わたし、さいきょうの猫カフェを、つくります!
わたし、さいきょうの猫カフェを、つくります!



「わっひゅうううううう! きゃわいー! きゃあああわいいいいい!」
 黒髪の女がネコを抱っこしてごろんごろんしていた。
 部屋には複数のネコちゃんが居て、壁には気合いの入ったキャットタワーまで備えつけてある。
 ここは猫カフェのために押さえた貸店舗。これから色々揃えて近日オープンだっていうこのタイミングで、店主はにゃんころ遊びに興じていた。
 店主ってえのは、この黒髪姉さんのことである。
 名は猫村サファイア。
 純日本人なのにこんな名前つけられた悲しみはどこえやら、にゃんこをこねこねしているだけで人生バラ色だという彼女は、その癒やしパワーで日本を元気にするんだとばかりに猫カフェを作ったのだが……。
「に……に……ニャーン!」
 かわいがっていたスコティッシュフォールド(耳がぺたんってなってて全体的に丸いネコの品種)が巨大化し、店の大きな窓ガラスを突き破って外へと飛び出して行ったじゃあねえか!
「にゃ、にゃんこが巨大化!? いやちがうわ、これは噂に聞く妖化! いけない! うちのよい子たちが!」
「「ニャニャーン!」」
 続きましてマンチカン(足の短いネコの品種)がドア突き破ってバーン!
 さらにはベンガル(ちっちゃいヒョウみたいなやんちゃくれネコ品種)が壁突き破ってドーン!
 猫村さんも妖になったネコたちを追いかけて走り出すも、おもちゃに躓いて仰向けにぶっ倒れた。
「よ、よい子たちー! カームバーーーーック!」


「それはゆゆしきじたいですね!」
 かまぼこの板についてるかまぼこを丁寧にしょーりしょーりしていた文鳥 つらら(nCL2000051)が、ハッとして顔をあげた。
 ここはファイヴの会議室。
 夢見はこっくり頷いた。
「発生した妖は全部で六体。血統書付きの大人しいプロニャンコたちですが、妖化したせいで凶暴な噛みつき攻撃やひっかき攻撃をする始末」
「ゆゆしきじたいじゃないですか!」
「けれど、一年前の研究結果から動物系妖はある条件下で倒すと生きた状態のままで元に戻すことができることが分かっています!」
「ゆゆしきですね!」
 多分この子『ゆゆしき』の意味分からずに使ってるなと思ったが、夢見は笑顔で頷いた。
「今回はその条件が分かっています。ネコちゃんへの愛情をもったまま倒すことです。そうすれば必ずやネコちゃんは元に戻り、猫カフェも再び経営することができるでしょう!」
「ゆゆしきー!」
「はい、がんばりましょう!」


■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:普通
担当ST:八重紅友禅
■成功条件
1.にゃんこ妖を倒す
2.なし
3.なし
 ロケーションは町中です。
 人が襲われる前に現場に到着できるので、にゃんこ妖をきっちり引きつけることができます。

 愛情をもって倒すことで、にゃんこ妖はもとのにゃんこに戻ります。
 逆にとりまぶっ殺そうみたいなテンションで倒すと元にゃんこの死体が残ってとても気まずいと思います。そーゆーの苦手な人は、(にゃんこ妖もわりかし強いので)仲間のサポートプレイで輝けるでしょう。

 今回は文鳥 つらら(nCL2000051)も一緒に行きます。
 基本的には回復術式をぱらぱらまく係ですが、レベルが低いのであんまりお役にたてません。
「ゆゆしくがんばります!」
 がんばるそうです。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(0モルげっと♪)
相談日数
7日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
7/8
公開日
2016年08月21日

■メイン参加者 7人■

『願いの花』
田中 倖(CL2001407)
『可愛いものが好き』
真庭 冬月(CL2000134)
『怠惰なる剛拳』
東屋・右京(CL2000971)
『ホワイトガーベラ』
明石 ミュエル(CL2000172)
『Overdrive』
片桐・美久(CL2001026)

●にゃんここにゃんこでかにゃんこ
 これまでのあらすじ。
「猫カフェの可愛いにゃんこたちが大きい妖になっちゃうなんて、ゆゆしきじたいだね」
「ゆゆしきですよね!」
 『可愛いものが好き』真庭 冬月(CL2000134)と文鳥 つらら(nCL2000051)は『ねー』と言って首を傾げ合った。
 二人そろってくるりと振り向くと、『怠惰なる剛拳』東屋・右京(CL2000971)が目をそらす。
「……なんとなし、仲間意識もある。助かるなら、その方がいい」
 二人はもう一回顔を見合わせて『ねー』ってやった。

 妖にゃんこがいるという場所へ向かう一行。『巖心流継承者』獅子王 飛馬(CL2001466)は腕を組んで唸った。
「猫カフェのネコが妖化とは、ある意味最強の猫カフェかもしれねーな」
 ニヒルなジョークと共に振り返る。
 と。
「はぁー! おっきいにゃんこ! ふわっふわ! もっふもふ!」
 南条 棄々(CL2000459)が虚空を見つめて掲げた両手をぷるぷるさせていた。
 完全に意識がどっかにいっちゃった人だった。
「……」
「はっ、取り乱したわね。もう平気よ」
「そりゃよかった。救出の方法は……」
「ネコさんに愛情を持って倒す、でしたね」
 『覚悟の事務員』田中 倖(CL2001407)はありもしない眼鏡をくいってやった。
 やってから、ぱたぱたと身体を探ってポケットから眼鏡ケースを取り出した。
 眼鏡をかけ直す倖。
「愛情を持って接するのは得意ですが、攻撃するとなるとなかなか難しいものです」
「でも……いきなり、妖になっちゃって……ネコさんたちも、きっと戸惑ってる、よね」
 手をぎゅっと握る『ホワイトガーベラ』明石 ミュエル(CL2000172)。
「絶対、元に戻してあげるから……」
 この先を曲がれば例のネコ妖の現在ポイントだ。
 『Overdrive』片桐・美久(CL2001026)は傍らを飛ぶラピスを見て、微笑以下の笑みを浮かべた。
「あの子のことを思い出しましたか、ラピス。あの場所には未練もありませんけれど……あの子は今、どうしているんでしょうね。っと」
 気持ちを切り替え、仲間の方へと向き直る。
「さて、妖化したとはいえもふもふは正義。ねこさんはねこさんです! 絶対もとに戻してみせましょう!」

●にゃんこバトル
 第一にゃんこ発見。
 スコティにゃんこが美容院によくある三色カラーのくるくる棒をちゃいちゃい殴っていた。
 ただのにゃんこなら動画サイトにアップしたいくらいの光景だが、妖パワーによってくるくる棒が粉砕していた。
 こちらを見ると、フシャーといって威嚇を始めた。
 ぐっと体勢をやや低くする。それを突撃姿勢と受け取った飛馬は腰の刀に手をかけた。
 一本抜いて逆手に返し、二本目を抜いて逆手に返す。棍術二刀流における基礎的な防衛形態だ。なぜ棍術かというと、刃を返して背で殴るように持ったからだ。
 飛馬の刀は撫でて切断するというより反らして流すような作りをしているので、あくまで受けの型ということになる。
「ニャッ!」
 早速飛びかかってくるにゃんこのパンチを、刀で受け払う。要領としては胸を中心とした八方に円を作って『打撃をくるんで捨てる』イメージだ。
 が、それが通じるのはあくまで一発二発。横から飛び込んできたマンチカンの食いつき突撃が脇腹へとめり込んだ。
「なあ、そんな風に暴れてないでよ……ねーちゃんのこと忘れちまったのか? お前らが戻ってこなかったら、きっとねーちゃん悲しむぞっ」
 痛みをこらえて呼びかける飛馬。
「獅子王さん、一旦離れて!」
 倖は目を瞑り、念弾を乱射した。
 顔や横腹に当たったマンチカンは『ぎゃん』とないてごろごろ転がっていく。
「ううっ……妖とはいえ可愛いにゃんこを撃つのは、心に痛すぎます……っ」
 片目を開けてつららを見る。
「彼の回復を、はやく!」
「はいーっ!」
 大きいじょうろを持ったつららが翼をぱたぱたやって飛馬の頭上へ来ると、じょうろで傷口にわしゃーっと水をかけ始めた。
「バトンタッチ、ですよ」
 追撃に出ようとしたにゃんこに真っ向から迎え撃つ美久。
 自らのこめかみに指を当てると、元々セットしていた痛覚遮断を解除した。
 腕にくらいつくスコティ。その痛みを噛みしめながら、美久はポケットから球根を取り出した。
 またたくまに長いツルへと変わった球根を鞭のようにしならせ、スコティの身体に叩き付ける。
「心を直接沈めることはできませんが……せめて痛みを長く感じないように」
「いい子だから大人しくしててねっ」
 覚醒状態の冬月がエアガンを地面に向けて乱射。
 すると地面にめり込んだ弾からにょきにょきと草がはえのび、にゃんこたちの身体に次々巻き付いていく。
 うっとうしそうにぶちぶちと引き抜くにゃんこたち。
「世話がやける……」
 右京もそれに乗じて攻撃を開始。飛燕を繰り出し、にゃんこを殴りつけ始めた。
 そうこうしている間に、冬月は背後の気配に気づいた。
 にゃんこの中でもひときわやんちゃな品種であるベンガルがスーパーマーケットから飛び出してきたのだ。
 その名の通りベンガル虎を縮小したようなネコである。大きくなればもはや虎そのものである。
「がうっ!」
「これは……まずいかもっ」
 足下に弾を次々に撃ち込んで草を生やすも、それを片っ端から引きちぎって突っ込んでくる。
「あたしの出番ね。まかせて」
 棄々が割り込み、あえてフリーハンドで受けの構えをとった。
 受けといっても両腕を開いて待ち構えただけである。
 肩にがぶりと噛みつくベンガル。棄々は突撃による物理エネルギーを抑えるべく両足を踏ん張り、両手を首に回して握り込んだ。
「棄々だいじょ……うぶ?」
 というか、めっちゃ抱きついていた。
「ふはあっ」
 思いっきり埋めていた顔を上げる。
「やっぱりかわいいわ!」
「すごく大丈夫そう!?」
「本当は抱きついてもふもふし続けていたいけど、そんな余裕は無いのよね……!」
 棄々は全身に力を込めると、ベンガルをぐいぐいと押し込んでいった。
 壁際に押しつけ、強く強く圧迫する。
「こっちは押さえておくから、今のうちに!」
「うん……!」
 ミュエルはポーチからマタタビ袋の詰まった瓶を取り出すと、瓶ごと放り投げた。
 空中で炸裂し、マタタビの香りが周囲へ解き放たれる。
 香りにあてられたにゃんこたちの動きがみるみる鈍っていく。
 ミュエルはいつもの杖を手にとってから、先端を見やった。
 これでさしたらすごく痛そうだ。
 一旦そこらへんに立てかけて、ミュエルは愛用のノートをくるくると丸めて持った。
「少しの間……我慢、してて……!」
 ミュエルは丸めたノートを掲げると、にゃんこへと飛びかかった。

 スコティのネコパンチと右京のヒットアンドアウェイが繰り返される。
 軽やかなステップで右へ左へと相手の動きを見極めながら相手の周囲をぐるぐると駆け回り、たまにスウェーをかけて無防備なエリアにパンチを叩き込む。ダメージよりも即時離脱を意識したパンチで反動をつてすぐに逃げ、振り返るのと逆の方向に回り込むという繰り返しだ。
 そんな彼の攻撃に嫌気がさしたのか、跳ねて大きく距離をとるスコティにゃんこ。
 一度距離を取られると零距離に潜り込んでのヒットアンドアウェイがやりにくくなる。
 何度か逃げ切れずに爪の攻撃を貰っているので、回復をつららに任せて右京も一旦下がることにした。
「任せろ。俺たちで仕上げにかかる」
 防御の構えを整えながらじりじりと間合いをはかる飛馬。
 間合いを奪い合うように構え、立ち止まり、にらみ合う。
 ネコ同士の戦いは時として静と動が混在する。今がその時だ。
 意識は相手の肉体や周囲の状況全てに張り巡らされ、思考も激しく回り続けている。けれど身体は微動だにせず、相手をにらみ付けるのだ。
 飛び出したのは同時だった。
 飛馬がわざと引き下がるような動作をいみせた瞬間。にゃんこが首めがけて食らいつきにかかったのだ。
 全力での飛びかかり。
 だからこそ、横合いからの攻撃には隙だらけだった。
「ハッ――!」
 一瞬の気合いと共に飛びかかった倖がにゃんこのお腹と肩をそれぞれ掴むと、自身を激しくねじり、にゃんこを空中で強制反転。背中から地面に叩き付けさせた。
 そのまま固め技にかかる倖。
「可愛らしいネコさんの苦しむ姿は見たくありません。ですがしかし、それ以上に……僕の勝手な気持ちでネコさんの苦しみを長引かせたくはありません。ですから」
 倖は全身に力を込めた。
「すみません!」
 にゃんこをしめおとす。
 その間際。飛馬がそっと頭を撫でてやった。
「自分がもともと何者だったのか、思い出せよ。それがプロにゃんこってやつだろ」
 やがてにゃんこはうとうとと目を瞑り、最後にはごろごろと喉を鳴らしながら光となり……倖の腕の中で眠るネコだけが残った。

 倖の子守歌に首を振るマンチカン。
 冬月がエアガンを撃ちまくり、次々と捕縛蔓を発生させる中。アスファルトの道路を駆け抜けていく。
 他のにゃんこたちとは大きく戦場が離れているが、ここまで来たらもう付き合うしかあるまい。
 冬月は気分を変えて戦闘の構えをとった。
 ぐるりと反転し、食らいつきにかかるにゃんこ。
「うわ――っと!」
 一本背負いの要領で相手に潜り込み、背中から地面に叩き付ける。
 ぎゃんとなくにゃんこに、思わず冬月は動揺した。
「うわ! 大丈夫!? オレ、やりすぎちゃったりしてないよね!?」
 が、にゃんこはすぐさま起き上がり、追撃の構えをとる。
「止まりなさい!」
 追いついてきた棄々がタックル。
 自らの肩に噛みついたにゃんこをそのままに、棄々は強く歯を食いしばった。
「棄々……」
「よびかけて!」
 冬月は頷き、にゃんこへと組み付いた。
「君たちにゃんこに何かあったら、飼い主さんが悲しむよ! それに……オレも悲しい! 可愛いものが気づいたら、悲しいんだよ!」
「よく言ったわ」
 棄々はどこからともなくチェーンソーを取り出すと、エンジンレバーを押し込んだ。
「ごめんね。今からちょっとだけ酷いことするわ……我慢しててね」
 チェーンソーを振り上げる棄々。肩にくいこんだ牙が更に強く食い込まれたが、棄々はそれをも無視した。
「ご主人様が待ってるわよ!」
 エンジン音と吹き上がる血。
 どれだけの時間が経っただろうか。
 短くも苦しい時間の果てに、棄々は地面に横たわっていた。
 投げ出されたチェーンソーは止まっている。
 無残に広がった血だまりも消えている。
 乾いたアスファルトを歩く四本足。
 薄目をあけた棄々の頬を、マンチカンがぺろりと舐めた。

 ちっちゃい野獣、ベンガル。それが巨大化したにゃんこはリアル野獣の如く暴れ回っていた。
 道路標識をへし折り、ショーウィンドウを粉砕し、自動車のボンネットをへこませて防犯ブザーが鳴り響く。
 そんな中、ミュエルは透明なペットボトルの蓋を開き。傷だらけの腕にばしゃばしゃと注ぎかけていた。
 再び丸めたノートを手に取ると、ベンガルへと突撃。
 ベンガルはミュエルの打撃をバックジャンプで回避すると、後ろ足のバネをつかって即座に反撃。ミュエルの腕に食いついてくる。
 小柄なミュエルを持ち上げる程度は容易なのだろう。そのまま浚われそうになりつつも、ミュエルはノートでにゃんこの顔を叩きつつけた。
 それが嫌になったのかミュエルを離して飛び退くにゃんこ。
 そこへすかさず美久が飛びかかった。
 植物の鞭を複雑に叩き付けにかかる。
 にゃんこは痛そうに地面を転がっていった。
「罪悪感が……本当に怪我とか残りませんよね?」
 美久は頭の中で平静を保つ呪文を唱えながら鞭を構えなおした。
 ベンガルが反撃のために飛びかかってくる。
 ネコパンチ。否、爪を出しての斬撃だ。
 直撃を食らった美久は高速でスピンしながら地面をバウンド。途中で体勢を器用に整えると両足からしっかりと着地、鞭を解き放った。
 さらなるパンチを打ち出そうと飛びかかったにゃんこの顔面にヒット。
 調子の狂ったにゃんこは美久のすぐ脇を転がっていく。
 かけつけたミュエルが新しいペットボトルを開いて美久の傷口に注いでいく。
「大丈夫……?」
「痛くもかゆくもありません」
 肩をすくめてみせる美久。けれど痛覚遮断は解除したままだ。
「けれど、あの子は痛いはずです。何も悪いことなんてしていないのに」
 ノートを丸めなおすミュエル。
 小太刀を抜く美久。
 ベンガルも立ち上がり、突撃をしかけてくる。
 二人は同時にかけだした。
 開いた顎に自らの腕をねじ込むミュエル。
 噛み砕かれる覚悟で更に押し込み、そんなミュエルの肩を踏み台にして飛び上がる美久。
「ネコさん」
 閃光が走り、美久はごろんと転がってからにゃんこの背後で片膝立ち制止。
「ああ、やっぱり……もこもこは正義ですよ」
 背後に光の柱がたち、元に戻ったベンガルにゃんこが振り返った。
 手を翳す美久。
 にゃんこはその手を一回噛んで。
 ぺろりと舐めた。

●猫カフェをつくります
「ふわっふわ! もっこもこー!」
 棄々はにゃんこを抱っこして床をごろごろ転がっていた。
 ここは例の猫カフェ。
 窓をパリーンしていったので今は板をはめこんで修理待ち。開店はもう少し先になりそうだが……。
「にゃんこたちが戻ってきてくれて、本当によかった。おかげでお店も開けます」
「当然のことをしたまでよ。この子はみんなに沢山かわいがられて幸せになるべきなのよ」
 キリッとした顔でいう棄々だが。寝っ転がってにゃんこの肉球を全力でもにもにしていた。普段のキャラとかどうでもいいみたいな堪能っぷりである。
 それは他の皆も同じで、倖はにゃんこを前に猫じゃらしを右へふりふり左へふりふり。ハアハアしながらにゃんこに夢中だった。
「この子たちは妖化した間のことを覚えていないようです。痛みや苦しみもきちんと消えてくれたんですね。よかった、本当によかった!」
「ああ、本当にな。俺もやっと本当の目的を果たせるよ」
 飛馬はボールを転がしてにゃんこと戯れていた。その横では右京が無愛想な顔でネコを撫でている。
「……なんだ」
「……いや」
「……まあ」
 にゃんこを撫でて顔をそらす右京。
「動物は嫌いじゃないんでな」

 マンチカンを抱っこしてなで回す冬月。
「よかったね。もとのにゃんこに戻れて」
「ほんですね! ゆゆしく幸せです!」
「それ意味間違ってる」
 そのネコをわしわししながらキャッキャするつらら。
 そんな中で、美久もまたベンガルにゃんこを撫でていた。
 たまにちゃいっと手を払うことがあるが、さすがにプロニャンコ。爪を立てたり噛みついたりはしないようだ。
 ちらりとラピスを見る美久。
「そうですね。きっとあの子も元気にやっているでしょう。とても、元気が良かったですから」
 猫じゃらしを手ににゃんこをくるくるやって遊ぶミュエル。
「みんな、とてもいい子たち、なのに……妖になって、可哀想だったね」
 しかも一歩間違えば殺されていたかもしれないのだ。
 病気や事故のように、妖化を予防できればいいのに……。
 そんな風に思いつつ、ミュエルはにゃんこを抱っこした。
 にゃんこはごろごろと喉を鳴らして、ミュエルの頬にほおずりをした。

■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし




 
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