≪嘘夢語≫妖怪と人が織りなすバトルもの
≪嘘夢語≫妖怪と人が織りなすバトルもの


●ラスボス化
「さあ、百鬼夜行を始めよう」
 土蜘蛛の力を得た『安土村の蜘蛛少年』安土・八起(nCL2000134)は、百の魑魅魍魎を従えて宣言した。
 だが、覚者は絶望しない。
 共に戦う古妖(バディ)がいる限り!



■シナリオ詳細
種別:通常
難易度:普通
担当ST:どくどく
■成功条件
1.古妖と共に土蜘蛛と同化した八起を倒せ!
2.カッコイイ台詞と共に派手に戦え!
3.弱点を使い、ピンチを演出しろ!
 どくどくです。
 来いよ覚者達、効率なんか捨ててかかってこい!

●説明ッ!
 土蜘蛛の力を取り込んだFiVEの少年、安土八起。目覚めた力でAAAとか七星剣とかイレブンとかを全部滅ぼして、古妖による日本征服を宣言しました。土蜘蛛だし已む無し。
 現代兵器や覚者の能力を古妖バリアー(仮)ですべて無効化する彼に太刀打ちできる者はいません。しかし希望は残されています。古妖の力を借りた人間なら、バリアーを無効化して安土にダメージを与えられます。
 古妖の力。古妖が同化したり、武器になったり、共に戦ってくれたりと形式は様々です。その古妖の持つ能力をそのまま使用できますが、その古妖の性質や弱点も受け継いでしまい、リスクは高いのです。
 貴方達は彼を止めるべく、そのリスクを承知の上で古妖の力を借りるのであった。

 と言うわけで、現行のアラタナルルールはポイしてください。
 距離の概念もないので戦場にいれば全員射程範囲内。そのため陣形も意味なし。プレイングのみのフレーバーなバトルです。ぶっちゃけ、古妖の力と弱点だけ書いて、戦闘はお任せでもSTが勝手に(面白おかしく)動かします。

●古妖の力
 貴方達は一人一体の古妖の力を借りることが出来ます。それにより、その古妖の力を借りて戦闘することが出来ます。内容は様々です。河童だと『水中で活動』『相撲』『尻子玉を抜く』などです。
 力の数や強さは(プレイングに書ける限り)制限なしですが、所得した力と同じ数だけの『弱点』を得ます。河童なら『皿の水がなくなると倒れる』『乾燥に弱い』などです。思いつかなければ『力の暴走(複数所得可能。一定確率で発動。プレイングを無視してNPC扱いになる)』になります。
 弱点の発動率は、力の強さに比例します。大妖並の力を有するなら、弱点の酷さや発動率も大きくなります。河童を例にすれば『相撲で勝負すれば勝てる。だが激しく動くので戦闘すれば皿の水がこぼれてしまう』と言った感じです。
 なら『納豆が食べれない』とか発動しにくい弱点を作ればよくね? いいですよ。その場合、百鬼夜行の中に納豆の付喪神とかが現れますので。どくどくST、この手のこじつけは大得意です。
 古妖がどういった形で力を貸してくれるかは、様々です。血を分けてくれる。魂が同化する。武器になる。使役されて戦うなどです。

●敵情報
・安土八起(×1)
 FiVEの少年。土蜘蛛の力を取り込み、暴走しています。背後の含めた百の魑魅魍魎を含めて一キャラクターです。
 イラストにはありませんが、背中から八の足を生やしています。

古妖の力
蜘蛛の巣:糸を用いて相手を絡み取ります。
八の蜘蛛足:鋼鉄すら裂く八本の足で攻撃してきます。攻撃回数八回。
百鬼夜行:百の魑魅魍魎が突撃してきます。
怨嗟の瞳:『人の時代は終わりを告げる。国を追われた怨嗟、今ここに示そう』……瞳から単体の超強力攻撃を放ちます。

弱点
殺人衝動:人を殺したくて仕方ありません。その機会があれば最優先で殺しに行きます。
弱点・刃物:刃物類で受けるダメージが増加します。
勝負気質:戦いを挑まれれば。それを断れません。挑発に乗りやすいです。
反骨の相:時の支配者に組せず、壮絶な死を遂げる運命の持ち主。生きたまま四肢をもがれ、首を刈られるであろう。

●場所情報
 いる? 適当に五麟学園の前ってしておきます。

■エイプリルフール依頼について
この依頼は参加者全員が見ている同じ夢の中での出来事となります。
その為世界観に沿わない設定、起こりえない情況での依頼となっている可能性が
ありますが全て夢ですので情況を楽しんでしまいしょう。
またこの依頼での出来事は全て夢のため、現実世界には一切染み出す事はありません。

※要約すると夢の世界で盛大な嘘を思いっきり楽しんじゃえ! です。

 皆様のプレイングをお待ちしています。
状態
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
(3モルげっと♪)
相談日数
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
参加人数
7/8
公開日
2017年04月14日

■メイン参加者 7人■

『赤き炎のラガッツァ』
ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)
『突撃爆走ガール』
葛城 舞子(CL2001275)
『希望を照らす灯』
七海 灯(CL2000579)
『天使の卵』
栗落花 渚(CL2001360)
『花屋の装甲擲弾兵』
田場 義高(CL2001151)


 百鬼夜行と土蜘蛛。国を亡ぼす悪意と力。
 圧倒的な力の差に抵抗を止めた日本は、このまま侵略される運命。
 だが忘れるな。運命は切り開くもの。座して受け入れる事にあらず。
 今ここに、七の勇士と七の古妖が滅びの運命を覆すために百鬼夜行の前に立ちふさがる。

「かの牛若丸の師の剣、冥土の土産に不足はありませんな?」
 一振りの刀を手に『教授』新田・成(CL2000538)が妖魅の群れに立ちふさがる。憑依せしは鞍馬天狗。鞍馬寺に祀られる尊天の一尊である大天狗、護法魔王尊、またの名を鞍馬山魔王大僧正。強き古妖を憑依させた反動が、痛みとなって成の身体を駆け巡る。
「不足などあろうものか。だがその身でどこまでやれるか?」
 怜悧に返す八起。優しかった少年の心は、土蜘蛛の衝動に飲まれ消えていた。
「はっ! やれるだけやるに決まっているだろうが!」
 挑発するように『花屋の装甲擲弾兵』田場 義高(CL2001151)が体を揺らす。身にまとうは大百足。三上山を七巻き半する巨大な百足を鎧としてまとい、元々巨躯であった肉体はさらに大きくなっていた。
「でかいでかい。しかしその大きさが命取りだよ」
「ええ。ですが無視もできないはずです」
 五麟学園近くの川に陣取った『音楽教諭』向日葵 御菓子(CL2000429)。蛟と呼ばれる水の神と融合し、その下半身は蛇となっていた。川の水を支配下に置き、増幅された視覚と聴覚で百鬼夜行の動きを見る。
「いけーっ! 私のバディ……って、あれ? 私のバディってすねこすりだったんだ!?」
 驚きの声で近くにいるすねこすりを見る『天使の卵』栗落花 渚(CL2001360)。ふるふると震えるすねこすりを見て、抱えて抱きしめる渚。胸の中でおとなしくなるすねこすりを感じながら、負けられないと強く思う。
「百鬼夜行をこの目で拝めるとか、もう死んでもいいッス……! じゃなくて」
 感激を隠すことなく『突撃爆走ガール』葛城 舞子(CL2001275)が叫んで、我に返る。力を借りたのはぬらりひょん。その気付かれぬ能力で身を隠し、妖怪たちに気づかれず行動していた。並ぶ百の妖怪を、間近で見ながら。
「無理に強い古妖の力を借りることはないんです。きっと大事なのは相性」
 狐火を従え、『赤き炎のラガッツァ』ラーラ・ビスコッティ(CL2001080)が口を結ぶ。鬼火と違い、。人を導く狐火。その明かりで戦場を照らしながら八起の背後にある妖怪たちを見る。数は多い。だが、負けるつもりはない。
「お願いします。一反木綿さん」
 かつての依頼で交友を深めた一反木綿と同化した『希望を照らす灯』七海 灯(CL2000579)。軽くそして薄くなった肉体は敵からの攻撃を回避することに長け、その速度で一気呵成に敵を討つ。先ず狙い目は氷柱女か。着物の上からでもわかるあの胸。ぶっ殺す。
「一方的な虐殺はつまらない。精々僕を楽しませてくれ」
 八の蜘蛛足を背中から生やし、八起が嗤う。それは嘲笑。高々七人に負けるはずがないという傲慢。そして希望を折ったときの絶望の顔を想像し、その笑みは深くなる。
 百対十四。十倍近くの戦力差。背負うはこの国の未来。土蜘蛛による支配か。はたまた人の復興か。
 戦いの鐘は、静かに鳴った。


「行けい! 百鬼夜行!」
 八起の号令と同時に百の妖怪が動き出す。五麟市全体をフィールドとして、人外の脚力で暴れ出す。
「おおっと。この町に手出しはさせないぜ」
 その足を止めたのは義高だ。百足の巨体で物理的に封鎖し、百の足で妖怪達の攻撃を捌いていく。硬い甲羅が妖怪の爪や炎を妨げ、巨大な体から繰り出される一撃はまさに山が動いたとばかりの迫力がある。
「うわあああ! こんな奴相手にどうすればいいんだ!?」
「三上山の大百足の弱点は『唾を付けた武器』だ!」
「ちっ! 気づかれたか!」
 八起の声が飛び、妖怪は武器や爪にに唾をつけて義高に挑む。元々牙で攻撃する妖怪は、そのまま噛み付いてきた。しかし炎や吹雪を飛ばす妖怪はどうしようもないのか、道を迂回し始める。
「逃がしません……そこの氷柱女とか絡新婦とか鬼とか特に!」
 ゆらりとその場に現れるのは灯だ。何かに取り憑かれたかのような――事実一反木綿と同化しているのだが――表情で妖怪の一部を足止めする。具体的にはたわわと実った胸部とか、妖パイとか、雄っぱいとか。
「これは貧しき者の怒り。平等を求める革命! 『富める者へ貧しき者の怨嗟を(バスト・ミリオネラ・ゲーム!)』」
「ただの逆恨みー!」
 灯の放つ木綿が鋭き剣となり、(胸の大きい)妖怪を包み込む。胸部を強く締め付けてサラシの様に胸を押さえつけた。その木綿はまるで呪いの様に外れることはなく、まっ平らにしてしまった。もったいない。
「あの、灯さん。妖怪たち通してるんですけど」
「あの妖怪たちは胸が小さいからスルーです!」
「これが妖怪同化による狂気なんですね……」
 悲し気にラーラが目を逸らす。古妖との同化は弱点も伴う。それはラーラとて例外ではない。狐火の力で分浮遊し分身できるが、その分身は地に落ちれば消えてしまう。
「どうした? もう分身は種切れか?」
 相対したのは泥田坊。地面から上半身を出した一つ目の古妖。宙に浮くラーラに泥を飛ばし、地面に叩き落としていく。狐火は下からの攻撃に弱い。地面を潜るように移動する泥田坊との相性は最悪だった。
「この程度では負けません! 炎よ!」
 負けじと分身を作り多くの炎を放つラーラ。
「洗い流します。気を付けてください!」
 聞こえてくるのは御菓子の声。蛟の力は強大だが、強大であるがゆえに仲間への援護が難しい。器用に泥田坊だけを狙うことが出来ないのだ。事実、御菓子の放った水流は泥田坊と百鬼夜行だけではなく、街や仲間を巻き込んでしまう。
「ごめんなさい、後で癒しますから!」
 死と再生を司る蛇の古妖と同化し、火力と回復力を増した御菓子。仲間を癒しながら迫る古妖を相手していく。しかし火に弱い蛟と気づかれてしまい、火車や飛縁魔のような火の伝承を持つ古妖を差し向けられてしまう。
「流石は八起さん。妖怪にお詳しい……! ですがあちらも火に弱いはず!」
「うわー。皆頑張ってるなぁ」
 戦う仲間達を見ながら渚はすねこすりを抱きしめる。力のない古妖であるすねこすり。相手を転ばすことが出来るがその程度で、百鬼夜行の足を一時止める事しかできない。まして自分も転んでしまいそうになるのだ。
「いたぞぉ。頭から食ってやる!」
 そんな渚を見つけたのは小山のような大きさの牛鬼だ。動くたびに地面が揺れる。そんな牛鬼に向かってすねこすりが走り、巨体を転ばした。ずしぃん……と地響きが鳴り、それに巻き込まれる百鬼夜行達。
「すごいすごい! すねこすり!」
 渚は帰ってきたすねこすりを抱きしめ、撫でてやる。
「ああ、お茶が上手いッス」
 そんな戦いの中、喫茶店で一服する舞子とぬらりひょん。敢えて彼女の為に弁護しておくと、勝手に家に入って一服するのはぬらりひょんの特性なのだ。けしてサボっているわけでは……まあサボってるわな。
 飛んでくる瓦礫も、古妖が放つ稲妻も、ぬらりひょんと舞子には当たらない。文字通り無敵の状態だ。だがこちらから何かを仕掛ければ相手にわかるわけで、例えば味方を回復しようとしても……。
「げっ! 気づかれたッス!? 逃げるっすよー!」
 そしてまた別の家に入り込んで、休憩をしていた。
「――遅い」
 成の剣が妖魔を切り裂く。速く、鋭く。その二点を追求した剣技。それが人よりも強い妖怪を両断する。
「私は己の手だけでその頂きへと到達したかった。しかし、何かを極めるには、人の一生は短すぎた」
 口から血を流す成。同化している鞍馬天狗の反動だ。五感を失い、命を削り。その代償に得た己の理想。それは剣の修羅。そこに至る経緯が正しければ、あるいは正しくなければ妖怪と成ったであろう存在。
「私はね、ただ斬りに来たんですよ」
 百鬼夜行の群れに飛び込み、八起への道を切り開くべく剣を振るう。
 口の中に広がる鉄の味が消えた――味覚消失。
 死臭腐臭血臭を感じなくなった――嗅覚消失。
 怒声悲鳴、己の斬撃も届かない――聴覚消失。
 手にした剣の感触も失せている――触覚消失。
 そして今、全てが暗闇に落ちた――視覚消失。
 周りは敵だらけ。ならば五感は不要。ただ身体に剣を振るう機構さえ残っていればいい。傷つき、血を失い、肉が割けても、剣を握る手とそれを支える筋肉と骨さえ無事なら子細なし。嗚呼、でも――
「行きなさい」
 意思を継げる言葉は必要だった。遺言を告げる為、口を開く。しっかり喋れているか、五感を失った成には分からないが。
「未来を切開くのは、いつだって若者なのです」
「教授……!」
 成の言葉に、涙をぬぐう仲間達。その命が燃え尽きることを止めることはできない。ならば、その遺志を継ぐことこそが彼を生かすこと。
「やってくれるな人間。我は大江山の茨木童子!」
「ふふ。八起くんの右腕と言った所でしょうか。相手にとって不足無し!」
 修羅の剣が翻る。命を燃やした絶剣が。
 剛腕と剣が交差し、そして――


 覚者と古妖の闘いにより、百鬼夜行は潰えた。
 そう。後は古妖に振り回された元凶を潰すのみ――
 百鬼夜行を操る八起と土蜘蛛――を倒し新たなラスボスとなった者の声が響く。
「そう。全ての乳は平らになるべきなのです。この力によって!」
「七海さん!?」
「……久しぶりの出番なのに……がく」
 八起を踏みつけて『百鬼夜行の長』の印――今適当に設定植え付けた――を手にした灯が声高々に宣言する。一反木綿の力を使ってマントを纏い、それを風になびかせていた。
「何故、なぜ貴方がそのような事を!? 結構本気で何がどうなってこんな急展開になったのか聞きたいんですけど!」
「決まっています……EXプレイングに『ギャグ&アドリブ歓迎』的な事を書いたからです!」
「「「「「メタだー!」」」」」
 ラーラ、舞子、渚、御菓子、義高の五人は驚きながらも、臨戦態勢を取る。
「遅い」
 しかしその動揺を見逃す灯ではない。速度250超えで毎回泣かされるどくどくの如く、ラーラと御菓子と義高に襲い掛かる。具体的には『体系:豊満』のラーラと、バスト85の御菓子と、胸筋の厚い義高にである。
「こんな胸があるから! そう、胸がなければ争いは起きないのです!」
「やめてください、灯さん! 貴方はそんな憎しみに囚われる様な人ではなかったはずです!」
「貴方に何が分かるのですか! その豊満なものを見せつけられるたびに、無い者がどれだけ傷ついてきたか!」
 ラーラが我に返る様にと説得をするが、灯は耳を貸そうともしない。それが古妖の影響なのか、それとも灯本人の心の叫びなのか。それはわからない。
「小さい体のコンプレックスは理解できるわ! でもそれを悔やんでどうするの!」
「向日葵さんはただ諦めているだけです! 不平等な世界を変える力があるのに、それを使わないなんてただの臆病者です!」
 体が小さいことをコンプレックスにしている御菓子。同じ悩みを持つ者の言葉だが、灯は首を振って拳を握る。諦めるつもりはない。これが世界を不平等から解放するチャンスなのだから。
「確かに世の中は不平等だ。そいつを努力で変えるのは正しい。だがそれは人間の力のみで行うべきだぜ。古妖の力を利用してなんざ、それこそ力の差による不平等な革命だ!」
「因子発現して覚者になった事と同じです。力の有無と理想は違います!」
 含蓄のある声で義高は灯の主張を認め、しかし方法が間違っていると諭した。古妖の力は自分の力ではない。だが得た力には違いない。これを否定することは、覚者の力を否定するのと同じなのだ。
「待って! その力で全ての人を貧乳にした後、灯さんはどうするの!?」
 渚の問いかけに、灯は悲しそうな瞳で視線をそらした。
「知れたことです。全ての乳を無に帰し、私の胸も無に帰す。それだけです……」
「それって……」
「古妖同化の代償です。……いかなる手段をもってしても、私の胸は大きくなりません……」
 沈痛なつぶやき。それを聞いて覚者達は灯の覚悟を悟った。自分が富める者になろうというのではない。自分自身も含めて平等のバストサイズに。それが世界平和のためだと本気で信じているのだ。
 それは壮大な決意。それが正しいかどうかなど、灯自身にも言い切れない。もしかしたら間違っているかもしれないと思いながら、しかしそれも平和の道だと信じて歩む。見えぬ不安。揺れる足場。しかしそれでも進む。この道が正しいと信じて。
 その思いを、人はこう呼ぶのだ。
 正義。
 正しいと信じた道を貫くこと。傲慢と罵られても、愚者と囁かれても、それでも進む。その決意、その行動、その結果。その全てを凝縮した言葉。
 その道を灯は一歩、踏みだし、
「きゅーっ!」
「きゃん」
 その足元を渚のすねこすりが走り抜けた。思いっきり転んで、頭を打つ。
「今だー!」
 拘束が解かれた覚者達が一斉に襲い掛かる。そのまま灯は拘束されてしまった。
「全く……一時はどうなる事かと思ったぜ」
「ええ。ですがこれで平和が訪れます。後は『百鬼夜行の長』の印を砕けば……あれ?」
 灯の身体をまさぐっている御菓子が疑問符を浮かべる。印はどこにあるんだろう?
「探し物はここっッスよ」
 仁王立ちになってビルの上に立つ舞子。その手には『百鬼夜行の長』の印が握られていた。
「ぬらりひょんの力を使って気付かれずに『印』を盗む。これで私も妖怪の総大将ッスよ!」
 舞子が手を横なぎに振るう。それを合図に新たな百鬼夜行が生まれた。
「私が百鬼夜行を率いる……もう古妖マニアとしては最高の展開ッス!」
 感激の表情を浮かべる舞子。ぬらりひょんのカリスマもあって、新たな百鬼夜行の戦意は高かった。
 そんな舞子に恐る恐る質問が飛ぶ。
「…………まさか、葛城さんも?」
「EXプレイングに『面白おかしくしてOK』的な事を書いたッス!」
「「「「これだからギャグシナリオはー!?」」」」
 ラーラ、渚、御菓子、義高の四人はやってられねー、と言う顔で叫んだ。
「あ、私隠れながら指揮するんでみなさん頑張ってほしいッス! んじゃ!」
「地味に面倒な能力だぞ、あれ!」
「逃がすな! ってもういない!?」
「第一陣、来ます!」
「こうなったらやぶれかぶれだ! 全力でいくぞ!」
「すねこすりさん、一気に突っ走ってー!」
 渚の命令と共に大量のすねこすりが走ってくる。百鬼夜行の先頭から最後尾まで走り抜け、そして転倒させていく。足場の安定が失われれば、如何なる動物であれ戦力ダウンは免れない。そしてその隙を逃す覚者達ではなかった。
「大百足の巨体による蹂躙作戦! 喰らえええええええ!」
 大百足の足全てを動かし、巨体で百鬼夜行に突撃する義高。矮小な者はその余波だけで吹き飛び、大柄な鬼でさえ受け止めきれずに吹き飛ばされる。力を込めた全力の突撃。しかしその力が圧倒的なら、それだけで決め手となる。
「百を超える数の分身の炎。本物が見切れますか?」
 ホウキに乗って宙に浮かんだラーラ。三百を超えるラーラの分身が、同時に口を開く。そしてその人差し指から赤い熱線が打ち放たれた。三百の赤い雨が百鬼夜行に降り注ぐ。ある者は焼かれ、ある者は熱線に貫かれていく。
「水の牙、自然の驚異を知りなさい!」
 天を仰ぐように御菓子が手を広げる。御菓子が陣取っていた川の水は消え、そして突如雨が降り注ぐ。蛟の怒りを込めた雨。それは魔を滅する豪雨となって妖怪たちを討つ。そしてその勢いで倒れた妖怪たちを流していく。
「まだまだ負けないッスよ!」
 身を隠しながら舞子が拳を握る。ぬらりひょんの力で身を隠しながら、そのカリスマで百鬼夜行を制する。無茶な作戦でも古妖の頑健さならそれに耐え、そして成功に至るだろう。ああ、でも傷ついた古妖は下げとかないとね。古妖マニアとしては生きてこそだし。
 百鬼夜行第一陣が壊滅すると同時に、第二陣がその横をつくように攻め立ててくる。空は古妖。地も古妖。埋め尽くされる悪意ある妖怪の群れ。これらすべてを伏さなければ平和は戻らない。
 しかし、彼らに絶望はない。
 共に戦う古妖(バディ)がいる限り!

 ――俺達(人と古妖)の闘いは、これからだ!


「内容よく覚えていないけど、すごく気持ちのいい夢見たッスよ!」
 あくる日、舞子はとても清々しい気分で他六人に向けて笑顔でそう言った。


■シナリオ結果■

成功

■詳細■

MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし



■あとがき■

 どくどくSTの次回悪夢(さく)にご期待ください!




 
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