MagiaSteam
食糧運搬作戦。或いは、少数部族を救え!



●道のり険しく
 荒れ果てた街道を抜け、向かう先には小さな集落。
 立ち並ぶは20ほどの皮のテント。
 彼らは特定の地に定住せず、絶えず旅を続けている少数部族の生き残りだ。
 旅先で狩った獲物や、採取した鉱物を食物と交換して日々の糧を得ているようなその日暮らし。
 テントと食器、武器以外には大した荷物や財産も持たない。
 それでも、卓越した狩りの腕と、長年蓄積した野草の知識を持ってすれば喰うに困ることはなかった。
 少なくとも、つい先日まではそのはずだった……。
 けれど、しかし……。
「駄目だ。この辺りにも獲物がいない」
 立ち並ぶ枯れ木へ視線を向けて、部族の男は呟いた。
 部族で一番、狩りの巧みな男である。
 空腹にこけた頬、骨の浮き出た体。一月前までは隆々としていた筋肉も落ちて久しい。
 喰うや喰わず、という生活をここ一ヶ月ほど続けていたのだ。
「このままでは、俺も……子供たちも飢えて死んでしまう」
 血が出るほどに拳をきつく握りしめ、部族の男は地面を睨む。
 一か月間、部族の旅路と同じルートで大規模な蝗害が発生したのである。
 木々を、食物を、生物を……蝗の群れはその全てを喰らい尽くした。
 部族の食い扶持など、ほんの欠片さえも残ってはいなかった。
「食物の備蓄も尽きた……鉱石や金銭はあるが、この状況ではな」
 と、そう呟いて男は槍を持ち上げる。
 いつの間にか、テントの周辺に痩せた男たちが集まっていた。
 一族の人間ではなく……元々、近くに住んでいた者たちか、或いは近隣を縄張りとしていた盗賊の類であろうか。
「食い物もない。盗賊には襲われる……まったく、踏んだり蹴ったりとはこのことだ」
 痩せた腕になけなしの力を込めて、男は槍を構えてみせた。

●支援要請
「ってわけで、お前らには物資……主に食糧の運搬と、それから炊き出しを頼みたい」
 そう言って『君のハートを撃ち抜くぜ』ヨアヒム・マイヤー(nCL3000006)は自身の背後を指さした。
 そこには、木箱の積まれた荷車が停められていた。
 木箱の中身はおそらく食糧なのだろう。
「ここからそう遠くない……まぁ、歩いて半日ほどの場所に部族の連中は待機している」
 道中には、盗賊が出ることが予想される。
 あるいは、蝗の群れから逃れた野生動物が現れる可能性もあるだろうか。
「運べる食糧には限りがあるんでな、盗賊にまで分けてやれる余裕はねぇ」
 盗賊たちも飢えて、弱っているはずだ。
 しつこく追っては来るかもしれないが、戦闘力は高くない。
 遠距離から矢を射って来たり、石を投げて来たり……鬱陶しい思いはするかもしれない。
「まぁ、盗賊たちは捕縛するのがいいかもな」
 そう言って、ヨアヒムは荷車へと視線を向けた。
 荷車は壊れかけの古いものだ。ダメージが蓄積すれば、そう遠くないうちに壊れてしまうだろう。
 今回の任務のポイントは、以下のようになるだろうか。
 1・飢えた部族に食糧を届けること。
 2・食糧を狙って襲い掛かる盗賊や獣を退けること。
 3・集落までの安全なルートを確立させること。
「どれだけ盗賊や獣が出るか、またルートに問題がないかを確認するのも目的の一つだな」
 安全なルートさえ確率できれば、次回以降の支援は自由騎士でなくとも行える。
「支援は部族から頼まれたものだ。自由騎士の名誉にかけて、無事任務を終えてくれよ」
 と、そう言って。
 ヨアヒムは、仲間たちを送り出す。


†シナリオ詳細†
シナリオタイプ
通常シナリオ
シナリオカテゴリー
対人戦闘
担当ST
病み月
■成功条件
1.部族宿泊地まで食糧を運ぶ。
2.道中に出る盗賊たちを捕縛する。
3.部族宿泊地までの安全なルートを確立させる。
●目的
部族宿泊地までの安全なルートを確立する。
部族宿泊地へ食糧を運ぶ。
炊き出しのサポート補助。

●ターゲット
盗賊(ノウブルその他)×??
道中に現れる盗賊たち。
正確な数は不明。
捕縛することで、道中の安全が確保される。
また、部族の宿泊地周辺で炊き出しをしていれば臭いに誘われて現れることが予想される。


●場所
徒歩で半日ほどの場所にある山の麓の林跡地。
木々も、動物も、蝗に喰われてしまっている。
そのため獣肉や野草、山菜などを採取することはできない。
街道を辿って進めば宿泊地に到着する。
道中には盗賊が現れることが予想される。
状態
完了
報酬マテリア
1個  5個  1個  1個
10モル 
参加費
100LP [予約時+50LP]
相談日数
7日
参加人数
4/8
公開日
2020年06月21日

†メイン参加者 4人†




 荒れ果てた街道を抜けた先、立ち並ぶは20ほどの皮のテント。
 彼らは特定の地に定住せず、絶えず旅を続けている少数部族の野営地だった。
 旅先で狩った獲物や、採取した鉱物を食物と交換して日々の糧を得ているようなその日暮らし。
 けれど、ここひと月ほどは喰うや喰わずの生活を送ることになっていた。その原因は、つい先だって近隣で発生した蝗害である。彼らの分の食糧は、蝗たちが喰らい尽くした。
 飢えに苦しむ彼らを救うため、4人の男女……自由騎士たちが現地へ向かう。
 食料を満載した荷車を引きながら、『黒薔薇』キース・オーティス(CL3000664)は左右に広がる荒れた田畑へ視線を向ける。
「話にきいてはいたが、コレはひどいな。みんな食い散らかされてしまっている」
 憂いた表情を浮かべたキースは、囁くようにそう呟いた。
 天候は快晴。荷車を引くキースの黒髪は、汗で頬に張り付いている。キースはこの国の貴族の1人だ。イ・ラプセルの貴族がこうして飢えた者たちの救済へ向かうという事態は本来ではあり得ないことだろう。
 だが、キースは嫌な顔ひとつせずにその任務をこなしてみせる。
 そんなキースを先導するように歩くサーナ・フィレネ(CL3000681)もまた、視界に映る惨状を直視できないでいる。
「植物の気配が……」
 ノウブルに対して苦手意識を抱いているサーナは、荷車を運ぶ仲間たちから離れて周囲の警戒に当たっている。
 食糧不足に苦しむのは、件の少数部族だけではないのだ。
 近隣を根城としていた盗賊や、喰い詰めた傭兵、或いは蝗に襲われた村の生き残りの一部も、今や飢えた腹を満たすためなら何でもする盗賊と成り果てている。
「仕事は、食糧を運んで炊き出し。それからルートの安全を確保すること……よし」
 今回の任務内容を口に出しながら、サーナはきつく拳を握る。

「蝗害か……こりゃ、被害はこの部族だけの話には収まらんよな。この一帯の被害状況やら、この地域の食糧事情やらを更に広く調べて鑑みる必要があるんじゃねえの?」
 汗の滲む額を拭い、『機神殺し』ザルク・ミステル(CL3000067)はそう言葉を紡ぐ。荷車を押しながら、ザルクは自身に付き従う歩兵隊へハンドサインを送った。
 その合図を受け、歩兵部隊が周囲へ散開。
「き、来ました……!」
 ザルクの指示とほぼ同時、先頭を進むサーナが叫んだ。
 サーナの声を聞いたザルクは「そろそろだと思ったよ」と、うんざりしたようなため息を零す。
 愛用の回転式拳銃へと手を伸ばすザルク。
 その隣では、サーナの警告と同時に愛用のレイピアを引き抜いた『ウインドウィーバー』リュエル・ステラ・ギャレイ(CL3000683)が、青い瞳に戦意を灯し盗賊の襲撃に備えている。
「少なくとも英雄が怪物を退治する冒険譚にはなりそうにないけど、オレはバッドエンドは大嫌いなんでな」
 なんとしてでも、部族の野営地に食糧を送り届けるのだと、その瞳が告げていた。


 汚れた肌とこけた頬、荷車を囲むように現れたのは都合8名ほどの盗賊だった。
 その手には錆びた鍬や斧、それから一部は剣を携えている。
「カバーは連れてきた装甲歩兵隊に任せて俺たちは盗賊団の制圧・捕縛に動くぞ」
 と、そう宣言したその直後、ザルクは地面へ向けて不可視の弾丸を撃ち込んだ。
 盗賊たちの中で、ザルクの挙動に反応できたのは4名ほど。全員、錆びた剣を手にしていることから元は傭兵か兵士であろう。
 ザルクを中心に不可視の結界が展開される。
 後方へ跳び退った盗賊4名のみが、その範囲内から逃れることに成功する。
 残りの4名は効果範囲に閉じ込められ、その動きを停止させる。

 スキルを用いた急加速。
 リュエルの視界に映る景色が、高速で後ろへ流れいく。
 一瞬で盗賊の1人へと接敵し、その首筋へレイピアの切っ先を突き付ける。
「勝てないって思い知らせてやればそれで済む……命までは奪いやしねぇよ」
 リュエルの剣捌きを盗賊は目で追うことができないでいる。
 驚愕に目を見開いた後、その頬に一筋の冷や汗を流す。
 たった一閃を見ただけで、その盗賊は互いの間にある実力差を理解した。
 だが、それでも……。
 彼は飢えに抗うことが出来なかった。
「う、うぁぁぁ!!」
 恐怖心を誤魔化すかのような雄叫びをあげ、盗賊は剣を振り上げる。
 だが、飢えた身体では満足に戦えるはずもなく……。
「それだけ飢えてるってことか……同情したいのは山々だけど、生憎とこの食糧はあんたらの分じゃないんだ。ごめんな」
 レイピアをさらに一閃。
それだけで、リュエルは盗賊の意識を刈り取った。

 ザルクのスキルによって身動きを封じられた盗賊4名は、装甲部隊が拘束していく。
 その隙にキーズはレイピアとマンゴーシュを構え、2人の盗賊たちの間へと飛び込んでいく。
「矢の数本程度で壊れる事はないだろうが、接近されて打撃を受ければわからないからな」
 荷車が攻撃を受けないよう、キースは敢えて敵の中央へと接近することを選んだ。
 接敵と同時にマンゴーシュの一撃で盗賊の1人を牽制。
 マンゴーシュを振るった遠心力を加速に乗せて、もう1人の腕にレイピアの一閃を叩き込む。
 盗賊の腕から血が噴き出し、その手から剣が滑り落ちた。
 マンゴーシュを叩き込まれた盗賊は、その光景を見て戦意を喪失したのだろう。
 腹部を抑え蹲ったまま、空腹に顔を俯かせる。

 錐に似た刺突専用の刀剣・エストックを構えサーナは盗賊へと接近。
 迎撃すべく、盗賊もまた錆びた剣による突きを放った。
 だが、間に合わない……。
「敵は単体……それなら」
 サーナが発動したスキルは【ヒートアクセル】。巧みな身体制御により、最高速の一撃を対象へと叩き込む軽戦士の技である。
 盗賊の剣が、サーナの銀髪をほんのひと房切り裂いた。
 はらり、と風に舞い散る銀髪。
「申し訳ないですが、縛って連れて帰らせていただきます」
 と、視線を伏せた姿勢でサーナは告げた。
 ノウブル種を苦手とする彼女にとって、盗賊の強面を間近で直視することには苦手意識を感じているのだろう。
 サーナの一撃を腹部に受けた盗賊は、白目を剥いて崩れ落ちた。

 縛り上げた盗賊たちを引き連れて、4人は部族の野営地へと向かう。
 その道中、荷車に満載した食糧の臭いを嗅ぎつけて、数頭の獣……それは野犬と猪であった……が一行の前に現れる。
「獣の方が盗賊よりやっかいかもしれん……」
 そう呟いて、キースはレイピアを引き抜いた。
 可能であれば猪の方は仕留め、食料に追加する心算であった。けれど、先頭を進むサーナは無言で首を横に振る。
 よくよく見れば、その猪や野犬の身体は、骨と皮ばかりで肉はげっそりと落ちていたのだ。
 これでは仕留めたところで食糧にはならないだろう。
 猪や野犬もまた、荷車を運ぶ人間たちの数を見て、およそ敵わないと察したようだ。
「…………」
 しばらくの間、荷車へと視線を向けていたのだが、やがてゆっくりと何処か別の場所へと立ち去って行った。
 
 少数部族の野営地は、荒れた街道を抜けた先……数年ほど前に破棄された村の跡地であった。
 ザルクとリュエルは視線を交わし、苦々し気に唇を噛む。
「こりゃひでぇな……」
「あぁ、それにこの辺りは死角も多い。盗賊がいるのなら、襲撃に適したポイントだろうな」
 集落の中央付近にまとまってテントを展開していた部族の民たちは、皆一様に痩せこけ、疲れた顔をしていた。
 ここ暫くの間、盗賊や獣の襲撃に注意を配りながら、日々を過ごしてきたのだろう。
 その証拠に、自由騎士たちの姿が見えたその瞬間、部族の大人たちは痩せた身体に鞭打って、各々武器を構えたのだ。
 だが、自由騎士たちが己らの任務を告げた瞬間、彼らは露骨に安堵し、その場に座り込んでしまった。
 立って、武器を構えることさえ辛かったのだろう。
「何を置いてもまずは炊き出しだな。炊き出しといえば、やはり汁物だろうか?」
「あの……ずっと食糧が足りてなくて弱っているなら、消化がいいものを作るのがいいかもって思います。お水多めで、お粥みたいにして」
 荷車から食材や大鍋を下ろしながら、キーズは部族の民たちを見やる。
 その傍にそっと歩み寄り、小さな声でサーナは告げた。
 こうして4人は、部族の野営地で急遽炊き出しを開始する。

 野営地の中央に大釜を設置し、キースたちはその中に水と食料を投入していく。
 周囲には部族民たちが集まって来た。
 大人たちは涙を流し感謝し、子供たちは今にでも釜に飛び寄りたそうな顔をしている。
 そんな部族民たちの様子を眺めながら、キースは薄く笑みを浮かべた。
「万一荷車が壊されたら、木箱を自分で担いででも宿営地まで運ばなければ……と思っていたが、こうして無事に食料を運び込むことができた」
 これで、部族民たちがすぐに命を落とすということはなくなるだろう。
 だが、脅威が去ったわけではない。
 少なくとも暫くの間、部族の飢餓は続く。必要なのは継続した食糧支援だ。そのためには街から集落までの道中の安全を確保する必要がある。
 現在、定期的な食糧供給を妨げているのは“盗賊”たちの存在だ。
「それに、問題はここだけじゃねぇ……被害の出てる地域への同じような支援が必要な所をリストアップしないとな」
 愛用の拳銃に弾丸を籠め直しながら、ザルクはそう呟いた。
 今回発生した蝗害の被害は大きい。
 おそらく、今回支援を要請してきた少数部族のほかにも、苦しんでいる者は多数存在するはずだ。
 今回の任務は、今後の支援に向けた云わば試金石……道中の確保を先に行い、その後定期的な支援に移る……という方法で問題がないかの実験であった。

 腹部を抑える子供たちに近づいて、サーナはその場にしゃがみ込む。
「お腹……空いた? 甘いものはすぐ力になるし、炊き出しができるまでこれを」
 懐からサーナが取り出したのは、出立前に用意してきた菓子である。
 しばらく碌な食事をとっていない……ましてや、甘味などとは縁遠い生活を送っていた子供たちにとって、飴玉はまさに御馳走だろう。
 花の咲くようないい笑顔を子供たちは浮かべる。
 それを見て、サーナも小さな笑みを浮かべた。
「よし! ひとつ曲を演奏してやるか! 陽気な曲がいいか? それとも優しい曲がいいか?」
 持参した弦楽器を手に取って、リュエルはそれを颯爽と構える。
 しばし思案し、奏でる曲を決めたリュエルはその場で曲を披露し始めた。
 音楽で腹は満たされないが、それでも一時の無聊とはなるだろう。
「さて……」
 と、そう呟いたのはザルクであった。
 ハンドサインで装甲部隊へ指示を出し、炊き出し用の釜を守らせる。自身は銃を手にとって、部族の野営地から離れていく。
 その後に続く、キース、サーナ、リュエルの3人。
「集まって来たか」
 と、リュエルは言った。
 4人の視線の向く先には、炊き出しの臭いに釣られて集まって来た盗賊たちの姿があった。


 不可視の弾丸を地面に撃ち込み、ザルクは現れた盗賊たちの動きを止める。
 展開された束縛結界に捕らわれ、盗賊の数名がその場に倒れた。
「この状態だ。お前達だって奪って生きるのは難しいって分かってるだろうに。臭い飯を食って罪を償って、開拓でもした方がいいと思うぜ」
 倒れた盗賊たちの急所を外して弾を撃ち込み、ザルクはそう呟いた。
 
 部族が野営地としていた集落跡地やその周辺は、盗賊の根城でもあったらしい。
 蝗害によって住処を奪われた盗賊や、喰い詰めた村人たちは、比較的落ち着いて住むことができるこの集落跡地に集まっていたのだろう。
「この数相手に手加減してる余裕はないな……手傷を与え、戦闘不能にしてから捕縛がいいか?」
 地面を蹴ってリュエルが駆ける。
 手近な盗賊をバックラーで弾き跳ばすと、返す刀でレイピアの一閃を放つ。
 背後からリュエルに迫っていた盗賊の手を切っ先で抉り、その手から剣を落とさせた。
 カラン、と乾いた音がしてリュエルの足元に錆びた剣が転がった。
 踏み込みと同時にその剣を砕き、また別の盗賊へと襲い掛かる。

 スキル【ラピッドジーン】によって加速したサーナは、盗賊たちを引き付けながら野営地からは距離を取る。
 飢えた盗賊たちは、今すぐにでも野営地へ襲撃をかけたいだろう。
 だが、そのためには自由騎士が邪魔になることは、本能的に理解していた。
 だからこそ、盗賊たちはサーナへ向かって複数名で襲い掛かる。
 少しでも、サーナを倒せる確率を上昇させるため……。
 だが……。
「貴方たちを倒して、ルートの安全を確保します」
 片手に構えたエストックを頭上へ突きつける。
 展開される魔法陣から、極寒の冷気が吹き荒れた。
 危機を察した盗賊たちが逃げの姿勢に移るが、すでに手遅れ。
 空気が白く染まるほどの冷気。氷の矢が盗賊たちへと降り注ぐ。

 レイピアを一閃。
 放たれた青い魔弾が、逃走を図る盗賊の背に命中した。
「これで最後だ」
 レイピアを腰の鞘に仕舞って、キースはそう言葉を発す。
 直後……。
 魔弾が爆ぜ、盗賊の身体を凍り付かせた。

 持参した食糧は、すべて野営地で降ろして来た。盗賊たちを捕縛したこともあり、しばらくの間なら部族の民だけでも自分たちの住処を守り通せるだろう。
空になった荷車に、怪我のひどい盗賊たちを乗せて4人は街へと引き返す。
後は盗賊たちを引き渡し、安全なルートや必要な物資について報告すれば任務は終了。
「けれど、困っている民はまだまだ多いはず……自由騎士は人々に希望を届けなければな」
 国の民を救う一助となったことを実感し、キースはそう呟いた。
 彼はきっと、今後もこうして民を救うため戦い続けるのだろう。


†シナリオ結果†

成功

†詳細†

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