりおる! 少し下がるぞ貴様ら! だが背は向けるな!」
「追え、追うのだヘルメリアの正義の勇士達よォォォォォォォォォォォォ!」
前の方から逃げようとするツボミと、追おうとするエイドリアンの声がする。
それを耳にして、ライカは小さくほくそ笑んだ。
「どうやら、上手くいってるみたいね」
「ですね。こっちはこっちで、頑張りましょう」
答えたのは、モカ。
二人の部隊は最前線から離れて後方、敵の兵站軍を狙って動いていた。
後方に控えていた兵站軍には、比較的多くのヒーラーが配置されている。ここを叩けば、敵の継戦能力を大きく削ぐことができるだろう。
「躍るわよ、いいわね?」
「「承知!」」
「護ります、いいですね?」
「「了解!」」
機動力と攻撃力を重視したライカの隊と、防御力と支援力を重視したモカの隊。この両部隊が協力して、兵站軍にいる奴隷兵士達へと攻め込んだ。
「て、敵が来たぞぉ!」
兵站軍は、今回相手取っているヘルメリア軍の中では最も数が多い。
しかし、
「来るなら来なさい、相手をしてあげるわ!」
「わ、わぁぁぁぁぁぁ!」
ライカの気迫に晒されて、亜人奴隷の一人がみっともなくも逃げ出した。
「……逃げちゃいましたね」
「奴隷兵士なんて、このなものよ」
数が多くとも、士気が低ければ戦場では脅威足りえない。
つまりライカ達にとって兵站軍は敵ではない。――ただのカモだ。
「行くわ!」
「行きましょう」
そして、ライカが舞い乱れる。
加速し、敵陣へ飛び込んだ彼女の拳や蹴りが亜人奴隷を蹴散らしていく。
レイピアを手にしたモカが、同じく敵陣にて刃を閃かせた。
「遅い、遅いです」
空を切る音はいかにも鋭く、刃は次々に敵の肉を裂いていった。
「ち、ちくしょう!」
亜人奴隷の中にも反撃に転じる者はいた。
しかしそれらも、所詮は半端なものでしかなく、モカの率いる部隊員がしっかりと守りを固めることで、二人の自由騎士には届かない。
前方で互角の戦いが繰り広げられる中、こちらの戦いは自由騎士の圧倒的優位で推移しつつあった。しかし――
「「マーチラビット、一斉発射!」」
「……え?」
突然聞こえた声に、ライカは思わず歩みを止める。
耳に聞こえる甲高い音。見上げれば、今まさに何かが降り注いできていた。
炸裂弾頭が後方の戦場に着弾し、そこに爆花を瞬かせた。
「着弾確認! 敵軍に被弾!」
「よぉし、このまま攻め込むぞ! ヘルメリアの力を思い知らせろ!」
現れたのは、前に出ていたはずの蒸気騎士達であった。
「チィッ! こいつら、仲間を巻き込んで……!」
ライカが周りを見て舌を打つ。
そこには、蒸気騎士の爆撃を受けて地面に転がる亜人奴隷らの姿があった。
ついさっきまで自分が叩きのめしていた相手ではあるが、仲間ごと攻撃するという蒸気騎士の行動にはやはり看過しがたいものがある。
「どうしますか?」
「ブチのめすわ!」
「ですよね。分かってます!」
ライカが部隊を率いて戦場最前、蒸気騎士のいる場所へと駆け出した。
モカもそれを支援すべく、自分の隊と率いてすぐに動く。
「気に食わないのよ、そういうやり方!」
「ホザけ、イ・ラプセル怪人ブットバスター女め!」
「部下にまで伝染してるの、それ!?」
「え、じゃあ私は……?」
モカが敵に問う。
「…………」
蒸気騎士はしばしの沈黙ののちに答えた。
「イ・ラプセル怪人ニコニコブッ刺し女だな!」
「刺します」
モカが笑顔でレイピアを構えた。
「やれるものならばやってみるがいい!」
「言われずとも、やってやるわよ!」
蒸気騎士の間合いに素早く飛び込み、ライカが拳と蹴りを交互に繰り出した。
直撃、そして直撃。敵蒸気騎士がダメージに揺らぐも、
「俺達は――正義だ!」
持ち直す。エイドリアンの激励を受けた、重戦士のように。
「こいつ……!」
「俺達は正義だァァァァァァァ――――!」
「受け止めてください!」
「「応!」」
蒸気騎士の反撃を、しかし、間一髪でモカ隊のディフェンダーが阻んだ。
「そして、そこですッ!」
回り込んだモカのレイピアが、背後から蒸気騎士の肉を抉った。
「――――ッッ! ま、だ!」
激痛に体勢を崩しながらも、蒸気騎士が何かを操作する。
「VrSw-111! 撃滅式断絶機構ォォォォ――――ッ!」
展開した巨大ブレードが、大量の蒸気の噴出と共に広域を薙ぎ払った。
「く、ああ!?」
「こんな、もの……!」
不運なことに、そこにはライカも、モカも、そして彼女達が率いる部隊の隊員達も揃ってしまっていた。そこに巨大刃が横薙ぎに叩きつけられたのだ。
「く……」
立ち上がったライカが苦しげにうめく。
灼熱が疼き、左腕が動かない。折れたか、それとも腱が切れたか。
「でも、まだ……」
モカも何とか立ち上がったが、こちらも当然無傷ではない。
しかし二人は武器を構え、そして同じく蒸気騎士も再び戦意を漲らせ、
「「まだ、戦える!」」
ここでもまた、イ・ラプセルとヘルメリアの激闘は続くのだった。
●そして五分が過ぎて
ゆっくりと――
戦場での一秒が過ぎていく。
ゆっくりと――
戦場での次の一秒が過ぎていく。
始まりこそ、イ・ラプセルは有利であった。
迎撃する側であったこと。
手早く包囲陣形を成立させられたこと。
ツボミの存在が敵の多くを引き付ける役目を果たしたこと。
他にも、各部隊がうまく連携してコトに当たれたことなど、いくつかの要素もあってヘルメリアの部隊に対して優位を取れていた。
しかし時間が経てば、その優位も薄れていく。
するとものを言うのが数の差だ。
戦争において、数こそが勝敗を決めるといっても過言ではない。
ゆえに、
「時間は!」
「よ、四分と少しです……!」
「まだ、そんなものか!」
押し込んでくるヘルメリア兵を相手に、アデルが突撃槍を振り回す。
まだ五分は経過しない。あと一分を切ってはいるものの、進みが遅すぎた。
「ゆけぇぇぇぇぇぇい! 倒せ、蹴散らせ! 勝利は我らと共にある!」
「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」」
エイドリアンの雄叫びに、ヘルメリア兵達が揃って声を張り上げた。
ただでさえ増している圧力が、一層強くなっていく。
戦いが始まって四分を過ぎ、状況はいよいよヘルメリアに傾きつつあった。
元々、数の上でヘルメリアの方が優っているのだからこれは必然。
兵站軍の亜人奴隷も、士気こそ低かったものの蒸気騎士の何割かが後方の戦場に赴いてからは、まとまって戦いに参加していた。
イ・ラプセル側も必死に戦ってはいる。
質を見れば、あるいはイ・ラプセル側の方が上かもしれない。
しかしその質の差を補って余りある量という名の戦力を、ヘルメリアは持っていた。自由騎士側が、徐々に追い詰められていく。
「ハッ! はぁ! うぐ……!」
蒸気騎士の放つ突撃槍の一撃に、ツボミを守る防御役の一人が倒れた。
「オイ、大丈夫か! 立てるのか!」
自身もほぼ魔力を使い切って、ツボミが隊員に呼びかける。
敵の注意を彼女に引き付けるというのがアデルが立てた作戦の最重要ポイントだったが、さすがに隊員の損耗が大きかった。
もはやツボミ隊の大半は倒れ、死んでこそいないものの戦える状態ではなくなっている。そしてそれは、他の隊でも同じことだった。
「危なくなったら退いてください! 最優先事項は、生還です!」
右腕をダランと垂れ下がらせたミルトスが自分の部下に向かって叫んだ。
明らかに、イ・ラプセル側の損耗が大きい。
このままではヘルメリア軍に押し切られてしまうかもしれない。
そんな焦燥が、部隊を指揮するアデルの背中をチリチリと焼いていた。
しかし、この危機的状況を打開する手段がないワケではない。
「――敵の指揮官を狙うぞ!」
意を決し、彼は叫んだ。
戦争におけるセオリーの一つ、即ち、頭を潰す。
「むむ! 来るか悪のイ・ラプセル! よかろう! このヘルメリアを愛する正義の人、マスクド・エイダーが相手になろォォォォォォォォォう!」
ビシッと構えるエイドリアンへ、アデルとリムリィが攻めかかった。
「いつまでもうるさい」
「何のォ! 私の叫びは正義の叫び! 燃える魂、受けてみよォォォォォ!」
リムリィが振り回すハンマーを身を低くしてかいくぐり、エイドリアンは全力で回し蹴りを喰らわせた。痛烈、リムリィの身体が後ろに弾ける。
しかし――、
「こ、の、く、ら……、い!」
倒れない。のけ反った身体を、力を溜めるために使う。
「貴様……!」
上からの、リムリィ渾身の一撃。
巨大な鎚頭がエイドリアンを狙って落ちてきた。
「甘いぞ、イ・ラプセル怪人表情とぼしいガァァァァァァァァァル!」
だが間一髪、エイドリアンは身を退けて振り下ろしを回避。ハンマーが地面を叩いたところで、反撃の前蹴りをリムリィの細い体に突き刺した。
ゴリゴリと、つま先が彼女の身体を潰していく。
「ァ……」
半ば開いた少女の口から、大量の血が溢れ出た。確かな手応え。
「――何ッ!?」
だがリムリィはそこでエイドリアンの足を腕に抱え込んだ。意識が途切れかけた彼女の最後の抵抗である。
そこから、決着へとつながる目まぐるしい一幕が始まる。
リムリィに片足を抱え込まれ、エイドリアンの身体は滑るようにしてのけ反った。その側面へ、アデル自らが防御を捨てて駆け込んでいった。
「あ、まず……!」
エイドリアンの副官が鐘を鳴らす。
蒸気騎士二人がそれに気づいて、エイドリアンの方へと走り出した。
だが、ランスロットとミルトスが両脇からサッと身を乗り出し、蒸気騎士達を阻むために自ら壁となる。
蒸気騎士達は迷わず多段式炸裂弾頭を二人に向かって発射した。
爆裂。爆裂。爆裂。
だが、ランスロットもミルトスも、身の肉を削られ、血を焼かれても決して退くことなく、その場に壁となって立ち続けた。
アデルがエイドリアンに迫る。
「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、おのれ怪人鉄仮面仮面ンンンンンンンンンンンン!」
エイドリアンは叫んだ。
この時点で、彼はアデルの攻撃を回避できないことを察していた。
それでも無防備に敵の攻撃を喰らうなど、ヘルメリアを守る正義のヒーローとして認められることではない。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
エイドリアンは左手を突き出した。必死に、抗いの叫びと共に突き出した。
――しかしできたのは、突き出すことだけだった。
「吹き飛べ、エイダァァァァァァ――――ッッ!」
アデルの突撃槍の穂先が、エイドリアンの左手にピタリと当てられる。
そして彼は槍の撃発機構を解放し、全弾を撃ち放った。
「ジョルト――、アサルトッ!」
岩と岩をぶつけるような音が三たび響き、そして喰らったエイドリアンの左腕は、肉も骨もブチ砕かれて二の腕半ばから吹き飛んだ。
「ぐ……、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッ!」
「エイドリアン隊長――――ッ!」
絶叫するエイドリアンに、血相を変えた副官が駆け寄る。
アデル隊の隊員が叫んだのは、そのときだった。
「五分です! 五分経過しました!」
「ようやくかっ、直ちに撤退するぞ!」
のたうち回るエイドリアンの周りに兵が集まろうとする。
その隙に、自由騎士達は撤退を開始した。
「やっと終わったか……、全く……」
ツボミも部下の隊員に肩を貸しながら、他の自由騎士達と共に早々に場を離れようとした。だが、その背に彼が声をかけた。
「わ、我々は敗れていなァァァァァァァァァァァァい!」
「なにぃ~?」
振り向けば、そこには左腕を失いながらもしっかりと立ち上がるエイドリアンの姿。身を強く震わせながらも、彼はさらに叫んだ。
「こ、今回は痛み分けにしてやろう……! そうだ、わ、我々は、正義のヘルメリア軍は、あ、悪には屈しないのだ……! おぼ、覚えておけ、悪のイ・ラプセル帝国大幹部・悪鬼羅刹虚無修羅魔人ツ・ボマーとその配下共よ! ヘ、ヘル、ヘルメリアの正義は、絶対、に、く、砕けないィィィィ! ぐふ」
そしてエイドリアンはぶっ倒れた。
「「エイドリアン隊長――――ッッ!?」」
倒れた彼の周りに兵士達がまた集まる。
「なんちゅうヤツだ、ありゃ……」
最後まで勢いを殺さなかったエイドリアンに汗しつつ、ツボミは隊員と共に撤退していく。
こうして戦いは終わった。
だが同時に、この戦いによって、自由騎士達とヘルメリアのめんどくさいヤツとの因縁も始まってしまったようだった。
「うおおおおおおお、行くぞ悪のイ・ラプセルゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
敵は突っ込んでくるので、割と対策を打つのは簡単だった。
「よし、囲んで棒で叩くぞ」
自称マスクド・エイダーの勢いに囚われることもなく、『鋼壁の』アデル・ハビッツ(CL3000496)は冷静にそう言った。
「囲むと言っても、隊列はどうするのだ? ん~?」
『咲かぬ橘』非時香・ツボミ(CL3000086)が迫らんとする敵を眺めていると、
「全隊、止まれェェェェェェェェェェェ!」
先頭を走っていたエイドリアン・カーティス・マルソーがいきなり足を止めて大声でそう叫んだ。
「はいはい、停止~。全部隊、停止~」
後ろにいる副官が手にした鐘を鳴らして知らせる。
すると、あれだけ勢いづいていたヘルメリアの部隊がピタリと止まった。
「……む、勢いのみかと思ったが、教練が行き届いているようであるな」
隊列を乱すことなく停止する敵軍に、『信念の盾』ランスロット・カースン(CL3000391)などはちょっと感心してしまった。
しかし、何故敵は止まったのか。
「……頭おかしそうでもヘルメリアの士官、ということかしら」
『機刃の竜乙女』ライカ・リンドヴルム(CL3000405)が警戒しつつ、だがその口から洩れた評価は辛辣そのものだった。
隣に立つ『RE:LIGARE』ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)も、敵軍先頭に立つエイドリアンを凝視する。
「勢いしかないように見えますが……」
と、自由騎士達から注目を集めるエイドリアンは、いきなり両手をあげた。
「き、き、き、き、貴様はァァァァァァァァァァァァァァァァ!!?」
「え、私か?」
彼はツボミを見て、大層驚いているようであった。
「そう! 貴様! そこの貴様だァァァァァァァァァァ! 貴様、まさかまさか、名前はツの次にボが来るアレじゃあるまいなァァァ!!?」
「いや、そうだが?」
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
答えるツボミに、エイドリアンは地面に膝を突いて両手で頭を抱えた。
いちいちリアクションがデカイ。
「そこまで名が知られていたということか、ツボミは」
アデルが言う。
だがそれは十分ありそうだった。
自由騎士団の立ち上げ当初より最前線にて活躍を続けてきたツボミだ。
シャンバラとの戦いを経て、その名は大きく轟いていてもおかしくはない。
「お、何だ? イ・ラプセルの癒しの天使、美人女医とでも伝わって――」
「皆の者、気をつけろォォォォォ! あれが“イ・ラプセルの自称医者なのに自分を殺し敵は巻き込み自爆する鬼の三つ目究極爆裂最強爆弾魔”ツ・ボマーだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「おい」
究極爆裂最強爆弾魔ツ・ボマーは浮かべていた笑みを凍てつかせた。
「ツ・ボマー!」
「あ、あれが……」
「ヤツの額を見ろ! あんなに広いぞ! まるで砲弾の表面のようだ!」
恐れおののくヘルメリア兵達。
「額は関係ないだろう、額は!」
髪をあげているだけなのにこの仕打ち。さすがにツボミも納得がいかない。
いや、確かに自爆はした。
シャンバラとの戦いの終わりに、彼女はそれをなした。
が、何故その話がヘルメリアに伝わっているのか。しかも、どうして爆弾魔なんつー不名誉な称号にまで成長してしまっているのか。
「……ツボミ様、怖い方だったんですね」
「ツ、ツボミさん! 私は信じてますから!」
同行している『柔和と重厚』アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)と『新緑の歌姫(ディーヴァ)』秋篠 モカ(CL3000531)の反応もこんな感じで、ツボミは二人を「ウソだろ」という目で見た。
「待て。いいか? 私は医者だ。人を治す側だ。爆弾魔なんかじゃない」
「でもじばくしたんでしょ」
『黒炎獣』リムリィ・アルカナム(CL3000500)がトドメを刺した。
「…………」
ツボミの動きが止まる。
そして、エイドリアン達が見ている前で、砲弾の表面の如き彼女の額にそれはそれは見事な青筋が浮かび上がった。
「よ――――し! 貴様らがそこまで私を悪役扱いしたいならいいぞ、やってやろうじゃないか、悪役! はーっはっはー! そうだ、私こそがイ・ラプセルのヒーラー爆弾魔、プロフェッサー・ツ・ボマーである! マスクド・エイダーか! 先陣を切る生身のままの英雄! 大した物だ。良い素材だ。なあ貴様、私の爆弾の『材料』にならんか? 見事な花火にしてやるぞ!」
威風堂々、ツボミがヤケクソになった。
幸か不幸か、彼女の率いる部隊の装備は黒を基調としており、見た目はかなり悪役臭い。おかげでヘルメリア兵達の反応がさらに大きくなる。
「うおおおおおおおお、やはりそうかぁぁぁぁぁぁぁ――――ッッ!」
「ツ・ボマーだ! 自爆されるぞ!」
「バカヤロウ、自爆したらツ・ボマーだって死ぬだろうが!」
「バカはそっちだ! ツ・ボマーだぞ、自爆しても死なないんだよ!」
「不死身の爆弾魔、ツ・ボマー……!?」
風評被害がリアルタイムで加速していく。
名が知れるとこういうこともあるんだなー、と、ツボミはどこか他人事のようにヘルメリア兵達の反応を眺めていた。
その後方では、
「よし、いいぞツボミ。そのまま連中の注意を引き付けておいてくれ。……さて、隊列を変えるぞ。アンジェリカ、リムリィは左翼に展開。ミルトス、ランスロットは右だ。敵を挟むようにして部隊を動かしてくれ。マリアンナは俺の背に。後方からの支援を頼む」
アデルが自分が考えた作戦に従って、テキパキと編成を進めていた。
「オイ、アデル。私は今、人生屈指の屈辱を味わっている最中なんだが……」
「敵自ら狙いを教えてくれているようなものだな。利用しない手はない」
「貴様、絶対許さんからな。私を利用する貴様を私は許さんからな」
「いいから恐れられててくれ」
にべもなかった。
「何たること! 何ンンンンンンンたること! まさかこの戦場に、悪のイ・ラプセル帝国大幹部・悪鬼羅刹虚無修羅魔人(貢献度300以上の皆さんのこと)の一人であるツ・ボマーがいようとは! ……しかし、しかししかし、しかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁし!」
そこでズダン、と、エイドリアンが地面を踏みしめた。
「恐れども危ぶむことなかれ、ヘルメリアの勇者達よ! 今ここにツ・ボマーがいることはむしろ僥倖! いいか諸君、諸君には『所属・正義! 任務・正義! 目的・正義!』のこのマスクド・エイダーがついているのだァァァァァ! ツ・ボマーはむしろここで敗れるさだめが宿命!」
「所属・ヘルメリア。任務・敵倒せ。目的・敵倒せ。ですけどね」
「そうとも言うゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
訂正する副官に、エイドリアンは熱く何度もうなずいた。
「行くぞ我らが正義の軍団! このマスクド・エイダーに続けェェェェ!」
「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」」
そして再び、エイドリアンを先頭にしてヘルメリア軍が突っ込んできた。
「あれで士気が上がるなんて、ヘルメリア軍は愉快痛快軍団なのかしら?」
「愉快・痛快・片腹痛い、ってところね……」
呆気にとられて呟くミルトスに、ライカはやはり辛辣そのものの答えを返す。
「お遊戯は好きなだけやってくれて構わない。おかげで、編成は終わった」
部隊の陣列を組み直したアデルが、そこで皆に向かって告げる。
「イ・ラプセルの勇者達よ、正義の在処など考える必要なし! 我々はただ、己に与えられた仕事を全うするだけだ! ――行くぞ!」
「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」」
数では劣れども、しかし士気の高さはこちらも決して劣っておらず。
アデルの号令によって、イ・ラプセル軍も一斉に動き出す。
「後ろは任せるぞ、マリアンナ!」
「ええ、行きましょう、アデル」
ヘルメリア軍とイ・ラプセル軍、ここに激突。
●突っ込め、囲え、叩き潰せ!
さて、アデルが提案した作戦は王道にして正道たる迎撃である。
突っ込んでくる敵の左右に部隊を展開し、前方と左右の三方から攻撃するという、シンプルながらも確かな効果を見込むことのできる戦術だ。
そしてそれは――
「来るぞォォォォォォォ! 蒸気騎士隊、攻撃開始ィィィィィィィィイ!」
エイドリアンも当然のごとく、見抜いていた。
敵陣前方、エイドリアンのすぐ後ろについている部隊が、立て続けに空に向かって何かを打ち上げた。
一発一発がコルク栓程度の大きさしかないそれは、内部に強力な炸薬が仕込まれた炸裂弾頭であった。自由騎士に向かって、弾頭が雨と降り注ぐ。
「なるほど、単なるバカではない、と!」
ミルトスが炸裂弾頭の一発を防御の構えによって受けきり、自分が指揮する部隊の隊員達に向かって告げた。
「このまま進みます。各自、今作戦の目的を復唱!」
「「時間稼ぎと生還です!」」
「よろしい、では行きましょう!」
「「応ッ!」」
ミルトスを先頭にして、部隊は一気に戦場を駆けた。
弾頭が炸裂し、そこかしこに爆裂の華が咲く。
だが、その中においても彼らは臆することなくまっすぐ進んでいった。
目指す先にはツボミの部隊。敵の多くが、名の知れた彼女を狙おうとしている。それを防衛するのが、ミルトス隊の役割であった。
「むぅ! 来たな、悪の手先イ・ラプセルめェェェェェェェ!」
「あれに惑わされないで、役目を果たすことだけを考えてください!」
エイドリアンの絶叫の中、彼女は的確に指示を出した。
部隊員達は再びうなずいてツボミ隊の前に盾のようにして展開する。
「おぉぉぉぉぉぉぉのれ、ツ・ボマァァァァァァァ! もう仲間を巻き込んで自爆をする準備か! させはせん! させはせんぞぉぉぉぉぉぉ!」
「凄いな。私は何もしていないのに敵の中でどんどん私の悪評が積まれていくぞ。何だこれ、いくら有名税っつっても税率高過ぎだろ」
「名が知れるっていうのも、本当に良し悪しですね」
ボヤくツボミに、ミルトスが苦笑した。
「でも、ツボミさんが敵の注意をひいてくれてるから、やりやすいですよ?」
言いつつ、ミルトスが見る先では敵部隊の真ん中辺りを攻めるアデルの姿があった。標的は、炸裂弾の雨を降らせている蒸気騎士だ。
「聞こえているのなら合わせろ、リムリィ!」
「きこえてるー」
アデルの部隊とは敵を挟んで向こう側、そちらにはリムリィの部隊。
「つっこんで、つぶす。いつもどおり。いくぞー」
「「了解!」」
リムリィとアデル、両者が率いる部隊は元々攻撃力を重視した編成となっている。その二つの部隊が、左右からほぼ同じタイミングで攻撃を仕掛けた。
「チィ! させたりするかよ!」
蒸気騎士数名が即座に対応しようとする。
しかし、そこにエイドリアンが危険を察知した。
「いかァァァァァァァァァンン! 待つのだ、我らがヘルメリアの勇者――」
だがその叫びは、蒸気騎士達には届かない。アデルが抑音の技術によって、エイドリアンの声を小さく抑えつけてしまったからだ。
「R926-M・多段式炸裂弾頭、一斉発射!」
蒸気騎士達が、再び炸裂弾頭を打ち上げる。
標的はもちろんアデルとリムリィの部隊である、が、しかし、焦りが先走っていた蒸気騎士達はここで大きなミスを犯した。
すでに、アデル達との距離はかなり詰まっていたのだ。
「し、しま――ッ!?」
気づいた時にはもう遅い。
自らが発射した炸裂弾が自らのもとに降り注ぐ。
「う、わあああああああああ!」
鮮やかに瞬く爆光が、混乱を生み出した。
アデルとリムリィがわざわざ声掛けしながら攻撃に出たのは、これを目的としていたからだ。即ち、同士討ちが発生しかねない混戦状態。
狙いは見事にハマり、蒸気騎士達の動きが大きく乱れた。
「おっと、こりゃあいけないな~」
エイドリアンの副官が鐘を鳴らして蒸気騎士に呼びかけようとするが、それもアデルの抑音技巧によって抑えられてしまい届かない。
そして、リムリィ部隊の攻勢が一気に敵騎士に突き刺さった。
「どーん」
「うぐおォ!」
彼女の一撃に蒸気騎士の一人がのけ反る。
さらに部隊員が畳みかけ、敵蒸気騎士部隊はさらに混乱を大きくした。
「おォのれェ!」
一方で、アデルの方にも敵が迫る。
しかし後方のマリアンナ隊が牽制の一射を敵に仕掛けた。
「アデル、危ないわ!」
魔力の弓が敵を撃つ。しかしダメージは軽微。魔導の効きが悪かった。
「なるほど、敵は魔導に強いらしい」
それを確認しながら、槍を構えたアデルが肩越しに後ろを見る。
「また一つ、敵のことが知れた。感謝するぞ、マリアンナ」
彼もまた前に出て、敵に攻め込んでいく。
戦いのさなか、マリアンナに答えを返す余裕はなかったが、しかし彼女はその胸中でアデルの背中に向かって「頑張って」と告げるのだった。
●マスクド・エイダー、その実力!
二つの軍の激突は、やがて両陣営入り乱れる混戦の模様を呈してきた。
自由騎士側にしてみれば、元より分かり切っていたことだ。
時間を稼ぐために、まずは自陣の隊列を崩してでも敵陣の隊列を崩し、派手に戦いにくい状況を作る必要があった。しかし――
「時間は?」
「一分半、過ぎました!」
答えを返してきた部下に、ランスロットは「そうであるか」とうなずいた。
長い。
やはり、戦争は長い。
刹那のうちに数度の死が瞬くであろう戦場は、時の流れが最も遅い場所だ。
そこで、自由騎士達は五分を稼がなければならない。
戦場における五分。一体、それは平時の何年分にあたるのか。
「敵、来ます!」
「見えているのである。陣形は崩しても構わん。だが耐えろ!」
「「承知!」」
彼の左右に立つガンナーが、立て続けに銃弾をぶっ放した。
敵からの攻撃は、ランスロット自身が立ちはだかって受け止める。
ガキンガキンと重い音が響く中、彼は地面を踏みしめて新たに襲い来た敵重戦士の大鎚による一撃を愛用の大盾で阻んでみせた。
「邪魔をするな! ツ・ボマーを打倒できん!」
「やらせるワケがないのであるが?」
盾を挟んで睨み合う両者。しかし、敵が動く前にランスロットが踏み込んで、敵を跳ね飛ばして体勢を崩させた。
「攻めよ!」
「ウオオオオオオオオ!」
命令に、部下のガンナーは雄叫びを以て応えた。
銃声。銃声。銃声。トドメとばかりに、
「そこ、お願い!」
「はい!」
マリアンナ隊の弓手による一矢が、敵銃戦士の右肩を深くえぐった。
それを見たランスロットが確かな手応えを得るも、
「勇者よ、倒れることなかれェェェェェェェェェェェェェ!」
エイドリアンであった。
「諸君は正義であり、正道であり、敵は邪悪であり、邪道である! 戦士よ、勇者よ、邪悪に屈してはならない! 立て、勝て、攻めろ! そして我らが背にある祖国ヘルメリアを守るのだァァァァァァァァァァァァァ!」
「う、おお! おおおおおおおおおおお!」
倒れると思われた敵重戦士が、エイドリアンの言葉に奮起して踏み留まる。
「うそ……」
「何と!」
これにはマリアンナもランスロットも、そろって目を瞠った。
ゆえに生じてしまう、一瞬の間隙。
「エイダァァァァァァァァ、キィィィィィィィィィィィィィィック!」
エイドリアンが頭突きしてきた。
「ぐ、う!?」
ふざけているとしか思えない技のクセに、強い。
盾を襲った強烈な衝撃に、ランスロットがくぐもった声を漏らして後退する。
「どうした怪人なのであるマンよ、貴様の力はその程度かァァァァァァァァァ!」
「エイドリアン三等が頑張ってるよー、みんなも続いてやっちゃいなー」
そして副官がガランガランと鐘を鳴らして、その活躍を味方に告げた。
包囲され、混戦状態に陥って士気が挫かれかけていたヘルメリア軍が、これで一気に息を吹き返す。守勢から攻勢へ、敵からの圧が増した。
「そうだ! 忘れるなヘルメリアの勇者達よ! 真たるべきたった一つの正義は、我らの背にこそ輝くのだアアアアアアァァァァァァァァァァ!」
「あらあら、それは素晴らしいことですね」
「ぬぅ!?」
エイドリアンが声に気付き、その場を飛びのく。
直後、真上からデカイ何かが降ってきて地面を叩き砕いた。
「あら、避けられてしまいました」
エイドリアンを狙ったのは、手にどデカイ十字架に、背に分厚い大剣をそれぞれ装備したケモノビトのシスター、アンジェリカであった。
「むむ、貴様はァァァァァァァァァァ!?」
「血圧の高い方ですね。もう少し、力を抜いて生きてもいいでしょうに」
「そのような甘言に騙される私ではないぞ! イ・ラプセル怪人アラアラウフフ女めがァァァァァァァァァァ!」
「どうとでも。そちらから見ればこちらは確かに悪なのでしょうから。――ええ、ですから主義思想に関係なく、この手にある断罪と贖罪を、あなたに」
アンジェリカが地を蹴った。
彼女は見事なバランス取りで両手に掴む超重武器を振り回す。
しかし、さすがに動きが大振りになるのは否めない。エイドリアンはギリギリの距離でその一撃をかわし、拳を握った。
「ヴァカめ! 隙ありだ、怪人アラアラウフフ女ァァァァァァァァ!」
「――知っていますよ?」
アンジェリカがニコリと微笑む。
巨大な武器で攻めかけたアンジェリカ。その実、彼女は囮。
本命は反対側から迫る、もう一人のシスター。
「マスクド・エイダー、覚悟ッ」
軍服姿のミルトスが腰だめに拳を構えて突進する。
「ぬぁにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
アンジェリカに向かって攻撃しかけのエイドリアンが、驚愕に目を剥いた。
拳はすでに放っている。体は伸び切って、動こうにも動き切れない。
その状況で、ミルトスが死角より間合いを詰めてきた。
まさに致命的タイミング。
このままでは、ミルトスの拳は確実に自分の急所を捉えるだろう。
「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅ! エイダァァァァァ、ディフェェェェェェンス!」
アンジェリカに向かって放ったストレートを、エイドリアンは思いっきり捻じ曲げてフックに変えた。それによって直線軌道だった力の働きは円運動へと変化して、エイドリアンは身体ごと回転した。
「そんな、強引な!?」
これにミルトスは驚くが、しかし、攻撃はやめない。
「せェェい!」
一方で、ミルトスを視界に収めたエイドリアンが肩を突き出して踏み込んだ。
「ぬぅぅん!」
拳と肩とがぶつかって、肉が出すとは思えない硬い音を響かせる。
「「ぐあッ!」」
そこに生まれた衝撃に、二人は反発した強磁石のように反対方向へ弾かれた。
「チャーンス、ですね」
尻もちをついたエイドリアンへ、すかさずアンジェリカが攻めかかる。
「おーっとやばいやばい、誰かフォロー入ってー」
副官がガランガランと鐘を鳴らすと、蒸気騎士数人が彼女の前に壁を作り、巨大十字架をしっかりと受け止める。
「隊長、生きてますかー? 隊長~」
「心配無用ォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」
副官に呼びかけられて、エイドリアンが跳ね起きる。
それはミルトスが起き上がるのとほぼ同時、仮面のヒーローは彼女を見た。
「フ、やるではないか。イ・ラプセル怪人イノシシパワーパンチ女よ!」
「その名前で呼ばれることには異議を唱えますが」
「イノシシでは不満だと!? ならばクマ、いやさゴリラパワーパンチ女と呼ばせていただこう! どうやら、己の腕力にプライドがありそうだからな!」
「いえ、そういうことでは……、あ、いいです。多分言っても無駄なので、ええ、それでいいです。ブチのめして言えなくすればいいだけですし」
早々に会話を諦めて、ミルトスは呼吸を整え直した。
拳が鈍く疼いている。
先刻の激突、有利なのは彼女の方であったはずだ。
エイドリアンの体当たりは、いわば苦し紛れの攻撃。腰も入っていなかった。
なのに、充分に勢いをつけた自分の一撃と互角とは――
「さすがに一団を任されるだけのことはある、ということだな」
身体に残る痛みが消えていく。
ツボミが、範囲に働く癒しの魔導を施してくれたらしい。
「……ツ・ボマー様」
「おい、私は仲間からまでそう呼ばれるのか? しかも様付けて」
「ぬおおおおおおおお! 聞いたかヘルメリアの勇者達よ! 今、ゴリラパワーパンチ女がツ・ボマーを様と呼んだぞ! やはりヤツこそが悪のイ・ラプセル軍団の大幹部なのだ! 正義の諸君よ、悪を討てェェェェェェェ!」
事態が悪化した。
ツボミが死にそうな顔になってミルトスを見る。
「頑張りましょう、ツ・ボマー様!」
「フハハハハハハ! こうなりゃヤケオブヤケよ! 兵共よ、私を守れ! そして奴らを押し留めよ! 頼むぞホント! なぁ!」
こうして、敵の多くが前に出てツボミを狙っているさなか、後方では、また別の戦いが展開されているのだった。
●兵站軍と蒸気騎士
そろそろ三分半が過ぎようとしていた。
「クソ、やりおる! 少し下がるぞ貴様ら! だが背は向けるな!」
「追え、追うのだヘルメリアの正義の勇士達よォォォォォォォォォォォォ!」
前の方から逃げようとするツボミと、追おうとするエイドリアンの声がする。
それを耳にして、ライカは小さくほくそ笑んだ。
「どうやら、上手くいってるみたいね」
「ですね。こっちはこっちで、頑張りましょう」
答えたのは、モカ。
二人の部隊は最前線から離れて後方、敵の兵站軍を狙って動いていた。
後方に控えていた兵站軍には、比較的多くのヒーラーが配置されている。ここを叩けば、敵の継戦能力を大きく削ぐことができるだろう。
「躍るわよ、いいわね?」
「「承知!」」
「護ります、いいですね?」
「「了解!」」
機動力と攻撃力を重視したライカの隊と、防御力と支援力を重視したモカの隊。この両部隊が協力して、兵站軍にいる奴隷兵士達へと攻め込んだ。
「て、敵が来たぞぉ!」
兵站軍は、今回相手取っているヘルメリア軍の中では最も数が多い。
しかし、
「来るなら来なさい、相手をしてあげるわ!」
「わ、わぁぁぁぁぁぁ!」
ライカの気迫に晒されて、亜人奴隷の一人がみっともなくも逃げ出した。
「……逃げちゃいましたね」
「奴隷兵士なんて、このなものよ」
数が多くとも、士気が低ければ戦場では脅威足りえない。
つまりライカ達にとって兵站軍は敵ではない。――ただのカモだ。
「行くわ!」
「行きましょう」
そして、ライカが舞い乱れる。
加速し、敵陣へ飛び込んだ彼女の拳や蹴りが亜人奴隷を蹴散らしていく。
レイピアを手にしたモカが、同じく敵陣にて刃を閃かせた。
「遅い、遅いです」
空を切る音はいかにも鋭く、刃は次々に敵の肉を裂いていった。
「ち、ちくしょう!」
亜人奴隷の中にも反撃に転じる者はいた。
しかしそれらも、所詮は半端なものでしかなく、モカの率いる部隊員がしっかりと守りを固めることで、二人の自由騎士には届かない。
前方で互角の戦いが繰り広げられる中、こちらの戦いは自由騎士の圧倒的優位で推移しつつあった。しかし――
「「マーチラビット、一斉発射!」」
「……え?」
突然聞こえた声に、ライカは思わず歩みを止める。
耳に聞こえる甲高い音。見上げれば、今まさに何かが降り注いできていた。
炸裂弾頭が後方の戦場に着弾し、そこに爆花を瞬かせた。
「着弾確認! 敵軍に被弾!」
「よぉし、このまま攻め込むぞ! ヘルメリアの力を思い知らせろ!」
現れたのは、前に出ていたはずの蒸気騎士達であった。
「チィッ! こいつら、仲間を巻き込んで……!」
ライカが周りを見て舌を打つ。
そこには、蒸気騎士の爆撃を受けて地面に転がる亜人奴隷らの姿があった。
ついさっきまで自分が叩きのめしていた相手ではあるが、仲間ごと攻撃するという蒸気騎士の行動にはやはり看過しがたいものがある。
「どうしますか?」
「ブチのめすわ!」
「ですよね。分かってます!」
ライカが部隊を率いて戦場最前、蒸気騎士のいる場所へと駆け出した。
モカもそれを支援すべく、自分の隊と率いてすぐに動く。
「気に食わないのよ、そういうやり方!」
「ホザけ、イ・ラプセル怪人ブットバスター女め!」
「部下にまで伝染してるの、それ!?」
「え、じゃあ私は……?」
モカが敵に問う。
「…………」
蒸気騎士はしばしの沈黙ののちに答えた。
「イ・ラプセル怪人ニコニコブッ刺し女だな!」
「刺します」
モカが笑顔でレイピアを構えた。
「やれるものならばやってみるがいい!」
「言われずとも、やってやるわよ!」
蒸気騎士の間合いに素早く飛び込み、ライカが拳と蹴りを交互に繰り出した。
直撃、そして直撃。敵蒸気騎士がダメージに揺らぐも、
「俺達は――正義だ!」
持ち直す。エイドリアンの激励を受けた、重戦士のように。
「こいつ……!」
「俺達は正義だァァァァァァァ――――!」
「受け止めてください!」
「「応!」」
蒸気騎士の反撃を、しかし、間一髪でモカ隊のディフェンダーが阻んだ。
「そして、そこですッ!」
回り込んだモカのレイピアが、背後から蒸気騎士の肉を抉った。
「――――ッッ! ま、だ!」
激痛に体勢を崩しながらも、蒸気騎士が何かを操作する。
「VrSw-111! 撃滅式断絶機構ォォォォ――――ッ!」
展開した巨大ブレードが、大量の蒸気の噴出と共に広域を薙ぎ払った。
「く、ああ!?」
「こんな、もの……!」
不運なことに、そこにはライカも、モカも、そして彼女達が率いる部隊の隊員達も揃ってしまっていた。そこに巨大刃が横薙ぎに叩きつけられたのだ。
「く……」
立ち上がったライカが苦しげにうめく。
灼熱が疼き、左腕が動かない。折れたか、それとも腱が切れたか。
「でも、まだ……」
モカも何とか立ち上がったが、こちらも当然無傷ではない。
しかし二人は武器を構え、そして同じく蒸気騎士も再び戦意を漲らせ、
「「まだ、戦える!」」
ここでもまた、イ・ラプセルとヘルメリアの激闘は続くのだった。
●そして五分が過ぎて
ゆっくりと――
戦場での一秒が過ぎていく。
ゆっくりと――
戦場での次の一秒が過ぎていく。
始まりこそ、イ・ラプセルは有利であった。
迎撃する側であったこと。
手早く包囲陣形を成立させられたこと。
ツボミの存在が敵の多くを引き付ける役目を果たしたこと。
他にも、各部隊がうまく連携してコトに当たれたことなど、いくつかの要素もあってヘルメリアの部隊に対して優位を取れていた。
しかし時間が経てば、その優位も薄れていく。
するとものを言うのが数の差だ。
戦争において、数こそが勝敗を決めるといっても過言ではない。
ゆえに、
「時間は!」
「よ、四分と少しです……!」
「まだ、そんなものか!」
押し込んでくるヘルメリア兵を相手に、アデルが突撃槍を振り回す。
まだ五分は経過しない。あと一分を切ってはいるものの、進みが遅すぎた。
「ゆけぇぇぇぇぇぇい! 倒せ、蹴散らせ! 勝利は我らと共にある!」
「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」」
エイドリアンの雄叫びに、ヘルメリア兵達が揃って声を張り上げた。
ただでさえ増している圧力が、一層強くなっていく。
戦いが始まって四分を過ぎ、状況はいよいよヘルメリアに傾きつつあった。
元々、数の上でヘルメリアの方が優っているのだからこれは必然。
兵站軍の亜人奴隷も、士気こそ低かったものの蒸気騎士の何割かが後方の戦場に赴いてからは、まとまって戦いに参加していた。
イ・ラプセル側も必死に戦ってはいる。
質を見れば、あるいはイ・ラプセル側の方が上かもしれない。
しかしその質の差を補って余りある量という名の戦力を、ヘルメリアは持っていた。自由騎士側が、徐々に追い詰められていく。
「ハッ! はぁ! うぐ……!」
蒸気騎士の放つ突撃槍の一撃に、ツボミを守る防御役の一人が倒れた。
「オイ、大丈夫か! 立てるのか!」
自身もほぼ魔力を使い切って、ツボミが隊員に呼びかける。
敵の注意を彼女に引き付けるというのがアデルが立てた作戦の最重要ポイントだったが、さすがに隊員の損耗が大きかった。
もはやツボミ隊の大半は倒れ、死んでこそいないものの戦える状態ではなくなっている。そしてそれは、他の隊でも同じことだった。
「危なくなったら退いてください! 最優先事項は、生還です!」
右腕をダランと垂れ下がらせたミルトスが自分の部下に向かって叫んだ。
明らかに、イ・ラプセル側の損耗が大きい。
このままではヘルメリア軍に押し切られてしまうかもしれない。
そんな焦燥が、部隊を指揮するアデルの背中をチリチリと焼いていた。
しかし、この危機的状況を打開する手段がないワケではない。
「――敵の指揮官を狙うぞ!」
意を決し、彼は叫んだ。
戦争におけるセオリーの一つ、即ち、頭を潰す。
「むむ! 来るか悪のイ・ラプセル! よかろう! このヘルメリアを愛する正義の人、マスクド・エイダーが相手になろォォォォォォォォォう!」
ビシッと構えるエイドリアンへ、アデルとリムリィが攻めかかった。
「いつまでもうるさい」
「何のォ! 私の叫びは正義の叫び! 燃える魂、受けてみよォォォォォ!」
リムリィが振り回すハンマーを身を低くしてかいくぐり、エイドリアンは全力で回し蹴りを喰らわせた。痛烈、リムリィの身体が後ろに弾ける。
しかし――、
「こ、の、く、ら……、い!」
倒れない。のけ反った身体を、力を溜めるために使う。
「貴様……!」
上からの、リムリィ渾身の一撃。
巨大な鎚頭がエイドリアンを狙って落ちてきた。
「甘いぞ、イ・ラプセル怪人表情とぼしいガァァァァァァァァァル!」
だが間一髪、エイドリアンは身を退けて振り下ろしを回避。ハンマーが地面を叩いたところで、反撃の前蹴りをリムリィの細い体に突き刺した。
ゴリゴリと、つま先が彼女の身体を潰していく。
「ァ……」
半ば開いた少女の口から、大量の血が溢れ出た。確かな手応え。
「――何ッ!?」
だがリムリィはそこでエイドリアンの足を腕に抱え込んだ。意識が途切れかけた彼女の最後の抵抗である。
そこから、決着へとつながる目まぐるしい一幕が始まる。
リムリィに片足を抱え込まれ、エイドリアンの身体は滑るようにしてのけ反った。その側面へ、アデル自らが防御を捨てて駆け込んでいった。
「あ、まず……!」
エイドリアンの副官が鐘を鳴らす。
蒸気騎士二人がそれに気づいて、エイドリアンの方へと走り出した。
だが、ランスロットとミルトスが両脇からサッと身を乗り出し、蒸気騎士達を阻むために自ら壁となる。
蒸気騎士達は迷わず多段式炸裂弾頭を二人に向かって発射した。
爆裂。爆裂。爆裂。
だが、ランスロットもミルトスも、身の肉を削られ、血を焼かれても決して退くことなく、その場に壁となって立ち続けた。
アデルがエイドリアンに迫る。
「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅ、おのれ怪人鉄仮面仮面ンンンンンンンンンンンン!」
エイドリアンは叫んだ。
この時点で、彼はアデルの攻撃を回避できないことを察していた。
それでも無防備に敵の攻撃を喰らうなど、ヘルメリアを守る正義のヒーローとして認められることではない。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
エイドリアンは左手を突き出した。必死に、抗いの叫びと共に突き出した。
――しかしできたのは、突き出すことだけだった。
「吹き飛べ、エイダァァァァァァ――――ッッ!」
アデルの突撃槍の穂先が、エイドリアンの左手にピタリと当てられる。
そして彼は槍の撃発機構を解放し、全弾を撃ち放った。
「ジョルト――、アサルトッ!」
岩と岩をぶつけるような音が三たび響き、そして喰らったエイドリアンの左腕は、肉も骨もブチ砕かれて二の腕半ばから吹き飛んだ。
「ぐ……、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッッ!」
「エイドリアン隊長――――ッ!」
絶叫するエイドリアンに、血相を変えた副官が駆け寄る。
アデル隊の隊員が叫んだのは、そのときだった。
「五分です! 五分経過しました!」
「ようやくかっ、直ちに撤退するぞ!」
のたうち回るエイドリアンの周りに兵が集まろうとする。
その隙に、自由騎士達は撤退を開始した。
「やっと終わったか……、全く……」
ツボミも部下の隊員に肩を貸しながら、他の自由騎士達と共に早々に場を離れようとした。だが、その背に彼が声をかけた。
「わ、我々は敗れていなァァァァァァァァァァァァい!」
「なにぃ~?」
振り向けば、そこには左腕を失いながらもしっかりと立ち上がるエイドリアンの姿。身を強く震わせながらも、彼はさらに叫んだ。
「こ、今回は痛み分けにしてやろう……! そうだ、わ、我々は、正義のヘルメリア軍は、あ、悪には屈しないのだ……! おぼ、覚えておけ、悪のイ・ラプセル帝国大幹部・悪鬼羅刹虚無修羅魔人ツ・ボマーとその配下共よ! ヘ、ヘル、ヘルメリアの正義は、絶対、に、く、砕けないィィィィ! ぐふ」
そしてエイドリアンはぶっ倒れた。
「「エイドリアン隊長――――ッッ!?」」
倒れた彼の周りに兵士達がまた集まる。
「なんちゅうヤツだ、ありゃ……」
最後まで勢いを殺さなかったエイドリアンに汗しつつ、ツボミは隊員と共に撤退していく。
こうして戦いは終わった。
だが同時に、この戦いによって、自由騎士達とヘルメリアのめんどくさいヤツとの因縁も始まってしまったようだった。
†シナリオ結果†
成功
†詳細†
称号付与
『悪の大幹部ツ・ボマー』
取得者: 非時香・ツボミ(CL3000086)
『悪の怪人表情とぼしいガール』
取得者: リムリィ・アルカナム(CL3000500)
『悪の怪人鉄仮面仮面』
取得者: アデル・ハビッツ(CL3000496)
『悪の怪人アラアラウフフ女』
取得者: アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)
『悪の怪人ニコニコブッ刺し女』
取得者: 秋篠 モカ(CL3000531)
『悪の怪人ゴリラパワーパンチ女』
取得者: ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)
『悪の怪人ブットバスター女』
取得者: ライカ・リンドヴルム(CL3000405)
『悪の怪人なのであるマン』
取得者: ランスロット・カースン(CL3000391)
取得者: 非時香・ツボミ(CL3000086)
『悪の怪人表情とぼしいガール』
取得者: リムリィ・アルカナム(CL3000500)
『悪の怪人鉄仮面仮面』
取得者: アデル・ハビッツ(CL3000496)
『悪の怪人アラアラウフフ女』
取得者: アンジェリカ・フォン・ヴァレンタイン(CL3000505)
『悪の怪人ニコニコブッ刺し女』
取得者: 秋篠 モカ(CL3000531)
『悪の怪人ゴリラパワーパンチ女』
取得者: ミルトス・ホワイトカラント(CL3000141)
『悪の怪人ブットバスター女』
取得者: ライカ・リンドヴルム(CL3000405)
『悪の怪人なのであるマン』
取得者: ランスロット・カースン(CL3000391)
†あとがき†
お疲れさまでした!
どっかのジョセフ君じゃないですが、左腕がもげると因縁ができる不思議。
無事に5分稼げたので作戦は成功となります。
ヘルメリアの皆さんもマスクドうるさいヤツが大ダメージなので追ってきません。
マスクドうるさいヤツとはまたいずれどっかで会うでしょう。
ではでは、また次のシナリオでお会いしましょう!
ありがとうございました!
どっかのジョセフ君じゃないですが、左腕がもげると因縁ができる不思議。
無事に5分稼げたので作戦は成功となります。
ヘルメリアの皆さんもマスクドうるさいヤツが大ダメージなので追ってきません。
マスクドうるさいヤツとはまたいずれどっかで会うでしょう。
ではでは、また次のシナリオでお会いしましょう!
ありがとうございました!
FL送付済