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『三高平のバレンタイン』~三高平公園~

●三高平公園
 何時の世も公園というものは淡い二人には一定の価値を持ち得るものだ。
 幾つの涙が零れたか、幾つの笑顔が生まれたか。まつわる物語(テイル)を数える事はナンセンス。
 人生が物語である以上、人は鮮やかなる刺激を求める事を逃れ得ない。
 喜びも、悲しみも。希望の朝も、絶望の夜も。耐え得ない痛みとて――価値はある。
 人間は多かれ少なかれ退屈の海に沈む事を厭うものだ。
 全てを達観した賢者とて、永劫に変わり得ぬ苦痛からは逃れ得まい。
 それは緩慢なる死、即ち『無価値なるナガキ』である。
 目にするものが既視感に囚われ続ければ――やがては澱んで腐り果てる。
 流れを失った水場と同じように、時の彼方より二度と抱きしめ得ぬ幻想(かげ)を抱く誰かと同じように。
 ……まぁ、何が言いたいのかと言えば。
 どうって事は無い。こと三本目に到れば頭から流してシーンを扱うのも見飽きた頃であろう。
 おいこらメタるなというお声もまぁ聞こえるが、人間は慣れる動物である。
 賢明にして旺盛なる読者諸氏が相対的に刺激に慣れてしまったとしたら……かっ飛ばすのも又戦略。
 暮れる恋の日。乙女の武装は十分か。
 怒涛の如き戦塵の疾風と、燃え上がらんばかりの情熱に、流石の我も抗し得ぬ。
 ならば、戦争だ。後に控える決戦に更なる熱を入れようと地獄の釜の蓋が開く。
 うははははは! 最高潮はここからだ!
(私の出番……?)
 じっと虚空を見つめるのは汐崎・沙希(ID:BNE001579)さん。

『リーディング有ります。テレパス有ります。ご依頼はお気軽に』

 掲げる看板には燦然たるその文字が。
「カカオバターを用いた本物のチョコ。ベルギーチョコはいかがー」
「えー、トリュフにマカロン、チョコレートはいかがですかー。ユーリンの手作りですー☆」
 露天、行商に励むツヴァイフロント・V・シュリーフェン(ID:BNE000883)、ユーレティッド・ユール・レイビット(ID:BNE000749)、
「さて……ボクもバレンタイン商戦に参加させてもらえるかな?
 兎登 都斗(ID:BNE001673)の姿も見える。
「あらあら。まったく欲望と純愛の坩堝だわ」
 いえいえ、棺ノ宮 緋色(ID:BNE001100)さん。そうでなく。ロマンチックにいきましょう。

 ――征くぞ、カップル! 覚悟は良いか!←シングルでした



●祭雅・疾風(ID:BNE001656)・龍音寺・陽子(ID:BNE001870)の場合。
 三高平公園――

「んー、露店もあるのか」

 ――俄かに沸いた商業主義、些か場違いな声を片耳で半ば聞き流し、疾風はそんな風に呟いた。
 二月十四日、バレンタイン・デイ。
 公園の大時計で時間を確認すれば長針はまだ予定の時間に追いついては居なかった。約束とは待つ時間も楽しいものである。その先に待ち受ける時間が穏やかなる、心躍る、或いは甘美なそれである程に。
 白い息を吐き出す疾風の胸を温かいものが通り過ぎる。

「あ、疾風さーん。早いねー。さっすが」

 そんな疾風に声を掛けたのはこの舞台(ステージ)の陽子(しゅやく)である。
 楽しい時間は当然と言うべきか最後まで達成される事は無かったのだ。
 約束の時間より示し合わせるように早く出逢った二人である。

「こんばんは。寒くなかった?」
「だいじょーぶ。ボク元気なのが取り柄だから!」

 手の中で少し温くなった缶コーヒーを差し出す疾風も、それを受け取る陽子も示し合わせたようにお互いの顔を見て淡く微笑む。

「……じゃあ、本題に入ろうかな」

 軽い上目遣い。陽子の告げる本題を、

「あの意味ありげな木の下に行こう! 渡したい物があるんだ♪」
「うん。行こうか」

 その言葉が意味するものを、今更疾風は問うまでも無い。
 だって今日は特別な日なのだから――


 外野のお言葉。

司馬 鷲祐(ID:BNE000288)
「……一組目確認。アレは円満にフラグが立つな。しかしまぁ、後何組続くんだ……これ?」

関 喜琳(ID:BNE000619)
「そんなカンジで見守る訳かぁ。せや、お腹すかん? 売り物で申し訳ないねんけどコレでも食べてな♪」

司馬 鷲祐(ID:BNE000288)
お前の腕は知ってるが……チョコ餃子……」


●ソリッジ・ヴォーリンゲン(ID:BNE000858)・藍苺・白雪・マリエンバート(ID:BNE001005)の場合。
「二月のサンタクロース、最後のフェイズです!
 バレンタインは闘い! チョコが欲しくば力ずくで奪うのです!」

 チョコレートの斧を振り上げる露骨な怪人――

「あ、あれ? 重戦機……じゃない、ゑる夢ちゃん?」
「とりあえず面白いので写真に収めておきましょう」

 ――番町・J・ゑる夢(ID:BNE001923)を眺めるのは藍苺とソリッジの二人だった。
 リベリスタの街・三高平には世間よりも随分と色濃い神秘が跋扈している。
 通常の場所で行なわれたなら騒ぎと職質は避け得ない光景ではあるが、『 ■サンコーペー出版■』の二人もオフを気取っている事もあり、お気楽そのものといった風であった。

「……それで」
「?」
「えーと、何をするんでしたかな?」
「ええと? 何でしたっけ?」

 ソリッジの問いに藍苺は惚けた顔をした。
 それが二人の本音であるかどうかは一見には分からない。
 メタルフレームのソリッジと外見よりは余分に齢を重ねた藍苺の事。上司と部下の関係も併せれば幾らかは難しいという事か。
 携帯電話のカメラを暴れるホッケーマスクに向けたまま、彼の顔を見ようとしない。

「……そうそう、伝説の木でしたな!」

 一瞬の沈黙を破ったのは問いかけたソリッジの方だった。
 この怪人、見た目に反して中々の甲斐性の持ち主のようである。

「ルールがあるなら従わねばならないのがジャーマンっ子というもの!
 ……えー、こほん。それでは私のカボチャちゃん。いや、藍苺くん」

 視線の正面に回りこんだ彼。
 目を合わせ、短いようで長いたっぷりとした間をおいて――

 ――Gehen Sie den gleichen Weg bitte entlang.

 藍色の花が嘘のように華やいだ。

「Ja, gerne! 我が背の君!」


 外野のお言葉。

番町・J・ゑる夢(ID:BNE001923)
↑知り合いのカップルなので嬉しがっている。

司馬 鷲祐(ID:BNE000288)
「えぇい、新米カップルに悪夢を見せるな。沈めッ!」

ダムネイション  (ID:BNE000614)
「リア充滅せよ!」



●アリス・ショコラ・ヴィクトリカ(ID:BNE000128)&ミルフィ・リア・ラヴィット(ID:BNE000132)の場合。
 世の中に転がる人間関係は様々である。
 誰よりも大切な貴方――一口に言っても千差万別の愛の形は他人には入り込めぬ特別な形を織り成す事もあろう。

「お嬢様……これって……チョコ……なんですのね……?」
「えっと、私、一生懸命作りましたから……食べてもらいたいなって……」

 手渡された小さな包みに少しぼうっとした顔をしたミルフィは頬を赤らめて小さく頷いたアリスに促されるように包みを開けた。
 高鳴る胸。早鐘を打つ鼓動。眩暈すらしそうな緊張感の中、包み紙の一枚も破る事をしないように慎重に。ミルフィの指先が震えている。

「こ、これは……」

 包みの中からショコラブラウニーの甘い香り。
 甘い香りの染み付いたような可愛らしいメッセージカードには、

 ――大好きなミルフィへ いっぱいの愛を込めて アリス――

 彼女を一撃でKOし得るだけの強烈な弾頭が込められていた。

「嬉しい……っ……」

 言葉は自然に漏れた。

「嬉しゅうございますっ、お嬢様っ……!」
「わ、わ!? ミ、ミルフィってば……恥ずかしいですっ!」

 感激の余り抱きついた兎の従者にお嬢様は薔薇色の頬を一層赤く染めていた。
 ああ、何て言うか世の中の愛の形は色々だ――


 外野のお言葉。

司馬 鷲祐(ID:BNE000288)
「……百合か。……まぁ、愛にはそれぞれの形があるんだろう……」←ドヤ顔

アンジェリカ・ミスティオラ(ID:BNE000759)
「何だか凄いものを見た気がするよ……ボクは一曲歌おうかな?」

内藤 アンドレ(ID:BNE000773)
「おっおっお! なんだか美しい歌が聞こえてくるお!
 これは嫁が現れる前兆に違いないお! やっぱり伝説は本当だったお!」

朽木・薙(ID:BNE000032)
「うむ。君にこれをやろう」

内藤 アンドレ(ID:BNE000773)
「!?」

アンジェリカ・ミスティオラ(ID:BNE000759)
「言ってる事はよくわからないけど、待ち人が来るといいね……。
 これを食べたら少しは温まるんじゃないかな……?」

内藤 アンドレ(ID:BNE000773)
「おっお……!? さ、三次の女の子からチョコを貰ってしまったお!
 これはいったいどういうことなんだお!」

司馬 鷲祐(ID:BNE000288)
「……コレも、伝説の樹のチカラ……か? て言うか俺レギュラーなのね」


 ――ええ、まぁ。 住人ですから。



●斬風 糾華(ID:BNE000390)&歪 ぐるぐ(ID:BNE000001)の場合。
 世界には既に夜の帳が降りている。
 二月の冷たい風が吹き抜ける。公園の街灯に照らされて一人でベンチに座っているのは糾華だった。

「はー、何やってるのだろ……」

 世の中というものはすれ違いで出来ているかのようだ。
 いざと気合を込めて向かった家庭科室。特別のチョコレート作りに苦心惨憺して――楽しんで。
 お世話になっている友達に配り歩いた今日。
 久方振りに感じる安堵感と、他人に触れ合えた喜びは彼女に歳相応の感動を与えていたが、それでも。

「……はぁ……」

 彼女が溜息を吐く理由は単純にして明快だ。
 本当に渡したい相手、どうしても会いたかった相手と――見事にすれ違ってしまったから。

「寒い、な……」

 凍えた両手に白い息を吐きかけて少女は思わず呟いた。
 約束がある訳では無い。ここに居ても仕方ない――それは分かっていたけれど。
 どうしてか、どうしても動きたくない気持ちがあるのも本当だった。

 ――仕方ないなぁ――

「え……?」

 虚空に糾華が聞いた声のようなものは天使の声か、悪魔の声か。きっと幻聴だったに違いない。

「あ! 糾ちゃん見ーっけ!」
「あ、わ! ぐるぐさん? ……ど、どうしたの、ボロボロよ?」

 間髪を入れず、糾華が待ち侘びたその声が響いていた。
 しかしその光景の最大の問題はそのぐるぐが――酷くボロボロであった事だった。

「ちょっと水っぽい名前のテーマパークに行って来てました。チョコなくなっちゃった」

 その酷ぇ光景の有様の説明とぐるぐの活躍を語るのは別の機会として。

「遅刻しちゃったー……で、はい」

 罰が悪そうに「えへへ」と笑い、小さな箱を差し出したぐるぐに糾華は目を丸くした。

「あれ? さっき、なくなっちゃったって……」
「ノンノン!」

 ぐるぐは糾華の目の前に立って、指を左右に振った。
 そのままひんやりとした感触を柔らかい彼女の唇に押し当て、

「それは唯のチョコじゃなくて本命チョコですもん」
「……!」
「全然可愛くなくなっちゃったですけど……」

 少し悲しそうなぐるぐを糾華はそっと抱きしめた。

「私もこれ……ううん、ぐるぐさんが一番可愛いもの」


 ガールミーツガール( ´Д`)y━─┛
 あー、何つーか砂吐きそうなので切り上げます。すいーつ……


 外野のお言葉。

司馬 鷲祐(ID:BNE000288)
「以上、現場の三高平公園からお送りしました。俺? あ、彼女が待ってるから



 ……うん、皆揃って滅べばいいよ。←シングルでした