【マニコロ】レイブンメンバー、募集します
●これまでのあらすじ
今からこの案件にかかわるあなたのために、経緯を説明しておきましょう。
当チーム『レイブン』はファイヴから派生した専門派遣組織です。
ファイヴの依頼という形で業務が発生し、ファイヴ経由で人員を派遣します。
業務内容は宿命館大学の研究補佐およびトラブル解決です。
では、この組織ができあがるまでの経緯についても説明していきましょうね。
ファイヴはある事件から手に入れた神具から『特殊マニ車理論』というものを発見しました。これはファイヴのラボでも複製が困難で、量産体制を整えるには専門家をファイヴ内に引き入れる必要がありました。
そのためプロジェクト『マニコロ』が発動。専門家がいるという宿命館大学へ接触を開始しました。
宿命館大学は日本逢魔化以後に作られた大学で、神秘学の研究を行なっている機関です。しかしながらファイヴや五麟大学と異なり神具や術式といった神秘関連の戦闘利用に否定的で、お互いに接触を持っていませんでした。
そのためファイヴのチームはまず『レイブン』という架空のフリーランスを名乗り宿命館大学へ接触。研究助手やトラブル解決、時に遊び相手や通い妻的存在となりました。
やがて身分を明かし、宿命館大学の学長と交渉を行なった上で以下の取り決めをしたのです。
・ファイヴ所属覚者の宿命館大学への出入りを認めること。
・所属教授である能登博士との接触を認めること。
・宿命館大学が求めた場合ファイヴは要求を解決するためのチームの編成につとめること。
――これを『レイブン』と呼称する。
こうして、架空の組織だった『レイブン』は正式な形を持ち、宿命館大学とファイヴが接触する際のチームとして発足したのです。
ようこそ『レイブン』へ。
あなたに活躍と友好を期待します。
●事務所設立
いくら仲介のみの仕事とはいえ『レイブン』という組織を作るにあたって受付になる場所を作る必要がありました。
宿命館大学側からの要請に応えるという都合上、事務所は宿命館大学の能登研究室のそばに作られることになりました。
まずはコンテナハウスを用意して、中身を整えて、書類を揃えて、ついでに顔見せをして……。
そうです。
プロジェクト『マニコロ』を凍結。新たにプロジェクト『レイブン』を発足させるのです。
今からこの案件にかかわるあなたのために、経緯を説明しておきましょう。
当チーム『レイブン』はファイヴから派生した専門派遣組織です。
ファイヴの依頼という形で業務が発生し、ファイヴ経由で人員を派遣します。
業務内容は宿命館大学の研究補佐およびトラブル解決です。
では、この組織ができあがるまでの経緯についても説明していきましょうね。
ファイヴはある事件から手に入れた神具から『特殊マニ車理論』というものを発見しました。これはファイヴのラボでも複製が困難で、量産体制を整えるには専門家をファイヴ内に引き入れる必要がありました。
そのためプロジェクト『マニコロ』が発動。専門家がいるという宿命館大学へ接触を開始しました。
宿命館大学は日本逢魔化以後に作られた大学で、神秘学の研究を行なっている機関です。しかしながらファイヴや五麟大学と異なり神具や術式といった神秘関連の戦闘利用に否定的で、お互いに接触を持っていませんでした。
そのためファイヴのチームはまず『レイブン』という架空のフリーランスを名乗り宿命館大学へ接触。研究助手やトラブル解決、時に遊び相手や通い妻的存在となりました。
やがて身分を明かし、宿命館大学の学長と交渉を行なった上で以下の取り決めをしたのです。
・ファイヴ所属覚者の宿命館大学への出入りを認めること。
・所属教授である能登博士との接触を認めること。
・宿命館大学が求めた場合ファイヴは要求を解決するためのチームの編成につとめること。
――これを『レイブン』と呼称する。
こうして、架空の組織だった『レイブン』は正式な形を持ち、宿命館大学とファイヴが接触する際のチームとして発足したのです。
ようこそ『レイブン』へ。
あなたに活躍と友好を期待します。
●事務所設立
いくら仲介のみの仕事とはいえ『レイブン』という組織を作るにあたって受付になる場所を作る必要がありました。
宿命館大学側からの要請に応えるという都合上、事務所は宿命館大学の能登研究室のそばに作られることになりました。
まずはコンテナハウスを用意して、中身を整えて、書類を揃えて、ついでに顔見せをして……。
そうです。
プロジェクト『マニコロ』を凍結。新たにプロジェクト『レイブン』を発足させるのです。

■シナリオ詳細
■成功条件
1.レイブンの事務所を立ち上げる
2.なし
3.なし
2.なし
3.なし
新たにプロジェクト『レイブン』を立ち上げるに当たって事務所を設立します。
今のところコンテナハウスに長机を置くだけのものになりますが、今回の工夫次第で色々と変えていくことができるでしょう。
皆さんで話し合い、内装を整える係や問題ごとを調査する係、スタッフの確保や顔見せといった様々なお仕事を分担しましょう。
(一通りぜんぶやるといったプレイングを書いた場合、あっちこっちに飛び回ってちょこっとずつ手をつけることになりますが、その殆どは描写されないおそれがあります)
また、当初の目的であった『特殊マニ車理論の専門家を引き入れる』という目的は消失し、『宿命館大学との共同研究環境を作る』という目的にシフトしたことでシリーズシナリオはここで一旦終了し、今後は<レイブン>としてシナリオが組まれることになるでしょう。
それでは。
『レイブン』をつくりましょう。
状態
完了
完了
報酬モルコイン
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
金:0枚 銀:1枚 銅:0枚
相談日数
6日
6日
参加費
100LP[+予約50LP]
100LP[+予約50LP]
参加人数
6/6
6/6
公開日
2017年03月14日
2017年03月14日
■メイン参加者 6人■

●立ち上がれレイヴン
箱というものは偉大だ。
名前をつけて設置するだけで、なんだかこの世に新しい団体が生まれた実感が持てる。
「ちゅーても、コンテナハウスなんやけどな」
『緋焔姫』焔陰 凛(CL2000119)は木目のついた安い二連結式コンテナハウスを前に腕組みをした。
「そのうち立派なハコを用意するけど、今のところはこれでじゅーぶん。コストパフォーマンスもばっちりや」
目を瞑り回想する凛。リース会社から中古で譲り受けるという形でひたすら値切った記憶がよみがえる。最後、相手がちょっと泣いてた。
なにせ、ファイヴから受け取った支度金はあまり多くはないのだ。
すげーリアルな話だから聞き流してもらってもいいのだけれど、非営利団体かつスポンサー制のファイヴは実際あんまりお金持ちではない。お金が出ていく理由しか無い組織なので、そこは当然の成り行きである。レイヴンとて目的に特化した非営利団体なので、同じ苦労を背負うことになるだろう。
要するに値切り交渉はとっても大事なのだ。
「っちゅーわけで、おねがいします!」
振り返るとヤツがいる。具体的にはホームセンターから派遣された運送業のおっさんたちが居た。
よく託児所とかにある青っぽい壁紙と目に優しいほんわかした電灯がそれぞれ設置され、机が運び込まれていく。
電気は大学から引くため、電線工事のおっさんたちもスタンバイしている。
凛は自分も何かせなならんと言いながら、段ボール箱に詰め込んだ電気ポットやコンロなんかを運び込んでいく。誰かの私物やリサイクルショップから引っ張ってきたアイテムが大半だが、事務所を立ち上げるには大事なアイテムである。私も昔こういう事務所手配したことあるから分かるよ。
そんな中で、『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)は大きな布ロールを持って現われた。
「見てみて、アレ出来たよ!」
「おお、できたか! はっとけはっとけ!」
凛に言われ、奏空はコンテナハウスの壁に布をべしっと貼り付けた。
具体的には養生テープで四方を二重に押さえつける感じでびっちり固定した。
なんか工事現場の仮設事務所みたいだが、コレがあるとないとで見栄えが随分違うものである。
そう。
組織の旗印。
「レイヴンのロゴマークだ!」
ワタリガラスが四つ葉のクローバーをくわえ、月桂樹で囲ったマーク。これにレイヴンのロゴを加えたものが、これから『レイヴン』を表わす印となる。
奏空はまず最初に作った六つの腕章を配って、自分でも装着してみせた。
「これから、レイヴンになるメンバーにはこれを配るんだ。学内でもこれをつけて歩いてれば、レイヴンだって分かるよね」
「ええ考えや。警備員みたいなもんやな。なんなら制服もつくるか?」
「それはちょっと……その、お金が……」
指をつんつんする奏空。
腕章だけでもたいした物だ。大半のスタッフには市販のビニール腕章にロゴマークのプリントシールを貼り付けたものを配ることになるだろうが、印としての効果はバッチリだ。
「そのロゴマークだが……」
『鬼灯の鎌鼬』椿屋 ツバメ(CL2001351)がやってきて、タブレットPCの画面を見せてきた。
「メンバーサイトにも素材として使いたい。デザイナーと話はできるか?」
「いいよ! えっ、メンバーサイトとかあるの!?」
みたいみたいと言ってつま先でジャンプする奏空に、ツバメは頷いて画面を操作してやった。
「大学から依頼された内容や所属するメンバーのプロフィールを確認できる。あと、西荻からのリクエストで……」
「ちゃっと? というものがあれば便利かと思いまして」
ファイルケースを手に、『優麗なる乙女』西荻 つばめ(CL2001243)が現われた。
「スタンディングメンバーは私たち六人だ。今後ファイヴ経由で依頼に応募したメンバーも加わり増えていく。そうした面々の情報交換ができればと思ってな」
「ファイヴ内に『チーム』として立ち上げてくれたりとか……?」
「それは自分でやってくれとのことだ。あくまで私たちの手にゆだねたいんだろう」
奏空たちは関係各所への挨拶に行くと言うことで彼らと別れ、ツバメたちは内装設置の終わった事務所内へとやってきた。
タブレットPCをスタンドに置いて、キーボードを取り出すツバメ。
「サイトへのアクセスは指紋認証と24時間ごとに変わるパスワードを鍵としている。できることなら自分でプログラムしたかったが……」
軽快にキーボードを打つ姿を感心したように眺めながら、つばめは画面を覗き込んだ。
「椿屋さんでもできませんの? ぱそこん、お詳しそうなのに」
「想像してみてくれ」
ツバメはふと手を止め、つばめに向き直った。
「絶対に侵入されない家を一人の大工が作るには、どれだけの金と月日と技術がかかると思う」
「……とても、大変ですのね」
「そういうわけだ。だから、既製の外部装置を使ったセキュリティに頼っている」
ツバメはサイトを案内しながら、レイヴンの目的や概要を説明するページを見せた。
新たに加わったメンバーが迷わないようにである。
「私の仕事はこんなところだ。そちらはどうだ?」
「電話対応のマニュアルでしたら、こちらに」
つばめはそう言って持っていたファイルケースを開いた。
手書きで作られたマニュアルが綴りひもでまとめられている。
「暫くはわたくしが電話番を担当しまして、細かい説明もさせていただければと。加えて、当面は面談も」
そう言って次に取り出したのは、ファイヴ内から何人かやってきたレイヴンメンバーへの志望者の面談票である。今のところは事務やサーバー監視、雑用係や掃除係といった地味な仕事ばかりだが、事務所を維持するのに大事なメンバーでもある。
「これに加えて、今後はファイヴ経由で依頼を作成、覚者がそれを受けて行動に当たる……といった具合になりますわね」
●この世に生を受けたなら
鏡の前で身なりを整える上月・里桜(CL2001274)。
ついでに制服姿の奏空の身なりも整えてあげてから、里桜はよしと頷いた。
「まずは、五麟学園にポスターを貼らせてもらうようにお願いしに行きましょうか」
里桜の役目は挨拶回りだ。
これこれこういう組織を立ち上げましたと挨拶をしに行くことで、その必要性に応じて相手もそれなりの対応をしてくるものである。
ものによってはリアルな資金援助もありうるのだが、今回は二組織間の橋渡し的存在。既に援助はなされているようなものだ。
よって、宣伝活動を『させてもらう』という部分が援助となる。
「具体的にはどんな活動をすればいいのかな……」
「そうですね、例えば五麟大学にはブリーフィングルームがありましたよね」
「『ブレインストリーミング』って書いてある部屋のこと?」
「あそこで、するべき活動を提案したり、その人員を募ることができるでしょう。放って置いても大学側が人員を欲したときなどに依頼が作成されるでしょうけれど、それではフリーのスタッフと変わりませんからね」
レイヴンを実質的に動かすには、自分たちからもある程度動いていく必要があるということだろうか。
奏空はこれからやること、これからできることの複雑さにちょっとだけ頭をくらくらさせた。
微笑む里桜。
「心配いりませんよ。六人もいれば、沢山のことができますから。手始めに今回は……」
里桜は手作りしたらしい桜餅を開いて見せた。
ハコとヒトを用意しただけでは組織は動かない。ヒトとヒトの間に立たねば力にならぬ。
挨拶回りはそんな間を線でつなげる仕事だった。
五麟学園の要人たち、そして宿命館大学の学長や教授たちに、細かくアポをとりながら挨拶をして回る。この作業は実に一ヶ月にもわたり、相応の価値を生むに至るのだが……それはまた今度話すことにしよう。
ハコとヒトとセンができあがったことで実際的な稼働を始めたレイヴン。
しかしただ作っただけでは意味が無い。その役割を積極的に全うすべく、動く必要があったのだ。
『守人刀』獅子王 飛馬(CL2001466)はノートを開いて、その方法について説明していた。
「まず宿命館大学の博士たち……特に能登博士に話を聞かなきゃ始まらないよな。俺が聞いた限りだとこのあたりだ」
ノートにはしっかりした字でこう書かれている。
『研究を利用した兵器商売を企む黒鯨商会のへ牽制、もしくは排除』。
『危険なエリアへの採集、もしくは実験に関わる護衛』。
「この二つは今まで白鷹のねーちゃんたちがやってたことだ。それをもっと大きな規模で、それも積極的にやっていけると思う。加えて、夢見が危険を予知した時に駆けつけるってのも大事だよな」
夢見の予知はなかなかに不安定なものだ。分かったら即座に連絡するためのホットラインがあるといい。
そしてそれは、つばめとツバメが既にシステムを構築してくれていた。
「で、次が俺からの提案だ。これを見てくれ」
飛馬が取り出したのは、片手で抱えられそうなほどの木箱だった。
投票ポストみたいなつくりの木箱には、『カラス箱』と書かれている。
「大学に不思議な噂がたったり、不安に思ったりしたことを投書してもらう箱だ。匿名で手紙を入れるだけじゃなくて、電話やメールをしたり、ネットの掲示板に書き込んだりってことができればいいと思うんだけど……」
と言いながら、ツバメから貰ったラミネートカードをぺたっと貼り付けた。彼の要望に応えたQRコードがプリントされている。
「これでよし!」
かくして、レイヴンの仕事は『能登博士からの要請』『大学からの要請』『夢見の予知』『一般学生からの要望』の四つによって発生することになった。
「これからどんな仕事が舞い込むかはわかんねーけど、これからも力を合わせてがんばろうぜ!」
「ほな、そーゆーことで!」
凛はテーブルの上の紙コップをとると、つばめや里桜たちも同じようにコップをとった。
「レイヴン創立を祝ってー」
「「乾杯!」」
箱というものは偉大だ。
名前をつけて設置するだけで、なんだかこの世に新しい団体が生まれた実感が持てる。
「ちゅーても、コンテナハウスなんやけどな」
『緋焔姫』焔陰 凛(CL2000119)は木目のついた安い二連結式コンテナハウスを前に腕組みをした。
「そのうち立派なハコを用意するけど、今のところはこれでじゅーぶん。コストパフォーマンスもばっちりや」
目を瞑り回想する凛。リース会社から中古で譲り受けるという形でひたすら値切った記憶がよみがえる。最後、相手がちょっと泣いてた。
なにせ、ファイヴから受け取った支度金はあまり多くはないのだ。
すげーリアルな話だから聞き流してもらってもいいのだけれど、非営利団体かつスポンサー制のファイヴは実際あんまりお金持ちではない。お金が出ていく理由しか無い組織なので、そこは当然の成り行きである。レイヴンとて目的に特化した非営利団体なので、同じ苦労を背負うことになるだろう。
要するに値切り交渉はとっても大事なのだ。
「っちゅーわけで、おねがいします!」
振り返るとヤツがいる。具体的にはホームセンターから派遣された運送業のおっさんたちが居た。
よく託児所とかにある青っぽい壁紙と目に優しいほんわかした電灯がそれぞれ設置され、机が運び込まれていく。
電気は大学から引くため、電線工事のおっさんたちもスタンバイしている。
凛は自分も何かせなならんと言いながら、段ボール箱に詰め込んだ電気ポットやコンロなんかを運び込んでいく。誰かの私物やリサイクルショップから引っ張ってきたアイテムが大半だが、事務所を立ち上げるには大事なアイテムである。私も昔こういう事務所手配したことあるから分かるよ。
そんな中で、『探偵見習い』工藤・奏空(CL2000955)は大きな布ロールを持って現われた。
「見てみて、アレ出来たよ!」
「おお、できたか! はっとけはっとけ!」
凛に言われ、奏空はコンテナハウスの壁に布をべしっと貼り付けた。
具体的には養生テープで四方を二重に押さえつける感じでびっちり固定した。
なんか工事現場の仮設事務所みたいだが、コレがあるとないとで見栄えが随分違うものである。
そう。
組織の旗印。
「レイヴンのロゴマークだ!」
ワタリガラスが四つ葉のクローバーをくわえ、月桂樹で囲ったマーク。これにレイヴンのロゴを加えたものが、これから『レイヴン』を表わす印となる。
奏空はまず最初に作った六つの腕章を配って、自分でも装着してみせた。
「これから、レイヴンになるメンバーにはこれを配るんだ。学内でもこれをつけて歩いてれば、レイヴンだって分かるよね」
「ええ考えや。警備員みたいなもんやな。なんなら制服もつくるか?」
「それはちょっと……その、お金が……」
指をつんつんする奏空。
腕章だけでもたいした物だ。大半のスタッフには市販のビニール腕章にロゴマークのプリントシールを貼り付けたものを配ることになるだろうが、印としての効果はバッチリだ。
「そのロゴマークだが……」
『鬼灯の鎌鼬』椿屋 ツバメ(CL2001351)がやってきて、タブレットPCの画面を見せてきた。
「メンバーサイトにも素材として使いたい。デザイナーと話はできるか?」
「いいよ! えっ、メンバーサイトとかあるの!?」
みたいみたいと言ってつま先でジャンプする奏空に、ツバメは頷いて画面を操作してやった。
「大学から依頼された内容や所属するメンバーのプロフィールを確認できる。あと、西荻からのリクエストで……」
「ちゃっと? というものがあれば便利かと思いまして」
ファイルケースを手に、『優麗なる乙女』西荻 つばめ(CL2001243)が現われた。
「スタンディングメンバーは私たち六人だ。今後ファイヴ経由で依頼に応募したメンバーも加わり増えていく。そうした面々の情報交換ができればと思ってな」
「ファイヴ内に『チーム』として立ち上げてくれたりとか……?」
「それは自分でやってくれとのことだ。あくまで私たちの手にゆだねたいんだろう」
奏空たちは関係各所への挨拶に行くと言うことで彼らと別れ、ツバメたちは内装設置の終わった事務所内へとやってきた。
タブレットPCをスタンドに置いて、キーボードを取り出すツバメ。
「サイトへのアクセスは指紋認証と24時間ごとに変わるパスワードを鍵としている。できることなら自分でプログラムしたかったが……」
軽快にキーボードを打つ姿を感心したように眺めながら、つばめは画面を覗き込んだ。
「椿屋さんでもできませんの? ぱそこん、お詳しそうなのに」
「想像してみてくれ」
ツバメはふと手を止め、つばめに向き直った。
「絶対に侵入されない家を一人の大工が作るには、どれだけの金と月日と技術がかかると思う」
「……とても、大変ですのね」
「そういうわけだ。だから、既製の外部装置を使ったセキュリティに頼っている」
ツバメはサイトを案内しながら、レイヴンの目的や概要を説明するページを見せた。
新たに加わったメンバーが迷わないようにである。
「私の仕事はこんなところだ。そちらはどうだ?」
「電話対応のマニュアルでしたら、こちらに」
つばめはそう言って持っていたファイルケースを開いた。
手書きで作られたマニュアルが綴りひもでまとめられている。
「暫くはわたくしが電話番を担当しまして、細かい説明もさせていただければと。加えて、当面は面談も」
そう言って次に取り出したのは、ファイヴ内から何人かやってきたレイヴンメンバーへの志望者の面談票である。今のところは事務やサーバー監視、雑用係や掃除係といった地味な仕事ばかりだが、事務所を維持するのに大事なメンバーでもある。
「これに加えて、今後はファイヴ経由で依頼を作成、覚者がそれを受けて行動に当たる……といった具合になりますわね」
●この世に生を受けたなら
鏡の前で身なりを整える上月・里桜(CL2001274)。
ついでに制服姿の奏空の身なりも整えてあげてから、里桜はよしと頷いた。
「まずは、五麟学園にポスターを貼らせてもらうようにお願いしに行きましょうか」
里桜の役目は挨拶回りだ。
これこれこういう組織を立ち上げましたと挨拶をしに行くことで、その必要性に応じて相手もそれなりの対応をしてくるものである。
ものによってはリアルな資金援助もありうるのだが、今回は二組織間の橋渡し的存在。既に援助はなされているようなものだ。
よって、宣伝活動を『させてもらう』という部分が援助となる。
「具体的にはどんな活動をすればいいのかな……」
「そうですね、例えば五麟大学にはブリーフィングルームがありましたよね」
「『ブレインストリーミング』って書いてある部屋のこと?」
「あそこで、するべき活動を提案したり、その人員を募ることができるでしょう。放って置いても大学側が人員を欲したときなどに依頼が作成されるでしょうけれど、それではフリーのスタッフと変わりませんからね」
レイヴンを実質的に動かすには、自分たちからもある程度動いていく必要があるということだろうか。
奏空はこれからやること、これからできることの複雑さにちょっとだけ頭をくらくらさせた。
微笑む里桜。
「心配いりませんよ。六人もいれば、沢山のことができますから。手始めに今回は……」
里桜は手作りしたらしい桜餅を開いて見せた。
ハコとヒトを用意しただけでは組織は動かない。ヒトとヒトの間に立たねば力にならぬ。
挨拶回りはそんな間を線でつなげる仕事だった。
五麟学園の要人たち、そして宿命館大学の学長や教授たちに、細かくアポをとりながら挨拶をして回る。この作業は実に一ヶ月にもわたり、相応の価値を生むに至るのだが……それはまた今度話すことにしよう。
ハコとヒトとセンができあがったことで実際的な稼働を始めたレイヴン。
しかしただ作っただけでは意味が無い。その役割を積極的に全うすべく、動く必要があったのだ。
『守人刀』獅子王 飛馬(CL2001466)はノートを開いて、その方法について説明していた。
「まず宿命館大学の博士たち……特に能登博士に話を聞かなきゃ始まらないよな。俺が聞いた限りだとこのあたりだ」
ノートにはしっかりした字でこう書かれている。
『研究を利用した兵器商売を企む黒鯨商会のへ牽制、もしくは排除』。
『危険なエリアへの採集、もしくは実験に関わる護衛』。
「この二つは今まで白鷹のねーちゃんたちがやってたことだ。それをもっと大きな規模で、それも積極的にやっていけると思う。加えて、夢見が危険を予知した時に駆けつけるってのも大事だよな」
夢見の予知はなかなかに不安定なものだ。分かったら即座に連絡するためのホットラインがあるといい。
そしてそれは、つばめとツバメが既にシステムを構築してくれていた。
「で、次が俺からの提案だ。これを見てくれ」
飛馬が取り出したのは、片手で抱えられそうなほどの木箱だった。
投票ポストみたいなつくりの木箱には、『カラス箱』と書かれている。
「大学に不思議な噂がたったり、不安に思ったりしたことを投書してもらう箱だ。匿名で手紙を入れるだけじゃなくて、電話やメールをしたり、ネットの掲示板に書き込んだりってことができればいいと思うんだけど……」
と言いながら、ツバメから貰ったラミネートカードをぺたっと貼り付けた。彼の要望に応えたQRコードがプリントされている。
「これでよし!」
かくして、レイヴンの仕事は『能登博士からの要請』『大学からの要請』『夢見の予知』『一般学生からの要望』の四つによって発生することになった。
「これからどんな仕事が舞い込むかはわかんねーけど、これからも力を合わせてがんばろうぜ!」
「ほな、そーゆーことで!」
凛はテーブルの上の紙コップをとると、つばめや里桜たちも同じようにコップをとった。
「レイヴン創立を祝ってー」
「「乾杯!」」
■シナリオ結果■
成功
■詳細■
MVP
なし
軽傷
なし
重傷
なし
死亡
なし
称号付与
なし
特殊成果
なし
