【マニコロ】宿命館大学の一週間
●
「お疲れ様だ、皆。前回、前々回と順調に宿命館大学の能登博士との関係を築くことができたな。
特に前回は博士が浚われるという危機を見事に脱することができた。
そのおかげか、しばらくは目先のトラブルもなく自由に行動できそうだ。
当面の費用は出しておくから、今回はある程度自由に行動してみれく」
中 恭介(nCL2000002)は特定のメンバーを集めてこんなふうに説明をした。
これまでのあらすじを解説しておこう。
ファイヴは以前に回収した神秘道具から『特殊マニ車理論』の存在を知り、専門家である宿命館大学 神秘学研究室長 能登博士への接触を試みた。
自らの機転で身分を隠して接触した彼らは、フリーの覚者チーム『レイブン』としてスカウトを狙うことになった。
そうして早速訪れた彼らへの依頼は霊山での研究材料採取を護衛するというものだった。
山中に現われる妖や、博士の研究内容を利用して商売を企む黒鯨商会の魔の手からも見事に護衛しきったチーム『レイブン』。
彼らの次なる目標とは……。
「……そうですね。確かに、正体不明のチームのままでいるかどうかは、判断すべき問題ですね」
上月・里桜(CL2001274) は仲間たちとの会議でそんな風に語った。
腕組みして難しい顔をする工藤・奏空(CL2000955) 。
「博士はいい人だと思うし、このままずっと『外注の誰か』として接していけば仲良くはなると思う。けど、何かを得るって目標がある場合は、一年二年の付き合いじゃムリだよね。あくまで俺たちは外部の人間なわけだし、協力したからって研究内容を明かしてくれるなんてことはないと思う」
「別にええんやないの?」
同じく腕組みするが、表情は明るい焔陰 凛(CL2000119) 。
「大学の協力員として普通に過ごせば、いつもと違って見えてくるもんもあるやろ。それも『何かを得る』ってことになるんとちゃう?」
「組織としての成果をとるか、個人としての成果をとるか……か」
獅子王 飛馬(CL2001466) は一度難しい言葉を使ってみたが、やっぱりわからんという顔でソファによりかかった。
コーヒーやお茶をトレーに乗せてやってくる椿屋 ツバメ(CL2001351) 。
かたわらの西荻 つばめ(CL2001243) に話しかける。
「彼らは何の話をしているんだ?」
「今後の方針、でしょうか。もし『特殊マニ車理論』を専門家ごと獲得したいなら、どこかのタイミングでわたくしたちがファイヴの者であることを明かさなくてはなりません。今まで嘘をついていた分、大きな信頼がなければ信用を得られませんが……」
「黒鯨商会のように拉致するという考えは論外だしな。身分を明かさずに過ごした場合はどうなる?」
「大学の協力員という偽りの二重生活を送ることになりますわね。専門家の引き抜きは諦めることになりますけれど、個人としては新鮮な成果を得られるのではないでしょうか」
「なるほど、二者択一……か」
「お疲れ様だ、皆。前回、前々回と順調に宿命館大学の能登博士との関係を築くことができたな。
特に前回は博士が浚われるという危機を見事に脱することができた。
そのおかげか、しばらくは目先のトラブルもなく自由に行動できそうだ。
当面の費用は出しておくから、今回はある程度自由に行動してみれく」
中 恭介(nCL2000002)は特定のメンバーを集めてこんなふうに説明をした。
これまでのあらすじを解説しておこう。
ファイヴは以前に回収した神秘道具から『特殊マニ車理論』の存在を知り、専門家である宿命館大学 神秘学研究室長 能登博士への接触を試みた。
自らの機転で身分を隠して接触した彼らは、フリーの覚者チーム『レイブン』としてスカウトを狙うことになった。
そうして早速訪れた彼らへの依頼は霊山での研究材料採取を護衛するというものだった。
山中に現われる妖や、博士の研究内容を利用して商売を企む黒鯨商会の魔の手からも見事に護衛しきったチーム『レイブン』。
彼らの次なる目標とは……。
「……そうですね。確かに、正体不明のチームのままでいるかどうかは、判断すべき問題ですね」
上月・里桜(CL2001274) は仲間たちとの会議でそんな風に語った。
腕組みして難しい顔をする工藤・奏空(CL2000955) 。
「博士はいい人だと思うし、このままずっと『外注の誰か』として接していけば仲良くはなると思う。けど、何かを得るって目標がある場合は、一年二年の付き合いじゃムリだよね。あくまで俺たちは外部の人間なわけだし、協力したからって研究内容を明かしてくれるなんてことはないと思う」
「別にええんやないの?」
同じく腕組みするが、表情は明るい焔陰 凛(CL2000119) 。
「大学の協力員として普通に過ごせば、いつもと違って見えてくるもんもあるやろ。それも『何かを得る』ってことになるんとちゃう?」
「組織としての成果をとるか、個人としての成果をとるか……か」
獅子王 飛馬(CL2001466) は一度難しい言葉を使ってみたが、やっぱりわからんという顔でソファによりかかった。
コーヒーやお茶をトレーに乗せてやってくる椿屋 ツバメ(CL2001351) 。
かたわらの西荻 つばめ(CL2001243) に話しかける。
「彼らは何の話をしているんだ?」
「今後の方針、でしょうか。もし『特殊マニ車理論』を専門家ごと獲得したいなら、どこかのタイミングでわたくしたちがファイヴの者であることを明かさなくてはなりません。今まで嘘をついていた分、大きな信頼がなければ信用を得られませんが……」
「黒鯨商会のように拉致するという考えは論外だしな。身分を明かさずに過ごした場合はどうなる?」
「大学の協力員という偽りの二重生活を送ることになりますわね。専門家の引き抜きは諦めることになりますけれど、個人としては新鮮な成果を得られるのではないでしょうか」
「なるほど、二者択一……か」

■シナリオ詳細
■成功条件
1.宿命館大学で一週間を過ごす
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
今回は今後の方向性を決めるためのフリーパートとなっております。
●成功条件の補足
宿命館大学の協力員として一週間を過ごすことが今回のシナリオ概要であり成功条件となっています。
別に24×7時間まるまる居る必要はなく、たまに顔をだしたり電話連絡だけしたりといった関わり方でも構いません。そしてメンバー全員が一丸になる必要もありません。
ざっくりと過ごし方の候補をあげますので、この中から選んで行動してみてください。
・研究の手伝いをする(日常メイン):博士の研究室に入って研究の手伝いをします。一日中試験管を振動機にかけてじーっとしてる作業くらいに考えておいてください。超地味です。
ですが大学の生活に密着できるというメリットがあり、研究室の人々と交流ができます。
別名研究員(まだ出てきてないNPCたち)ルート。
・黒鯨商会について調べる(戦闘あり):能登博士にとって目下の障害である黒鯨商会の足取りを追うため白鷹が独自に行動を始めています。これに付き合って行動します。
PCの知らないメタ情報として、探索中に覚者の刺客に襲われます(このルートを選んだPCと同レベルかつ同数となります)。
別名白鷹ルート。
・能登博士の趣味に付き合う(日常メイン):天才だけど子供のように奔放な能登博士。彼女には希少な古妖を観測して悦に浸るという趣味があります。古妖の目撃情報などをたどって川やら山やらに付き合います。
ハイキングみたいな内容になりますが、その間能登博士と交流できます。
別名能登ルート。
・その他の行動:上にない行動全般をさします。
極端な話だと大学に潜入して情報を集めたり、なんなら誰か浚ったりといった行動です。プレイング失敗率がめちゃくちゃ高いのでお勧めしません。
●今後について
全員の間で今後どのように宿命館大学神秘研究室と接していくかを決定しておいてください。
重要な部分は『途中で身分を明かすか、明かさないか』です。
シリーズは第五回(今回をいれてあと三回)を終了期限としているので、『終了までに何を目標とするか』も決めておくとよいでしょう。
●期待できない行動と注意点
色々な理由で成果の期待できないプレイングについて記述していきます。
・研究内容を解説していもらう:物理的に可能ですが、文面が軽くリプレイ数本分に相当する上要約もできない専門知識なので全カットされます。
・スキルや神具をパワーアップしてもらう:宿命館大学はそういう所じゃありません。
・研究成果を盗む:大体レポートとかなので、盗んでどうなるもんではありません。
・武器を見せて意見を聞く:見せられただけではどうしようもないと思われます。本気で調べようとしたらアイテムロスト必至なので、システム的に扱えません。
・聞き込みをしまくる:理由は色々ありますが、一人にくっついて行動している方が効率よく情報を得られます。
●NPC等の解説
・宿命館大学:逢魔化以降に設立した大学。因子や古妖、妖や神具などについて研究している学問機関。ただし神具等の兵器利用には否定的。ファイヴや五麟大学考とも関わりが無かった。
・能登博士:宿命館大学神秘研究室の室長。特殊マニ車理論の専門家。これに関する兵器を作りたい場合必須の人材。
・白鷹と以下数名:能登博士につく実地チーム。五人組の実力ある覚者たち。カンが鋭くプロの傭兵めいた風格をもつ。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
金:0枚 銀:0枚 銅:3枚
相談日数
8日
8日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
6/6
公開日
2017年01月02日
2017年01月02日
■メイン参加者 6人■

●フリー助手団『レイブン』
神具使用実験での仕組まれた出会いを経て、『レイブン』は宿命館大学の外部助手として活動することになった。
はじめは古い伝説のある山から石やら水やらを採取するというのんびりした、しかし戦闘の関わる依頼だったが、その一件の中で一定の信頼を勝ち取ったレイブンたちはばらばらに別れ、研究所のスタッフやもしもの時の戦闘員、そして博士の遊び相手として時折かり出されるようになった。
まあ、いわゆるところの便利屋である。大学の学生でも職員でもない外部の人間がそこまで立ち入ることができれば、もう充分といっていいだろう。
このお話は、そんなレイブンたちがばらばらに大学で過ごした一週間を追ったものである。
●研究員、谷川
まずは『優麗なる乙女』西荻 つばめ(CL2001243)から見ていこう。
前回のドサクサでなにげに研究所に出入りするようになっていたつばめは、その流れでたびたび研究所へ通うようになっていた。
具体的にはお弁当を作ってきては研究所の掃除やお茶くみをして過ごすという、軽い通い妻状態である。
日頃大学のボリューム重視な食堂やコンビニ弁当にばかりお世話になっていたゼミの学生たちは、つばめの持ち込む繊細な和食にそれはもう喜んだという。
今日も重箱を風呂敷に包んで持ってきたつばめを、背の高い男が出迎えた。
「やあつばめちゃん! 今日もよく来てくれたねえ、あ、髪飾り変えた? 可愛いじゃない」
谷川という学生だ。よくわかんない立ち位置の男で、日頃奔放に遊びに出かける能登博士にかわって研究室を仕切っている。
「ごきげんよう、寒い時期ですし、お汁粉でもと思いまして……お鍋とコンロをお借りしても?」
「うわー助かるー! どう、今夜ごちそうするからさあ」
「それはお断わりします」
研究所通い三日目にして谷川のあしらい方を心得たつばめである。
どうもこの男、女性とみれば誰でもくどくという節操の無さで、学生たちもつばめ同様あしらい続けている。だがその軽さゆえに侮りやすく、学生たちからは平たく人気があった。
コミュ力の高いウェイウェイした男なのだ。
さて、つばめとて伊達に通い妻と化しているわけではない。
ファイヴから身分を隠して接触する自分がいるように、黒鯨商会やその他の組織から潜入している者の影を追っていたのだ。
探り方としては学生の間に流れる噂や小さな事件をかき集めるというもので……そんなつばめのアンテナにある事件がひっかかった。
夜間、能登博士が寝泊まりするのに(勝手に)使っている部屋に侵入する男の影である。
捕まえねばなるまい。
そして皆の前で正体を暴くのだ。
息を潜めて部屋で待ち構えるつばめ。
静まった夜の闇に紛れ、男がそっと部屋に入ってきた。
そして何かを掴んでポケットに入れたその瞬間。防犯ブザーを鳴らして彼を組み伏せたのだ。
ブザーを聞いて駆けつけてくる学生たち。
そして組み伏せた男の顔を見て皆一様に驚いた。
「た、谷川さん……!」
まさかこの男が。つばめは目を細め、彼のポケットに手を入れた。
「あなたが博士の部屋から何かを盗んだのを見ました。まさかあなたのような人……が……」
するするとポケットからのびる黒く透けた布。
広げてみると、それはストッキングだった。デニール厚めの。
「えっと」
「あの奔放な博士のストッキングを部屋に飾ったら幸せかなあと思ったんだ。くっ、殺せ……!」
対して学生たちは。
「谷川さんまたですか」
「そろそろ警察に突き出しますよ」
「前科、あるんですか……」
「たくさん」
「たくさん……」
つばめは深いため息をついた。
●傭兵、白鷹
『レイブン』が宿命館大学神秘学研究所もとい能登博士たちに示した最大の有用性は、彼らの戦闘力が割と高い水準にあるということである。
そこに目をつけた白鷹は劒や浅間といったメンバーに加えて、レイブンのスタッフを自らのチームへ一時的に加える提案をしてきた。
彼らの信用を得たいレイブンは早速この話にのっかり、白鷹が着手しているという要注意団体への捜索活動に協力したのだった。
ややっこしいので平たく言うと、黒鯨商会の調査に協力したのだ。
メンバーは『守人刀』獅子王 飛馬(CL2001466)、『緋焔姫』焔陰 凛(CL2000119)、そして上月・里桜(CL2001274)だ。
まず里桜がトライしたのはインターネットを通じた黒鯨商会の調査さった。
表向きには振動マッサージ器やマッサージチェアを販売する黒鯨商会も、ネットで検索すれば少し裏側の商売も見えてくる。
といってもいわゆる卑猥なアイテムが主であり、そういった情報ばかりがどろどろ出てきて里桜は軽く辟易したのだが……。
(相手が相手なので)アングラサイトまで潜って調べてみた所、麻薬取引や援助交際といった非合法なやりとりを行なう掲示板を発見。その一部から、黒鯨商会の武器密売と思しき書き込みを発見した。
といっても、ここまでの情報はそこそこパソコンやアングラ知識に詳しい人が多少頑張って調べれば分かることであって、ここから先は自分の目で確かめるほかない。
というわけで取引が行なわれそうな現場を訪れたのだが……。
「白鷹さん。なぜ警察やAAAに相談しないのですか? 立派な事件だと思うので押すが……」
「警察案件になったら、今度はこっちが捜査できなくなるでしょ。それに警察が武装覚者組織を鎮圧できるんだったら、今頃日本は平和だよね」
「……AAAでも、だめなのですか?」
「あそこはダメ。警察よりタチ悪いから。解決する見返りに博士ごと接収しかねないもん。税金で動いてないなら、見返りを求めるのが当然ってね」
「見返り、ですか」
ファイヴはもとより、里桜も非営利団体による慈善事業としてこの件に携わっている。なんなら黒鯨商会の壊滅をタダで引き受けてもいいとすら思うが……。
「親切な人間は沢山いるけどさ、『タダで生きていられる人間』はいないんだよ」
人間を扱うにはコストがかかる。例えば里桜ひとりを運用するのに、恐らく一万二万じゃくだらないコストがどこかで動いている筈だ。それが国税でないならば……。
「白鷹さん、あんパン買ってきたで! あと牛乳な!」
凛がしのびあしかつ駆け足という器用な走り方で駆けつけてきた。
「なんでそんな甘ったるいメニューなの」
「張り込みといったらこれやろ」
そーなんだーと言いながらあんパンもしゃもしゃする白鷹。あんまりものを味わって食べるタイプではないようで、数口でぺろっと平らげてしまった。
一方の劒は更に豪快で、あんパンをひとのみにしたあと牛乳を逆さにして高速で飲み干すという一発芸みたいな食べ方をしていた。
とても女性の食事風景とは思えない。
浅間が困った顔で愛想笑いをした。
「ああ、ごめん。二人はこんなだけど、ありがたく食べてるんだよ? 買ってきてくれてありがとうね」
「いや、ええてええて」
凛はにこやかに笑い返した。
鋭い刃のような白鷹や、彼女に付き従う狼のような劒と違って、浅間は愛想の良い常識人だ。見るからに黒人だということを覗けば、そのへんのサラリーマンとかわらない。
凛は、この人が一番話しやすそうだなあと思った。
と、そこで。
「おい皆、誰か来たぜ」
物陰から様子をうかがっていた飛馬が呼びかけてきた。
アタッシュケースを抱えた男と、トラックをとめて下りてくる男。
まずケースの中身を確認すると、もう一方の男がトラックの荷台を開いて中身を確かめる。
「武器をトラックの荷台ごと売るってか。手っ取り早い話だな。どうする? 武器を手に入れた奴らもおさえたほうが……」
「ストップ」
飛馬の頭をぐっと押さえて、白鷹は目を細めた。
「あれは放っておく」
「……いいのか?」
「追いかけてもいいけど、この件が片付いてからね。私たちの身体が今すぐ二つに分かれるわけじゃあないんだよ」
飛馬は白鷹の目を見てぞくりとした。目的のために手段を選ばない、そういう人間の目つきだ。
気さくで子供っぽい、能登と気の合う女性でありながら、本質は全く別のところにある。
「さて、行こうか」
繰り出された斧を、飛馬は刀をクロスさせることで受け止めた。
結構なパワーだ。押し切られそうになった所で、凛が素早く飛び込んで相手の手首から脇腹までを複雑に切り込んでいく。
うなりを上げてのけぞる男。
里桜は護符を握りしめ、男を力強く殴り倒した。
「最悪だ……」
顔色の悪い男がライフルを取り落とし、両手を挙げて数歩後じさりした。
麻袋を被った大男と小柄な少女が劒と飛馬にそれぞれ組み伏せられている。
白鷹は手をぱたぱたと振ると、凛の刀が顔色の悪い男の首へ添えられた。
「大人しくしいや」
降伏した男たちを拘束し、里桜は白鷹へ振り返った。
「AAAなどに引き渡して調べて貰うこともできますけど」
「あーダメダメ。AAAは特に信用できないから。末端のスタッフはともかく作ってる人たちがねー、きったないから」
「……それは、どういう?」
里桜も、AAAが上層の派閥争いから内輪もめに発展した挙げ句大妖相手に崩壊したという話は聞いているが、その更に裏の話となると流石に知らない。
「元AAAの人と話したことある? あの人たち、本部の場所も組織規約も共通支給品すら知らないっていうんだから。あれはヤバイよ。ヤクザよりヤクザ。全員事務所も知らされてない鉄砲玉ってことだもん。あそこは他人を使い捨てにすることに全く躊躇がないんだよ」
言われてみれば、かもしれない。
今現在『ファイヴはAAAの後釜』なんて言われてちやほやされているが、裏を返せば妖や隔者との戦いに民間人をぶつけてAAAを温存しているということでもあるのだ。善意を利用しているぶんだけ、徴兵制度よりたちが悪い。奇跡的にみな潤沢な命数値と複魂があるので数えるほどしか死んでいないが、命数の減り具合でいえばもはや三桁は下らないのだ。
「となると……私たちの接し方は正しかったのかもしれませんね」
誰にも聞こえないように、里桜は呟いた。
●能登博士
研究とはまた関係の無い古妖観察に、イレブンは付き合わされていた。というか自ら付き合った。
能登博士は彼らを連れ回し、幻の珍獣だか古妖だかを求めて山奥を何日もさまよったのだが……その結果。
「奏空くん、ツバメちゃん。みてみてこんなに沢山!」
能登博士が草原を走っている。
あたりには虹色の蝶が群れを成して飛んでいるが、その全てが1メートルほどの巨大さだった。
口をあんぐり開けて立ち尽くす『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)。
奏空的なハナシ、古妖ってゆーのは人語をかたる友達候補か、なんかすげー悪いクリーチャーかのどっちかで、皆なにかしら戦闘力を持っていたりしたものだ。
けどなにこれ。
「ニジイロバケチョウチョウ。この地方に生息する妖怪だそうだ。普段は花の蜜をすっており、行動は蝶と変わらないが繁殖をせず土地を移動しないため生態系に影響を及ぼさない……と」
『鬼灯の鎌鼬』椿屋 ツバメ(CL2001351)は手帳を閉じて顔を上げた。
「喋ったり、とか」
「しないな。まあ、古妖にしてはポピュラーな方だろう」
「あ、うん。そう? だね。そうだったそうだった」
ファイヴにいると事件性の高い古妖にばかり接触するので感覚が麻痺しているようだ。
暴力的なドイツ人にばかり接するとドイツ人すべてが暴力的に見える、という大陸あるあるネタを思わせる。
奏空は一旦固定観念を捨て、能登の元にはしった。
「はかせー! 手伝うことある? なんでもいってー!」
走る少年の後ろ姿を眺めながら、ツバメは小さく息をついた。
草原地帯に近づくころ、同族把握を使って古妖の存在を探ってみせて興味を引いたものだ。
チョウの妖怪との距離は(結果からみて)100メートル近くあったはずなのに、あの時やけに強い感覚があったのはなんだったのだろう。
まあなんというか。
同族把握なんて名前のせいでややっこしいのだが、古妖というのは『動物でも自然物質でも妖でもないなにか』の総称であり、同族把握は消去法的に「あーこれ古妖なんだろうなあ」と感じるスキルである。なので、それが具体的に何かとか、どのくらいいるかとか、そういったことは分からないのだ。
それよりも、同族把握についてひたすら食いついてきたのが大変だった。なんとなく嘘じゃ無い程度に誤魔化したが、誤魔化しきれるものではない。身分を明かす上で、ちゃんと説明しておかなくちゃならないだろう。
現場には、奏空やツバメの他にトキも一緒にいた。自分たちを警戒してつけた護衛かとはじめは思ったが、どうやら能登博士が男の子が可愛いからくらいの理由で白鷹のもとから浚ってきたらしい。
「じゃ、この辺でキャンプしよっか!」
能登博士は身の回りに無頓着というか、平気で野宿をする女性である。
ツバメはたき火をみなで囲みながら、持ってきたお弁当を広げた。
「ふうん、ちゃんと作るんだね」
能登がお弁当箱を覗き込んでくる。
試しにおかずを分けてやると、喜んで食べた。
一方の奏空は、たき火をじっと見つめている。
思えばもう一週間目の夜だ。
そろそろ、頃合いだろう。
「博士、俺たち……実は隠していたことがあるんだ」
●うちあけること
研究員に押しかけ妻をしていたつばめも、白鷹とともに黒鯨商会を追っていた飛馬たちも、能登博士と共に趣味に付き合っていた奏空たちも、みな同じ気持ちで同じことを告白した。
「俺たち、実はファイヴっていう組織の一員なんだ。ソウガン和尚から貰った滅相銃から『特殊マニ車理論』っていうのを見つけて……」
「神具を独自に生産するにはこの技術の専門家が必要だって結論に至ったんだ。だから専門家である能登博士に接触することにしたんだ」
「接し方も、接してからどう着地するかも任されとる。それでうちら話し合って決めたんや」
「五麟大学と宿命館大学で共同研究ができればいい。そういう着地点にしようと」
「正直に言って、理論を使った神具が作れなくても構わないと思っています」
「それに、今まで黙ってたことで関係が決裂しちまうかもしれないってこともわかってる。けど、全部知って貰った上で仲良くしたいって思ったんだ」
「だが断じて、黒鯨商会のような連中とは違う。ああいった連中から博士と研究を守るのも、私たちが決めた目的の一つだ」
それぞれの場所で、それぞれの形で、しかし同じタイミングで自らの想いと目的を明かした『レイブン』のメンバーたち。
その行く末や、いかに。
神具使用実験での仕組まれた出会いを経て、『レイブン』は宿命館大学の外部助手として活動することになった。
はじめは古い伝説のある山から石やら水やらを採取するというのんびりした、しかし戦闘の関わる依頼だったが、その一件の中で一定の信頼を勝ち取ったレイブンたちはばらばらに別れ、研究所のスタッフやもしもの時の戦闘員、そして博士の遊び相手として時折かり出されるようになった。
まあ、いわゆるところの便利屋である。大学の学生でも職員でもない外部の人間がそこまで立ち入ることができれば、もう充分といっていいだろう。
このお話は、そんなレイブンたちがばらばらに大学で過ごした一週間を追ったものである。
●研究員、谷川
まずは『優麗なる乙女』西荻 つばめ(CL2001243)から見ていこう。
前回のドサクサでなにげに研究所に出入りするようになっていたつばめは、その流れでたびたび研究所へ通うようになっていた。
具体的にはお弁当を作ってきては研究所の掃除やお茶くみをして過ごすという、軽い通い妻状態である。
日頃大学のボリューム重視な食堂やコンビニ弁当にばかりお世話になっていたゼミの学生たちは、つばめの持ち込む繊細な和食にそれはもう喜んだという。
今日も重箱を風呂敷に包んで持ってきたつばめを、背の高い男が出迎えた。
「やあつばめちゃん! 今日もよく来てくれたねえ、あ、髪飾り変えた? 可愛いじゃない」
谷川という学生だ。よくわかんない立ち位置の男で、日頃奔放に遊びに出かける能登博士にかわって研究室を仕切っている。
「ごきげんよう、寒い時期ですし、お汁粉でもと思いまして……お鍋とコンロをお借りしても?」
「うわー助かるー! どう、今夜ごちそうするからさあ」
「それはお断わりします」
研究所通い三日目にして谷川のあしらい方を心得たつばめである。
どうもこの男、女性とみれば誰でもくどくという節操の無さで、学生たちもつばめ同様あしらい続けている。だがその軽さゆえに侮りやすく、学生たちからは平たく人気があった。
コミュ力の高いウェイウェイした男なのだ。
さて、つばめとて伊達に通い妻と化しているわけではない。
ファイヴから身分を隠して接触する自分がいるように、黒鯨商会やその他の組織から潜入している者の影を追っていたのだ。
探り方としては学生の間に流れる噂や小さな事件をかき集めるというもので……そんなつばめのアンテナにある事件がひっかかった。
夜間、能登博士が寝泊まりするのに(勝手に)使っている部屋に侵入する男の影である。
捕まえねばなるまい。
そして皆の前で正体を暴くのだ。
息を潜めて部屋で待ち構えるつばめ。
静まった夜の闇に紛れ、男がそっと部屋に入ってきた。
そして何かを掴んでポケットに入れたその瞬間。防犯ブザーを鳴らして彼を組み伏せたのだ。
ブザーを聞いて駆けつけてくる学生たち。
そして組み伏せた男の顔を見て皆一様に驚いた。
「た、谷川さん……!」
まさかこの男が。つばめは目を細め、彼のポケットに手を入れた。
「あなたが博士の部屋から何かを盗んだのを見ました。まさかあなたのような人……が……」
するするとポケットからのびる黒く透けた布。
広げてみると、それはストッキングだった。デニール厚めの。
「えっと」
「あの奔放な博士のストッキングを部屋に飾ったら幸せかなあと思ったんだ。くっ、殺せ……!」
対して学生たちは。
「谷川さんまたですか」
「そろそろ警察に突き出しますよ」
「前科、あるんですか……」
「たくさん」
「たくさん……」
つばめは深いため息をついた。
●傭兵、白鷹
『レイブン』が宿命館大学神秘学研究所もとい能登博士たちに示した最大の有用性は、彼らの戦闘力が割と高い水準にあるということである。
そこに目をつけた白鷹は劒や浅間といったメンバーに加えて、レイブンのスタッフを自らのチームへ一時的に加える提案をしてきた。
彼らの信用を得たいレイブンは早速この話にのっかり、白鷹が着手しているという要注意団体への捜索活動に協力したのだった。
ややっこしいので平たく言うと、黒鯨商会の調査に協力したのだ。
メンバーは『守人刀』獅子王 飛馬(CL2001466)、『緋焔姫』焔陰 凛(CL2000119)、そして上月・里桜(CL2001274)だ。
まず里桜がトライしたのはインターネットを通じた黒鯨商会の調査さった。
表向きには振動マッサージ器やマッサージチェアを販売する黒鯨商会も、ネットで検索すれば少し裏側の商売も見えてくる。
といってもいわゆる卑猥なアイテムが主であり、そういった情報ばかりがどろどろ出てきて里桜は軽く辟易したのだが……。
(相手が相手なので)アングラサイトまで潜って調べてみた所、麻薬取引や援助交際といった非合法なやりとりを行なう掲示板を発見。その一部から、黒鯨商会の武器密売と思しき書き込みを発見した。
といっても、ここまでの情報はそこそこパソコンやアングラ知識に詳しい人が多少頑張って調べれば分かることであって、ここから先は自分の目で確かめるほかない。
というわけで取引が行なわれそうな現場を訪れたのだが……。
「白鷹さん。なぜ警察やAAAに相談しないのですか? 立派な事件だと思うので押すが……」
「警察案件になったら、今度はこっちが捜査できなくなるでしょ。それに警察が武装覚者組織を鎮圧できるんだったら、今頃日本は平和だよね」
「……AAAでも、だめなのですか?」
「あそこはダメ。警察よりタチ悪いから。解決する見返りに博士ごと接収しかねないもん。税金で動いてないなら、見返りを求めるのが当然ってね」
「見返り、ですか」
ファイヴはもとより、里桜も非営利団体による慈善事業としてこの件に携わっている。なんなら黒鯨商会の壊滅をタダで引き受けてもいいとすら思うが……。
「親切な人間は沢山いるけどさ、『タダで生きていられる人間』はいないんだよ」
人間を扱うにはコストがかかる。例えば里桜ひとりを運用するのに、恐らく一万二万じゃくだらないコストがどこかで動いている筈だ。それが国税でないならば……。
「白鷹さん、あんパン買ってきたで! あと牛乳な!」
凛がしのびあしかつ駆け足という器用な走り方で駆けつけてきた。
「なんでそんな甘ったるいメニューなの」
「張り込みといったらこれやろ」
そーなんだーと言いながらあんパンもしゃもしゃする白鷹。あんまりものを味わって食べるタイプではないようで、数口でぺろっと平らげてしまった。
一方の劒は更に豪快で、あんパンをひとのみにしたあと牛乳を逆さにして高速で飲み干すという一発芸みたいな食べ方をしていた。
とても女性の食事風景とは思えない。
浅間が困った顔で愛想笑いをした。
「ああ、ごめん。二人はこんなだけど、ありがたく食べてるんだよ? 買ってきてくれてありがとうね」
「いや、ええてええて」
凛はにこやかに笑い返した。
鋭い刃のような白鷹や、彼女に付き従う狼のような劒と違って、浅間は愛想の良い常識人だ。見るからに黒人だということを覗けば、そのへんのサラリーマンとかわらない。
凛は、この人が一番話しやすそうだなあと思った。
と、そこで。
「おい皆、誰か来たぜ」
物陰から様子をうかがっていた飛馬が呼びかけてきた。
アタッシュケースを抱えた男と、トラックをとめて下りてくる男。
まずケースの中身を確認すると、もう一方の男がトラックの荷台を開いて中身を確かめる。
「武器をトラックの荷台ごと売るってか。手っ取り早い話だな。どうする? 武器を手に入れた奴らもおさえたほうが……」
「ストップ」
飛馬の頭をぐっと押さえて、白鷹は目を細めた。
「あれは放っておく」
「……いいのか?」
「追いかけてもいいけど、この件が片付いてからね。私たちの身体が今すぐ二つに分かれるわけじゃあないんだよ」
飛馬は白鷹の目を見てぞくりとした。目的のために手段を選ばない、そういう人間の目つきだ。
気さくで子供っぽい、能登と気の合う女性でありながら、本質は全く別のところにある。
「さて、行こうか」
繰り出された斧を、飛馬は刀をクロスさせることで受け止めた。
結構なパワーだ。押し切られそうになった所で、凛が素早く飛び込んで相手の手首から脇腹までを複雑に切り込んでいく。
うなりを上げてのけぞる男。
里桜は護符を握りしめ、男を力強く殴り倒した。
「最悪だ……」
顔色の悪い男がライフルを取り落とし、両手を挙げて数歩後じさりした。
麻袋を被った大男と小柄な少女が劒と飛馬にそれぞれ組み伏せられている。
白鷹は手をぱたぱたと振ると、凛の刀が顔色の悪い男の首へ添えられた。
「大人しくしいや」
降伏した男たちを拘束し、里桜は白鷹へ振り返った。
「AAAなどに引き渡して調べて貰うこともできますけど」
「あーダメダメ。AAAは特に信用できないから。末端のスタッフはともかく作ってる人たちがねー、きったないから」
「……それは、どういう?」
里桜も、AAAが上層の派閥争いから内輪もめに発展した挙げ句大妖相手に崩壊したという話は聞いているが、その更に裏の話となると流石に知らない。
「元AAAの人と話したことある? あの人たち、本部の場所も組織規約も共通支給品すら知らないっていうんだから。あれはヤバイよ。ヤクザよりヤクザ。全員事務所も知らされてない鉄砲玉ってことだもん。あそこは他人を使い捨てにすることに全く躊躇がないんだよ」
言われてみれば、かもしれない。
今現在『ファイヴはAAAの後釜』なんて言われてちやほやされているが、裏を返せば妖や隔者との戦いに民間人をぶつけてAAAを温存しているということでもあるのだ。善意を利用しているぶんだけ、徴兵制度よりたちが悪い。奇跡的にみな潤沢な命数値と複魂があるので数えるほどしか死んでいないが、命数の減り具合でいえばもはや三桁は下らないのだ。
「となると……私たちの接し方は正しかったのかもしれませんね」
誰にも聞こえないように、里桜は呟いた。
●能登博士
研究とはまた関係の無い古妖観察に、イレブンは付き合わされていた。というか自ら付き合った。
能登博士は彼らを連れ回し、幻の珍獣だか古妖だかを求めて山奥を何日もさまよったのだが……その結果。
「奏空くん、ツバメちゃん。みてみてこんなに沢山!」
能登博士が草原を走っている。
あたりには虹色の蝶が群れを成して飛んでいるが、その全てが1メートルほどの巨大さだった。
口をあんぐり開けて立ち尽くす『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)。
奏空的なハナシ、古妖ってゆーのは人語をかたる友達候補か、なんかすげー悪いクリーチャーかのどっちかで、皆なにかしら戦闘力を持っていたりしたものだ。
けどなにこれ。
「ニジイロバケチョウチョウ。この地方に生息する妖怪だそうだ。普段は花の蜜をすっており、行動は蝶と変わらないが繁殖をせず土地を移動しないため生態系に影響を及ぼさない……と」
『鬼灯の鎌鼬』椿屋 ツバメ(CL2001351)は手帳を閉じて顔を上げた。
「喋ったり、とか」
「しないな。まあ、古妖にしてはポピュラーな方だろう」
「あ、うん。そう? だね。そうだったそうだった」
ファイヴにいると事件性の高い古妖にばかり接触するので感覚が麻痺しているようだ。
暴力的なドイツ人にばかり接するとドイツ人すべてが暴力的に見える、という大陸あるあるネタを思わせる。
奏空は一旦固定観念を捨て、能登の元にはしった。
「はかせー! 手伝うことある? なんでもいってー!」
走る少年の後ろ姿を眺めながら、ツバメは小さく息をついた。
草原地帯に近づくころ、同族把握を使って古妖の存在を探ってみせて興味を引いたものだ。
チョウの妖怪との距離は(結果からみて)100メートル近くあったはずなのに、あの時やけに強い感覚があったのはなんだったのだろう。
まあなんというか。
同族把握なんて名前のせいでややっこしいのだが、古妖というのは『動物でも自然物質でも妖でもないなにか』の総称であり、同族把握は消去法的に「あーこれ古妖なんだろうなあ」と感じるスキルである。なので、それが具体的に何かとか、どのくらいいるかとか、そういったことは分からないのだ。
それよりも、同族把握についてひたすら食いついてきたのが大変だった。なんとなく嘘じゃ無い程度に誤魔化したが、誤魔化しきれるものではない。身分を明かす上で、ちゃんと説明しておかなくちゃならないだろう。
現場には、奏空やツバメの他にトキも一緒にいた。自分たちを警戒してつけた護衛かとはじめは思ったが、どうやら能登博士が男の子が可愛いからくらいの理由で白鷹のもとから浚ってきたらしい。
「じゃ、この辺でキャンプしよっか!」
能登博士は身の回りに無頓着というか、平気で野宿をする女性である。
ツバメはたき火をみなで囲みながら、持ってきたお弁当を広げた。
「ふうん、ちゃんと作るんだね」
能登がお弁当箱を覗き込んでくる。
試しにおかずを分けてやると、喜んで食べた。
一方の奏空は、たき火をじっと見つめている。
思えばもう一週間目の夜だ。
そろそろ、頃合いだろう。
「博士、俺たち……実は隠していたことがあるんだ」
●うちあけること
研究員に押しかけ妻をしていたつばめも、白鷹とともに黒鯨商会を追っていた飛馬たちも、能登博士と共に趣味に付き合っていた奏空たちも、みな同じ気持ちで同じことを告白した。
「俺たち、実はファイヴっていう組織の一員なんだ。ソウガン和尚から貰った滅相銃から『特殊マニ車理論』っていうのを見つけて……」
「神具を独自に生産するにはこの技術の専門家が必要だって結論に至ったんだ。だから専門家である能登博士に接触することにしたんだ」
「接し方も、接してからどう着地するかも任されとる。それでうちら話し合って決めたんや」
「五麟大学と宿命館大学で共同研究ができればいい。そういう着地点にしようと」
「正直に言って、理論を使った神具が作れなくても構わないと思っています」
「それに、今まで黙ってたことで関係が決裂しちまうかもしれないってこともわかってる。けど、全部知って貰った上で仲良くしたいって思ったんだ」
「だが断じて、黒鯨商会のような連中とは違う。ああいった連中から博士と研究を守るのも、私たちが決めた目的の一つだ」
それぞれの場所で、それぞれの形で、しかし同じタイミングで自らの想いと目的を明かした『レイブン』のメンバーたち。
その行く末や、いかに。
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし
