●!? (´・ω・`) (´・ω・`)(´・ω・`) (´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`) (´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`) (´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`) うわああああああああ! ●開幕! 「そんな訳で! 暑い夏が! 今、忘れられない夏が! 始まったのでした!」 「何が始まったか知らんが、いいから落ち着け三百歳(仮)」 『塔の魔女』アシュレイ・ヘーゼル・ブラックモア (nBNE001000)の頭が痛くなるようなテンションの高さに律儀なツッコミを入れるのはリベリスタである。空調の素晴らしく効いたブリーフィングは快適な空間に違いなかったが、一歩外に出て炎天下に立てばうだるような暑さなのだから……成る程。外の気温は人間を一人おかしな具合にするには御釣りが来る程と言えるだろう。 「いや、お前がおかしいのは何時もの事か」 「何の事ですか! 心なしか失礼な事を言われたような!」 リベリスタの内心を知ってか知らずか。 抗議めいたアシュレイは相も変わらず人好きのする笑顔のままである。 「そう、それで始まったんですよ!」 「だから何が」 「どんどんぱふぱふ! 三高平(´・ω・`)ピックの開幕ですよ!」 「……おい」 その響きの頭の悪さに頭痛を禁じ得ないリベリスタである。アザーバイド(´・ω・`)は無限の増殖性と貧弱さを併せ持つ(知られている限りは)最弱級のアザーバイドである。(´・ω・`)ピックなる響きが何を意味しているかは時事ネタで明白であるがそれは一体。 「昨夜未明、三高平市内に中規模のバグホールの発生が確認されました! そこからですね、変種の(´・ω・`)が市内に溢れ出したみたいでして。この(´・ω・`)、増殖性は以前のモノより低いんですが素早くてしかも逃げ回る。やられるのを唯(((´・ω・`)))しながら待っていた従来の(´・ω・`)とは違って少し厄介です。そこで!」 「そこで?」 聞きたくないけど。 「唯、駆除するのも退屈かと思いまして! このアシュレイちゃん、三高平(´・ω・`)ピックを開催する事にしたのです! ルールは簡単、一番(´・ω・`)を倒して高得点を挙げた人の勝ち! ちなみにたまに混ざっているレアもの(´・ω・`*)は得点が百倍ですよ!」 「……こうなる前に予知出来なかったの?」 「見えませんでした!」 「……そう……」 とても良いお返事ですね。 全身に纏わり付くような疲労感に溜息を吐くリベリスタ。 そんなリベリスタの様子に委細構わず相変わらず真夏の青空のようにピーカン突き抜けたアシュレイは楽しそうに良く喋る。 「皆さんの奮闘は『三高平市野鳥観察愛好の会』の皆さんがカウントしてくれますから安心ですね!」 「おい……」 疲れ果てたリベリスタすら低い声を上げざるを得ない。 アシュレイが背後のモニターに映し出したのは…… 「――千堂じゃねぇか!!!」 確かにそういう顔だけど!もう何処から突っ込んでいいか分からない! |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:YAMIDEITEI | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2012年08月16日(木)22:07 |
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●開会式! 抜けるような青い空。雲ひとつ無く晴れ渡った晴天の下。 自分の季節の訪れにギラギラと滾る太陽と、乱反射する蝉の声。 息苦しい位に熱された空気と、それをたっぷりと溜めるアスファルトの存在感は今日も何一つ変わらなかったが―― 「さあ、皆さん! 楽しく! 明るく! 元気良く! スポーツマンらしい爽やかな感じでいきましょうね、一つ!」 「この暑い中、或る意味でちょっとびっくりするけどね……」 「あくせく遊ぶもとい働くのは若い子に任せるとして」と小さく肩を竦めたエレオノーラの声色は底抜けに明るくピーカンな『塔の魔女』アシュレイに対して何処か諦念が混ざっていた。そこはそれ、太平洋側沿岸付近に位置し、比較的『過ごしやすい』気候が多い静岡県のウリである。熱中症に気を配る『競技』の存在もギリギリ赦せるコンディションであると言えるのだろうか。 三高平市の中央広場には実に多くの人が集まっていた。真夏の日の炎天下に酔狂が頭を並べて百数十人。 「久しぶりに声がかかったと思えば……まあ、良いでしょう。仕事は仕事です」 何事かと興味を持ってよくよく話を聞いてみれば貴方はこの省一と同じく軽い頭痛を持ち帰る事が出来るだろう。 「ふっ……このイセリア剣一筋ゆえ、この日の為に大型地デジTVを買ったというもの。 見せてもらおうか。四年に一度の祭典とやらの――その力を!!!」 「なんと! シンクロナイズドリミングに出場です! 絶対勝つのです! どりーむ掴むです! なんと! りくじょう競技なのです!」 (´・ω・`)三(´・ω・`) 「おお! 妹よ! その技は!」 「はんぷくよこどり! はいぱー馬です号と一緒にアドリア海の風になるのです!」 精々駿河湾の風じゃねーの? 「応援しているぞ!」 「大ねーやんは見ているだけですか!」 「古来どりシャ(´・ω・`)ピア大祭の頃から言われていることがある。 参加することに意義があるのだ! 分かるか? ユビキタスネットワークの時代、時間と空間を超え、有機EL越しにも参加出来る恩恵を、現代に生きる私達が利用せずして何とするか! つまり、私は! 大画面テレビを買ったんだぞ! それに暑いだろう!」 「! 大ねーやんかしこいのです!」 次女が今日ここに寄り付こうともしなかった理由が知れるイセリアにイーリスである。草葉の陰で他人の振りをしている事であろう。 「――リベリスタもフィクサードも暇人が多いのね」 イシュター姉妹のおかしな挙動に溜息を零すように言った氷璃の黒い日傘が珍しく素直にその役を果たしていた。 真夏の三高平市を舞台に開催される事が決まった今日の日は、魔女の言う所の『三高平(´・ω・`)ピック』である。イシュター姉妹がはしゃぎ、名を聞けば分かる通り、それが遥か西方――ユーラシア大陸の西端に浮かぶ島国でまさに今行われている世界的イヴェントにあてつけたものである事は間違いない。まさに今霧の都で世界に威信を示す英国出身の彼女が、極東の同じ島国で悪趣味な冗談を飛ばしているという訳だ。それも『平和の祭典』をからかうようなものを『此の世を混沌に落とす女が真似る』というのは中々どうしてエスプリが効いている。 「(´・ω・`)ピックッスか。 オリンピックに合わせてるんスかね。まぁ、たしかにこんだけ(´・ω・`)がいれば、オリンピックも開けそうッス。 アシュレイさんなら(´・ω・`)も従えれそうッスけど……」 「ロンドンオリンピックにちなんで三高平(´・ω・`)ピックなのでしょうね。 ……どう考えてもアシュレイさんがやらかしたとしか考えられない状況ですが……最近出落ち担当なのでしょうか?」 「最近、ほら……暑いですから」とリルに応えた凛子の言葉はそれなりに辛辣である。 最弱にして無限の増殖性を持つアザーバイド『(´・ω・`)』が都合よく今日市内に大増殖を果たしたというのは――大掃討にかこつけて競技競争が行われる事になったのは『24、The World』で運命を覗き見るアシュレイにとって『本当に不可避の未来』だったのか、どうなのか。 ……その辺りは一応「故意では無い」と言ったアシュレイを信じておくとしてもである。氷璃がリベリスタのみならず「フィクサードも暇人」と断じた理由は拡声器で魔女らしからぬすっとぼけた声をばら撒き続けるアシュレイだけでは無い。 「ふっふっふ、このあたしがひそかにみたかだいらにしんにゅーしているとはおしゃかさまでもきづかないにちがいないのですぅ」←これとか 「じゃー、頑張ってね。僕がバランスよくカウントするからね。一応程々に優勝目指して?」←これとか ……明らかに普通なら三高平市に居てはいけない異分子(フィクサード)がしれっとした顔で参加しているのがまさに今日の緩さの証明であった。ストロベリー・キューティ・ベリーズに千堂遼一。前者は勝手に潜り込んだいちご芸人、後者はフィクサード主流七派が『恐山』の切り札たるバランス芸人である。尤も何れもフィクサード『にしては』比較的危険度は小さく、アークとは友好的な関わりを持つ人物ではあるのだが…… 「……まぁ、折角だから私なりに楽しませて貰うけれど」 ぽつりと付け足すように呟いた氷璃の視線の先には言わずと知れた彼が居る。抜けるように白い肌のフランス人形が、夏に涼やかな寒色の彼女が酔狂な真夏の炎天下に付き合うには『溶けている』程度の理由が必要なのは明白であった。 とは言え、この熱いのに全く怯まずいよいよもって暑苦しい――じゃなかった情熱的な人物が少なくないのも又事実である。 「宣誓っ! 我々はっリベリスタンシップに乗っ取りっ正々堂々とっ競い合うことをっ誓いますっ!」 「我々はリベリスタンシップに乗っ取り、正々堂々と(´・ω・`)を撃破する事を我が主とアークに誓います! ……オレは正々堂々と全力を尽くし、トップを目指す! 発案者があの魔女というのは気に食わんが、イベント自体に罪は無いからな!」 お遊びめいた選手宣誓であっても風斗のド真面目さは変わらない。何だこのハーレム野郎が! 一方のリリは『彼程のテンションでは無い』が、それなりに楽しむ気なのは確かなようで、 「――さあ、お祈りを始めましょう」 「正々堂々と行きましょうね、リリさん」 同道する友人のミュゼーヌと互いの銃を掲げて健闘を誓い合っていたりもする。 (……相手は(´・ω・`)なのよね……) ミュゼーヌの涼やかな美貌は今日もそれなりの余裕を湛えているのだが、その実を言えば彼女の中に苦手意識があるのは確かである。それは基本的に『フィクサードが大嫌い』な彼女が(多少は気心知れ、無害とはいえ)『フィクサードの悪ふざけ』に付き合った理由の一部なのかも知れない。過去の二度の(´・ω・`)との遭遇は彼女にとって痛い敗戦の記憶なのである。強いか弱いかでは無く、厄介。まさか百数十人にも及ぶリベリスタを動員する今日の大掃除が失敗に終わる事は無かろうが、平静を装う彼女が案外に闘志に燃えているのは事実である。 「司令、一つ提案がございます」 普段『そういう顔』を見せない永の顔が悪戯気に綻んでいた。 「写真を撮りましょう。参加者と関係者全員、そう、全員です。個別も集合も。アークは無論、セバスチャン様やクラリス様、千堂様やアシュレイ様やドリン達もです。そして配りましょう。オルクス・パラストや恐山にも送りつけてしまいましょう」 オリンピックは平和の祭典。ならばドリンピックも―― 「国も人種も覚醒者も一般人もリベリスタもフィクサードもエリューションすらも、区別する事が馬鹿馬鹿しいほどのお祭り騒ぎ。 明日には元に戻るとしても、夏の陽気が皆を開放的にした、それだけでも。今日はそれでよろしいではございませんか」 「成る程、それは面白い」 「貴樹!」 頷く貴樹に向こうから声をかけるシュエシアの声は夏らしく華やいで弾んでいた。 「貴樹、頑張って高得点を取れたら、正式にお傍に置いてくださいデスよ!」 「優勝したら、な」←年寄りの冷や水 「……何だか俄然、やる気が出てきましたデスよ!」←孫位の歳 そう評していいかどうかは微妙だが『乙女の事情』に燃える彼女のやる気は十分であろう。 「……だ、れ、が、アークの子に手を出すなって言ったっけ?」←息子 「さあな」←父 「あら。その命令は撤回して貰わないといけないわね?」←氷璃 孫位の歳の少女と戯れる父親と親以上の歳の『少女』と戯れる息子。 「危険なアザーバイドを放っておくわけにも行きませんから、参加しにきました。べ、別に沙織さんの為じゃないんだからねっ!」 「はいはい。はにゃーんはにゃーん」 「誰がはにゃーんですか!」 「京子さん」 「裏切り者!?」 頭を撫でる手にぶーたれた京子の否定を即座に否定するのはその親友の舞姫だった。 「ふっ、わたしたち最強コンビの活躍を、とくと見ると良いのです。 後、カウントすると良いのです。新田さ……、じゃなかった、千堂さん!」 「はいはい。頑張ってねーバランス良くツンデレて」 「ツンデレじゃありません!」 ……全く説得力の無い京子と喋ると台無しな舞姫。【熱海プラス・真夏の夜の夢編】と業の深い時村家である。 (フィクサードを三高平市に入れるなんて……) 相変わらず気楽な『要人』達の様に気を張る恵梨香の眉が神経質そうに動いている。 「よっしゃ、(´・ω・`)を模したまんじゅうを販売じゃ!」 商魂たくましい(?)メアリが(´・ω・`)=あんこ、(´・ω・`*)=しろあん、抹茶とかハバネロとかその他諸々を取り揃えている。 「お饅頭にはお茶が合いますよ。皆さん、頑張って下さいねー」 ひらひらとした可愛らしい制服に――鈴宮紅茶館『フィーリングベル』の制服に身を包み、店を出張させている慧架が手を振れば、 「全く、暑い中お疲れさんだ。こんな暑い夏の日に体を動かすって気にはならねぇものなぁ」 「以前にも相対したことがある(´・ω・`)が大量発生とは。今回は他の皆さんの手際を観戦させていただきますね」 「先輩方の戦いを観戦するよ。ボクはまだまだ荒事(?)に参加するほど力が無いからね」 「(´・ω・`)というのは今まで歴戦のリベリスタでさえ、勝ちを収めることができなかったと聞きますし」 巨大なビールタンクを備えた4tトラックで乗り付け、もっともな事を言う烏と「さにあらん」と冷えたビールのジョッキを片手に完全に『オフ』の風情の星龍、極々普通に見物を決め込む忍と紗奈、 「おおう、盛り上がってきてんな……これは儲けれるんじゃねぇか? よーし。さぁさぁ! 誰が最初に(´・ω・`*)を狩れるのか! 賭けたいやつは俺の方にきな! 参加に1000! 賭けるのは一口1000からだ! 見事当てたら貯まった掛け金は当てたやつのものだぜ!」 「お、面白ぇ事やってんな」 ……お約束に胴元を始めた隆明と興味を示す不良中年・真白智親の姿もある。 「イヴたん! アシュレイちゃん! クラリス! ノーピーチでフィニッシュ!」 名を呼んだ女性陣全てから微妙な距離を取られる竜一も今日も今日とて健在。 「うむ! 今日も俺は絶好調! 上位入賞してぱふぱふ祝福してもらうぜ!」 「夏は暑いな? 頭も茹るな?」 躾けないユーヌ。躾けられない竜一である。 兎に角、一口にドタバタと言えば単純ではあるがそれを織り成す人々の様は色々だ。 参加する者も、最初からその気が無い者も。休日の時間は誰にも平等という事なのだろう。 「さあ、数多の感動を飲み込んで今、戦士達が夏の日に舞い上がろうとしています! 準備はオーケーですか? オーケーですね? 優秀なるスタッフの皆さんも腕をぶしてその時を待ち望んでいますよ!」 イカれた魔女のテンションが選手より先に夏の宙でブレイクダンス。こんな酷いイベントにも世話焼きのリベリスタ達は少なくは無く、ハードなる戦いを支えるのはまさにハードに挑む大会スタッフの面々達であった。 「雑用、力仕事任せとけ! 後でビールを呑み放題な!」 「おー、頑張れ」 力こぶを作って見せ、厚い胸板を張るのはディートリッヒ。売れる程ビールを持ち込んだ烏が安く請け負う。 「弱くても数の多さに押されて戦闘不能になる人も居るかも知れませんしね」 「ももこでーす♪」 毎度お馴染み救護のマークのついたテントには麻衣や桃子()の姿がある。 (約一名のお陰で)救護能力に不信はあるがえなちゃんでも与えておけばそれなりに働くのかも知れない。 「猛暑日の試合だから、水分と塩分をちゃんととっとかないと倒れちゃうからね。 グルメ王だろうとゴッドタンだろうとここはど~んと任せてもらうよ」 「目指すは給水所ならぬ給EP所……語呂が悪いですね。何か良い名称は無いものでしょうか……」 「参加者の皆さんは己が体力の限りを尽くして競技に参加されるでしょう。それを支えるのがわたくしめの役目なれば」 給水場ならぬ回復場のテントには特製のスポーツドリンクを用意した凪沙、難しい顔をして小首を傾げる大和、ジョンが居る。インスタントチャージによる回復は長丁場を戦う戦士達の助けになるだろう……と言うか(´・ω・`)が相手では必須に近い。 「ふっふっふ。りべれすたどもめ。 恐山会のせんどーがカウントしているのが運のつきなのです。 恐山会ならあたしのおねがいひとつでいくらでも操作できるのです。 まずはせんどーにいちごのわいろをおくってあたしのカウントを水増しするようにいっておくのです。 いちごだけでたりないならおじいちゃまからもおねがいしてもらうです!」 口に出てるこいつとか、 「現れましたね……! 怪盗ストロベリーさんっ、何故分かったかですって? ……ふふっ、他の方の目はごまかせても、この空色ホームズの目はごまかせませんっ! 貴女の企みはこの私が阻止してみせますっ!」 「りべれすたがでたです!?」 「お嬢様、そこな怪盗様といつまで遊んでいらっしゃいますの……? ……は?【ホワイト・ワトソン】くん? 何ですのそれ? え、わたくしですの……!?」 空色チェック基調の可愛い探偵コート姿――要するに自前の衣装で決めて彼女に付き合うアリスに、付き合わされるミルフィ。 「こんにちは、いちごぱんつ。今日は何をとりにきたの?もしかしてルカの白いおぱんちゅ? いいわよ、うけてたちましょう」 「そんなのいらないです!」 「さあ、女子中学生の生脱ぎぱんちゅよ。 るかはBNE倫に挑戦するせくしーエロテロ要員なの。こんなあきらかにエロの要素がない場所でもエロタイフーンを起こすのがルカなの。 さあ、ルカのぱんちゅをうばってみなさい、いちごぱんちゅ。ルカもあなたのいちごぱんちゅを奪うわ。だから脱ぎなさい! めったに!を使わないルカが使うほど真剣よ。さあ早く!」 「へ、へんたいなのですぅ!」 あと人の話を全然聞かないルカルカ。 それから…… 「大会? どうでもいいですぅ! スポーツマンシップにモッコリして頑張れ! 応援だけしてやるですぅ! わたしは千堂を舐めるように見るのですぅ!! そろ~っと後ろから近付き、だ~れだっ! キャッ わたしってば乙女!」 「ロッテ君」 「千堂お久しぶりなのですぅ! ロッテですぅ! 覚えてますか? えへへ、千堂が野鳥の会に居るって聞いて来ちゃったっ! 双眼鏡で見る千堂……なんてバランスのとれた顔立ち……王子様すぎますぅ…… トキメキ☆プリンスですぅ! あと……パンツ何色ですか?」 ……全力全開でそあらる(動詞:主旨を無視して自由気ままに生きる動作)ロッテはさて置いて。 「フン。簡単な話だ」 「数が多いですからね。出来るだけ間違えないように気をつけましょう」 (こっそり千堂さんに憧れていたのでこれは近づくチャンス!) 千里眼と瞬間記憶を備える瞳、双眼鏡を片手に呟く貴志、これはこれでやる気があるらしい零児、 「ご好意で来て頂いたのにおもてなしゼロはバランスが悪い。 ……なーんて、少なくとも千堂さんはぶつかってない時にまで敵意を見せるような相手じゃないからね。今日一日、カウント頑張って下さい」 「こんな所まで借り出されてフィクサードも大変だね、まぁお茶でもどうぞ」 「とりあえずバランサーとしては遼一ちゃんに負ける訳には……雇われ野鳥の会ってどこからお金出てるの?」 「あー、ありがとうねー。アシュレイ君がアーティファクトくれたからね」 クーラーボックスに飲み物、冷たいタオルを抱えてやってきた理央、存外に好意的なアンジェリカ、謎の対抗心で手伝いをするエレオノーラ他諸々も含め準備万端の千堂以下『三高平市野鳥観察愛好の会』の方も抜かりは無い。中々陣営は厚いようである。 「ともあれっ! 今日の良き日に、三高平広場の聖火台に聖火が点ろうとしているのです!」 オーバーアクションでマントをばさあっとやったアシュレイにつられて面々が彼方を見ればそこには、 「あー、ちょっくらおどきなさって。あー、押さないでね。危ないからね」 「ギャー、ギャギャギャギャー!」 チンドン屋……じゃねえ豚と蜥蜴……オークとリザードマンが――煌びやかなパレード車に乗った【戦火隊】の面々が居た。 ――――♪ 「ふむ。これぞまさに主役の時間だな」 聖火ならぬ戦火のついたトーチを手にするのは(豚の方の)モニカ、ドリンが五つの輪になって重なりあう旗を振るのは盾である。 (オーク様に呼び出されましたの。開会式のセレモニーを行うとかでまさか『私』を歌姫として……昔の話ですが、なんだか嬉しいですわ!) パレード車の後部座席に乗り、朗々と響く歌声を披露するモニカの表情は懐かしい時間に綻んでいた。洞窟の過酷な生活はその実彼女にとって辛いばかりのものでは無いのかも知れないが、娑婆の頃の感覚に一時酔うのも悪くは無い。 「なかなかサマになってンな、思わずあっしも見惚れるほどだ。 おかげでアークの職員もすっかり騙され……いやいや……」 聖火台ならぬ戦火台に一行が近付いてくるなり悪い顔をした豚の態度は豹変する。 「ショーの始まりだぜ!」 「って、ええ!?その鞭は、ちょっと、アアンッ! あひぃっ!ヒィン!ま、待って、まっ……」 純白のドレスで着飾ったモニカを豚の鞭が翻弄する。破れた彼女の衣装の下から現われたのは何時もの黒いボンテージ。 「いいから四つんばいになって戦火を運ぶんだよ!」 「ウウ……しょせんわたくしめは雌豚、人に戻れるはずもないのですわ…… 皆の前でこのような仕打ち……ああ……ああ……!」 盛り上がる豚二匹。 「ギャーギャ」 「衣装は食べない方が良いぞ」 シルクハットにタキシードを着込んでいたリザードマンは盾の突っ込み虚しくそれをむしゃむしゃとやり始めていた。 「じー」 悲惨な光景を眠そうな目で、無表情のまま撮り続けるのはイベントと言えばデジカメで、デジカメと言えばのエリスである。 「じー……」 「ああっ! 叩かないで、いえ。もっと叩いても……アアッ!」 「もっと泣くんだよ!」 「ギャーギャー(あれも食べていいですか?」 「駄目だろう」 「……じー……」 エリスは首を傾げる。 「いかがわしいアレの撮影ですか?」 「ブッヒッヒ!」 魔女が余計な言葉を挟む。酷い戦火! 「オルクス・パラストのお嬢さんか。初めまして、可愛らしいお嬢さん。 僕も大雑把に言うとそっちの出向組なんだ。以後お見知りおきを。 随分とやる気満々だね? ダークナイトのお手並み、拝見させて頂くよ」 「フフ、そのお言葉そのままお返ししますわよ!」 ロアンに対したクラリス奇跡のシリアスモード等、幾らも持たぬ! 「くろリスお嬢さん、勝負しようぜ。僕が勝ったら、ちゅーしてもらうょ。僕が負けたら、くろリスお嬢さんの足なめなめしてあげるね」 「どっち道私が損してませんこと!?」 「えー、いいじゃんかよー。逃げるなよ、勝負しようよー。ふぇあ、ふぇあ」 「クラリス……クラリスお嬢様! あぁ、今猛烈に感動してる天風です! ついに、ついにアークでのお嬢様の初陣! それに付き従えるこの幸せ! 相手が例え(´・ω・`)でも全力ですよ!」 纏わりつくりりす、困惑するクラリス、うっとりと明後日に騎士の誓いを立てる亘――何時もの光景。 「如何でもイイが、あのナマモノ。齧ったら、すげぇ良い声で啼きそうよな」 「食べますの!?」 「くろリスお嬢さんを食べるよ」 「亘さん、助けて!」 「ええ、助けますとも。魅せましょう、自分は貴方の名に恥じない御付であると!」←噛み合っていない 「――兎に角、三高平(´・ω・`)ピック開幕です!」 増え続けるフィクサード共に構っていたら日が暮れる。 「今日の私はなんだか本気なの。どりん駆除がんばる!」 ドリンポリン。跳ねるどりんを逃さずHIT! ウエイドリフティング。大きめどりん発見。重い! もちあげてどーん! 成敗! フィールドリッケー。叩き込む! 次々撃ちぬく! バドリントン。ラケットじゃ一匹しか打てないから大杓文字でいっぺんにスマッシュ! ドリンアスロン。水中のどりんも見逃さない! 100Mハードリ。障害物にも負けないの! だってフライエンジェだもん! 三段どり。だるま落としの如く打ち抜く! デカドリン。どりん、思い切り息いれたら膨らみそう。 どり投げ! とぅ!」 「ドリンじゃないのです(´・ω・`)」 猛るニニギア、何故か悲しそうなそあら。 「市内にアザーバイド大量とかよく考えなくても非常事態じゃない。 アザーバイドは増殖性革醒現象を持たないらしいけど……、あー。まあいいや。深刻じゃないのね、深刻になっても仕方ないのね。潰す」 彩歌ちゃん、いぐざくとりぃ! やみはまさに今死闘を展開するが如く書いて、書いて、書きまくりあと半日ねぇんだよ! 「時村綜合警備保障㈱は、三高平(´・ω・`)ピックの公式スポンサーです!」 犬吠埼・『俺は(´・ω・`)の為に死ねるか』・守、渾身のサムズアップである。 個人的事情はさて置いて、まさに四年に一度の大イベント(の便乗商法)は今、開幕の時を迎えようとしていたのだ―― ●開幕 「さぁ、やってまいりました! 第一回三高平(´・ω・`)ピック。実況はアタシ白雪陽菜と……」 「『戦奏者』ミリィ・トムソンのダブル実況」 「解説は三高平のチートボックス、お肌の曲がり角は何時来るのか! 脅威の美白三百歳、ひきこもりの女王、アシュレイ・ヘーゼル・ブラックモアさんでお送りします!」 「余計なお世話です!」 放送席(?)は陽菜とミリィの立て板に水を流すようなトークのリレーにアシュレイがぶーたれる。 「いよいよ始まりましたね。三高平(´・ω・`)ピック! 勝利の栄冠は誰の手に渡るのか、今から期待が高まりますね」 「どんな戦いが各地に広げられているかわくわくしますね。感動は現地から飛行レポートしますよ!」 ミリィの言葉に瑠璃が応えて背の翼をはばたかせた。 三高平(´・ω・`)ピックの概要は三高平市各所に発生し、拡散されてしまった(´・ω・`)を多く倒した者が優勝という死ぬ程いい加減なものである。元々、発生してしまったアザーバイドの大掃除を悪乗りした産物なのであるからそこに細かいルールが必要な訳ではないのだが。多くの(´・ω・`)は突然変異としての能力を備え、素早く逃げ回るという。中でも時折混ざる(´・ω・`*)は強力な個体であり、倒すと百倍の点数が貰えるボーナスがあるという寸法である。 「何アレ? ……ふぅん、オリンピックならぬ(´・ω・`)ピック? 四年周期でやる心算なのかしらね?」 「酔狂ですよね!」 「桃子はあぁいうのは好きそうじゃないわよね。むしろ頑張ってる人にちょっかいかけていくタイプ? 私もそう思うわ。あんな屠殺対象を殴るより、リベリスタをからかう方が楽しめるものね?」 「そう言えば、今日はまだ夏栖斗さんを見てませんね!」 そう言う桃子が何故シャドーボクシングをしているかは聞かない方が幸せで。冷淡極まりないティアリアと桃子のやり取りである。 何だかんだで競争と悪乗りを好むリベリスタ達はまんまと釣られ……というかこの暇潰しに乗っかり真夏の三高平市を駆け回り始めていた。何せ娯楽要素無く只管(´・ω・`)を狩り続けた日には田奈アガサSTの『リベリスタになら出来る簡単な仕事』シリーズになってしまうではないか。 閑話休題。 「あら、わらわらしちゃって……やーね、何処撃っても当たりそう…… 濡れちゃいそーだわ、じゃなかった。ゾクゾクしちゃう……」 三高平(´・ω・`)ピックは大方の予想通り――わらわらに滅多遭遇出来ずに相当なストレスを溜め込む杏を早々と恍惚とさせる程、派手で華やかに始まっていた。何せ腐る程居る上に腐る程分裂する連中である。 「敵を狙う必要なんて無いわ。効果範囲内すべてをなぎ払ってしまえばいいでしょう? 今回敵味方の判別は要らないわね。だって、(´・ω・`)は敵だし、他のリベリスタは対戦相手だもの。 あたしの優勝を邪魔する奴は誰だろうがゆるさないんだから!」 「ちょーどまこ、攻撃は単体ばっかりだしぃ。折角だから(´・ω・`*)狙っていくねっ! えへへ、上位入賞できるとイイなぁ♪」 「但し、まこにゃんは除く!」 テンションを上げ、そこはかとなくヤバイ発言を飛ばす杏がエレキにギターをかき鳴らせば、吹けよ風。轟け雷。青白い雷龍が哀れな(´・ω・`)を吹き飛ばす。彼女よりも随分とカジュアルな真独楽は携帯でパシャパシャと写真を撮っては楽しそうにはしゃいでいる。鼻血が出そうな杏のテンションが更に暴発する程度には真独楽のショートパンツにビキニトップスは華やいで眩しいではないか。女の子にしか、見えない位に。 「うはははは、愉しいねぇ! たまんねぇな! いつもは味方を巻き込まないようにとか考えないといけないしね! 他の参加者? ……一発だけなら誤射かもしれないし! 烈風陣たーのしぃぃぃぃ! ヒャッフゥ!」 ……ストレスを大いに解消していると言えば烈風を従え暴れに暴れる弐升も同じだろうか。 群体筆頭を名乗る彼は同じ群体と言えなくも無いドリンを天高く弾き飛ばしては汚い花火に変えている。 「ヒャッフゥ!」 「――色々おかしいですが、突っ込んだら負けな気がするので突っ込みません」 取り回しの大きな自動砲をよっこらせと持ち上げて苛烈な弾幕をばら撒き始めたのは(メイドの)モニカである。 自重しない連中は自重しないなりに華々しく開幕の号砲を鳴らすのだ。杏の雷撃にせよ、(´・ω・`)を次々と木っ端微塵にするモニカの掃射にしろ派手という意味ではこの上なく派手である。 「(´・ω・`*)はたとえ発見出来て狙える位置に居たとしても狙いません。 何故かって? 確たる理由なんてありませんよ。強いて言うならば――単なる意地みたいなものです。 どこぞの最速の方は間違いなくあっちを狙うでしょうがね!」 熱と煙を上げる自動砲の銃身の先に――モニカのスコープの見つめるその先に『彼』は居る。 「フッ! 理解されているというのは中々照れるものだな!」 皮肉屋のモニカが褒めているかどうかは別にして、何時でも強気な鷲祐である。 喜平、吾郎等とチーム【レアハンター】を結成した彼は真夏の炎天下の下でも何時もと変わらずびゅんびゅかと元気に走り回っていた。 「ところで(´・ω・`)ピックってことは……俺の種目は一つ!」 無論、言うに及ばぬ百メートル走である。子供は風の子、ガイアは風の子であるらしい。 「あー、御前達の様な輩は流行らないし、流行らせない……!」 どうフォローしていいのか分からないチームメイトに咳払いを一つして、喜平が(´・ω・`)を叩き出した。 出来る限り広範囲を索敵する為に単独行動を選んだ彼はまさに面接着で野越え山越えビル越えて(´・ω・`*)を探して三高平を彷徨い行く。 「レアって聞いたら見たいだろ! なあ! (´・ω・`*)とか可愛いに決まってるからな!」 此方はレアを求める……という意味では少し毛色が違う吾郎も合わせて……彼等が狙うのは高得点(?)である。 「お、やっぱ可愛いな!」 「(´・ω・`)ではないのです」←通りすがりのそあら 広いフィールドに散り始めたリベリスタ達はめいめいに(´・ω・`)を狩り始めていた。 「……では、行くとしようか。紫月」 「えぇ、急に呼び出して何事かと思いましたが……こういう事でしたか」 拓真と紫月。【剣と月】の二人。 「とはいえ、やるからには勝ちに行きますよ」 「解っている、やるからには勝つ心算で行くさ。……行くぞ」 シリアスにキメても駄目だ、このハーレム野郎!(一章振り二回目) 何せ、無限とも言われる増殖性にある程度の俊敏性を備えたのが今度の(´・ω・`)である。 狙う対象は多く、範囲は手広く、そして戦いが長期戦になる事は最初から誰にも知れていた。 「踏んだ勢いで空高く舞い上がり、(´・ω・`)を連続で踏みまくる! ……確か沢山踏めば、途中で地面に足をつかなければ高得点で残機が増えるのじゃよな?」 何か違うよ、レイライン(おばあちゃん)! でも鉄壁のスカートはめくれない。 「りべんじ(`・ω・´)」 表情を引き締めた七海は(´・ω・`)の脅威を知っている。多くのリベリスタ達は知っていた。 絶対に負けられない戦いがここにある(笑) 「私自身はそれ程戦闘力がありませんので皆さんの支援に徹する事にしましょうか」 「ヒャッハー燃えろー消えてしまえー!」 アルフォンソの操る『ドクトリン』にはしゃぐ七海、燃え盛るインドラの矢。 「ふふふふのふ……物量作戦! 絨毯爆撃! 即ちその名はロードローラーだ!」 つられて上がるテンションはベルカの瞳を爛々と輝かせていた。 「うおおお、ураааааааа!!!」 危険人物(リベリスタ)を前に街並みは大丈夫か? 細けぇ事はいいんだよ、そうだアシュレイだ! 今決めた! 決めたよ! アシュレイの超時空ウルトラ結界陣地構築γβαマーク2が何かすごい! 敵が強いか弱いかは全く別の次元として苦戦が否めないのは分かっている事なのである! 「またわらわらと出てきたもんだな。人手はいくら合っても足りねーみたいだし。 燕さんも行くとすっかね。いっちょ、頑張るとすっかね!」 飛燕旋棍【刃】をカツンと合わせ、硬質の音を響かせる。 「おぬしらに罪はないが……苦しまぬよう一瞬で無に帰してくれる。 いや、しかし……よりドリみドリとはこのことだな」 燕やシェリーの言う通り街中を騒がせる――大掃除のシーンは一つや二つ、三つや四つで済む筈もないのであった! 「あー……この前、ATSで見かけたアレですか。まー、なんにせよ、狩りの時間ですね」 狼の本能に何処と無く昂ぶり、瞳に興奮の色を点すのは【ど輪】で集まった内の一人――アーネストである。 「今、五輪で活気なのに、何したいんだ、アーク……」 しみじみと言うクウガの言葉は実際の所多少『冤罪』な気もしないでもない。この馬鹿騒ぎを始めたのはフィクサードであるアシュレイであり……煽られて本気出したアークがどうなのかと言えば『そう』なのも確かに事実ではあるが。 「それにしても、どこからわいてくるのかなぁ? この(´・ω・`)。また、こっち見て大量にきそうだし……とりあえずこっち見んな」 (´・ω・`)(´・ω・`)(´・ω・`) 「……というか、俺たち、こいつらを倒せばいいだけなのでは? フランス代表として戦うか」 既に何度も接近遭遇を果たしている珍妙なアザーバイドを又眺めしみじみと言う勇馬に身も蓋も無くクウガが答えた。 キックはシュート、パンチは金メダルおめでとうな右ストレート。柔道もあるでよ、と(´・ω・`)を見れば胴着は無い。 「しまった」と痛恨の顔をしたクウガに添えられたコメントは目の据わったアーネストのとんでもない一言だった。 「じゃあ、レスリングで。ジャイアントスイングで行きますね」 「ちょっと待て、オオカミ! それはレスリングじゃなくてプロレスで――俺をジャイアントスイングするんじゃない!」 悲鳴と共に人間ミサイルと化したクウガが勢い良く空を泳ぐ。 「こいつら? 吹き飛ばす! とにかく、おいらの前にいたら、吹き飛ばす!! ぶもぉおおおおおおおお――ッ!」 猪突猛進とはまさに彼の事、脇目も振らず雄叫びを上げて突撃する勇牛はまさにアニマルで統一された【ど輪】らしいと言えるのだろう。 「……まあ、個体の強さよりも数が問題らしいのでゆるゆると行きましょう」 「そんなに力の無い僕でも倒せそうな敵みたいですので、訓練がてら参加してみましょう」 酷い光景は見なかった振りでマイペースを宣言し、堅実な長期戦を意識する孝平、モノは試しと訓練気分の小太郎の向こう。 「ふっふっふー。今日のユウさんはちょっと真面目に行っちゃいますよ? 飛行しながらの対地射撃、あんまりチャンスが無いんですよねー。 そこで! 今日のユウさん、空を飛びながらどれだけいっぺんにやっつけられるか!」 「――もし他の人を巻き込んでしまったら、ごめんなさいね☆」 飛行能力による視野角の広さを利用して対地射撃にマルチロックオンを展開するのはユウ、空から燃え尽きろとばかりに炎を放つのは茉莉である。茉莉は自身に備わる錬気の能力で継戦能力にも自信を持っている。 「アッパーユアハートを使えれば面白かった気もするのですが……」 攻めかかるだけではなく受ける事でも(´・ω・`)を散らす事は可能である。パーフェクトガードによる反射を備え、前に――発見した(´・ω・`)の群れに飛び込んでいくのは真琴。彼女の言う通り挑発で攻撃を引き付けたならそれはそれで面白い風景が見れた事だろうか。 「おー、俺様ちゃんたち優勝だ~☆ 今回は大いなる神の意思でチーム戦デショ、遠慮しないの~。 羽柴ちゃんを優勝させてあげるから、ね! 周りの全部殺して、愛しの羽柴ちゃんのためのビクトリーロードを!」 「ってうわぁぁあああ! また後ろにいるー!? なんで!? 俺たち!? 勝手にチームにしないでよ! 遠慮なんかしてないし! 純粋な嫌気!! うわああんなんなの!! なんで!!! いつもついてくるの!?」 「勝手も何も……僕ちゃん達いつも一緒じゃーんねー?」 「ねー?」 「やー♪ 羽柴ちゃんは今日も元気一杯で可愛いねー★」 「いやあああああああああ!?」 殺人鬼系男子二名――葬識と甚内に両肩を組まれた壱也が真ん中でマイムマイムしている。 「おお……この感覚…… そう、何故かとても懐かしい……分かった! これはカラーボールで満たされた子供用アスレチックで遊ぶ感覚だ!」 大きくなると遊ばせて貰えないんだよね……なつい……」 愉快なチーム【羽柴】(※不本意)に構わず視界を埋め尽くさんばかりに増える(´・ω・`)を斬り分けるのは郷愁に喜ぶ終。 「……こんなものを狙わねばならんとは、酷く気の抜ける話だ。 しかし、一度受けた勝負を投げる訳にはいかん。冷静に、粛々と、勝ちを頂きにいくとしよう」 「……すいません、私の我侭に付き合っていただいて」 一方で僅かな苦笑交じりに言った龍治に少し申し訳なさそうに言ったのは【射閃】で彼と技量比べをする事を望んだレイチェルだった。 「ああ、いや。たまにはこんなものも面白い。縁日の射的もこれも遊びとしては同じだからな。 ああ、木蓮。カウントは任せた。絶対に誤るなよ?」 「……せめて、私の全力を以って、挑ませていただきます」 飄々とした言葉の割には熱心に恋人に念を押す龍治を見てレイチェルは内心でふと考える。 (……実は結構燃えてたりするのかな?) クールを気取る彼が案外負けず嫌いな事を彼女は付き合いから知っていた。 「ま、どんな勝負を見せてもらえるか、楽しみだな」 「良いとこ見せてくれよな、龍治。俺様も俺様の役目をこなす。カウントは任せとけ!」 「お互い様だろ」と考えて口には出さず、エルヴィンは軽く笑った。 真顔でカウンターを持ち、龍治に声援を送るのは瞳を輝かせた木蓮である。 二人の対決は通常射撃かアーリースナイプのみで何体倒せるかというルール。得点も関係ない。 (´・ω・`)ピック本戦とも【射閃】の二人の競技勝負とも少し違うテンションと事情で『個人的勝負』に望むのは宗一と霧香の二人である。 「勝っても負けても恨みっこ無しな。んじゃ合図と同時にな」 「うん。……負けないよ」 (でも、いきなりどうして……?) 勝負の内容は単純な得点勝負。条件は負けた方が言う事を何でも一つ聞く事だ。 やけに意気込む宗一の横顔をちらりと見つめた霧香は突然『果たし状』なる物騒な代物を突きつけてきた彼の内心を量り切れては居なかった。内心、何とも言えぬ乙女心の向く先が相手では問い詰める事も難しく、同時に霧香は『勝負を挑まれた以上は全力で受ける礼儀』を持っていた。余計な考えを追い払うようにブンブンと首を振れば青いリボンでくくられた銀色のポニーテールが左右に揺れた。 「負けないから!」 「負かしてやる」 合図と共に熱いアスファルトを強く蹴り上げて二人が散る。 この時、『朴念仁』な宗一が考えていた事は勝負にかこつけた『ずるい告白』であり、霧香がこの暫く後に直面したその事実は『彼女の乙女心を大いに掻き乱し、納得させない結末』を作り出すのだが――ンな未来の青春はさて置いて。 「やってきました三高平(´・ω・`)ピック♪ この日の為に鍛え上げた我が銃技を魅せる時! 見ててね桃子様♪ この日の為に桃子'sブートキャンプにて編み出した必殺奥義! その名も【デスペラード・ピーチ♪】恐れ多い名げふう!」 名前がかなり気に入らなかったのか叫びかかったエーデルワイスの頭が何も無いのにぴちゅんする。でも生きてるリベリスタって頑丈だから。 「( ´_ゝ`)OK、レアものゲット」 「(´<_` )流石だよなうちら」 「……戦場ヶ原先輩? 一人で何を……(´・ω・`)を二匹持ってどうしたんですか?」 「……どうしたんです、京子さん? だ、だめですよ! どりんを胸に詰め込んだら巨乳になれるなんて! そんな、確かにさおりんはおっぱい星人かもしれないけど、はやまっちゃだめええ!」 「黙れ、舞姫」 「先輩を呼び捨て!?」 ……戦場でお互いの尊厳を破壊し合う微笑ましい光景もある。 「いやー、大変ですね!」 東奔西走何のその。大会のサポートに飛び回る京一が青いハンカチで額に噴き出た汗を拭う。 当然、真面目に(´・ω・`)狩りに勤しむ面々も数多く、状況は混ざり合わない水と油のスープのように雑味に塗れた様相を見せていた。 「競争は青春している人たちに任せて自分は駆除を重視しましょう」 全く真顔で淡々と(´・ω・`)を始末するリーゼロット、 「私も頑張るぞーえいえいおー。 (´・ω・`)さん一杯だから暗黒でばんばんやっちゃうよー。 (´・ω・`)さん強くないから防御や回避のない私でも安心だねー。 いっぱいいっぱい倒せるといいなー」 かなり緩い調子で暗黒を迸らせるシャルロッテも居れば、 「(´・ω・`)って四匹くっつけたら消えないかな? 七匹くっつけたらキング(´・ω・`)にならないかな? ねえねえ! 普段前線にでれないしさ、たまにはこういうのもいいと思わない?」 「そうですねえ。このAK(ガス銃)でドリン野郎を蜂の巣にしてやりますよ!」 「∑ええー!?」 (´・ω・`)を頭に載せてにへらと笑ったぐるぐと、思いの他目が据わっている和泉、 「たまにはイヴちゃんも攻撃してみたらぁ? ほらたしんっ! ってやれば倒せるからねぇこれぇ!」 「何だか可愛いから……可哀想な気がする」 「(´・ω・`)しょぼーん、じゃなくて、どりん!かわいいよね~!」 御龍と何だかんだで付き合うイヴに我が意を得たりとばかりに晴が声を発した。 日陰より動きたくない彼女は炎天下に『運動』する心算は無く、専ら見学専門といった所なのだが―― 「来い優希! 俺の背中をつかえー!」 「ああ、その背中を借り受ける!」 (お前なら、お前なら飛べる筈だ――優希ッ!) 盛り上がり、盛り上がる。 響く歓声、迸る情熱! 熱く熱く熱いやり取りのその先に――翔太(とも)の背を蹴り太陽目掛けて大きく優希が飛翔すれば、 「おおーっと、上沢翔太選手、焔優希選手の連携攻撃! 大技・スイカパクハリケーンだ!」 「明らかにスイカ食べてます。実況席、今スイカに塩入りました!」 雑な実況席からは歓声。陽菜にミリィが合の手が入った。 ……開催しておきながら全然余裕でスイカに夢中なアシュレイはまずそれを見ていない。 「むぐもぐ!」 胸がスイーカ(笑) (勝負事に参加するからには一位を目指す。 キサは見つかるかどうかも分からない(´・ω・`*)を探すより(´・ω・`)で数を稼ぐ――) 明瞭なる頭脳を武器に年齢不相応な冷静さと年齢相応な無邪気さを見せるのはキサだった。 どちらかと言えば落ち着いた少女も馬鹿馬鹿しいながら勝負事ともなれば熱くなるものらしい。その超直観がもららす眼力を研ぎ澄ませ、参加者達の構成を看破する。遠距離複数攻撃持ちの少ないエリアから(´・ω・`)を追い、少しでも多く倒そうという貪欲さを見せていた。 「あはは、皆頑張ってねー!」 悪戯っ気たっぷりにわざとらしくカウンターをカチカチとやって煽るのは千景。 「っ、栄光はキサのもの」 ぐっと握る拳の前に(´・ω・`)は次々と(´・ω;`)に変わる。 「噂に聞く(´・ω・`)を見物ついでにね。 ま、たまには難しいこと考えないで蹴ればいいってのも悪くないね」 唸りを上げたクルトの蹴撃が見えぬ威力を伴って前方の(´・ω・`)達を貫いた。 一列貫通し、虚空の通過したその最奥に残った個体が一つ。 「(´・ω・`*)!」 声を上げたのは誰か、気付くなり参加者達が次々と『レアもの』に群がった。 (´・ω・`*)三(´・ω・`*)と華麗なフットワークを見せるそれは参加者を嘲笑うように(((´・ω・`*)))する。 「トリアエズ(´・ω・`)なら何でもイイカと思ったガ……」 ソロならばここは攻め所である。ここぞのレア狙いで飛び出したリュミエールの動きは早い。 「――させるかあ!」 負けずに力を振り絞るのはまさにこれを狙っていた喜平であった。 ぶつかり合う力と技。迸るプライド。震える(´・ω・`*)。 「……この時を待っていた……ッ!」 赤いラインの入った大振りの剣を上段に振りかぶり風斗が走る。 「ああ、白黒先輩カッコいい!」 「んなっ!?」 妙なタイミングで入った千夜の声にペースを乱してか彼の剣が空を切る。 密やかに物陰から、人の後ろから、実は結構ずーっと彼の背を見守っていた彼女である。 「け、決して変な気持ちとかないですからね。 ただ、単純に白黒先輩の強さに憧れてるだけですから。 白黒先輩の周りの女性を妬んだりなんてしてないですからね!」 ――急募:ハーレム野郎を殴れる人。ちょっと物言わぬ雑巾にするだけの簡単なお仕事です―― ……フゥ…… 「そあらっ」 悲しみを振り切り、雷音が叫ぶ。 「くっ……ボクもそれなりに戦いを重ねてるというのに!」 慟哭する彼女は(´・ω・`*)を守るように沸いて増えた(´・ω・`)達を氷雨で一気に薙ぎ払う。 「そあら! きみの命は無駄にはしない。この糧をもって、ボクは強くなる!」 「あたしじゃないです(´・ω・`)」 通りすがりのそあらの親友への抗議は置いといて。 「ああ! (´・ω・`*)が逃げたのだ!?」 「いや、こっちに居たでござるよ!」 ここぞと雷音にいい所を見せたいらしい虎鐵は大分切羽詰っているらしい。 「拙者思いついたでござる! ここで頑張ればきっと雷音も振り向いてくれる気がするでござる!」 「馬鹿者何を言っているのだ!」 口に出てしまった彼の言葉を赤面した雷音が否定する。 「うおおおおおおお! 覚悟でござる(´・ω・`)! 拙者の鬼影兼久の錆にしてくれるでござる!」 「あたし違うです(´・ω・`)」 やられかかるそあらがより悲しそうな顔をしていた。 「おい、あんまり苛めるなよ」 現われた沙織がやれやれと肩を竦めていた。(((´・ω;`)))な感じで自分の胸に顔を埋めるそあらを軽くなでなでとやりながら、沙織は呆れたように言ったのだ。 「お前等、(´・ω・`)はあっちに居るだろ」 彼が指差したその先にはいちごのおぱんちゅを丸出しにして壮大にコケるストロベリーの姿があった。 「探索に役に立つスキルは持ってないなら頭を使わないと。 アークのリベリスタがカオスで騒々しいのはよく分かってる――逆に喧騒や人気の多い場所を避けて(´・ω・`)を狩れば、ね」 「個々で見れば可愛いのだけど……ここまで増えると不気味よね。 爽快感でもあるかと思ったけど……ちょこまか動きすぎだし。 これも修行だと思うしかないわね。なんか(´・ω・`)っぽい顔の人もいるし、間違わないように気をつけなきゃ」 効率を上げる晃と真夏に炎の魔術を放つリリィである。 ……展開は徐々に熱を帯び、掃討のペースはいよいよ上がっていく。(´・ω・`*)も時折倒れ、得点は複雑怪奇に積み上がっていく。 「ぜえぜえ……つ、強すぎる……」 あろう事か千堂に『片足爪先立ちカウント勝負』等という無茶を挑んだアンジェリカが攣った足を揉み解している。 「これがバランスねぇ……ところでさ、この街って人のフェイトを奪う、やばい天使()いるんだけど。 あのアーク一部男子のアンチユニットバランスわるくねぇ? あいつマジなんとかバランスで僕が勝てる方法を手に入れたいんだよね。アレマジで天使(笑)」 ここぞとばかりにマシンガンで誰かの文句を垂れる夏栖斗だが、彼の場合首筋に押し当てられた氷の刃に気付くのが些かばかり遅かった。 「全くあの悪魔……ええと」 この辺で気付いた夏栖斗は恐る恐る千堂に尋ねた。 「千堂さん、もしかして僕の後ろになんかいますかね? 振り返ったら僕もう死んじゃいますかね?」 「ううん」 小さく首を振った千堂はにべもない。 「どっちみち変わんないんじゃない?」 「アーッ!」 嫌な音がして嫌な声が上がる。うつ伏せに倒れて動かなくなった少年の向こうにはニコニコと笑う金髪の少女が居た。 「うぎぎ……戦場で不覚を取ったのです><。」 同じ小柄な金髪の少女――エナーシアを片手に抱いて。 ふふふ、戦場は地獄、どんな事でも起こり得るアクシデントの坩堝なのだわ! 危ないわよ?第三者面して戦場に出てくるだなんて。 ……決してXmasでドジっ娘として有名と言われたのを根に持っているのではナイノデスヨ? エナーシアは密かに目の前の千堂を『誤射』(一発ルール)しに来たのだが、連撃で『誤射』しに来たのだが。 彼女が「参りましょう桃子さん。メフィーさんの残弾は十分かしら?」。つまり、味方に頼んだ桃子の方はもうちょっとばかり本能に生きていた。さり気なくここまで接近したのは良いとして…… 「ひああ!」 良いとして。 「何処触ってるのです、桃子さん。戦場で背後の警戒を怠った己が不覚なのです。うぎぎぎぎ……」 彼女が最早戦闘不能なのは火を見るよりも明らかである。 大幅にブン投げて! 千堂が視線を戻した先―― 「知ってるか? ゴキブリって危険を察知するとIQが340まで上がるんだぜ。 元々は空飛ぶ方法も知らない虫なんだけど危険になって初めて空を飛べるようになるんだって! フィクザードって追いつめられるとすげー強くなる奴が居るらしいんだけど、そんな感じ!」 ――全力全開の野鳥の会の一角でぺちゃくちゃとくっちゃべり続けるのは加美良であった。 「加美良ちゃん女の子なのにゴキブリの話しをいきなりする!? しかも初仕事だよね? あかんよ、ちゃんと数えんと、仕事ちゃんとしないと責任の無い大人になっちゃうからね!」 こちらも余り真面目なタイプとは言えないのだがその瞑をして思わずそう止めさせる辺り、彼女は中々どうして凄いデビューである。 「ところで千堂っておっぱい大きい方が好き? おっぱいは女性ホルモンが分泌されると大きくなりやすいっていうけど。 良く揉まれると大きくなるって言うのは揉まれる時の気分で女性ホルモンが分泌されるからなんだろうな。 アシュレイとか瞑の場合はきっとエロい事ばっか考えてるからだよね、ドン引き!」 「……複雑なんだけど、僕」 「ああ。うちも……」 そんな【腐女子部】のピーキーな雑談も余裕がある内の話である。 眼精疲労が漏れなくついて来そうな壮絶な時間に徐々に面々の目が血走っていく。 紆余曲折の末、リベリスタならきっと出来る大した事ないお仕事と化した現場には殺気が漂い始めていた。 「第一、目ばっかり酷使するとかバランスが悪いし……」 明らかに苛立つ千堂にふと零児の呟きが飛び込んでくる。 「……もう、いっそ全員平均点でいいんじゃないかな、バランスいいし」 「……」 ジロリと視線を向ける千堂。竦む零児。 「あ、嘘です。ごめんなさい。すいません」 ――――。 「今日は町内会の清掃活動じゃったかのう……最近は害獣駆除もするんじゃのう……悪い、大福にそっくりじゃ……」 手足をプルプルと震わせて呟く小五郎は最近少し記憶と認識に問題が発生している感じらしい。 それでもリベリスタの本能(?)に従ってか、ポカリポカリと大福を叩く。あとそあらも叩く。 「(´・ω;`)」 「ただ只管に目標に向かうのは性に合わん。……どうせ間に合わんのなら、面白くなければ、な」 「成る程、思考は柔軟に……ですか」 トップ戦線から脱落したオーウェンが『Dr.Tricks』の面目躍如とばかりにフラッシュバンで戦線を掻き乱し始めた。遊びに『付き合う』セバスチャンが口元の髭を指先で扱いて見せた。 「仮にも(´・ω・`)ピックなのでバイクは不粋。(´・ω・`)ピック精神に則り馬にて移動!」 市内を公道軽車両扱いな愛馬で駆け回り群がる(´・ω・`)を蹴散らす禅次郎が見得を切り、 「三高平は俺の庭だぜ?」 「いぇーい千堂みてるー?」 僕等の害獣ことウーニャ・タランテラがカメラ目線で挑発めいたピースをする。 ユーヌ、フツ、セラフィーナ等とチーム【氷雨紅月】を組んだ彼女は地上でバイクに跨るウーニャとセラフィーナを軸に、 「涼をとるのに丁度良い、涼んで凍えて塵となれ。露払いだ。大して必要とは思わないがな」 「おっ、向こうの方に(´・ω・`)達が固まってるみたいだぜ!」 空からこれを支援するユーヌの氷雨とフツの式神使役による情報収集で(´・ω・`)を猛烈に破壊し始めていた。 「ウヒヒ、優勝出来るかもな!」 「……ふむ、それも面白いかもな?」 フツの屈託のない笑顔にユーヌが頷く。 眼窩の光景ではバイクに跨ったウーニャとセラフィーナが暴れに暴れている。 「えへへ、バイクアクションって一度やってみたかったんです。負けませんよ。優勝するのは私達です!」 紅い月は万物を平等に照らす。悪夢の序曲を――さあ、始めましょう―― 「みーんな害獣にな~れ☆」 真昼に瞬く赤き月の伝承(バッドムーンフォークロア)は纏めて(´・ω・`)を塵に変えるのだ。 Before 「響かせましょう、愛の一文字! 世界を制するは愛! この(´・ω・`)ピック会場の中心で愛を叫ぶものでございますよ!」 After 「やめろ! 人の嫌がることはやめろ! 愛のチョップでお前を真っ二つにしてやろうかぁ!」 (´・ω・`)に噛まれた愛音が愛とは何ぞやといった顔をして(´・ω・`)達を追い回している。 喧騒は止まらない。ぐちゃぐちゃの無茶苦茶で加速する気配こそ、あれ集束する気配は何処にも無い―― ●閉幕 「のんびりと野次でも飛ばすかスタッフでも、と思ったんだけど……」 マコトは一人呟いた。 「君は好きだね。こういうお祭り騒ぎ」 「参加するからには上位を狙いたかったけど、真面目に戦っても勝ち目が無いよね。要領良くレアものだけを狙いたいけど……これじゃあね」 「……あぁ、そうだね。そうだ。折角だし少しは頑張って……参加しておこうか」 脳内恋人が甘く囁く。何も無い空間をじっとりと見つめ、一つ頷く。 炎天下の気温は気付けば三十三度を越えていた。茹るアスファルトの上、何時尽きるとも知れない(´・ω・`)が増える。 「ああ……」 「あああああああああ……」 誰のものとも知れない絶望的な声が収拾のつかない現場に虚しく響いた。 ――最後に一つだけ。最終的な競技スコアが『全員平均』になっていた事だけは付け加えておく。 そんな、全て色々まったく徒労の一日だった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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