



シャンバラ

――四つの足音が森の中に小さく響く。
一人は手に細い剣を持っていた。
一人は手に大きな斧を持っていた。
一人は手にライフルを持っていた。
一人は手に細長い杖を持っていた。
服装はそれぞれ全くの別で、前衛は防具で身を固めている。
後衛とおぼしき者達は無防備ではないが、前衛二人に比べれば軽装だ。
武器も服装も全く違っている四人だが、その頭部は同じだった。
四人とも、真っ白い頭巾をかぶっている。
頂点が尖っている、円錐形の白布の頭巾であった。
「――この先にいるか?」
斧を手にした男が小さく言う。
彼らは足を止めることなく、一路森を進み続けた。
「この先にいる。地面を見てみろ。濡れた地面に足跡が残っているぞ」
「そんなことにも気づけないとは、魔女め、いよいよ追い詰められたか」
残された足跡を追って、四人は森を進む。
一切の迷いなく進んでいく。
「しかし、結局生け捕りできそうな魔女は一人だけか」
「いや、残った魔女も見つけ次第殺す」
「何だと? それでは教師会からもらえる褒賞が減るぞ」
「こっちだって余裕はない。生かしたまま国に連れて帰れるか?」
「……そうだな」
「ああ。間違いなく途中で死ぬからな。だが死体だけでも褒賞はもらえる」
「そうだな。これもいと高き神への奉公となるだろう」
「おお、ミトラースよ。いと高き神よ」
「ただ一つ、真白きミトラースよ、どうか我らの行いを見守りたまえ」
「魔女を捕らえろ」
「魔女を縛れ」
「魔女を吊るせ」
「魔女を殺せ」
成り立っていた会話は、いつの間にか神への賛美と魔女への憎悪に染まっていた。
規則正しく鳴らされる四人の男達の足音。
各々、武器を手にしながら、彼らは無心に進み続ける。
「「魔女を狩れ! 魔女を狩れ! 魔女を狩れ! 魔女を狩れ!」」
ここが異国の地であろうと、彼らにとっては関係ない。
彼らは“魔女狩り”。
遠きシャンバラの地より、逃げた“魔女”を追ってきた狂信の徒である。
【関連依頼】
『【シャンバラ】魔女狩りの森』(担当ST:吾語)
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