<ヒノマル戦争>佐渡島兵器工場制圧作戦
●タザブロウとダンザブロウ
佐渡島。新潟県西部に位置する島。
人口約六万人のこの島には今、巨大な兵器工場ができあがっていた。
「妖被害で無人になったとはいえ、よくこんなものを建てる金があったなあ」
パチンと将棋の駒をさす狸がひとり。
顔こそ狸だが、身には赤い法被を纏い、どこか小柄な人間にも似たフォルムをしている。彼こそ古妖化け狸。その中でも歴史の長い戦争狸タザブロウである。
「俺の商売は四世紀モンだぞぉ? 金なら腐るほどあるわい。大事なのは人じゃい人!」
パチンと反対側から駒をさす狸。
彼は青いビジネススーツを纏っていて、タザブロウと似たようなフォルムをしていた。髭が白く、煙草をくわえて取り出して金色のジッポライターで点火する姿はまさしく中年サラリーマンのそれである。
彼は古くからこの佐渡島を影から納めてきた古妖ダンザブロウ狸である。
どちらも妖怪というランクから数段上がった氏神クラスの古妖であり、戦や商売など古くから人と深く関わりを持つ古妖でもある。
ちなみに姫路の芝右衛門狸と並んで日本三名狸とも言われている。
「それになんだ、暴力坂の考え方はおもしれえじゃあねえか。他国の土地をぶんどって逢魔開放たあ、たかだか百歳の小僧にしては殊勝な心がけよ。おたくもそのクチじゃねえのかい、タザブロウよ」
「なあに、ワシはアレよ。大和モンから受けた千年前の恩を返すついでよ」
「お互い長生きしすぎたなあ」
「まったくまったく……っと、メールじゃメール」
タザブロウは眼鏡をかけると、スマートホンを取り出してぽちぽちやりはじめた。
「あ? なんじゃそりゃあ」
「しらんのか。ぎゃらくしーじゃ」
「そうじゃないわい。電波届くんかいとゆーとるに」
「とどくんじゃなあこの前から。どれ、なになに……ファイヴが拠点の制圧に伺いますとな」
眼鏡を外し、相手の顔を見るタザブロウ。
ダンザブロウは将棋盤を前後ひっくりかえそうとして、その手を止めた。
「なんじゃと? ここにか!」
「ここにじゃなあ」
「あああああああああああああああ! 折角の生産ラインがああああああああ!」
ダンザブロウはわざとらしくひっくり返ると、足で将棋盤をひっくり返した。
●特別な制圧作戦
「皆、ヒノマル陸軍との戦争状態は終盤にさしかかっている。これまでの戦いを無駄にしないためにも、今度の制圧作戦でも勝ってもらいたい」
ここはファイヴの会議室。
中 恭介(nCL2000002)は覚者を集めてヒノマル戦争の説明を続けていた。
現在組織とはFH協定によって戦争をしており、一般人に被害がでないかわりにチーム戦の勝敗によって拠点制圧の是非を決めている。
「今回制圧するのは佐渡島の兵器工場だ。タザブロウ狸の人員とダンザブロウ狸の土地や資金によって運営されるこの工場は、決戦時におけるヒノマル陸軍一般兵の装備となる。この生産を止めることで、これ以上の兵器拡充を抑えることができるだろう」
「ただし大変なのはこのタザブロウだ。
彼は小豆から無限に『小豆衆』という兵隊を生み出すという能力を持ち、兵器工場だけあって充分な装備の兵隊が無限に沸く要塞と化している。
そこで、協定に従ってルールを設け、互いにとって対等な条件での勝負となった。
それがこの『工場制圧ルール』だ」
工場制圧ルール。
これは大量の『小豆衆』が防衛する工場に攻め入り、中央に存在する司令室へ到達すれば勝利となるルールである。
「普段のような戦闘とは違って、ペース配分や人員配置、技能スキルの活用などが大きく影響する作戦だ。気を引きしめてかかってくれ!」
佐渡島。新潟県西部に位置する島。
人口約六万人のこの島には今、巨大な兵器工場ができあがっていた。
「妖被害で無人になったとはいえ、よくこんなものを建てる金があったなあ」
パチンと将棋の駒をさす狸がひとり。
顔こそ狸だが、身には赤い法被を纏い、どこか小柄な人間にも似たフォルムをしている。彼こそ古妖化け狸。その中でも歴史の長い戦争狸タザブロウである。
「俺の商売は四世紀モンだぞぉ? 金なら腐るほどあるわい。大事なのは人じゃい人!」
パチンと反対側から駒をさす狸。
彼は青いビジネススーツを纏っていて、タザブロウと似たようなフォルムをしていた。髭が白く、煙草をくわえて取り出して金色のジッポライターで点火する姿はまさしく中年サラリーマンのそれである。
彼は古くからこの佐渡島を影から納めてきた古妖ダンザブロウ狸である。
どちらも妖怪というランクから数段上がった氏神クラスの古妖であり、戦や商売など古くから人と深く関わりを持つ古妖でもある。
ちなみに姫路の芝右衛門狸と並んで日本三名狸とも言われている。
「それになんだ、暴力坂の考え方はおもしれえじゃあねえか。他国の土地をぶんどって逢魔開放たあ、たかだか百歳の小僧にしては殊勝な心がけよ。おたくもそのクチじゃねえのかい、タザブロウよ」
「なあに、ワシはアレよ。大和モンから受けた千年前の恩を返すついでよ」
「お互い長生きしすぎたなあ」
「まったくまったく……っと、メールじゃメール」
タザブロウは眼鏡をかけると、スマートホンを取り出してぽちぽちやりはじめた。
「あ? なんじゃそりゃあ」
「しらんのか。ぎゃらくしーじゃ」
「そうじゃないわい。電波届くんかいとゆーとるに」
「とどくんじゃなあこの前から。どれ、なになに……ファイヴが拠点の制圧に伺いますとな」
眼鏡を外し、相手の顔を見るタザブロウ。
ダンザブロウは将棋盤を前後ひっくりかえそうとして、その手を止めた。
「なんじゃと? ここにか!」
「ここにじゃなあ」
「あああああああああああああああ! 折角の生産ラインがああああああああ!」
ダンザブロウはわざとらしくひっくり返ると、足で将棋盤をひっくり返した。
●特別な制圧作戦
「皆、ヒノマル陸軍との戦争状態は終盤にさしかかっている。これまでの戦いを無駄にしないためにも、今度の制圧作戦でも勝ってもらいたい」
ここはファイヴの会議室。
中 恭介(nCL2000002)は覚者を集めてヒノマル戦争の説明を続けていた。
現在組織とはFH協定によって戦争をしており、一般人に被害がでないかわりにチーム戦の勝敗によって拠点制圧の是非を決めている。
「今回制圧するのは佐渡島の兵器工場だ。タザブロウ狸の人員とダンザブロウ狸の土地や資金によって運営されるこの工場は、決戦時におけるヒノマル陸軍一般兵の装備となる。この生産を止めることで、これ以上の兵器拡充を抑えることができるだろう」
「ただし大変なのはこのタザブロウだ。
彼は小豆から無限に『小豆衆』という兵隊を生み出すという能力を持ち、兵器工場だけあって充分な装備の兵隊が無限に沸く要塞と化している。
そこで、協定に従ってルールを設け、互いにとって対等な条件での勝負となった。
それがこの『工場制圧ルール』だ」
工場制圧ルール。
これは大量の『小豆衆』が防衛する工場に攻め入り、中央に存在する司令室へ到達すれば勝利となるルールである。
「普段のような戦闘とは違って、ペース配分や人員配置、技能スキルの活用などが大きく影響する作戦だ。気を引きしめてかかってくれ!」

■シナリオ詳細
■成功条件
1.工場制圧ルールで勝利する
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
試合の勝敗により拠点制圧の是非が決まります。
今回は相手の防衛網を突破し、中央司令室へと到達することが勝利条件となります。
制限時間は予め決められた時刻から1時間。
1人でも中央司令室へ到達できればその時点で勝利となります。
ざっくり言うと疑似憤怒者を相手にしたカチコミです。
●工場の構造
周囲を高い塀で囲まれた菱形の施設です。
所員は全て100人の『小豆衆』で構成されています。
内部は一般的な機械製作工場と同じですが、通路が入り組んでおり、迷いやすい構造になっています。
施設のあらゆる場所に小豆衆が巡回しており、監視カメラも張り巡らされているため、きわめて上手にやらない限りは大体発見されます。
全部細かく説明すると文字数が足りないので、正面突破をする前提で主要な部分だけまとめます。
(奇抜な手段をとる場合はその分深い考察やプレイングを必要としますが、やはり長くなるので補足を省きます)
・正面ゲート:大型トラック二台がすれ違える程度の大きなゲートです。現在バリケードが張られ、厳戒態勢で封鎖されています。
塀を越えて侵入することも不可能ではありませんが、その際入り口に困ることになるのでご注意ください。
・工場通路:あえて迷いやすく入り組んだ構造をした通路です。相手は的確に追い詰めてきますが、こちらは迷ったら大変不利になるでしょう。
物質透過などでショートカットして進んでもいいですが、その際抜けた先に敵がいると先手を取られてたいへん危険です。
・中央通路:中央司令室へ向かうための通路です。重武装の小豆衆20人が待ち構えています。戦闘が激化するポイントです。
正面突破以外に方法はないので、がっつり戦っていきましょう。
●小豆衆について
タザブロウが小豆に妖術をかけて生み出した兵隊です。
戦闘力はそのへんの憤怒者程度ですが、適切な兵器できっちり武装しているため10人がかりで囲んでいじめ続ければ覚者1人くらいは倒せる戦力となっています。
全員が小銃とタクティカルアーマーを標準装備。中央司令室から無線通信で連携をとるので、情報は大体全体に伝わります。
通常の憤怒者戦闘と同じ要領で考えて頂いて結構です。
(疑似鉄心があるため魔眼や妖精結界など精神操作系は無効化されますが。それ以外の対応判定は憤怒者に準拠します)
ちなみにタザブロウとダンザブロウは非戦闘員なので攻撃や捕縛を禁じられています。
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・補足ルール1
EXプレイングにてこちらからの攻撃アクションを投票できます。
TOPの専用ページの中で【攻撃可能】となっている拠点を一つだけEXプレイングに書いて送ってください。(新規の捜索依頼や発見していない拠点への投票は締め切っています)
3票集まった時点で有効となり、票の多い順に依頼が作成されます。
※当WAVEが最終投票チャンスとなります。ここで必要数に達しなかった場合は依頼が流れます。
※補足情報が長くなったため、補足ルール2~3を省きます
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状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
7日
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
8/8
8/8
公開日
2017年01月01日
2017年01月01日
■メイン参加者 8人■

●第一段階:バリケード突破
佐渡島に堂々と存在するタサブロウとダンザブロウの兵器工場。
数世紀前から莫大な土地と財産を運用してきたダンザブロウと無尽蔵な人員を自らの妖力によって生み出せるタサブロウが協力して作り出した非覚者戦力用の兵器工場である。
そんな施設の正面ゲートは今は硬く鉄柵で閉ざされ、バリケードと兵隊がそれぞれ並んでいる。
バリケードといっても兵器工場を拠点にした軍人のそれなので、歩行者天国に置いてあるような通行禁止の板っきれではない。ホコ天はホコ天でも秋葉原に並ぶような、突っ込んできたトラックを逆に破壊するような鉄骨とトゲが突きだしたバリケードである。
兵隊も妖力によって小豆から生み出された化け人間『小豆衆』である。世界大戦彼中、戦場に狸が現われて(棍棒やなんかで)武装した兵隊を大量に生み出して支援した話はちょっとばかり有名である。
彼らは赤いタクティカルアーマーと非覚者用の小銃を装備してきっちりと並んでいた。
まさに厳戒態勢の軍事拠点。
そこへ、オリーブカラーのジープがエンジン全開で突っ込んできた。
堂々と正面から来た敵に対し、ゲート前に陣取っていた小豆衆が小銃による迎撃を開始。
ハンドルを握るのは『狗吠』時任・千陽(CL2000014)である。
「物量作戦ほど厄介なものはありませんからね。ここでこの拠点は押さえておきましょう」
いかに小豆衆が無尽蔵な兵力といえど武装を用意できなくてはそこまで驚異ではない、という意味である。
窓ガラスがかち割れるが構わず銃撃。
バリケード前で車体を止め、運転席から飛び出しながら銃撃を再開する。同じく助手席から飛び出した『教授』新田・成(CL2000538)も仕込み杖を抜いてBOTを乱射。
小豆衆を端から順に打ち倒していく。
一方、シートを取っ払って無理矢理六人詰め込んだジープの後部からは仲間たちがそれぞれ駆け出し美しく戦闘隊形を作っていく。
対して小豆衆たちも集中攻撃による迎撃に移ったようで、火力の集中をはかろうとする。
集中砲火を引き受けるべく前に出たのは緒形 逝(CL2000156)である。
後方から御石 司(CL2001518)の強化支援を受け、フルフェイスヘルメットの内側からバイザーごしにまがまがしい光を放った。
「小豆衆って名前、可愛らしいですね。ファイヴでも働いてもらえないでしょうか」
「軍備の接収は戦争のキモだが、何事も勝ってからのお話かね」
刀を斜めに翳して銃撃を引き受ける逝。
そのままじわじわと歩を進めていく。
「ちーっす、お邪魔しまーす!」
魔術を組み上げる『悲嘆の道化』切裂 ジャック(CL2001403)。
その魔術を借りるように無数の魔方陣を長く横一列に並べた『赤き炎のラガッツァ』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)が、おきまりのおまじないを唱えた。
「良い子に甘い焼き菓子を、悪い子には石炭を。イオ・ブルチャーレ!」
小豆衆たちを飲み込んでいく炎の渦。
更に追い打ちをかけるように、『淡雪の歌姫』鈴駆・ありす(CL2001269)がずんと足を踏み出した。
「まだこれだけの戦力を保持していたのね。けど、雑兵がいくら集まってもアタシたちにかなわないってとこ、見せてあげましょう。ゆる――開眼!」
フィンガースナップで起こした炎を指先に。
左から右へ大きな波を作るように空に光文字を描くと、巨大な炎の波と変えて小豆衆やバリケードへと放出させた。
悲鳴と共にバリケードごと吹き飛んでいく小豆衆たち。
とはいえさすがにバリケードというべきか、通行が可能な程度の隙間ができただけだったのだが。
「過剰な火力だったかしら。メンバーに恵まれたわね」
空に水の矢を放ち、天で破裂させる三島 椿(CL2000061)。
降り注いだ滴が彼女たちのわずかな被弾箇所を強制的に修復していく。
結果として、ほぼ無傷の勝利である。
ぱしぱしとほこりを払い落とす逝。
「戦闘開始から一時間(360ターン)以内か。よほど悠長に休憩しないかぎりは大丈夫だろうよ。それにしても小豆衆というのは、喰ったらどんな味がするのかしら」
「いわゆる狸が化かした小豆でしょうからね。味覚も来るって感じるのでしょう」
などと言いながら成が守護使役から抜き出したノートパソコンをゲート付近のセキュリティ端末に有線接続した。
「ここはもういいですね。ゆっくりしていると敵が集まってしまいますから、工場内部へ進みましょう」
成たちは装備を今一度確認してから、工場内部へと突入した。
●第二段階:工場通路の突破
多くの拠点にあることだが、工場内は複雑に入り組んだ構造をしている。
簡単な所だとわざとカクカクに蛇行させて銃撃しながら突き進んでも効果が薄い状態にしたり、軽く迷路のように入り組ませて特定の場所に行くには道順を正確に記憶していないとダメだったりというものがあるが、今回は後者にあたる。
同じ所をぐるぐるするのはごめんなので、ラーラは壁に手を当てて皆を見た。
「迷路は基本的に壁伝いに進めば迷わないといいます。結果的に遠回りにはなりますが、ループしないようにこの対策をとって進みましょう」
「なんなら、進んだ道にお菓子を落としていくから、まかり間違って同じ場所を通ってしまった時には気づけるようにしましょ。ヘンゼルとグレーテルみたいに小鳥に食べられることはないでしょうし」
椿もポケットからフルーツグミを取り出して地面へ適当に巻いていった。
「単純ですがそれだけに確実な手ですね。自分は監視カメラからの指示を出しにくいように見つけ次第破壊していくことにします。一行動さくことになりますが、来た道を戻る際などに居場所を特定しにくくなるでしょう」
拳銃を天井に向け、監視カメラを撃つ千陽。
逝が刀をかついで前へ出た。
「おっさんもできる限りその手の機材があったら教えるさね。まあ、第六感と危険予知しかないからそこは超視力や超直観みたいな動作は期待しないで欲しいがね」
タブレットPCを抱えて頷く司。
「では、僕が瞬間記憶で道順を記憶してマッピングをしていきますね。テレビゲームみたいにワープやターンパネルとかはないでしょうし」
話を聞いていたありすが腕組みをした。
「で、敵の接近はどうするの? 待ち伏せや不意打ちは対応できるとして、挟み撃ちはどうしようもなくなるわよ」
「同族把握と感情探査あるけど役に立つかな」
小さく手を上げたジャックに、ありすは難しい顔をした。
「敵の数が多すぎて鈍るし、そもそも感情とかあるのかしら小豆衆って。あと、同族把握って細かい数とか分からないでしょ」
「それもそっか。でも、挟まれても全体攻撃でドッゴーンてやれるから平気じゃね?」
「そうですね。前後を挟まれても適用できるのが全体攻撃のメリットでもありますから」
手をにぎにぎとやるラーラ。
「ですが、召炎波は一人につき二十発が限度です。挟まれる状況が続くと終盤に大変になりますから、温存していきましょうね」
「おっけ、挟まれてない時は破眼光つかう!」
「これでよし……と、早速来ましたよ!」
施設の外を回っていた小豆衆と内側から現在地をかぎつけた小豆衆がそれぞれ彼らを挟むように現われた。
銃撃を繰り出してくるが、逝と千陽がそれぞれ前後の壁となって仲間を守る。
「回復は温存しといて。終盤まではおっさんがかわりに回復しとくから」
「助かるわ」
椿たちは頷いて地道にエアブリットで小豆衆たちを劇劇。
「それにしてもまあ沢山わいてくるわね。でも、耐久力がなければアタシたちの敵じゃないわ。一気に焼き払ってしまいましょ!」
ありすはフィンガースナップで指に火をともすと、自らを中心にぐるりと円環を描いた。
同じく魔方陣や魔術式を生み出したラーラとジャックが一斉に召炎波を放出。小豆衆たちを蹴散らしていく。
一方で小豆衆は蹴散らしたそばから補充されるので、いつまでも全体攻撃で蹴散らし続けるというわけにはいかないだろう。
倒した敵(小豆衆は倒すと小豆に戻るので装備一式はその場に落ちる)からヘッドセットタイプの無線通信機を拾い上げる成。
「倒された味方の子機は親機側から一方的に接続を切られているようですね」
「わかるんですか?」
千陽に言われて、成は彼に通信機を渡した。(覚醒状態を解除してから)音が全くしなくなっていたのを確認して、千陽もまた頷いた。
これに関しての判定ですが、今回は一般的に使用されているヘッドセットと通話機による通信だったので扱えましたが大抵の場合専門的な機器になるのでエレクトロテクニカで使いこなすことは難しくなります。
「少々遠回りになりますが、地道に進んでいけばいずれ目的の場所にたどり着きます。皆さん、気力の節約を意識して頑張りましょう」
●第三段階:中央通路突破
中央司令室という名のタサブロウ&ダンザブロウ専用部屋への一本道。
こちらもまたカクカクと蛇行した作りになっているものの、道なりにまっすぐ進めばいよいよのゴールである。
そのため、ここに配備された小豆衆は大型の機関銃や強化装甲といった重武装を備え、おまけに奥の部屋からは次々に生成された新しい小豆衆が波となって襲いかかる。とはいえ新しい小豆衆には装備させる武器がないので、素手で殴りかかるしかないし防具もないのだが。
「アタシを止めたかったら戦車でももってきなさい!」
ありすは指先の炎で大きな円を何十にも描いていった。
そこへラーラが魔方陣を重ねておまじないを唱えると、炎の渦が通路を駆け抜けるようにして小豆衆たちを飲み込んでいった。
防御の薄い新規連中はたちまち蒸発。続けてジャックが魔方式を組み上げ、炎の波を乱射した。
「これでラスト! もう全体攻撃は打てんからな、ときちか!」
「充分です、この数なら制圧も難しくありません」
「そのためにはおっさんたちが盾にならないとね」
成と逝はそれぞれ防御をかため、機関銃の弾幕を浴びながらずんずんと歩を進めていった。
いかに防御の硬い彼らとはいえ無傷で通り抜けられる弾幕ではない。司から蒼炎の導で追加補助を受けているとはいってもである。
突き進み、機関銃を操作する小豆衆を二人がかりで切り倒す。
「さあ、今です!」
「乱暴ですが、ご協力を」
千陽は専用のタクティカルグローブをはめ込むと、地面を思い切り殴りつけた。
突然の衝撃に通路内がゆれ、体勢を崩す小豆衆たち。
そのさなかを、椿は翼を広げた防御姿勢で駆け抜けた。千陽による吹き飛ばしを自らに受けての加速である。これによって大体全力移動程度の速度が出た。一本道の通路という限られた状況でのあれやこれやが影響しての結果である。別の場所で同じことがでいるとは限らないだろう。
咄嗟に銃撃を集中させる小豆衆たちだが自らに回復術式をかけてカウンターヒール。
そのまま扉に体当たりをしかけ、椿は中央司令室へと転がり込んだ。
「うおっ!? まさか手前の兵を倒さずに来たのか!? ええいやめやめ! 武装解除!」
タサブロウは握った小豆を手放し、館内の小豆にもかけていた妖術を解除した。
機関銃を操作していた兵たちもみなただの小豆へ戻る。
軍人将棋をうっていたダンザブロウが嫌みな顔で振り返る。
「ルールをタッチダウン形式なんぞにするからだ。ラスボスでも立てておけば粘れたものを」
「見てただけの奴に言われたくないわい! こんの……ああっ、駒の裏を覗くな!」
取っ組み合いを始めるタザブロウとダンザブロウ。
武装が解かれたことで部屋に入ってきた千陽が、椿に手を貸して立たせた。
部屋を見回すと、どうも司令室というより学校の宿直室である。畳が敷かれて電気ポットや陶器の酒瓶が並ぶさまはいかにも化け狸の部屋である。
「王手です。タサブロウ老、ダンザブロウ老」
「そういう時はチェックメイトというんじゃい。要するに積み手じゃ」
「ちーっす将棋しようぜ将棋あとメルアド交換しようぜ俺のアドレス帳が潤うしあと暴力坂のメアドも教えて今度家行くからって言っていい!?」
すごい勢いで突っ込んできたジャックを、タサブロウは腕でつっぱった。
「ええいうっとうしい! ぐいぐい来るな! 施設は明け渡すからそれでいいじゃろ!」
「タザブロウさん。それはそれとして……僕と賭をしませんか」
ジャックをぐいっと引っ張って、司がタサブロウの前へ出た。
「お前さんは……んー、見たことあるな。自衛隊にいただろう」
「おや、ご存じでしたか?」
「相当若返っとるように見えるが……半世紀くらい前かのう。で?」
「ヒノマルとファイヴ、勝った方がお勧めの地酒を教えて貰うんです」
「絶対そこの教授のほうが詳しいとおもう」
「知ってるんですか?」
「半世紀くらい前じゃったかのう」
変な半世紀トークを始めるタサブロウたち。
ジャックはなにこの会話とおもいながら暫く聞いていた。
首を傾げる司。
「それで、どうですか?」
「いらんいらん。既にわしらはヒノマルの勝利に賭けておる。命以外の全部をな。勝てば官軍、勝者が正義。歴史も財も思うままよ。人類はずっとそうだったろう?」
「壊して無くしてしまわなければ、ね」
お互いの間で何か言葉にできない約束事のようなものが交わされたところで、ぱちんとダンザブロウが手を打った。
「では、これにて終局」
――敵拠点『佐渡島兵器工場』の制圧に成功しました!
佐渡島に堂々と存在するタサブロウとダンザブロウの兵器工場。
数世紀前から莫大な土地と財産を運用してきたダンザブロウと無尽蔵な人員を自らの妖力によって生み出せるタサブロウが協力して作り出した非覚者戦力用の兵器工場である。
そんな施設の正面ゲートは今は硬く鉄柵で閉ざされ、バリケードと兵隊がそれぞれ並んでいる。
バリケードといっても兵器工場を拠点にした軍人のそれなので、歩行者天国に置いてあるような通行禁止の板っきれではない。ホコ天はホコ天でも秋葉原に並ぶような、突っ込んできたトラックを逆に破壊するような鉄骨とトゲが突きだしたバリケードである。
兵隊も妖力によって小豆から生み出された化け人間『小豆衆』である。世界大戦彼中、戦場に狸が現われて(棍棒やなんかで)武装した兵隊を大量に生み出して支援した話はちょっとばかり有名である。
彼らは赤いタクティカルアーマーと非覚者用の小銃を装備してきっちりと並んでいた。
まさに厳戒態勢の軍事拠点。
そこへ、オリーブカラーのジープがエンジン全開で突っ込んできた。
堂々と正面から来た敵に対し、ゲート前に陣取っていた小豆衆が小銃による迎撃を開始。
ハンドルを握るのは『狗吠』時任・千陽(CL2000014)である。
「物量作戦ほど厄介なものはありませんからね。ここでこの拠点は押さえておきましょう」
いかに小豆衆が無尽蔵な兵力といえど武装を用意できなくてはそこまで驚異ではない、という意味である。
窓ガラスがかち割れるが構わず銃撃。
バリケード前で車体を止め、運転席から飛び出しながら銃撃を再開する。同じく助手席から飛び出した『教授』新田・成(CL2000538)も仕込み杖を抜いてBOTを乱射。
小豆衆を端から順に打ち倒していく。
一方、シートを取っ払って無理矢理六人詰め込んだジープの後部からは仲間たちがそれぞれ駆け出し美しく戦闘隊形を作っていく。
対して小豆衆たちも集中攻撃による迎撃に移ったようで、火力の集中をはかろうとする。
集中砲火を引き受けるべく前に出たのは緒形 逝(CL2000156)である。
後方から御石 司(CL2001518)の強化支援を受け、フルフェイスヘルメットの内側からバイザーごしにまがまがしい光を放った。
「小豆衆って名前、可愛らしいですね。ファイヴでも働いてもらえないでしょうか」
「軍備の接収は戦争のキモだが、何事も勝ってからのお話かね」
刀を斜めに翳して銃撃を引き受ける逝。
そのままじわじわと歩を進めていく。
「ちーっす、お邪魔しまーす!」
魔術を組み上げる『悲嘆の道化』切裂 ジャック(CL2001403)。
その魔術を借りるように無数の魔方陣を長く横一列に並べた『赤き炎のラガッツァ』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)が、おきまりのおまじないを唱えた。
「良い子に甘い焼き菓子を、悪い子には石炭を。イオ・ブルチャーレ!」
小豆衆たちを飲み込んでいく炎の渦。
更に追い打ちをかけるように、『淡雪の歌姫』鈴駆・ありす(CL2001269)がずんと足を踏み出した。
「まだこれだけの戦力を保持していたのね。けど、雑兵がいくら集まってもアタシたちにかなわないってとこ、見せてあげましょう。ゆる――開眼!」
フィンガースナップで起こした炎を指先に。
左から右へ大きな波を作るように空に光文字を描くと、巨大な炎の波と変えて小豆衆やバリケードへと放出させた。
悲鳴と共にバリケードごと吹き飛んでいく小豆衆たち。
とはいえさすがにバリケードというべきか、通行が可能な程度の隙間ができただけだったのだが。
「過剰な火力だったかしら。メンバーに恵まれたわね」
空に水の矢を放ち、天で破裂させる三島 椿(CL2000061)。
降り注いだ滴が彼女たちのわずかな被弾箇所を強制的に修復していく。
結果として、ほぼ無傷の勝利である。
ぱしぱしとほこりを払い落とす逝。
「戦闘開始から一時間(360ターン)以内か。よほど悠長に休憩しないかぎりは大丈夫だろうよ。それにしても小豆衆というのは、喰ったらどんな味がするのかしら」
「いわゆる狸が化かした小豆でしょうからね。味覚も来るって感じるのでしょう」
などと言いながら成が守護使役から抜き出したノートパソコンをゲート付近のセキュリティ端末に有線接続した。
「ここはもういいですね。ゆっくりしていると敵が集まってしまいますから、工場内部へ進みましょう」
成たちは装備を今一度確認してから、工場内部へと突入した。
●第二段階:工場通路の突破
多くの拠点にあることだが、工場内は複雑に入り組んだ構造をしている。
簡単な所だとわざとカクカクに蛇行させて銃撃しながら突き進んでも効果が薄い状態にしたり、軽く迷路のように入り組ませて特定の場所に行くには道順を正確に記憶していないとダメだったりというものがあるが、今回は後者にあたる。
同じ所をぐるぐるするのはごめんなので、ラーラは壁に手を当てて皆を見た。
「迷路は基本的に壁伝いに進めば迷わないといいます。結果的に遠回りにはなりますが、ループしないようにこの対策をとって進みましょう」
「なんなら、進んだ道にお菓子を落としていくから、まかり間違って同じ場所を通ってしまった時には気づけるようにしましょ。ヘンゼルとグレーテルみたいに小鳥に食べられることはないでしょうし」
椿もポケットからフルーツグミを取り出して地面へ適当に巻いていった。
「単純ですがそれだけに確実な手ですね。自分は監視カメラからの指示を出しにくいように見つけ次第破壊していくことにします。一行動さくことになりますが、来た道を戻る際などに居場所を特定しにくくなるでしょう」
拳銃を天井に向け、監視カメラを撃つ千陽。
逝が刀をかついで前へ出た。
「おっさんもできる限りその手の機材があったら教えるさね。まあ、第六感と危険予知しかないからそこは超視力や超直観みたいな動作は期待しないで欲しいがね」
タブレットPCを抱えて頷く司。
「では、僕が瞬間記憶で道順を記憶してマッピングをしていきますね。テレビゲームみたいにワープやターンパネルとかはないでしょうし」
話を聞いていたありすが腕組みをした。
「で、敵の接近はどうするの? 待ち伏せや不意打ちは対応できるとして、挟み撃ちはどうしようもなくなるわよ」
「同族把握と感情探査あるけど役に立つかな」
小さく手を上げたジャックに、ありすは難しい顔をした。
「敵の数が多すぎて鈍るし、そもそも感情とかあるのかしら小豆衆って。あと、同族把握って細かい数とか分からないでしょ」
「それもそっか。でも、挟まれても全体攻撃でドッゴーンてやれるから平気じゃね?」
「そうですね。前後を挟まれても適用できるのが全体攻撃のメリットでもありますから」
手をにぎにぎとやるラーラ。
「ですが、召炎波は一人につき二十発が限度です。挟まれる状況が続くと終盤に大変になりますから、温存していきましょうね」
「おっけ、挟まれてない時は破眼光つかう!」
「これでよし……と、早速来ましたよ!」
施設の外を回っていた小豆衆と内側から現在地をかぎつけた小豆衆がそれぞれ彼らを挟むように現われた。
銃撃を繰り出してくるが、逝と千陽がそれぞれ前後の壁となって仲間を守る。
「回復は温存しといて。終盤まではおっさんがかわりに回復しとくから」
「助かるわ」
椿たちは頷いて地道にエアブリットで小豆衆たちを劇劇。
「それにしてもまあ沢山わいてくるわね。でも、耐久力がなければアタシたちの敵じゃないわ。一気に焼き払ってしまいましょ!」
ありすはフィンガースナップで指に火をともすと、自らを中心にぐるりと円環を描いた。
同じく魔方陣や魔術式を生み出したラーラとジャックが一斉に召炎波を放出。小豆衆たちを蹴散らしていく。
一方で小豆衆は蹴散らしたそばから補充されるので、いつまでも全体攻撃で蹴散らし続けるというわけにはいかないだろう。
倒した敵(小豆衆は倒すと小豆に戻るので装備一式はその場に落ちる)からヘッドセットタイプの無線通信機を拾い上げる成。
「倒された味方の子機は親機側から一方的に接続を切られているようですね」
「わかるんですか?」
千陽に言われて、成は彼に通信機を渡した。(覚醒状態を解除してから)音が全くしなくなっていたのを確認して、千陽もまた頷いた。
これに関しての判定ですが、今回は一般的に使用されているヘッドセットと通話機による通信だったので扱えましたが大抵の場合専門的な機器になるのでエレクトロテクニカで使いこなすことは難しくなります。
「少々遠回りになりますが、地道に進んでいけばいずれ目的の場所にたどり着きます。皆さん、気力の節約を意識して頑張りましょう」
●第三段階:中央通路突破
中央司令室という名のタサブロウ&ダンザブロウ専用部屋への一本道。
こちらもまたカクカクと蛇行した作りになっているものの、道なりにまっすぐ進めばいよいよのゴールである。
そのため、ここに配備された小豆衆は大型の機関銃や強化装甲といった重武装を備え、おまけに奥の部屋からは次々に生成された新しい小豆衆が波となって襲いかかる。とはいえ新しい小豆衆には装備させる武器がないので、素手で殴りかかるしかないし防具もないのだが。
「アタシを止めたかったら戦車でももってきなさい!」
ありすは指先の炎で大きな円を何十にも描いていった。
そこへラーラが魔方陣を重ねておまじないを唱えると、炎の渦が通路を駆け抜けるようにして小豆衆たちを飲み込んでいった。
防御の薄い新規連中はたちまち蒸発。続けてジャックが魔方式を組み上げ、炎の波を乱射した。
「これでラスト! もう全体攻撃は打てんからな、ときちか!」
「充分です、この数なら制圧も難しくありません」
「そのためにはおっさんたちが盾にならないとね」
成と逝はそれぞれ防御をかため、機関銃の弾幕を浴びながらずんずんと歩を進めていった。
いかに防御の硬い彼らとはいえ無傷で通り抜けられる弾幕ではない。司から蒼炎の導で追加補助を受けているとはいってもである。
突き進み、機関銃を操作する小豆衆を二人がかりで切り倒す。
「さあ、今です!」
「乱暴ですが、ご協力を」
千陽は専用のタクティカルグローブをはめ込むと、地面を思い切り殴りつけた。
突然の衝撃に通路内がゆれ、体勢を崩す小豆衆たち。
そのさなかを、椿は翼を広げた防御姿勢で駆け抜けた。千陽による吹き飛ばしを自らに受けての加速である。これによって大体全力移動程度の速度が出た。一本道の通路という限られた状況でのあれやこれやが影響しての結果である。別の場所で同じことがでいるとは限らないだろう。
咄嗟に銃撃を集中させる小豆衆たちだが自らに回復術式をかけてカウンターヒール。
そのまま扉に体当たりをしかけ、椿は中央司令室へと転がり込んだ。
「うおっ!? まさか手前の兵を倒さずに来たのか!? ええいやめやめ! 武装解除!」
タサブロウは握った小豆を手放し、館内の小豆にもかけていた妖術を解除した。
機関銃を操作していた兵たちもみなただの小豆へ戻る。
軍人将棋をうっていたダンザブロウが嫌みな顔で振り返る。
「ルールをタッチダウン形式なんぞにするからだ。ラスボスでも立てておけば粘れたものを」
「見てただけの奴に言われたくないわい! こんの……ああっ、駒の裏を覗くな!」
取っ組み合いを始めるタザブロウとダンザブロウ。
武装が解かれたことで部屋に入ってきた千陽が、椿に手を貸して立たせた。
部屋を見回すと、どうも司令室というより学校の宿直室である。畳が敷かれて電気ポットや陶器の酒瓶が並ぶさまはいかにも化け狸の部屋である。
「王手です。タサブロウ老、ダンザブロウ老」
「そういう時はチェックメイトというんじゃい。要するに積み手じゃ」
「ちーっす将棋しようぜ将棋あとメルアド交換しようぜ俺のアドレス帳が潤うしあと暴力坂のメアドも教えて今度家行くからって言っていい!?」
すごい勢いで突っ込んできたジャックを、タサブロウは腕でつっぱった。
「ええいうっとうしい! ぐいぐい来るな! 施設は明け渡すからそれでいいじゃろ!」
「タザブロウさん。それはそれとして……僕と賭をしませんか」
ジャックをぐいっと引っ張って、司がタサブロウの前へ出た。
「お前さんは……んー、見たことあるな。自衛隊にいただろう」
「おや、ご存じでしたか?」
「相当若返っとるように見えるが……半世紀くらい前かのう。で?」
「ヒノマルとファイヴ、勝った方がお勧めの地酒を教えて貰うんです」
「絶対そこの教授のほうが詳しいとおもう」
「知ってるんですか?」
「半世紀くらい前じゃったかのう」
変な半世紀トークを始めるタサブロウたち。
ジャックはなにこの会話とおもいながら暫く聞いていた。
首を傾げる司。
「それで、どうですか?」
「いらんいらん。既にわしらはヒノマルの勝利に賭けておる。命以外の全部をな。勝てば官軍、勝者が正義。歴史も財も思うままよ。人類はずっとそうだったろう?」
「壊して無くしてしまわなければ、ね」
お互いの間で何か言葉にできない約束事のようなものが交わされたところで、ぱちんとダンザブロウが手を打った。
「では、これにて終局」
――敵拠点『佐渡島兵器工場』の制圧に成功しました!
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし
